JP5345415B2 - 被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼およびプレス金型 - Google Patents

被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼およびプレス金型

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Description

本発明は、被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性、表面処理膜の耐剥離性が要求される自動車部品のハイテン加工用プレス金型などに代表される、各種冷間加工用プレス金型用鋼およびプレス金型に関するものである。
従来、自動車のプレス金型、特に曲げ型、抜き型、絞り型などでは、自動車部品へのハイテン適用拡大に伴い、高硬質かつ耐摩耗性に優れたJIS SKD11などの高C−高Cr系の冷間ダイス鋼が用いられているが、SKD11は切削性が悪く、重切削を要する深絞り形状の金型では金型製作における加工コスト削減が課題となり、最近ではSKD11の切削性を改善したSKD11の改良鋼が広く使用されるようになってきた。
しかし、これらの金型は素材から金型形状に粗加工、仕上げ加工した後に、熱処理(焼入焼戻し)を行ない、組み付け、試打ち、手直し後、表面処理という工程で完成に至るが、熱処理後の組み付け時の変寸による手直し工程と試打ち時の手直し工程の効率化がコスト削減に大きく寄与するため、熱処理変寸のゼロ化および焼入焼戻状態での切削性が要求されている。
そこで、例えば特開2007−197746号公報(特許文献1)に開示されている工具鋼は、Si:1.40〜2.6%、Cu:0.01〜0.50%を含有するNi,Cr,Mo,V鋼であり、また、特開2006−152356号公報(特許文献2)に開示されている冷間ダイス鋼は、Ni:0.3〜1.5%、Cu:0.1〜1.0%、Al:0.1〜0.7%を含有するCr,Mo鋼であり、同じく、特開2006−169624号公報(特許文献3)に開示されている冷間ダイス鋼は、Ni:0.3〜1.5%、Cu:0.1〜1.0%、Al:0.1〜0.5%を含有するCr,Mo鋼であって、その断面組織中に観察される炭化物分布を規制したものである。
また、特開2006−28584号公報(特許文献4)に開示されている冷間加工用金型は、Ni:0.3〜1.5%,Cu:0.1〜1.0%、Al:0.1〜0.7%を含有するCr,Mo鋼であり、また、特開2007−77442号公報(特許文献5)に開示されている冷間工具鋼は、Cr:9〜12%を含有するCr,Mo,Ni鋼であって、その断面組織中に観察される炭化物を規制したものである。
さらに、特開2001−107181号公報(特許文献6)に開示されている工具鋼は、実施例によると、C:0.43〜0.81%を含有するCr,Mo鋼であって、CとCr量を規制したものである。また、特開平11−92871号公報(特許文献7)に開示されている冷間工具鋼は、C:1.10〜1.35%、Cr:9.00〜12.00%を含有するCr,Mo,V鋼であって、CとCr量を規制したものが、それぞれ提案されている。
特開2007−197746号公報 特開2006−152356号公報 特開2006−169624号公報 特開2006−28584号公報 特開2007−77442号公報 特開2001−107181号公報 特開平11−92871号公報
上述した特許文献1は、Si:1.40〜2.6%、Cu:0.01〜0.50%を含有するNi,Cr,Mo,V鋼であり、Siが高すぎて、靱性が低下するという問題があり、また、Cuを必須元素としている。特許文献2および3は、Ni:0.3〜1.5%、Cu:0.1〜1.5%、Al:0.1〜0.7%を含有するCr,Mo鋼であり、Niが高く、かつCu,Alを必須元素とした発明である。また、特許文献4も同様に、Ni:0.3〜1.5%,Cu:0.1〜1.0%、Al:0.1〜0.7%を含有するCr,Mo鋼であり、Ni,Cu,Alの添加により、固溶C量が低下して、焼入焼戻硬さが充分に得られないし、製造時の熱間加工性が劣化するなどの問題点が有る。また、Ni添加は金型加工時の切削性も劣化させる。
特許文献5は、Cr:9〜12%を含有するCr,Mo,Ni鋼であって、Crが高すぎて、切削性や靱性が低下してしまうという問題がある。また、特許文献6は、C:0.43〜0.81%を含有するCr,Mo鋼であって、Cが低すぎて、耐摩耗性や硬さが不十分である。さらに、特許文献7は、Cr:9.00〜12.00%を含有するCr,Mo,V鋼であり、Crが高すぎて、切削性や靱性が低下するという問題がある。
上述のような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、熱処理変寸の原因となる合金元素添加量を適正化すると共に、均質化処理を行うことで、金型の熱処理変寸を抑制し、熱処理後の切削性の改善を図ることで、金型作製におけるコスト削減に貢献するものである。また、衝撃特性に優れ、金型使用後の割れ欠けを抑制し、寿命改善に寄与できる被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼およびプレス金型を提供するものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.80〜0.89%、Si:1.0〜1.4%未満、Mn:0.1〜1.0%、S:0.030〜0.070%、Cr:7.5〜8.5%、Ni:0.05〜0.2%、MoおよびWの内の1種または2種をMo+1/2W:0.9〜1.6%、VおよびNbの内の1種または2種をV+1/2Nb:0.03〜0.3%を含有し、残部をFeおよび不可避的不純物からなる被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
(2)前記(1)に記載の鋼に加えて、Cr/C:8.5〜10.5、(Mo+1/2W/(V+1/2Nb):5.5〜15.5であることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
(3)前記(1)または(2)に記載の鋼に加えて、(Si+S×100)/〔(V+1/2Nb)×10〕:2.5〜10.0であることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1に記載の鋼を鋼塊状態から鍛造により鋼塊幅方向で減面率25%以上の圧下を加えて、1075〜1150℃で8時間以上均熱保持した後に、鍛造または圧延してなることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1に記載の鋼を使用し、切削加工後、熱処理または表面処理を施した冷間プレス金型にある。
以上述べたように、本発明により自動車プレス型作製時の切削時間、切削工具の削減、および熱処理時の変寸による手直し工数の削減、または、金型寿命向上によるメンテナンス費用削減、さらには、Mo,V合金元素低減による合金コストの低減を図ることが出来る極めて優れた効果を奏するものである。
以下、本発明に係る成分組成の限定理由について述べる。
C:0.80〜0.89%
Cは、熱処理時に基地に固溶しての硬度を確保するための元素であり、その効果を得るためには0.80%以上必要である。また、Cr,Mo,V,W,Nbなどの合金元素と結合して炭化物を形成し二次硬化および耐摩耗性の向上に寄与するが、添加し過ぎると炭化物が粗大になり衝撃特性を著しく劣化されるため、その上限を0.89%とした。
Si:1.0〜1.4%未満
Siは、製鋼時の脱酸剤として添加、焼入性にも有効である。さらに、本発明では、基地を脆化させて切削抵抗を下げ、切削工具刃先に構成刃先(酸化物層)を体積させるBelag効果で凝着を抑えて切削工具寿命を向上させることにより切削性改善を狙っており、そのためには、1.0%以上必要である。しかし、1.4%を超えると衝撃特性が顕著に低下するため上限を1.4%未満とした。
Mn:0.1〜1.0%
Mnは、Siと同様に脱酸剤として添加し、焼入性にも有効である。さらに、本発明においては、硫化物MnSを形成させ被削性改善を狙っており、必要量の硫化物を得るために0.1%以上添加する必要がある。しかし、添加し過ぎると被削性と衝撃特性を劣化させるため上限を1.0%とした。
S:0.030〜0.070%
Sは、MnSを形成させ被削性を高めるために、0.030%以上添加する必要がある。しかし、添加し過ぎると衝撃特性が劣化させるため上限を0.060%とした。
Ni:0.05〜0.2%
Niは、マトリックスに固溶して靱性を高めるので、0.05%以上添加する必要がある。しかし、焼きなまし硬さを高めるために焼きなまし状態での切削性を阻害するため、その上限を0.2%とする。
Cr:7.5〜8.5%
Crは、基地に固溶して焼入性を向上させ、また、炭化物を生成して耐摩耗性を確保するために7.5%以上必要である。しかし、Crは凝固時にCと結合して粗大な一次炭化物を形成しやすく、それが衝撃特性や被削性を著しく劣化させるため、その上限を8.5%とした。
Mo+1/2W:0.9〜1.6%
Mo+1/2Wを規制したのは、焼入性確保と二次硬化による焼入れ焼戻し硬さの確保および析出炭化物による耐摩耗性改善のために、0.9%以上必要である。しかし、添加し過ぎると、凝固時に偏析して熱処理変寸や歪みの原因になったり、炭化物が粗大になり靱性や切削性が低下する。また、二次硬化で微細炭化物が多量に析出し、基地中のC量が低減した結果、残留オーステナイトのマルンサイト変態が促進され、高温焼戻し時の熱処理変寸量が大きくなるため、その上限を1.6%とした。
V+1/2Nb:0.03〜0.3%
V+1/2Nbを規制したのは、微細で硬質な炭化物の分散析出による耐摩耗性改善、さらに、プレス金型に適用される拡散浸透表面処理(TD処理など)の高温長時間保持時の結晶粒粗大化を抑えて衝撃特性を維持するために、0.03%以上必要である。しかし、添加し過ぎると、凝固時に偏析して熱処理変寸や歪みの原因になったり、炭化物が粗大になり靱性や切削性が低下する。さらに、二次硬化において微細炭化物が多量に析出し、高温焼戻し時の熱処理変寸量が大きくなるため、その上限を0.3%とした。
Cr/C:8.5〜10.5
Cr/Cを規制したのは、C−Cr量の両者の最適化により、耐衝撃性、被削性や耐摩耗性に寄与する一次炭化物の大きさやマトリックスへの炭素の固溶量を規制すると共に、熱処理変寸や耐摩耗性に寄与するMo、Vなどの析出炭化物の量を規制して、被削性、熱処理変寸特性、耐衝撃性を兼ね備えるためには、8.5以上必要である。しかし、10.5を超えると、炭化物が粗大化して被削性と衝撃特性が著しく悪化するため、その範囲を8.5〜10.5とした。
(Mo+1/2W)/(V+1/2Nb):5.5〜15.5
Mo+1/2W、V+1/2Nbを低減することで、高温焼戻し時の炭化物析出を減らし、残留オーステナイトの分解を抑制することで、熱処理変寸による膨張を小さくできる。また、鍛伸均熱処理は成分偏析の軽減と炭化物の微細均一化による熱処理変寸特性および衝撃特性の改善を図るもので、その両者のバランスにおいて達成される。これらの特性を得るためには、5.5以上必要である。しかし、15.5を超えると凝固時に偏析して熱処理変寸や歪みの原因になったり、炭化物が粗大になり靱性や切削性が低下する。また、二次硬化で微細炭化物が多量に析出し、マルンサイト変態が促進され、高温焼戻し時の熱処理変寸量が大きくなるため、その上限を15.5とした。
(Si+S×100)/〔(V+1/2Nb)×10〕:2.5〜10.0
Si、Sを高めることで切削性は向上するが、過多の添加は衝撃特性を悪化させる。また、V、Nbを高めることで結晶粒粗大化を抑制し衝撃特性は向上するが、硬質な微細析出炭化物により著しく切削性が悪化する。これらのバランスを最適化することで、切削性と衝撃特性の両方が改善される。すなわち、これらの特性を得るためには、2.1以上必要である。しかし、13.0を超えると靱性が低下する。
鍛伸減面率25%以上
鍛伸減面率は、(鍛伸完了品の平均断面積)/(鋼塊の平均断面積)×100%で算出される。鍛伸減面率を規制したのは、熱処理変寸の要因となる成分偏析の低減、鋼塊の内部欠陥の閉塞、および切削性と衝撃値に寄与する晶出炭化物を分散させるために25%以上必要である。すなわち、鋼塊のV偏析、柱状晶帯および等軸晶帯などの正偏析部に圧下を加えて歪みを導入することで、後の均熱保持において偏析部での拡散が促進されて、成分が均一に分散されるため、熱処理変寸量が改善される。
1075〜1150℃で8時間以上均熱保持
偏析部の合金成分を拡散させるためには、1075℃以上で8時間以上の均熱保持が必要である。しかし、保持温度を高くし過ぎると、圧延、鍛伸時にオーバーヒートして内部欠陥が発生するために、1150℃以下とした。
上述のように、切削性を改善するために、従来のS添加に加えてSi量増加によって、切削抵抗の低減とBelag効果による切削工具の寿命向上を図り、かつ、熱処理変寸特性を改善するために、Mo,Vの低減により、炭化物析出を減らし高温焼戻しで残留オーステナイトの分解を抑制するとともに、鍛伸均熱処理により成分偏析を軽減する。また、衝撃特性を改善するために、C−Cr量の最適化による炭化物とMo,Vの低減を図ったものである。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す成分組成の鋼を100kg真空誘導溶解炉にて溶解した後鋳型にて造塊し、この造塊を1100℃に加熱して鋼塊幅方向に減面率28%で鍛造し、1100℃、10時間の均熱保持後鍛伸により厚み35mm、幅150mmの平角材とし、その後径32mmの丸棒材を作製し供試材とした。その各化学成分での鍛伸減面率および加熱条件としての温度−時間を表1に示す。また、表2に各焼戻温度での熱処理変寸率、焼入焼戻硬さ(HRC)と残留オーステナイト量並びに切削性評価とシャルピー衝撃値を示す。
熱処理変寸評価としては、試験片として、厚み25mm、幅120mm、長さ150mmのものを用いて真空熱処理(焼入:1030℃、1時間保持後加圧ガス冷却、焼戻し:480℃、500℃、520℃、540℃での1時間保持後ガス冷却)して、熱処理前と後の測定寸法から次の式により熱処理変寸率を算出する。
熱処理変寸率(%)=[(熱処理後寸法−熱処理前寸法)/熱処理前寸法]×100
なお、本発明では長手方向の変寸率で評価を行った。
焼入焼戻硬さ(HRC)の評価としては、厚み10mm、幅10mm、長さ15mmのブロックを各熱処理条件で処理した後、平面研磨して、ロックウエルCスケールで硬さを測定した。また、残留オーステナイト量の測定としては、硬さ測定試験片を用いてX線回折法により測定した。
切削性評価としては、熱処理変寸試験片(520℃焼戻材)を用い、焼入焼戻材でのドリル加工性試験を行う。試験は、切削工具:KOBELCO超硬ドリルVC−SSS、径1.5、切削深さ:4.5mm(3D)、切削速度10m/min(ドリル回転数2122rpm、送り量0.01mm/rev.)、切削油:エマルジョン(ユシローケンEC50)で連続穿孔を行ない、ドリル折損に至るまでに穿孔できた穴数で評価した。
また、シャルピー衝撃試験は、径32mm材中心部から圧延方向にシャルピー試験片(厚み10mm、幅10mm、長さ55mm、10R2mmCノッチ)を採取し、作製して、真空熱処理(焼入:1030℃、1時間保持後加圧ガス冷却、焼戻し:500℃、1時間保持後ガス冷却)の後、シャルピー衝撃試験を実施した。
Figure 0005345415
Figure 0005345415
表1に示すように、No.1〜6は本発明例であり、No.7〜13は比較例である。
比較例No.7はC,Cr含有量が高く、Si、S含有量が低く、かつ加熱条件としての時間が短いことから、焼戻温度520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、かつ残留オーステナイト量が少なく、切削性、衝撃特性が悪い。比較例No.8はC,Ni,CrおよびMo+1/2W含有量が高く、Si含有量が低く、かつ鍛伸減面率が高いために、焼戻温度520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、かつ残留オーステナイト量が少なく、切削性、特に衝撃特性が非常に悪い。
比較例No.9はNi、Mo+1/2W、V+1/2Nb含有量が高く、鍛伸減面率が低く、かつ加熱条件である時間が短いために、焼戻温度520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、かつ残留オーステナイト量が少なく、切削性、衝撃特性が劣る。比較例No.10はC,Mn,Cr含有量が高く、また、Si,S、Mo+1/2W含有量が低く、鍛伸減面率が低いために、焼戻温度520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、かつ残留オーステナイト量が少なく、切削性、特に衝撃特性が悪い。
比較例No.11はNi,Mo+1/2W含有量が高く、また、加熱条件である温度が低いために、焼戻温度520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、かつ焼戻温度520℃での残留オーステナイト量が少なく、切削性、衝撃特性に劣る。比較例No.12はNiおよびCr含有量が低く、V+1/2Nb含有量が高く、また、加熱条件である時間が短いために、焼戻温度、520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、残留オーステナイト量が多いために、衝撃特性に劣る。
比較例No.13はCおよびCr含有量が高く、また、加熱条件である時間が短いために、焼戻温度、520℃、540℃での熱処理寸率が大きく、特に540℃での残留オーステナイト量が多いために、衝撃特性に劣る。これに対し、本発明例であるNo.1〜6は、いずれも本発明の条件を満たしていることから、高温熱処理による熱処理変寸率、切削性、衝撃特性等の特性に優れていることが分かる。
以上のように、Si含有量を増加することで、基地を脆化させ、切削工具表面に酸化物層を生成させ、被削材の凝着を抑制させる。また、Mo,Vを低減することで、高温焼戻し時の炭化物析出を減らし、残留オーステナイトの分解を抑制することで、熱処理変寸による膨張を小さくできる。さらに、鍛伸均熱処理による成分偏析の軽減と炭化物の微細均一化により熱処理変寸特性および衝撃特性が改善される極めて優れた効果を奏するものである。


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.80〜0.89%、
    Si:1.0〜1.4%未満、
    Mn:0.1〜1.0%、
    S:0.030〜0.070%、
    Cr:7.5〜8.5%、
    Ni:0.05〜0.2%、
    MoおよびWの内の1種または2種をMo+1/2W:0.9〜1.6%、VおよびNbの内の1種または2種をV+1/2Nb:0.03〜0.3%を含有し、残部をFeおよび不可避的不純物からなる被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
  2. 請求項1に記載の鋼に加えて、Cr/C:8.5〜10.5、(Mo+1/2W)/(V+1/2Nb):5.5〜15.5であることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
  3. 請求項1または2に記載の鋼に加えて、(Si+S×100)/〔(V+1/2Nb)×10〕:2.5〜10.0であることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼を鋼塊状態から鍛造により鋼塊幅方向で減面率25%以上の圧下を加えて、1075〜1150℃で8時間以上均熱保持した後に、鍛造または圧延してなることを特徴とする被削性、熱処理変寸特性、衝撃特性に優れた冷間プレス金型用鋼。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼を使用し、切削加工後、熱処理または表面処理を施した冷間プレス金型。
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