JP3949786B2 - 防水塗膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の屋根や外壁面に防水塗膜を形成する方法に関し、詳しくは水性塗料を用いて耐候性、耐汚染性、初期乾燥性を低下させることなく優れた防水性を有する塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
従来、建築物の屋根や外壁面にシ−ラ−や塗料を塗装し防水性を付与することが行われている。防水性を付与するシ−ラ−・塗料としては、例えばアクリル樹脂系、アクリルゴム系、塩化ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、エポキシ系などのエマルション型や溶剤型のものが挙げられる。これらは、下塗りとして防水性を付与することは可能であるが、耐候性、耐汚染性などに劣るものであり、上塗り塗装を必要とするものであり、また防水性付与には乾燥膜厚で500μm以上の膜厚が必要であった。
【0003】
一方、建築外装用の上塗り塗料としては、一般に、アクリル系共重合体エマルションをビヒクル成分とする水性塗料が主流である。該アクリル系共重合体エマルションは成膜過程でエマルション粒子の融着を要するため、樹脂のガラス転移温度を高くできず耐汚染性、耐水性が不十分であった。
【0004】
これに対し本出願人は、エマルション粒子間を比較的分子量の小さい架橋剤で架橋させることを提案し(特開平4−249587号公報)、これにより造膜性を補強し耐汚染性、耐水性だけでなく、耐候性、初期乾燥性も確保した。
【0005】
しかしながら、この水性塗料を、特に水性エマルション型のシ−ラ−膜上に塗布する塗装系では、該水性塗料中の架橋基が親水性が高いために透水量が多いという不具合があった。該水性塗料中の樹脂のガラス転移温度を高くすれば透水量は少なくなるが造膜性が低下し、また下地への追随性が経時で低下し塗膜がワレやすくなり初期の防水性を維持できなかった。
【0006】
他方、特公平6−26720号公報には、特定の機械強度を有する塗膜を2層積層して下地への追随を改善しつつ防水性に優れた塗膜を形成する方法が提案されている。しかしながらこの方法では、得られた防水塗膜の耐汚染性や初期乾燥性が不十分であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定組成の水性塗料を用いて塗膜を形成することによって、単独の薄い塗膜でも、また水性エマルション型のシ−ラ−膜上に塗布してなる塗膜でも、耐候性、耐汚染性、初期乾燥性を低下させることなく優れた防水性を有する塗膜が得られることを見出し本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、基材面に、(A)炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを50〜98重量%、カルボニル基含有モノマ−を2〜10重量%、及びその他の重合性不飽和モノマ−(但し、1分子中に少なくとも2個以上の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を除く)を0〜48重量%含むモノマ−混合物を乳化重合してなる共重合体エマルション、(B)1分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体、及び(C)顔料を主成分とし、顔料(C)の使用量が樹脂固形分100重量部に対して20〜300重量部である常乾型水性塗料を、30〜300g/m2 の塗布量で塗布してなる、塗膜隠蔽率が50%以上で、且つ塗膜透水量が250ml/(m2 ・日)以下である防水塗膜の形成方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される水性塗料は、炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル50〜98重量%、カルボニル基含有モノマ−2〜10重量%、及びその他の重合性不飽和モノマ−0〜48重量%を含むモノマ−混合物を乳化重合してなる共重合体エマルション(A)、1分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体(B)、及び(C)顔料を主成分とするものである。
【0010】
上記共重合体エマルション(A)の製造に使用される炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばn−、i−、t−、ブチル(メタ)アクリレ−ト、n−ヘキシル(メタ)アクリレ−ト、n−オクチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−ト、n−ノニル(メタ)アクリレ−ト、n−デシル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、ラウリル(メタ)アクリレ−ト、ステアリル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸の炭素数4以上、好ましくは炭素数4〜10のアルキル又はシクロアルキルエステルが挙げられ、これらは1種又は2種以上混合して使用できる。
【0011】
上記共重合体エマルション(A)の製造に使用されるカルボニル基含有モノマ−としては、例えばアクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロ−ル、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられる。このうち特にダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドが好適である。
【0012】
上記共重合体エマルション(A)の製造に使用されるその他の重合性不飽和モノマ−としては、例えばメチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレ−ト、プロピル(メタ)アクリレ−ト、スチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられ、これらは所望の性能に応じて適宜使用される。
【0013】
またその他の重合性不飽和モノマ−として、親水性基である酸基や水酸基を有するモノマ−も使用可能であり、塗膜の透水量に悪影響を及ぼさない範囲内で使用することが望ましい。かかる親水性基を有するモノマ−としては、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレ−ト、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレ−ト及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩など;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、さらにグリシジル(メタ)アクリレ−トとアミン類との付加物など;ノニオン系ではポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレ−トなど2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−トなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。このうち酸モノマ−として、スルホエチルメタクリレ−ト及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩を用いると、塗膜の親水性の程度を下げる利点があり、これらは0.05〜1.5重量%程度含むことができる。
【0014】
上記モノマ−混合物の使用割合は、炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル50〜98重量%、好ましくは60〜93重量%、カルボニル基含有モノマ−2〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、及びその他の重合性不飽和モノマ−0〜48重量%、好ましくは5〜32重量%である。炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの使用割合が50重量%未満では、得られる塗膜の透水量が増大し、一方98重量%を越えると、エマルションの安定性が低下するので好ましくない。またカルボニル基含有モノマ−が2重量%未満では、得られる塗膜の耐水性、耐候性、初期乾燥性が低下し、一方10重量%を越えると、塗膜の親水性が高くなり透水量が多くなるので好ましくない。
【0015】
さらに上記モノマ−混合物中には、防水性向上の点から、下記一般式で示されるポリシロキサン基含有モノマ−を、必要に応じて0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%含有することができる。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を、R1 は炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基を、R2 は同一又は異なって炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を、nは5〜200の整数を示す)
上記一般式(1)において、R1 によって示される炭素数1〜10の脂肪族飽和炭化水素基としては、直鎖又は分枝状のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン基等を挙げることができる。上記ポリシロキサン基含有モノマ−は、数平均分子量500〜15,000のものが好適である。
【0018】
上記共重合体エマルション(A)は、例えば乳化剤の存在下で、上記モノマ−混合物を乳化重合させることで容易に得られる。乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、反応性乳化剤などが挙げられる。反応性乳化剤を使用すると透水量が改善される傾向がみられる。該反応性乳化剤としては、例えば特許2554430号、特許2558392号公報等に例示されているような1分子中に重合性不飽和基を1個以上有する乳化剤が使用できる。該乳化剤の1種又は2種以上の存在下で重合開始剤を使用して乳化重合することができる。
【0019】
上記共重合体エマルション(A)の酸価は、1〜10であることが適当である。該酸価が10を越えると得られる塗膜の親水性が高くなり透水量が多くなるので好ましくない。また上記共重合体エマルション(A)の樹脂Tgは、−30〜80℃、好ましくは−20〜50℃の範囲内が適当である。該樹脂Tgが−30℃を下回ると得られる塗膜の透水量が多くなり、80℃を越えると下地に追随できずワレやすくなるので好ましくない。
【0020】
上記ヒドラジン誘導体(B)は、1分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基又はセミカルバジド基を有するものであり、該ヒドラジン誘導体(B)としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラ−ド)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−22878号参照);炭酸ジヒドラジド、ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネ−トやイソホロンジイソシアネ−ト等のジイソシアネ−ト及びそれより誘導されるポリイソシアネ−ト化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネ−ト化合物とポリエ−テルポリオ−ル類やポリエチレングリコ−ルモノアルキルエ−テル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネ−ト基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド、或いは該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物(特開平8−151358号、特開平8−283377号、特開平8−245878号参照)等が挙げられる。
【0021】
該ヒドラジン誘導体(B)は、共重合体エマルション(A)中に含まれるカルボニル基の1モルに対してヒドラジン誘導体(B)中のヒドラジド基又はセミカルバジド基が0.01〜2モル、好ましくは0.05〜1.5モルとなるように配合される。
【0022】
上記顔料(C)としては、例えばタルク、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、けい藻土などの体質顔料;酸化チタン、カ−ボンブラック、ベンガラなどの着色顔料が挙げられる。顔料(C)の使用量は、樹脂固形分100重量部に対して20〜300重量部の範囲内が適当である。
【0023】
上記水性塗料は、(A)、(B)及び(C)成分を主成分とするものであり、さらに必要に応じて、充填剤、骨材、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、防錆剤、硬化触媒などの塗料用添加剤を適宜選択し組合わせて配合することができる。
【0024】
本発明方法は、上記水性塗料を、基材面に30〜300g/m2 、好ましくは50〜250g/m2 の塗布量で塗布してなる。該塗布量が30g/m2 未満では、透水量が多くなり、また経時での下地への追随性が低下しワレが生じるので好ましくない。上記水性塗料の塗布は、従来公知の方法、例えばロ−ラ−塗り、スプレ−塗装、刷毛塗装などよって行われる。
【0025】
得られる塗膜は、その塗膜隠蔽率が50%以上、好ましくは60%以上で、且つ塗膜透水量が250ml/(m2 ・日)以下、好ましくは125ml/(m2 ・日)以下である。ここで塗膜隠蔽率は、隠蔽率試験紙(白地・黒地)に150μmの隙間のフィルムアプリケ−タを用いて塗料を塗付後、20℃で2時間乾燥した後、白地と黒地の上の塗膜について色彩値Lを測定し、下記式によって算出されるものである。
【0026】
隠蔽率(%)=(黒地上の塗膜のL値)/(白地上の塗膜のL値)×100
また塗膜透水量は、JIS A−6909(1995)の透水試験B法に準拠し、試験体としてJIS A−5430に規定する厚さ6mmのフレキシブル板に塗料を塗装した後、20±2℃で2週間放置したものを用いて測定されるものである。具体的には、該塗装板に直径75mmのろうとメスピペットを2液型のエポキシ接着剤で固定し、次いでこの中に水を高さ250mmになるように入れ、24時間後の水頭の高さとの差から減少した水の量を読取り、1m2 あたりの減少量を塗膜透水量[ml/(m2 ・日)]として算出した。
【0027】
上記基材面としては、建築物の屋根や外壁面等、防水性の要求される部位に使用されるコンクリ−ト、モルタル、スレ−ト、金属、プラスチックなどの素材面やそれらに塗装されてなる旧塗膜面などが挙げられる。
【0028】
さらに本発明方法では、該基材面に、水性又は溶剤型の下塗り材を塗布できるが、特に水性下塗り材を塗布した後、上塗り材として上記水性塗料を塗布することができる。水性下塗り材としては、例えばアクリル樹脂系、アクリルゴム系、塩化ゴム系、スチレン−ブタジエンゴム系、エポキシ系などのエマルション型のシ−ラ−やプライマ−、セメントを含む下地補修材が挙げられ、特にアクリル樹脂系のシ−ラ−やポリマ−セメントが好適である。該水性下塗り材は乾燥膜厚で10μm以上、好ましくは10〜8000μm程度塗布するのが適当である。さらに上記水性塗料を塗布した上にクリヤ−又はエナメル塗料を塗布することもできる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0030】
共重合体エマルション(A)の製造
製造例1
容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水28.5部、Newcol 707SF(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.1部を加え、窒素置換後、85℃に保った。この中に下記組成をエマルション化してなるプレエマルションの3%分及び0.5部の過硫酸アンモニウムを10部の脱イオン水に溶解させた溶液10.5部の25%分を添加し、添加20分後から残りのプレエマルション及び残りの過硫酸アンモニウム水溶液を4時間かけて滴下した。
【0031】
脱イオン水 55.8部
n−ブチルメタクリレ−ト 94.3部
ダイアセトンアクリルアミド 3 部
ヒドロキシエチルアクリレ−ト 2.5部
アクリル酸 0.2部
Newcol 707SF 6.6部
滴下終了後、これをさらに2時間85℃に保持した後、40〜60℃に降温した。次いでアンモニア水でpH8〜9に調整し、固形分50%の共重合体エマルション(A−1)を得た。エマルションのpHは8.3であった。
【0032】
製造例2〜12
滴下するプレエマルション中のモノマ−及び乳化剤を表1に示す組成とする以外は製造例1と同様の方法で共重合体エマルション(A−2)〜(A−12)を得た。各共重合体エマルションの性状値を表1に示す。
【0033】
(注1)「サイラプレ−ンFM−0711」:チッソ社製、ポリメチルシロキサン基含有メタクリレ−ト、分子量1,000
(注2)「エレミノ−ルJS−2」:三洋化成工業社製、反応性乳化剤
【0034】
【表1】
【0035】
水性塗料の作成
4リットルのステンレス容器に、下記配合組成を添加し、ディスパ−で30分間撹拌し、顔料分散ペ−ストを得た。
【0036】
次に、1リットルのステンレス容器に、上記で得た共重合体エマルション及び顔料ペ−ストなどを表2に示すように配合し、混合・撹拌して、各水性塗料a〜pを得た。各水性塗料の塗料状態及び得られる塗膜の隠蔽率、初期乾燥性について表2に併せて示す。
【0037】
(注3)「SX−601」:旭化成工業社製、セミカルバジド基含有化合物溶液、商品名、固形分45%、ブチルセロソルブ/水(34/21)溶液、−NHCO−NHNH2含有量4.8ミリモル/g樹脂。
【0038】
(注4)「プライマルTT−935」:ロ−ムアンドハ−ス社製、増粘剤
(注5)「スラオフS」:武田薬品工業社製、防腐剤
(1)塗料状態:ステンレス容器中の塗料をスパチュラで撹拌し塗料状態を調べた(○:良好、×:増粘)。
【0039】
(2)塗膜隠蔽率(%):隠蔽率試験紙(白地・黒地)に150μmの隙間のフィルムアプリケ−タを用いて各水性塗料を塗付後、20℃で2時間乾燥した後、白地と黒地の上の塗膜について色彩値Lを測定し、下記式によって算出した。
【0040】
隠蔽率(%)=(黒地上の塗膜のL値)/(白地上の塗膜のL値)×100
(3)初期乾燥性:ガラス板に150μmの隙間のフィルムアプリケ−タを用いて各水性塗料を塗付後、常温放置してある一定時間経過後に水滴を垂らし、その水滴を30分後に紙で吸い取りその塗膜外観を評価した。
【0041】
◎:乾燥30分後に水滴を垂らして塗膜表面に異常がみられない
○:乾燥60分後に水滴を垂らして塗膜表面に異常がみられない
×:60分を越えて乾燥後も水滴を垂らすと塗膜表面にフクレ又は溶解がみられる
【0042】
【表2】
【0043】
実施例1〜4及び比較例1,2
JIS A−5430に規定する厚さ6mmのフレキシブル板(スレ−ト)に上記で得た各水性塗料をスト−マ−粘度計で70KUに調整してエアスプレ−で表3に示すように夫々塗装し、常温で2週間放置し、各塗装板を得た。
【0044】
実施例5〜15及び比較例3〜7
JIS A−5430に規定する厚さ6mmのフレキシブル板(スレ−ト)又はモルタル板に、表4に示すように下塗り材▲1▼〜▲3▼を50%に水で希釈し▲1▼はロ−ラ−で▲2▼、▲3▼はコテで夫々塗装し2時間放置後、上記で得た各水性塗料をスト−マ−粘度計で70KUに調整してエアスプレ−で表4に示すように夫々塗装し、常温で2週間放置し、各塗装板を得た。
【0045】
実施例16
JIS A−5430に規定する厚さ6mmのフレキシブル板(スレ−ト)に、下塗り材▲1▼を50%に水で希釈しロ−ラ−で塗装し2時間放置後、水性塗料aをスト−マ−粘度計で70KUに調整してエアスプレ−で塗装し2時間放置後、さらに「アクアレタン白」(関西ペイント社製、水性アクリルウレタン塗料)を粘調して塗布量が150g/m2 となるようにエアスプレ−で塗装して常温で2週間放置し、塗装板を得た。
【0046】
上記の通り得られた各塗装板について下記性能試験に供した。結果を表3及び4に示す。表中の下塗り材▲1▼〜▲3▼及び試験方法は以下の通りである。
【0047】
▲1▼:「EPシ−ラ−白」、関西ペイント社製、アクリルエマルション系シ−ラ−▲2▼:「ホルダ−GII」、関西ペイント社製、アクリルエマルション系下地調整材▲3▼:「アレスセメントフィラ−」、関西ペイント社製、ポリマ−セメント系下地調整材
(4)透水量:JIS A−6909(1995)の透水試験B法に準拠し、各塗装板に直径75mmのろうとメスピペットを2液型のエポキシ接着剤で固定した。次の日、この中に水を高さ250mmになるように入れ、24時間後の水頭の高さとの差から減少した水の量を読取り、1m2 あたりの減少量を塗膜透水量[ml/(m2 ・日)]として算出した。
【0048】
透水量=減少した水の量(ml/1日)/水の接触面積(m2 )
(5)屋外耐汚染性:各塗装板を神奈川県平塚市において南向き30°傾斜で設置し2ケ月間屋外暴露に供した。暴露前後の塗膜の色彩値を測定し、その色差(ΔE)を算出し評価した。
【0049】
◎:ΔEが5以下である
○:ΔEが5〜12である
×:ΔEが12以上である
(6)促進耐候性:サンシャインウェザオメ−タを用いて、1000時間試験後の塗膜の60度グロスの光沢保持率(%)を調べた。
【0050】
(7)塗り替え時の塗膜外観:JIS A−5430に規定する厚さ6mmのフレキシブル板に「EPシ−ラ−白」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シ−ラ−)を50%に水で希釈しロ−ラ−で50g/m2 になるように塗装し2時間放置後、「アクアグロス」(関西ペイント社製、アクリル系エマルション型艶有塗料)をスト−マ−粘度計で70KUに調整してエアスプレ−で塗布量が約150g/m2 になるように夫々塗装し常温で2週間放置して得た塗板を神奈川県平塚市において南向き60°傾斜で設置し1年間屋外暴露に供した。この暴露塗板を水で軽く洗浄後、初期の塗板との色差(ΔE)を測定したところ、ΔEは13であった。この塗板の上に前記各水性塗料をスト−マ−粘度計で70KUに調整してエアスプレ−で塗布量が約150g/m2 になるように夫々塗装し常温で2時間乾燥後の塗膜外観を目視で評価した。
【0051】
◎:完全に下地が隠蔽されており、仕上りは良好である
○:下地の汚れが透けてやや塗膜の色が茶色を帯びている
×:下地の汚れが透けて目立つ
【0052】
【発明の効果】
本発明方法によれば、耐候性、耐汚染性、初期乾燥性を低下させることなく優れた防水性を有する塗膜を形成することができる。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
Claims (6)
- 基材面に、(A)炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを50〜98重量%、カルボニル基含有モノマ−を2〜10重量%、及びその他の重合性不飽和モノマ−(但し、1分子中に少なくとも2個以上の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を除く)を0〜48重量%含むモノマ−混合物を乳化重合してなる共重合体エマルション、(B)1分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体、及び(C)顔料を主成分とし、顔料(C)の使用量が樹脂固形分100重量部に対して20〜300重量部である常乾型水性塗料を、30〜300g/m2 の塗布量で塗布してなる、塗膜隠蔽率が50%以上で、且つ塗膜透水量が250ml/(m2 ・日)以下である防水塗膜の形成方法。
- 炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、n−ブチルメタクリレート及びi−ブチルメタクリレートを含む請求項1記載の防水塗膜の形成方法。
- 共重合体エマルション(A)の乳化重合時に反応性乳化剤を用いてなる請求項1から3のいずれか1項記載の防水塗膜の形成方法。
- 共重合体エマルション(A)の酸価が、1〜10である請求項1から4のいずれか1項記載の防水塗膜の形成方法。
- 基材面に、水性下塗り材を塗布した後、上塗り材として(A)炭素数4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを50〜98重量%、カルボニル基含有モノマ−を2〜10重量%、及びその他の重合性不飽和モノマ−(但し、1分子中に少なくとも2個以上の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物を除く)を0〜48重量%含むモノマ−混合物を乳化重合してなる共重合体エマルション、(B)1分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基又はセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体、及び(C)顔料を主成分とし、顔料(C)の使用量が樹脂固形分100重量部に対して20〜300重量部である常乾型水性塗料を、30〜300g/m2 の塗布量で塗布してなる、塗膜隠蔽率が50%以上である防水塗膜の形成方法。
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