JPH10295080A - サイリスタ変換装置 - Google Patents

サイリスタ変換装置

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JPH10295080A
JPH10295080A JP10003197A JP10003197A JPH10295080A JP H10295080 A JPH10295080 A JP H10295080A JP 10003197 A JP10003197 A JP 10003197A JP 10003197 A JP10003197 A JP 10003197A JP H10295080 A JPH10295080 A JP H10295080A
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thyristor
power supply
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善尚 岩路
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サイリスタ変換器の入力電流において発生する
{12n±1次、n=1,2,3,…}で表される高調
波成分を低減でき、かつ構成もコンパクトにできるサイ
リスタ変換装置を提供することにある。 【解決手段】三相交流電源1から30度の位相差を有す
る電圧が入力されるサイリスタ変換器4および4′にお
いて、周波数が前記サイリスタ変換器に入力される電圧
の周波数の6倍である電圧を一方のサイリスタ変換器の
出力電圧に加えると共に、前記6倍周波数の電圧とは逆
位相の電圧を他方のサイリスタ変換器の出力電圧に加え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流電力から直流
電力を得るサイリスタ変換装置に係り、特に電源高調波
を低減できるサイリスタ変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】交流電源から任意の電圧の直流を得る場
合に、サイリスタ変換器が広く用いられている。サイリ
スタ変換器は回路構成が簡単であり、容易に大容量の直
流電源が得られるため、一般産業における電動機制御や
直流送電などの電力制御において、広範囲にわたって使
用されている。
【0003】しかし、サイリスタ変換器を用いた場合、
入力電流には電源高調波と呼ばれる5,7,11,13
次等の高調波成分が多く発生するため、それぞれの各次
高調波成分を除去するフィルタが接続されていた。
【0004】だが、フィルタを用いることより、装置の
大型化という新たな問題が発生する。そこで、できるだ
けフィルタを用いずに、かつ前述の電源高調波を低減す
るために、サイリスタ変換器を2台組み合わせたサイリ
スタ変換装置を使用する場合がある。
【0005】その構成を図12に示す。図に示されるよ
うに、このサイリスタ変換装置は、一方のサイリスタ変
換器の入力電圧位相を変圧器を用いて30°ずらし、か
つ両サイリスタ変換器の出力端(直流側)を直列接続
(あるいは並列接続)して構成される。このサイリスタ
変換装置において、サイリスタ変換器の入力電流Iu1,I
u2 ,電源電流Iu、ならびに変換器の出力電流Icon1,Ic
on2の波形は、図13のようになる(ただし、点弧位相
α=0°とする)。図13(b)のIu1の電流波形には、5
次,7次,11次,13次等の高調波成分が多く含まれ
ており、図13(c)のIu2にもIu1と等しい量の高調波成
分が含まれている。ただし、Iu2に含まれる5次,7次
等(6m±1次、m=1,3,5,…)の高調波成分
は、Δ−Y結線の変圧器により、位相が180°変化す
る。よって、Iu1とIu2を加算すると、5次,7次,17
次,19次等の{6m±1次、m=1,3,5,…}で
表される高調波成分が消去され、Iuは図13(d)のよ
うになる。
【0006】このように、{6m±1次、m=1,3,
5,…}で表される高調波成分は原理的に消去されるた
め、電源電流Iuにおける高調波成分を低減できる。よ
って、これらの高調波成分の消去を目的としたフィルタ
の設置は不要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
技術では、11次,13次等(12n±1次、n=1,
2,3,…)の高調波成分は変圧器3を介しても位相が
変化しないため、消去することができず、そのまま残留
する。そのため、これらの高調波成分を低減するための
フィルタを設置する等の対策が依然として必要とされ
る。
【0008】このように、従来のサイリスタ変換装置で
は、入力電流に含まれる高調波成分、特に{12n±1
次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分の抑制
が課題となっている。
【0009】本発明の目的は、サイリスタ変換器の入力
電流において発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分を低減でき、かつ構成も
コンパクトにできるサイリスタ変換装置を提供すること
にある。
【0010】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器の
入力電流において発生する{6m±1次、m=1,3,
5,…}で表される高調波成分を低減できるサイリスタ
変換装置を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器の
出力端に交流電圧および交流電流のいずれか一方を加え
るための単相交流電源の構成を簡単にし、単相交流電源
をコンパクトにできるサイリスタ変換装置を提供するこ
とにある。
【0012】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器の
出力電流に含まれる電流脈動を低減できるサイリスタ変
換装置を提供することにある。
【0013】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器に
接続される平滑コンデンサの容量を低減できるサイリス
タ変換装置を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器の
入力電流において発生する{12n±1次、n=1,
2,3,…}で表される高調波成分を更に低減できるサ
イリスタ変換装置を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、サイリスタ変換器の
出力電流が変化した場合にも、サイリスタ変換器の入力
電流において発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分を低減できるサイリスタ
変換装置を提供することにある。本発明の他の目的は、
サイリスタ変換器の入力電流において発生する{12n
±1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分の
低減を、サイリスタ変換器の出力電流が変化した場合に
も、簡単な構成で行えるサイリスタ変換装置を提供する
ことにある。
【0016】本発明の他の目的は、構成を更にコンパク
トにできるサイリスタ変換装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する第1
の発明の特徴は、三相交流電源から交流電力を入力し、
直流電力を出力するサイリスタ変換器と、周波数が前記
三相交流電源の周波数の6倍である交流電圧および交流
電流のいずれか一方を前記サイリスタ変換器の出力端に
加える単相交流電源を備えたことにある。サイリスタ変
換器の出力端に、周波数が三相交流電源の周波数の6倍
である電圧および電流のいずれか一方を加えることによ
り、サイリスタ変換器の直流出力電流は強制的に脈動
し、サイリスタ変換器の入力電流に発生する{12n±
1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分(電
源高調波)が低減される。よって{12n±1次、n=
1,2,3,…}で表される高調波成分を低減するため
のフィルタが不要となり、サイリスタ変換装置の構成が
コンパクトになる。
【0018】上記他の目的を達成する第2の発明の特徴
は、三相交流電源から交流電圧を入力し、直流電圧を出
力する第1サイリスタ変換器と、出力端が前記第1サイ
リスタ変換器の出力端と直列に接続され、かつ前記三相
交流電源から前記交流電圧とは位相が30度ずれた交流
電圧を入力し、直流電圧を出力する第2サイリスタ変換
器と、周波数が前記三相交流電源の周波数の6倍である
交流電圧および交流電流のいずれか一方を、前記第1サ
イリスタ変換器の出力端および前記第2サイリスタ変換
器の出力端に加える単相交流電源を備えたことにある。
2台のサイリスタ変換器の出力端に、周波数が三相交流
電源の周波数の6倍である電圧および電流のいずれか一
方を加えることにより、両サイリスタ変換器の直流出力
電流は強制的に脈動し、両サイリスタ変換器の入力電流
に発生する{12n±1次、n=1,2,3,…}で表
される高調波成分が低減される。また、30度の位相差
を有する電圧を両サイリスタ変換器に入力することによ
り、両サイリスタ変換器の入力電流に発生する{6m±
1次、m=1,3,5,…}で表される高調波成分は、
互いに位相が180°ずれる。よって、互いに打ち消し
合い、電源において発生する{6m±1次、m=1,
3,5,…}で表される高調波成分を低減できる。
【0019】上記他の目的を達成する第3の発明の特徴
は、単相交流電源は、第1サイリスタ変換器と第2サイ
リスタ変換器の直列接続点、およびサイリスタ変換装置
の中間電圧点に接続することにある。第1サイリスタ変
換器と第2サイリスタ変換器の直列接続点、およびサイ
リスタ変換装置の中間電圧点に単相交流電源を接続する
ことにより、1つの単相交流電源で両サイリスタ変換器
の出力端に単相交流電圧あるいは電流を加えることがで
きるため、単相交流電源の構成が簡単になり、単相交流
電源がコンパクトになる。
【0020】上記他の目的を達成する第4の発明の特徴
は、1次側の巻線が単相交流電源に接続され、2次側の
第1巻線が第1サイリスタ変換器の出力端に接続され、
2次側の第2巻線が第2サイリスタ変換器の出力端に接
続された変圧器を備えたことにある。このような変圧器
と1つの単相交流電源によって両サイリスタ変換器の出
力端に単相交流電圧あるいは電流を加えることができ、
単相交流電源の数を減らすことができる。
【0021】上記他の目的を達成する第5の発明の特徴
は、三相交流電源から交流電圧を入力し、直流電圧を出
力する第1サイリスタ変換器と、出力端が前記第1サイ
リスタ変換器の出力端と並列に接続され、かつ前記三相
交流電源から前記交流電圧とは位相が30度ずれた交流
電圧を入力し、直流電圧を出力する第2サイリスタ変換
器と、周波数が前記三相交流電源の周波数の6倍である
交流電圧および交流電流のいずれか一方を、前記第1サ
イリスタ変換器の出力端および前記第2サイリスタ変換
器の出力端に加える単相交流電源を備えたことにある。
2台のサイリスタ変換器の出力端に、周波数が三相交流
電源の周波数の6倍である電圧および電流のいずれか一
方を加えることにより、両サイリスタ変換器の直流出力
電流は強制的に脈動し、両サイリスタ変換器の入力電流
に発生する{12n±1次、n=1,2,3,…}で表
される高調波成分が低減される。また、30度の位相差
を有する電圧を両サイリスタ変換器に入力することによ
り、両サイリスタ変換器の入力電流に発生する{6m±
1次、m=1,3,5,…}で表される高調波成分は、
互いに位相が180°ずれる。よって、互いに打ち消し
合い、電源において発生する{6m±1次、m=1,
3,5,…}で表される高調波成分を低減できる。更
に、両サイリスタ変換器の出力電流には位相のずれた電
流脈動が含まれるため、両サイリスタ変換器の出力端を
並列接続することによって、出力電流に含まれる電流脈
動が打ち消し合い、電流脈動を低減することができる。
【0022】上記他の目的を達成する第6の発明の特徴
は、1次側の巻線が単相交流電源に接続され、2次側の
第1巻線が第1サイリスタ変換器の出力端に接続され、
2次側の第2巻線が第2サイリスタ変換器の出力端に接
続された変圧器を備えたことにある。このような変圧器
と1つの単相交流電源によって両サイリスタ変換器の出
力端に単相交流電圧あるいは電流を加えることができ、
単相交流電源の数を減らすことができる。
【0023】上記他の目的を達成する第7の発明の特徴
は、上記第5の発明の特徴に加えて、サイリスタ変換器
の出力端にコンデンサを接続したことにある。第5の発
明により脈動が低減された電流がサイリスタ変換器から
出力されるため、サイリスタ変換器の出力電流の脈動を
平滑するためのコンデンサの容量を低減することができ
る。
【0024】上記他の目的を達成する第8の発明の特徴
は、単相交流電源は、第2サイリスタ変換器の出力端に
加える交流電圧あるいは交流電流として、第1サイリス
タ変換器の出力端に加える交流電圧あるいは交流電流と
は逆位相の交流電圧あるいは交流電流を出力することに
ある。サイリスタ変換器の出力端に加える交流電圧ある
いは電流を第1サイリスタ変換器と第2サイリスタ変換
器とで逆位相にすることにより、両サイリスタ変換器の
直流出力電流は強制的に脈動し、かつ逆位相となるた
め、両サイリスタ変換器の入力電流に発生する{12n
±1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分を
より低減できる。
【0025】上記他の目的を達成する第9の発明の特徴
は、単相交流電源は、サイリスタ変換器の出力端に加え
る交流電圧として、方形波の波形を有する電圧を出力す
ることにある。単相交流電源の出力電圧を、正弦波、或
いは三角波等とする場合と比較して、方形波を用いた場
合にはサイリスタ変換器の入力電流に発生する{12n
±1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分を
より低減できる。上記他の目的を達成する第10の発明
の特徴は、単相交流電源は、サイリスタ変換器の出力端
に加える交流電流として、三角波の波形を有する電流を
出力することにある。単相交流電源の出力電流を三角波
とすることにより、第9の発明と同様に、サイリスタ変
換器の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,
2,3,…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0026】上記他の目的を達成する第11の発明の特
徴は、単相交流電源は、サイリスタ変換器の出力端に加
える交流電圧あるいは交流電流として、前記サイリスタ
変換器の点弧位相に同期した電圧あるいは電流を出力す
ることにある。単相交流電源の出力電圧あるいは電流を
点弧位相に同期させることによって、サイリスタ変換器
の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0027】上記他の目的を達成する第12の発明の特
徴は、単相交流電源は、サイリスタ変換器の出力端に加
える交流電圧あるいは交流電流の振幅を、電流検出器に
よって検出された前記サイリスタ変換器の出力電流の検
出値に基づいて変化させることにある。単相交流電源の
出力電圧あるいは電流の振幅をサイリスタ変換器の出力
電流検出値に応じて変化させることにより、サイリスタ
変換器の出力電流が変化した場合にも、サイリスタ変換
器の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分を低減できる。
【0028】上記他の目的を達成する第13の発明の特
徴は、単相交流電源は、電流検出器によって検出された
前記サイリスタ変換器の出力電流の検出値に基づいてP
WM制御されるインバータであることにある。単相交流
電源としてPWM制御されるインバータを用いることに
より、簡単な構成で単相交流電源の出力電圧あるいは電
流の振幅を可変にすることができる。このため、サイリ
スタ変換器の出力電流が変化した場合にも、サイリスタ
変換器の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,
2,3,…}で表される高調波成分を低減できる。
【0029】上記他の目的を達成する第14の発明の特
徴は、インバータは、入力電力をサイリスタ変換器の出
力電力から得ることにある。インバータの入力電力とし
てサイリスタ変換器の出力電力を用いることにより、イ
ンバータ用の直流回路電源を別途設ける必要がなくな
る。このため、サイリスタ変換装置を小型化することが
できる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
例を詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明の好適な一実施例であるサ
イリスタ変換装置を示す。図1において、1は三相交流
電力を出力する三相交流電源で、その出力は変圧器2及
び3に入力される。変圧器2は三相交流電源1から出力
された三相交流電圧を変圧して出力するΔ−Δ結線の変
圧器であり、一次側(入力側)と二次側(出力側)の電
圧は同位相となる。また、変圧器3は三相交流電源1か
ら出力された三相交流電圧を変圧して出力するΔ−Y結
線の変圧器であり、二次側の電圧は一次側の電圧と30
°の位相差をもって出力される。なお、変圧器2および
3の一次側と二次側の電圧比、並びに漏れインダクタン
スは等しい。変圧器2の二次側はサイリスタ変換器4の
入力端に、また変圧器3の二次側はサイリスタ変換器
4′の入力端にそれぞれ接続される。サイリスタ変換器
4および4′は、それぞれ6個のサイリスタからなるサ
イリスタ変換器であり、入力された交流電圧を直流電圧
に変換して出力する。なお、サイリスタ変換器4および
4′の各々の出力端は直列に接続されている。サイリス
タ変換器4および4′の出力端には平滑コンデンサ5お
よび5′が接続される。このため、サイリスタ変換器4
および4′の各出力電圧に含まれる脈動成分(周波数が
電源周波数の6倍)は低減される。サイリスタ変換器4
および4′の出力端には負荷装置6も接続され、サイリ
スタ変換器4および4′の直流出力電圧が入力される。
この負荷装置6としては、インバータ等の負荷が接続さ
れ、場合によっては、負荷の中間電圧点を平滑コンデン
サ5と5′の接続点(中間電圧点)と接続することもあ
る。7は本実施例の特徴部である単相交流電源で、図に
示すように、一端がサイリスタ変換器4および4′を接
続する配線に接続され、他端が平滑コンデンサ5および
5′を接続する配線に接続される。
【0032】サイリスタ変換器4および4′は、ダイオ
ードを用いた整流器とは異なり、サイリスタのゲートに
加える点弧信号のタイミングを変えることで、出力電圧
Vcon1,Vcon2の平均値を制御できるという特徴がある。
この特徴について以下に説明する。まず、図2を用い
て、サイリスタ変換器4の、交流入力電圧と直流出力電
圧の関係を導出する。電源の三相交流電圧を次式のよう
に定義する。
【0033】
【数1】
【0034】E:電源電圧(線間電圧実効値)[V] 図2(a)に、三相交流電圧と点弧位相α(制御遅れ角)
の関係を示す。サイリスタ変換器では、正側,負側のサ
イリスタが一対ずつ導通し、また各サイリスタは、60
°毎に転流が行われるため、サイリスタの導通モードは
図2(b)に示すように変化する。サイリスタUp,Vn
が導通する期間を、t1〜t2とすると、
【0035】
【数2】
【0036】ω:電源角周波数[rad/s] となる。Vcon1の平均値Vcon1mは、数1,数2より、次
式となる。
【0037】
【数3】
【0038】数3からも明らかなように、点弧位相αを
変えることで、出力電圧Vcon1 を制御することができ
る。
【0039】次に、本実施例の特徴部である単相交流電
源7について説明する。
【0040】図3(g)に、単相交流電源7の出力電圧波
形Viを示す。Viは、サイリスタ変換器4及び4′の
入力電圧の周波数の6倍周波数の方形波であり、その波
高値Vsは所定の値に設定される。波高値Vsの設定方
法については後述する。図3(g)に示すような方形波の
電圧をサイリスタ変換器4および4′の出力電圧に加え
ることによって、各サイリスタ変換器の出力電流Icon1
とIcon2は、図3(e),(f)に示すような三角波の電流
波形に整形される。図3(e),(f)の波形は、電流値の
下側のピーク値が、ちょうどIcon1=0,Icon2=0に接
するように調整されている。この結果、サイリスタ変換
器4および4′の入力電流であるIu1 およびIu2 は、図
3(b),(c)に示す波形となり、Iu1とIu2の両者を加算
した電流である電源電流Iuは、図3(d)に示されるよ
うに、歪の少ない電流となる。(図3(a)は電源電圧E
uを示す。) 図13(b),(c)のIu1,Iu2(従来のサイリスタ変換装
置におけるサイリスタ変換器の入力電流)に比べて、図
3(b),(c)のIu1,Iu2は{6m±1次、m=1,3,
5,…}で表される高調波成分(以下代表として5次,
7次高調波成分に関して述べる)が増加し、総合ひずみ
率も増加している。しかし、{12n±1次分、n=
1,2,3,…}で表される高調波成分(以下代表とし
て11次,13次高調波成分に関して述べる)について
は、図3(b),(c)のIu1,Iu2は、図13(b),(c)の
Iu1,Iu2に比べて少なくなっている。サイリスタ変換装
置では、Iu1とIu2において位相が180度ずれている5
次,7次の高調波成分は、Iu1とIu2を足し合わせること
によって、消去されるため、Iuには11次,13次高
調波成分だけが残る。この結果、Iu1とIu2に含まれる1
1次,13次高調波成分が少ない本実施例では、図3
(d)に示されるように、高調波成分の極めて少ない電源
電流Iuが得られる。
【0041】次に、単相交流電源7の波高値Vsの設定
方法について説明する。
【0042】まず、図2ならびに図4を用いて、サイリ
スタ変換器4の入力電流と単相交流電源7の出力電圧と
の関係を説明する。図2のt1〜t2の期間は、サイリ
スタUpとVnが導通し、サイリスタ変換器4の直流出
力電圧Vcon1 には、u−v間の線間電圧Euvが出力され
る。この間、u相には正の電流、v相には負の電流が流
れ、w相には電流が流れない。
【0043】図4(b)〜(e)には、t1〜t2の期間に
おける三相交流電源1の出力電圧Eu〜Ew、サイリス
タ変換器4の直流出力電圧Vcon1 、平滑コンデンサ5の
両端の電圧Vdc1、総合インダクタンスL(変圧器2の漏
れインダクタンス+系統インダクタンス)に加わる電圧
VLu、及び総合インダクタンスLを流れる電流Icon1
(サイリスタ変換器4の出力電流)の波形を示す。図4
(c)に示されるように、直流出力電圧Vcon1は、平滑コ
ンデンサ5の両端の電圧Vdc1 に、単相交流電源7の出
力電圧Viを重畳させた波形となる。このVcon1 とEuv
の差がu相とv相の総合インダクタンスLに加わる電圧
VLuとなる(図4(d))。この総合インダクタンスLに
加わる電圧VLuにより、サイリスタ変換器4の出力電
流Icon1(=Iu1)が流れる。この時、図4(e)に示すよ
うに、出力電流Icon1のピークtoピークの値が、ちょ
うどIcon1 の平均値(=IL1,C1が十分大であると
する)の2倍に一致するように波高値Vsを決定すれば
よい。
【0044】総合インダクタンスLにおける電圧方程式
は、
【0045】
【数4】
【0046】L:交流側の総合インダクタンス(一相
分) となるので、Icon1は、
【0047】
【数5】
【0048】となる。数5において、t=0からt=1
/(12f0)の期間で、Icon1 が0から2ILまで変
化する時に、図3(e)に示した電流波形が得られるの
で、この値を数5に代入する。f0は電源周波数であ
る。
【0049】
【数6】
【0050】数6の右辺を計算すると、数7が得られ
る。
【0051】
【数7】
【0052】更に、数7をVsについて解くと、数8が
得られる。
【0053】
【数8】 ∴Vs=48f0・IL・L …(数8) 数8に基づいて、Vsを演算し(ILは定格値に設
定)、単相交流電源7の波高値として設定することによ
り、図3(d)に示されるような、高調波成分の少ない電
源電流Iuが得られる。負荷電流が変化する場合には、
負荷電流に比例してILの設定値を変更してVsの値を
演算し、単相交流電源7に設定すれば、どのような負荷
状態であっても、常に最適な入力電流波形を得ることが
できる。
【0054】以上説明したように、本実施例によれば、
サイリスタ変換器の入力電流に発生する高調波成分が低
減される。特に{12n±1次、n=1,2,3,…}
で表される高調波成分の低減に効果がある。また本実施
例のように、単相交流電源7の一端をサイリスタ変換器
4及び4′を接続する配線に接続し、他端を平滑コンデ
ンサ5及び5′を接続する配線に接続することにより、
一つの単相交流電源でサイリスタ変換器4及び4′の出
力電圧に逆位相の電圧を加えることが可能である。更に
本実施例では、単相交流電源7の出力電圧を方形波とす
ることにより、電源高調波低減の高効率化を図ってい
る。
【0055】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換
装置を図5を用いて以下に説明する。本実施例は、実質
的に、図1の実施例における単相交流電源7として、P
WM制御されるインバータで構成される単相交流電源7
Aを用いたサイリスタ変換装置である。本実施例の構成
について、主に図1の実施例の構成と異なる箇所につい
て説明する。
【0056】インバータを用いた単相交流電源7Aは、
インバータ主回路71,直流回路電源72,補償電圧制
御器73、および変調率指令演算器74を有する。イン
バータ主回路71は、4つのスイッチング素子(GT
O)s1〜s4とフリーホイール・ダイオードで構成さ
れ、かつ入力となる直流電圧から交流電圧を出力する。
直流回路電源72は、インバータ主回路71に直流電圧
を供給する。補償電圧制御器73は、インバータ主回路
71の出力電圧がサイリスタ変換器入力電圧周波数の6
倍周波数の方形波となるように、三相交流電源1の電圧
位相θ,点弧位相α(制御遅れ角)、及び変調率指令M
に基づいて、インバータ主回路71のスイッチング素子
のゲート信号を制御する。変調率指令演算器74は、サ
イリスタ変換器の出力電流IL(出力電流検出器10で
検出)に基づいて変調率指令Mを演算し、演算結果を補
償電圧制御器73に入力する。電源位相検出器8は、三
相交流電源1の出力電圧を読み込んで電源電圧の位相角
の瞬時値であるθを検出し、検出した電圧位相θをサイ
リスタ制御器9および補償電圧制御器73に入力する。
サイリスタ制御器9は、入力された点弧位相αの設定値
に基づいて得た点弧信号を各サイリスタのゲートへ与え
る。
【0057】次に、変調率指令演算器74について説明
する。変調率指令演算器74では、電流検出器10によ
り検出されたサイリスタ変換器4の出力電流の検出値に
基づいて、数8に従い波高値指令Vsを演算する。直流
回路電源72の電圧をVs0とすると、変調率指令Mは、
【0058】
【数9】
【0059】として演算される。ここでVs0は、最大負
荷時の所要の値に予め設定しておけばよい。変調率指令
演算器74は演算した変調率指令Mを補償電圧制御器7
3に入力する。
【0060】続いて、補償電圧制御器73の構成を図6
を用いて説明する。SIN演算器731は、電源位相θ
と点弧位相αに基づいて正弦波信号A(sin6(θ−
α))を演算し、出力する。比較器732は、入力端子
の「+」に入力されたSIN演算器731の出力信号A
と入力端子の「−」に入力された0とを比較し、信号A
の方が大きい場合に「1」、逆に「−」の入力値の方が
大きい場合に「0」を出力する。比較器732からは上
記比較により方形波Bが出力される。減算器737は、比
較器732が出力した数値(波形で見ると方形波)から
1/2を減算する。乗算器738は、減算器737の出
力に2を乗算し、乗算器736は、乗算器738の出力
Cと変調率Mとを乗算する。減算器737,乗算器73
8、および乗算器736により振幅が変調率指令Mの値
である方形波Dが生成される。三角波発生器735は、
PWM制御を行うために用いられる三角波キャリアEを
発生する。比較器732aは、方形波Dと三角波キャリ
アEとを比較してPWMパルスFを生成する。比較器7
32bは、方形波Dに−1を乗算した値と三角波キャリ
アEとを比較してPWMパルスGを生成する。符号反転
器(インバータ・ロジック)733aは、比較器732
aの出力であるPWMパルスFの符号を反転させ、符号
反転器733bは、比較器732bの出力であるPWM
パルスGの符号を反転させる。ゲートドライバ734
は、PWMパルスF,PWMパルスG,符号反転器73
3aの出力、及び符号反転器733bの出力に基づいて
インバータ主回路71の各スイッチング素子を駆動す
る。
【0061】次に、図7を用いて、補償電圧制御器73
の動作について説明する。
【0062】SIN演算器731において、θとαに基
づいて演算される正弦波信号Aとu相電源電圧Euの関
係は、図7(a),(b)のようになる。正弦波信号Aは、
比較器732において0と比較されることにより正負が
判別され、信号Aが正の場合は1、負の場合は0が比較
器732から出力される。その結果、比較器732から
は図7(c)に示すような方形波Bが出力される。この方
形波Bは、減算器737,乗算器738において最大値と
最小値が±1となる方形波Cに変換され、さらに乗算器
736においてM倍される。乗算器738の出力である
方形波Cを図7(d)に、乗算器736の出力である方形
波Dを図7(e)に示す。この方形波Dおよび方形波Dの
符号を反転させて得られた信号は、比較器732aおよ
び732bにおいて三角波発生器735の出力である三
角波キャリアEと比較される。三角波キャリアEを方形
波Dと共に図7(e)に示す。比較器732aおよび73
2bにおいて、上記比較によりPWMパルスFおよびG
が作成される(図7(f),(g))。PWMパルスFはs
1のゲート信号、パルスFを反転させた信号はs2のゲ
ート信号、PWMパルスGはs3のゲート信号、パルス
Gを反転させた信号はs4のゲート信号として、それぞ
れゲートドライバへ送られる。このゲート信号に基づい
て、インバータ主回路71のスイッチング素子は駆動さ
れ(1の時オン,0の時にはオフ)、結果として、イン
バータ主回路71からは図7(h)のようなViが出力さ
れる。Viは、PWM制御によりその平均値を変化でき
るようになる。なお、単純な方形波に比べ、Viには三
角波キャリアの2倍の周波数成分が含まれることになる
が、三角波キャリアの周波数を高くすれば、この影響は
無視できるようになる。
【0063】以上説明した本実施例のサイリスタ変換装
置によれば、図1の実施例と同様にサイリスタ変換器の
入力電流に発生する高調波成分が低減され、特に{12
n±1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分
の低減に効果がある。また、単相交流電源の出力電圧位
相をサイリスタ変換器の点弧位相と同期させることによ
り高調波低減の高効率化を図ると共に、インバータ主回
路71をPWM制御することによって単相交流電源7A
の出力電圧が連続的に可変とすることにより、負荷電流
に応じた補償電圧の供給を実現する。
【0064】また、PWM制御を行わなくとも、直流回
路電源72を可変直流電源とし、変調率指令Mに応じて
Vs0の値を変化させることにより、PWM制御を行う場
合と同様にViを制御することができる。この場合、直
流回路電源72は定電圧電源と降圧チョッパ回路を組み
合わせたもの等を使用すればよい。
【0065】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換
装置を図8を用いて以下に説明する。本実施例は、サイ
リスタ変換器4′の直流出力電圧から自身の直流入力電
圧を得るインバータで構成される単相交流電源7Bを用
いたサイリスタ変換装置である。本実施例の構成につい
て、主に前述の実施例の構成と異なる箇所について説明
する。
【0066】図8(a)において、単相交流電源7Bは、
入力電圧としてサイリスタ変換器4′の出力電圧を用い
たインバータ主回路71を備えており、図1の単相交流
電源7に相当する。単相交流電源7Bは、インバータ主
回路71、インバータ主回路71にゲート信号を入力す
る補償電圧制御器73′、及びインバータ主回路71の
出力に接続され、かつインバータ主回路71の出力電圧
v1をVi=v1・N2/N1に変圧する変圧器75を
有する。ここで、インバータ主回路71の出力電圧v1
の波高値はVdc2となるので、この値を変圧器75で変圧
した際に、数8で求めたVsになるように、巻数比N
1:N2を設定する。
【0067】次に、図8(b)を用いて、補償電圧制御器
73′の構成について説明する。SIN演算器731,
比較器732,符号反転器733は、図6の同一符号の
ものと同じであるため説明を省略する。比較器732か
ら出力された方形波B、および符号反転器733により
方形波Bの符号を反転して得られた信号はそれぞれゲー
トドライバ734にゲート信号として入力される。ゲー
トドライバ734はゲート信号に基づいてインバータ主
回路71の各スイッチング素子をオン,オフ制御する。
各スイッチング素子を制御することにより、インバータ
主回路71は波高値がVdc2である電圧v1を出力する。
【0068】本実施例におけるサイリスタ変換装置で
は、図1の実施例と同様に、サイリスタ変換器の入力電
流に発生する高調波成分が低減され、特に{12n±1
次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分の低減
に効果がある。また、インバータ主回路71の直流回路
電源をサイリスタ変換装置の直流出力電圧部と共有して
いるため、変圧器を1個付加するだけで、インバータ直
流回路電源を別途設ける必要がなくなると共に、インバ
ータ直流回路電源のための整流器,平滑コンデンサ、お
よび電源変圧器等も不要となるため、サイリスタ変換装
置を大幅に小型化することができる。さらに、変圧器に
より高圧の整流回路と低圧のインバータ部を絶縁するこ
ともできる。
【0069】尚、本実施例では、インバータ主回路71
の電源としてVdc2を用いているが、Vdc1を用いても、Vd
c1+Vdc2を用いても問題はない。更に図5のように、P
WM変調を行って出力電圧を制御することも可能であ
る。
【0070】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換
装置を図9に示す。本実施例の構成について、主に前述
の実施例の構成と異なる箇所について説明する。
【0071】図9において、78は2次側に中間タップ
を設けた巻数比N1:N2=1:2の変圧器であり、図
に示されるように、1次側巻線は単相交流電源7に接続
されており、2次側巻線は一端がサイリスタ変換器4
に、他端がサイリスタ変換器4′に接続されている。こ
の2次側の中間タップは、平滑コンデンサ5および5′
を接続する配線に接続される。また、変圧器78の2次
側巻線N2の極性は、サイリスタ変換器4および4′の
直流出力に対して逆極性となるように接続されている。
この変圧器78において巻線比が1:2に設定されてい
るのは、単相交流電源7の出力電圧が、ちょうど半分ず
つサイリスタ変換器4及び4′の出力に作用するためで
ある。
【0072】本実施例においても、単相交流電源7およ
び変圧器78を用いることにより、サイリスタ変換器4
および4′の出力電圧に逆位相の単相交流電圧を加える
ことができるため、サイリスタ変換器4および4′の直
流出力電流を、図1の実施例と同様に変化させることが
でき、サイリスタ変換器の入力電流に発生する高調波成
分を低減できるという効果も同様に得られる。
【0073】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換
装置を図10を用いて以下に説明する。本実施例は、並
列に接続された2台のサイリスタ変換器の出力端に単相
交流電源7を変圧器76を介して接続したサイリスタ変
換装置である。本実施例の構成について、主に前述の実
施例の構成と異なる箇所について説明する。
【0074】図10において、サイリスタ変換器4およ
び4′は出力端が並列接続され、平滑コンデンサ5はサ
イリスタ変換器4および4′の出力端に共通に接続され
ている。変圧器76の巻線比はN1:N2:N3=1:
N:Nであり、二次側巻線N2はサイリスタ変換器4
3′の出力端に直列に接続され、また二次側巻線N3
は、サイリスタ変換器4の出力端に直列に接続される。
一方の一次側巻線N1は、単相交流電源7に接続され
る。尚、二次側巻線N2,N3の極性は、各サイリスタ
変換器4および4′の直流出力に対して、逆極性となる
ように接続されている。
【0075】図10に示すサイリスタ変換装置の動作を
簡単に説明する。単相交流電源7は、図1の実施例と同
様に、波高値をVsとし、電源電圧の6倍周波数である
方形波Viを出力する。変圧器76の巻数比Nは、単相
交流電源7の定格出力電圧に応じて適値に設定される
が、ここでは説明を簡単にするために、N=1に仮定す
る。この場合、変圧器の二次N2およびN3には、Vi
がそのまま出力される。サイリスタ変換器の出力Vcon
1,Vcon2と、Vdcの関係は、
【0076】
【数10】 Vcon1=Vdc+Vi Vcon2=Vdc−Vi …(数10) となり、原理的に図1の実施例と同じ条件になる。すな
わち、入力電流や直流電流波形は、図3と等しくなり、
図1の実施例と同様にサイリスタ変換器の入力電流に発
生する高調波成分低減の効果が得られる。ただし、この
整流回路においては、平滑コンデンサ5に流れ込む電流
Iconが、
【0077】
【数11】 Icon=Icon1+Icon2 …(数11) の関係になる。図3(e),(f)の波形からわかるよう
に、Icon1とIcon2には逆位相の電流リプルが含まれてい
るため、両者を足し合わせると、電流脈動はほとんど零
になる。この結果、平滑コンデンサ5および5′の容量
を大幅に低減することが可能になり、平滑コンデンサな
し、あるいは小容量のコンデンサを1個用いるだけで、
脈動の少ない直流電圧を出力できる。
【0078】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換
装置を図11に示す。本実施例の構成について、主に図
10の実施例の構成と異なる箇所について説明する。
【0079】図11において、変圧器77および77′
は、1次側巻線が単相交流電源7に、変圧器77の2次
側巻線がサイリスタ変換器4の出力端に、変圧器77′
の2次側巻線がサイリスタ変換器4′の出力端にそれぞ
れ接続されている。この変圧器77および77′の巻数
比はN1:N2=1:2であり、この巻数比は、単相交
流電源7の出力電圧が変圧器77および77′の1次側
で分圧されて半分になってしまうために1:2に設定さ
れている。また、この変圧器77および77′でも二次
側巻線N2の極性は、各サイリスタ変換器4および4′
の直流出力に対して、逆極性となるように接続されてい
る。
【0080】このサイリスタ変換装置においても、図1
0の実施例と同様に、2つのサイリスタ変換器の出力端
を並列に接続しており、原理的にも図10のものと全く
同じ動作をする。各変圧器の一次側巻線は図示のように
直列に接続しても、あるいは並列に接続するようにして
も動作は同じである。この実施例でも、図10の実施例
と同様の効果が得られる。
【0081】また、図9,図10、ならびに図11の実
施例において、単相交流電源7として図5の7A、ある
いは図8の7Bを用いることにより、前述の図5及び図
8の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0082】以上、これまで説明した本発明によるサイ
リスタ変換装置においては、すべて変圧器2および3を
用いて2つのサイリスタ変換器に、30°の位相差をも
つ電圧を供給しているが、これらの変圧器を一つにし
て、一次側(電源側)をΔ巻線(またはY巻線)、二次
側をΔとYの2つの巻線として使用しても問題はない。
また、変圧器は、電源電圧の位相を30°ずらすことが
目的であるから、一方のサイリスタ変換器にのみΔ−Y
結線の変圧器を使用し、もう一方の整流器には、変圧器
の代りに、変圧器の漏れインダクタンス相当のACリア
クトルを挿入することでも同様の効果が得られる。
【0083】更に、各実施例では、単相交流電源として
電圧源を用いて説明したが、単相交流電源として電流源
を用いても同様の効果が得られる。その場合、電流源か
ら出力される電流の波形は三角波とするのが望ましい。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明によれ
ば、サイリスタ変換器の入力電流に発生する{12n±
1次、n=1,2,3,…}で表される高調波成分(電
源高調波)が低減される。よって{12n±1次、n=
1,2,3,…}で表される高調波成分を低減するため
のフィルタが不要となり、サイリスタ変換装置の構成が
コンパクトになる。
【0085】第2の発明によれば、サイリスタ変換器の
入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,3,
…}で表される高調波成分、及び{6m±1次、m=
1,3,5,…}で表される高調波成分を低減できる。
【0086】第3の発明によれば、単相交流電源の構成
が簡単になり、単相交流電源がコンパクトになる。
【0087】第4の発明によれば、単相交流電源の数を
減らすことができる。
【0088】第5の発明によれば、サイリスタ変換器の
入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,3,
…}で表される高調波成分、及び{6m±1次、m=
1,3,5,…}で表される高調波成分が低減され、か
つ出力電流の電流脈動を低減することができる。
【0089】第6の発明によれば、単相交流電源の数を
減らすことができる。
【0090】第7の発明によれば、サイリスタ変換器の
出力電流の脈動を平滑するためのコンデンサの容量を低
減することができる。
【0091】第8の発明によれば、サイリスタ変換器の
入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,3,
…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0092】第9の発明によれば、サイリスタ変換器の
入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,3,
…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0093】第10の発明によれば、サイリスタ変換器
の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0094】第11の発明によれば、サイリスタ変換器
の入力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,
3,…}で表される高調波成分をより低減できる。
【0095】第12の発明によれば、サイリスタ変換器
の出力電流が変化した場合にも、サイリスタ変換器の入
力電流に発生する{12n±1次、n=1,2,3,
…}で表される高調波成分を低減できる。
【0096】第13の発明によれば、サイリスタ変換器
の出力電流が変化した場合にも、簡単な構成で、サイリ
スタ変換器の入力電流に発生する{12n±1次、n=
1,2,3,…}で表される高調波成分を低減できる。
【0097】第14の発明によれば、サイリスタ変換装
置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例であるサイリスタ変換
装置の構成図である。
【図2】サイリスタ変換装置の基本動作波形である。
【図3】図1に示すサイリスタ変換装置における入力電
流波形,出力電流波形、及び補償電圧波形である。
【図4】図1の実施例の動作を示す図であり、(a)は図
1の構成のうちサイリスタ変換器4における各電流,電
圧を示す図、(b)〜(e)は各電流,電圧の波形図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換装置
の構成図である。
【図6】図5に示す補償電圧制御器73の構成図であ
る。
【図7】図5の補償電圧制御器73の動作を示す波形で
ある。
【図8】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換装置
の構成図である。
【図9】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換装置
の構成図である。
【図10】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換装
置の構成図である。
【図11】本発明の他の実施例であるサイリスタ変換装
置の構成図である。
【図12】従来のサイリスタ変換装置の構成図である。
【図13】従来のサイリスタ変換装置における入力電流
波形,出力電流波形、及び補償電圧波形である。
【符号の説明】
1…三相交流電源、2…Δ−Δ結線変圧器、3…Δ−Y
結線変圧器、4,4′…サイリスタ変換器、5,5′…
平滑コンデンサ、6…負荷装置、7…単相交流電源。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三相交流電源から交流電力を入力し、直流
    電力を出力するサイリスタ変換器と、周波数が前記三相
    交流電源の周波数の6倍である交流電圧および交流電流
    のいずれか一方を前記サイリスタ変換器の出力端に加え
    る単相交流電源を備えたことを特徴とするサイリスタ変
    換装置。
  2. 【請求項2】三相交流電源から交流電圧を入力し、直流
    電圧を出力する第1サイリスタ変換器と、出力端が前記
    第1サイリスタ変換器の出力端と直列に接続され、かつ
    前記三相交流電源から前記交流電圧とは位相が30度ず
    れた交流電圧を入力し、直流電圧を出力する第2サイリ
    スタ変換器と、周波数が前記三相交流電源の周波数の6
    倍である交流電圧および交流電流のいずれか一方を、前
    記第1サイリスタ変換器の出力端および前記第2サイリ
    スタ変換器の出力端に加える単相交流電源を備えたこと
    を特徴とするサイリスタ変換装置。
  3. 【請求項3】前記単相交流電源は、前記第1サイリスタ
    変換器と前記第2サイリスタ変換器の直列接続点、およ
    び前記サイリスタ変換装置の中間電圧点に接続すること
    を特徴とする請求項2記載のサイリスタ変換装置。
  4. 【請求項4】1次側の巻線が前記単相交流電源に接続さ
    れ、2次側の第1巻線が前記第1サイリスタ変換器の出
    力端に接続され、2次側の第2巻線が前記第2サイリス
    タ変換器の出力端に接続された変圧器を備えたことを特
    徴とする請求項2記載のサイリスタ変換装置。
  5. 【請求項5】三相交流電源から交流電圧を入力し、直流
    電圧を出力する第1サイリスタ変換器と、出力端が前記
    第1サイリスタ変換器の出力端と並列に接続され、かつ
    前記三相交流電源から前記交流電圧とは位相が30度ず
    れた交流電圧を入力し、直流電圧を出力する第2サイリ
    スタ変換器と、周波数が前記三相交流電源の周波数の6
    倍である交流電圧および交流電流のいずれか一方を、前
    記第1サイリスタ変換器の出力端および前記第2サイリ
    スタ変換器の出力端に加える単相交流電源を備えたこと
    を特徴とするサイリスタ変換装置。
  6. 【請求項6】1次側の巻線が前記単相交流電源に接続さ
    れ、2次側の第1巻線が前記第1サイリスタ変換器の出
    力端に接続され、2次側の第2巻線が前記第2サイリス
    タ変換器の出力端に接続された変圧器を備えたことを特
    徴とする請求項5記載のサイリスタ変換装置。
  7. 【請求項7】前記サイリスタ変換器の出力端にコンデン
    サを接続したことを特徴とする請求項5および6のいず
    れかに記載のサイリスタ変換装置。
  8. 【請求項8】前記単相交流電源は、前記第2サイリスタ
    変換器の出力端に加える交流電圧あるいは交流電流とし
    て、前記第1サイリスタ変換器の出力端に加える交流電
    圧あるいは交流電流とは逆位相の交流電圧あるいは交流
    電流を出力することを特徴とする請求項2乃至7のいず
    れかに記載のサイリスタ変換装置。
  9. 【請求項9】前記単相交流電源は、前記サイリスタ変換
    器の出力端に加える交流電圧として、方形波の波形を有
    する電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至8の
    いずれかに記載のサイリスタ変換装置。
  10. 【請求項10】前記単相交流電源は、前記サイリスタ変
    換器の出力端に加える交流電流として、三角波の波形を
    有する電流を出力することを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれかに記載のサイリスタ変換装置。
  11. 【請求項11】前記単相交流電源は、前記サイリスタ変
    換器の出力端に加える交流電圧あるいは交流電流とし
    て、前記サイリスタ変換器の点弧位相に同期した電圧あ
    るいは電流を出力することを特徴とする請求項1乃至1
    0のいずれかに記載のサイリスタ変換装置。
  12. 【請求項12】前記単相交流電源は、前記サイリスタ変
    換器の出力端に加える交流電圧あるいは交流電流の振幅
    を、電流検出器によって検出された前記サイリスタ変換
    器の出力電流の検出値に基づいて変化させることを特徴
    とする請求項1乃至11のいずれかに記載のサイリスタ
    変換装置。
  13. 【請求項13】前記単相交流電源は、電流検出器によっ
    て検出された前記サイリスタ変換器の出力電流の検出値
    に基づいてPWM制御されるインバータであることを特
    徴とする請求項12記載のサイリスタ変換装置。
  14. 【請求項14】前記インバータは、入力電力を前記サイ
    リスタ変換器の出力電力から得ることを特徴とする請求
    項13記載のサイリスタ変換装置。
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