JPH10298278A - 新規ポリカーボネート樹脂、これを用いた電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents

新規ポリカーボネート樹脂、これを用いた電子写真感光体および電子写真装置

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JPH10298278A
JPH10298278A JP11126597A JP11126597A JPH10298278A JP H10298278 A JPH10298278 A JP H10298278A JP 11126597 A JP11126597 A JP 11126597A JP 11126597 A JP11126597 A JP 11126597A JP H10298278 A JPH10298278 A JP H10298278A
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JP
Japan
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polycarbonate resin
resin
general formula
electrophotographic
photosensitive layer
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Application number
JP11126597A
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English (en)
Inventor
Masahiko Miyamoto
昌彦 宮本
Ichiro Takegawa
一郎 竹川
Hidemi Nukada
秀美 額田
Hiroshi Nakamura
博史 中村
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な化合物を提供すること、高い耐摩耗性
及び耐久性を有する電子写真感光体及び電子写真装置を
提供すること。 【解決手段】 少なくとも下記一般式(I)で示される
構造単位を有することを特徴とするポリカーボネート樹
脂、これを感光層の結着樹脂として用いた電子写真感光
体及び電子写真装置。 ・一般式(I) 【化1】 式中、R1 〜R10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン
原子、アルキル基、或いは、置換または未置換のアリー
ル基を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有用性のある新規
なポリカーボネート樹脂、これを用いた電子写真感光体
および電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体(以下、単に「感光体」
という場合がある)は、高速、かつ高印字品質が得られ
るという利点を有するため、複写機およびレーザービー
ムプリンター等の電子写真装置において著しく利用され
ている。このような電子写真装置において用いられる電
子写真感光体として、従来からのセレン、セレン−テル
ル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム等無機光導
電材料を用いた電子写真感光体に比べ、安価で製造性お
よび廃棄性の点で優れた利点を有する有機光導電材料を
用いた電子写真感光体(以下、単に「有機感光体」とい
う)が、近年主流を占める様になってきている。なかで
も、露光により電荷を発生する電荷発生層と電荷を輸送
する電荷輸送層を積層する機能分離型積層有機感光体
は、感度、帯電性およびその繰り返し安定性等、電子写
真特性の点で優れており、種々の提案が為され、実用化
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら有機感光
体は無機感光体に比べ、一般に機械的強度が劣ってお
り、クリーニングブレードや、現像ブラシ、用紙などの
機械的外力による摺擦傷、摩耗により感光体表面が劣化
しやすく、寿命が短いという問題があった。さらに、エ
コロジーの観点から近年使用されてきている接触帯電方
式を用いたシステムでは、コロトロンによる帯電方式に
比べて大幅に感光体の摩耗が増加することも問題となっ
ている。この結果感光体の感度が低減しコピーにかぶり
が生じたり、帯電電位が低下しコピー濃度が低下すると
いう問題があった。従って、十分な耐久性を有する感光
層が形成されるような表面層材料の開発が望まれてい
た。また、蒸着などの方法により導電層を形成したポリ
エチレンテレフタレート等のフィルム上に感光層の塗膜
を形成した可撓性を有する電子写真感光体は、ベルト状
に加工して繰り返し使用できるため、電子写真装置の形
状自由度を拡げることができるという利点を有している
が、感光体はフレキシブルな動きに十分に追従しなけれ
ばならないという要請がある。かかる要請に応えるべ
く、たとえば表面層の結着樹脂として各種のポリカーボ
ネート樹脂を用いた感光体が提案されている。(特開昭
60−172044号公報、特開昭62−247374
号公報、特開昭63−148263号公報)
【0004】ところが、従来提案された結着樹脂を用
い、塗布工程によって感光層の塗膜を形成した場合、比
較的良好な耐久性を有するベルト状電子写真感光体が得
られるものの、その機械的強度は必ずしも十分なレベル
にあるとはいえず、複写機中のベルト駆動装置において
長期間繰り返し回転させた場合、感光層中に亀裂が生
じ、それがコピー画像上にひび割れ模様となって現れる
という問題が残されていた。
【0005】本発明は、上記のような実状に鑑みて成さ
れたものであって、従来の技術における上記の問題点を
解消することを目的とするものである。すなわち、本発
明の第1の目的は、高い耐摩耗性を有し、接触帯電装置
の様なプロセスに用いても高い耐久性を有する電子写真
感光体を提供することにある。さらに、本発明の第2の
目的は、感光体表面の塗膜が高い折り曲げ強度を有し、
ベルト状感光体として繰り返し使用した場合、塗膜中に
亀裂などの欠陥の発生がなく、かつ強い耐摩耗性を有す
ることにより、耐久性に優れた電子写真感光体を提供す
ることにある。また、本発明の第3の目的は、上記目的
を達する手段として有用な新規ポリカーボネート樹脂を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の諸
点に鑑みて種々検討した結果、少なくとも下記一般式
(I)で示される構造単位を有することを特徴とするポ
リカーボネート樹脂が、その機械的強度に関し極めて優
れた特性を有することを見いだし、さらに該ポリカーボ
ネート樹脂を電子写真感光体の感光層の結着樹脂として
用いることにより、その機械的強度に由来する耐久性に
関し、極めて優れた特性を有し、ドラム状感光体におい
てもまたベルト状感光体においても電子写真装置中で長
期間繰り返し回転させた場合における感光層の機械的劣
化の問題を解消することができることを見いだし、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)少
なくとも下記一般式(I)で示される構造単位を有する
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂である。 ・一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】式中、R1 〜R10はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、或いは、置換または未
置換のアリール基を表す。 (2)上記一般式(I)で示される構造単位と、それ以
外のポリカーボネート樹脂の構造単位との共重合体であ
ることを特徴とする上記発明(1)に記載のポリカーボ
ネート樹脂である。 (3)上記一般式(I)中のR1 〜R10が全て水素原子
であることを特徴とする上記発明(1)または(2)に
記載のポリカーボネート樹脂である。 (4)導電性支持体上に感光層を設けてなる電子写真感
光体に於て、該感光層に上記発明(1)ないし(3)に
記載のポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とす
る電子写真感光体である。 (5)電荷輸送材料として下記一般式(II)で示される
ベンジジン系化合物を感光層に含有することを特徴とす
る上記発明(4)に記載の電子写真感光体である。 ・一般式(II)
【0009】
【化5】
【0010】式中、R1 およびR1 ’は同一であっても
異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキ
シ基、或いはハロゲン原子を表し、R2 、R2 ’、R3
およびR3 ’は同一であっても異なっていてもよく、水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、或
いは置換アミノ基を表す。また、m、m’、nおよび
n’はそれぞれ独立に1または2を表す。 (6)電荷輸送材料として下記一般式(III) で示される
トリアリールアミン系化合物を感光層に含有することを
特徴とする上記発明(4)に記載の電子写真感光体であ
る。・一般式(III)
【0011】
【化6】
【0012】式中、R1 およびR2 は同一であっても異
なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、或いはハロゲン原子を表し、R3 は水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基、或いは置換または未置換のアリ
ール基を表す。また、mおよびnはそれぞれ独立に1ま
たは2を表す。 (7)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折
スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)におい
て、少なくとも7.4°,16.6°,25.5°,2
8.3°の位置に回折ピークを有するジクロルガリウム
フタロシアニンを感光層に含有することを特徴とする上
記発明(4)に記載の電子写真感光体である。 (8)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折
スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)におい
て、少なくとも7.5°,9.9°,12.5°,1
6.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置
に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニ
ンを感光層に含有することを特徴とする上記発明(4)
に記載の電子写真感光体である。 (9)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折
スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)におい
て、少なくとも9.5°,11.7°,15.0°,2
4.1°,27.3°の位置に回折ピークを有するチタ
ニルフタロシアニンを感光層に含有することを特徴とす
る上記発明(4)に記載の電子写真感光体である。 (10)導電性支持体が可撓性を有することを特徴とす
る上記発明(4)ないし(9)に記載の電子写真感光体
である。 (11)帯電装置が接触帯電装置である電子写真装置に
おいて、上記発明(4)ないし(10)に記載の電子写
真感光体を用いたことを特徴とする電子写真装置であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を挙げ
て説明する。 [本発明の新規ポリカーボネート樹脂]本発明の新規ポ
リカーボネート樹脂は、少なくとも下記一般式(I)で
示される構造単位を有することを特徴とするポリカーボ
ネート樹脂である。 ・一般式(I)
【0014】
【化7】
【0015】式中、R1 〜R10はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、或いは、置換または未
置換のアリール基を表す。上記ハロゲン原子としては、
例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。ア
ルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
また、上記アリール基の置換基としては、例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチ
ル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子等が挙げ
られる。本発明のポリカーボネート樹脂の上記一般式
(I)で示される構造単位の具体例としては、下記一般
式(I’)のR1 〜R10の置換基が下記表1に示すもの
が挙げられる。なお、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0016】・一般式(I’)
【0017】
【化8】
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】本発明のポリカーボネート樹脂は、上記一
般式(I)で示される構造単位の一種類のみから構成さ
れていてもよいし、複数の種類をポリカーボネート樹脂
中に有していてもよい。また、本発明のポリカーボネー
ト樹脂は、上記一般式(I)で示される構造単位のみか
らなるのもであってもよいし、他の構造単位との共重合
体であってもよい。本発明において共重合化して用いる
ことが可能な他の構造単位としては、各種樹脂の構造単
位が挙げられ、例えば、ビスフェノール(A)、ビスフ
ェノール(Z)、ビスフェノール(C)、ビスフェノー
ル(TP)、ビスフェノール(BP)などを用いた各種
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル
樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジ
エン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル
共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン
酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッ
ド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の構造単位が
挙げられる。
【0023】本発明において共重合化する場合には、ブ
ロック、ランダム、グラフト重合法等いずれの重合方法
も用いることができる。本発明のポリカーボネート樹脂
は、共重合化して用いることにより、用途および目的に
応じた特性のコントロールが可能となる。例えば、他の
樹脂等との相溶性、溶媒への溶解性、成膜性などを調整
することができる。
【0024】特にビスフェノール(A)などの、上記一
般式(I)で示される構造単位以外のポリカーボネート
樹脂の構造単位と共重合化させることにより、合成の容
易化やポリカーボネート樹脂の安定性向上などが可能と
なる場合がある。具体的に本発明において共重合化して
用いることが好ましい、上記一般式(I)で示される構
造単位以外のポリカーボネート樹脂の構造単位として
は、下記一般式(IV)で示されるものである。 ・一般式(IV)
【0025】
【化9】
【0026】式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロへキシル基、または炭素数6〜12のアリール基を表
し、Xは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2 −、または −C(R9 )(R10)− [式中、R9 、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数
1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数
6〜12のアリール基または置換アリール基)、炭素数
5〜8のシクロアルキレン基、炭素数2〜12のアルキ
レン基を表す。]を表す。
【0027】本発明のポリカーボネート樹脂の分子量
は、用途や要求される性能によって適宜選択されるが、
通常は粘度平均分子量で3000〜30万の範囲が適当
である。
【0028】本発明のポリカーボネート樹脂は、以下の
方法により製造することができる。 (1)ホスゲンを用いる方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、中間体となる下記化
合物Aをホスゲンと反応させることにより製造すること
ができる。なお、下記化合物Aは市場から容易に入手可
能である。 ・化合物A HO−R−OH 式中Rは、下記構造を表す。 ・Rの構造
【0029】
【化10】
【0030】式中、R1 〜R10はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、或いは、置換または未
置換のアリール基を表す。反応式としては以下の通りで
ある。
【0031】
【化11】
【0032】(2)ジヒドロキシ化合物のビスクロロホ
ルメート体を用いる方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物
のビスクロロホルメート体と上記化合物Aを反応させる
ことにより製造することができる。反応式としては以下
の通りである。
【0033】
【化12】
【0034】式中R’は、化合物AにおけるRと同じ意
味であり、RとR’は同一であっても異なっていてもよ
い。
【0035】(3)ジヒドロキシ化合物のモノクロロホ
ルメート体を用いる方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物
のモノクロロホルメート体を自己縮合反応させることに
より製造することができる。反応式としては以下の通り
である。
【0036】
【化13】
【0037】式中Rは、化合物AにおけるRと同じ意味
である。
【0038】(4)ジアルキルカーボネートを用いる方
法 本発明のポリカーボネート樹脂は、上記化合物Aをジア
ルキルカーボネートと反応させることにより製造するこ
とができる。反応式としては以下の通りである。
【0039】
【化14】
【0040】式中R”は、アルキル基を表す。
【0041】(5)ジヒドロキシ化合物のモノカーボネ
ートを用いる方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物
のモノカーボネートを自己縮合反応させることにより製
造することができる。反応式としては以下の通りであ
る。
【0042】
【化15】
【0043】式中Rは、化合物AにおけるRと同じ意味
である。また、R”は、水素、アルキル基等を表す。
【0044】(6)環状ポリカーボネートを用いる方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、環状ポリカーボネー
トを開環重合反応させることにより製造することができ
る。反応式としては以下の通りである。
【0045】
【化16】
【0046】式中Rは、化合物AにおけるRと同じ意味
である。
【0047】(7)二酸化炭素と環状エーテルを用いる
方法 本発明のポリカーボネート樹脂は、二酸化炭素と環状エ
ーテルを反応させることにより製造することができる。
反応式としては以下の通りである。
【0048】
【化17】
【0049】式中Rは、化合物AにおけるRと同じ意味
である。
【0050】(8)炭酸塩とジハロゲン化物を用いる方
法 本発明のポリカーボネート樹脂は、炭酸塩とジハロゲン
化物を反応させることにより製造することができる。反
応式としては以下の通りである。
【0051】
【化18】
【0052】式中Rは、化合物AにおけるRと同じ意味
である。Mは、1価の金属原子、NH4 等を表す。ま
た、Xはハロゲン原子を表す。
【0053】本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法
として、以上の方法が挙げられるが、一般的にポリカー
ボネート樹脂の製造方法として最も用いられているの
は、(1)のホスゲンを用いた方法である。
【0054】次に本発明のポリカーボネート樹脂の具体
的な合成例を示す。合成例 (化合物番号(1−1)のポリカーボネート樹脂の合
成)2リットルの反応器に下記構造を示すビスフェノー
ル化合物0.2モル、4.7%濃度の水酸化ナトリウム
水溶液400ml及び塩化メチレン350mlを添加
し、激しく撹拌しながらホスゲンを400ml/分の割
合で15分間吹き込んだ。反応温度を15℃に保ち、更
に13.7%濃度の水酸化ナトリウム40ml、トリメ
チルベンジルアンモニウムクロライド0.2g及びトリ
エチルアミン0.3mlを加え、23℃で1時間撹拌を
続けて重縮合反応を実施した。反応終了後、生成物を塩
化メチレン400mlで希釈し、水1リットル、0.0
1規定の塩酸0.5リットル及び水1リットルで順次洗
浄した。得られた有機相を5リットルのメチルアルコー
ルに注入して白色重合体を沈殿させ濾別後100℃で1
2時間乾燥して化合物番号(1−1)のポリカーボネー
ト樹脂約46gを得た。
【0055】
【化19】
【0056】本発明のポリカーボネート樹脂は、機械的
強度、寸法安定性、電気絶縁性および透明性等に優れ、
その優れた特徴を活かし、各種の分野で広汎、かつ有用
に用いることができる。例えば、電子、電気、OAの分
野においては、シャーシハウジング材等に用いることが
できる。情報分野においては、電子写真感光体、EL素
子、CD、CD−ROM、MOやDVD等のニューメデ
ィアの記録媒体として用いることができる。自動車の分
野においては、ヘッドランプ、インナーレンズ、ドアハ
ンドル等に用いることができる。機械分野においては精
密機械の部品が主体で、カメラ、VTRカメラの機構部
品、外装部品等に用いることができる。また、その他電
動工具等にも用いることができる。医療の分野において
は、その透明性、安全性、耐滅菌性等の特徴を活かし、
人工透析容器、三方活栓等に用いることができる。雑貨
の分野においては、高級雑貨製品の食器用途として用い
ることができる。また、ベビー用品、電子レンジ用容
器、計量カップ等に用いることができる。また、シート
やフィルムの押し出し材は、ガラス代替素材として用い
ることができる。
【0057】[電子写真感光体]次に本発明のポリカー
ボネート樹脂を用いた電子写真感光体の構成例を示す。 <支持体>本発明の電子写真感光体において、導電性支
持体としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛或いはニッ
ケルなどの金属ドラムおよびシート;紙、プラスチック
またはガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、
パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼
或いは銅−インジウム等の金属を蒸着するか、酸化イン
ジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着するか、
金属箔をラミネートするか、またはカーボンブラック、
酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉或
いは沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによっ
て導電処理したドラム状、シート状或いはプレート状の
物など公知の材料を用いることができる。金属ドラムと
して金属パイプ基材を用いる場合、表面は素管のままで
あっても、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗
切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホー
ニングなどの処理が行われていても構わない。表面処理
により基材表面を粗面化することによりレーザービーム
のような可干渉光源を用いた場合に発生しうる感光体内
での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができ
る。
【0058】<下引き層>下引き層はポリビニルブチラ
ールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹
脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラ
チン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリ
ル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニ
ルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレ
イン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド
樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹
脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チ
タニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子など
を含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物
は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合
物として用いることができる。なかでも、ジルコニウム
もしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位
が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用
による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
【0059】シリコン化合物としては、例えばビニルト
リメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−ト
リス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニル
トリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β
−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が
挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられる
シリコン化合物はビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−
(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシラ
ンカップリング剤が挙げられる。
【0060】有機ジルコニウム化合物の例として、ジル
コニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、
ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネ
ートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコ
ニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニ
ウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニ
ウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン
酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン
酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタ
クリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジル
コニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブ
トキシドなどが挙げられる。
【0061】有機チタン化合物の例としてはテトライソ
プロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネー
ト、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘ
キシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポ
リチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリ
コレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラ
クテート、チタンラクテートエチルエステル、チタント
リエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステア
レートなどが挙げられる。有機アルミニウム化合物の例
としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシ
アルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレ
ート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプ
ロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテ
ート)などが挙げられる。
【0062】下引き層中には電気特性の向上や光散乱性
の向上などの目的により、各種の有機もしくは無機微粉
末を混合することができる。とくに、酸化チタン、酸化
亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料
やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔
料としての無機顔料やテフロン樹脂粒子、ベンゾグアナ
ミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子などが有効である。添
加微粉末の粒径は0.01〜2μmのものが用いられ
る。下引き層は0.1〜10μmの範囲が望ましい。微
粉末は必要に応じて添加されるが、添加される場合には
下引き層の固形分に対して10〜80重量%、より好ま
しくは30〜70重量%添加される。下引き層塗布液の
形成において、添加微粉末を混入させる場合には樹脂成
分を溶解した溶液中に添加して分散処理が行われる。添
加微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミ
ル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サン
ドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法
を用いることができる。
【0063】<感光層>上記下引き層上に形成される感
光層は、基本的には単層構造であっても、電荷発生層と
電荷輸送層とに機能分離された積層構造であってもよ
い。また、これら感光層の上に必要に応じて表面保護層
を形成することも可能である。積層構造の場合、電荷発
生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であっても
良い。これら電荷発生層と電荷輸送層の双方若しくは一
方の結着樹脂を本発明のポリカーボネート樹脂とするこ
とにより、機械的強度が高く、耐久性に優れた感光体を
作製することができる。但し、電荷輸送層は電荷発生層
に比べて、後述の如く一般に厚みが大きい為、感光体の
十分な機械的強度を得るには、電荷輸送層の結着樹脂を
本発明のポリカーボネート樹脂とすることが好ましい。
また、耐摩耗性向上と表面傷の低減を実現する為には表
面層の結着樹脂を本発明のポリカーボネート樹脂とする
ことが必要となる。即ち、本発明のポリカーボネート樹
脂を電荷輸送層の結着樹脂として用い、かつこの層を表
面層とする構造の感光体では、感光体の機械的強度の向
上、耐摩耗性の向上および表面傷の低減が実現できる。
また、導電性支持体が可撓性を有するベルト型感光体に
おいては、本発明のポリカーボネート樹脂が構成層中の
どの位置にあろうと可撓性に関する機械的寿命を向上さ
せることができる。さらに、いずれの構成にも拘わらず
優れた電気特性と画質とを獲得することができる。単層
構造の場合、後述の電荷発生材料と電荷輸送材料とを一
つの層に含有し、本発明のポリカーボネート樹脂を結着
樹脂として形成することにより、感光体の機械的強度の
向上、耐摩耗性向上および表面傷の低減が実現できる。
【0064】1.積層構造の感光層 まず、積層構造の感光層の場合について説明する。 (電荷発生層)電荷発生層は電荷発生物質を真空蒸着に
より形成するか、有機溶剤および結着樹脂とともに分散
し塗布することにより形成される。電荷発生物質として
は、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合
金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物およびセ
レン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体、
無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フ
タロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシア
ニンなどの各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム
系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アント
ラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム
塩等の各種有機顔料および染料が用いられる。また、こ
れらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特
にフタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとし
てさまざまな結晶型が知られているが、目的に合った感
度が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶
型でも用いることができる。
【0065】電荷発生層と電荷輸送層の双方、若しくは
一方に含まれる本発明のポリカーボネート樹脂との関連
で、特に感度的な意味において優れた性能が得られる電
荷発生材料として以下の化合物が挙げられる。 1)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4
°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に回折
ピークを有するジクロルガリウムフタロシアニン。 2)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5
°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,
25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン。 3)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5
°,11.7°,15.0°,24.1°,27.3°
の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシアニン。
【0066】電荷発生層に於ける結着樹脂としては、本
発明のポリカーボネート樹脂、または、以下のものを例
示することができる。すなわち、ビスフェノールAタイ
プあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネ
ート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
ビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体
樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シ
リコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポ
リ−N−ビニルカルバゾールなどである。これらの結着
樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可
能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(重量
比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また、
電荷発生層の厚みは、一般には0.01〜5μm、好ま
しくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。電荷
発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミ
ル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイ
ノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用い
ることができる。
【0067】(電荷輸送層)電荷輸送層は、少なくとも
電荷輸送材料と結着樹脂とからなる。電荷輸送層に用い
られる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示で
きる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−
1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール
誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−
[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチ
リル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリ
ンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ
(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4
−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベン
ジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−ト
リル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級ア
ミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス
(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−
4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合
物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ
−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジ
ンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチル
アミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾ
ン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−
ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェ
ニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒド
ラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリ
ンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−
ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベン
ゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−
N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導
体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカ
ルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよ
びその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモ
アニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシ
アノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニ
ル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−
1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジ
エチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールな
どのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、
チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブ
チルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電
子輸送物質。あるいは以上に示した化合物からなる基を
主鎖または側鎖に有する重合体などがあげられる。これ
らの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合せて
使用できる。
【0068】積層型感光体では電荷輸送材料の電荷輸送
極性により感光体の帯電極性が異なる。正孔輸送物質を
用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物
質を用いた場合には正帯電で用いられる。両者を混合し
た場合には両帯電極性の感光体が可能である。
【0069】電荷輸送層で本発明のポリカーボネート樹
脂を結着樹脂として用いた場合に、本発明のポリカーボ
ネート樹脂との関連において、相溶性が良好で特に優れ
た性能が得られる電荷輸送材料として以下の化合物が挙
げられる。 1)下記一般式(II)で示されるベンジジン系化合物 ・一般式(II)
【0070】
【化20】
【0071】式中、R1 およびR1 ’は同一であっても
異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキ
シ基、或いはハロゲン原子を表し、R2 、R2 ’、R3
およびR3 ’は同一であっても異なっていてもよく、水
素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、或
いは置換アミノ基を表す。また、m、m’、nおよび
n’はそれぞれ独立に1または2を表す。この一般式
(II)で示されるベンジジン化合物の具体的化合物例を
下記表2に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】2)下記一般式(III) で示されるトリアリ
ールアミン系化合物 ・一般式(III)
【0076】
【化21】
【0077】式中、R1 およびR2 は同一であっても異
なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、或いはハロゲン原子を表し、R3 は水素原子、炭素
数1〜4のアルキル基、或いは置換または未置換のアリ
ール基を表す。また、mおよびnはそれぞれ独立に1ま
たは2を表す。この一般式(III) で示されるトリアリー
ルアミン系化合物の具体的化合物例を下記表2に示す。
【0078】
【表8】
【0079】
【表9】
【0080】本発明において、電荷輸送材料の結着樹脂
として、本発明のポリカーボネート樹脂または電荷発生
材料の結着樹脂として挙げたその他樹脂が使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂は、電荷輸送材料の相溶
性改良、溶媒への溶解性改良、成膜性向上などの目的で
他の樹脂と混合あるいは共重合化して用いることができ
る。混合してあるいは共重合化して用いることが可能な
樹脂の例として、一般式(I)内の異なるポリカーボネ
ート樹脂、ビスフェノール(A)、ビスフェノール
(Z)、ビスフェノール(C)、ビスフェノール(T
P)、ビスフェノール(BP)などを用いた各種ポリカ
ーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、
アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン
共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重
合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹
脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッ
ド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられ
る。特に合成時にビスフェノール(A)などのポリカー
ボネート樹脂の構造単位と共重合化することにより、合
成の容易化やポリカーボネート樹脂の安定性向上などが
可能となる場合がある。具体的に本発明において、共重
合化して用いることが好ましいポリカーボネート樹脂の
構造単位としては、下記一般式(IV)で示されるもので
ある。 ・一般式(IV)
【0081】
【化22】
【0082】式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロへキシル基、または炭素数8〜12のアリール基を表
し、Xは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO
−、−SO2 −、または −C(R9 )(R10)− [式中、R9 、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数
1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数
6〜12のアリール基または置換アリール基)、炭素数
5〜8のシクロアルキレン基、炭素数2〜12のアルキ
レン基を表す。]を表す。
【0083】本発明において共重合化させる場合には、
ブロック、ランダム、グラフト重合法等いずれの重合方
法も用いることができる。共重合化させる場合に、一般
式(I)で示される構造単位の割合としては、5〜90
%の割合が好ましく、特に共重合効果は10〜90%の
割合によって発揮される。本発明のポリカーボネート樹
脂と他の樹脂とを混合して用いる場合、その混合割合と
しては、全樹脂成分中、他の樹脂は5〜70%の割合で
混合されるのが望ましい。電荷輸送層に用いられる本発
明のポリカーボネート樹脂の分子量は、感光層の膜厚や
溶剤などの成膜条件、あるいは所望の耐摩耗性などの機
械的特性によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分
子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万
の範囲が適当である。
【0084】電荷輸送層は、上述の電荷輸送材料および
結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥す
ることによって形成することができる。電荷輸送層の形
成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼン、トル
エン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセト
ン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロ
ホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ
ール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテ
ル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができ
る。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1
〜1:5が好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般に5
〜50μm、好ましくは10〜40μm、さらに好まし
くは10〜30μmの範囲に設定される。
【0085】電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性
ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目
的で、感光層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤など
の添加剤を添加する事ができる。たとえば、酸化防止剤
としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パ
ラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキ
ノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれら
の誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げら
れる。
【0086】酸化防止剤の具体的な化合物例として、フ
ェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オク
タデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−
ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メ
チレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’
−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−
(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,
4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−
ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌ
レート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−
ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピ
オネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−
t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プ
ロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカ
ンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3
−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウ
ンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジ
メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合
物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミ
ル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n
−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメ
チル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノ
プロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチ
ル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピ
ペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリア
ジン縮合物などが挙げられる。有機硫黄系酸化防止剤と
してジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジ
ミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステ
アリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリ
スリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピ
オネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオ
ネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げ
られる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニ
ルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリ
ス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィー
トなどが挙げられる。
【0087】有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2
次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系な
どの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得
ることができる。光安定剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テ
トラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0088】ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−オクトキシ ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられ
る。ベンゾトリアゾール系光安定剤として2−(−2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル−)−ベンゾトリ
アゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,
4”,5”,6”−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチ
ル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、
2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−
メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’
−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチル
フェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−t−オクチル フェニル)−ベンゾトリ
アゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−
t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙
げられる。その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒド
ロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバ
メートなどがある。
【0089】また感度の向上、残留電位の低減、繰り返
し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電
子受容性物質を含有せしめることができる。本発明の感
光体に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水
琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無
水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノ
エチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベ
ンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロ
アントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン
酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル
酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノ
ン系、キノン系や、Cl,CN,NO2 等の電子吸引性
置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。また塗
布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤として
シリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0090】塗工は、感光体の形状や用途に応じて浸漬
塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布
法、ブレード塗布法、ローラー塗布法などの塗布法を用
いて行うことが出来る。乾燥は、室温で指触乾燥した後
に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜2
00℃の温度で、5分〜2時間行うことが望ましい。
【0091】2.単層構造の感光層 感光層が単層構造の場合、感光層は前述の電荷発生材
料、電荷輸送材料および結着樹脂としての本発明のポリ
カーボネート樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布
し乾燥することによって形成することができる。使用で
きる溶媒としては、電荷輸送層の製造において説明した
ものと同様である。また、感光層中に、電荷輸送層の製
造において説明したものと同様酸化防止剤、光安定剤、
熱安定剤、電子受容性材料などの添加剤やシリコーンオ
イルを添加する事ができ、塗工方法も電荷輸送層の製造
において説明した方法と同様である。電荷輸送材料と本
発明のポリカーボネート樹脂との配合比は1:3〜6:
4が好ましい。電荷発生材料と本発明のポリカーボネー
ト樹脂との配合比は1:1〜1:10が好ましい。本発
明のポリカーボネート樹脂が少ない場合には機械的強度
が弱く、多すぎると感度や光減衰速度が低下する。また
感光層の膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜
30μmの範囲に設定される。
【0092】<表面保護層>感光層の上には必要に応じ
表面保護層を形成することができる。表面保護層として
は、絶縁性樹脂保護層、あるいは絶縁性樹脂の中に抵抗
調整剤を添加した低抵抗保護層がある。低抵抗保護層の
場合には、例えば絶縁性樹脂中に導電性微粒子を分散し
た層があげられる。導電性微粒子として電気抵抗が10
9 Ω・cm以下で白色、灰色もしくは青白色を呈する個
数平均粒径(D50)が0.3μm以下が好ましく、より
好ましくは0.1μm以下の微粒子であり、例えば、酸
化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸
化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモ
ンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれ
らの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物
を混合したもの、あるいは被覆したものがあげられる。
中でも、酸化錫、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アン
チモンとの固溶体は電気抵抗を適切に調節することが可
能で、かつ、保護層を実質的に透明にすることが可能で
あるので、好ましく用いられる。(特開昭57−308
47号、特開昭57−128344号参照) 絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ
エステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネー
ト等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、
ポリアクリルアミドのようなビニル重合体等が挙げられ
る。
【0093】以上のようにして作製された本発明のポリ
カーボネート樹脂を用いた感光体は、ライトレンズ系複
写機、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービー
ムプリンター、ディジタル複写機、LEDプリンター、
レーザーファクシミリなどの電子写真装置に用いること
ができる。また、本感光体は一成分系、二成分系の正規
現像剤あるいは反転現像剤ともあわせて用いることがで
きる。また本感光体は帯電ローラーや帯電ブラシを用い
た接触帯電方式においても電流リークの発生が少ない良
好な特性が得られる。
【0094】
【実施例】以下、本発明のポリカーボネート樹脂を感光
体に用いた例について、実施例および比較例によって具
体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0095】実施例1 4重量部のポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エス
レックBM−S)を溶解したn−ブチルアルコール17
0重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトン
ジルコニウムブチレート)30重量部および有機シラン
化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン)3重量部を追加混合撹拌し下引き層の塗布液を得
た。D50が30μmのアルミナ球状微粉末を用いて液体
ホーニング処理することにより中心線平均粗さRa=
0.18μmに粗面化された30mmφのED管アルミ
ニウム基体の上に、浸漬塗布装置を用いて下引き層の塗
布を行い150℃1時間の硬化処理を行い、膜厚1.2
μmの下引き層を形成した。電荷発生材料として7.4
°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に明瞭
なX線回折ピークを有するジクロルガリウムフタロシア
ニン3重量部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(日
本ユニカーVMCH)2重量部、酢酸ブチル180重量
部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。こ
の液を上記下引き層上に浸漬塗布および乾燥して、膜厚
0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0096】次に、化合物番号2−1に示すN,N’−
ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−
[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量
部と、結着樹脂としての化合物番号1−1に示す本発明
のポリカーボネート樹脂(分子量約4万)6重量部とを
テトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール0.2重量部を加えて溶解し
た。この液を用いて、塗布し120℃40分の乾燥を行
うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成し、三層
からなる電子写真感光体を作製した。得られた電子写真
感光体を、接触帯電方式の帯電装置を有するプリンター
(PC−PR1000/4R、日本電気製)に装着して
プリント操作を行った。その際の感光体の残留電位およ
び画質を評価した。5万枚のプリントテストを行ったの
ちの感光層の摩耗を評価した。さらにその後の画質を調
べた。得られた結果を表4に示す。
【0097】比較例1 実施例1と同様の方法で得られた基材上に実施例1と同
じ方法で下引き層、電荷発生層を形成した。次に、電荷
発生層上に化合物番号2−1に示すN,N’−ジフェニ
ル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,
1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部と結
着樹脂としてのビスフェノールAタイプポリカーボネー
ト樹脂(分子量約4万)6重量部とをテトラヒドロフラ
ン70重量部、塩化メチレン10重量部、2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を加え
て溶解した。この液を用いて、塗布し120℃40分の
乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成
し、三層からなる電子写真感光体を作製した。得られた
電子写真感光体を、接触帯電方式の帯電装置を有するプ
リンター(PC−PR1000/4R、日本電気製)に
装着してプリント操作を行った。その際の感光体の残留
電位および画質を評価した。5万枚のプリントテストを
行ったのちの感光層の摩耗を評価した。さらにその後の
画質を調べた。得られた結果を表4に示す。
【0098】比較例2〜3 実施例1と同様の方法で得られた基材上に実施例1と同
じ方法で下引き層、電荷発生層を形成し、電荷輸送層に
おける結着樹脂をそれぞれ表4に示す樹脂を用いた以外
は実施例1と同じ方法で電荷輸送層を形成し、三層から
なる電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光
体を、接触帯電方式の帯電装置を有するプリンター(P
C−PR1000/4R、日本電気製)に装着してプリ
ント操作を行った。その際の感光体の残留電位および画
質を評価した。5万枚のプリントテストを行ったのちの
感光層の摩耗を評価した。さらにその後の画質を調べ
た。得られた結果を表4に示す。
【0099】実施例2〜8 実施例1と同様の方法で得られた基材上に実施例1と同
じ方法で下引き層、電荷発生層を形成した。次に、電荷
発生層上に化合物番号2−1に示すN,N’−ジフェニ
ル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,
1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部と、
結着樹脂としての表4に示す本発明のポリカーボネート
樹脂(化合物番号1−2、1−3、1−10、1−2
1、1−50、1−58、1−62;分子量約4万)6
重量部とをテトラヒドロフラン70重量部、塩化メチレ
ン10重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフ
ェノール0.2重量部を加えて溶解した。この液を用い
て、塗布し120℃40分の乾燥を行うことにより膜厚
25μmの電荷輸送層を形成し、三層からなる電子写真
感光体を作製した。得られた電子写真感光体を、接触帯
電方式の帯電装置を有するプリンター(PC−PR10
00/4R、日本電気製)に装着してプリント操作を行
った。その際の感光体の残留電位および画質を評価し
た。5万枚のプリントテストを行ったのちの感光層の摩
耗を評価した。さらにその後の画質を調べた。得られた
結果を表4に示す。
【0100】
【表10】
【0101】実施例に示す本発明のポリカーボネート樹
脂を有する感光体は接触帯電方式の帯電装置を有するプ
リンターで、プリントテストを行っても感光体のリーク
放電などに起因する画質異常は見られなかった。また感
光体の摩耗は少なく、感光体の帯電性低下や残留電位の
上昇がなく安定した電気特性が得られた。比較例1〜3
に示したポリカーボネート樹脂を用いた感光体は摩耗が
大きく、暗減衰が上昇し帯電性の低下が生じ低濃度部分
にかぶりがみられた。摩耗により膜厚の低下した部分で
接触帯電装置からの電流リークがありリーク部分を絶縁
性物質で修復して走行を行わざるを得なかった。この部
分は画質欠陥となった。
【0102】実施例9 ポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エスレックBM
−S)16重量部とシクロヘキサノン550重量部を混
合し撹拌した。さらにレゾール型フェノール樹脂(大日
本インキ化学社製、フェノライトJ−325)8重量部
を加え撹拌した。さらにこの液に酸化チタン顔料60重
量部を加えサンドグラインドミルにて5時間の分散を行
った。このミルベースにこの塗布液を用いて液体ホーニ
ング処理により中心線平均粗さRa=0.18μmに粗
面化された84mmφのアルミニウム基体の上に、リン
グ塗布装置を用いて塗布を行い170℃1時間の硬化処
理を行い、膜厚4μmの下引き層を形成した。
【0103】電荷発生材料として9.5°,11.7
°,15.0°,24.1°,27.3°の位置に明瞭
なX線回折ピークを有するチタニルフタロシアニン15
重量部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エスレ
ックBM−S)10重量部、n−ブチルアルコール30
0重量部からなる混合物をサンドグラインドミルにて4
時間分散した。この液を上記下引き層上に塗布および乾
燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次
に、化合物番号3−33に示す電荷輸送材料N,N−ビ
ス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミ
ン4重量部と、結着樹脂としての化合物番号1−1に示
す本発明のポリカーボネート樹脂(分子量約4万)6重
量部とをクロルベンゼン80重量部を加えて溶解した。
この液を用いて、塗布乾燥することにより膜厚27μm
の電荷輸送層を形成し、三層からなる電子写真感光体を
作製した。得られた電子写真感光体を、中間転写ドラム
方式を有するカラー複写機富士ゼロックス社製Acol
or−635に装着して光量を調整しプリント操作を行
った。その際の感光体の画質に関して得られた結果を表
5に示す。
【0104】実施例10〜16 実施例9において化合物番号1−1に示すポリカーボネ
ート樹脂の代わりに表5に示す本発明のポリカーボネー
ト樹脂(化合物番号1−9、1−20、1−34、1−
38〜1−40、1−49、分子量約4万)を用いた以
外は、実施例9と同じ方法で感光体を作製し評価を行っ
た。結果を表5に示す。
【0105】比較例4〜6 実施例9において化合物番号1−1に示すポリカーボネ
ート樹脂の代わりに表5に示すポリカーボネート樹脂を
用いた以外は、実施例9と同じ方法で感光体を作製し評
価を行った。結果を表5に示す。
【0106】実施例17 化合物番号1−1の本発明のポリカーボネート樹脂の構
造単位とビスフェノール(A)型ポリカーボネートの構
造単位との1:1モルの共重合樹脂(分子量約4万)を
用意して、実施例9における化合物番号1−1に示すポ
リカーボネート樹脂の代わりに用いた以外は、実施例9
と同じ方法で感光体を作製し評価を行った。結果を表5
に示す。
【0107】実施例18 化合物番号1−3の本発明のポリカーボネート樹脂の構
造単位とビスフェノール(A)型ポリカーボネートの構
造単位との1:1モルの共重合樹脂(分子量約4万)を
用意して、実施例9における化合物番号1−1に示すポ
リカーボネート樹脂の代わりに用いた以外は、実施例9
と同じ方法で感光体を作製し評価を行った。結果を表5
に示す。
【0108】
【表11】
【0109】実施例1〜18のポリカーボネート樹脂を
感光層に有する感光体は、かぶりが発生せず、また黒点
の発生も少なく、良好な画質が得られた。一方、比較例
1〜6の本発明のポリカーボネート樹脂以外のポリカー
ボネート樹脂を感光層に用いた感光体は、かぶりが発生
し、さらに黒点の発生が多く、画質異常が認められた。
【0110】実施例19 ポリエチレンテレフタレートフィルム表面上にアルミニ
ウムの蒸着膜を設けた導電性支持体(東レ製メタルミ
ー)上に、ポリアミド樹脂10重量部、メチルアルコー
ル150重量部、および水40重量部からなる塗布液を
バーコーターにより塗布し、乾燥して、膜厚1μmの下
引き層を形成した。更に7.5°,9.9°,12.5
°,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°
の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロ
シアニン9重量部、ポリビニルブチラール樹脂(積水化
学製エスレックBM−1)2重量部、n−ブチルアルコ
ール30重量部からなる混合物をボールミルポットにと
りミル部材として1/8インチφのSUSボールを使用
し60時間ミリングをしたのち、さらにn−ブチルアル
コール30重量部を加えて希釈し撹拌した液を、上記下
引き層上に塗布し、乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発
生層を形成した。次に、化合物番号2−1に示すN,
N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニ
ル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン
4重量部と、結着樹脂としての本発明のポリカーボネー
ト樹脂(化合物番号1−1)6重量部とを塩化メチレン
55重量部に加えて溶解し、塗布乾燥して膜厚25μm
の電荷輸送層を形成し、三層からなる電子写真感光体を
作製した。上記の様にして作製された電子写真感光体の
感光層塗膜を導電性基体上から剥離し、折り曲げ強度試
験機を用いて5000回までの折り曲げ繰り返し試験を
実施した。また上記電子写真感光体をベルト状に加工
し、ベルト回転駆動装置を有する複写機富士ゼロックス
社製Vivace800に装着して10万サイクルまで
のコピー走行試験を実施した。結果を表6に示す。
【0111】実施例20 電荷輸送層の結着樹脂として、本発明のポリカーボネー
ト樹脂(化合物番号1−2)を用いた以外は、すべて実
施例19と同様に処理して電子写真感光体を作製し、同
様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0112】比較例7 電荷輸送層の結着樹脂として、ビスフェノール(A)タ
イプポリカーボネート樹脂を用いた以外は、すべて実施
例19の方法と同様に処理して電子写真感光体を作製
し、同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0113】比較例8 電荷輸送層の結着樹脂として、ビスフェノール(AF)
タイプポリカーボネート樹脂を用いた以外は、すべて実
施例19の方法と同様に処理して電子写真感光体を作製
し、同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0114】
【表12】
【0115】実施例19および20の本発明のポリカー
ボネート樹脂を感光層に有する感光体は、折り曲げ試験
後でも破断せず、またコピー走行試験後も、良好な画質
が得られた。一方、比較例7および8の本発明のポリカ
ーボネート樹脂以外のポリカーボネート樹脂を感光層に
用いた感光体は、折り曲げ試験中に破断し、またコピー
走行試験後中に、亀裂に起因する白点故障が多数発生し
た。
【0116】実施例21 電荷発生材料として7.4°,16.6°,25.5
°,28.3°の位置に明瞭なX線回折ピークを有する
ジクロルガリウムフタロシアニン1重量部と、結着樹脂
としての化合物番号1−1に示す本発明のポリカーボネ
ート樹脂(分子量約4万)を10重量%含有するテトラ
ヒドロフラン溶液50重量部、化合物番号2−33に示
す電荷輸送材料N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)ビフェニル−4−アミン3重量部、2,6−ジメチ
ル−2’,6’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノ
キノン1重量部とともにボールミルを用いて分散した後
に、テトラヒドロフラン300重量部を追加して、リン
グ塗布法にて84mmφのアルミニウム基板上に塗布し
て、100℃60分の乾燥を行い、15μmの単層構成
の感光体を作製した。この感光体を富士ゼロックス社製
Vivace500に搭載し、1万枚の画出しを行い画
質を評価した。結果を表7に示す。
【0117】比較例9 実施例21において、結着樹脂をビスフェノール(A)
タイプポリカーボネート樹脂に変更した以外は、実施例
21と同様にして、15μmの単層構成の感光体を作製
した。この感光体を実施例21と同様にして評価した。
結果を表7に示す。
【0118】
【表13】
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、機械的強度、寸法安定
性、電気絶縁性および透明性等に優れたポリカーボネー
ト樹脂を得ることができる。本発明のポリカーボネート
樹脂は、その優れた特徴を活かし、各種の分野で広汎、
かつ有用に用いることができる。本発明においては、感
光層の結着樹脂として、上記本発明のポリカーボネート
樹脂を用いたために、形成された塗膜は極めて高い耐摩
耗性と折り曲げ強度を有しており、繰り返し使用におい
ても電気特性や画質も優れている。従って、本発明のポ
リカーボネート樹脂を用いた電子写真感光体は高速複写
機の中でも使用することができ、さらにベルト状の形態
でも感光層中に亀裂などの問題を生ずることがなく高い
耐久性を有している。以上の様に、本感光体を用いるこ
とにより、高速で安定性の高い画質を長期間にわたって
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 5/06 370 G03G 5/06 370 (72)発明者 中村 博史 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記一般式(I)で示される
    構造単位を有することを特徴とするポリカーボネート樹
    脂。 ・一般式(I) 【化1】 式中、R1 〜R10はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン
    原子、アルキル基、或いは、置換または未置換のアリー
    ル基を表す。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示される構造単位と、そ
    れ以外のポリカーボネート樹脂の構造単位との共重合体
    であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネ
    ート樹脂。
  3. 【請求項3】 一般式(I)中のR1 〜R10が全て水素
    原子であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    ポリカーボネート樹脂。
  4. 【請求項4】 導電性支持体上に感光層を設けてなる電
    子写真感光体に於て、該感光層に請求項1ないし3に記
    載のポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする
    電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 電荷輸送材料として下記一般式(II)で
    示されるベンジジン系化合物を感光層に含有することを
    特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。 ・一般式(II) 【化2】 式中、R1 およびR1 ’は同一であっても異なっていて
    もよく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、或いは
    ハロゲン原子を表し、R2 、R2 ’、R3 およびR3
    は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アル
    キル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、或いは置換アミ
    ノ基を表す。また、m、m’、nおよびn’はそれぞれ
    独立に1または2を表す。
  6. 【請求項6】 電荷輸送材料として下記一般式(III) で
    示されるトリアリールアミン系化合物を感光層に含有す
    ることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。 ・一般式(III) 【化3】 式中、R1 およびR2 は同一であっても異なっていても
    よく、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、或いはハ
    ロゲン原子を表し、R3 は水素原子、炭素数1〜4のア
    ルキル基、或いは置換または未置換のアリール基を表
    す。また、mおよびnはそれぞれ独立に1または2を表
    す。
  7. 【請求項7】 電荷発生材料としてCukα線を用いた
    X線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)
    において、少なくとも7.4°,16.6°,25.5
    °,28.3°の位置に回折ピークを有するジクロルガ
    リウムフタロシアニンを感光層に含有することを特徴と
    する請求項4に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 電荷発生材料としてCukα線を用いた
    X線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)
    において、少なくとも7.5°,9.9°,12.5
    °,16.3°,18.6°,25.1°,28.1°
    の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロ
    シアニンを感光層に含有することを特徴とする請求項4
    に記載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 電荷発生材料としてCukα線を用いた
    X線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)
    において、少なくとも9.5°,11.7°,15.0
    °,24.1°,27.3°の位置に回折ピークを有す
    るチタニルフタロシアニンを感光層に含有することを特
    徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
  10. 【請求項10】 導電性支持体が可撓性を有することを
    特徴とする請求項4ないし9に記載の電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 帯電装置が接触帯電装置である電子写
    真装置において、請求項4ないし10に記載の電子写真
    感光体を用いたことを特徴とする電子写真装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7258918B2 (en) * 2002-02-28 2007-08-21 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method for connecting electrodes, surface-treated wiring board and adhesive film used in the method, and electrode-connected structure

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7258918B2 (en) * 2002-02-28 2007-08-21 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method for connecting electrodes, surface-treated wiring board and adhesive film used in the method, and electrode-connected structure
US7528488B2 (en) 2002-02-28 2009-05-05 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method for connecting electrodes, surface-treated wiring board and adhesive film used in the method, and electrode-connected structure
US7771559B2 (en) 2002-02-28 2010-08-10 Hitachi Chemical Co., Ltd. Method for connecting electrodes, surface-treated wiring board and adhesive film used in the method, and electrode-connected structure

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