JP2001020041A - 溶接性および被削性に優れた工具鋼ならびに工具、金型 - Google Patents
溶接性および被削性に優れた工具鋼ならびに工具、金型Info
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- JP2001020041A JP2001020041A JP11193948A JP19394899A JP2001020041A JP 2001020041 A JP2001020041 A JP 2001020041A JP 11193948 A JP11193948 A JP 11193948A JP 19394899 A JP19394899 A JP 19394899A JP 2001020041 A JP2001020041 A JP 2001020041A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶接性と被削性という相反した性質が優れた
工具鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.45〜0.85%、
Cr:5.0〜8.5%を含有し、焼入れ組織における
マトリックス組成偏差GがSKD11基準で3.3以下
の工具鋼であり、更には、焼入れ焼戻し後の組織中に観
察される一次炭化物量が面積率で3%以下の工具鋼であ
る。具体的には、重量%でC:0.45〜0.85%、
Si:0.1〜1.2%、Mn:0.1〜1.2%、C
r:5.0〜8.5%、MoまたはWの1種あるいは2
種を(Mo+1/2W):0.6〜3.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避の不純物からなる工具鋼とし、
好ましくはV:1.0%以下、Ni:1.0%以下、
S:0.2%以下、Ca:100ppm以下とする。こ
れらの工具鋼を55HRC以上の硬さに調質・切削加工
して工具あるいは金型とする。
工具鋼を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.45〜0.85%、
Cr:5.0〜8.5%を含有し、焼入れ組織における
マトリックス組成偏差GがSKD11基準で3.3以下
の工具鋼であり、更には、焼入れ焼戻し後の組織中に観
察される一次炭化物量が面積率で3%以下の工具鋼であ
る。具体的には、重量%でC:0.45〜0.85%、
Si:0.1〜1.2%、Mn:0.1〜1.2%、C
r:5.0〜8.5%、MoまたはWの1種あるいは2
種を(Mo+1/2W):0.6〜3.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避の不純物からなる工具鋼とし、
好ましくはV:1.0%以下、Ni:1.0%以下、
S:0.2%以下、Ca:100ppm以下とする。こ
れらの工具鋼を55HRC以上の硬さに調質・切削加工
して工具あるいは金型とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家庭電化
製品、農機具等に使用される鋼板の打抜、曲げ、絞りあ
るいはトリミング用の金型等に使用される工具鋼に関す
るものである。
製品、農機具等に使用される鋼板の打抜、曲げ、絞りあ
るいはトリミング用の金型等に使用される工具鋼に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車メーカー等では、価格競争に打ち
勝ち収益を確保するために、これまであらゆる分野での
コスト低減を実施してきた。その分野は金型関連までに
もおよび、コスト低減のため、プレス金型で成形される
製品の製作工程の短縮や金型製作数の削減、更には、金
型の加工方法や工具の開発等、種々の低減施策が実施さ
れてきた。
勝ち収益を確保するために、これまであらゆる分野での
コスト低減を実施してきた。その分野は金型関連までに
もおよび、コスト低減のため、プレス金型で成形される
製品の製作工程の短縮や金型製作数の削減、更には、金
型の加工方法や工具の開発等、種々の低減施策が実施さ
れてきた。
【0003】このような金型において、従来より使用さ
れる金型材、特に冷間加工用金型材には、耐摩耗性付与
のため炭化物を多量に含み、更に、焼入れ性に優れかつ
靭性を確保するためCr含有量が多い材料が求められて
おり、例えば、JIS G4404規定の合金工具鋼鋼
材であるSKD11等の高C−高Cr系鋼が使用されて
いる。
れる金型材、特に冷間加工用金型材には、耐摩耗性付与
のため炭化物を多量に含み、更に、焼入れ性に優れかつ
靭性を確保するためCr含有量が多い材料が求められて
おり、例えば、JIS G4404規定の合金工具鋼鋼
材であるSKD11等の高C−高Cr系鋼が使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年の傾向と
しては、金型を構成する部品数の削減や一体成形、形状
の複雑化等で、上述のSKD11のごとき鋼材からの加
工による形状出しでは、耐摩耗性には優れているが加工
すべき体積が膨大となり、製造コスト増加の原因となっ
ている。一方、SKD11に相当する材質の成分で鋳造
化して加工代を減少する試みも成されてきたが、炭化物
を多量に含むため、靭性等に問題があり、適切な合金設
計での実用化までには至っていないのが現状である。
しては、金型を構成する部品数の削減や一体成形、形状
の複雑化等で、上述のSKD11のごとき鋼材からの加
工による形状出しでは、耐摩耗性には優れているが加工
すべき体積が膨大となり、製造コスト増加の原因となっ
ている。一方、SKD11に相当する材質の成分で鋳造
化して加工代を減少する試みも成されてきたが、炭化物
を多量に含むため、靭性等に問題があり、適切な合金設
計での実用化までには至っていないのが現状である。
【0005】そして、特に鋼板の打抜、曲げ、絞りある
いはトリミング等に使用される金型では、三次元的に変
化している被打抜品の形状を成形する金型にて割れが頻
発するようになり、溶接補修性等の要求が高まってき
た。つまり、最近の動向を見てみると、金型加工工程の
立ち上げが短期化してきたための設計変更による形状修
正や、金型使用中の過酷な条件等による破損や割れが生
じても、救済により再使用ができるための溶接性が重要
となってきたのである。
いはトリミング等に使用される金型では、三次元的に変
化している被打抜品の形状を成形する金型にて割れが頻
発するようになり、溶接補修性等の要求が高まってき
た。つまり、最近の動向を見てみると、金型加工工程の
立ち上げが短期化してきたための設計変更による形状修
正や、金型使用中の過酷な条件等による破損や割れが生
じても、救済により再使用ができるための溶接性が重要
となってきたのである。
【0006】以上、従来より金型等に適用されてきた工
具鋼には、その最近において求められる機械的特性につ
いて各々、一長一短がある。そこで、本発明は、靭性や
耐摩耗性といった機械的性質を低下させずに、溶接性や
被削性に優れた工具鋼を提供するものである。
具鋼には、その最近において求められる機械的特性につ
いて各々、一長一短がある。そこで、本発明は、靭性や
耐摩耗性といった機械的性質を低下させずに、溶接性や
被削性に優れた工具鋼を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、靭性や耐摩
耗性といった基本的な機械的特性の維持を鑑みた上で、
溶接性や被削性の改善に要求される基本条件を見直し
た。
耗性といった基本的な機械的特性の維持を鑑みた上で、
溶接性や被削性の改善に要求される基本条件を見直し
た。
【0008】まず、このような金型材は、現状では耐摩
耗性重視のため硬質脆性な炭化物を多量に含有する成分
設計を行っているが、近年の耐摩耗性付与手段として表
面処理の技術が発達してきたことから、金型材自体の耐
摩耗性確保は現状ほど重視する必要性が無くなってき
た。そして、耐割れ性の点から見ると、このような炭化
物はクラック進展を促進させる因子であるので、適切な
量まで低くする必要がある。
耗性重視のため硬質脆性な炭化物を多量に含有する成分
設計を行っているが、近年の耐摩耗性付与手段として表
面処理の技術が発達してきたことから、金型材自体の耐
摩耗性確保は現状ほど重視する必要性が無くなってき
た。そして、耐割れ性の点から見ると、このような炭化
物はクラック進展を促進させる因子であるので、適切な
量まで低くする必要がある。
【0009】これら考慮の結果として、本発明者らは、
工具鋼を構成する基本成分であるC含有量を減少しても
良好な機械的性質、特に硬さ及び靭性を得るに充分な成
分構成および組織を見いだし、溶接性や被削性が優れ、
更には表面処理特性に加えて熱処理特性も優れた本発明
の工具鋼に想到した。
工具鋼を構成する基本成分であるC含有量を減少しても
良好な機械的性質、特に硬さ及び靭性を得るに充分な成
分構成および組織を見いだし、溶接性や被削性が優れ、
更には表面処理特性に加えて熱処理特性も優れた本発明
の工具鋼に想到した。
【0010】すなわち、本発明は、重量%で、C:0.
45〜0.85%、Cr:5.0〜8.5%を含有し、
焼入れ組織におけるマトリックス組成偏差GがSKD1
1基準で3.3以下の工具鋼である。そしてこれらに加
え、焼入れ焼戻し後の組織中に観察される一次炭化物量
が面積率で3%以下の工具鋼である。
45〜0.85%、Cr:5.0〜8.5%を含有し、
焼入れ組織におけるマトリックス組成偏差GがSKD1
1基準で3.3以下の工具鋼である。そしてこれらに加
え、焼入れ焼戻し後の組織中に観察される一次炭化物量
が面積率で3%以下の工具鋼である。
【0011】なお好ましくは、重量%で、C:0.45
〜0.85%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.1
〜1.2%、Cr:5.0〜8.5%、MoまたはWの
1種あるいは2種を(Mo+1/2W):0.6〜3.
0%を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物からな
る工具鋼であって、更にはV:1.0%以下、あるいは
Ni:1.0%以下、あるいはS:0.2%以下、ある
いはCa:100ppm以下を含有する工具鋼である。
〜0.85%、Si:0.1〜1.2%、Mn:0.1
〜1.2%、Cr:5.0〜8.5%、MoまたはWの
1種あるいは2種を(Mo+1/2W):0.6〜3.
0%を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物からな
る工具鋼であって、更にはV:1.0%以下、あるいは
Ni:1.0%以下、あるいはS:0.2%以下、ある
いはCa:100ppm以下を含有する工具鋼である。
【0012】また、本発明の工具鋼は、500℃以上の
焼戻しによる最高焼戻し硬さが57HRC以上であるこ
と、あるいは500℃以上の焼戻しにより発生する熱処
理変寸が焼入れ前基準、線膨張率換算で0.2%以下で
あることが好ましい。そして、以上述べた本発明の工具
鋼を55HRC以上の硬さに調質し、切削加工を行うこ
とで作成した工具あるいは金型である。
焼戻しによる最高焼戻し硬さが57HRC以上であるこ
と、あるいは500℃以上の焼戻しにより発生する熱処
理変寸が焼入れ前基準、線膨張率換算で0.2%以下で
あることが好ましい。そして、以上述べた本発明の工具
鋼を55HRC以上の硬さに調質し、切削加工を行うこ
とで作成した工具あるいは金型である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、工具鋼を構成す
る基本成分であるC含有量を減少しても良好な機械的性
質、特に硬さ及び靭性を得るに充分な成分構成および組
織を見いだし、溶接性や被削性に優れ、更には表面処理
特性や熱処理特性にも優れた工具鋼を達成したところに
ある。
る基本成分であるC含有量を減少しても良好な機械的性
質、特に硬さ及び靭性を得るに充分な成分構成および組
織を見いだし、溶接性や被削性に優れ、更には表面処理
特性や熱処理特性にも優れた工具鋼を達成したところに
ある。
【0014】つまり、本発明の工具鋼は、Cの含有量を
抑えて優れた溶接性を確保するものであり、金型に使用
すれば、その優れた靭性と共に、使用中の破損や割れ、
摩耗が生じても溶接による補修にて容易に再使用が可能
である。そして、C含有量の抑制による耐摩耗性の不足
が生じた場合にも対処すべく、優れた表面処理性をも確
保したものである。
抑えて優れた溶接性を確保するものであり、金型に使用
すれば、その優れた靭性と共に、使用中の破損や割れ、
摩耗が生じても溶接による補修にて容易に再使用が可能
である。そして、C含有量の抑制による耐摩耗性の不足
が生じた場合にも対処すべく、優れた表面処理性をも確
保したものである。
【0015】本発明において、溶接性が優れるあるいは
溶接可能というのは、規定の予熱、後熱処理を行うJI
S Z 3158のY形状試験にて溶接割れが認められ
ないことを指す。溶接を行うにおいては、その際の溶接
割れを防止するために、通常は予熱、後熱を行う。予熱
は一般的に溶接時の高温割れ防止のために行い、後熱は
低温割れの防止を目的とし、特に溶接熱影響部の硬さを
下げる一種の焼戻しである。
溶接可能というのは、規定の予熱、後熱処理を行うJI
S Z 3158のY形状試験にて溶接割れが認められ
ないことを指す。溶接を行うにおいては、その際の溶接
割れを防止するために、通常は予熱、後熱を行う。予熱
は一般的に溶接時の高温割れ防止のために行い、後熱は
低温割れの防止を目的とし、特に溶接熱影響部の硬さを
下げる一種の焼戻しである。
【0016】一般に金型は、その製造途中または使用中
の状況により形状変更や補修のために溶接が実施される
が、合金鋼は溶接時の割れを防止するために高温に予熱
した状態で実施される。特に、Cr等を含む場合は45
0〜550℃以上に予熱後実施するのが一般的である
が、本発明では、この予熱温度を下げても、具体的には
350℃にまで下げても、JIS Z 3158のY形
状試験による溶接割れが認められない工具鋼が提供でき
る。これによって、溶接に係る作業性が向上し、経済的
でもある。
の状況により形状変更や補修のために溶接が実施される
が、合金鋼は溶接時の割れを防止するために高温に予熱
した状態で実施される。特に、Cr等を含む場合は45
0〜550℃以上に予熱後実施するのが一般的である
が、本発明では、この予熱温度を下げても、具体的には
350℃にまで下げても、JIS Z 3158のY形
状試験による溶接割れが認められない工具鋼が提供でき
る。これによって、溶接に係る作業性が向上し、経済的
でもある。
【0017】次に、高C、Cr鋼では溶接後の後熱も重
要になるが、溶接熱影響部の硬さを下げることで、後熱
における加熱温度、時間を低くすることができる。特に
溶接熱影響部のコントロールにはC量を0.85%以下
にすることと、Cr量を5.0%以上にすることが有効
であり、これは、溶接性を左右するマルテンサイト組織
中の固溶C、Cr量を最適に調整するために有効とな
る。
要になるが、溶接熱影響部の硬さを下げることで、後熱
における加熱温度、時間を低くすることができる。特に
溶接熱影響部のコントロールにはC量を0.85%以下
にすることと、Cr量を5.0%以上にすることが有効
であり、これは、溶接性を左右するマルテンサイト組織
中の固溶C、Cr量を最適に調整するために有効とな
る。
【0018】次に、被削性について述べる。本発明では
被削性向上のために炭化物の晶出量と大きさを制御して
おり、基本的にはC、Cr量を下げることで晶出炭化物
量を少なく制御している。しかし、晶出炭化物を完全に
無くす領域にまでC、Cr量を下げると耐摩耗性が劣化
する57HRC未満の硬さになってしまい、工具鋼が工
業上必要とする硬さが得難くなる。
被削性向上のために炭化物の晶出量と大きさを制御して
おり、基本的にはC、Cr量を下げることで晶出炭化物
量を少なく制御している。しかし、晶出炭化物を完全に
無くす領域にまでC、Cr量を下げると耐摩耗性が劣化
する57HRC未満の硬さになってしまい、工具鋼が工
業上必要とする硬さが得難くなる。
【0019】なお、この57HRC以上が出る最低の
C、Cr量の成分域の場合、平衡状態図上では炭化物が
晶出しない成分域であるため、急冷凝固あるいは110
0〜1300℃程度のソーキングにて晶出炭化物を消失
させることを行ってもよい。しかし、急冷のためインゴ
ットを小さくし、ソーキングをすることは製造コストを
増大させる。現状の溶解法を用いると57HRCを維持
できる成分域では、生成される炭化物がM7C3となり
粗大であるため、本発明では更に微細化するためにMo
を高め、比較的細かなMo系炭化物を生成させることも
提案する。
C、Cr量の成分域の場合、平衡状態図上では炭化物が
晶出しない成分域であるため、急冷凝固あるいは110
0〜1300℃程度のソーキングにて晶出炭化物を消失
させることを行ってもよい。しかし、急冷のためインゴ
ットを小さくし、ソーキングをすることは製造コストを
増大させる。現状の溶解法を用いると57HRCを維持
できる成分域では、生成される炭化物がM7C3となり
粗大であるため、本発明では更に微細化するためにMo
を高め、比較的細かなMo系炭化物を生成させることも
提案する。
【0020】また、Moを高めることで焼なまし後の2
次炭化物が微細になり、焼鈍材での被削性も向上するこ
とから、これらの効果をも得るに必要なMoの下限が
0.6%である。なおMoは、あまり多量に添加すると
比較的細かなMo系炭化物自体の量が増え、被削性を反
って劣化させる結果となり、経済的に高価であることか
らもその上限を3.0%としているが、これらMoの効
果についてはWも併せて後に詳述する。
次炭化物が微細になり、焼鈍材での被削性も向上するこ
とから、これらの効果をも得るに必要なMoの下限が
0.6%である。なおMoは、あまり多量に添加すると
比較的細かなMo系炭化物自体の量が増え、被削性を反
って劣化させる結果となり、経済的に高価であることか
らもその上限を3.0%としているが、これらMoの効
果についてはWも併せて後に詳述する。
【0021】次に、本発明の表面処理性について述べ
る。本発明は、C含有量の抑制による耐摩耗性の不足が
生じた場合にも対処すべく、表面処理性をも十分に確保
するものである。そのために必要な特性は、焼入れ性お
よび塩浴法やCVD処理といった表面処理温度でのオー
ステナイト組織中に固溶するC量と表面近傍部の母材の
硬さである。
る。本発明は、C含有量の抑制による耐摩耗性の不足が
生じた場合にも対処すべく、表面処理性をも十分に確保
するものである。そのために必要な特性は、焼入れ性お
よび塩浴法やCVD処理といった表面処理温度でのオー
ステナイト組織中に固溶するC量と表面近傍部の母材の
硬さである。
【0022】つまり、焼入れ性は、あらゆる表面処理装
置への適用を可能にすべく付与するものであり、主にC
r量を5.0%以上に維持することで確保できる。同時
に5.0%以上のCr含有は、複雑形状物へ表面処理後
の冷却中におこる一種の焼き割れ現象を防止する目的で
確保すべきものでもある。
置への適用を可能にすべく付与するものであり、主にC
r量を5.0%以上に維持することで確保できる。同時
に5.0%以上のCr含有は、複雑形状物へ表面処理後
の冷却中におこる一種の焼き割れ現象を防止する目的で
確保すべきものでもある。
【0023】表面処理温度でのオーステナイト組織中に
固溶するC量は、十分な膜厚を有するMX型化合物(T
iC、VC等)の生成に重要である。つまり、固溶C
は、表面処理法にてMX型化合物を生成するために、そ
の鋼材から供給すべく必要となり、その最適量は表面処
理温度に保持する前のマルテンサイト組織中に固溶する
C量による。その固溶C量の調整をすべく本発明の工具
鋼は、そのC含有量を0.45%以上としている。そし
て、表面近傍部の母材の硬さを維持することは、表面処
理による形成膜の耐剥離性を付与するに重要な要素であ
る。
固溶するC量は、十分な膜厚を有するMX型化合物(T
iC、VC等)の生成に重要である。つまり、固溶C
は、表面処理法にてMX型化合物を生成するために、そ
の鋼材から供給すべく必要となり、その最適量は表面処
理温度に保持する前のマルテンサイト組織中に固溶する
C量による。その固溶C量の調整をすべく本発明の工具
鋼は、そのC含有量を0.45%以上としている。そし
て、表面近傍部の母材の硬さを維持することは、表面処
理による形成膜の耐剥離性を付与するに重要な要素であ
る。
【0024】次に、本発明の熱処理特性について述べ
る。本発明の工具鋼は、その焼入れ焼戻し時の硬さ、そ
して熱処理変寸量にも通ずる熱処理特性がSKD11と
同等に調整されているところにも大きな特徴を有し、工
業上の利便性を高めるものとして重要である。具体的に
は焼入れ組織におけるマトリックス組成偏差GをSKD
11基準で3.3以下に調整していることである。
る。本発明の工具鋼は、その焼入れ焼戻し時の硬さ、そ
して熱処理変寸量にも通ずる熱処理特性がSKD11と
同等に調整されているところにも大きな特徴を有し、工
業上の利便性を高めるものとして重要である。具体的に
は焼入れ組織におけるマトリックス組成偏差GをSKD
11基準で3.3以下に調整していることである。
【0025】JIS G 4404に規定されるSKD
11の添加C量および添加Cr量はその中心組成が1.
5%および12%であるが、その中心組成にてサーモカ
ルクでの計算を行なったところ、1030℃焼入れの場
合でマルテンサイトへの固溶元素量がC:0.6%、C
r:6.7%であり、それ以外のCとCrは炭化物とし
て残留する結果を得た。つまり、本発明の工具鋼を構成
するC,Cr値に包含されるものである。
11の添加C量および添加Cr量はその中心組成が1.
5%および12%であるが、その中心組成にてサーモカ
ルクでの計算を行なったところ、1030℃焼入れの場
合でマルテンサイトへの固溶元素量がC:0.6%、C
r:6.7%であり、それ以外のCとCrは炭化物とし
て残留する結果を得た。つまり、本発明の工具鋼を構成
するC,Cr値に包含されるものである。
【0026】この1030℃という焼入れ温度は工業上
広く使われる標準的焼入れ温度である1000〜105
0℃のほぼ中間温度でもあることから、つまり、上記標
準的焼入れ温度による熱処理が適用できる工具鋼であれ
ば、熱処理上の新たな条件出しが不要となる。そして、
熱処理条件に左右される調質硬さや熱処理変寸量におい
ても求められる標準的な数値を得ることが可能になるの
で、工業的利便性が高くなるのである。
広く使われる標準的焼入れ温度である1000〜105
0℃のほぼ中間温度でもあることから、つまり、上記標
準的焼入れ温度による熱処理が適用できる工具鋼であれ
ば、熱処理上の新たな条件出しが不要となる。そして、
熱処理条件に左右される調質硬さや熱処理変寸量におい
ても求められる標準的な数値を得ることが可能になるの
で、工業的利便性が高くなるのである。
【0027】そこで本発明では、上記標準的焼入れ温度
が適用できるといった焼入れ性に加え、硬さ、熱処理変
寸ともに実用上SKD11レベルのものが得られる工具
鋼を達成すべく検討した結果、焼入れ組織における固溶
(マトリックス)組成をSKD11相当に調整すること
が有効であることを知見したのである。具体的には、上
記成分の類似性を評価する指標としてマトリックス組成
偏差Gを導入し、その値が3.3以下になれば上記効果
を達成できるというものである。マトリックス組成偏差
Gは以下のように定義される。
が適用できるといった焼入れ性に加え、硬さ、熱処理変
寸ともに実用上SKD11レベルのものが得られる工具
鋼を達成すべく検討した結果、焼入れ組織における固溶
(マトリックス)組成をSKD11相当に調整すること
が有効であることを知見したのである。具体的には、上
記成分の類似性を評価する指標としてマトリックス組成
偏差Gを導入し、その値が3.3以下になれば上記効果
を達成できるというものである。マトリックス組成偏差
Gは以下のように定義される。
【0028】
【数1】
【0029】ここで、CAは評価鋼種のマトリックス組
成(Mass%)で、CoはSKD11のマトリックス組成
(Mass%)、nは評価元素の数である。Gの意味はn次
の規格化された成分空間上においてSKD11の焼入れ
時のマトリックス組成との距離を表わしており、このG
が小さいほどSKD11と類似した挙動を示すようにな
るのであって、本発明の工具鋼を構成するC,Cr値が
上記SKD11の中間組成における固溶C,Cr値を包
含するのもそのためである。
成(Mass%)で、CoはSKD11のマトリックス組成
(Mass%)、nは評価元素の数である。Gの意味はn次
の規格化された成分空間上においてSKD11の焼入れ
時のマトリックス組成との距離を表わしており、このG
が小さいほどSKD11と類似した挙動を示すようにな
るのであって、本発明の工具鋼を構成するC,Cr値が
上記SKD11の中間組成における固溶C,Cr値を包
含するのもそのためである。
【0030】そして、本発明においては元素数をn=6
とし、SKD11の熱処理特性を特に制御しているC,
Si,Mn,Cr,Mo当量,Vを評価元素として評価
すればよい。ここでMo当量とはMoまたはWの1種あ
るいは2種を(Mo+1/2W)とした値である。な
お、マトリックス組成はその合金を構成する添加成分が
分かれば、上述のごとくサーモカルクで計算・知ること
ができる。
とし、SKD11の熱処理特性を特に制御しているC,
Si,Mn,Cr,Mo当量,Vを評価元素として評価
すればよい。ここでMo当量とはMoまたはWの1種あ
るいは2種を(Mo+1/2W)とした値である。な
お、マトリックス組成はその合金を構成する添加成分が
分かれば、上述のごとくサーモカルクで計算・知ること
ができる。
【0031】このように本発明の工具鋼は、その焼入れ
組織でのマトリックス組成をSKD11のそれに近づけ
ること、そしてこの組織状態の達成をも考慮に入れた
C,Cr含有量・炭化物の低減微細化調整にて優れた溶
接性や被削性、表面処理特性とSKD11相当の熱処理
特性を同時に達成できるのである。具体的には、500
℃以上の焼戻しによる最高焼戻し硬さが57HRC以上
である工具鋼、そして、500℃以上の焼戻しにより発
生する熱処理変寸が、焼入れ前基準、線膨張率換算で
0.2%以下である工具鋼である。
組織でのマトリックス組成をSKD11のそれに近づけ
ること、そしてこの組織状態の達成をも考慮に入れた
C,Cr含有量・炭化物の低減微細化調整にて優れた溶
接性や被削性、表面処理特性とSKD11相当の熱処理
特性を同時に達成できるのである。具体的には、500
℃以上の焼戻しによる最高焼戻し硬さが57HRC以上
である工具鋼、そして、500℃以上の焼戻しにより発
生する熱処理変寸が、焼入れ前基準、線膨張率換算で
0.2%以下である工具鋼である。
【0032】そして、焼入れ焼戻し後の組織中に観察さ
れる一次炭化物量を面積率で3%以下とすることが被削
性の向上に有利である。好ましくは、面積率を0.1〜
3%とすることで後述するSkeleton状の炭化物が存在
し、更なる被削性の向上に好ましい。なお、一次炭化物
量は、本発明の工具鋼にて規定する化学組成に加え、熱
処理によっても調整が可能である。
れる一次炭化物量を面積率で3%以下とすることが被削
性の向上に有利である。好ましくは、面積率を0.1〜
3%とすることで後述するSkeleton状の炭化物が存在
し、更なる被削性の向上に好ましい。なお、一次炭化物
量は、本発明の工具鋼にて規定する化学組成に加え、熱
処理によっても調整が可能である。
【0033】これらに基いて、本発明の工具鋼を構成す
るに好ましい元素およびその含有量の限定理由について
述べる。
るに好ましい元素およびその含有量の限定理由について
述べる。
【0034】Cは、焼入れ性を向上し、熱処理後の硬さ
を維持するために必要である。耐摩耗性を達成すべく熱
処理後の硬さを57HRC以上に確保し、CVD処理や
塩浴法といった表面処理において十分なMX型炭化物の
膜厚を確保するためには、0.45%以上の含有量が必
要である。0.45%未満では、焼入硬さが不足し十分
な強度を確保できず、かつ塩浴法もしくはCVD法によ
る3μm以上の膜厚を生成させるのが困難となる。
を維持するために必要である。耐摩耗性を達成すべく熱
処理後の硬さを57HRC以上に確保し、CVD処理や
塩浴法といった表面処理において十分なMX型炭化物の
膜厚を確保するためには、0.45%以上の含有量が必
要である。0.45%未満では、焼入硬さが不足し十分
な強度を確保できず、かつ塩浴法もしくはCVD法によ
る3μm以上の膜厚を生成させるのが困難となる。
【0035】また、Cは、Cr、Mo、Vと結合して炭
化物を形成し、耐摩耗性や焼戻し軟化抵抗を向上させ
る。添加量が過多になると靭性を低下させ、0.85%
を越えると溶接性を劣化させる。更に、固液共存温度幅
が大きくなり鋳造欠陥発生の危険が生じる。よってCの
添加量は0.45〜0.85%とした。
化物を形成し、耐摩耗性や焼戻し軟化抵抗を向上させ
る。添加量が過多になると靭性を低下させ、0.85%
を越えると溶接性を劣化させる。更に、固液共存温度幅
が大きくなり鋳造欠陥発生の危険が生じる。よってCの
添加量は0.45〜0.85%とした。
【0036】Siは、脱酸剤および鋳造性改善の目的で
含有するが、これを低減化すると靭性が向上する。しか
し被削性も劣化するため0.1%以上が必要である。一
方、過多の含有は被削性と溶接性を阻害する原因とな
り、また、マトリックスの成分偏析も激しくなる。この
ため、Siの含有量は、0.1〜1.2%とした。
含有するが、これを低減化すると靭性が向上する。しか
し被削性も劣化するため0.1%以上が必要である。一
方、過多の含有は被削性と溶接性を阻害する原因とな
り、また、マトリックスの成分偏析も激しくなる。この
ため、Siの含有量は、0.1〜1.2%とした。
【0037】Mnは、焼入性向上のために含有するが、
0.1%未満では焼入硬さを安定して得るためには不十
分である。一方、多すぎると溶接性を劣化させる原因と
なり、更にSiと同様、マトリックスの成分偏析も激し
くなるので、0.1〜1.2%とした。ただし、Mnは
高価なCrやMo等と置換できる経済的な元素でもあ
り、CrやMo等の効果が十分発揮され、Sの添加のな
い場合にはMnを無添加としても良い。
0.1%未満では焼入硬さを安定して得るためには不十
分である。一方、多すぎると溶接性を劣化させる原因と
なり、更にSiと同様、マトリックスの成分偏析も激し
くなるので、0.1〜1.2%とした。ただし、Mnは
高価なCrやMo等と置換できる経済的な元素でもあ
り、CrやMo等の効果が十分発揮され、Sの添加のな
い場合にはMnを無添加としても良い。
【0038】Crは、Cと結合して炭化物を生成し耐摩
耗性を向上すると共に、焼入れ性を増す効果、そして、
CVD処理や塩浴法などによる複雑形状物への表面処理
後の冷却中におこる一種の焼き割れ現象を防止する効果
がある。しかし、多すぎるとCr炭化物の増加による靭
性の低下をきたす。更に、Cの添加と同様に、固液共存
温度幅が大きくなり鋳造欠陥発生の危険が増し、実質的
に製造性に困難が生じる原因となる。よってCrの添加
量は、5.0〜8.5%とした。
耗性を向上すると共に、焼入れ性を増す効果、そして、
CVD処理や塩浴法などによる複雑形状物への表面処理
後の冷却中におこる一種の焼き割れ現象を防止する効果
がある。しかし、多すぎるとCr炭化物の増加による靭
性の低下をきたす。更に、Cの添加と同様に、固液共存
温度幅が大きくなり鋳造欠陥発生の危険が増し、実質的
に製造性に困難が生じる原因となる。よってCrの添加
量は、5.0〜8.5%とした。
【0039】MoおよびWは、焼入れ性を向上する。ま
た、Cと結合して硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上
させる。Wの原子量はMoの約2倍であるため、Mo1
%の含有量はW2%の含有量と等しい効果を有し、(M
o+1/2W)量でその効果を表すことが可能である。
本発明ではMo,Wの1種または2種を含有させること
ができ、つまり、Moの全含有量を2倍のW含有量で置
き換え使用してもよく、Moの一部をそれに相当するW
量に置き換え使用してもよい。(Mo+1/2W)量で
どちらの成分を優先して使うかは経済性を考慮して判断
すればよい。しかし、基本的にW置換はフレームハード
性を劣化させるのでMoを加えるのが好ましい。
た、Cと結合して硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上
させる。Wの原子量はMoの約2倍であるため、Mo1
%の含有量はW2%の含有量と等しい効果を有し、(M
o+1/2W)量でその効果を表すことが可能である。
本発明ではMo,Wの1種または2種を含有させること
ができ、つまり、Moの全含有量を2倍のW含有量で置
き換え使用してもよく、Moの一部をそれに相当するW
量に置き換え使用してもよい。(Mo+1/2W)量で
どちらの成分を優先して使うかは経済性を考慮して判断
すればよい。しかし、基本的にW置換はフレームハード
性を劣化させるのでMoを加えるのが好ましい。
【0040】(Mo+1/2W)の添加量が0.6%未
満では高温焼戻しでの硬さの確保が不十分である。本組
成では炭化物を極小化しているので炭化物の存在で耐摩
耗性維持ができず、57HRCを下回ると耐摩耗性が急
速に劣化するためである。逆に低温焼戻しを行って使用
すると、(Mo+1/2W)量は0.6%未満でも57
HRC以上の硬さを維持できるが、焼入れ時に金型内部
に生成される残留応力が開放されずワイヤ放電加工の歪
みや研削時に割れを引き起こし、加工様式を選択する自
由度を低下させる。一方、過多の添加量ではMo系炭化
物の晶出量が多くなり、被削性を劣化させるので、0.
6〜3.0%とした。
満では高温焼戻しでの硬さの確保が不十分である。本組
成では炭化物を極小化しているので炭化物の存在で耐摩
耗性維持ができず、57HRCを下回ると耐摩耗性が急
速に劣化するためである。逆に低温焼戻しを行って使用
すると、(Mo+1/2W)量は0.6%未満でも57
HRC以上の硬さを維持できるが、焼入れ時に金型内部
に生成される残留応力が開放されずワイヤ放電加工の歪
みや研削時に割れを引き起こし、加工様式を選択する自
由度を低下させる。一方、過多の添加量ではMo系炭化
物の晶出量が多くなり、被削性を劣化させるので、0.
6〜3.0%とした。
【0041】C,Cr量をSKD11より低下させた本
発明の工具鋼において上記本組成を採用することで、共
晶(一次)炭化物量自体が少なくなり、具体的には面積
率で3%以下とすることに有利であり、被削性の向上に
好ましい。詳細を説明すると、単にC,Crの添加量を
下げるだけでは、57HRCの硬さを有する工具鋼が得
られる成分範囲では塊状の共晶炭化物の消失は困難であ
り、これが原因で切削工具の刃先が摩耗しやすくなるこ
とから被削性の向上には余地が残る。S等の快削元素の
添加によっても低融点相形成が原因で共晶炭化物が残留
しやすくなり、S添加による快削効果が十分に発揮され
ないだけでなく、反って被削性を劣化させる場合もあ
る。
発明の工具鋼において上記本組成を採用することで、共
晶(一次)炭化物量自体が少なくなり、具体的には面積
率で3%以下とすることに有利であり、被削性の向上に
好ましい。詳細を説明すると、単にC,Crの添加量を
下げるだけでは、57HRCの硬さを有する工具鋼が得
られる成分範囲では塊状の共晶炭化物の消失は困難であ
り、これが原因で切削工具の刃先が摩耗しやすくなるこ
とから被削性の向上には余地が残る。S等の快削元素の
添加によっても低融点相形成が原因で共晶炭化物が残留
しやすくなり、S添加による快削効果が十分に発揮され
ないだけでなく、反って被削性を劣化させる場合もあ
る。
【0042】しかし、本組成を用いることでなかなか消
失しない共晶炭化物の形態を変化させ、炭化物内部に金
属相が微細に存在するか、または炭化物を金属相が微細
に分断したMo,Wを多く含む炭化物形態、いわゆるSk
eleton状の共晶炭化物形態にすることができ、構造的に
適度脆弱とすることができる。そうすることで熱間圧延
時に分断・消失しやすく、最終的に残った場合でも切削
工具による破砕性を向上させ、特に刃先の摩耗を抑制す
るに好ましいのである。
失しない共晶炭化物の形態を変化させ、炭化物内部に金
属相が微細に存在するか、または炭化物を金属相が微細
に分断したMo,Wを多く含む炭化物形態、いわゆるSk
eleton状の共晶炭化物形態にすることができ、構造的に
適度脆弱とすることができる。そうすることで熱間圧延
時に分断・消失しやすく、最終的に残った場合でも切削
工具による破砕性を向上させ、特に刃先の摩耗を抑制す
るに好ましいのである。
【0043】そして、マトリックス組成偏差GをSKD
11基準で3.3以下としているので、以上のような効
果が達成されると同時にSKD11にほぼ近似された熱
処理・表面処理特性も達成できるのである。
11基準で3.3以下としているので、以上のような効
果が達成されると同時にSKD11にほぼ近似された熱
処理・表面処理特性も達成できるのである。
【0044】本発明の工具鋼はその他求められる効果に
則して、上記の成分組成にV,Ni,S,Ca等を含有
してもよい。Vは工具鋼に必要な軟化抵抗を増大させる
元素であるが、過多の含有は凝固時に巨大なV系炭化物
を晶出し、溶接性と被削性を低下させる原因となるので
1.0%以下とした。ただし1.0以下でも被削性は劣
化するため、好ましくは0.5%以下にするのが望まし
い。Niは焼入れ性の向上と衝撃遷移温度を上げること
による靭性向上が認められる元素であるが、本合金系で
は特に高C量域での靭性維持による効果で溶接性劣化を
防止でき、実用的に操業可能な表面処理領域を広げる方
向に作用する。しかし、被削性を劣化させるため1.0
%以下とした。上記の効果を得るに好ましくは0.00
5%以上、更に好ましくは0.01%以上とする。
則して、上記の成分組成にV,Ni,S,Ca等を含有
してもよい。Vは工具鋼に必要な軟化抵抗を増大させる
元素であるが、過多の含有は凝固時に巨大なV系炭化物
を晶出し、溶接性と被削性を低下させる原因となるので
1.0%以下とした。ただし1.0以下でも被削性は劣
化するため、好ましくは0.5%以下にするのが望まし
い。Niは焼入れ性の向上と衝撃遷移温度を上げること
による靭性向上が認められる元素であるが、本合金系で
は特に高C量域での靭性維持による効果で溶接性劣化を
防止でき、実用的に操業可能な表面処理領域を広げる方
向に作用する。しかし、被削性を劣化させるため1.0
%以下とした。上記の効果を得るに好ましくは0.00
5%以上、更に好ましくは0.01%以上とする。
【0045】Pb,Sは快削元素の代表であるが、環境
上S添加が好ましい。Sは鋼中に低融点相を形成させる
ために炭化物も合わせて晶出させ易くし、脆化元素の代
表として溶接、高硬度鋼の分野では忌み嫌われる元素で
あるが、快削効果があるため、靭性、溶接性を向上させ
共晶炭化物形成を抑制した分、許容することができる。
具体的には上記Mo当量の調整による効果で炭化物の悪
影響を抑えているため、0.2%までなら添加可能であ
り、その領域ではMo当量の調整による効果とMnSの
効果が重なって、被削性を更に良くする。
上S添加が好ましい。Sは鋼中に低融点相を形成させる
ために炭化物も合わせて晶出させ易くし、脆化元素の代
表として溶接、高硬度鋼の分野では忌み嫌われる元素で
あるが、快削効果があるため、靭性、溶接性を向上させ
共晶炭化物形成を抑制した分、許容することができる。
具体的には上記Mo当量の調整による効果で炭化物の悪
影響を抑えているため、0.2%までなら添加可能であ
り、その領域ではMo当量の調整による効果とMnSの
効果が重なって、被削性を更に良くする。
【0046】Caは機械的性質の低下や組織の変質を伴
わない、理想的な快削元素であり、これを加えることで
Mo当量やSの調整による効果に重なって更に被削性が
向上する。その快削機構は鋼中に微量に分散している酸
化物を低融点化させ、これが切削熱で溶けだし刃先に保
護膜を形成するためである。しかし、蒸気圧が低いため
溶鋼中から抜け出しやすいため、添加技術上難しく10
0ppm程度までが現状の技術的レベルである。
わない、理想的な快削元素であり、これを加えることで
Mo当量やSの調整による効果に重なって更に被削性が
向上する。その快削機構は鋼中に微量に分散している酸
化物を低融点化させ、これが切削熱で溶けだし刃先に保
護膜を形成するためである。しかし、蒸気圧が低いため
溶鋼中から抜け出しやすいため、添加技術上難しく10
0ppm程度までが現状の技術的レベルである。
【0047】また、本発明の工具鋼は、その他求められ
る効果に則して、上記の成分組成にPb,Se,Te,
Bi,In,Be,Ce,Zr,Tiのうちの1種また
は2種以上を0.2%以下なら含有してもよい。その
他、希土類は本発明の工具鋼における被削性を向上する
目的のもとに0.2%以下の含有が可能である。また不
可避不純物の総量は0.5%以下が好ましい。そして、
耐摩耗性付与が更に必要な場合Alを0.5%以下添加
して窒化硬さを上げることも可能である。
る効果に則して、上記の成分組成にPb,Se,Te,
Bi,In,Be,Ce,Zr,Tiのうちの1種また
は2種以上を0.2%以下なら含有してもよい。その
他、希土類は本発明の工具鋼における被削性を向上する
目的のもとに0.2%以下の含有が可能である。また不
可避不純物の総量は0.5%以下が好ましい。そして、
耐摩耗性付与が更に必要な場合Alを0.5%以下添加
して窒化硬さを上げることも可能である。
【0048】以上に述べた本発明の工具鋼であれば、優
れた溶接性の付与に加えて、従来のSKD11と同等の
熱処理条件である1000〜1050℃からの焼入れ、
500℃以上の焼戻しによっても57HRC以上の硬さ
が確保できる。そして、その57HRC以上の硬さにて
優れた被削性の達成に加え、塩浴法やCVD処理といっ
た表面処理性にも優れるものである。加えて、500℃
以上の焼戻しにより発生する熱処理変寸も、焼入れ前基
準、線膨張率換算で0.2%以下に抑えることが可能で
ある。
れた溶接性の付与に加えて、従来のSKD11と同等の
熱処理条件である1000〜1050℃からの焼入れ、
500℃以上の焼戻しによっても57HRC以上の硬さ
が確保できる。そして、その57HRC以上の硬さにて
優れた被削性の達成に加え、塩浴法やCVD処理といっ
た表面処理性にも優れるものである。加えて、500℃
以上の焼戻しにより発生する熱処理変寸も、焼入れ前基
準、線膨張率換算で0.2%以下に抑えることが可能で
ある。
【0049】そして、本発明の工具鋼を工具や金型等に
使用する場合には、例えば55HRC以上の硬さに調質
して切削加工を行うことでその作成が可能であるが、そ
の求められる機能に応じて必要な部位のみにフレームハ
ード等を実施しても良く、製作工数あるいは必要特性を
考慮して硬さを得るための熱処理方法を選択すればよ
い。
使用する場合には、例えば55HRC以上の硬さに調質
して切削加工を行うことでその作成が可能であるが、そ
の求められる機能に応じて必要な部位のみにフレームハ
ード等を実施しても良く、製作工数あるいは必要特性を
考慮して硬さを得るための熱処理方法を選択すればよ
い。
【0050】なお、焼入れあるいは焼入れ焼戻し後の状
態を調整することが本発明の効果の達成において有効で
あることは上述の通りであるが、これについては焼入れ
後のマルテンサイト組織中に固溶するCおよびCr含有
量をより具体的に調整することが好ましい。つまり、そ
れら固溶C,Cr量を重量%でC:0.45〜0.65
%、Cr:5.0〜7.2%とすることである。そし
て、焼入れ焼戻し後の断面組織中に観察される共晶炭化
物として、特に25μm2以上の炭化物面積率を3%以
下とすることである。
態を調整することが本発明の効果の達成において有効で
あることは上述の通りであるが、これについては焼入れ
後のマルテンサイト組織中に固溶するCおよびCr含有
量をより具体的に調整することが好ましい。つまり、そ
れら固溶C,Cr量を重量%でC:0.45〜0.65
%、Cr:5.0〜7.2%とすることである。そし
て、焼入れ焼戻し後の断面組織中に観察される共晶炭化
物として、特に25μm2以上の炭化物面積率を3%以
下とすることである。
【0051】マルテンサイト組織中の固溶C,Cr量を
調整することは、溶接性の向上に有効である。高C,C
r鋼では溶接後の後熱も重要であり、溶接熱影響部の硬
さを下げることで、後熱における加熱温度、時間を低く
することができることは先述の通りである。その手段と
してマルテンサイト組織中の固溶C,Cr量の調整は有
効であり、本発明において具体的には、固溶C量を0.
65%以下、固溶Cr量を5.0%以上とすることであ
る。更には、固溶Cr量を7.2%以下とすることであ
り、この場合、被削性の向上の面においても有効であ
る。
調整することは、溶接性の向上に有効である。高C,C
r鋼では溶接後の後熱も重要であり、溶接熱影響部の硬
さを下げることで、後熱における加熱温度、時間を低く
することができることは先述の通りである。その手段と
してマルテンサイト組織中の固溶C,Cr量の調整は有
効であり、本発明において具体的には、固溶C量を0.
65%以下、固溶Cr量を5.0%以上とすることであ
る。更には、固溶Cr量を7.2%以下とすることであ
り、この場合、被削性の向上の面においても有効であ
る。
【0052】また、表面処理性の向上にも繋がる焼入れ
性の向上おいて、本発明の工具鋼に含有されるCr量を
5.0%以上にすることは先述の通りであるが、好まし
くは、そのうち、マルテンサイト組織中の固溶Cr量を
5.0%以上にすることが有効である。また、固溶C量
を確保する理由は、先述のごとく、表面処理法にてMX
型化合物を生成するために鋼材からの供給が必要となる
ためでもあって、硬さを維持する上でも、その固溶C量
を0.45%以上とすることが好ましい。
性の向上おいて、本発明の工具鋼に含有されるCr量を
5.0%以上にすることは先述の通りであるが、好まし
くは、そのうち、マルテンサイト組織中の固溶Cr量を
5.0%以上にすることが有効である。また、固溶C量
を確保する理由は、先述のごとく、表面処理法にてMX
型化合物を生成するために鋼材からの供給が必要となる
ためでもあって、硬さを維持する上でも、その固溶C量
を0.45%以上とすることが好ましい。
【0053】
【実施例】次に、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるも
のではない。 (実施例1)まず、50kg高周波炉を使用して材料を
溶解し、表1に示す化学組成を有したインゴットを作製
した。なお、比較材1はSKD11相当材である。次
に、鍛造比が5程度になるように熱間圧延し、冷却後、
850℃で4時間保持の焼鈍を実施した。
るが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるも
のではない。 (実施例1)まず、50kg高周波炉を使用して材料を
溶解し、表1に示す化学組成を有したインゴットを作製
した。なお、比較材1はSKD11相当材である。次
に、鍛造比が5程度になるように熱間圧延し、冷却後、
850℃で4時間保持の焼鈍を実施した。
【0054】
【表1】
【0055】次に、上記焼鈍材をJIS Z 3158
のY型試験片に整え、真空加熱炉を用いて1025℃に
加熱保持後、不活性ガスでガス冷却焼入れを実施した。
更に続けて各試験片の目標硬さがHRC57〜59とな
るように500〜550℃で焼戻しを実施した。このよ
うにして製作した試験片を表2に示す条件で溶接し、溶
接性の評価を行なった。なお、比較材3,4,8,10
は、500℃以上の焼戻しで57HRC以上の硬さを得
ることができなかった。
のY型試験片に整え、真空加熱炉を用いて1025℃に
加熱保持後、不活性ガスでガス冷却焼入れを実施した。
更に続けて各試験片の目標硬さがHRC57〜59とな
るように500〜550℃で焼戻しを実施した。このよ
うにして製作した試験片を表2に示す条件で溶接し、溶
接性の評価を行なった。なお、比較材3,4,8,10
は、500℃以上の焼戻しで57HRC以上の硬さを得
ることができなかった。
【0056】
【表2】
【0057】溶接性の評価は、溶接後の割れの有無によ
って行ない、その結果を表3に示す。本発明材において
は発明材11,13,15以外は予熱温度が350℃で
は割れが生じていない。発明材11,13,15は予熱
温度を450℃に上げると割れが生じなかった。比較材
においては比較材6以外は450℃でさえも割れを生
じ、溶接性において本発明材と比較材6が優れているこ
とが分かる。
って行ない、その結果を表3に示す。本発明材において
は発明材11,13,15以外は予熱温度が350℃で
は割れが生じていない。発明材11,13,15は予熱
温度を450℃に上げると割れが生じなかった。比較材
においては比較材6以外は450℃でさえも割れを生
じ、溶接性において本発明材と比較材6が優れているこ
とが分かる。
【0058】
【表3】
【0059】(実施例2)次に、被削性の評価を行なっ
た。まず、表1に示す素材にて、硬さ24HRC以下の
焼きなまし状態である供試材を作製し、スクエアエンド
ミルでの被削性の評価を行った。なお、切削試験は表4
に示す条件で行った。表5に示す結果より、発明材1,
5,11,13,15と、比較材5は優れた被削性を示
す。なお(実施例1)で溶接性が良好であった比較材6
は本発明のG値を外れるに加えNiが高いために被削性
が劣化している。また、比較材1のSKD11相当材も
これに並んで被削性が低い。
た。まず、表1に示す素材にて、硬さ24HRC以下の
焼きなまし状態である供試材を作製し、スクエアエンド
ミルでの被削性の評価を行った。なお、切削試験は表4
に示す条件で行った。表5に示す結果より、発明材1,
5,11,13,15と、比較材5は優れた被削性を示
す。なお(実施例1)で溶接性が良好であった比較材6
は本発明のG値を外れるに加えNiが高いために被削性
が劣化している。また、比較材1のSKD11相当材も
これに並んで被削性が低い。
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】次に、表1に示す素材にて、本発明の熱処
理条件により硬さ57〜60HRCに焼入れ焼戻しした
供試材を作製し、スクエアエンドミルでの被削性の評価
を行った。切削条件は表6に示す。表7に示す試験結果
より、発明材1,5,11,13,15および比較材5
が優れた被削性を示す。
理条件により硬さ57〜60HRCに焼入れ焼戻しした
供試材を作製し、スクエアエンドミルでの被削性の評価
を行った。切削条件は表6に示す。表7に示す試験結果
より、発明材1,5,11,13,15および比較材5
が優れた被削性を示す。
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】(実施例3)次に熱処理変寸の試験を行っ
た。試験方法は各材料を直径10mm、長さ60mmの
熱処理変寸試験片として各20本作成し、焼入れ焼戻し
前後の長手方向の寸法の変化率で測定した。熱処理条件
は、2(bar)の真空焼入れ炉で1030℃×30分
保持し、焼戻しは530℃で2回行った。表8に0.2
%を上回る変寸が発生した本数を示す。
た。試験方法は各材料を直径10mm、長さ60mmの
熱処理変寸試験片として各20本作成し、焼入れ焼戻し
前後の長手方向の寸法の変化率で測定した。熱処理条件
は、2(bar)の真空焼入れ炉で1030℃×30分
保持し、焼戻しは530℃で2回行った。表8に0.2
%を上回る変寸が発生した本数を示す。
【0066】
【表8】
【0067】本発明材1,5,11,13,15とSK
D11相当材である比較材1は変寸発生本数が0と良好
な熱処理変寸特性を示す。しかし、比較材2,5,6,
7,9,11,12は焼入れ状態でのマトリックス組成
偏差Gが3.3を超えるため変寸発生が認められ、偏差
Gの制御が重要であることがわかる。なお、偏差Gを求
めるにあたり基準としたSKD11の組成は、JISに
定めるところのC,Si,Mn,Cr,Mo当量,Vの
中間組成である。
D11相当材である比較材1は変寸発生本数が0と良好
な熱処理変寸特性を示す。しかし、比較材2,5,6,
7,9,11,12は焼入れ状態でのマトリックス組成
偏差Gが3.3を超えるため変寸発生が認められ、偏差
Gの制御が重要であることがわかる。なお、偏差Gを求
めるにあたり基準としたSKD11の組成は、JISに
定めるところのC,Si,Mn,Cr,Mo当量,Vの
中間組成である。
【0068】
【発明の効果】以上、本発明によれば、SKD11と比
較して、基本成分であるC含有量を減少しても良好な機
械的性質、特に硬さ、靭性を確保することができ、溶接
性に優れ、更に被削性の優れた鋼材を提供することがで
きる。更に溶接時の予熱温度を低めに設定でき、冷却時
間を短縮しても割れが発生し難く、作業性にも優れてい
る。加えて、SKD11と同等な熱処理性を示し、優れ
た表面処理性にも考慮がなされていることから、本発明
による工業的価値は大きい。
較して、基本成分であるC含有量を減少しても良好な機
械的性質、特に硬さ、靭性を確保することができ、溶接
性に優れ、更に被削性の優れた鋼材を提供することがで
きる。更に溶接時の予熱温度を低めに設定でき、冷却時
間を短縮しても割れが発生し難く、作業性にも優れてい
る。加えて、SKD11と同等な熱処理性を示し、優れ
た表面処理性にも考慮がなされていることから、本発明
による工業的価値は大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/46 C22C 38/46 (72)発明者 加田 善裕 島根県安来市安来町2107番地2 日立金属 株式会社安来工場内 Fターム(参考) 4E050 JA01 JA08 JB01 JB08
Claims (11)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.45〜0.85%、
Cr:5.0〜8.5%を含有し、焼入れ組織における
マトリックス組成偏差GがSKD11基準で3.3以下
であることを特徴とする溶接性および被削性に優れた工
具鋼。 - 【請求項2】 焼入れ焼戻し後の組織中に観察される一
次炭化物量が面積率で3%以下であることを特徴とする
請求項1に記載の溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項3】 重量%で、C:0.45〜0.85%、
Si:0.1〜1.2%、Mn:0.1〜1.2%、C
r:5.0〜8.5%、MoまたはWの1種あるいは2
種を(Mo+1/2W):0.6〜3.0%を含有し、
残部がFeおよび不可避の不純物からなることを特徴と
する請求項1または2に記載の溶接性および被削性に優
れた工具鋼。 - 【請求項4】 重量%で、V:1.0%以下を含有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項5】 重量%で、Ni:1.0%以下を含有す
ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
の溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項6】 重量%で、S:0.2%以下を含有する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の
溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項7】 重量比で、Ca:100ppm以下を含
有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに
記載の溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項8】 500℃以上の焼戻しによる最高焼戻し
硬さが、57HRC以上であることを特徴とする請求項
1ないし7のいずれかに記載の溶接性および被削性に優
れた工具鋼。 - 【請求項9】 500℃以上の焼戻しにより発生する熱
処理変寸が、焼入れ前基準、線膨張率換算で0.2%以
下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか
に記載の溶接性および被削性に優れた工具鋼。 - 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかの工具鋼
を55HRC以上の硬さに調質し、切削加工を行うこと
で作成したことを特徴とする工具。 - 【請求項11】 請求項1ないし9のいずれかの工具鋼
を55HRC以上の硬さに調質し、切削加工を行うこと
で作成したことを特徴とする金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11193948A JP2001020041A (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 溶接性および被削性に優れた工具鋼ならびに工具、金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11193948A JP2001020041A (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 溶接性および被削性に優れた工具鋼ならびに工具、金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001020041A true JP2001020041A (ja) | 2001-01-23 |
Family
ID=16316430
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11193948A Pending JP2001020041A (ja) | 1999-07-08 | 1999-07-08 | 溶接性および被削性に優れた工具鋼ならびに工具、金型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001020041A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2154260A1 (en) * | 2008-07-23 | 2010-02-17 | Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha | Free-cutting alloy tool steel |
JP2014145100A (ja) * | 2013-01-28 | 2014-08-14 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 合金添加量を低減した冷間工具鋼 |
JP6032582B2 (ja) * | 2013-03-29 | 2016-11-30 | 日立金属株式会社 | 金型用鋼素材の製造方法 |
KR102072606B1 (ko) * | 2018-10-02 | 2020-02-03 | 한국생산기술연구원 | 충격인성이 우수한 초고강도 공구강 및 이의 제조 방법 |
-
1999
- 1999-07-08 JP JP11193948A patent/JP2001020041A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2154260A1 (en) * | 2008-07-23 | 2010-02-17 | Daido Tokushuko Kabushiki Kaisha | Free-cutting alloy tool steel |
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