JP2003073613A - 水性塗料用樹脂組成物 - Google Patents

水性塗料用樹脂組成物

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JP2003073613A
JP2003073613A JP2001266939A JP2001266939A JP2003073613A JP 2003073613 A JP2003073613 A JP 2003073613A JP 2001266939 A JP2001266939 A JP 2001266939A JP 2001266939 A JP2001266939 A JP 2001266939A JP 2003073613 A JP2003073613 A JP 2003073613A
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meth
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Keiichiro Saikawa
圭一郎 才川
Masami Sugishima
正見 杉島
Nobushige Numa
伸茂 奴間
Mitsutaka Hasegawa
三高 長谷川
Hiroshi Inukai
宏 犬飼
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Kansai Paint Co Ltd
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塗装環境によらずに容易に硬化しうる一液型の
水性塗料用樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】マレイミド基を有するエチレン性不飽和単
量体(a)とカルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(b)とその他のエチレン性不飽和単量体(c)の
共重合により得られる共重合体(I);カルボニル基を
有するエチレン性不飽和単量体(d)とその他のエチレ
ン性不飽和単量体(e)の共重合により得られる共重合
体(II);ならびにヒドラジド基、セミカルバジド基及
びヒドラゾン基から選ばれる同じもしくは異なる官能基
を1分子あたり2個以上有する化合物(III)を含有す
ることを特徴とする水性塗料用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装環境によらず
に容易に硬化しうる一液型の水性塗料用樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】近年、塗料、インキ、接着
剤等の分野では、省資源、環境衛生、無公害、非危険物
化等の点から、有機溶剤型から水性型への転換が進めら
れている。例えば、建築分野における水性塗料において
は、常温で乾燥し、且つ耐水性、耐候性、耐汚染性等の
塗膜性能に優れた塗料が要求されており、このような要
求に応える建築用途に適した水性常乾一液型塗料用組成
物として、例えば、特開平4−249587号公報等に
は、架橋性カルボニル基を含むエマルジョン粒子とジヒ
ドラジド化合物を含む組成物が開示されている。該組成
物は、貯蔵性に優れ、耐水性等の物性に優れた塗膜を形
成しうるが、塗装環境によっては十分に架橋反応が進行
しないという欠点がある。例えば、気温が低い時のよう
な水分の蒸発が著しく遅い環境の塗装において、塗装後
の初期段階における塗膜の耐水性(初期耐水性)が不十
分であるという問題がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の水
性常乾一液型塗料用組成物がもつ上記の如き問題を解決
すべく鋭意検討を行った結果、今回、架橋性カルボニル
基を含む共重合体と架橋剤を含む樹脂組成物を、架橋性
カルボニル基と自然光の照射により硬化するマレイミド
基と含む共重合体と併用することにより、塗装環境に関
わらず塗装後の初期段階においても耐水性や硬化性等に
優れた塗膜を形成しうる塗料用樹脂組成物が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】かくして、本発明は、マレイミド基を有す
るエチレン性不飽和単量体(a)とカルボニル基を有す
るエチレン性不飽和単量体(b)とその他のエチレン性
不飽和単量体(c)の共重合により得られる共重合体
(I);カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体
(d)とその他のエチレン性不飽和単量体(e)の共重
合により得られる共重合体(II);ならびにヒドラジド
基、セミカルバジド基及びヒドラゾン基から選ばれる同
じもしくは異なる官能基を1分子あたり2個以上有する
化合物(III)を含有することを特徴とする水性塗料用
樹脂組成物を提供するものである。以下、本発明の水性
塗料用樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。
【0005】なお、本明細書においては、アクリロイル
基又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と表
し、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリ
レートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)
アクリル酸と表し、アクロレイン又はメタクリロレイン
を(メタ)アクロレインと表し、アクリルアミド又はメ
タクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アリ
ル基又はメタリル基を(メタ)アリル基と表す。
【0006】
【発明の実施の形態】共重合体(I) 共重合体(I)は、マレイミド基を有するエチレン性不
飽和単量体(a)とカルボニル基を有するエチレン性不
飽和単量体(b)とその他のエチレン性不飽和単量体を
共重合させることにより得られる、分子中にマレイミド
基及びカルボニル基を有する共重合体である。
【0007】マレイミド基を有するエチレン性不飽和単
量体(a)は、自然光の照射により、光2量化して本発
明の樹脂組成物から形成される塗膜を3次元架橋させる
ためのマレイミド基を共重合体(I)に導入するために
使用されるものである。
【0008】かかるマレイミド基を有するエチレン性不
飽和単量体(a)には、エチレン性不飽和基と、下記式
(1)で表される環状イミド基を有する化合物(以下、
単に「イミド化合物」という)が包含される。
【0009】
【化1】
【0010】式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原
子又はアルキル基であり、或いはR 1とR2はそれらが結
合している炭素原子と一緒になって炭素環を形成する基
である。
【0011】上記イミド化合物におけるエチレン性不飽
和基としては、例えば、ビニル、アリル、(メタ)アク
リロイル基等が挙げられ、特に(メタ)アクリロイル基
が好ましい。
【0012】また、上記式(1)におけるR1及びR2
しては、イミド化合物同士の重合性や他の不飽和単量体
との共重合性との観点から、それぞれ独立してアルキル
基、好ましくは炭素数4以下のアルキル基であるか、又
は一緒になって炭素環を形成する基、例えば、基−CH
2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等、好まし
くは−CH2CH2CH2CH2−である。
【0013】しかして、イミド化合物として、具体的に
は、例えば、下記式(2)で表されるイミド(メタ)アク
リレートが挙げられる。
【0014】
【化2】
【0015】式中、R1及びR2は前記と同義であり、R
3はアルキレン基、好ましくは炭素数1〜6のアルキレ
ン基、より好ましくはエチレン又はプロピレン基であ
り、R 4は水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の
整数であり、好ましくは1又は2であり、より好ましく
は1である。
【0016】上記イミド(メタ)アクリレートとして
は、好ましくは、下記式(3)及び(4)で表される化
合物を挙げることができる。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】式中、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原
子又はメチル基であり、R6及びR7はそれぞれ独立に炭
素数4以下のアルキル基であり、nは1〜6の整数であ
る。
【0020】イミド(メタ)アクリレートは、それ自体
既知の化合物であり、例えば、加藤清ら、有機合成化学
協会誌,30(10),897,(1972);Javier
deAbajo et.al,Polymer,vol33(5),
1090,(1992);特開昭56−53119号公
報、特開平1−242569号公報等に記載されている
方法により、酸無水物、アミノアルコール及び(メタ)
アクリル酸から製造することができる。
【0021】カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(b)は、共重合体(I)にカルボニル基を導入す
るために使用されるものであり、該カルボニル基は後述
の化合物(III)中の官能基と架橋反応し、前記のマレ
イミド基による光架橋が不十分な場合において、共重合
体(I)による塗膜の架橋を補助するものである。
【0022】該カルボニル基を有するエチレン性不飽和
単量体(b)としては、1分子中に、アルデヒド基及び
ケト基から選ばれる少なくとも1個のカルボニル基と重
合可能な二重結合とを有する単量体が好適であり、具体
的には、例えば(メタ)アクロレイン、ホルミルスチロ
−ル、炭素数4〜7のビニルアルキルケトン(例えばビ
ニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチル
ケトン)、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙
げられる。これらの中、後述する化合物(III)との反
応性に優れる等の理由から、ダイアセトン(メタ)アク
リルアミドが好ましい。
【0023】以上に述べたマレイミド基を有するエチレ
ン性不飽和単量体(a)及びカルボニルを有するエチレ
ン性不飽和単量体(b)と共重合されるその他のエチレ
ン性不飽和単量体(c)としては、例えば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリ
レート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル
(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリ
ル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリ
レート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アク
リレート等の脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル
(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレ
ート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2
−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ
アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メ
タ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチルス
チレン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシ
リル基を有するエチレン性不飽和単量体等が挙げられ
る。これらの中で、共重合性、塗膜物性、粒子安定性の
面から好ましい単量体として、炭素数が1〜8のアルキ
ル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)
アクリル酸、スチレン、炭素数が2〜3のアルキレン基
を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が
挙げられ、また、耐候性等の面から好ましい単量体とし
て、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ
る。
【0024】共重合体(I)は、例えば、一般的な乳化
重合法に従い、乳化剤としての界面活性剤の存在下に、
上記マレイミド基を有するエチレン性不飽和単量体
(a)、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体
(b)及びその他のエチレン性不飽和単量体(c)を共
重合することにより容易に製造することができる。
【0025】上記の乳化重合に際し、マレイミド基を有
するエチレン性不飽和単量体(a)、カルボニル基を有
するエチレン性不飽和単量体(b)及びその他のエチレ
ン性不飽和単量体(c)は、単量体(a)、(b)、
(c)の合計量を基準にして、一般に、単量体(a)を
1〜40重量%、好ましくは4〜20重量%、単量体
(b)を1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、
及び単量体(c)を40〜98重量%、好ましくは55
〜94重量%の範囲内で使用することができる。
【0026】上記単量体(a)の使用割合が1重量%未
満では、得られる共重合体(I)を用いた樹脂組成物か
ら形成される塗膜の水分の蒸発が遅い環境における塗装
直後の初期耐水性等の物性が低下する可能性があり、他
方、40重量%を越えると樹脂組成物の架橋密度が高く
なりすぎて塗膜が脆くなる傾向が見られる。上記単量体
(b)が1重量%未満では、共重合体(I)を用いた樹
脂組成物から形成される塗膜の硬度、耐水性、耐汚染性
等の物性が低下する傾向にあり、他方、30重量%を越
えると塗膜の親水性が高くなり硬化後も耐水性が低下す
る可能性がある。
【0027】共重合体(I)の製造において、乳化剤
(界面活性剤)としては、乳化重合に通常使用されるも
の、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスル
ホン酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、ポリオ
キシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性
剤等を使用することもできるが、最終的に得られる樹脂
組成物を用いて形成される塗膜の耐水性等の観点から、
ラジカル重合性界面活性剤を使用することが好ましい。
ラジカル重合性界面活性剤を乳化剤として使用すると、
該ラジカル重合性界面活性剤が第三成分として共重合体
の中に組み込まれる。
【0028】ラジカル重合性界面活性剤としては、例え
ば、特公昭46−12472号公報、特公昭56−29
657号公報、特開昭56−28208号公報、特開昭
56−127697号公報、特開昭62−100502
号公報、特開平2−162287号公報等に記載されて
いるそれ自体既知のものを使用することができ、また、
市販品として、例えば、「ラテムル」(商品名、花王
(株)製)、「エレミノール」(商品名、三洋化成
(株)製)、「アクアロン」(商品名、第一工業製薬
(株)製)、「アデカリアソープ」(商品名、旭電化工
業(株)製)等が挙げられる。
【0029】本発明においては、特に、ポリオキシアル
キレン基を主鎖とし、一端にラジカル重合性二重結合を
有する基を有し、且つ他端にイオン解離性基を有する界
面活性剤、より具体的には、例えば、下記式(5)で表
される化合物が好適である。 Z−(AO)n−Y (5) 式中、Zはラジカル重合性二重結合を有する基であり、
AOはオキシアルキレン基であり、nは2以上の整数で
あり、Yはイオン解離性基である。
【0030】上記のラジカル重合性二重結合を有する基
としては、芳香族炭化水素基、アルキル置換芳香族炭化
水素基、高級アルキル基、脂環式炭化水素基等の疎水性
基部分と、(メタ)アリル、プロペニル、ブテニル基等
のラジカル重合性二重結合含有部分とが組み合わされた
構造を有するものが挙げられる。
【0031】ラジカル重合性界面活性剤は、アニオン性
又はカチオン性のいずれであってもよいが、特にアニオ
ン性のものが好ましく、したがって、イオン解離性基と
しては、オキシアルキレン基にアニオンが共有結合し、
これにカチオンがイオン結合した塩が好ましく、具体的
には、例えば−SO3Na、−SO3NH4、−COON
a、−COONH4、−PO3Na2及び−PO3(NH4
2等が挙げられ、中でも、−SO3Na、−SO3NH4
好適である。
【0032】ポリオキシアルキレン基におけるオキシア
ルキレン単位の繰り返し数nは、一般に300以下、好
ましくは5〜50であり、また、アルキレン基の種類と
してはエチレン又はプロピレン基が好ましい。
【0033】かかるラジカル重合性界面活性剤として
は、具体的には、例えば、下記式(6)、(7)及び
(8)で表される化合物が挙げられる。
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】上記式中、R8及びR9は炭素数6〜18の
直鎖状もしくは分岐状アルキル基であり、R10は炭素数
8〜24のアルキル基であり、R11は水素原子又はメチ
ル基であり、Yは上記で述べたイオン解離性基である。
【0038】ラジカル重合性界面活性剤の使用量は、マ
レイミド基を有するエチレン性不飽和単量体(a)、カ
ルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体(b)及び
その他のエチレン性不飽和単量体(c)の種類や、ラジ
カル重合性界面活性剤の種類等によって異なるが、一般
的には、使用する単量体の合計量100重量部に対し、
0.1〜5重量部の範囲内が好ましい。ラジカル重合性
界面活性剤の使用量が0.1重量部未満では、これを用
いて乳化重合して得られたエマルションの安定性が低下
する可能性があり、反対に5重量部を越えると、添加量
に比例した塗膜の耐水性の効果の向上が認められないば
かりでなく、むしろ耐水性が低下する傾向がみられる。
【0039】また、エマルションの安定性や、塗膜の耐
水性を向上の観点から、乳化重合に際して、ポリカルボ
ン酸系及びポリスルホン酸系等の陰イオン性高分子界面
活性剤、ポリビニルアルコール等の非イオン性高分子界
面活性剤を併用することもでき、その使用量は、一般に
使用する単量体の合計量100重量部に対して、0.1
〜5重量部の範囲内が好ましい。
【0040】マレイミド基を有するエチレン性不飽和単
量体(a)、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(b)及びその他のエチレン性不飽和単量体(c)
の乳化重合は、例えば、上記単量体(a)、(b)、
(c)の混合物を水性媒体中に上記の如き界面活性剤を
使用して乳化分散させ、重合開始剤を添加して加熱攪拌
する方法、上記単量体(a)、(b)、(c)の混合物
及び上記の如き界面活性剤を用いて先ず水性乳濁液を調
製し、その水性乳濁液を、重合開始剤を含む水性媒体中
に添加しつつ加熱攪拌する方法等により行うことができ
る。その際、生成する共重合体の分子量を調節するため
に、必要に応じて、連鎖移動剤を使用することもでき
る。
【0041】上記の重合開始剤としては、例えば、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;過酸化
水素、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパ
ーオキサイド等の過酸化物等が挙げられ、これらは重亜
硫酸ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を併用し、
レドックス系開始剤として使用してもよい。これらの
中、特に水溶性の重合開始剤が好ましい。また、上記の
連鎖移動剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、
キサントゲン酸ジスルフィド、ジアゾチオエーテル、2
−プロパノール等が挙げられる。
【0042】上記のようにして得られる共重合体(I)
は、一般に1000〜1000000、好ましくは10
000〜500000の範囲内の数平均分子量を有する
ことができる。なお、本明細書において、数平均分子量
は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパー
ミュエーションクロマトグラフィにより測定した分子量
をポリエチレンの分子量を基準にして換算した値であ
る。共重合体(II) 共重合体(II)は、カルボニル基を有するエチレン性不
飽和単量体(d)をその他のエチレン性不飽和単量体
(e)と共重合して得られるカルボニル基を有する共重
合体であり、共重合体(II)中のカルボニル基は後述の
化合物(III)と架橋反応して、本発明の樹脂組成物か
ら形成される塗膜の硬度を調整するのに役立つ。
【0043】カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(d)としては、共重合体(I)の製造に際して使
用される前記カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(b)と同様のものを使用することができる。
【0044】他方、カルボニル基を有する不飽和単量体
(d)と共重合されるその他のエチレン性不飽和単量体
(e)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブ
チル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレ
ート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキ
シル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレ
ート及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式
(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート
等のアラルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエ
チル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メ
タ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アク
リレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキル
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル化合物;スチレン、α−メチ
ルスチレン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキ
シシリル基を有するエチレン性不飽和単量体等が挙げら
れる。これらの中で、共重合性、塗膜物性、粒子安定性
等の面から好ましい単量体として、スチレン、炭素数が
1〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレ
ート、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド等が挙げら
れる。
【0045】共重合体(II)は、例えば、一般的な乳化
重合法に従い、乳化剤としての界面活性剤の存在下に、
上記カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体
(d)をその他のエチレン性不飽和単量体(e)と共重
合することにより容易に製造することができる。
【0046】上記の乳化重合に際して、カルボニル基を
有するエチレン性不飽和単量体(d)及びその他のエチ
レン性不飽和単量体(e)は、単量体(d)、(e)の
合計量を基準にして、一般に、カルボニル基を有するエ
チレン性不飽和単量体(d)が2〜30重量%、好まし
くは3〜25重量%、及びその他のエチレン性不飽和単
量体(e)が70〜98重量%、好ましくは75〜97
重量%の範囲内となるような割合で使用することができ
る。
【0047】カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(d)の使用量が2重量%未満では、得られる共重
合体(II)を用いた樹脂組成物から形成される塗膜の硬
度、耐水性、耐汚染性等の物性が不十分となる可能性が
あり、他方、30重量%を越えると、共重合体(II)の
価格が高くなり、しかも塗膜の親水性が高くなりすぎて
硬化後も耐水性が低下する傾向がみられる。
【0048】共重合体(II)の製造において使用される
乳化剤としては、ポリオキシアルキレン基を主鎖とし、
一端に疎水基を有し且つ他端にイオン解離性基を有する
界面活性剤が好適であり、該疎水基としては、例えばア
ルキル基、アリール基等が挙げられ、また、ポリオキシ
アルキレン基及びイオン解離性基としては、共重合体
(I)の製造に関連して前述したものと同様のものが挙
げられる。
【0049】このような界面活性剤を乳化剤として用い
ると、形成される共重合体粒子のポリマー相と水中のア
ニオンとの間に親水性のポリオキシアルキレン鎖部分が
配位し、乳化共重合体の貯蔵中における粒子表面での架
橋の促進を妨げることができる。
【0050】そのような界面活性剤の市販品としては、
例えば、「NEWCOL 560SN」、「NEWCOL
560SF」、「NEWCOL 707SF」、「NEWC
OL861SE」、「NEWCOL 1305SN」、(以
上、日本乳化剤(株)社製)、「ハイテノール」シリーズ
(第一工業製薬(株)社製)、「エマールNC−35」、
「レベノールWZ」(以上、花王(株)社製)等が挙げら
れる。これらの界面活性剤の使用量は、一般に、使用す
る単量体の合計量を基準にして0.1〜6重量%、好ま
しくは0.2〜5重量%の範囲内とすることができる。
【0051】乳化剤としては、上記の界面活性剤の他
に、他のポリオキシアルキレン鎖を有さない陰イオン性
界面活性剤や共重合体(I)の製造に関連して前記した
如き非イオン性界面活性剤、ラジカル重合性界面活性剤
を使用することもできる。また、塗膜の耐水性の向上等
の理由から、前述した陰イオン性高分子界面活性剤や非
イオン性高分子界面活性剤を併用してもよい。
【0052】カルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(d)とその他のエチレン性不飽和単量体(e)の
乳化重合は、マレイミド基を有するエチレン性不飽和単
量体(a)とカルボニル基を有するエチレン性不飽和単
量体(b)とその他のエチレン性不飽和単量体(c)の
乳化重合の場合と同様にして行うことができる。
【0053】かくして製造される共重合体(II)は、一
般に5000〜1000000、好ましくは20000
〜500000の範囲内の数平均分子量を有することが
できる。化合物(III) 本発明の樹脂組成物は、共重合体(I)及び/又は共重
合体(II)に含まれるカルボニル基に反応する架橋剤と
して、ヒドラジド基、セミカルバジド基及びヒドラゾン
基から選ばれる同じもしくは異なる官能基を1分子あた
り2個以上有する化合物(III)を含有する。
【0054】ヒドラジド基を1分子当たり2個以上有す
る化合物(III−1)としては、例えば、蓚酸ジヒドラ
ジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、
グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セ
バシン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜18の飽和脂肪
族カルボン酸のジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジ
ド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドな
どのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジ
ド;フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸ジヒドラ
ジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド
又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジ
ド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼント
リヒドラジド;エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒド
ラジド;1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジ
ド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合
体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒド
ラ−ド)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52
−22878号公報参照)などが挙げられる。
【0055】上記ヒドラジド化合物は、疎水性が強すぎ
ると水分散化が困難となり、均一な架橋塗膜が得られな
くなる可能性があるので、適度な親水性を有する比較的
低分子量の化合物を使用することが好適であり、上記例
示中では、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、こはく酸
ジヒドラジドなどのジカルボン酸のジヒドラジドが好適
である。
【0056】セミカルバジド基を1分子当たり2個以上
有する化合物(III−2)としては、例えば、炭酸ジヒ
ドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシ
アネート及びそれにより誘導されるポリイソシアネート
化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換
ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて
得られる多官能セミカルバジド;該ポリイソシアネート
化合物とポリエーテルポリオール類やポリエチレングリ
コールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性
水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示
のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能
セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能
セミカルバジドとの混合物(例えば特開平8−1513
58号公報、特開平8−283377号公報、特開平8
−245878号公報参照)等が挙げられる。
【0057】ヒドラゾン基を1分子当たり2個以上有す
る化合物(III−3)としては、例えばビスアセチルジヒ
ドラゾンが好適に使用できる。
【0058】以上に述べた化合物(III−1)、(III−
2)及び(III−3)は、それぞれ単独で使用すること
ができ、又は2種もしくはそれ以上組み合わせて使用し
てもよい。水性塗料用樹脂組成物 本発明の水性塗料用樹脂組成物は、以上に述べた共重合
体(I)、共重合体(II)及び化合物(III)を必須成
分として含有し、これらを水性媒体中に溶解ないし分散
させてなるものである。
【0059】本発明の樹脂組成物における上記各成分の
配合割合は、厳密に制限されるものではなく、該樹脂組
成物の用途等に応じて変えることができるが、共重合体
(I)と共重合体(II)は、共重合体(I)/共重合体
(II)の固形分重量比で、一般に7/93〜90/1
0、好ましくは20/80〜80/20の範囲内とする
ことができる。また、化合物(III)は、共重合体
(I)及び共重合体(II)中のカルボニル基の合計量1
モルあたり、化合物(III)中の官能基が一般に0.0
1〜2モル、好ましくは0.1〜1.5モルの範囲内と
なるような割合で配合することができる。上記の共重合
体(I)/共重合体(II)の固形分重量比が7/93よ
り小さいと、水分の蒸発が遅い環境における塗装直後の
塗膜の耐水性(初期耐水性)等の物性が劣ることがあ
り、他方90/10を超えると、架橋密度が高くなりす
ぎて塗膜が脆くなることがあり、また、屋内、日陰など
日光の弱い部位の塗装での塗装直後の初期耐水性等の物
性が劣る可能性がある。また、上記化合物(III)中の
官能基の割合が0.01モル未満では、本発明の樹脂組
成物より形成される塗膜の硬度、耐水性、耐汚染性等の
物性が不十分となる可能性があり、また、2モルを超え
ると、本発明の樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する傾向
がある。
【0060】本発明の樹脂組成物には、単層仕上げ又は
複層仕上げの上塗り塗料に使用した時の塗膜の耐汚染性
をさらに向上せしめるために、必要に応じて、オルガノ
シリケート化合物を含ませることができる。そのような
目的で使用しうるオルガノシリケート化合物としては、
例えば下記式(9)で表される化合物等を挙げることが
できる。
【0061】
【化8】
【0062】式中、R12は同一もしくは異なり、水素原
子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
【0063】上記の炭化水素基としては、例えば、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチ
ル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペ
ンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチルな
どのアルキル基や、フェニルなどのアリール基が好適で
ある。
【0064】しかして、上記式(9)のオルガノシリケ
ート化合物の具体例としては、例えば、テトラヒドロキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、
テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン
などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で又は2種以
上組み合わせて用いることができる。
【0065】また、上記オルガノシリケ−ト化合物同士
の分岐状もしくは直鎖状の縮合物も使用することがで
き、その縮合度は通常2〜100の範囲内が適当であ
る。
【0066】さらに、水に対する溶解性が良好であると
いう理由から、オルガノシリケート化合物として、上記
のオルガノシリケ−ト化合物及び/又はその縮合物中の
アルコキシ基又は水酸基にポリアルキレングリコ−ル系
化合物を一部反応させた変性オルガノシリケ−ト化合物
が特に好適に使用できる。
【0067】変性剤としてのポリアルキレングリコ−ル
系化合物としては、下記一般式(10)で表されるもの
が挙げられる。 R13O−(R14O)n−H (10) 式中、R13は水素原子、アルキル基又はアリ−ル基であ
り、R14は炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは2
〜60である。
【0068】そのような化合物としては、具体的には、
例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリ
コ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルなどのポリアル
キレングリコ−ル;メトキシポリエチレングリコ−ル、
エトキシポリエチレングリコ−ル、エトキシポリプロピ
レングリコ−ル、エトキシポリブチレングリコ−ルなど
のアルコキシポリアルキレングリコ−ル;ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエ−テル、ポリオキシエチレンオ
クチルフェニルエ−テルなどのポリオキシアルキレンア
ルキルフェニルエ−テル等が挙げられ、特にポリエチレ
ングリコ−ル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−
テルが好適である。
【0069】本発明の樹脂組成物における上記オルガノ
シリケ−ト化合物の含有量は、樹脂固形分100重量部
あたり、一般に0.1〜50重量部、好ましくは1〜2
0重量部の範囲内とすることができる。
【0070】本発明の水性塗料用樹脂組成物において
は、共重合体(I)における光硬化を促進するために、
場合により、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレー
トやポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メ
タ)アクリレート等の2個以上の(メタ)アクリロイル
基を有する化合物を含ませることができる。
【0071】また、さらに必要に応じて、着色顔料、体
質顔料、界面活性剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助
剤、防腐剤、凍結防止剤などを配合することができる。
【0072】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、常温で
容易に硬化し、また、自然光の照射によって硬化がさら
に促進されるので、特に建築物内・外装や、橋梁、船舶
等の塗装のための塗料用途に適している。また、本発明
の樹脂組成物は、単層仕上げでも優れた性能の塗膜を形
成するので単層上塗り塗料として使用することができる
が、複層仕上げのための上塗り塗料として、又は下地調
整等の下塗り用塗料としても使用することができる。
【0073】本発明の樹脂組成物が顔料を含む場合、顔
料の含有量は、該樹脂組成物の光硬化を実質的に妨げず
且つエナメル塗料として適度な隠蔽性を保持するため
に、該樹脂組成物中における顔料体積濃度(以下、「P
VC」と略称する)が10〜70%の範囲内で使用する
ことが望ましい。
【0074】ここで「顔料体積濃度(PVC)」は該樹
脂組成物中の樹脂及び顔料の混合物固形分に占める顔料
分の体積割合であり、次式により算出される値である。
【0075】
【数1】
【0076】上記PVCは、本発明の樹脂組成物を上塗
り塗料用途として使用する場合は、10〜60%、好ま
しくは15〜55%の範囲内、そして下塗り用途として
使用する場合は、30〜70%、好ましくは30〜66
%の範囲内とすることができる。
【0077】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、「部」は重量部を意味する。
【0078】マレイミド基及びカルボニル基を有する共
重合体の製造 製造例1 下記式(11)で表されるイミドアクリレート(以下、
単にイミドアクリレートという)10部、ダイアセトン
アクリルアミド5部、n−ブチルメタクリレート50
部、メチルメタクリレート20部、n−ブチルアクリレ
ート14部、及びメタクリル酸1部を混合し、その混合
物に脱イオン水100部、「アクアロンHS10」(注
1)0.5部を添加し、回転ホモミキサーを用いて単量
体エマルションを作製した。
【0079】
【化9】
【0080】一方、脱イオン水45部、「アクアロンH
S10」(注1)0.5部の入ったフラスコ内部を窒素
置換した後、温度80℃まで加温し、内液を温度80℃
に維持しながら、そこへ過硫酸アンモニウム1部と、先
の単量体エマルションのうち2重量%分を添加し、添加
後15分後から残りの単量体エマルションを2時間かけ
て滴下し、さらにそのまま2時間熟成した。熟成後、冷
却し、中和剤として10wt%アンモニア水を3部滴下
して、エマルション型の共重合体水分散液(A−1)を
得た。 (注1)「アクアロンHS10」:第一工業製薬株式会社
製、下記式(12)で表されるラジカル重合性界面活性
【0081】
【化10】
【0082】製造例2 使用する単量体エマルション組成を、下記の組成とする
以外は、製造例1と同様の方法により共重合体水分散液
(A−2)を得た。単量体エマルション組成 イミドアクリレート 10部 ダイアセトンアクリルアミド 10部 n−ブチルメタクリレート 45部 メチルメタクリレート 20部 n−ブチルアクリレート 14部 メタクリル酸 1部 脱イオン水 100部「 アクアロンHS10」(注1) 0.5部カルボニル基を有する共重合体の製造 製造例3 脱イオン水36部及び「Newcol707SF」(注
2)0.36部を入れたフラスコを、窒素置換後、80
℃まで加温し、内液を80℃に維持しながら0.1部の
過硫酸アンモニウムを加えた後、下記組成の単量体エマ
ルションを3時間にわたって滴下した。単量体エマルション組成 ダイアセトンアクリルアミド 5部 アクリル酸 0.5部 スチレン 15部 メチルメタクリレート 37部 2−エチルヘキシルアクリレート 16部 n−ブチルアクリレート 26.5部 脱イオン水 52.4部 「Newcol 707SF」(注2) 9.6部 過硫酸アンモニウム 0.2部 滴下終了後30分より、30分間にわたり、0.1部の
過硫酸アンモニウムを1部の脱イオン水に溶かした溶液
を滴下し、さらに2時間80℃に保ってエマルション型
の共重合体水分散液(B−1)を得た。 (注2)「Newcol707SF」:日本乳化剤社製、
ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、
不揮発分30%変性オルガノシリケートの製造 製造例4 攪拌機、温度計、還流管、窒素導入管及び水分離器を備
えた反応容器に、「エチルシリケ−ト48」(注3)5
00部、「Newcol568」(注4)324.5部及
び「Scat24」(注5)0.082部を仕込み、窒素
雰囲気で攪拌しながら120℃に昇温し、その後4時間
かけて160℃に昇温し同温度で1時間保持した。その
際に蒸発するエタノ−ル等が水分離器にて25部留去さ
れ、変性オルガノシリケ−ト800部を得た。 (注3)「エチルシリケ−ト48」:多摩化学社製、エ
チルシリケ−トの縮合物 (注4)「Newcol568」:日本乳化剤社製、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエ−テル (注5)「Scat24」:三共有機合成社製、スズ系
触媒プレミックス塗料の製造 製造例5〜12 容器に、下記表1の組成Aに示す各成分を順次仕込み、
ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け顔料ペ
ーストを得た。その後、表1の組成Bに示す各成分を該
顔料ペーストに順次添加して、ディスパーで均一になる
まで攪拌し、プレミックス塗料(T−1)〜(T−8)
を得た。
【0083】
【表1】
【0084】(注6)「ボンコートEC−846」::大
日本インキ化学社製、アクリルスチレン系エマルション (注7)「スラオフ72N」:武田薬品製、防腐剤 (注8)「ノプコサントK」:サンノプコ社製、顔料分散
剤 (注9)「チタン白JR805」:テイカ製チタン白 (注10)「チタン白JR800」:テイカ製チタン白 (注11)「SNデフォーマーA−63」:サンノプコ社
製、消泡剤 (注12)「アデカノールUH−438」:アデカ社製、
増粘剤 (注13)「SNデフォーマー380」:サンノプコ社
製、消泡剤上塗り塗料の作成 実施例1〜8及び比較例1〜3 下記表2に示す組み合わせで製造例5〜12で得た各プ
レミックス塗料100部に架橋剤を配合し、各上塗り塗
料を得た。
【0085】上塗り塗料用試験板の作成 70×150×5mmのスレート板に「マルチコンクリ
ートプライマーEPO」(関西ペイント社製、エポキシ
系プライマー)を塗装し、翌日、下記表2に示す各上塗
り塗料を上水で約70KUに希釈した後、ハケにて塗布
量が約0.15kg/m2となるように塗装した。
【0086】各上塗り塗料及び各試験板を後記の基準に
て評価し、その結果を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】(注14)「SX−601」:旭化成工業社
製、セミカルバジド系官能基含有化合物、固形分45
%、−NHCO−NHNH2含有量 4.8mmol/
g樹脂 (注15)20%ビスアセチルジヒドラゾン:メチルエ
チルケトン溶液下塗り塗料の作成 実施例9〜12及び比較例4〜6 下記表4に示す組み合わせで製造例5〜12で得た各プ
レミックス塗料100部に架橋剤を配合し、各下塗り塗
料を得た。
【0089】下塗り塗料用試験板の作成 70×150×5mmのスレート板に「EPシーラー透
明」(関西ペイント社製、水系シーラー)を塗装し、下
記表3に示す各下塗り塗料を鎖骨ローラーにて塗布量が
約0.8kg/m2となるように塗装した。
【0090】各下塗り塗料及び各試験板を後記の基準に
て評価し、その結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】評価試験 塗料の貯蔵性試験 上記で得られた各上塗り塗料及び下塗り塗料を50℃の
恒温室に1ケ月貯蔵した後、塗料の状態を目視評価し
た。
【0093】◎:初期と比べてほとんど変わらず良好。
【0094】○:やや増粘がみられるものの、実用的に
は問題ない。
【0095】△:増粘が著しく実用性はないが、ゲル化
には至っていない。
【0096】×:ゲル化している。
【0097】初期耐水性試験(屋外) 上記で得られた各上塗り塗料及び下塗り塗料を塗装した
各試験塗板を、塗装直後にを5℃冷温室に30分置いた
後、曇りの日の屋外(建物の北側で日陰になる所)にて
約1時間放置した(温度8〜10℃、65〜75%RH
の条件)。その後、各試験板を10分間没水して塗膜外
観を目視評価した。
【0098】◎:塗膜に異常がなく良好。
【0099】○:ややツヤビケ又はフクレが見られるも
のの実用上問題ない。
【0100】△:フクレが大きいか多数見られる又は一
部塗膜溶出が見られる。
【0101】×:塗膜溶出が著しい。
【0102】初期耐水性試験(室内) 上記で得られた各上塗り塗料及び下塗り塗料を塗装した
各試験塗板を、塗装直後に10℃冷温室に30分置いた
後、直射日光は当たらないが自然光が入る明るい室内に
て約1時間放置した(20℃、60〜70%RHの条
件)。その後各試験塗板を10分間没水して塗膜外観を
目視評価した。
【0103】◎:塗膜に異常がなく良好。
【0104】○:ややツヤビケ又はフクレが見られるも
のの実用上問題ない。
【0105】△:フクレが大きいか多数見られる又は一
部塗膜溶出が見られる。
【0106】×:塗膜溶出が著しい。
【0107】屋外汚染試験(上塗り塗料) 90×300×5mmのスレート板に上記上塗り塗料用
試験板と同様の方法でプライマー、各上塗り塗料を塗装
した後、さらに翌日各上塗り塗料を同様に塗装し、塗り
重ね、室温で7日乾燥したものを試験塗板とし、これを
各2枚ずつ作成した。このうち一方を暴露用、他方を控
え用とした。暴露用の試験塗板を関西ペイント東京事業
所内の南面30度の曝露板に取り付け、3ケ月後に取り
出し、控え用試験板との色差ΔEを測定した。値が小さ
いほど良好であることを示す。
【0108】塗膜脆さ(上塗り塗料) 上記屋外汚染試験において、暴露後の試験板の塗膜外観
を目視観察し、塗膜脆さの評価とした。
【0109】○:塗膜にワレが発生していない。
【0110】×:塗膜にワレが発生している。
【0111】ヒビワレ性(下塗り塗料) 上記で得られた各下塗り塗料を塗装した各試験塗板を、
20℃、65%RHの条件で3日間乾燥させた後、塗膜
外観を目視観察し、ヒビワレ性の評価とした。
【0112】○:塗膜にワレが発生していない。
【0113】×:塗膜にワレが発生している。
【0114】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、カルボニル基を
有する共重合体中に含まれるカルボニル基と架橋剤の反
応により常温で容易に硬化する。さらに、塗装乾燥条件
が水分の蒸発が遅いような場合(例えば曇り、低温、室
内)であっても、紫外線等の光線が届く範囲であれば、
カルボニル基とマレイミド基を有する共重合体中のマレ
イミド基による光硬化が進行するので、塗装後の初期段
階における耐水性、耐汚染性等の塗膜物性を向上させる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉島 正見 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 奴間 伸茂 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 長谷川 三高 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社高分子材料研究所内 (72)発明者 犬飼 宏 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社高分子材料研究所内 Fターム(参考) 4J038 CE051 CE052 CG141 CG142 CG171 CG172 CH031 CH032 CH041 CH042 CH071 CH072 CH131 CH132 CH191 CH192 CK021 CK022 CL001 CL002 DL022 DL132 GA06 GA08 GA15 JB17 JB19 KA03 KA09 MA08 MA10 MA14 NA04 NA11 PB05 PB07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マレイミド基を有するエチレン性不飽和単
    量体(a)とカルボニル基を有するエチレン性不飽和単
    量体(b)とその他のエチレン性不飽和単量体(c)の
    共重合により得られる共重合体(I);カルボニル基を
    有するエチレン性不飽和単量体(d)とその他のエチレ
    ン性不飽和単量体(e)の共重合により得られる共重合
    体(II);ならびにヒドラジド基、セミカルバジド基及
    びヒドラゾン基から選ばれる同じもしくは異なる官能基
    を1分子あたり2個以上有する化合物(III)を含有す
    ることを特徴とする水性塗料用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】共重合体(I)が、単量体(a)、
    (b)、(c)の合計量を基準にして、マレイミド基を
    有するエチレン性不飽和単量体(a)1〜40重量%
    と、カルボニル基を有するエチレン性不飽和単量体
    (b)1〜30重量%と、その他のエチレン性不飽和単
    量体(c)40〜98重量%を乳化重合して得られるも
    のである請求項1に記載の水性塗料用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】共重合体(II)が、単量体(d)、(e)
    の合計量を基準にして、カルボニル基を有するエチレン
    性不飽和単量体(d)2〜30重量%と、その他のエチ
    レン性不飽和単量体(e)を70〜98重量%を乳化重
    合して得られるものである請求項1または2に記載の水
    性塗料用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】共重合体(I)と共重合体(II)の配合比
    が固形分重量比で7/93〜90/10の範囲内にある
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水性塗料用樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】オルガノシリケ−ト及び/又はその縮合物
    に、そのアルコキシ基又は水酸基1モルに対して、ポリ
    アルキレングリコ−ル系化合物を0.001〜0.5モ
    ル反応させてなる変性オルガノシリケ−ト化合物をさら
    に含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水
    性塗料用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか1項に記載の
    水性塗料用樹脂を含む水性塗料組成物。
JP2001266939A 2000-11-30 2001-09-04 水性塗料用樹脂組成物 Pending JP2003073613A (ja)

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JP2009067871A (ja) * 2007-09-12 2009-04-02 Kansai Paint Co Ltd 水性塗料組成物
JP2010174184A (ja) * 2009-01-30 2010-08-12 Ahtech Kobo Kk 水性塗料組成物

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