JPH10298489A - 水性塗料組成物および水系塗膜表面の親水化剤 - Google Patents

水性塗料組成物および水系塗膜表面の親水化剤

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JPH10298489A
JPH10298489A JP12500397A JP12500397A JPH10298489A JP H10298489 A JPH10298489 A JP H10298489A JP 12500397 A JP12500397 A JP 12500397A JP 12500397 A JP12500397 A JP 12500397A JP H10298489 A JPH10298489 A JP H10298489A
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JP
Japan
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group
polymer component
coating composition
block polymer
functional group
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JP12500397A
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English (en)
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Atsushi Ogaki
敦 大垣
Yumiko Arai
由美子 新井
Yoshiki Tachibana
佳樹 橘
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料からなる塗膜について、水に曝され
た場合であってもその表面の親水性が低下しにくいよう
にする。 【解決手段】 水性塗料組成物は、ポリオルガノシロキ
サンユニットとポリアルキレンオキサイドユニットとを
含みかつ反応性を有する第1の官能基を末端に有するブ
ロックポリマー成分と、第1の官能基と反応可能な第2
の官能基とカルボニル基とを有するアクリル系ポリマー
成分と、ジヒドラジド化合物と、水性の膜形成性樹脂成
分とを含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、塗料組成物および
塗膜表面の親水化剤、特に、水性塗料組成物および水系
塗膜表面の親水化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の外壁には、意匠性や耐候性など
を付与することを目的として、通常、塗装が施されてい
る。ここで用いられる塗料は、環境衛生上の観点から溶
剤系のものよりも水性のものが主流になりつつある。
【0003】ところで、水性塗料により建築物の外壁に
付与される塗膜は、雨すじなどの汚れが付着しにくい特
性、すなわち耐汚染性が要求される。このような耐汚染
性は、一般に、塗膜の表面の親水性を高めることにより
達成することができるものとされている。そこで、所要
の耐候性などを維持しながら親水性の高い塗膜を形成す
ることができる水性塗料として、ポリオルガノシロキサ
ンユニットとポリアルキレンオキサイドユニットとを含
むブロックポリマーを添加したものが提案されている
(例えば、特開平4−370176号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のブロックポリマ
ーを含む水性塗料を用いて塗膜を形成すると、主として
塗膜の表面付近にブロックポリマー成分が多量に含まれ
るようになる。このブロックポリマーに含まれる親水性
のポリアルキレンオキサイドユニットにより、塗膜の表
面が親水性化される。
【0005】しかし、上述のブロックポリマーは、親水
性のユニットを含んでいるために、塗膜の表面が雨水な
どの水に曝された場合に塗膜表面から脱落しやすい。こ
のため、このようなブロックポリマーを含む塗膜の表面
は、形成初期の親水性が高く耐汚染性が良好であるが、
雨水などに曝されると徐々に親水性が低下し、汚染され
やすくなる。
【0006】本発明の目的は、水性塗料からなる塗膜に
ついて、水に曝された場合であってもその表面の親水性
が低下しにくいようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る水性塗料組
成物は、ポリオルガノシロキサンユニットとポリアルキ
レンオキサイドユニットとを含みかつ反応性を有する第
1の官能基を末端に有するブロックポリマー成分と、第
1の官能基と反応可能な第2の官能基とカルボニル基と
を有するアクリル系ポリマー成分と、ジヒドラジド化合
物と、水性の膜形成性樹脂成分とを含んでいる。
【0008】ここで、ブロックポリマー成分が有する第
1の官能基は、例えば、アミノ基、ヒドラジド基および
カルボキシル基のうちの少なくとも1つであり、また、
アクリル系ポリマー成分が有する第2の官能基は、例え
ば、アセトアセトキシ基およびエポキシ基のうちの少な
くとも1つである。
【0009】また、水性の膜形成性樹脂成分は、例え
ば、カルボニル基を有している。
【0010】さらに、ブロックポリマー成分に対するア
クリル系ポリマー成分の割合は、例えば、固形分重量換
算で1〜20倍に設定されている。さらに、ブロックポ
リマー成分とアクリル系ポリマー成分との含有量は、例
えば、全樹脂固形分重量の0.1〜30重量%に設定さ
れている。
【0011】本発明に係る水系塗膜表面の親水化剤は、
ポリオルガノシロキサンユニットとポリアルキレンオキ
サイドユニットとを含みかつ反応性を有する第1の官能
基を末端に有するブロックポリマー成分と、第1の官能
基と反応可能な第2の官能基とカルボニル基とを有する
アクリル系ポリマー成分と、ジヒドラジド化合物とを含
んでいる。
【0012】
【発明の実施の形態】水性塗料組成物 〔ブロックポリマー成分〕本発明の水性塗料組成物に含
まれるブロックポリマー成分は、ポリオルガノシロキサ
ンユニットとポリアルキレンオキサイドユニットとを含
み、両末端に反応性を有する第1の官能基を有するもの
である。このようなブロックポリマー成分としては、ポ
リアルキレンオキサイドユニット側に第1の官能基が結
合しているもの(ブロックポリマーA)およびポリオル
ガノシロキサンユニット側に第1の官能基が結合してい
るもの(ブロックポリマーB)の2種類を例示すること
ができる。ここで、ブロックポリマーAおよびブロック
ポリマーBを模式的に示すと下記のようになる。
【0013】
【化1】
【0014】このようなブロックポリマー成分を構成す
るポリオルガノシロキサンユニットとしては、例えば下
記の一般式(1)で示されるものを挙げることができ
る。
【0015】
【化2】
【0016】一般式(1)において、R1 およびR2
は、アルキル基(好ましくは炭素数が1〜8のもの)、
アリール基(好ましくは炭素数が6〜10のもの)、ま
たはアラルキル基(好ましくは炭素数が7〜9のもの)
である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t
−ブチル基、2−エチルヘキシル基などが例示できる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル
基、t−ブチルフェニル基などが例示できる。アラルキ
ル基としては、ベンジル基、プロピルフェニル基などが
例示できる。R1 およびR2 は、互いに同じであっても
よいし異なっていてもよい。aは、通常1〜135であ
る。
【0017】このようなポリオルガノシロキサンユニッ
トの好ましい具体例は、ポリジメチルシロキサン、ポリ
メチルフェニルシロキサン、ポリメチルプロピルシロキ
サン、ポリジフェニルシロキサンおよびポリジメチルジ
フェニルシロキサンである。ポリオルガノシロキサンユ
ニットの数平均分子量は、400〜20,000が好ま
しく、600〜10,000がより好ましい。数平均分
子量が400未満の場合には、本発明の水性塗料組成物
により形成される塗膜の表面にブロックポリマー成分が
局在化しにくくなり、当該塗膜を十分に親水化しにくい
場合がある。逆に、20,000を上回ると、本発明の
水性塗料組成物がハジキなどの不具合を示すおそれがあ
る。
【0018】本発明で用いられるブロックポリマー成分
には、上述のポリオルガノシロキサンユニットが複数種
類含まれていてもよい。
【0019】一方、本発明で用いられるブロックポリマ
ー成分を構成するポリアルキレンオキサイドユニット
は、例えば下記の一般式(2)で示されるものである。
【0020】
【化3】
【0021】式中、R3 は、メチレン基、エチレン基、
n−プロピレン基、n−ブチレン基、またはイソプロピ
レン基を示し、また、bは、通常2〜230である。
【0022】このようなポリアルキレンオキサイドユニ
ットの具体例としては、ポリメチレンオキサイド、ポリ
エチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリ
テトラメチレンオキサイドなどが挙げられる。このう
ち、塗膜に付与することができる親水性の高さおよび製
造の容易さを考慮すると、ポリエチレンオキサイドが好
ましい。
【0023】ポリアルキレンオキサイドユニットの数平
均分子量は、200〜8,000が好ましく、600〜
4,000がより好ましい。数平均分子量が200未満
の場合には、本発明の水性塗料組成物により形成される
塗膜の表面が十分に親水化されない場合がある。逆に、
8,000を上回ると、後述するブロックポリマー成分
の製造方法において、材料となるポリアルキレンオキサ
イド化合物とポリオルガノシロキサン化合物との反応が
進行しにくくなり、目的とするブロックポリマー成分を
得るのが困難な場合がある。
【0024】本発明で用いられるブロックポリマー成分
には、上述のポリアルキレンオキサイドユニットが複数
種類含まれていてもよい。
【0025】なお、上述のブロックポリマーAおよびブ
ロックポリマーBにおいて、nは1〜10が好ましく、
1〜3がより好ましい。nが10を超える場合は、ブロ
ックポリマーの分子量が大きくなり過ぎるので、本発明
の水性塗料組成物からなる塗膜を効率よく親水化するの
が困難になる。
【0026】本発明で用いられる上述のブロックポリマ
ー成分の両末端に位置する第1の官能基は、後述するア
クリル系ポリマー成分に含まれる第2の官能基と反応可
能な官能基である。第1の官能基の具体例としては、ア
ミノ基、カルボキシル基およびヒドラジド基を挙げるこ
とができる。本発明で用いられる上述のブロックポリマ
ー成分は、例えば、下記の方法に従って製造することが
できる。
【0027】(第1の官能基がアミノ基の場合)方法1: 上述のポリオルガノシロキサンユニットの両末
端にエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン化合物
と、上述のポリアルキレンオキサイドユニットの両末端
にアミノ基を有するポリアルキレンオキサイド化合物と
を反応させる。この際、生成するブロックポリマーが上
述のブロックポリマーAのようになるように、ポリオル
ガノシロキサン化合物とポリアルキレンオキサイド化合
物との量比を設定する。
【0028】方法2:上述のポリオルガノシロキサンユ
ニットの両末端にアミノ基を有するポリオルガノシロキ
サン化合物と、上述のポリアルキレンオキサイドユニッ
トの両末端にエポキシ基を有するポリアルキレンオキサ
イド化合物とを反応させる。この際、生成するブロック
ポリマーが上述のブロックポリマーBのようになるよう
に、ポリオルガノシロキサン化合物とポリアルキレンオ
キサイド化合物との量比を設定する。
【0029】(第1の官能基がカルボキシル基の場合)方法1: 上述のポリオルガノシロキサンユニットの両末
端にエポキシ基を有するポリオルガノシロキサン化合物
と、上述のポリアルキレンオキサイドユニットの両末端
にカルボキシル基を有するポリアルキレンオキサイド化
合物とを反応させる。この際、生成するブロックポリマ
ーが上述のブロックポリマーAのようになるように、ポ
リオルガノシロキサン化合物とポリアルキレンオキサイ
ド化合物との量比を設定する。
【0030】方法2:上述のポリオルガノシロキサンユ
ニットの両末端にカルボキシル基を有するポリオルガノ
シロキサン化合物と、上述のポリアルキレンオキサイド
ユニットの両末端にエポキシ基を有するポリアルキレン
オキサイド化合物とを反応させる。この際、生成するブ
ロックポリマーが上述のブロックポリマーBのようにな
るように、ポリオルガノシロキサン化合物とポリアルキ
レンオキサイド化合物との量比を設定する。
【0031】(第1の官能基がヒドラジド基の場合)方法1: 先ず、上述のポリオルガノシロキサンユニット
の両末端にカルボキシル基またはアミノ基を有するポリ
オルガノシロキサン化合物と、上述のポリアルキレンオ
キサイドユニットの両末端にエポキシ基を有するポリア
ルキレンオキサイド化合物とを反応させてブロックポリ
マーを調製する。この際、生成するブロックポリマーの
両末端にポリアルキレンオキサイド化合物に結合したエ
ポキシ基が位置するように、ポリオルガノシロキサン化
合物とポリアルキレンオキサイド化合物との量比を設定
する。次に、得られたブロックポリマーの両末端に位置
するエポキシ基にヒドラジド化合物を反応させ、エポキ
シ基をヒドラジド基に変換する。なお、ここで用いられ
るヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒ
ドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−
5−イソプロピルヒダントイン、カーボジヒドラジド、
セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、
イソフタル酸ジヒドラジドを挙げることができる。
【0032】方法2:先ず、上述のポリオルガノシロキ
サンユニットの両末端にエポキシ基を有するポリオルガ
ノシロキサン化合物と、上述のポリアルキレンオキサイ
ドユニットの両末端にカルボキシシル基またはアミノ基
を有するポリアルキレンオキサイド化合物とを反応させ
てブロックポリマーを調製する。この際、生成するブロ
ックポリマーの両末端にポリオルガノシロキサン化合物
に結合したエポキシ基が位置するように、ポリオルガノ
シロキサン化合物とポリアルキレンオキサイド化合物と
の量比を設定する。次に、得られたブロックポリマーの
両末端に位置するエポキシ基にヒドラジド化合物を反応
させ、エポキシ基をヒドラジド基に変換する。なお、こ
こで用いられるヒドラジド化合物は、方法1の場合と同
様である。
【0033】〔アクリル系ポリマー成分〕本発明の水性
塗料組成物に含まれるアクリル系ポリマー成分は、上述
のブロックポリマー成分の末端に位置する第1の官能基
と反応可能な第2の官能基と、カルボニル基とを有する
水性のものである。ここで、第2の官能基としては、例
えば、アセトアセトキシ基およびエポキシ基を挙げるこ
とができる。また、ここでのカルボニル基は、アルキル
基またはアルキレン基が両端に結合しているC=O基を
意味する。
【0034】このようなアクリル系ポリマー成分は、第
2の官能基を有するアクリル系モノマー、カルボニル基
を有するアクリル系モノマー、水溶性のアクリル系モノ
マーおよび中性のアクリル系モノマーを通常の溶液重合
することにより製造することができる。以下、第2の官
能基がアセトアセトキシ基である場合(態様1)とエポ
キシ基である場合(態様2)とに分けて、アクリル系ポ
リマー成分の製造方法を説明する。
【0035】(態様1:第2の官能基がアセトアセトキ
シ基である場合)この場合は、各アクリル系モノマー成
分として、例えば下記のものが用いられる。 ◎アセトアセトキシ基を有するアクリル系モノマー アセトアセトキシエチルメタクリレート。 ◎カルボニル基を有するアクリル系モノマー ジアセトンアクリルアミド。 ◎水溶性のアクリル系モノマー ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸、メ
タクリル酸、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメ
チルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリ
ルアミド、下記の一般式(3)で示されるメタクリル酸
エステル(例えば、新中村化学株式会社製の商品名”M
90G”(n=9)や同社製の商品名”M230G”
(n=23)など)、下記の一般式(4)で示されるメ
タクリル酸エステル(例えば、日本油脂株式会社製の商
品名”ブレンマーPE−200”(n=4〜5)、同社
製の商品名”ブレンマーPE−350”(n=7〜9)
および同社製の商品名”ブレンマーPE−90”(n=
2)など)、および下記の一般式(5)で示されるアク
リル酸エステル(例えば、日本油脂株式会社製の商品
名”ブレンマーAE−350”(n=6〜8)など)。
これらのモノマーは、2種以上のものが併用されてもよ
い。
【0036】
【化4】
【0037】◎中性のアクリル系モノマー ノルマルブチルアクリレート、ノルマルブチルメタクリ
レート、ターシャリーブチルメタクリレート、イソブチ
ルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ノルマ
ルプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキ
シルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートおよ
びスチレン。これらのモノマーは、2種以上のものが併
用されてもよい。
【0038】上述の各アクリル系モノマーの重合割合
は、通常、アセトアセトキシ基を有するアクリル系モノ
マーが0.5〜80重量%(好ましくは10〜60重量
%)、カルボニル基を有するアクリル系モノマーが0.
5〜80重量%(好ましくは1〜15重量%)、水溶性
のアクリル系モノマーが0〜80重量%(好ましくは0
〜60重量%)、中性のアクリル系モノマーが0〜80
重量%(好ましくは0〜60重量%)の範囲で合計が1
00重量%になるよう設定される。なお、アセトアセト
キシ基を有するアクリル系モノマーが0.5重量%未満
の場合は、目的とするアクリル系ポリマー成分中に十分
な量のアセトアセトキシ基を導入するのが困難になり、
結果的に親水性を長期間安定に維持することができる塗
膜を形成するのが困難になる。逆に、このモノマーの割
合が80重量%を超えると、自己架橋などの副反応が起
きやすくなり、目的とするアクリル系ポリマー成分が所
要の性能を示さない場合がある。また、カルボニル基を
有するアクリル系モノマーが0.5重量%未満の場合
は、目的とするアクリル系ポリマー成分中に十分な量の
カルボニル基を導入するのが困難になり、結果的に親水
性を長期間安定に維持することができる塗膜を形成する
のが困難になる。逆に、このモノマーの割合が80重量
%を超えると、自己架橋などの副反応が起きやすくな
り、目的とするアクリル系ポリマー成分が所要の性能を
示さない場合がある。さらに、水溶性のアクリル系モノ
マーの割合が80重量%を超える場合は、本発明の水性
塗料組成物により得られる塗膜の耐水性を損なうおそれ
があるので好ましくない。さらに、中性のアクリル系モ
ノマーの割合が80重量%を超える場合は、アクリル系
ポリマー成分を本発明の水性塗料組成物中に添加するの
が困難になる。
【0039】なお、目的とするアクリル系ポリマー成分
を製造する場合は、上述の各種アクリル系モノマー成分
に加えて、重合性二重結合を有するオルガノシロキサン
含有アクリルモノマーが一部に用いられてもよい。ここ
で利用可能なオルガノシロキサン含有アクリルモノマー
は、例えば、下記の一般式(6)および(7)で示され
るものである。なお、式中のnは、0〜70の範囲の整
数である。
【0040】
【化5】
【0041】このようなオルガノシロキサン含有アクリ
ルモノマーを用いた場合は、目的とするアクリル系ポリ
マー成分中にオルガノシロキサン構造を導入することが
でき、結果的に本発明の水性塗料組成物からなる塗膜の
親水性をより長期間安定に維持することができるように
なる。なお、上述のオルガノシロキサン含有アクリルモ
ノマーの使用量は、通常、上述の各アクリル系モノマー
の合計量の20重量%以下に設定するのが好ましく、1
0重量%以下に設定するのがより好ましい。この使用量
が20重量%を超えると、本発明の水性塗料組成物によ
る塗膜を疎水化してしまう場合があり、好ましくない。
【0042】なお、本態様のアクリル系ポリマー成分を
製造する場合の好ましいモノマーの種類および配合割合
は、アセトアセトキシエチルメタクリレート60重量
%、ジアセトンアクリルアミド10重量%、ジメチルア
クリルアミド20重量%、ノルマルブチルアクリレート
9重量%および上述の一般式(6)で示されるオルガノ
シロキサン含有アクリルモノマー(但し、n=1のも
の)1重量%である。
【0043】(態様2:第2の官能基がエポキシ基であ
る場合)この場合は、態様1の場合に用いたアセトアセ
トキシ基を有するアクリル系モノマーに代えてエポキシ
基を有するアクリル系モノマーを用い、他のアクリル系
モノマーとしては態様1の場合と同様のものを用いる。
ここで、エポキシ基を有するアクリル系モノマーとして
は、例えば、グリシジルメタクリレートを例示すること
ができる。
【0044】各モノマーの重合割合は、エポキシ基を有
するアクリル系モノマーの使用量を0.1〜20重量
%、好ましくは0.5〜5重量%に設定する点を除き、
態様1の場合と同様である。エポキシ基を有するアクリ
ル系モノマーの使用量が0.1重量%未満の場合は、目
的とするアクリル系ポリマー成分中に十分な量のエポキ
シ基を導入するのが困難になり、結果的に親水性を長期
間安定に維持することができる塗膜を形成するのが困難
になる。逆に、このモノマーの割合が20重量%を超え
ると、本発明の水性塗料組成物中でゲル化反応を起こす
おそれがある。
【0045】本態様のアクリル系ポリマー成分を製造す
る際にも、態様1の場合と同様のオルガノシロキサン含
有アクリルモノマーが態様1の場合と同様の割合で用い
られてもよい。
【0046】なお、本態様のアクリル系ポリマー成分を
製造する場合の好ましいモノマーの種類および配合割合
は、グリシジルメタクリレート2.2重量%、ジアセト
ンアクリルアミド10重量%、ジメチルアクリルアミド
50重量%、ノルマルブチルアクリレート32.8重量
%および上述の一般式(6)で示されるオルガノシロキ
サン含有アクリルモノマー(但し、n=1のもの)5重
量%である。
【0047】アクリル系ポリマー成分の数平均分子量
は、上述の態様1および態様2のいずれの場合も、4,
000〜15,000に設定するのが好ましく、5,0
00〜12,000に設定するのがより好ましい。この
数平均分子量が4,000未満の場合は、塗膜中に固定
化されにくく、雨水と共に溶出しやすくなる。逆に、1
5,000を超える場合は、本発明の水性塗料組成物の
粘度が必要以上に増加するおそれがある。
【0048】〔ジヒドラジド化合物〕本発明で用いられ
るジヒドラジド化合物は、ヒドラジド基を2つ有するも
のであり、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、カーボン
ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジ
ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドおよび1,3−
ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒ
ダントインを挙げることができる。
【0049】このようなジヒドラジド化合物は、上述の
アクリル系ポリマー成分に含まれるカルボニル基と反応
可能なヒドラジド基を2つ有しているため、後述する水
性の膜形成性樹脂成分がカルボニル基を有している場合
は、アクリル系ポリマー成分と水性の膜形成性樹脂成分
とを結合するための架橋剤として機能し得る。
【0050】〔水性の膜形成性樹脂成分〕本発明で用い
られる水性の膜形成性樹脂成分は、通常の水性塗料用に
用いられているものであって水溶性タイプのものおよび
エマルションタイプのもののいずれであってもよく、特
に限定されるものではない。但し、好ましい膜形成性樹
脂成分は、塗膜がより長期間親水性を維持することがで
きることから、上述のジヒドラジド化合物のヒドラジド
基と反応可能な官能基、例えばカルボニル基を有するも
の、特にエマルションタイプのものである。
【0051】ここで、カルボニル基を有する重合体のエ
マルションとしては、例えば、1分子中に少なくとも1
個のカルボニル基を含有しかつ重合性二重結合を有する
オキソ化合物、重合性二重結合を有するカルボキシル化
合物、およびその他のモノマーを乳化重合することによ
り得られるものを用いることができる。なお、ここでの
説明において、カルボニル基とは、アルキル基またはア
ルキレン基が両端に結合しているC=O基を意味する。
【0052】上述の重合性二重結合を有するオキソ化合
物は、1分子中に少なくとも1個のカルボニル基と重合
可能な二重結合とを有するものである。具体的には、ダ
イアセトンアクリルアミド,ダイアセトンメタクリルア
ミドなどの(メタ)アクリルアミドから誘導されるも
の、アセトアセトキシエチルメタクリレート,アセトア
セトキシエチルアクリレートなどのアセトアセトキシ基
を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルメチルケ
トン,ビニルエチルケトン,ビニルブチルケトンなどの
ビニルアルキルケトン、アクロレイン,ホルミルスチロ
ールなどのアルデヒド基を有するものを例示することが
できる。この中で好ましいものとしては、(メタ)アク
リルアミドから誘導されるもの、およびアセトアセトキ
シ基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、特に
好ましいものは、ダイアセトンアクリルアミドである。
【0053】一方、重合性二重結合を有するカルボキシ
ル化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸などを例示することができる。また、
その他のモノマーとしては、アクリル酸またはメタクリ
ル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブ
チル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フ
ェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロ
キシプロピルのエステル、ポリカプロラクトンと2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物、アク
リルアミド、メタクリルアミド、およびN−メチロール
アクリルアミドの誘導体などのアクリル系モノマー、並
びに、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニルなど
の非アクリル系モノマーが例示できる。
【0054】上述のエマルションを製造する際に用いら
れる、重合性二重結合を有するオキソ化合物の量は、通
常、全モノマーの0.1〜30重量%、好ましくは0.
5〜10重量%、さらに好ましくは1〜10重量%であ
る。0.1重量%未満の場合は、本発明の水性塗料組成
物により得られる膜の架橋度が不十分になるおそれがあ
る。逆に、30重量%を超えると、得られる膜の物性に
悪影響を及ぼすおそれがある。
【0055】一方、重合性二重結合を有するカルボキシ
ル化合物の量は、共重合体としての酸価が10〜50に
なるように設定するのが好ましい。酸価が10未満の場
合には、安定なエマルションが得られにくく、50を超
える場合には、得られる膜の物性に悪影響を及ぼすおそ
れがある。その他のモノマーは、得られる膜の物性調整
のための必要量を適宜選択して用いることができる。
【0056】なお、このようなエマルションを製造する
際の乳化重合の方法は、特に限定されるものではなく、
当業者に一般的に知られている方法が利用できる。
【0057】〔他の成分〕本発明の水性塗料組成物は、
上述の必須成分の他に、通常の水性塗料に含有され得る
各種の添加材、例えば、各種の体質顔料や着色顔料など
を含んでいてもよい。
【0058】〔混合割合〕本発明の水性塗料組成物にお
いて、ブロックポリマー成分とアクリル系ポリマー成分
との混合割合は、ブロックポリマー成分に対するアクリ
ル系ポリマー成分の割合が固形分重量換算で1〜20倍
になるよう設定するのが好ましく、2〜10倍になるよ
う設定するのがより好ましい。アクリル系ポリマー成分
の割合が1倍未満の場合は、ブロックポリマー成分とア
クリル系ポリマー成分とが十分に反応しにくく、塗膜の
親水性を良好に維持するのが困難な場合がある。逆に、
20倍を超えると、塗膜の表面にブロックポリマー成分
が局在化しにくくなり、塗膜が親水化しにくい場合があ
る。
【0059】また、ブロックポリマー成分とアクリル系
ポリマー成分との合計量は、本発明の水性塗料組成物に
含まれる樹脂固形分の0.1〜30重量%になるよう設
定するのが好ましく、1〜20重量%になるよう設定す
るのがより好ましい。この合計量の割合が0.1重量%
未満の場合は、塗膜の表面が十分に親水化しない場合が
ある。逆に、20重量%を超える場合は、塗膜の耐水性
が損なわれる場合がある。
【0060】さらに、ジヒドラジド化合物の割合は、そ
れに含まれるヒドラジド基の当量数がアクリル系ポリマ
ー成分に含まれるカルボニル基の当量数と水性の膜形成
性樹脂成分に含まれるカルボニル基の当量数との合計に
対して80〜120%になるよう設定するのが好まし
く、90〜110%になるよう設定するのがより好まし
い。この割合が80%未満の場合は、反応が十分に進行
しにくくなり、塗膜が所要の性能を示しにくい場合があ
る。逆に、120%を超える場合は、塗膜内に未反応の
ジヒドラジド化合物が残存しやすくなり、塗膜の耐水性
が低下するおそれがある。
【0061】なお、本発明の水性塗料組成物は、上述の
各成分を所定の割合で混合することにより調製すること
ができる。但し、アクリル系ポリマー成分に含まれる第
2の官能基がエポキシ基の場合は、当該成分のエポキシ
基がジヒドラジド化合物のヒドラジド基と反応してしま
うのを回避するために、予めブロックポリマー成分とア
クリル系ポリマー成分とを混合してブロックポリマー成
分側の第1の官能基とアクリル系ポリマー成分側のエポ
キシ基とを反応させておくのが好ましい。
【0062】〔水性塗料組成物の利用〕本発明の水性塗
料組成物は、例えば水で適宜希釈して所望の基材に対し
て塗布されると、塗膜を形成する。この際、ブロックポ
リマー成分に含まれる第1の官能基とアクリル系ポリマ
ー成分に含まれる第2の官能基との反応、アクリル系ポ
リマー成分に含まれるカルボニル基とジヒドラジド化合
物のヒドラジド基との反応、さらに水性の膜形成性樹脂
成分がカルボニル基を有する場合は当該カルボニル基と
ジヒドラジド化合物のヒドラジド基との反応により、ブ
ロックポリマー成分、アクリル系ポリマー成分、ジヒド
ラジド化合物および水性の膜形成性樹脂成分が一体化す
るものと思われる。ここで、ブロックポリマー成分は、
塗膜の形成過程において表面付近に移動し易く、塗膜の
表面に多く存在し得る。
【0063】このようにして得られた塗膜は、表面付近
にブロックポリマー成分を多量に含むことになるため、
表面の親水性が高い。このため、この塗膜は、水(例え
ば雨水)に曝された場合に表面に付着した汚れなどが落
ちやすく、耐汚染性が良好である。
【0064】しかも、塗膜の表面の親水性に寄与し得る
ブロックポリマー成分は、上述のように他の成分と結合
して一体化し得るので、塗膜の表面が水に曝された場合
でも塗膜から脱落しにくい。したがって、本発明の水性
塗料組成物により得られる塗膜の表面の親水性は、低下
しにくく、長期間良好に維持され得る。
【0065】なお、本発明の水性塗料組成物は、雨水な
どの水に曝されやすい基材、例えば建築物や鋼構造物な
どの外壁面に適用された場合に特に有効である。
【0066】水系塗膜表面の親水化剤 本発明に係る水系塗膜表面の親水化剤は、水性塗料によ
り形成される水系の塗膜の表面に親水性を付与するもの
であり、水性塗料に添加して用いられるものである。
【0067】本発明の親水化剤は、本発明に係る上述の
水性塗料組成物に含まれる上述のブロックポリマー成
分、アクリル系ポリマー成分およびジヒドラジド化合物
を含んでいる。また、これらの成分の混合割合は、上述
の本発明に係る水性塗料組成物の場合と同様に設定する
ことができる。但し、ジヒドラジド化合物の混合割合
は、それに含まれるヒドラジド基の当量数がアクリル系
ポリマー成分に含まれるカルボニル基の当量数に対して
80〜120%になるよう設定するのが好ましく、90
〜110%になるよう設定するのがより好ましい。
【0068】この親水化剤は、既存の水性塗料に添加し
て用いられる。ここで、水性塗料の種類は、水溶性の膜
形成性樹脂を含むタイプのもの、またはエマルションタ
イプのもののいずれであってもよく、特に限定されるも
のではない。但し、当該水性塗料に含まれる膜形成性の
樹脂成分は、カルボニル基を有するものが好ましい。本
発明の親水化剤が添加された水性塗料による塗膜は、本
発明に係る上述の水性塗料組成物による塗膜と同様に高
い親水性を示し、しかもこの親水性は長期間良好に維持
され得る。
【0069】
【実施例】製造例1(ブロックポリマー成分の製造) 上述の一般式(1)において、R1 およびR2 が共にメ
チル基であり、かつaが8〜10のポリオルガノシロキ
サンユニット(数平均分子量=約1,000)の両末端
にエポキシ基が結合したポリオルガノシロキサン化合物
(信越化学工業株式会社製の商品名”KF−105”)
33部に対し、上述の一般式(2)においてR3 がエチ
レン基でありかつbが20〜24のポリエチレンオキサ
イドユニット(数平均分子量=1,000)の両末端に
アミノ基が結合したポリエチレンオキサイド化合物(川
研ファインケミカル株式会社製の商品名”PEOアミン
#1000”)を67部反応させ、上述のブロックポリ
マーA(第1の官能基=アミノ基、n=1)を製造し
た。
【0070】製造例2(ブロックポリマー成分の製造) 上述の一般式(1)において、R1 およびR2 が共にメ
チル基であり、かつaが50〜58のポリオルガノシロ
キサンユニット(数平均分子量=約4,000)の両末
端にエポキシ基が結合したポリオルガノシロキサン化合
物(信越化学工業株式会社製の商品名”X−22−16
3B”)66部に対し、製造例1で用いたものと同様の
ポリエチレンオキサイド化合物を34部反応させ、上述
のブロックポリマーA(第1の官能基=アミノ基、n=
1)を製造した。
【0071】製造例3(ブロックポリマー成分の製造) 上述の一般式(1)において、R1 およびR2 が共にメ
チル基であり、かつaが8〜10のポリオルガノシロキ
サンユニット(数平均分子量=1,000)の両末端に
アミノ基が結合したポリオルガノシロキサン化合物(信
越化学工業株式会社製の商品名”X−22−161A
S”)29部に対し、上述の一般式(2)においてR3
がエチレンでありかつbが14のポリエチレンオキサイ
ドユニット(数平均分子量=800)の両末端にエポキ
シ基が結合したポリエチレンオキサイド化合物(ナガセ
化成株式会社製の商品名”デナコールEX−841”)
を71部反応させ、上述のブロックポリマーB(第1の
官能基=アミノ基、n=1)を製造した。
【0072】製造例4〜8(アクリル系ポリマー成分の
製造) アセトアセトキシエチルメタクリレート、グリシジルメ
タクリレート、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルア
クリルアミド、日本油脂株式会社製の商品名”ブレンマ
ーPE−350”、ノルマルブチルアクリレートおよび
上述の一般式(6)で示されるオルガノシロキサン含有
アクリルモノマー(n=1)を、開始剤(化薬アクゾ株
式会社製の商品名”カヤエステルO”)2.5重量%の
存在下、ブチルセロソルブ中において表1に示す割合で
115℃で溶液重合した。この結果、ブチルセロソルブ
中の固形分が50重量%のアクリル系ポリマー溶液が得
られた。
【0073】
【表1】
【0074】実施例1〜30(親水化剤の調製) ブロックポリマー成分、アクリル系ポリマー成分および
ジヒドラジド化合物を表2に示す割合で混合し、親水化
剤を調製した。なお、表2中のジヒドラジド化合物を示
す”A”はアジピン酸ジヒドラジドを示し、”B”は
1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプ
ロピルヒダントインを示す。この点、以下の表について
も同様である。
【0075】
【表2】
【0076】実施例31〜42(親水化剤の調製) 表3に示すブロックポリマー成分とアクリル系ポリマー
成分とを予め混合した後、表3に示すジヒドラジド化合
物をさらに添加して混合し、親水化剤を調製した。
【0077】
【表3】
【0078】比較例1〜12(親水化剤の調製) ブロックポリマー成分、アクリル系ポリマー成分および
ジヒドラジド化合物を表4に示す割合で混合し、親水化
剤を調製した。
【0079】
【表4】
【0080】実施例43〜84(水性塗料組成物の調
製) 表5に示す水性塗料100gに対し、実施例1〜42で
得られた各親水化剤の全量をそれぞれ表5に示すように
個別に添加し、水性塗料組成物を調製した。なお、表5
中のP1〜P7は、下記の通りである。
【0081】P1:日本ペイント株式会社製の商品名”
オーデコートG”。 P2:日本ペイント株式会社製の商品名”Nタイルラッ
ク水性トップスーパーホワイト”。 P3:日本ペイント株式会社製の商品名”オーデフレッ
シュU−100”。 P4:日本ペイント株式会社製の商品名”オーデフレッ
シュSi−100”。 P5:日本ペイント株式会社製の商品名”メディコG
P”。 P6:日本ペイント株式会社製の商品名”メディコE
P”。 P7:日本ペイント株式会社製の商品名”オーデパティ
オ(白)”。
【0082】
【表5】
【0083】比較例13〜31(水性塗料組成物の調
製) 表6に示す水性塗料100gに対し、比較例1〜12で
得られた各親水化剤の全量をそれぞれ表6に示すように
個別に添加し、水性塗料組成物を調製した。なお、表6
中の水性塗料を示すP1〜P7は、表5と同じである。
【0084】
【表6】
【0085】実施例85〜100(水性塗料組成物の調
製) 表7に示すブロックポリマー成分、アクリル系ポリマー
成分、ジヒドラジド化合物および水性の膜形成性成分を
表7に示す割合で混合し、水性塗料組成物を調製した。
なお、表7中、水性の膜形成性成分を示すCおよびD
は、下記の通りである。これは、表7以後の表について
も同様である。
【0086】C:サイデン化学株式会社製の、ジアセト
ンアクリルアミドを3重量%共重合させたアクリルエマ
ルション(固形分=50重量%)。 D:サイデン化学株式会社製の、ジアセトンアクリルア
ミドを1重量%共重合させたアクリルエマルション(固
形分=50重量%)。
【0087】
【表7】
【0088】実施例101〜107(水性塗料組成物の
調製) 表8に示すブロックポリマー成分とアクリル系ポリマー
成分とを予め混合して混合物Iを調製し、これを表8に
示すジヒドラジド化合物と水性の膜形成性成分との混合
物IIに対して添加して混合し、水性塗料組成物を調製
した。
【0089】
【表8】
【0090】比較例32〜39(水性塗料組成物の調
製) 表9に示すブロックポリマー成分、アクリル系ポリマー
成分、ジヒドラジド化合物および水性の膜形成性成分を
表9に示す割合で混合し、水性塗料組成物を調製した。
【0091】
【表9】
【0092】比較例40〜45(水性塗料組成物の調
製) 表10に示すブロックポリマー成分とアクリル系ポリマ
ー成分とを予め混合して混合物Iを調製し、これを表1
0に示すジヒドラジド化合物と水性の膜形成性成分との
混合物IIに対して添加して混合し、水性塗料組成物を
調製した。
【0093】
【表10】
【0094】評価 シーラー剤(日本ペイント株式会社製の商品名”ニッペ
ウルトラシーラーII透明”)が塗布されたスレート板
を用意し、これに実施例43〜107および比較例13
〜45で得られた水性塗料組成物を0.15kg/m2
の割合でスプレー塗装した。これを相対湿度が70%の
室温下で3日間乾燥し、塗膜を形成した。
【0095】得られた塗膜について雨だれ暴露試験を実
施した。ここでは、約3mm間隔の溝を有する屋根を備
えた暴露架台を用意し、これに上述の塗膜が形成された
スレート板を垂直に配置した。この際、雨水が屋根を伝
ってスレート板の塗装面に流れ落ちるようにスレート板
を配置した。3ヵ月経過後に、ミノルタカメラ株式会社
製の商品名”CR−310”を用いて塗装面の色差(△
E値)を測定した。なお、△E値が小さい程、汚染の程
度が小さいことを示している。結果を表5〜10に示
す。
【0096】
【発明の効果】本発明の水性塗料組成物は、上述のよう
なブロックポリマー成分、アクリル系ポリマー成分、ジ
ヒドラジド化合物および水性の膜形成性樹脂成分を含ん
でいるので、水に曝された場合であっても表面の親水性
が低下しにくい塗膜を形成することができる。
【0097】また、本発明に係る水系塗膜表面の親水化
剤は、上述のブロックポリマー成分、アクリル系ポリマ
ー成分およびジヒドラジド化合物を含んでいるので、既
存の水性塗料に添加すると、当該塗料により形成される
塗膜に対して水に曝された場合でも劣化しにくい親水性
を付与することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオルガノシロキサンユニットとポリア
    ルキレンオキサイドユニットとを含みかつ反応性を有す
    る第1の官能基を末端に有するブロックポリマー成分
    と、 前記第1の官能基と反応可能な第2の官能基とカルボニ
    ル基とを有するアクリル系ポリマー成分と、 ジヒドラジド化合物と、 水性の膜形成性樹脂成分と、を含む水性塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記第1の官能基がアミノ基、ヒドラジド
    基およびカルボキシル基のうちの少なくとも1つであ
    り、前記第2の官能基がアセトアセトキシ基およびエポ
    キシ基のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載
    の水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記水性の膜形成性樹脂成分がカルボニル
    基を有している、請求項1または2に記載の水性塗料組
    成物。
  4. 【請求項4】前記ブロックポリマー成分に対する前記ア
    クリル系ポリマー成分の割合が、固形分重量換算で1〜
    20倍に設定されている、請求項1、2または3に記載
    の水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】前記ブロックポリマー成分と前記アクリル
    系ポリマー成分との含有量が、全樹脂固形分重量の0.
    1〜30重量%に設定されている、請求項1、2、3ま
    たは4に記載の水性塗料組成物。
  6. 【請求項6】ポリオルガノシロキサンユニットとポリア
    ルキレンオキサイドユニットとを含みかつ反応性を有す
    る第1の官能基を末端に有するブロックポリマー成分
    と、 前記第1の官能基と反応可能な第2の官能基とカルボニ
    ル基とを有するアクリル系ポリマー成分と、 ジヒドラジド化合物と、を含む水系塗膜表面の親水化
    剤。
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