JPH10298682A - 耐熱合金、耐熱合金の製造方法、および耐熱合金部品 - Google Patents

耐熱合金、耐熱合金の製造方法、および耐熱合金部品

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JPH10298682A
JPH10298682A JP10964197A JP10964197A JPH10298682A JP H10298682 A JPH10298682 A JP H10298682A JP 10964197 A JP10964197 A JP 10964197A JP 10964197 A JP10964197 A JP 10964197A JP H10298682 A JPH10298682 A JP H10298682A
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heat treatment
resistant alloy
heat
temperature
aging
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JP10964197A
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Ryuichi Ishii
龍一 石井
Motoji Tsubota
基司 坪田
Masayuki Yamada
政之 山田
Yoichi Tsuda
陽一 津田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】延性、靭性に優れ、かつ高温で長期間の運用に
おいても脆化が小さいNi基合金である耐熱合金、およ
びその耐熱合金の製造方法、ならびに耐熱合金部品を提
供する。 【解決手段】重量%で、Ni:50〜55、Cr:17
〜21、NbもしくはNbとTaの合計:4.75〜
5.5、Mo:2.8〜3.3、Ti:0.65〜1.
15、Al:0.2〜0.8、Co:1.0以下、C:
0.08以下、Mn:0.35以下、Si:0.35以
下、P:0.015以下、B:0.006以下、Cu:
0.3以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物と
から構成される耐熱合金素材を、溶解後鍛造あるいは圧
延したのち、温度条件1,000〜1,030℃の範囲
内において溶体化熱処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で長期間使用
される部品、例えば蒸気タービン高温部におけるボルト
等に適用される耐熱合金、およびその耐熱合金の製造方
法、ならびに耐熱合金部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、蒸気タービン高温部におけるボル
ト等の締結部品には、熱膨張率などの物理的性質が被締
結部品と同等で、かつ高温特性が優れたフェライト系耐
熱鋼が使用されていた。
【0003】一方、最近では環境保全を背景として限り
ある資源を有効利用するため、蒸気タービンプラントの
熱効率を高めることが要求されている。熱効率を高める
ためには、水蒸気の温度や圧力を従来以上に高める必要
がある。現在、積極的に火力発電プラントの高効率化が
進められた結果、温度600℃以上の高温蒸気を利用し
て効率化を図るという蒸気タービンが実現化している。
このような高温環境下で使用される蒸気タービンの場
合、ボルト等の材料として、従来のフェライト系耐熱鋼
を用いたとしても、高温部における機械的強度などの高
温要求特性を必ずしも満たさない。そこで、近年、高温
特性が優れているNi基あるいはFe−Ni基などのN
iを主成分とした耐熱合金が使用される傾向にある。
【0004】Ni基耐熱合金は、析出強化相のγ″相
(NiNb)を析出させることにより強化された合金
であり、このNi基耐熱合金の強化因子には、γ″相析
出強化のほかに固溶強化、炭化物析出強化などがある。
Ni基合金の特徴として、まず第一にNiが多種類の元
素を固溶することが挙げられる。第二に、析出強化相で
あるγ″相(NiNb)もまた多種類の元素を固溶
し、しかもこのγ″相が高温においても長時間比較的安
定に保たれることが挙げられる。上記の諸特性を有する
ことから、現在においてNi基合金が耐熱合金の主流と
なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たNiを主成分とする耐熱合金は高温部における機械的
強度などの高温要求特性は優れているものの、600℃
程度での加熱による脆化が著しいという欠点を有する。
そのために、例えば高圧蒸気を利用して10万時間以上の
長期間にわたって運用する場合には、高い信頼性を確保
することが極めて難しい。
【0006】また、機械の安全保守及び点検のために一
定期間毎にボルトなどを取り外す場合があるが、靭性が
低い素材からなるボルトの場合には、これを取り外す際
に不可避的に生じる衝撃力に対する抵抗力が低いため
に、割れ、破壊などの機械的損傷が発生し易い。
【0007】本発明はこのような課題に対処するために
なされたものであり、延性、靭性に優れ、かつ高温で長
期間の運用においても脆化が小さいNi基合金である耐
熱合金、およびその耐熱合金の製造方法、ならびに耐熱
合金部材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、当該合金
において優れた延性、靭性を付与し、高温長時間の運用
においても脆化を抑制することが可能な耐熱合金、その
製造方法、および耐熱合金部品を開発すべく研究を行っ
た結果、本発明に至ったものである。
【0009】即ち、請求項1記載の耐熱合金は、重量%
で、Ni:50〜55、Cr:17〜21、Nbもしく
はNbとTaの合計:4.75〜5.5、Mo:2.8
〜3.3、Ti:0.65〜1.15、Al:0.2〜
0.8、Co:1.0以下、C:0.08以下、Mn:
0.35以下、Si:0.35以下、P:0.015以
下、B:0.006以下、Cu:0.3以下を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物とから構成され、1,0
00〜1,030℃の溶体化熱処理を施してなることを
特徴とする。
【0010】上記の組成から構成される合金は、AMS
5662、ASTMB670、JISG4901等で規
定される材料と同種のものであり、主として微細なγ″
相(NiNb)を析出させることにより強化されたN
i基耐熱合金である。
【0011】請求項2記載の耐熱合金の製造方法は、耐
熱合金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、温度条
件1,000〜1,030℃(1,830〜1,88
5)の範囲内において溶体化熱処理することを特徴とす
る。
【0012】一般的にNi基耐熱合金が優れた高温特性
を発揮するのは、温度927℃〜1,010℃で溶体化
熱処理を行った場合である。工業的には950℃〜98
0℃で処理され、この温度では、溶体化熱処理前に生成
した板状のδ相が結晶粒界(以後、粒界)上に残存した
組織を有する。これらの組織は粒界破壊やき裂の進展を
促進し、衝撃性質、破壊靭性を低下させる。そのため、
δ相がほぼ溶解する1,000℃以上に加熱し、δ相の
大半を消滅させることが望ましい。
【0013】また、本合金に優れた靭性を付与するため
には1,040℃〜1,065℃での溶体化熱処理が好
適とされるが、本発明においては1,030℃を上限と
規定している。1,030℃より高温で溶体化熱処理を
施すと、結晶粒径の粗大化を促進し、それに伴い疲労特
性や引張性質の低下を招く。そこで、これらの特性を保
持するため上記温度を設定した。
【0014】請求項3記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2記載の耐熱合金の製造方法において、温度1,0
00〜1,030℃の範囲内で溶体化熱処理を行った
後、温度760±8℃の範囲で時効熱処理を行うことを
特徴とする。
【0015】760℃付近は、本発明の耐熱合金の主強
化相であるγ″相が最も活発に析出する温度域である。
従って、溶体化熱処理後に上記温度範囲で時効熱処理を
施すことにより、母相に固溶しているNbの大半をγ″
相として、主に結晶粒内に高密度に析出させることがで
きる。本発明においては、通常よりも高温で溶体化熱処
理を行うため、溶体化熱処理後におけるNbの固溶量が
多い。そこで、優れた高温強度が要求される場合には、
特に760±8℃の範囲で時効熱処理を行うことにより
十分なγ″相の析出量を確保する必要がある。760℃
より高温側ではγ″相の粗大化が加速され、反対に低温
側では十分なγ″相の析出量が確保できない。いずれの
温度にしても高温強度の低下を招くため、760℃を中
心とし、±8℃は工業的に施工可能な温度範囲として設
定した。
【0016】請求項4記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2記載の耐熱合金の製造方法において、温度1,0
00〜1,030℃の範囲内において溶体化熱処理を行
った後、温度条件が704±8℃の範囲で時効熱処理を
行うことを特徴とする。
【0017】通常耐熱合金には優れた高温強度が要求さ
れるが、使用環境によって高温強度よりも耐食性あるい
はSCC特性(応力腐食割れ特性)等の環境劣化性が要
求される場合がある。このような場合に、強度を抑制し
て延性、靭性を高めることが有効であり、704±8℃
の範囲で時効熱処理を行うことによりこのような特性を
有する耐熱合金を得ることができる。ただし、704℃
より高温側で時効熱処理を行うと、γ″相の析出が加速
され強度が上昇する。一方、低温側ではγ″相の析出量
が少ないため最低限の強度を確保することができない。
そこで、704℃を中心とし、±8℃は工業的に施工可
能な温度範囲として設定した。
【0018】請求項5記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2記載の耐熱合金の製造方法において、温度1,0
00〜1,030℃の範囲内において溶体化熱処理を行
った後、温度760±8℃の範囲で時効熱処理を行い、
さらに温度704±8℃の範囲で時効熱処理を行うこと
を特徴とする。
【0019】760℃付近で時効熱処理を行う理由は前
述したが、さらに704℃付近で時効熱処理を行うの
は、γ″相の一部を比較的大きく成長させること、及び
固溶状態で存在する過飽和なNb量を低減させるためで
ある。上記温度条件で時効熱処理し調整された耐熱合金
の組織は、初期靭性及びクリープ破断強度が優れてい
る。実際に耐熱合金をボルトとして使用した場合など、
使用中にγ″相の変態が生じることがあるが、異なる温
度での2段階の時効熱処理(温度760±8℃の範囲で
時効熱処理を行い、さらに温度704±8℃の範囲で時
効熱処理を行う)を行うことにより、γ″相の変態を抑
制することが可能となる。ただし、最終の熱処理温度を
704℃より高温にするとγ″相の粗大化が加速される
ため強度低下を招く。一方、低温側では固溶Nb量が低
減できないため、760℃及び704℃を中心として±
8℃は工業的に施工可能な温度範囲として各々設定し
た。
【0020】請求項6記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項3、4または5記載の耐熱合金の製造方法において
時効熱処理によって得られる耐熱合金の結晶粒径をAS
TM粒度番号で5以上にすることを特徴とする。
【0021】当業者に知られる鋳造法、鍛造法あるいは
圧延法を用いて溶体化熱処理前の状態まで成形すると、
成形法や成形の度合いにより素材の粒径が異なる。通
常、粒度番号が小さいと靭性は低いなどの傾向はある
が、本発明では1,000℃〜1,030℃での溶体化
熱処理でδ相の大半が消滅するため、δ相が粒界上に存
在する場合よりも結晶粒の成長が加速される。したがっ
て、結晶粒の粗大化による靭性低下分がδ相の消滅によ
る靭性向上分を上回った場合は、溶体化熱処理及び時効
熱処理後の靭性が低下する。本発明で用いる耐熱合金の
限界の値は粒度番号5であり、また粒度番号が5以上で
あれば好適な特性を得ることが可能である。
【0022】請求項7記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2、3または4記載の耐熱合金の製造方法において
溶体化熱処理を行った後、冷間加工により製品形状に成
形加工し、その後時効熱処理を実施することを特徴とす
る。
【0023】本発明における耐熱合金の主強化相である
γ″相を析出させると、γ″相が存在しない溶体化状態
と比べ、耐力及び引張強さが著しく上昇するが、その反
面、耐熱合金自体の強度が増加するために加工性が極め
て低下する。そこで、加工が容易である溶体化熱処理を
施した後に所望の形状に冷間加工した。そして、時効熱
処理を施しγ″相を析出することにより耐熱合金を製造
することが可能である。また、この方法によれば時効熱
処理条件を変えず、冷間加工率を調整することで所望の
強度に調整することが可能である。
【0024】請求項8記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2、3または4記載の耐熱合金の製造方法において
溶体化熱処理を行った後、機械研削により製品形状に成
形加工し、その後時効熱処理を実施することを特徴とす
る。
【0025】本発明における耐熱合金の主強化相である
γ″相を析出させると、γ″相が存在しない溶体化状態
と比べると硬度が著しく上昇するため、機械研削性が低
下する。そこで、硬度が高くない溶体化状態で機械研削
を施した後、時効熱処理を行いγ″相を析出させた。な
お、γ″相の析出により耐熱合金が収縮するため、時効
熱処理を行う際には、部品の最終形状に僅かに余肉を付
けた寸法にする必要がある。
【0026】請求項9記載の耐熱合金の製造方法は、請
求項2から8までのいずれかに記載の耐熱合金の製造方
法において、溶体化熱処理もしくは時効熱処理の後、空
冷することを特徴とする。
【0027】通常耐熱合金の製造においては、溶体化熱
処理後は空冷もしくは水冷し、1段階目の時効熱処理後
は2段階目の時効温度まで炉冷する。この処理は、時効
条件と炉冷時の冷却速度が金属組織と機械的性質に影響
を及ぼす。そのため長時間の連続操業であり、かつ冷却
速度管理が煩雑である2段階連続時効である操作を制御
することが難しい。本発明の時効熱処理では、温度条件
を上記のように設定することにより時効中に安定な組織
が形成され、冷却過程での組織変化は生じにくい。従っ
て、加熱処理後の冷却方法として空冷が可能となる。
【0028】請求項10記載の耐熱合金の製造方法は、
請求項2から9までのいずれかに記載の耐熱合金の製造
方法において、最終段でショットピーニングを施すこと
を特徴とする。
【0029】ショットピーニングは表面冷間加工の一種
であり、金属材料の表面に高速力でショット粒(綱や鋳
鉄の小球)を噴射し、金属表面層を加工硬化によって硬
化させる方法である。
【0030】種々の機器において使用される素材には作
用応力が発生し、場合により熱応力が発生することもあ
る。特に素材表面においては、これらの応力が引張応力
となることが多く、引張応力が割れ等の機械的損傷を想
定以上に促進することもある。ショットピーニングを行
うことにより、素材表面に圧縮応力を発生させ引張応力
を相殺することが可能となる。この操作を行うことによ
り、素材が引張応力下におかれても安定な運用が可能と
なる。
【0031】請求項11記載の耐熱合金部品は、請求項
2から10までのいずれかに記載の製造方法により得ら
れた耐熱合金を素材として板状、管状、棒状、厚肉状、
薄肉状に形成してなることを特徴とする。
【0032】本発明による処理を施した耐熱合金は、ボ
ルトなどの厚肉部品に適している。特に温度1,000
℃〜1,030℃、760±8℃、704±8℃で順次
熱処理を行うことにより、粒界上おける析出物量が少な
い組織を形成することができる。析出物量が少ないた
め、使用中の特に粒界付近における組織変化が生じにく
く、金属組織は高強度で良好なものとなる。そのため、
ボルトなどの厚肉部品に用いることが可能である。
【0033】また、本発明による処理を施した耐熱合金
は板、管などの薄肉部品に適している。特に温度1,0
00℃〜1,030℃、704±8℃で順次熱処理を行
うことにより、δ相が溶解するとともにγ″相が少な
く、かつ比較的粗大化した安定な組織が形成される。こ
のような金属組織は強度が低いものの延性や靭性が極め
て良好なため、圧延仕上げや曲げ加工などにおける成形
性が高まる。また、水環境中における割れ感受性などを
低下させることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。
【0035】第1実施形態(表1〜4:実施例1〜4) 第1実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、温度条件を
1,000〜1,030℃と規定して溶体化熱処理を行
い、その後、通常行われる温度で時効熱処理を行った。
【0036】具体的な耐熱合金素材の組成は表2に示す
ように、重量%で、Ni:53.51、Cr:18.3
5、Nb:5.01、Ta:0.01、Mo:2.9
9、Ti:0.94、Al:0.50、Co:0.1
1、C:0.03、Mn:0.06、Si:0.10、
P:0.009、B:0.003、Cu:0.03、F
e:18.35、S:0.0015、残不純物である。
【0037】本実施形態では表3に示すように、実施例
1〜実施例4として溶体化熱処理温度を異ならせた4つ
の試料を製造した。即ち、実施例1の溶体化熱処理温度
は1,000℃、実施例2の溶体化熱処理温度は1,0
10℃、実施例3の溶体化熱処理温度は1,020℃、
実施例4の溶体化熱処理温度は1,030℃とした。溶
体化熱処理後、実施例1〜4のいずれにおいても718
℃で第1段時効熱処理を行って621℃まで炉冷した
後、621℃で第2段時効熱処理を行い空冷した。
【0038】また、比較例1として、表2に記載の素材
を955℃で溶体化熱処理(耐熱合金が高温部品の用途
として使用される際に好適とされる標準的な熱処理)
し、実施例1〜4と同様の時効熱処理を施した試料を製
造した。
【0039】上記溶体化熱処理及び時効熱処理後の耐熱
合金について、引張試験及び衝撃試験を行った。引張試
験には、直径6mm、標点間距離30mmのつば付き試験片
を用い常温での試験を行い、衝撃試験には、JIS4号
2mmVノッチシャルピー試験片を用い20℃でのシャル
ピー衝撃試験を行った。また、600℃、10,000
h恒温時効した後衝撃試験を行い、高温環境下での靭性
について調査した。
【0040】上記の試験結果を表4に示す。なお、表4
には、実施例1〜実施例4の試験値を比較例1の試験値
で除した数値を示す。
【0041】この表4に示したように、実施例1〜実施
例4は比較例1と同等の耐力と引張強さを有し、破断延
性は比較例1の約1.5倍向上していることが判明し
た。また、衝撃値については比較例1の2倍以上であり
衝撃に対する強度が増加した。また、600℃、10,
000h恒温時効した後衝撃試験を行った場合、比較例
1は初期値の約0.3と大幅に衝撃値が低下したが、実
施例1〜実施例4はいずれも比較例1の初期値の1.4
倍以上が維持され、脆化が大幅に抑制されることが判明
した。
【0042】以上の第1実施形態によれば、1,000
〜1,030℃の溶体化熱処理を行うことにより、耐力
と引張強さは標準的な熱処理を施した場合と同等である
が、破断延性と耐衝撃性が向上し、さらに加熱による脆
化が生じにくい耐熱合金が得られた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】第2実施形態(表5〜表6:実施例5〜
8) 第2実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、温度1,0
00〜1,030℃の範囲内で溶体化熱処理を行い、そ
の後、温度条件760±8℃の範囲で時効熱処理を行っ
た。
【0048】本実施形態においても表2記載の耐熱合金
素材を用い、表5に示すように実施例5〜8として、溶
体化熱処理温度を異ならせた4つの試料を製造した。即
ち、実施例5の溶体化熱処理温度は1,000℃、実施
例6の溶体化熱処理温度は1,010℃、実施例7の溶
体化熱処理温度は1,020℃、実施例8の溶体化熱処
理温度は1,030℃とした。溶体化熱処理後、実施例
5〜実施例8のいずれにおいても、760℃で第1段時
効熱処理を行い空冷し、得られた耐熱合金を第1実施形
態に示した比較例1と比較した。
【0049】上記の試験結果を表6に示す。なお表6に
は、実施例5〜実施例8の引張試験、衝撃試験及びクリ
ープ破断試験値を比較例1の試験値で除した数値を示
す。また、衝撃及び引張試験条件は第1実施形態と同様
である。クリープ破断試験は、直径6mm、標点間距離3
0mmの試験片を用いて650℃、686MPaの条件で
行った。
【0050】表6に示したように、実施例5〜実施例8
は、耐力と引張強さは0.83〜0.96と低下する
が、熱処理後の衝撃値は比較例1の3.5倍以上と大幅
に向上した。また、600℃、10,000h恒温時効
した後に衝撃試験を行った場合、比較例1は初期値の約
0.3と大幅に衝撃値が低下したが、実施例5〜実施例
8はいずれも比較例1の初期値の1.7倍以上が維持さ
れ、脆化が大幅に抑制されることが判明した。また、実
施例5〜実施例8はクリープ破断についていずれも比較
例1の約1.6倍の破断時間を示した。破断延性につい
ては、比較例1の1.5倍以上の破断延性が得られた。
【0051】以上の第2実施形態によれば、1,000
〜1,030℃の溶体化熱処理及び760℃の時効熱処
理を行うことにより、通常の熱処理を施した場合と比
べ、破断延性、耐衝撃性及びクリープ破断強度が優れ、
さらに加熱による脆化が生じにくい耐熱合金が得られ
た。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】第3実施形態(表7〜表8:実施例9〜1
1) 第3実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、温度1,0
00℃〜1,030℃の範囲内で溶体化熱処理を行い、
その後、704℃±8の範囲で時効熱処理を行った。
【0055】本実施形態においても表2記載の耐熱合金
素材を用い、表7に示すように実施例9〜11として、
溶体化熱処理温度を異ならせた3つの試料を製造した。
即ち、実施例9の溶体化熱処理温度は1,010℃、実
施例10の溶体化熱処理温度は1,020℃、実施例1
1の溶体化熱処理温度は1,030℃とした。溶体化熱
処理後、実施例9〜11のいずれにおいても、704℃
で第1段時効熱処理を行い空冷した。
【0056】また比較例2として、表2に記載の耐熱合
金素材を1050℃で溶体化熱処理(耐熱合金が延靭性
向上に好適とされる標準的な熱処理)し、760℃で第
1段時効熱処理を行って649℃まで炉冷した後、64
9℃で第2段時効熱処理を行い空冷した。
【0057】上記の試験結果を表8に示す。なお表8に
は、実施例9〜実施例11の引張試験及び衝撃試験値を
比較例2の試験値で除した数値を示す。また、衝撃及び
引張試験条件は第1実施形態と同様である。
【0058】表8に示したように、実施例9〜実施例1
1の20℃での衝撃値は、比較例1の約2.8倍以上で
あった。耐力及び引張強さは、比較例2よりも大きく低
下したが、2倍程度の破断伸び、さらに3倍程度の衝撃
値を示した。
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】第4実施形態(表9:実施例9′) 第4実施形態では、上記第3実施形態の704±8℃の
範囲で時効熱処理を行う効果が、1,000℃〜1,0
30℃での溶体化熱処理と704±8℃での時効熱処理
の間において冷間加工を行った場合、特に割れ感受性に
おいてより明確化した。
【0062】本実施形態では、表7に示した実施例9と
同様な条件を用い、さらに冷間加工を行った。具体的に
は、表2記載の耐熱合金素材を用い、表9に示すように
実施例9′として加工率を異ならせた4つの試料を製造
した。即ち、表2記載の耐熱合金素材を1,010℃で
溶体化熱処理後、加工率0%、10%、20%、最大3
0%までの冷間加工を行い、その後704℃±8で時効
熱処理した。これを表9における実施例9′と示す。
【0063】また、比較例1としては、第1実施形態に
おける比較例1の条件と同様のものであり、溶体化熱処
理後に冷間加工を施し、加工率を異ならせた4つの試料
(加工率0%、10%、20%、最大30%までの冷間
加工)を製造した。
【0064】上記溶体化熱処理、冷間加工及び時効熱処
理後に得られた耐熱合金について、応力腐食割れ試験を
行った。応力腐食割れ(SCC)試験は、得られた耐熱
合金を塩素濃度100ppb、288℃、80気圧の水
中下におき、最大割れ深さを測定した。
【0065】上記の試験結果を表9に示す。なお、表9
には実施例9′の試験値を比較例1の試験値で除した数
値を最大割れ深さの比として示す。
【0066】この表9に示したように、冷間加工率が0
%においては比較例1と実施例9′は同等の最大割れ深
さを示すが、冷間加工率が増加すると比較例1の最大割
れ深さは1.5〜2倍程度になり、実施例9′より割れ
感受性が増加した。
【0067】以上の第4実施形態によれば、本発明によ
る溶体化熱処理、冷間加工及び時効熱処理を行った場
合、破断延性、耐衝撃性および耐応力腐食割れ性が大幅
に向上した耐熱合金が得られた。そのために、得られた
上記耐熱合金をとくに腐食環境下で使用される板、管な
どの薄肉部品であっても長期間にわたり安定な状態で運
用することが可能となった。
【0068】
【表9】
【0069】第5実施形態(表10〜表11:実施例1
2〜15) 第5実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、1,000
℃〜1,030℃で溶体化熱処理を行い、760℃±8
で時効熱処理を行い、さらに704℃±8で時効熱処理
を行った。
【0070】本実施形態では、表2記載の耐熱合金素材
を用い表10に示すように、実施例12〜実施例15と
して、溶体化熱処理温度を異ならせた4つの試料を製造
した。即ち、表10に示すように実施例12の溶体化熱
処理温度は1,000℃、実施例13の溶体化熱処理温
度は1,010℃、実施例14の溶体化熱処理温度は
1,020℃、実施例15の溶体化熱処理温度は1,0
30℃とした。溶体化熱処理後、実施例12〜15のい
ずれにおいても、760℃で第1段時効熱処理を行って
空冷し、その後704℃で第2段時効熱処理を行い空冷
した。
【0071】また、比較例1としては、第1実施形態に
おける比較例1の条件と同様の試料を製造した。
【0072】上記溶体化熱処理及び時効熱処理後に得ら
れた耐熱合金について、衝撃試験、引張試験、クリープ
破断試験及び切欠クリープ破断試験を行った。衝撃及び
引張試験条件は第1実施形態と同様である。クリープ破
断試験は、直径6mm、標点間距離30mmの試験片を用い
て650℃、686MPaの条件で行った。
【0073】上記試験結果を表11に示す。なお表11
には、実施例12〜実施例15の衝撃試験、引張試験、
クリープ破断試験及び切欠クリープ破断試験値を比較例
1の試験値で除した数値を示す。
【0074】表11に示したように、実施例12〜実施
例15は比較例1より耐力及び引張強さがわずかに低下
したが、破断延性は比較例1を上回り、衝撃値は4倍程
度であった。実施例12〜実施例15はいずれも比較例
1の約1.7倍の破断時間を示し、切欠クリープ破断時
間はいずれも比較例1の1.5倍以上であった。
【0075】また、、600℃、10,000h恒温時
効した後衝撃試験を行った結果、実施例12〜実施例1
5の衝撃値はいずれも比較例1の初期値の1.8倍以上
が維持され、比較例1より脆化が大幅に抑制された。
【0076】以上の第5実施形態によれば、溶体化熱処
理及び第1段、第2段の時効熱処理を行うことにより、
常温引張性質、衝撃性質、加熱脆化特性が従来の熱処理
素材よりも優れ、かつクリープ破断強度、切欠特性も十
分である耐熱合金が得られた。特に、定常的な使用温度
が約600℃程度で使用される棒、円盤などの厚肉部品
であっても、長期間にわたり優れた特性を維持した状態
で運用することが可能となった。
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】第6実施形態(表12:実施例14) 第6実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、温度1,0
00〜1,030℃の範囲内で溶体化熱処理を行い、そ
の後、請求項3、4または5記載のいずれかの時効熱処
理を行い、得られた耐熱合金の結晶粒径をASTM粒度
番号で5以上にした。
【0080】本実施形態では、表2記載の耐熱合金素材
を異なる粒径に調整した後、第5実施形態に挙げた実施
例14の条件に従って行った。即ち、実施例14は1,
020℃で溶体化熱処理を行った後、760℃で時効熱
処理を行って空冷し、さらに704℃で時効熱処理を行
い空冷した。
【0081】また、比較例1としては、第1実施形態に
おける比較例1の条件と同様の試料を製造した。
【0082】上記溶体化熱処理及び時効熱処理後の耐熱
合金について、衝撃試験を行った。衝撃試験条件は第1
実施形態と同様である。
【0083】上記の試験結果を表12に示す。従って得
られた耐熱合金の結晶粒径のASTM粒度番号と衝撃試
験結果を示す。なお、実施例14の試験値を比較例1に
よる結晶粒径のASTM粒度番号が5であるの試験値で
除した数値を示した。
【0084】表12に示したように、比較例1において
ASTM粒度番号が5以上であっても衝撃値は最大1.
3倍程度であった。これとは反対に、実施例14におい
て行った場合、ASTM粒度番号が3と小さい値であっ
ても比較例1よりも高い衝撃値を示した。また実施例1
4で行った場合には、ASTM粒度番号が大きくなるほ
ど、さらに粒度番号5以上で特に高い衝撃値を示した。
【0085】また、600℃、10,000h恒温時効
した後衝撃試験を行い、その結果を表12に示した。な
お、表12には、実施例14の試験値を比較例1による
結晶粒径のASTM粒度番号が5であるの試験値で除し
た数値を示した。
【0086】表12に示したように、実施例14の脆化
が比較例1より抑制されることは実施例4でも述べた
が、実施例14を施した場合、特に粒度番号5以上で脆
化が大幅に抑制されることが判明した。
【0087】以上の第6実施形態によれば、耐熱合金の
結晶粒径のASTM粒度番号を5以上に調整することに
より、本発明の溶体化熱処理及び時効熱処理の効果が最
大限に発揮されることが判明した。
【0088】
【表12】
【0089】第7実施形態(実施例1〜15) 第7実施形態では、本発明の溶体化熱処理及び時効熱処
理後の冷却方法として空冷を行った。
【0090】第3実施形態及び第7実施形態において挙
げた比較例1あるいは比較例2は、溶体化熱処理と第1
段、第2段の時効熱処理を連続操業で行った。また、時
効熱処理後は炉冷を行った。炉冷においては、炉冷時の
冷却速度によって引張性質、クリープ破断性質等が異な
ってくるために冷却管理が繁雑である。例えば、冷却速
度を1時間当たり5℃から200℃まで変化させた場合
には、常温引張強さは最大で150MPa程度の差が生
じた。
【0091】一方、実施例1〜実施例15においては、
時効熱処理後空冷(大気放冷)した。空冷は冷却速度を
管理する必要がなく、また引張性質、クリープ破断性質
等の機械的性質は空冷を施すことにより冷却速度の影響
を受けなかった。
【0092】また比較例1あるいは比較例2は、加熱時
間及び炉冷時間を含む時効時間全体を管理する必要があ
ったが、空冷による冷却方法によれば冷却速度を管理す
る必要がなく、さらに、直径あるいは肉厚が6inch
程度までであれば加熱時間は従来の1/2以下で十分で
あった。
【0093】以上の第7実施形態によれば、本発明の溶
体化熱処理及び時効熱処理後の冷却方法に空冷を用いる
ことにより、従来の空冷方法に比べ簡素化かつ短時間化
が可能であり、さらに定常的に安定した特性が得られる
ことが判明した。
【0094】第8実施形態(表13〜表14:実施例1
6〜18) 第8実施形態では、表1に示した成分組成範囲の耐熱合
金素材を溶解後鍛造あるいは圧延したのち、1,000
℃〜1,030℃で溶体化熱処理を行い機械研削を行っ
た。その後、請求項3、4または5記載のいずれかの時
効熱処理を行った。
【0095】本実施形態では、表2記載の耐熱合金素材
を表13に示す条件で溶体化熱処理、機械研削及び時効
熱処理を行った。表13に示すように、実施例16〜実
施例18は溶体化熱処理後、機械研削を行い時効熱処理
を施した実施例であり、いずれにおいても1,010℃
で溶体化熱処理後、機械研削を行った。その後、実施例
16は760℃で時効熱処理後空冷した。実施例17は
760℃で時効熱処理し空冷した後、704℃で時効熱
処理後空冷した。また、実施例18は704℃で時効熱
処理し空冷した。
【0096】また、比較例3として、表2記載の耐熱合
金素材を955℃で溶体化熱処理後空冷し、718℃で
第1段時効熱処理を行って621℃まで炉冷した後、6
21℃で第2段の時効熱処理を行い空冷した。そして、
最後に機械研削を行った。なお、機械研削の削り代は丸
棒の素材表面から2mmとした。
【0097】上記溶体化熱処理、時効熱処理及び機械研
削後の耐熱合金について、引張試験及びビッカース硬さ
(1000gf)試験を行った。なお引張試験条件は、第
1実施形態と同様である。
【0098】上記の試験結果を表14に示す。なお表1
4は、実施例16〜実施例18の引張試験及びビッカー
ス硬さ(1000gf)試験値を比較例3の試験値で除し
た数値を示す。
【0099】この表14に示したように、実施例16〜
実施例18は機械研削時は比較例3より大幅に低強度高
延性であり、硬さは約1/2であった。仕上げ寸法を得
ることができる合計時間(溶体化熱処理、機械研削及び
時効熱処理に要する合計の時間)は、実施例16〜実施
例18では比較例3の0.6倍に短縮された。
【0100】以上の第8実施形態によれば、溶体化熱処
理後は機械研削性が良好であることにより、溶体化熱処
理、機械研削及び時効熱処理に要する合計の時間が短縮
され、かつその後の時効熱処理より所望の特性を得るこ
とが可能であることが判明した。なお、機械研削の代わ
りに冷間加工を行った場合、あるいは機械研削と冷間加
工を組合せた場合においても同様の結果を得ることがで
きることが判明した。
【0101】
【表13】
【0102】
【表14】
【0103】第9実施形態(表15〜表16) 第9実施形態では、請求項2から9までのいずれかに記
載の耐熱合金の製造方法において、最終段でショットピ
ーニングを行った。
【0104】本実施形態では、表2に記載の耐熱合金素
材に第5実施形態に挙げた実施例14の条件に従って行
った後、ショットピーニングを行った。即ち、実施例1
4は1,020℃で溶体化熱処理を行い、760℃で第
1段の時効熱処理を行って空冷し、さらに704℃で第
2段の時効熱処理を行い空冷した。その後、最終的にシ
ョットピーニングを行った。
【0105】また、比較例4として、表2に記載の耐熱
合金素材を用いて上記実施例14と同様の条件であり、
ショットピーニングのみを行わない試料を製造した。
【0106】上記溶体化熱処理、時効熱処理及びショッ
トピーニングを施して得られた耐熱合金について、残留
応力、作用応力及び600℃、3条件の引張応力下に設
定した後の残留応力を試験した。
【0107】上記の試験結果を表15に示す。
【0108】この表15に示したように、比較例4にお
ける表面の残留応力は引張応力(+)であったが、ショ
ットピーニングを施した実施例14における表面の残留
応力は圧縮応力(−)であった。また、耐熱合金を60
0℃、3条件の引張応力下に設定した後の残留応力を試
験した結果、比較例4の残留応力はいずれの条件でも引
張応力(+)であるが、実施例14では圧縮応力あるい
は±0を示した。
【0109】次に、実施例14及び比較例4について第
4実施形態と同一条件において応力腐食割れ(SCC)
試験を実施した。
【0110】上記の試験結果を表16に示す。なお、実
施例14について最大割れ深さの試験値を比較例4の試
験値で除して最大割れ深さの比として示す。
【0111】この表16に示したように、実施例14
は、0.81であり、ショットピーニングを実施するこ
とにより最大割れ深さは小さくなり、割れ感受性が低下
することが判明した。
【0112】以上の第9実施形態によれば、請求項2か
ら9までのいずれかに記載の耐熱合金の製造方法におい
て、最終段でショットピーニングを行うことにより、耐
熱合金素材の残留応力を圧縮応力にすることで過剰な応
力の発生を抑制でき、より安定な機器の運用を得ること
ができることが判明した。
【0113】
【表15】
【0114】
【表16】
【0115】その他の実施形態(表1〜表2) なお以上の実施形態においては、耐熱合金素材として表
2に記載した値を適用したが、表1に記載した耐熱合金
素材の組成範囲についても種々実施した結果、上記実施
例とほぼ同様の特性を有する耐熱合金を得ることができ
た。
【0116】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明による耐
熱合金、耐熱合金の製造方法によれば、溶体化熱処理、
時効熱処理の温度範囲を調整しているため、延性、靭
性、または高温で長期間運用中の脆化が小さい等の特性
を有する耐熱合金を得ることができる。従って、上記耐
熱合金を用いたボルト、板などの部品を高温高圧化した
過酷な蒸気環境下あるいは過酷な腐食環境下において
も、長期間にわたり機器の運用性および信頼性を保持す
ることが可能な耐熱部品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 624 C22F 1/00 624 626 626 650 650A 651 651B 685 685 691 691B (72)発明者 津田 陽一 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Ni:50〜55、Cr:1
    7〜21、NbもしくはNbとTaの合計:4.75〜
    5.5、Mo:2.8〜3.3、Ti:0.65〜1.
    15、Al:0.2〜0.8、Co:1.0以下、C:
    0.08以下、Mn:0.35以下、Si:0.35以
    下、P:0.015以下、B:0.006以下、Cu:
    0.3以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物と
    から構成され、1,000〜1,030℃の溶体化熱処
    理を施してなることを特徴とする耐熱合金。
  2. 【請求項2】 重量%で、Ni:50〜55、Cr:1
    7〜21、NbもしくはNbとTaの合計:4.75〜
    5.5、Mo:2.8〜3.3、Ti:0.65〜1.
    15、Al:0.2〜0.8、Co:1.0以下、C:
    0.08以下、Mn:0.35以下、Si:0.35以
    下、P:0.015以下、B:0.006以下、Cu:
    0.3以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物と
    から構成される耐熱合金素材を、溶解後鍛造あるいは圧
    延したのち、温度条件1,000〜1,030℃の範囲
    内において溶体化熱処理することを特徴とする耐熱合金
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の耐熱合金の製造方法にお
    いて、温度1,000〜1,030℃の範囲内において
    溶体化熱処理を行った後、温度条件が760±8℃の範
    囲で時効熱処理を行うことを特徴とする耐熱合金の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の耐熱合金の製造方法にお
    いて、温度1,000〜1,030℃の範囲内において
    溶体化熱処理を行った後、温度条件が704±8℃の範
    囲で時効熱処理を行うことを特徴とする耐熱合金の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の耐熱合金の製造方法にお
    いて、温度1,000〜1,030℃の範囲内において
    溶体化熱処理を行った後、温度760±8℃の範囲で時
    効熱処理を行い、さらに温度704±8℃の範囲で時効
    熱処理を行うことを特徴とする耐熱合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3、4または5記載の耐熱合金の
    製造方法において、時効熱処理によって得られる耐熱合
    金の結晶粒径をASTM粒度番号で5以上にすることを
    特徴とする耐熱合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項2、3または4記載の耐熱合金の
    製造方法において、溶体化熱処理を行った後、冷間加工
    により製品形状に成形加工し、その後時効熱処理を行う
    ことを特徴とする耐熱合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2、3または4記載の耐熱合金の
    製造方法において、溶体化熱処理を行った後、機械研削
    により製品形状に成形加工し、その後時効熱処理を行う
    ことを特徴とする耐熱合金の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項2から8までのいずれかに記載の
    耐熱合金の製造方法において、溶体化熱処理もしくは時
    効熱処理の後、空冷を行うことを特徴とする耐熱合金の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項2から9までのいずれかに記載
    の耐熱合金の製造方法において、最終段でショットピー
    ニングを施すことを特徴とする耐熱合金の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項2から10までのいずれかに記
    載の製造方法により得られた耐熱合金を素材として、板
    状、管状、棒状、厚肉状または薄肉状に形成してなるこ
    とを特徴とする耐熱合金部品。
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