JPH093604A - 精密鋳造用高速度工具鋼 - Google Patents
精密鋳造用高速度工具鋼Info
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- JPH093604A JPH093604A JP15748695A JP15748695A JPH093604A JP H093604 A JPH093604 A JP H093604A JP 15748695 A JP15748695 A JP 15748695A JP 15748695 A JP15748695 A JP 15748695A JP H093604 A JPH093604 A JP H093604A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高速度鋼鍛練材鍛練材に匹敵する転動寿命、
工具寿命を有する経済的な鋳造用高速度鋼を提供する。 【構成】 精密鋳造用高速度工具鋼であって、質量％で
Ｃ：０．７０〜２．００％、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ：３０．０％以下、Ｖ：８．０
％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ：０．１０％以下、
残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２
Ｍｏ：１４．０〜３０．０％を基本組成とし、Ｐ、Ｓ、
Ｏのいずれか１種または２種以上の含有率を、Ｐについ
ては０．０２０％以下、Ｓについては０．０１０％以
下、Ｏについては０．００４０％以下とする。さらにＣ
ｏ：１３．０％以下、ＲＥＭ：０．６０％以下、Ｎｂ、
Ｔｉ、Ｔａ、Ｚｒ、Ｈｆ、Ｓｃ、Ｙをそれぞれ１．５％
以下、Ｃａ：０．０１０％以下を含むことができる。
工具寿命を有する経済的な鋳造用高速度鋼を提供する。 【構成】 精密鋳造用高速度工具鋼であって、質量％で
Ｃ：０．７０〜２．００％、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ：３０．０％以下、Ｖ：８．０
％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ：０．１０％以下、
残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２
Ｍｏ：１４．０〜３０．０％を基本組成とし、Ｐ、Ｓ、
Ｏのいずれか１種または２種以上の含有率を、Ｐについ
ては０．０２０％以下、Ｓについては０．０１０％以
下、Ｏについては０．００４０％以下とする。さらにＣ
ｏ：１３．０％以下、ＲＥＭ：０．６０％以下、Ｎｂ、
Ｔｉ、Ｔａ、Ｚｒ、Ｈｆ、Ｓｃ、Ｙをそれぞれ１．５％
以下、Ｃａ：０．０１０％以下を含むことができる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、歯切りカッター、エン
ドミル、ドリル等の切削工具、ベアリング、フェイスカ
ム、リングカム等の転動部品、その他の耐摩耗部品用材
料に関する。
ドミル、ドリル等の切削工具、ベアリング、フェイスカ
ム、リングカム等の転動部品、その他の耐摩耗部品用材
料に関する。
【０００２】
【従来の技術】高速度工具鋼は、高い硬度と耐摩耗性を
有すると共に靭性にも優れているので、切削工具用材料
をはじめとする耐摩耗部品用材料として広く用いられて
いる。そして、高速度工具鋼の優れた特性を引出すため
に、通常鍛練材として使用される。
有すると共に靭性にも優れているので、切削工具用材料
をはじめとする耐摩耗部品用材料として広く用いられて
いる。そして、高速度工具鋼の優れた特性を引出すため
に、通常鍛練材として使用される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高速度工具
鋼は含有する合金元素も多く金属組織としても多量の炭
化物を含むので、鍛練などの熱間加工が困難な材料であ
る。そのため、高速度工具鋼の製造にはＥＳＲ（エレク
トロスラグ再溶解）などの特殊溶解や鍛造分解などの手
間のかかる工程を必要としている。
鋼は含有する合金元素も多く金属組織としても多量の炭
化物を含むので、鍛練などの熱間加工が困難な材料であ
る。そのため、高速度工具鋼の製造にはＥＳＲ（エレク
トロスラグ再溶解）などの特殊溶解や鍛造分解などの手
間のかかる工程を必要としている。
【０００４】すなわち、所要の化学組成に調整した高速
度工具鋼の溶鋼を鋳型に鋳造して鋼塊とし、さらにこれ
に二次溶解としてＥＳＲを施して炭化物を微細化し、後
続の鍛練過程を容易にする。この鋼塊を熱間鍛造によっ
て鍛造疵を取除きながら分塊するとともに、さらに金属
組織を微細化して靭性を高めた上で、熱間鍛造、熱間圧
延などの熱間加工を施して所要の寸法の棒材とする。
度工具鋼の溶鋼を鋳型に鋳造して鋼塊とし、さらにこれ
に二次溶解としてＥＳＲを施して炭化物を微細化し、後
続の鍛練過程を容易にする。この鋼塊を熱間鍛造によっ
て鍛造疵を取除きながら分塊するとともに、さらに金属
組織を微細化して靭性を高めた上で、熱間鍛造、熱間圧
延などの熱間加工を施して所要の寸法の棒材とする。
【０００５】上記の鋼塊形成過程において、大型の鋼塊
を用いると成分偏析を生じたり晶出炭化物が大きく成長
して鋼の靭性を損ねたりするなどの不都合を生じるおそ
れがある。そこで、ガス噴霧法などによって溶鋼から高
速度鋼粉末を製造し、高温等圧プレス（ＨＩＰ）を用い
るなどして前記高速度鋼粉末を焼結・固化し、金属組織
の微細な鋼塊を形成することも行われている。
を用いると成分偏析を生じたり晶出炭化物が大きく成長
して鋼の靭性を損ねたりするなどの不都合を生じるおそ
れがある。そこで、ガス噴霧法などによって溶鋼から高
速度鋼粉末を製造し、高温等圧プレス（ＨＩＰ）を用い
るなどして前記高速度鋼粉末を焼結・固化し、金属組織
の微細な鋼塊を形成することも行われている。
【０００６】高速度工具鋼の高い硬度と耐摩耗性は、主
に、含有する多量の合金元素によって形成される炭化物
等と、合金元素の固溶によるマトリックスの強化による
ものであるから、高速度工具鋼は熱間加工が困難な材料
である。そのため、高速度工具鋼棒材を得るのには多く
の工程を要し、また、熱間加工時に発生する疵や割れに
よる歩留り損も大きいので、高速度工具鋼はいっそう高
価な材料となっているのが現状である。
に、含有する多量の合金元素によって形成される炭化物
等と、合金元素の固溶によるマトリックスの強化による
ものであるから、高速度工具鋼は熱間加工が困難な材料
である。そのため、高速度工具鋼棒材を得るのには多く
の工程を要し、また、熱間加工時に発生する疵や割れに
よる歩留り損も大きいので、高速度工具鋼はいっそう高
価な材料となっているのが現状である。
【０００７】高速度工具鋼の溶湯を鋳造によって一気に
製品形状とすれば、二次溶解、鍛練などの工程が省か
れ、極めて経済的に高速度工具鋼製品を得ることができ
る。しかしこの場合、鋳造材固有の問題として、疲労特
性、特に転動疲労寿命が鍛練材に較べて劣るという問題
がある。本発明は上記のような現状に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、高速度鋼鍛練材のもつ
高い硬度、耐摩耗性と優れた靭性という長所を活かしつ
つ、鍛練材に匹敵する転動寿命、工具寿命を有する経済
的な鋳造用高速度鋼を提供することにある。
製品形状とすれば、二次溶解、鍛練などの工程が省か
れ、極めて経済的に高速度工具鋼製品を得ることができ
る。しかしこの場合、鋳造材固有の問題として、疲労特
性、特に転動疲労寿命が鍛練材に較べて劣るという問題
がある。本発明は上記のような現状に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、高速度鋼鍛練材のもつ
高い硬度、耐摩耗性と優れた靭性という長所を活かしつ
つ、鍛練材に匹敵する転動寿命、工具寿命を有する経済
的な鋳造用高速度鋼を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するため
に、本発明の精密鋳造用高速度工具鋼は、 （１）組成が質量％で、Ｃ ：０．７０〜２．００％、
Ｐ ：０．０２０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （２）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｓ
：０．０１０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍｎ：
１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍｏ：
１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：８．０
％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０％以
下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、かつ、Ｗ
＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴とす
る。 （３）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｏ
：０．００４０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （４）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｓ ：０．０１０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （５）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｏ ：０．００４０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （６）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｓ
：０．０１０％以下、Ｏ ：０．００４０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （７）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｓ ：０．０１０％以下、Ｏ
：０．００４０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （８）（１）から（７）のいずれか１項記載の組成にさ
らに質量％でＣｏ：１３．０％以下を含むことを特徴と
する。 （９）（１）から（８）のいずれか１項記載の組成にさ
らに質量％でＲＥＭ（希土類金属）：０．６０％以下を
含むことを特徴とする。 （１０）（１）から（９）のいずれか１項記載の組成に
さらに質量％でＮｂ：１．５％以下、Ｔｉ：１．５％以
下、Ｔａ：１．５％以下、Ｚｒ：１．５％以下、Ｈｆ：
１．５％以下、Ｓｃ：１．５％以下、Ｙ ：１．５％以
下のうちいずれか１種または２種以上を含有することを
特徴とする。 （１１）（１）から（１０）のいずれか１項記載の組成
にさらに質量％でＣａ：０．０１０％以下を含むことを
特徴とする。
に、本発明の精密鋳造用高速度工具鋼は、 （１）組成が質量％で、Ｃ ：０．７０〜２．００％、
Ｐ ：０．０２０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （２）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｓ
：０．０１０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍｎ：
１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍｏ：
１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：８．０
％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０％以
下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、かつ、Ｗ
＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴とす
る。 （３）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｏ
：０．００４０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （４）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｓ ：０．０１０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （５）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｏ ：０．００４０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （６）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｓ
：０．０１０％以下、Ｏ ：０．００４０％以下、Ｓ
ｉ：３．００％以下、Ｍｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：
３．００〜６．００％、Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ ：
３０．０％以下、Ｖ ：８．０％以下、Ａｌ：０．１０
％以下、Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避
的不純物からなり、かつ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３
０．０％であることを特徴とする。 （７）組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．００％、Ｐ
：０．０２０％以下、Ｓ ：０．０１０％以下、Ｏ
：０．００４０％以下、Ｓｉ：３．００％以下、Ｍ
ｎ：１．５０％以下、Ｃｒ：３．００〜６．００％、Ｍ
ｏ：１５．０％以下、Ｗ ：３０．０％以下、Ｖ ：
８．０％以下、Ａｌ：０．１０％以下、Ｎ ：０．１０
％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、か
つ、Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特
徴とする。 （８）（１）から（７）のいずれか１項記載の組成にさ
らに質量％でＣｏ：１３．０％以下を含むことを特徴と
する。 （９）（１）から（８）のいずれか１項記載の組成にさ
らに質量％でＲＥＭ（希土類金属）：０．６０％以下を
含むことを特徴とする。 （１０）（１）から（９）のいずれか１項記載の組成に
さらに質量％でＮｂ：１．５％以下、Ｔｉ：１．５％以
下、Ｔａ：１．５％以下、Ｚｒ：１．５％以下、Ｈｆ：
１．５％以下、Ｓｃ：１．５％以下、Ｙ ：１．５％以
下のうちいずれか１種または２種以上を含有することを
特徴とする。 （１１）（１）から（１０）のいずれか１項記載の組成
にさらに質量％でＣａ：０．０１０％以下を含むことを
特徴とする。
【０００９】
【作用】以下に、本発明の精密鋳造用高速度工具鋼の組
成を限定する理由について説明する。 Ｃ：０．７０〜２．００％ Ｃは、同時に含有するＣｒ、Ｗ、Ｍｏ、Ｖと炭化物を形
成し、晶出・析出すること、およびマトリックスに固溶
することによって鋼の硬さを高めるために必須の元素で
ある。切削工具、転動部品、耐摩耗部品にとって必要と
される硬度を得るためには、０．７０％以上のＣを含有
することが必要である。しかし、過度に含有すると靭性
の低下をまねくため、含有率の上限を２．００％とす
る。
成を限定する理由について説明する。 Ｃ：０．７０〜２．００％ Ｃは、同時に含有するＣｒ、Ｗ、Ｍｏ、Ｖと炭化物を形
成し、晶出・析出すること、およびマトリックスに固溶
することによって鋼の硬さを高めるために必須の元素で
ある。切削工具、転動部品、耐摩耗部品にとって必要と
される硬度を得るためには、０．７０％以上のＣを含有
することが必要である。しかし、過度に含有すると靭性
の低下をまねくため、含有率の上限を２．００％とす
る。
【００１０】Ｐ：０．０２０％以下 Ｐは、不純物元素として鋼中に含まれ、鋼の結晶粒界に
偏析して結晶粒界脆化を引起こす元素である。本発明の
高速度工具鋼は、精密鋳造によって製品形状に形成され
るものであり、鍛練材のごとく鍛練によって鋳造組織が
改変されることがないため、本発明鋼におけるＰ含有率
が鋼の靭性に及ぼす影響は大きい。Ｐ含有率の低減によ
り工具寿命および転動寿命が改善されるので、Ｐ含有率
は０．０２０％以下とする。さらに高い靭性が要求され
る用途にたいしては、Ｐ含有率は０．０１０％以下に制
限するのが望ましい。
偏析して結晶粒界脆化を引起こす元素である。本発明の
高速度工具鋼は、精密鋳造によって製品形状に形成され
るものであり、鍛練材のごとく鍛練によって鋳造組織が
改変されることがないため、本発明鋼におけるＰ含有率
が鋼の靭性に及ぼす影響は大きい。Ｐ含有率の低減によ
り工具寿命および転動寿命が改善されるので、Ｐ含有率
は０．０２０％以下とする。さらに高い靭性が要求され
る用途にたいしては、Ｐ含有率は０．０１０％以下に制
限するのが望ましい。
【００１１】Ｓ：０．０１０％以下 Ｓは不純物元素として鋼中に含まれ、非金属介在物とし
て鋼中に介在して工具寿命および転動寿命の低下をもた
らす。本発明の高速度工具鋼は精密鋳造によって製品形
状に形成されるので、鋼中で生成した硫化物は、鍛練材
のごとく鍛練によって微細化、分散化されることがな
い。本発明の高速度工具鋼では、Ｓ含有率を０．０１０
％以下とすることにより工具寿命および転動寿命が改善
される。さらに優れた工具寿命および転動寿命が要求さ
れる用途にたいしては、Ｓ含有率は０．００５％以下に
制限するのが望ましい。
て鋼中に介在して工具寿命および転動寿命の低下をもた
らす。本発明の高速度工具鋼は精密鋳造によって製品形
状に形成されるので、鋼中で生成した硫化物は、鍛練材
のごとく鍛練によって微細化、分散化されることがな
い。本発明の高速度工具鋼では、Ｓ含有率を０．０１０
％以下とすることにより工具寿命および転動寿命が改善
される。さらに優れた工具寿命および転動寿命が要求さ
れる用途にたいしては、Ｓ含有率は０．００５％以下に
制限するのが望ましい。
【００１２】Ｏ：０．００４０％以下 ＯはＳと同様に不純物元素として鋼中に含まれ、酸化物
系非金属介在物として鋼中に介在して工具寿命および転
動寿命の低下をもたらす。精密鋳造によって製品形状に
形成される本発明の高速度工具鋼では、鍛練材のごとく
鍛練による介在物の微細化、分散化は期待できない。本
発明の高速度工具鋼では、Ｏ含有率は０．００４０％以
下とすることにより工具寿命および転動寿命が改善され
る。さらに優れた工具寿命および転動寿命が要求される
用途にたいしては、Ｏ含有率は０．００２０％以下に制
限するのが望ましい。
系非金属介在物として鋼中に介在して工具寿命および転
動寿命の低下をもたらす。精密鋳造によって製品形状に
形成される本発明の高速度工具鋼では、鍛練材のごとく
鍛練による介在物の微細化、分散化は期待できない。本
発明の高速度工具鋼では、Ｏ含有率は０．００４０％以
下とすることにより工具寿命および転動寿命が改善され
る。さらに優れた工具寿命および転動寿命が要求される
用途にたいしては、Ｏ含有率は０．００２０％以下に制
限するのが望ましい。
【００１３】Ｐ、ＳおよびＯは、それぞれ個々に本発明
の範囲の含有率に制限することによって上記のような工
具寿命および転動寿命の改善効果が得られるが、さら
に、Ｐ、ＳおよびＯのいずれか２種以上を同時に制限す
ることによって、一層顕著な効果が得られる。 Ｓｉ：３．００％以下 Ｓｉは鋼を脱酸するために添加する。また、Ｓｉは鋼マ
トリックスに固溶してその硬さを高める効果をもつ。し
かし、過度に添加すると鋼の靭性を損うので、Ｓｉ含有
率の上限は３．００％とする。
の範囲の含有率に制限することによって上記のような工
具寿命および転動寿命の改善効果が得られるが、さら
に、Ｐ、ＳおよびＯのいずれか２種以上を同時に制限す
ることによって、一層顕著な効果が得られる。 Ｓｉ：３．００％以下 Ｓｉは鋼を脱酸するために添加する。また、Ｓｉは鋼マ
トリックスに固溶してその硬さを高める効果をもつ。し
かし、過度に添加すると鋼の靭性を損うので、Ｓｉ含有
率の上限は３．００％とする。
【００１４】Ｍｎ：１．５０％以下 Ｍｎは鋼を脱酸するために添加する。また、Ｍｎは鋼の
焼入れ性を増し、耐摩耗性を高める。しかし、過度に添
加すると熱処理時に焼割れを生じたり多量の残留オース
テナイトを生成して鋼を脆化したりするので、Ｍｎ含有
率の上限を１．５０％とする。
焼入れ性を増し、耐摩耗性を高める。しかし、過度に添
加すると熱処理時に焼割れを生じたり多量の残留オース
テナイトを生成して鋼を脆化したりするので、Ｍｎ含有
率の上限を１．５０％とする。
【００１５】Ｃｒ：３．００〜６．００％ Ｃｒは、鋼の焼もどし時に炭化物として析出して鋼の硬
さを高めるので添加する。また、Ｃｒは鋼の焼入れ性を
向上し鋼の硬さを高めることにも寄与する。そして、高
い硬度を得るためにはＣｒ含有率３．００％以上が必要
である。しかし、過度に添加するとＣｒを主体とするＭ
23Ｃ6 炭化物の析出量が増加し、鋼の靭性を低下するの
でＣｒ含有率の上限を６．００％とする。
さを高めるので添加する。また、Ｃｒは鋼の焼入れ性を
向上し鋼の硬さを高めることにも寄与する。そして、高
い硬度を得るためにはＣｒ含有率３．００％以上が必要
である。しかし、過度に添加するとＣｒを主体とするＭ
23Ｃ6 炭化物の析出量が増加し、鋼の靭性を低下するの
でＣｒ含有率の上限を６．００％とする。
【００１６】Ｍｏ：１５．０％以下、Ｗ：３０．０％以
下 ただしＷ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％ ＭｏおよびＷは、いずれも鋼の焼もどし時にＭ6 Ｃ型炭
化物として析出し、鋼の硬さを高めるので添加する。鋼
の鋳造時にＭ2 Ｃ型の炭化物をネット状に晶出し、鋼の
硬さを増加し耐摩耗性を向上し、工具寿命、転動寿命の
向上に寄与する。この目的のためには（Ｗ＋２Ｍｏ）と
して１４．０％以上の含有率が必要である。
下 ただしＷ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％ ＭｏおよびＷは、いずれも鋼の焼もどし時にＭ6 Ｃ型炭
化物として析出し、鋼の硬さを高めるので添加する。鋼
の鋳造時にＭ2 Ｃ型の炭化物をネット状に晶出し、鋼の
硬さを増加し耐摩耗性を向上し、工具寿命、転動寿命の
向上に寄与する。この目的のためには（Ｗ＋２Ｍｏ）と
して１４．０％以上の含有率が必要である。
【００１７】しかし、過度に添加すれば粗大なＭ2 Ｃ炭
化物の生成量を増加して鋼の靭性が低下するので、Ｍｏ
およびＷの含有率は、単独ではそれぞれＭｏ：１４．０
％、Ｗ：３０．０％を上限とする。また（Ｗ＋２Ｍｏ）
として３０．０％の含有を上限とする。なお、Ｍｏは鋼
中においてＷと同等の効果を示すが、Ｍｏの原子量がＷ
のそれの約１／２であることから、ＭｏのＷ当量を２と
した。
化物の生成量を増加して鋼の靭性が低下するので、Ｍｏ
およびＷの含有率は、単独ではそれぞれＭｏ：１４．０
％、Ｗ：３０．０％を上限とする。また（Ｗ＋２Ｍｏ）
として３０．０％の含有を上限とする。なお、Ｍｏは鋼
中においてＷと同等の効果を示すが、Ｍｏの原子量がＷ
のそれの約１／２であることから、ＭｏのＷ当量を２と
した。
【００１８】Ｖ：８．０％以下 Ｖは、鋼中においてＭＣ型炭化物として析出して鋼の硬
さを高める。しかし、過度に添加すると大型のＭＣ型炭
化物の量が増大し、鋼の靭性が低下し、転動寿命が低下
するので、Ｖ含有率の上限を８．０％とする。 Ａｌ：０．１０％以下 Ａｌは脱酸剤として鋼に添加する。Ａｌは、また炭窒化
物として鋼マトリックス中に微細に析出し、鋼の焼入れ
時における結晶粒の粗大化を防止する効果を有する。こ
れによって鋼の靭性の劣化を阻止する。しかし、過度に
添加してもその効果が飽和するばかりでなく、鋼の清浄
度を損う恐れがあるので含有率の上限を０．１０％とす
る。
さを高める。しかし、過度に添加すると大型のＭＣ型炭
化物の量が増大し、鋼の靭性が低下し、転動寿命が低下
するので、Ｖ含有率の上限を８．０％とする。 Ａｌ：０．１０％以下 Ａｌは脱酸剤として鋼に添加する。Ａｌは、また炭窒化
物として鋼マトリックス中に微細に析出し、鋼の焼入れ
時における結晶粒の粗大化を防止する効果を有する。こ
れによって鋼の靭性の劣化を阻止する。しかし、過度に
添加してもその効果が飽和するばかりでなく、鋼の清浄
度を損う恐れがあるので含有率の上限を０．１０％とす
る。
【００１９】Ｎ：０．１０％以下 Ｎは不純物元素として鋼中に含まれるが、積極的に添加
することにより鋼の鋳造時に晶出するネット状炭化物の
晶出間隔を低減し、鋼の靭性を向上する効果を有する。
鍛練材においては、鋼の鋳造時にネット状に晶出した炭
化物は鍛練によって分散し微細化される。これによって
鋼の靭性が向上される。しかし、本発明におけるように
鋳造材を使用する場合には、ネット状炭化物の晶出状態
は改変されることがないので、鋳造時におけるネット状
炭化物の晶出状況によって鋼の靭性が大きく影響され
る。
することにより鋼の鋳造時に晶出するネット状炭化物の
晶出間隔を低減し、鋼の靭性を向上する効果を有する。
鍛練材においては、鋼の鋳造時にネット状に晶出した炭
化物は鍛練によって分散し微細化される。これによって
鋼の靭性が向上される。しかし、本発明におけるように
鋳造材を使用する場合には、ネット状炭化物の晶出状態
は改変されることがないので、鋳造時におけるネット状
炭化物の晶出状況によって鋼の靭性が大きく影響され
る。
【００２０】前述のＮの効果によって、鋳造材において
鍛造材と同等の靭性を得るためには、Ｎ含有率は０．０
２５％以上とするのが好ましい。Ｎ添加量が過度になる
と鋳造品にブローホールなどの鋳造欠陥を生じるので、
Ｎ含有率の上限は０．１０％とする。 Ｃｏ：１３．０％以下 Ｃｏは、鋼マトリックスに固溶することと、マトリック
スに対するＣの溶解度を高めることとにより鋼の硬さを
高める効果を有する。また、Ｃｏは鋼の焼もどし軟化抵
抗を増加する。高硬度の歯切用刃物が必要な場合や刃先
の温度が異常に高温となる場合に添加するのが好まし
い。しかし、過度に添加してもその効果が飽和し、徒に
コストを高めるのみなのでＣｏの含有率は１３．０％を
上限とする。
鍛造材と同等の靭性を得るためには、Ｎ含有率は０．０
２５％以上とするのが好ましい。Ｎ添加量が過度になる
と鋳造品にブローホールなどの鋳造欠陥を生じるので、
Ｎ含有率の上限は０．１０％とする。 Ｃｏ：１３．０％以下 Ｃｏは、鋼マトリックスに固溶することと、マトリック
スに対するＣの溶解度を高めることとにより鋼の硬さを
高める効果を有する。また、Ｃｏは鋼の焼もどし軟化抵
抗を増加する。高硬度の歯切用刃物が必要な場合や刃先
の温度が異常に高温となる場合に添加するのが好まし
い。しかし、過度に添加してもその効果が飽和し、徒に
コストを高めるのみなのでＣｏの含有率は１３．０％を
上限とする。
【００２１】希土類元素：０．６０％以下 希土類元素は、ＭＣ型炭化物の晶出温度範囲を狭めるこ
とにより、鋳造時に晶出するネット状炭化物を微細化
し、鋼の靭性を向上する効果を有する。しかし、過度に
添加してもその効果が飽和し、徒にコストを高めるのみ
なので含有率の上限を０．６０％とする。
とにより、鋳造時に晶出するネット状炭化物を微細化
し、鋼の靭性を向上する効果を有する。しかし、過度に
添加してもその効果が飽和し、徒にコストを高めるのみ
なので含有率の上限を０．６０％とする。
【００２２】Ｎｂ：１．５％以下、Ｔｉ：１．５％以
下、Ｔａ：１．５％以下、Ｚｒ：１．５％以下、Ｈｆ：
１．５％以下、Ｓｃ：１．５％以下、Ｙ：１．５％以下
のいずれか１種または２種以上 いずれも炭化物形成傾向の強い元素であって、鋼中にお
いて硬い炭化物を形成して鋼の耐摩耗性を向上するの
で、必要に応じて添加することができる。これらの元素
は、過度に添加してもその効果が飽和し、徒にコストを
高めるのみなので、上記の範囲で含有することが好まし
い。
下、Ｔａ：１．５％以下、Ｚｒ：１．５％以下、Ｈｆ：
１．５％以下、Ｓｃ：１．５％以下、Ｙ：１．５％以下
のいずれか１種または２種以上 いずれも炭化物形成傾向の強い元素であって、鋼中にお
いて硬い炭化物を形成して鋼の耐摩耗性を向上するの
で、必要に応じて添加することができる。これらの元素
は、過度に添加してもその効果が飽和し、徒にコストを
高めるのみなので、上記の範囲で含有することが好まし
い。
【００２３】Ｃａ：０．０１０％以下 Ｃａは、鋼の被削性、被研削性を向上する元素なので添
加してもよい。しかし、過剰に添加すると鋼の清浄度を
損うので、含有率の上限は０．０１０％とする。
加してもよい。しかし、過剰に添加すると鋼の清浄度を
損うので、含有率の上限は０．０１０％とする。
【００２４】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。減
圧吸引鋳造法によって、ロストワックス鋳型に溶鋼を鋳
造して、表１に示す化学組成を有する直径１３ｍｍ×長
さ６５ｍｍの丸棒鋳造品およびモジュール０．５の歯切
り用ホブ鋳造品を得た。前記鋳造品を８７０℃で１ｈｒ
加熱後、１５℃／ｈｒの冷却速度で徐冷して焼なましし
た。
圧吸引鋳造法によって、ロストワックス鋳型に溶鋼を鋳
造して、表１に示す化学組成を有する直径１３ｍｍ×長
さ６５ｍｍの丸棒鋳造品およびモジュール０．５の歯切
り用ホブ鋳造品を得た。前記鋳造品を８７０℃で１ｈｒ
加熱後、１５℃／ｈｒの冷却速度で徐冷して焼なましし
た。
【００２５】
【表１】
【００２６】丸棒鋳造品は、焼きなまし後、外径１２．
４ｍｍに粗加工して、焼入・焼もどしし、さらに外径１
２．０ｍｍに精加工して転動疲労試験に供した。歯切り
用ホブ鋳造品は、焼入・焼もどしした後、刃先部を切削
加工し、工具寿命評価試験に供した。丸棒鋳造品および
歯切り用ホブ鋳造品のいずれも、焼入・焼もどしにはソ
ルト炉を用いて行い、焼入れは１２００℃×３ｍｉｎ油
冷、焼もどしは５６０℃×１ｈｒ空冷×３回の条件で行
った。
４ｍｍに粗加工して、焼入・焼もどしし、さらに外径１
２．０ｍｍに精加工して転動疲労試験に供した。歯切り
用ホブ鋳造品は、焼入・焼もどしした後、刃先部を切削
加工し、工具寿命評価試験に供した。丸棒鋳造品および
歯切り用ホブ鋳造品のいずれも、焼入・焼もどしにはソ
ルト炉を用いて行い、焼入れは１２００℃×３ｍｉｎ油
冷、焼もどしは５６０℃×１ｈｒ空冷×３回の条件で行
った。
【００２７】転動疲労試験は、ラジアル式転動疲労試験
機を用いて行った。２０本の試験を行い、累積破損確率
が１０％となる応力繰返し数を転動寿命とした。工具寿
命評価試験は、ホブ盤に前記供試ホブを取付け、Ｓ４５
Ｃ焼ならし材丸棒に歯切り加工することによって行っ
た。切削不能となるまでに切削した丸棒の本数を工具寿
命とした。
機を用いて行った。２０本の試験を行い、累積破損確率
が１０％となる応力繰返し数を転動寿命とした。工具寿
命評価試験は、ホブ盤に前記供試ホブを取付け、Ｓ４５
Ｃ焼ならし材丸棒に歯切り加工することによって行っ
た。切削不能となるまでに切削した丸棒の本数を工具寿
命とした。
【００２８】転動寿命および工具寿命の測定結果を表２
に示す。表２には比較材として、鍛練材から削出した試
験片および本発明外の化学組成の鋳造材についての試験
結果を併せて示す。
に示す。表２には比較材として、鍛練材から削出した試
験片および本発明外の化学組成の鋳造材についての試験
結果を併せて示す。
【００２９】
【表２】
【００３０】表２の結果によれば、本発明の実施例は、
転動寿命においては一般に実用状問題がないとされる１
０7 回を超える成績を示している。また、工具寿命にお
いては鍛練材を超える結果を得ている。
転動寿命においては一般に実用状問題がないとされる１
０7 回を超える成績を示している。また、工具寿命にお
いては鍛練材を超える結果を得ている。
【００３１】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の精密鋳造
用高速度工具鋼によれば、鋳造によって、溶鋼から一気
に部品形状に成形することによって、高速度鋼の熱間加
工に伴う諸問題はなくなり、材料の価額を大幅に低減す
ることが可能である。そして、高速度鋼鍛練材の持つ高
い硬度、耐摩耗性と優れた靭性という長所を活かしつ
つ、鍛練材に匹敵する工具寿命、転動寿命を有する鋳造
用高速度鋼を提供することができるという優れた経済効
果を有する。
用高速度工具鋼によれば、鋳造によって、溶鋼から一気
に部品形状に成形することによって、高速度鋼の熱間加
工に伴う諸問題はなくなり、材料の価額を大幅に低減す
ることが可能である。そして、高速度鋼鍛練材の持つ高
い硬度、耐摩耗性と優れた靭性という長所を活かしつ
つ、鍛練材に匹敵する工具寿命、転動寿命を有する鋳造
用高速度鋼を提供することができるという優れた経済効
果を有する。
Claims (11)
- 【請求項１】 組成が質量％で、 Ｃ ：０．７０〜２．００％、 Ｐ ：０．０２０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項２】 組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．０
０％、 Ｓ ：０．０１０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項３】 組成が質量％で Ｃ ：０．７０〜２．００％、 Ｏ ：０．００４０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項４】 組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．０
０％、 Ｐ ：０．０２０％以下、 Ｓ ：０．０１０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項５】 組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．０
０％、 Ｐ ：０．０２０％以下、 Ｏ ：０．００４０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項６】 組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．０
０％、 Ｓ ：０．０１０％以下、 Ｏ ：０．００４０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、 残部Ｆｅおよび不可避的不純物からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項７】 組成が質量％でＣ ：０．７０〜２．０
０％、 Ｐ ：０．０２０％以下、 Ｓ ：０．０１０％以下、 Ｏ ：０．００４０％以下、 Ｓｉ：３．００％以下、 Ｍｎ：１．５０％以下、 Ｃｒ：３．００〜６．００％、 Ｍｏ：１５．０％以下、 Ｗ ：３０．０％以下、 Ｖ ：８．０％以下、 Ａｌ：０．１０％以下、 Ｎ ：０．１０％以下、残部Ｆｅおよび不可避的不純物
からなり、かつ、 Ｗ＋２Ｍｏ：１４．０〜３０．０％であることを特徴と
する精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項８】 請求項１から７のいずれか１項記載の組
成にさらに質量％でＣｏ：１３．０％以下を含むことを
特徴とする請求項１から７のいずれか１項記載の精密鋳
造用高速度工具鋼。 - 【請求項９】 請求項１から８のいずれか１項記載の組
成にさらに質量％でＲＥＭ：０．６０％以下を含むこと
を特徴とする請求項１から８のいずれか１項記載の精密
鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項１０】 請求項１から９のいずれか１項記載の
組成にさらに質量％で Ｎｂ：１．５％以下、 Ｔｉ：１．５％以下、 Ｔａ：１．５％以下、 Ｚｒ：１．５％以下、 Ｈｆ：１．５％以下、 Ｓｃ：１．５％以下、 Ｙ ：１．５％以下のうちいずれか１種または２種以上
を含有することを特徴とする請求項１から９のいずれか
１項記載の精密鋳造用高速度工具鋼。 - 【請求項１１】 請求項１から１０のいずれか１項記載
の組成にさらに質量％でＣａ：０．０１０％以下を含む
ことを特徴とする請求項１から１０のいずれか１項記載
の精密鋳造用高速度工具鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15748695A JPH093604A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 精密鋳造用高速度工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15748695A JPH093604A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 精密鋳造用高速度工具鋼 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH093604A true JPH093604A (ja) | 1997-01-07 |
Family
ID=15650740
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15748695A Pending JPH093604A (ja) | 1995-06-23 | 1995-06-23 | 精密鋳造用高速度工具鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH093604A (ja) |
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1493833A1 (de) * | 2003-06-23 | 2005-01-05 | Böhler Bleche GmbH | Stahl für spanabhebende Werkzeuge |
| CN102505095A (zh) * | 2011-12-21 | 2012-06-20 | 朱昌宏 | 一种钻头用高速工具钢 |
| CN103667932A (zh) * | 2012-09-20 | 2014-03-26 | 日立金属株式会社 | 高速工具钢、刀刃用材料及切割工具、以及刀刃用材料的制造方法 |
| CN103849814A (zh) * | 2012-11-28 | 2014-06-11 | 大连圣特金属新材料研发有限公司 | 一种军用刀具用高速钢 |
| CN108431263A (zh) * | 2015-12-17 | 2018-08-21 | 日立金属株式会社 | 高速工具钢、工具用材料及工具用材料的制造方法 |
| EP3315617A4 (en) * | 2015-06-22 | 2019-01-30 | Hitachi Metals, Ltd. | METHOD FOR PRODUCING STEEL FOR HIGH SPEED TOOL, PROCESS FOR PRODUCING STEEL PRODUCT FOR HIGH SPEED TOOL, AND STEEL PRODUCT FOR HIGH SPEED TOOL |
| KR20190052282A (ko) * | 2017-11-08 | 2019-05-16 | 한국기계연구원 | 주조강 |
| CN110904383A (zh) * | 2019-12-02 | 2020-03-24 | 张家港宏昌钢板有限公司 | 一种台车销子烧结方法 |
-
1995
- 1995-06-23 JP JP15748695A patent/JPH093604A/ja active Pending
Cited By (11)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1493833A1 (de) * | 2003-06-23 | 2005-01-05 | Böhler Bleche GmbH | Stahl für spanabhebende Werkzeuge |
| CN102505095A (zh) * | 2011-12-21 | 2012-06-20 | 朱昌宏 | 一种钻头用高速工具钢 |
| CN103667932A (zh) * | 2012-09-20 | 2014-03-26 | 日立金属株式会社 | 高速工具钢、刀刃用材料及切割工具、以及刀刃用材料的制造方法 |
| US9273384B2 (en) | 2012-09-20 | 2016-03-01 | Hitachi Metals, Ltd. | High speed tool steel, material for blade edge, cutting tool, and manufacturing method of material for blade edge |
| CN103849814A (zh) * | 2012-11-28 | 2014-06-11 | 大连圣特金属新材料研发有限公司 | 一种军用刀具用高速钢 |
| EP3315617A4 (en) * | 2015-06-22 | 2019-01-30 | Hitachi Metals, Ltd. | METHOD FOR PRODUCING STEEL FOR HIGH SPEED TOOL, PROCESS FOR PRODUCING STEEL PRODUCT FOR HIGH SPEED TOOL, AND STEEL PRODUCT FOR HIGH SPEED TOOL |
| US10661353B2 (en) | 2015-06-22 | 2020-05-26 | Hitachi Metals, Ltd. | Method for producing high-speed tool steel material, method for producing high-speed tool steel product, and high-speed tool steel product |
| CN108431263A (zh) * | 2015-12-17 | 2018-08-21 | 日立金属株式会社 | 高速工具钢、工具用材料及工具用材料的制造方法 |
| US10787719B2 (en) | 2015-12-17 | 2020-09-29 | Hitachi Metals, Ltd. | High-speed tool steel, material for tools, and method for producing material for tools |
| KR20190052282A (ko) * | 2017-11-08 | 2019-05-16 | 한국기계연구원 | 주조강 |
| CN110904383A (zh) * | 2019-12-02 | 2020-03-24 | 张家港宏昌钢板有限公司 | 一种台车销子烧结方法 |
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