JPH11147947A - ポリカーボネート樹脂、該樹脂を含む電子写真感光体及び該感光体を用いる電子写真装置 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂、該樹脂を含む電子写真感光体及び該感光体を用いる電子写真装置

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JPH11147947A
JPH11147947A JP31669197A JP31669197A JPH11147947A JP H11147947 A JPH11147947 A JP H11147947A JP 31669197 A JP31669197 A JP 31669197A JP 31669197 A JP31669197 A JP 31669197A JP H11147947 A JPH11147947 A JP H11147947A
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JP
Japan
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resin
electrophotographic
compound
photoreceptor
layer
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Application number
JP31669197A
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English (en)
Inventor
Ichiro Takegawa
一郎 竹川
Hidemi Nukada
秀美 額田
Kenji Yao
健二 八百
Hiroshi Nakamura
博史 中村
Masahiko Miyamoto
昌彦 宮本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な機械的強度、安定性、電気絶縁性及び
透明性を有する新規ポリカーボネート樹脂及びその共重
合体、及び該樹脂を用いて高耐摩耗性と良好な耐久性と
高い折り曲げ強度を有する電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 少なくとも下記一般式(I)で示される
繰り返し構造単位を有し、平均分子量が3000〜30
万であることを特徴とするポリカーボネート樹脂又はそ
の共重合体。 【化1】 (式中、R1 〜R6 は、いずれも水素原子、ハロゲン原
子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未
置換のシクロアルキル基又は置換もしくは未置換の芳香
族基を表す。) 上記樹脂を感光層の結着樹脂として使用することによ
り、良好な電気特性を有すると共に高耐久性の電子写真
感光体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリカーボ
ネート樹脂及びその樹脂を感光層に用いた電子写真感光
体及びその感光体を使用する電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真法は、高速で高品質の画
像が得られるという利点を有するため、複写機及びレー
ザービームプリンター等の分野において広範囲に利用さ
れている。これらの電子写真法に用いられる電子写真感
光体(以下、単に「感光体」ともいう。)には、従来の
セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化
カドミウム等の無機光導電材料に比べて、安価であり製
造性及び廃棄性等に優れている有機光導電材料を用いた
電子写真感光体(以下、単に「有機感光体」という。)
が、主流を占めるようになってきている。
【0003】なかでも、露光により電荷を発生する電荷
発生層と電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離
型積層有機感光体は、感度、帯電性及びその繰り返し安
定性等の電子写真に求められる諸特性が優れているため
に、数多くの研究開発が行われてきており、既に実用化
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般
に、有機感光体は、無機感光体に比べて機械的強度が劣
っており、例えば、クリーニングブレード、現像ブラシ
及び用紙等の機械的外力を受けると、摺擦傷、摩耗によ
り感光体の表面が劣化して感光体寿命が短かくなるとい
う問題があった。さらに、近年、エコロジーの観点から
接触帯電方式を用いた電子写真法が採用されてきている
が、この接触帯電方式は、コロトロンによる帯電方式に
比べて感光体の摩耗が大幅に増加することになり、その
結果、感光体の感度が低減し、得られる複写画像にかぶ
りが生じたり、帯電電位の低下により画像濃度が低下す
るという問題があった。従って、有機感光体には、十分
な耐久性を有する感光層が形成される表面層材料の開発
が望まれていた。
【0005】また、蒸着法等により導電層が形成された
ポリエチレンテレフタレート等のフィルム上に、感光層
の塗膜を形成したフレキシブルな電子写真感光体は、ベ
ルト状に加工して電子写真装置に繰り返し使用できると
ともに、電子写真装置の形状自由度を拡大できるという
利点を有している。しかし、それに用いられる感光体に
は、フレキシブルな動きに十分に追従できることが求め
られ、それに対応させるものとして、例えば、表面層の
結着樹脂として、各種のポリカーボネート系樹脂を用い
た感光体が提案されている(特開昭60−172044
号公報、特開昭62−247374号公報、特開昭63
−148263号公報)。
【0006】ところが、従来提案されたポリカーボネー
ト系樹脂を結着樹脂として使用し、塗布工程により感光
層の塗膜を形成した有機感光体は、比較的に良好な耐久
性を有するベルト状電子写真感光体として機能するもの
の、その機械的強度は必ずしも十分に満足できるレベル
になく、複写機中のベルト駆動装置において長期間繰り
返し回転させると、感光層中に亀裂が生じ、それが複写
画像上にひび割れ模様となって現われるという問題が残
されていた。
【0007】本発明は、上記のような実状に鑑みてなさ
れたものであって、従来の技術における上記の問題点を
解消させることを目的とするものである。すなわち、本
発明の目的は、良好な機械的強度、安定性、電気絶縁性
及び透明性を有する新規ポリカーボネート樹脂及びその
共重合体を提供することにある。また、本発明の他の目
的は、高い耐摩耗性を有し、接触帯電装置のようなプロ
セスに使用しても良好な耐久性を保持できる電子写真感
光体を提供することにある。さらに、本発明の他の目的
は、感光体表面の塗膜が高い折り曲げ強度を有し、ベル
ト状感光体として繰り返し使用しても、塗膜中に亀裂等
の発生がなく、かつ高い耐磨耗性を有することにより、
機械的劣化のない耐久性に優れた電子写真感光体を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題について鋭意検討した結果、特定の構造単位を有す
る新規ポリカーボネート樹脂が、優れた機械的強度を有
することから、感光層の結着樹脂として使用されること
により、極めて良好な高耐久性の電子写真感光体が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明のポリカーボネート樹脂は、少なくとも下記
一般式(I)で示される繰り返し構造単位を有し、平均
分子量が3000〜30万であることを特徴とする。
【化4】 (式中、R1 〜R6 は、いずれも水素原子、ハロゲン原
子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未
置換のシクロアルキル基又は置換もしくは未置換の芳香
族基を表す。) また、本発明のポリカーボネート共重合体は、前記一般
式(I)で示される構造単位5〜90モル%及びその他
の構造単位95〜10モル%からなり、分子量が300
0〜30万であることを特徴とする。
【0009】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体
上に設ける感光層の結着樹脂として、上記のポリカーボ
ネート樹脂又はポリカーボネート共重合体を含有するこ
とを特徴とする。また、その感光層には、上記の結着樹
脂とともに、電荷輸送材料として下記一般式(II)で示
されるベンジジン系化合物又は下記一般式(III)で示さ
れるトリアリールアミン系化合物を含有することが好ま
しい。
【化5】 (式中、R21及びR22は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン
原子を表し、R23〜R26は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
子又は置換アミノ基を表す。また、k〜nは、それぞれ
1又は2である。)
【0010】
【化6】 (式中、R31及びR32は、同一でも異なっていてもよ
く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン
原子を表し、R33は水素原子、炭素数1〜4のアルキル
基又は置換もしくは未置換のアリール基を表す。また、
p及びqは、それぞれ1又は2である。)
【0011】本発明において、感光層に含まれる電荷発
生材料としては、Cukα線を用いたX線回折スペクト
ルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なく
とも7.4°,16.6°,25.5°,28.3°の
位置に回折ピークを有するクロルガリウムフタロシアニ
ン、少なくとも7.5°,9.9°,12.5°,1
6.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置
に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン及び少なくとも9.5°,11.7°,15.0°,
24.1°,27.3°の位置に回折ピークを有するチ
タニルフタロシアニンから選ばれる1種以上のフタロシ
アニン系化合物であることが好ましい。また、感光体の
導電性支持体としては、可撓性を有する材料からなるも
のであることが好ましい。本発明の電子写真感光体は、
接触帯電装置により帯電される電子写真装置に使用する
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の新規なポリカーボネート樹
脂は、下記一般式(I)で示される繰り返し構造単位を
有する重合体からなるものである。
【化7】 上記一般式(I)中のR1 〜R6 は、互いに独立して、
いずれも水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換
のアルキル基、置換もしくは未置換のシクロアルキル基
又は置換もしくは未置換の芳香族基から選ばれるもので
あり、その置換基としては、アルキル基、シクロアルキ
ル基、芳香族基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アル
コキシ基等が挙げられる。R1 〜R6 の具体例として
は、それぞれ水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、
t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、フ
ェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられ、これら
の中でも、水素原子、メチル基、フッ素原子、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が好まし
い。
【0013】本発明におけるポリカーボネート樹脂は、
主鎖に2個のシクロヘキサン環を有するカーボネートを
繰り返し構造単位として有する重合体であって、分子量
が3000〜30万の範囲、好ましくは2万〜20万の
範囲のものであり、また、その分子量は用途や要求され
る性能により適宜選択されるものである。これらの物性
としては、極限粘度(ηsp/c)は0.07〜15d
l/g、ガラス転移温度(Tg)は10〜250℃のも
のである。なお、本発明にいう分子量は、粘度平均分子
量である。
【0014】本発明のポリカーボネート樹脂を構成する
一般式(I)で示される繰り返し構造単位の具体例を、
下記表1に示す。なお、本発明のものは、これらに限定
されるものではない。
【表1】
【0015】本発明のポリカーボネート樹脂は、上記一
般式(I)で示される構造単位の1種のみから構成され
ていてもよいし、それらの2種以上から構成されていて
もよい。また、本発明のポリカーボネート共重合体は、
上記一般式(I)で示される構造単位と他の構造単位と
の共重合体であって、一般式(I)で示される構造単位
5〜90モル%とその他の構造単位95〜10モル%か
らなるものであり、好ましくは一般式(I)で示される
構造単位が10〜90モル%を占めるものである。ま
た、これらのポリカーボネート共重合体は、平均分子量
が3000〜30万の範囲、好ましくは2万〜20万の
範囲のものであり、その分子量は用途や要求される性能
により適宜選択される。また、ηsp/cは0.07〜
15dl/g、Tgは10〜250℃のものである。
【0016】本発明において、共重合化に使用可能なそ
の他の構造単位としては、ビスフェノール系化合物又は
それらの誘導体等のジオキシ化合物が好ましく、具体的
には、4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン(「ビ
スフェノールF」)、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ル−1,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニ
ル−1,1−エタン(「ビスフェノールE」)、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル−1,1−ブタン、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル−1,1−イソブタン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン
(「ビスフェノールA」)、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニル−2,2−(4−メチルペンタン)、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ヘキサン、4,
4′−ジヒドロキシジフェニル−4,4−ヘプタン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ノナン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニル−フェニルメチルメ
タン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル−ジフェニル
メタン(「ビスフェノールTP」)、4,4′−ジヒド
ロキシジフェニル−1,1−シクロペンタン、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル−1,1−シクロヘキサン
(「ビスフェノールZ」)、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニル
スルフィッド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスル
ホキサイド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジクロロジフ
ェニル−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシ−
3,3′,5,5′−テトラクロロジフェニル−2,2
−プロパン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,
5′−テトラクロロジフェニル−1,1−シクロヘキサ
ン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′,5,5′−テ
トラブロムジフェニル−2,2−プロパン、4,4′−
ジヒドロキシ−3−3′−ジメチルジフェニル−2,2
−プロパン(「ビスフェノールC」)等が挙げられる。
【0017】本発明のポリカーボネート共重合体は、一
般式(I)で示されるカーボネート構造単位と、その他
の構造単位を構成する上記のジオキシ化合物等の1種又
は2種以上との共重合により得られるものであり、それ
らの種類及び配合比等を調整することにより、使用目的
に応じた物性のものを得ることが可能であり、例えば、
他の樹脂等との相溶性、溶媒への溶解性、成膜性等につ
いて適宜調整することができる。特に、その他の構造単
位を構成するものとして、ビスフェノールA又はビスフ
ェノールZ等を用いる場合には、共重合反応が容易であ
り、安定したポリカーボネート共重合体が得られるとい
う利点がある。
【0018】本発明のポリカーボネート樹脂は、下記の
方法等で製造することができる。 (1)ホスゲンを用いる方法 下記のジヒドロキシ構造を有する化合物Aをホスゲンと
反応させて製造する。 HO−R−OH (A) 上記のRは、下記の化学構造のものである。
【化8】 (式中、R1 〜R6 は、前記したと同意義を有する) この反応式は、次のとおりである。
【化9】
【0019】(2)ジヒドロキシ化合物のビスクロロホ
ルメート体を用いる方法 ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体と化合物
Aを反応させて、下記の反応式により製造する。
【化10】 (式中、R′は、化合物AのRと同一か又は他のジヒド
ロキシ化合物を示す。)
【0020】(3)ジヒドロキシ化合物のモノクロロホ
ルメート体を用いる方法 ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体を自己縮
合反応させて、下記の反応式により製造する。
【化11】 (4)ジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネ
ートを用いる方法 化合物Aとジアルキルカーボネートを反応させて、下記
の反応式により製造する。
【化12】 (式中、R″はアルキル基を示す。)
【0021】(5)ジヒドロキシ化合物のモノカーボネ
ートを用いる方法 ジヒドロキシ化合物のモノカーボネートを自己縮合反応
させて、下記の反応式により製造する。
【化13】 (式中、R″は、水素又はアルキル基である。) (6)環状ポリカーボネートを用いる方法 環状ポリカーボネートの開環重合反応により、下記の反
応式により製造する。
【化14】 (式中、R″は、水素又はアルキル基である。)
【0022】(7)二酸化炭素と環状エーテルを用いる
方法 二酸化炭素と環状エーテルを反応させて、下記の反応式
により製造する。
【化15】 (8)炭酸塩とジハロゲン化物を用いる方法
【化16】 (式中、Mは1価の金属原子又はNH4 を示す。Xはハ
ロゲン原子である。) 本発明のカーボネート樹脂の製造方法としては、以上の
方法が挙げられるが、最も一般的に用いられるのは、
(1)のホスゲンを用いる方法である。
【0023】次に、本発明の代表的なカーボネート樹脂
の具体的な合成例(製造の実施例)を示す。 合成例1 [化合物番号(1−2)の合成]2リットルの反応器
に、下記構造式(X)で示されるジヒドロキシ化合物
0.2モル、4.7%濃度の水酸化ナトリウム水溶液4
00ml及び塩化メチレン350mlを加え、この混合
溶液を激しく撹拌させながら、ホスゲンを400ml/
分の割合で15分間吹き込んだ。この溶液温度を16℃
に保って、さらに13.7%濃度の水酸化ナトリウム4
0ml、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド
0.2g及びトリエチルアミン0.3mlを添加し、2
3℃において1時間撹拌を続けて重縮合反応を行った。
次に、得られた反応生成物を塩化メチレン400mlで
希釈し、水1リットル、0.01規定の塩酸0.5リッ
トル及び水1リットルで順次洗浄し、得られた有機層を
5リットルのメチルアルコールに注入して白色重合体を
沈殿させ、これを瀘別させた後、100℃において12
時間乾燥させることにより、化合物番号(1−2)のポ
リカーボネート樹脂約40gを得た。得られたポリカー
ボネート樹脂の粘度平均分子量は4万であった。
【化17】
【0024】合成例2 [化合物番号(1−20)の合成]合成例1に用いた構
造式(X)で示されるジヒドロキシ化合物を、下記構造
式(Y)で示される化合物に代えたこと以外は、合成例
1の方法と全く同様にして重縮合反応及び精製処理する
ことにより化合物番号(1−20)のポリカーボネート
樹脂56gを得た。得られたポリカーボネート樹脂の粘
度平均分子量は、4万であった。
【化18】
【0025】また、ポリカーボネート共重合体は、製造
原料として、上記したジヒドロキシ化合物に、その他の
構造単位を構成する前記のジオキシ化合物を混合添加す
ることにより、上記の方法と同様にして製造することが
できる。
【0026】本発明のポリカーボネート樹脂及びポリカ
ーボネート共重合体は、機械的強度、寸法安定性、電気
絶縁性及び透明性等において優れた特性を有するもので
あり、その諸特性を活用することにより広範囲の分野に
利用できる有用なものである。例えば、電子、電気、O
Aの分野においては、シャーシーハウジング材、電動工
具等に用いることができ、また、情報分野においては、
電子写真感光体、EL素子、CD、CD−ROM、MO
やDVD等のニューメディアの記録媒体として使用でき
る。また、自動車については、ヘッドランプ、インナー
レンズ、ドアハンドル等に用いることができ、その他の
機械分野においては、主に精密機械の部品としてカメ
ラ、VTRカメラの機構部品、外装品等に用いることが
できる。さらに、医療分野においては、その透明性、安
全性、耐滅菌性等の特徴を活かし、人口透析容器、三方
活栓等に用いることができる。その他に、高級樹脂製の
食器、ベビー用品、電子レンジ用容器、計量カップ等の
用途に用いることができ、また、シートやフィルムの押
し出し材は、ガラス代替素材として利用できる。
【0027】[電子写真感光体]次に、本発明のポリカ
ーボネート樹脂及びポリカーボネート共重合体を、電子
写真感光体における感光層の結着樹脂として用いる構成
例について説明する。 <支持体>本発明の電子写真感光体において、導電性支
持体としては、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛又はニッケ
ル等の金属製ドラム又は金属製シート、紙、プラスチッ
ク又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、
パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼
又は銅−インジウム等の金属を蒸着するか、酸化インジ
ウム、酸化錫等の導電性金属化合物を蒸着するか、金属
箔をラミネートするか又はカーボンブラック、酸化イン
ジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉又は沃化銅
等を結着樹脂中に分散させて、これを塗布することによ
り導電処理したドラム状、シート状又はプレート状物等
の公知材料が用いられる。また、金属パイプ基材を用い
る際、その表面は素管のままであっても、事前に鏡面切
削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、
サンドブラスト、ウエットホーニング等の処理が行われ
ていてもよい。表面処理して基材表面を粗面化すると、
レーザービームのような可干渉光源を用いた際に発生す
る感光体内の干渉光による木目状の濃度斑を防止でき
る。
【0028】<下引き層>下引き層は、ポリビニルブチ
ラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹
脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラ
チン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリ
ル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニ
ルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレ
イン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド
樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹
脂等の高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタ
ニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子等を含
有する有機金属化合物等を用いて形成される。これらの
化合物は、単独でも、複数の混合物も又はそれらの重縮
合物も用いることができる。なかでも、シリコン含有化
合物及びジルコニウム含有化合物は、残留電位が低く環
境による電位変化が少なく、繰り返し使用による電位の
変化が少ない等の性能上優れているため、特に好ましく
使用される。
【0029】シリコン含有有機化合物としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシ
プロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,
N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキ
シシラン等が挙げられ、特に好ましく用いられるものと
しては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2
−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエ
チル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2
−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング
剤が挙げられる。
【0030】有機ジルコニウム化合物としては、例え
ば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸
エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチル
アセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチ
ルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、
ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、
ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、
ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ス
テアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウ
ム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレ
ートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコ
ニウムブトキシド等が挙げられる。有機チタン化合物と
しては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テト
ラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマ
ー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタン
アセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネー
ト、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート
アンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテート
エチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポ
リヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。有機
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイ
ソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロ
ピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトア
セテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウ
ムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0031】下引き層中には、電気特性の向上や光散乱
性の向上等の目的により、各種の有機微粉末又は無機微
粉末を混合することができる。特に、酸化チタン、酸化
亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料
やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔
料としての無機顔料やテフロン樹脂粒子、ベンゾグアナ
ミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。添加
微粉末の粒径は0.01〜2μmのものが用いられる。
微粉末は必要に応じて添加されるが、添加される場合に
は、下引き層の固形分に対して、重量比で10〜80重
量%、より好ましくは30〜70重量%である。また、
下引き層の層厚は0.1〜10μmの範囲が望ましい。
下引き層塗布液の形成に添加微粉末を混入させる場合に
は、樹脂成分を溶解した溶液中に添加して分散処理を行
う。添加微粉末を樹脂中に分散させる方法としては、ロ
ールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライタ
ー、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等
の方法を用いる。
【0032】<感光層>上記下引き層上に形成される感
光層は、基本的には単層構造であっても、電荷発生層と
電荷輸送層とに機能分離された積層構造であってもよ
い。また、これら感光層の上に、必要に応じて表面保護
層を形成することも可能である。積層構造の場合には、
電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であ
ってもよい。これらの電荷発生層と電荷輸送層の双方又
はいずれか一方の結着樹脂として、本発明のポリカーボ
ネート樹脂又はポリカーボネート共重合体(以下、これ
らを「本発明の樹脂化合物」という。)を用いることに
より、機械的強度が高く、耐久性の優れた感光体を作製
することができる。一般に、電荷輸送層は、電荷発生層
に比べて層厚が大きいため、感光体の十分な機械的強度
を得るには、電荷輸送層の結着樹脂に本発明の樹脂化合
物を使用することが望ましい。また、耐摩耗性の向上及
び表面傷の低減を実現させるには、表面層の結着樹脂に
本発明の樹脂化合物を用いることが必要である。
【0033】すなわち、本発明の樹脂化合物を電荷輸送
層の結着樹脂として使用し、この電荷輸送層を表面層と
する積層構造の感光体は、その機械的強度の向上、耐摩
耗性の向上及び表面傷の低減を実現させることができ
る。また、導電性支持体が可撓性を有するベルト型感光
体においては、本発明の樹脂化合物が構成層中の如何な
る位置にあっても、可撓性に関する機械的寿命を向上さ
せることができ、また、いずれの層構成のものでも、優
れた電気特性及び優れた画質が得られる。また、単層構
造の場合には、電荷発生材料、電荷輸送材料及び本発明
の樹脂化合物を含む結着樹脂を用いた一つの感光層を形
成させることにより、感光体の機械的強度の向上、耐摩
耗性の向上及び表面傷の低減を実現させることができ
る。以下、感光層の層構成について詳細に説明する。 1.積層構造の感光層 (電荷発生層)電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着
により形成するか、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹
脂を用いて分散させた塗布液を塗布して形成する。電荷
発生物質としては、例えば、非晶質セレン、結晶性セレ
ン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他の
セレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛・酸化チタン等
の無機系光導電体、無金属フタロシアニン、チタニルフ
タロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、
ガリウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、
スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、
アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、
チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられ
る。また、これらの有機顔料は、通常数種の結晶型のも
のがあり、特にフタロシアニン顔料には、α型、β型等
の各種結晶型が知られているが、使用目的に適合した感
度が得られる顔料であれば、いずれの結晶型も使用可能
である。
【0034】電荷発生層と電荷輸送層の双方又はいずれ
か一方に含む本発明の樹脂化合物と組み合わせて使用す
る際、特に感度的な意味において優れた性能が得られる
電荷発生材料としては、下記のフタロシアニン化合物を
用いることが好ましい。 1)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4
°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に回折
ピークを有するクロルガリウムフタロシアニン 2)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5
°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,
25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン 3)Cukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ
角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5
°,11.7°,15.0°,24.1°,27.3°
の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシアニン 電荷発生層に用いる結着樹脂としては、本発明の樹脂化
合物又は下記のものが例示できる。すなわち、ビスフェ
ノールAタイプ又はビスフェノールZタイプ等のポリカ
ーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、
アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン
共重合体、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フ
ェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッ
ド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられ
る。
【0035】これらの結着樹脂は、単独で又は2種以上
を混合して使用される。電荷発生材料と結着樹脂との配
合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が望まし
い。また、電荷発生層の厚さは、通常0.01〜5μ
m、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定され
る。電荷発生材料を樹脂中に分散させるには、ロールミ
ル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイ
ノーミル、サンドミル、コロイドミル等の方法を用い
る。
【0036】(電荷輸送層)電荷輸送層は、少なくとも
電荷輸送材料及び結着樹脂を用いて形成する。電荷輸送
層に用いられる電荷輸送物質としては、例えば、2,5
−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,
3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−
(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−
(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾ
リン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)
フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェ
ニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、
9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレ
ノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニ
ル)−[1,1−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等
の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′ジメチルア
ミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニ
ル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリア
ジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−
1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノ
ベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、
[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)
フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニ
ル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、
6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)
−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2
−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等
のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチル
カルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニ
ルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロ
ラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化
合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7
−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニ
トロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−
(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−
ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−
ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサ
ジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン
系化合物、チオフェン化合物、3,3′,5,5′テト
ラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合
物等の電子輸送物質、さらには、上記の化合物からなる
基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これ
らの電荷輸送材料は、1種で又は2種以上を組み合せて
使用できる。
【0037】積層型感光体では、電荷輸送材料の電荷輸
送極性により感光体の帯電極性が異なり、正孔輸送物質
を用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、他方、電
子輸送物質を用いた場合には正帯電で用いられる。ま
た、両者を混合した場合には両帯電極性の感光体が可能
である。
【0038】電荷輸送層の結着樹脂に本発明の樹脂化合
物を用いた場合、その樹脂化合物との関連において、相
溶性が良好であり、かつ優れた性能が得られる電荷輸送
材料としては、以下に示すベンジジン系化合物、トリア
リールアミン系化合物が挙げられる。
【0039】1)下記一般式(II)で示されるベンジジ
ン系化合物
【化19】 (式中、R21〜R26及びk〜nは、前記したと同意義を
有する。)
【0040】上記一般式(II)で示されるベンジジン化
合物の具体例を、下記表2〜表4に示す。
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】2)下記一般式(III)で示されるトリアリ
ールアミン系化合物
【化20】 (式中、R31〜R33、p及びqは、前記したと同意義を
有する。)
【0044】上記一般式(III)で示されるトリアリール
アミン化合物の具体例を、下記表5及び表6に示す。
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】本発明における電荷輸送材料の結着樹脂と
しては、本発明の樹脂化合物及び電荷発生材料の結着樹
脂として例示した前記の樹脂が使用される。本発明の樹
脂化合物には、電荷輸送材料との相溶性の改善、溶媒へ
の溶解性の改善及び成膜性の向上等を目的として他の樹
脂と混合して用いることができる。その混合の可能な樹
脂の例としては、一般式(I)内の異なる化合物、ビス
フェノール(A),ビスフェノール(Z),ビスフェノ
ール(C),ビスフェノール(TP)等を用いた各種ポ
リカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹
脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン
樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエ
ン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共
重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸
樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキ
ッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられ
る。本発明の樹脂化合物と他の樹脂を混合して用いる
際、その混合比は、全樹脂成分中における他の樹脂は5
〜70%の範囲とすることが望ましい。
【0047】また、電荷輸送層に用いる本発明の樹脂化
合物の分子量は、感光層の膜厚や溶剤等の成膜条件又は
耐摩耗性等の機械的特性により適宜選択されるが、通
常、粘度平均分子量が3000〜30万の範囲のもの、
好ましくは2万〜20万の範囲のものである。
【0048】さらに、電子写真装置中で発生するオゾン
や酸化性ガス又は光・熱による感光体の劣化を防止する
ために、感光層中に酸化防止剤、光安定剤又は熱安定剤
等の添加剤を混合することができる。例えば、酸化防止
剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミ
ン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイ
ドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそ
れらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が使用
される。
【0049】酸化防止剤の具体例として、フェノール系
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデ
シル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン
−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2−t−ブチル−6−(3′−t−ブチル−5′−メチ
ル−2′−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル
アクリレート、4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチ
ル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4′−チオ−
ビス(3−メチル6−t−ブチルフェノール)、1,
3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−
2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラ
キス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル
−4′−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられ
る。
【0050】ヒンダードアミン系化合物としては、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−
ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチ
ル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン
−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−
1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ
[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}
{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブ
チルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジル)、N,N′−ビス(3−アミノプロ
ピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−
N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリ
ジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン
縮合物等が挙げられる。
【0051】有機硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリ
ル−3,3′−チオジプロピオネート、ジミリスチル−
3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,
3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−
テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジ
トリデシル−3,3′−チオジプロピオネート、2−メ
ルカプトベンズイミダゾール等が挙げられ、また、有機
燐系酸化防止剤としては、トリスノニルフェニルホスフ
ィート、トリフェニルホスフィート、トリス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)−ホスフィート等が挙げられ
る。なかでも、有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は、
2次酸化防止剤と呼称されるように、フェノール系又は
アミン系等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗
効果を得ることができる。
【0052】上記の光安定剤としては、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テ
トラメチルピペリジン系等の誘導体が用いられる。ベン
ゾフェノン系光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、2,2′−ジ−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。また、ベンゾ
トリアゾール系光安定剤としては、2−(2′−ヒドロ
キシ−5′メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″
−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5′−メチ
ルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−3′−t−ブチル5′−メチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′−t−ブチル5′−メチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,
5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ3′,5′
−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙
げられる。また、その他の化合物として、2,4,ジ−
t−ブチルフェニル−3′,5′−ジ−t−ブチル−
4′−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジ
チオカルバメート等がある。
【0053】また、電荷輸送層には、感光体の感度向
上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目
的として、1種以上の電子受容性物質を含有させること
ができる。使用可能な電子受容性物質としては、例え
ば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイ
ン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テト
ラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジ
ニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、
ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピ
クリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、
フタル酸等が挙げられ、これらの中で、フルオレノン系
のもの、キノン系のもの、Cl、CN、NO2 等の電子
吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0054】電荷輸送層は、上記の電荷輸送物質、結着
樹脂及びその他の上記材料を適当な溶媒に溶解させた溶
液を塗布し、これを乾燥させて形成される。その電荷輸
送層の形成に使用される溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、
アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、
クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化
水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレング
リコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エ
ーテル又はこれらの混合溶剤等が挙げられる。また、塗
布液には塗膜の平滑性を向上させるために、レベリング
剤としてシリコーンオイルを微量添加することもでき
る。
【0055】電荷輸送層を形成するための塗工は、感光
体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、ス
プレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ
ー塗布法等の塗布法を用いて行うことができ、また、そ
の乾燥は、室温において指触乾燥させた後に加熱乾燥す
ることが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃で5
分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。電荷輸送材料
と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲が
好ましい。また、形成される電荷輸送層の膜厚は、5〜
50μmの範囲、好ましくは10〜40μmの範囲に設
定される。
【0056】2.単層構造の感光層 感光層を単層構造とする場合、感光層は、前記の電荷発
生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂としての本発明の樹
脂化合物を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、これ
を乾燥させて積層構造において説明したと同様にして形
成させる。また、感光層中に、電荷輸送層の製造におい
て説明したものと同様に、酸化防止剤、光安定剤、熱安
定剤、電子受容性材料等の添加剤やシリコーンオイルを
添加することができ、塗工方法も電荷輸送層の製造にお
いて説明した方法と同様に行う。その際、電荷輸送材料
と本発明の樹脂化合物との配合比は1:3〜6:4が好
ましく、また、電荷発生材料と本発明の樹脂化合物との
配合比は1:1〜1:10が好ましい。本発明の樹脂化
合物が、この範囲より少ないと機械的強度が弱く、他
方、多すぎると感度や光減衰速度が低下する。また、感
光層の膜厚は、通常5〜50μm、好ましくは10〜3
0μmの範囲に設定される。
【0057】<表面保護層>感光層の上には、必要に応
じて表面保護層を形成することができる。表面保護層に
は、絶縁性樹脂保護層又は絶縁性樹脂中に抵抗調整剤を
添加した低抵抗保護層がある。低抵抗保護層としては、
例えば、絶縁性樹脂中に導電性微粒子を分散させた層が
挙げられる。その導電性微粒子には、電気抵抗が109
Ω・cm以下であり、白色、灰色又は青白色を呈する平
均粒径(D50)が0.3μm以下のものを用いることが
好ましく、より好ましくは0.1μm以下の微粒子であ
り、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化
アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸
化錫とアンチモン或いは酸化アンチモンとの固溶体の担
体又はこれらの混合物、単一粒子中にこれらの金属酸化
物を混合したもの又はこれらを被覆したものが用いられ
る。なかでも、酸化錫、酸化錫とアンチモン或いは酸化
アンチモンとの固溶体は電気抵抗を適切に調節すること
ができ、かつ保護層を実質的に透明にすることができる
から、好ましく用いられる(特開昭57−30847
号、特開昭57−128344号参照)。また、絶縁性
樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステ
ル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の
縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリア
クリルアミドのようなビニル重合体等が用いられる。
【0058】本発明の電子写真感光体は、ライトレンズ
系複写機、近赤外光又は可視光に発光するレーザービー
ムプリンター、ディジタル複写機、LEDプリンター、
レーザーファクシミリ等の電子写真装置に用いることが
できる。また、この感光体は、一成分系、二成分系の正
規現像剤或いは反転現像剤のいずれにも使用することが
でき、帯電ロール又は帯電ブラシを用いた接触帯電方式
に使用しても電流リークの発生の少ない良好な特性の電
子写真装置を得ることができる。
【0059】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。 実施例1 基体には、30mmφのED管アルミニウム基体の表面
を、アルミナ球状微粉末(D50=30μm)を用いて液
体ホーニング法により中心線平均粗さRa=0.18μ
mに粗面化処理したものを用いた。そのアルミニウム基
体の上に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM
−S、積水化学社製)4重量部を溶解させたn−ブチル
アルコール170重量部に、有機ジルコニウム化合物
(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量
部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン)3重量部を混合撹拌し、得られた
下引き層形成用塗布液を用いて浸漬塗布法により塗布
し、150℃において1時間の硬化処理を行い、膜厚
1.2μmの下引き層を形成した。次に、Cukα線を
用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.
2°)において、7.4°、16.6°、25.5°、
28.3°の位置に明瞭な回折ピークを有するクロルガ
リウムフタロシアニン3重量部、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)2重量部及
び酢酸ブチル180重量部からなる混合物をサンドミル
により4時間分散処理し、得られた分散液を用いて、上
記下引き層上に浸漬塗布法により塗布し、これを乾燥さ
せて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0060】次に、化合物番号2−1に示すN,N′−
ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−
[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン4重量
部とポリカーボネート樹脂として化合物番号1−2に示
す繰り返し構造単位からなる重合体(分子量4万)6重
量部とを、テトラヒドロフラン80重量部及び2,6−
ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部に
加えて溶解させた。得られた塗布溶液を用いて、上記電
荷発生層の上に塗布し、これを120℃において40分
間乾燥させて膜厚25μmの電荷輸送層を形成させるこ
とにより、3層からなる電子写真感光体を作製した。得
られた電子写真感光体を、接触帯電方式を有するプリン
ター(PC−PR1000/4R、日本電気社製)に装
着して−650Vに印加して5万枚のプリントテストを
行い、1万枚プリント後の画質を評価し、また、5万枚
プリント後の感光体の残留電位、帯電電位及び摩耗量を
測定し、評価を行った。
【0061】比較例1 実施例1と同様の方法にして得られた基材上に、実施例
1と同じ方法で下引き層、電荷発生層を形成した。次
に、化合物番号2−1に示すN,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−
ビフェニル]−4,4′−ジアミン4重量部とビスフェ
ノールAタイプポリカーボネート樹脂(分子量約4万)
6重量部とをテトラヒドロフラン70重量部、塩化メチ
レン10重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール0.2重量部を加えて溶解させた。得られた
塗布溶液を用いて、上記電荷発生層の上に塗布し、これ
を120℃において40分間乾燥させて膜厚25μmの
電荷輸送層を形成させることにより、3層からなる電子
写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体を用い
て、実施例1と同様にプリントテストを行って測定し、
評価を行った。
【0062】比較例2〜3 実施例1において、電荷輸送層に結着樹脂として用いた
ポリカーボネート樹脂を、それぞれ表7に示すビスフェ
ノール型ポリカーボネート樹脂に代えたこと以外は、実
施例1と全く同様にして、それぞれ電子写真感光体を作
製した。また、得られた各電子写真感光体を用いて、実
施例1と同様にプリントテストを行って測定し、評価を
行った。
【0063】実施例2〜8 実施例1と同様の方法にして得られた基材上に、実施例
1と同じ方法で下引き層、電荷発生層を形成した。次
に、化合物番号2−1に示すN,N′−ジフェニル−
N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−
ビフェニル]−4,4′−ジアミン4重量部とポリカー
ボネート樹脂として表7に示すそれぞれの化合物番号
(1−1、1−3、1−11、1−16、1−19、1
−20及び1−22)の繰り返し構造単位からなる重合
体(分子量4万)とを、テトラヒドロフラン70重量
部、塩化メチレン10重量部及び2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチルフェノール0.2重量部に加えて溶解さ
せた。得られた塗布溶液を用いて、上記電荷発生層の上
に塗布し、これを120℃において40分間乾燥させて
膜厚25μmの電荷輸送層を形成させることにより、3
層からなる電子写真感光体を作製した。また、得られた
電子写真感光体を用いて、実施例1と同様にプリントテ
ストを行って測定し、評価を行った。
【0064】上記実施例1〜8及び比較例1〜3で得ら
れた結果を、表7に示す。
【表7】
【0065】実施例で得られた感光体は、接触帯電装置
により帯電させる方式のプリンターを用いてプリントテ
ストを行っても、感光体のリーク放電等に起因する画質
異状は見られなかった。また、これらの感光体は、摩耗
が少なく、また帯電性低下や残留電位の上昇がなく安定
した電気特性を有していた。これに対して、比較例で得
られた感光体では、摩耗が大きく、暗減衰が上昇し帯電
性の低下が生じて低濃度部分にかぶりが見られた。これ
らの感光体は、摩耗により膜厚の低下した部分で接触帯
電装置からの電流リークがあり、そのためにリーク部分
を絶縁性物質で修復して走行させざるを得なかった。こ
の部分は画質欠陥となった。
【0066】実施例9 基体には、84mmφのアルミニウム基体の表面に、液
体ホーニング法により中心線平均粗さRa=0.18μ
mに粗面化処理したものを用いた。そのアルミニウム基
体の上に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM
−S、積水化学社製)16重量部とシクロヘキサノン5
50重量部を混合撹拌し、次いで、この混合液にレゾー
ル型フェノール樹脂(フェノライトJ−325、大日本
インキ化学社製)8重量部を加えて撹拌し、さらに、こ
の混合液に酸化チタン顔料60重量部を加えてサンドグ
ラインドミルにて5時間分散させて得られた塗布液を用
いて塗布し、170℃において1時間の硬化処理を行
い、膜厚4μmの下引き層を形成した。次に、Cukα
線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±
0.2°)において9.5°、11.7°、15.0
°、24.1°、27.3°の位置に明瞭なX線回折ピ
ークを有するチタニルフタロシアニン15重量部、ポリ
ビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学
社製)10重量部及びn−ブチルアルコール300重量
部からなる混合物をサンドグラインドミルにて4時間分
散して得られた塗布液を、上記下引き層の上に塗布し、
これを乾燥させて膜厚0.2μmの電荷発生層を形成し
た。
【0067】次に、化合物番号3−33に示すN,N−
ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−ア
ミン4重量部と、ポリカーボネート樹脂として化合物番
号1−2の繰り返し構造単位からなる重合体(分子量4
万)6重量部とをクロルベンゼン80重量部に加えて溶
解させ、得られた塗布溶液を用いて上記電荷発生層の上
に塗布し、これを乾燥させて膜厚27μmの電荷輸送層
を形成することにより、それぞれ3層からなる電子写真
感光体を作製した。得られた各電子写真感光体を、中間
転写ドラム方式を有するカラー複写機(Acolor−
635、富士ゼロックス社製)に装着し、光量を調整し
てプリントテストを行い、得られた画像の画質について
評価を行った。
【0068】実施例10〜16 実施例9において、電荷輸送層に用いるポリカーボネー
ト結着樹脂として、表8に示すそれぞれの化合物番号の
繰り返し構造単位からなる重合体を用いたこと以外は、
実施例9の方法と全く同様にして電子写真感光体を作製
し、評価を行った。
【0069】比較例4〜6 実施例9において、電荷輸送層に用いるポリカーボネー
ト結着樹脂として、表8に示すそれぞれのビスフェノー
ル型ポリカーボネートを用いたこと以外は、実施例9の
方法と全く同様にして電子写真感光体を作製し、評価を
行った。
【0070】実施例17 化合物番号1−2の繰り返し構造単位とビスフェノール
A型カーボネートとの共重合体(モル比1:1、分子量
約4万)を用意した。実施例9において、電荷輸送層に
用いるポリカーボネート結着樹脂として、この共重合体
を用いたこと以外は、実施例9の方法と全く同様にして
電子写真感光体を作製し、評価を行った。
【0071】実施例18 化合物番号1−23の繰り返し構造単位とビスフェノー
ルA型カーボネートとの共重合樹脂(モル比1:1分子
量約4万)を用意した。実施例9において、電荷輸送層
に用いるポリカーボネート結着樹脂として、この共重合
体を用いたこと以外は実施例9の方法と全く同様にして
電子写真感光体を作製し、評価を行った。
【0072】上記実施例9〜18及び比較例4〜6で得
られた結果を、表8に示す。
【表8】
【0073】実施例19 ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上にアルミ
ニウム蒸着膜が設けられた導電性支持体(メタルミー、
東レ社製)の上に、ポリアミド樹脂10重量部、メチル
アルコール150重量部及び水40重量部からなる塗布
液をバーコーターにより塗布し、これを乾燥させて膜厚
1μmの下引き層を形成した。次に、Cukα線を用い
たX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2
°)において、7.5°,9.9°,12.5°,1
6.3°,18.6°,25.1°,28.1°の位置
に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン9重量部、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB
M−1、積水化学社製)2重量部及びn−ブチルアルコ
ール30重量部からなる混合物をボールミルポットに入
れ、ミル部材としてSUSステンレス鋼ボール(1/8
インチφ)を用いて60時間ミリングした後、さらにn
−ブチルアルコール30重量部を加えて希釈し、これを
攪拌して得られた塗布液を、上記下引き層の上に塗布
し、乾燥させて膜厚0.3μmの電荷発生層を形成し
た。次に、化合物例2−1に示すN,N′−ジフェニル
−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′
−ビフェニル]−4,4′−ジアミン4重量部と、結着
樹脂として本発明の樹脂化合物(化合物番号1−2の繰
り返し構造からなる重合体)6重量部とを塩化メチレン
55重量部に加えて溶解させ、これを塗布乾燥して膜厚
27μmの電荷輸送層を形成し、3層からなる電子写真
感光体を作製した。得られた電子写真感光体の感光層塗
膜を導電性基体上から剥離し、折り曲げ強度試験機を用
いて5000回までの折り曲げ繰り返し試験を行った。
また、上記電子写真感光体をベルト状に加工し、ベルト
回転駆動装置を有する複写機(Vivace800、富
士ゼロックス社製)に装着して10万サイクルまでのコ
ピー走行試験を実施した。 実施例20 電荷輸送層の結着樹脂として、本発明の樹脂化合物(化
合物番号1−20の繰り返し構造からなる重合体)を用
いたこと以外は、全て実施例19と同様にして電子写真
感光体を作製し、同様の評価を行った。
【0074】比較例7 電荷輸送層の結着樹脂として、ビスフェノールA型ポリ
カーボネート樹脂を用いたこと以外は、全て実施例19
の方法と同様にして電子写真感光体を作製し、同様の評
価を行った。 比較例8 電荷輸送層の結着樹脂として、ビスフェノールF型ポリ
カーボネート樹脂を用いたこと以外は、全て実施例19
の方法と同様にして電子写真感光体を作製し、同様の評
価を行った。
【0075】上記実施例19、20及び比較例7、8で
得られた結果を、表9に示す。
【表9】
【0076】実施例21 電荷発生材料として、Cukα線を用いたX線回折スペ
クトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、
7.4°,16.6°,25.5°,28.3°の位置
に明瞭なX線回折ピークを有するクロルガリウムフタロ
シアニン1重量部と、結着樹脂として化合物番号1−2
に示す繰り返し構造単位からなる重合体である本発明の
樹脂化合物(分子量4万)を10重量%含有するテトラ
ヒドロフラン溶液50重量部、化合物番号3−33に示
す電荷輸送材料N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニ
ル)ビフェニル−4−アミン3重量部、2,6−ジメチ
ル−2′,6′−ジ−t−ブチル−4,4′−ジフェノ
キノン1重量部とともにボールミルを用いて分散させた
後、テトラヒドロフラン300重量部を追加して希釈し
た。得られた塗布液をリング塗布法にてアルミニウム基
板(84mmφ)の上に塗布し、これを100℃におい
て60分間乾燥させて、15μmの単層構成の電子写真
感光体を作製した。この感光体を富士ゼロックス社製V
ivace500に登載し、1万枚の画出しを行い画質
を評価した。 比較例9 実施例21において、結着樹脂をビスフェノールAタイ
プのポリカーボネート樹脂に代えたこと以外は、実施例
21と同様にして、15μmの単層構成の感光体を作製
した。この感光体を実施例21と同様にして評価した。
【0077】上記実施例21及び比較例9で得られた結
果を表10に示す。
【表10】
【0078】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂及びその
共重合体は、上記構造式(I)で示される構成単位を有
することにより、良好な機械的強度、寸法安定性、電気
絶縁性及び透明性を有する樹脂化合物であるから、各種
の分野において広範かつ有用に利用することができる。
また、上記のポリカーボネート樹脂及びその共重合体
は、電子写真感光体の感光層における結着樹脂として使
用すると、形成される塗膜は極めて高い耐摩耗性と折り
曲げ強度を有しており、長期間に亘り繰り返し使用して
も良好な電気特性を保持することができ、また、得られ
る画像の画質も優れている。従って、本発明の樹脂化合
物を用いた電子写真感光体は、高速複写機中にも使用す
ることができ、さらにベルト状の形態でも感光層中に亀
裂等の発生のない高い耐久性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 博史 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 宮本 昌彦 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記一般式(I)で示される
    繰り返し構造単位を有し、平均分子量が3000〜30
    万であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。 【化1】 (式中、R1 〜R6 は、いずれも水素原子、ハロゲン原
    子、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未
    置換のシクロアルキル基又は置換もしくは未置換の芳香
    族基を表す。)
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で示される構造単位5
    〜90モル%及びその他の構造単位95〜10モル%か
    らなり、分子量が3000〜30万の共重合体であるこ
    とを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に感光層を設けた電子写
    真感光体において、該感光層が、請求項1に記載のポリ
    カーボネート樹脂又は請求項2に記載のポリカーボネー
    ト共重合体を含有することを特徴とする電子写真感光
    体。
  4. 【請求項4】 感光層の電荷輸送材料として、下記一般
    式(II)で示されるベンジジン系化合物を含有すること
    を特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。 【化2】 (式中、R21及びR22は、同一でも異なっていてもよ
    く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン
    原子を表し、R23〜R26は、同一でも異なっていてもよ
    く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原
    子又は置換アミノ基を表す。また、k〜nは、それぞれ
    1又は2である。)
  5. 【請求項5】 感光層の電荷輸送材料として、下記一般
    式(III)で示されるトリアリールアミン系化合物を含有
    することを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光
    体。 【化3】 (式中、R31及びR32は、同一でも異なっていてもよ
    く、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン
    原子を表し、R33は水素原子、炭素数1〜4のアルキル
    基又は置換もしくは未置換のアリール基を表す。また、
    p及びqは、それぞれ1又は2である。)
  6. 【請求項6】 感光層に含有する電荷発生材料が、Cu
    kα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2
    θ±0.2°)において、少なくとも7.4°,16.
    6°,25.5°,28.3°の位置に回折ピークを有
    するクロルガリウムフタロシアニン、少なくとも7.5
    °,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°,
    25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒ
    ドロキシガリウムフタロシアニン及び少なくとも9.5
    °,11.7°,15.0°,24.1°,27.3°
    の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシアニンか
    ら選ばれる1種以上のフタロシアニンであることを特徴
    とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 導電性支持体が、可撓性を有する材料か
    らなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に
    記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 接触帯電装置により帯電される電子写真
    装置において、請求項3〜6のいずれか1項に記載の電
    子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6586154B1 (en) * 1999-10-11 2003-07-01 Hyundai Electronics Industries Co., Ltd. Photoresist polymers and photoresist compositions containing the same
JP2007086416A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 電子写真感光体
JP2009186743A (ja) * 2008-02-06 2009-08-20 Canon Inc 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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