JPH10298238A - (メタ)アクリル酸セリンエステルの重合体および生体適合性材料 - Google Patents

(メタ)アクリル酸セリンエステルの重合体および生体適合性材料

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JPH10298238A
JPH10298238A JP9104075A JP10407597A JPH10298238A JP H10298238 A JPH10298238 A JP H10298238A JP 9104075 A JP9104075 A JP 9104075A JP 10407597 A JP10407597 A JP 10407597A JP H10298238 A JPH10298238 A JP H10298238A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体適合性として、特に血小板凝集阻害するお
よびアデノシン二リン酸(ADP)による血小板活性化
を抑制する重合体の提供。 【解決手段】ラジカル重合して(メタ)アクリル酸セリ
ンエステルに基づく構成単位を少なくとも15モル%以
上を含む重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル
酸セリンエステルの重合体およびその重合体を用いた生
体適合性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子材料で生体適合性を確保するには
材料表面の化学構造を制御して血栓形成の引き金となる
蛋白質の吸着を制御したり、血小板の粘着さらには活性
化、凝集を抑制することが重要となる。したがって、材
料表面の化学構造の制御は生体適合性材料の開発におい
て重要な問題で、各種の医療用の重合体について表面特
性と生体適合性が研究されている。生体適合性を付与す
る有効な方法としては、生体膜を構成するリン脂質二分
子膜の主要な構成成分を材料表面に導入する方法が知ら
れている。例えば、リン脂質の極性部を修飾した2−メ
タクリロイルオキシホスホリルコリン(MPCと略す)
の単量体を重合した重合体は、蛋白質の吸着を制御する
ことが知られている{例えば、石原らによる、生体材
料、第9巻(5号)第243〜249頁、(1991
年)}。また、糖脂質のグルコース基を含有する2−
(グルコシルオキシ)エチルメタクリレート(GEMA
と略す)の単量体を重合した重合体は、同様に、蛋白質
の吸着を制御することが知られている{例えば、中前ら
による、高分子予稿集、第39回、I/17/09記事
(1990年)}。以上のように、汎用の高分子材料に
生体適合性を付与する有効な方法として、生体膜を構成
するリン脂質のホスホリルコリン基あるいは糖脂質の糖
を材料表面に導入する方法が行われてきた。
【0003】一方、脂質と同様に生体膜あるいは蛋白質
を構成するアミノ酸で材料表面を修飾した材料において
も生体材料との好ましい相互作用が期待される。例え
ば、アラニンメタアクリルアミド、メタクリロイルオキ
シエチルアラニンと蛋白質の相互作用が示されている
(例えば、杉山らによる、高分子学会予稿集、第44
巻、第631頁(1995年)}。発明者らは、(メ
タ)アクリル酸セリンエステルおよび該(メタ)アクリ
ル酸セリンエステルを0.5モル%〜10モル%含む重
合体を合成し、その重合体が生体適合性に優れることを
報告した。(例えば、杉山らによる、高分子学会予稿
集、第45巻(第8号)、第1880〜1881頁(1
996年)}。しかし、(メタ)アクリル酸セリンエス
テルに基づく構成成分が15モル%以上の重合体は知ら
れていなかった。また、該(メタ)アクリル酸セリンエ
ステルの重合体が、血小板の凝集を抑制することは知ら
れていなかった。またさらに、該(メタ)アクリル酸セ
リンエステルの重合体が血小板に対するアデノシン二リ
ン酸(=ADP)よる活性化を抑制する生体適合性があ
ることは知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、(メタ)アクリル酸セリンエステルを構成成分とし
て少なくとも15モル%以上含む重合体を提供すること
にある。またさらに、本発明の第2の目的は、該(メ
タ)アクリル酸セリンエステルの重合体を用いた生体適
合性材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み鋭意検討した結果、(メタ)アクリル酸セリン
エステルを構成成分として、それを特定量含む重合体が
生体適合性に優れることの知見を得て、本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は次の(1)〜(3)で
ある。 (1)ラジカル重合して、下記一般式[1]
【化3】 (ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基を示す)
で示される(メタ)アクリル酸セリンエステルに基づく
構成成分を少なくとも15モル%以上含む重合体。 (2)前記の重合体が下記一般式[2]
【化4】 (式中、R、R1は、水素原子またはメチル基を示し、
2は炭素数1〜20のアルキル基であり、また、m、
nは、(メタ)アクリル酸セリンエステルおよび(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルの付加モル数でそれぞ
れ、m=2〜20,000、n=0〜30,000であ
る。ただしn=0、m=2を同時に満足することはな
い。また、2≦m、2≦nの場合、[ ]内はブロック
状でもランダム状の付加でもよい。)で表される(メ
タ)アクリル酸セリンエステルの重量平均分子量2,0
00〜5,000,000の重合体。 (3)前記の(メタ)アクリル酸セリンエステルに基づ
く構成成分を少なくとも15モル%以上含む重合体を用
いてなることを特徴とする生体適合性材料。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の重合体に用いる原料の
(メタ)アクリル酸セリンエステルは、前記一般式
[1]で表され、Rは、水素原子またはメチル基であ
る。
【0007】一般式[1]で表される(メタ)アクリル
酸セリンエステルは、例えば次のような方法によって容
易に製造することができる。すなわち、次の工程(1)
および工程(2)からなる(メタ)アクリル酸セリンエ
ステルの製造方法である。 工程(1);下記式[3]
【化5】 で表されるN−t−ジブトキシカルボニル−O−L−セ
リンと(メタ)アクリル酸クロリドを脱塩化水素剤を用
いて反応させて、下記式[4]
【化6】 を合成する工程。
【0008】工程(2);前記の生成物を、酸性化合物
を用いて保護基を分解して、ついで、酸性にして(メ
タ)アクリル酸セリンエステルの塩酸塩を得た後、塩基
性化合物で塩酸塩をはずす工程。
【0009】前記の工程(1)において、原料の式
[3]で表されるN−t−ジブトキシカルボニル−O−
L−セリンとしては、例えば、市販品(アルドリッチ社
=Aldrich社製、東京化成(株)社製、シグマ社
製など)を用いることができる。また、(メタ)アクリ
ル酸クロリドとしては、市販品をそのまま、あるいは精
製して使用できる。例えば市販品として、アルドリッチ
社製、東京化成(株)社製、和光純薬工業(株)社製の
アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等を挙げる
ことができる。前記の工程(1)の反応において、反応
溶媒としては、反応物、生成物を溶解する溶媒、若しく
は反応物、生成物を溶解し生成する塩化水素塩を析出す
る溶媒であればよい。それらの溶媒としては、例えば、
クロロホルム、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン
(THF)、エーテルが挙げられる。好ましくは、TH
Fである。脱塩化水素剤としては、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキ
ルアミン;ジメチルアニリン等の芳香族第三アミン;ピ
リジン、ジメチルアミノピリジン等の環状第三アミンが
挙げられる。取り扱いや入手性の観点からトリエチルア
ミン等が好ましく挙げられる。また、原料の式[3]で
表される化合物:(メタ)アクリル酸クロリド:脱塩化
水素剤の割合は、モル比1:0.8〜1.5:1〜2で
反応させるのが好ましい。さらに、反応温度としては、
−30℃〜室温、好ましくは−20℃〜0℃である。ま
た、反応時間としては、5〜100時間、好ましくは1
5〜30時間である。反応は窒素ガスまたは乾燥不活性
ガス気流下の雰囲気あるいは乾燥空気気流下で行うのが
好ましい。生成した塩は、濾別し、溶媒を留去後、減圧
蒸留によってアミノ基をブロック(保護)した前記の式
[4]の化合物を得ることができる。反応後は、ヘキサ
ン、石油エーテル、ジエチルエーテル等を用いて再結晶
して精製することができる。
【0010】工程(2)において、この中間体の前記式
[4]の溶液と酸性化合物を用いて、セリンのアミノ基
を保護した基をはずして目的の化合物を得ることができ
る。酸性化合物としては、トリフルオロ酢酸;臭化水素
の酢酸溶液、塩化水素の酢酸溶液;塩酸あるいはギ酸の
反応溶媒溶液などが挙げられる。好ましくは、トリフル
オロ酢酸である。溶媒としては、脱水品を用いるのが望
ましい。用いる溶媒の種類としては、クロロホルム、塩
化メチレンが挙げられる。好ましくは、塩化メチレンが
挙げられる。前記式[4]の化合物:酸性化合物の割合
は、モル比で、1:1〜10である。反応温度として
は、−30℃〜50℃、好ましくは0℃〜室温である。
また、反応時間としては、0.1〜10時間、好ましく
は0.5〜3時間である。反応は窒素ガス、乾燥不活性
ガス等の気流下の雰囲気あるいは乾燥空気気流下で行う
のが好ましい。前記式[4]の化合物を酸性化合物によ
りセリンのアミノ基の保護基をはずした後、氷冷下で過
剰の塩酸を加えて、メタノール等の溶媒に溶かし、生成
物の塩酸塩型を得る。その際の塩酸は酢酸エチル溶液が
好ましい。ついで溶媒を留去した後、ジエチルエーテ
ル、THF等の溶媒で洗浄して、生成物の塩酸塩型を純
度よく得る。ついで、この生成物の塩酸塩型をアセトニ
トリル等の溶媒に分散させて、氷冷下で、等モル以上の
トリエチルアミン等の塩基性化合物を加えて、脱塩酸し
て、目的とする一般式[1]の(メタ)アクリル酸セリ
ンエステルを得ることができる。塩基性化合物として
は、トリエチルアミンの他に、前記で示した脱塩化水素
剤の化合物が挙げられる。
【0011】本発明の(メタ)アクリル酸セリンエステ
ルの重合体の製造方法は、次の方法により容易に得るこ
とができる。すなわち、前記の(メタ)アクリル酸セリ
ンエステル単独またはこれと共重合可能な単量体とをラ
ジカル重合することにより重合体が得られる。共重合の
場合、(メタ)アクリル酸セリンエステルに基づく構成
成分を少なくとも15モル%含む。(メタ)アクリル酸
セリンエステルに基づく構成成分が15モル%より少な
いと、構成成分として(メタ)アクリル酸セリンエステ
ルを含む量が少なくなり、生体適合性等の効果の発現が
著しくなくなるので好ましくない。重合方法としては、
通常用いられている重合方法で、例えば、溶液重合、バ
ルク重合、乳化重合、懸濁重合等が挙げられる。(メ
タ)アクリル酸セリンエステルと共重合可能な単量体と
しては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アク
リル酸メチルアミド、(メタ)アクリル酸エチルアミ
ド、(メタ)アクリル酸プロピルアミド、(メタ)アク
リル酸ブチルアミド、(メタ)アクリル酸ヘキシルアミ
ド、(メタ)アクリル酸ラウリルアミド、(メタ)アク
リル酸ステアリルアミド等の(メタ)アクリル酸アルキ
ルアミド;さらに、スチレン、クロルメチルスチレン等
のスチレン系モノマー;マレイン酸、マレイン酸アルキ
ルエステル等のマレイン酸系モノマー;フマル酸、フマ
ル酸エステル等のフマル酸系モノマー;イタコン酸、イ
タコン酸アルキルエステル等のイタコン酸系モノマーが
挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4の(メタ)アク
リル酸アルキルエステルが挙げられる。重合に用いる溶
媒としては、単量体が溶解あるいは分散すればよく、具
体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、t−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ジメチルホ
ルムアミド、テトラヒドロフラン等およびこれらの混合
物が挙げられる。重合条件としては、通常用いる条件に
よって重合できる。反応温度としては、例えば、40℃
〜100℃、反応時間としては、1時間〜50時間が挙
げられる。ラジカル重合開始剤としては、通常のラジカ
ル重合開始剤ならばいずれを用いてもよく、具体的に
は、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)、アゾビスバレロニトリル、2,2’−アゾビス
[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩
酸塩等の脂肪族アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化
ラウロイル等の有機過酸化物、過硫酸アンモニウム、過
酸化カリウム等の無機過酸化物を例示することができ
る。重合体の分子量は特に限定されないが、2,000
〜5,000,000が好ましく、より好ましくは、
5,000〜1,000,000である。重合体の分子
量が2,000より小さいとコーテイング等ではがれや
すくなり、重合体の分子量が5,000,000より大
きくなると粘度が高くなり取り扱い難くなるので望まし
くない。
【0012】得られた重合体は、通常良く用いられる溶
媒精製してもよく、あるいは乳化重合や懸濁重合でその
まま粒子として取り出して用いてもよい。
【0013】本発明の(メタ)アクリル酸セリンエステ
ルの重合体は、生体適合性を有しており、他の重合体に
生体適合性を付与することができる。該(メタ)アクリ
ル酸セリンエステルを用いた重合体は、重合体をそのま
ま粒子状で使用したり、あるいは成形加工したりするこ
とができる。また、有機溶媒からキャストしてフイルム
状として使用したり、あるいは重合体を、プラズマ、ガ
ンマ線、紫外線等のエネルギー照射して他の材料の重合
体等の表面にコーテイングして使用することができる。
具体的には、カテーテル、カニューレ、中空糸などの医
療用のデバイス、あるいは中空糸などの医療用のデバイ
スのハウジング材料、医用材料等のメディカル用品、コ
ンタクトレンズ等のアイケア用品、化粧品材料、トイレ
タリー用品等の生体適合性材料として使用できるものと
期待される。
【0014】
【発明の効果】本発明は、(メタ)アクリル酸セリンエ
ステルに基づく構成成分を少なくとも15モル%以上含
む重合体は、生体成分との特異的な適合性、血小板の凝
集抑制や、ADP等の血小板活性化を抑制することが有
り、医療材料、医用材料などの生体適合性としての用途
展開が期待される。
【0015】
【実施例】次に本発明を実施例にもとづいて説明する。 合成例1−1;N−t−ブトキシカルボニル−O−メタ
クリロイル−L−セリン(Boc−serMA)の合成 かき混ぜ機、玉付き冷却管、窒素導入管、滴下ロートを
備えた500mlの4つ口フラスコにN−t−ブトキシ
カルボニル−L−セリン25.0g(0.132mo
l)とトリエチルアミン20.03g(0.198mo
l)を取り、300mlの脱水テトラヒドロフラン(T
HF)に溶かした。−20℃で窒素気流下、かき混ぜな
がら、メタクリル酸クロリド20.70g(0.198
mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、−20
℃で10時間、さらに−5℃で5時間反応した。次に未
反応のメタクリル酸クロリドをメタクリル酸に誘導する
ために、50gの水を加えてかき混ぜた。反応終了後、
ジエチルエーテルを加えて、析出したトリエチルアミン
の塩酸塩をろ別した後、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥
した。無水硫酸ナトリウムをろ別し、ロータリーエバポ
レーターで濃縮して、粘調な固体を得た。ヘキサンから
再結晶して白色結晶を19.38g得た。この化合物を
Boc−serMAと略す。Boc−serMAの収率
は53.8%であった。また、このBoc−serMA
の融点は、95〜98℃であった。
【0016】Boc−serMAの1H−NMRおよび
IR分析、元素分析の結果を次に示した。 1.1H−NMR(δ(ppm):TMS/DMSO) 1.28−1.48(m,9H) ;−C(C33 1.87 (d,3H) ;−C3 4.08 (m,1H) ;−CH− 4.22 (m,1H) ;−CH2 − 4.33 (m,1H) ;−CH2 − 5.69 (m,2H) ;−C=C2 2.IR(NaCl板)νcm-1 2960cm-1;−CH3 2930 ;=CH2 1760 ;−COOH 1720 ;−CO−O− 1680 ;−CO−NH− 3.元素分析値 C12196N=273.286として 計算値:C:H:N=52.74%:7.01%:5.
13% 実測値:C:H:N=52.57%:6.61%:4.
81% 以上のことより、Boc−serMAが次式のN−t−
ブトキシカルボニル−O−メタクリロイル−L−セリン
であると同定した。
【化7】
【0017】合成例1−2;O−メタクリロイル−L−
セリン(=メタクリル酸セリンエステル;serMA)
の合成 かき混ぜ機、玉付き冷却管、窒素導入管、滴下ロートを
備えた200mlの4つ口フラスコに前記の合成例1−
1で得たBoc−serMA、16.44g(0.06
0mol)とトリフルオロ酢酸40.0g(0.358
mol)および脱水塩化メチレン100mlを入れ、室
温でかき混ぜながら1時間反応を続けた。反応終了後、
ロータリーエバポレーターで溶媒の塩化メチレンを留去
して、ジエチルエーテル50mlを加えて、かき混ぜた
後上澄みをデカンテーションして未反応のトリフルオロ
酢酸を抽出した。残留物を脱水メタノール400mlに
溶かし氷冷下でかき混ぜながら、モル比で1.5倍の4
H−HClの酢酸エチル溶液を加えて酸性とした。ロー
タリーエバポレーターでメタノールを留去して、室温で
真空乾燥した後、得られた粘調な固体を50mlのジエ
チルエーテルで白色結晶が得られるまで繰り返し洗浄
し、serMAの塩酸塩を得た。さらにこのserMA
の塩酸塩を200mlのアセトニトリルに分散させて、
氷冷下でserMAの塩酸塩と等モルのトリエチルアミ
ン(6.06g)を加えてかき混ぜた。グラスフィルタ
ー(17G−4)でろ過し、クロロホルムで繰り返し洗
浄してserMAの白色結晶を5.02g得た。ser
MAの収率は48.2%であった。また、このserM
Aの分解点は、114〜119℃であり、等電点は5.
08であった。
【0018】得られたserMAの1H−NMRおよび
IR分析、元素分析の結果を次に示した。 1.1H−NMR(δ(ppm):TMS/DMSO) 1.86 (s,3H) ;−C3 4.07 (m,1H) ;−CH− 4.53 (m,2H) ;−CH2 − 5.70−6.11(m,2H) ;−C=C2 − 2.IR(NaCl板)νcm-1 2100cm-1;−NH3 + 1720 ;−CO−O− 1620 ;−NH3 + 1520 ;−NH3 + 1470 ;−COO- 3.元素分析値 C7114N=173.169として 計算値:C:H:N=48.55%:6.40%:8.
09% 実測値:C:H:N=48.50%:6.32%:8.
19% 以上のことより、Boc−serMAが次式のN−t−
ブトキシカルボニル−O−メタクリロイル−L−セリン
であると同定した。
【化8】
【0019】実施例1−1;serMA−co−n−B
MA共重合体の合成(20/80) 合成例1−2で合成したserMA 8.304g(4
8mmol)とn−ブチルメタクリレート(n−BM
A)27.26g(192mmol)をラジカル重合開
始剤として過硫酸カリウム0.648g(2.4mmo
l)(全単量体に対して1モル%使用)およびイオン交
換水150gとともに温度計、窒素吹き込み管、冷却
管、かき混ぜ機を付した500mlの4つ口フラスコに
とり、窒素気流下で70℃、350r.p.m.のかき混
ぜ速度、6時間の条件で乳化重合を行った。その結果ポ
リマー粒子は得られなかったが凝集したポリマーを水洗
およびメタノール洗浄を繰り返して精製した後、コポリ
マー中にserMAに基づく構成単位を有するポリマー
を得た。このポリマーを100〜200メッシュ粉砕
し、生理食塩水に分散させた。重合体を26.7g得
た。重合体収率は、75%(全モノマー重量に対して)
であった。結果を表1に示した。
【0020】実施例1−2;serMA−co−n−B
MA共重合体の合成(50/50) 実施例1−1において用いたserMA 8.304g
(48mmol)をserMA20.76g(120m
mol)に代え、n−BMA 27.26g(192m
mol)を17.04g(120mmol)に代えた以
外は実施例1−1と全く同様にして重合を行った。重合
体を20.0g得た。重合体収率は、53%であった。
得られた重合体は、同様に試験を行った。結果を同じく
表1に示した。
【0021】実施例1−3;serMA−co−n−B
MA共重合体の合成(75/25) 実施例1−1において用いたserMA 8.304g
(48mmol)をserMA31.14g(180m
mol)に代え、n−BMA 27.26g(192m
mol)を8.52g(60mmol)に代えた以外は
実施例1−1と全く同様にして重合を行った。重合体を
12.3g得た。重合体収率は、31%であった。得ら
れた重合体は、同様に試験を行った。結果を同じく表1
に示した。
【0022】実施例1−4;serMA重合体の合成
(100/0) 実施例1−1において用いたserMA 8.304g
(48mmol)をserMA31.14g(240m
mol)に代えた以外は実施例1−1と全く同様にして
重合を行った。重合体6.64g得た。重合体収率は、
16%であった。得られた重合体は、同様に試験を行っ
た。結果を同じく表1に示した。
【0023】比較例1;ポリ(MPC)の合成 MPC2.0g(6.77mmol)、開始剤としてA
IBN0.054g(0.068mmol)、エタノー
ル/THF(=90/10V/V%)の混合溶媒10m
lをガラス製重合管に入れ減圧下で溶封した。反応温度
60℃、12時間、ふり混ぜの重合条件で重合した後、
内容物を多量のジエチルエーテル中に注入してポリMP
Cを析出させて、重合体を得た。得られた重合体は、同
様にして後述の比較例2−1の試料として用いた。
【0024】
【表1】
【0025】なお、分子量の測定は、標準ポリスチレン
を用いて行なった。
【0026】実施例2−1;血小板凝集阻害試験 多血小板血漿(PRP)400μlを容量1mlのガラ
ス製円筒型キュベットに入れ、37℃で回転子でかき混
ぜながら濁度計(エンジニアリング カンパニー社=E
ngineerinng Company社製、NKK
HEME Tracer装置)で測定した濁度を上限
値{透過率(T)}=0%とした。次に被検液を貧血小
板血漿(PPP)400μlに変え、得られた濁度を下
限値{透過率(T)}=100%として設定してレコー
ダーに記録した。その後以下のように調整した。被試験
体として前記の実施例1−1の分散液を44μl添加し
て(このとき溶液中のserMAに基づく構成単位の濃
度として3μml/lとした。)血小板凝集試験を評価
した。 <血小板凝集阻害効果の評価>実施例1−1のserM
A−co−n−BMAの約100〜200メッシュに粉
砕した共重合体を生理食塩水に分散させ、その分散液、
44μlを多血小板血漿(PRP)にserMAユニッ
トが3μmol/lになるように添加して、血小板凝集
活性を調べた。また、途中で系に血小板を活性化させる
ためにアデノシン二リン酸(=ADP)を13μmol
/lになるように添加して濁度を経時的に調べた。結果
を図1に示した。
【0027】実施例2−2〜2−4;前記の実施例1−
2〜1−4の重合体を用いて実施例2−1と同様にし
て、血小板凝集阻害を評価を行った。結果を図1に示し
た。
【0028】比較例2−1 前記の比較例1−1で得られたポリ(MPC)の重合体
を用いて、serMAユニット3μmol/lの代わり
に、MPCユニットが10μmol/lになるように添
加した以外は、実施例2−1と同様にして試験を行っ
た。結果を併せて図1に示した。
【0029】以上の結果から、serMAの単量体を2
0モル%、50モル%、75モル%および100モル%
(単独重合体)仕込みモル比で含有した重合体は、血小
板の凝集阻害効果がポリ(MPC)よりあることがわか
る。また、ADP添加による血小板の凝集効果を抑制す
ることがわかる
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】重合体による血小板凝集試験の結果

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラジカル重合して、下記一般式[1] 【化1】 (ただし、式中、Rは水素原子またはメチル基を示す)
    で示される(メタ)アクリル酸セリンエステルに基づく
    構成成分を少なくとも15モル%以上含む重合体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の重合体が下記一般式[2] 【化2】 (式中、R、R1は、水素原子またはメチル基を示し、
    2は炭素数1〜20のアルキル基であり、また、m、
    nは、(メタ)アクリル酸セリンエステルおよび(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルの付加モル数でそれぞ
    れ、m=2〜20,000、n=0〜30,000であ
    る。ただしn=0、m=2を同時に満足することはな
    い。また、2≦m、2≦nの場合、[ ]内はブロック
    状でもランダム状の付加でもよい。)で表される(メ
    タ)アクリル酸セリンエステルの重量平均分子量2,0
    00〜5,000,000の重合体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の(メタ)アクリル酸セリン
    エステルに基づく構成成分を少なくとも15モル%以上
    含む重合体を用いてなることを特徴とする生体適合性材
    料。
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