JPH10291120A - 電線矯正機構を備えた電線切断装置と電線矯正方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】電線の曲りを矯正する電線矯正機能を備えた電
線切断装置を提供すること。 【解決手段】電線を把持固定するＶ型クランプと，前記
Ｖ型クランプで把持された電線を位置決めするＶ型チャ
ックと，前記Ｖ型チャックを前記電線の芯に対し水平方
向に移動させるシリンダを備えた電線センタリング機構
部と、前記電線を上から押し付ける上プレートと，前記
電線を下から押し付ける下プレートと，前記下プレート
を左右に移動させるシリンダと，それらを固定するベー
スを備えた電線曲がり矯正機構部と、前記電線を切断す
る電線切断用刃と，前記刃が上下にスライドさせるシリ
ンダを備えた切断機構部と、前記電線の曲がり具合を判
断するセンサ部とから構成されているので、曲った電線
でもその曲がりを矯正してから切断するので、電線を適
性位置で切断することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電線の矯正機能を備
えた電線切断装置と電線矯正方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の電線切断装置は、図５に示すよう
に上下に配置されたＶ型クランプ１，１とこのＶ型クラ
ンプを開閉させるためにそれぞれのＶ型クランプに取り
付けられた開閉用シリンダ２，２とからなる電線把持部
と、上下に配置された電線切断用刃１４，１４とそれぞ
れの電線切断用刃を上下移動する上下移動用シリンダ１
６，１５とからなる電線切断部を主たる構成要素として
いる。

【０００３】上記した従来の電線切断装置で電線１８を
切断する時は、まず、Ｖ型クランプ１，１のＶガイドに
より電線１８を把持して電線を固定した後、上下移動用
シリンダ１５，１６により電線切断用刃１４，１４を上
下動させて電線１８を切断していた。したがって、電線
把持部と電線切断部の間隔が長いと、撓んだ電線１８ａ
は切断位置が電線切断用刃１４から外れる場合が生じ、
切断できないことがあった。このような状態を回避する
ため電線の曲がりを矯正した後、電線切断装置に挿入
し、切断することが行われていた。

【０００４】図６は従来の電線矯正装置の概略図を示す
もので、千鳥状に配置された複数のローラ２４の間を撓
んだ電線１８ａを通すことで撓みを矯正するものであ
る。撓んだ電線１８ａはこの電線矯正装置により矯正さ
れた後、切断されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の電線矯正方法で電線が矯正されるのは、ローラ
の回転軸と垂直方向のみであるため、一般的に撓んだ電
線を１直線状に矯正するのは難しく、また、電線の直径
や堅さ等の条件が変化した場合、反って余分な曲がりを
電線に与えるという問題があった。

【０００６】本発明（請求項１対応）は、上記の如き問
題を解消するためになされたもので、その目的は電線の
曲りを矯正する電線矯正機能を備えた電線切断装置を提
供することにある。また本発明（請求項２乃至請求項６
対応）の他の目的は、電線の曲りを容易に矯正する電線
矯正方法を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１の電線矯正機構を備えた電線切断
装置は、電線を把持固定するＶ型クランプと，前記Ｖ型
クランプを開閉させるシリンダと，前記Ｖ型クランプで
把持された電線を位置決めするＶ型チャックと，前記Ｖ
型チャックを開閉させるシリンダと，前記Ｖ型チャック
を前記電線の芯に対し水平方向に移動させるシリンダを
備えた電線センタリング機構部と、前記電線を上から押
し付ける上プレートと，前記上プレートを上下に移動さ
せるシリンダと，前記上プレートを左右に移動させるシ
リンダと，前記電線を下から押し付ける下プレートと，
前記下プレートを上下に移動させるシリンダと，前記下
プレートを左右に移動させるシリンダと，それらを固定
するベースを備えた電線曲がり矯正機構部と、前記電線
を切断する電線切断用刃と，前記刃が上下にスライドさ
せるシリンダを備えた切断機構部と、前記電線の曲がり
具合を判断するセンサ部とから構成されたことを特徴と
する。

【０００８】本発明の請求項２の電線矯正方法は、電線
をＶ型クランプにより把持固定した後、前記Ｖ型クラン
プで固定された部分の近くをＶ型チャックにより電線を
把持し、前記Ｖ型チャックをスライドさせることによ
り、撓みまたは曲がった電線を伸ばした後前記電線を所
定位置にセンタリングすることを特徴とする。

【０００９】本発明の請求項３の電線矯正方法は、電線
を２枚のプレートで挟み込み、前記プレートで垂直方向
の電線の曲がりを取り除いた後、前記プレートをスライ
ドさせ、前記電線心線の巻き方向にひねりを加えて前記
電線の全周にわたり前記電線の曲がりを取り除くことを
特徴とする。

【００１０】本発明の請求項４は、請求項３記載の電線
矯正方法において、電線を挟み込むプレート部材が、ス
テンレス鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、鉄の金属群
から選択されることを特徴とする。

【００１１】本発明の請求項５は、請求項３または請求
項４記載の電線矯正方法において、電線を挟み込むプレ
ートの表面に、ゴム、シリコーン、合成樹脂からそれぞ
れ選択される材料により皮膜を構成することを特徴とす
る。

【００１２】本発明の請求項６は、請求項３乃至請求項
５記載の電線矯正方法において、電線を挟み込むプレー
トの当該電線への押し付け圧力を変化させ、異なる電線
径の電線の曲がりを取り除くことを特徴とする。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。図１は本発明の一実施例（請求項１
対応）である電線矯正機構を備えた電線切断装置の構成
図であり、図２はその側面図である。

【００１４】図に示すように、本実施例の電線切断装置
は、電線を把持固定するＶ型クランプ１と，Ｖ型クラン
プ１を開閉させるシリンダ２と，Ｖ型クランプ１で把持
した電線を位置決めのために把持するＶ型チャック３
と，Ｖ型チャック３を開閉させるシリンダ４と，Ｖ型チ
ャック３を前後方向（電線の芯に対し水平方向）に移動
させるシリンダ５を具えた電線センタリング機構部と、
電線を上から押し付ける上プレート６と，上プレート６
を上下に移動させるシリンダ７と，上プレート６を左右
に移動させるシリンダ８と，電線を下から押し付ける下
プレート１０と，下プレート１０を上下に移動させるシ
リンダ１１と，下プレート１０を左右に移動させるシリ
ンダ１２と，それらを固定するベース１３を具えた電線
曲り矯正機構部と、電線を切断する電線切断用刃１４
と，切断用刃１４が上下にスライドするためのシリンダ
１５，１６を備えた電線切断機構部、電線の曲がり具合
を判断するセンサー部２１と、前記シリンダ１２を動作
させるバルブ２３と、供給空気圧を変化させる圧力調整
弁２２と、上記各ユニットを制御するコントローラ１９
とから構成されている。なお、９はＶ型チャック前後用
シリンダ５と上プレート左右移動用シリンダ８を接続す
る接続プレート、１７は下プレート上下移動用シリンダ
１１と下プレート左右移動用シリンダ１２を接続する接
続プレート、１８は作業対象物である電線、２０は下プ
レート１０と下プレート左右移動用シリンダ１２を接続
する接続プレートである。

【００１５】次に、まず、本実施例の電線矯正機構を備
えた電線切断装置による電線をセンタリングする方法
（請求項２及び請求項６対応）を図２を参照して説明す
る。図において、撓んだ電線１８ａをＶ型クランプ１に
より把持固定した後、Ｖ型チャック３を前進させ、Ｖ型
クランプ１で固定された部分の近くをＶ型チャック３に
より電線１８ａを把持し、Ｖ型チャック３を後退させる
ことにより撓んだ電線１８ａを伸ばし、所定位置にセン
タリングする。

【００１６】次に、電線の曲がりを矯正する方法（請求
項３対応）を図３及び図４を参照して説明する。図３及
び図４（ａ）に示すように、センタリングされた電線１
８を上プレート６と下プレート１０で挟み込む。このと
き電線１８の種類や径のデータをコントローラ（ＰＬ
Ｃ）１９に入力することにより、プレートの挟み込み圧
力は圧力調整弁２２が最適な圧力に調整する。このとき
径の異なる電線等の場合、電線を挟み込むプレートの当
該電線への押し付け圧力を変化させて電線の曲がりを取
り除くと電線自体を傷付けなくて実施することができ
る。

【００１７】次に、図４（ｂ）及び（ｃ）に示すよう
に、上プレート６及び下プレート１０をスライドさせ、
電線心線の巻き方向にひねりを加えて電線１８の全周に
わたり、電線１８の曲がりを取り除く。このとき、上プ
レート６と下プレート１０のスライド量はシリンダ８，
１２により移動させる。

【００１８】さらに、刃１４を上下移動用シリンダ１
５，１６により移動させて電線１８を切断する。次に、
Ｖ型クランプ開閉用シリンダ２以外の各シリンダが初期
状態位置へ戻ると、電線の矯正・切断処理動作が終了す
る。

【００１９】このとき、電線がエリアセンサー２１の検
知範囲外にある場合、電線の矯正がまだ不十分であると
コントローラ１９が判断するので、電線の矯正・切断処
理動作はリトライされる。矯正が十分であると判断した
場合、Ｖ型クランプ１を開いて全ての処理動作が終了す
る。

【００２０】上記したように、曲がりのある電線でも本
実施例による電線矯正用プレートである上プレート６と
下プレート１０により挟み込まれ、電線矯正機構によっ
て１直線状に伸ばされてから切断可能位置に移動させ
後、電線は切断される。

【００２１】ところで、上記実施例の電線矯正方法（請
求項４対応）において、電線を挟み込むプレート部材と
しては、ステンレス鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、
鉄の金属群から選択されることが電線の機械的強度の面
から見て好ましい。

【００２２】また、上記実施例の電線矯正方法（請求項
５対応）において、電線を挟み込むプレートの表面に、
ゴム、シリコーン、合成樹脂からそれぞれ選択される材
料により皮膜を形成しておけば、電線の表面が保護され
る。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明（請求項１
対応）によると、曲った電線でもその曲がりを矯正して
から切断するので、電線を適性位置で切断することがで
きる。

【００２４】また、本発明（請求項２乃至請求項６対
応）によると、電線の直径、堅さ等の条件が変化しても
電線の曲がりを矯正できる、また曲った電線は真直ぐ矯
正されるため、後工程として電線の皮むきや端子圧着等
の作業が容易になる、という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の模式図。

【図２】図１の電線矯正機構を備えた電線切断装置の側
面図。

【図３】本実施例の電線の曲がり矯正を説明するための
図。

【図４】図３の動作手順を示す図。

【図５】従来の電線切断装置の概略図。

【図６】従来の電線矯正機構の模式図。

【符号の説明】

１…Ｖ型クランプ、２…Ｖ型クランプ開閉用シリンダ、
３…Ｖ型チャック、４…Ｖ型チャック開閉用シリンダ、
５…Ｖ型チャック前後用シリンダ、６…上プレート、７
…上プレート上下移動用シリンダ、８…上プレート左右
移動用シリンダ、９…接続用プレート、１０…下プレー
ト、１１…下プレート上下移動用シリンダ、１２…下プ
レート左右移動用シリンダ、１３…ベース、１４…電線
切断用刃、１５…刃上下移動用シリンダ（下刃用）、１
６…刃上下移動用シリンダ（上刃用）、１７…接続用プ
レート、１８…電線、１８ａ…撓んだ電線、１９…コン
トローラ、２０…接続用プレート、２１…センサー、２
２…圧力調整弁、２３…バルブ、２４…ローラ。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線を把持固定するＶ型クランプと，前
   記Ｖ型クランプを開閉させるシリンダと，前記Ｖ型クラ
   ンプで把持された電線を位置決めするＶ型チャックと，
   前記Ｖ型チャックを開閉させるシリンダと，前記Ｖ型チ
   ャックを前記電線の芯に対し水平方向に移動させるシリ
   ンダを備えた電線センタリング機構部と、前記電線を上
   から押し付ける上プレートと，前記上プレートを上下に
   移動させるシリンダと，前記上プレートを左右に移動さ
   せるシリンダと，前記電線を下から押し付ける下プレー
   トと，前記下プレートを上下に移動させるシリンダと，
   前記下プレートを左右に移動させるシリンダと，それら
   を固定するベースを備えた電線曲がり矯正機構部と、前
   記電線を切断する電線切断用刃と，前記刃が上下にスラ
   イドさせるシリンダを備えた切断機構部と、前記電線の
   曲がり具合を判断するセンサ部とから構成されたことを
   特徴とする電線矯正機構を備えた電線切断装置。
2. 【請求項２】 電線をＶ型クランプにより把持固定した
   後、前記Ｖ型クランプで固定された部分の近くをＶ型チ
   ャックにより電線を把持し、前記Ｖ型チャックをスライ
   ドさせることにより、撓みまたは曲がった電線を伸ばし
   た後前記電線を所定位置にセンタリングすることを特徴
   とする電線矯正方法。
3. 【請求項３】 電線を２枚のプレートで挟み込み、前記
   プレートで垂直方向の電線の曲がりを取り除いた後、前
   記プレートをスライドさせ、前記電線心線の巻き方向に
   ひねりを加えて前記電線の全周にわたり前記電線の曲が
   りを取り除くことを特徴とする電線矯正方法。
4. 【請求項４】 電線を挟み込むプレート部材が、ステン
   レス鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、鉄の金属群から
   選択されることを特徴とする請求項３記載の電線矯正方
   法。
5. 【請求項５】 電線を挟み込むプレートの表面に、ゴ
   ム、シリコーン、合成樹脂からそれぞれ選択される材料
   により皮膜を構成することを特徴とする請求項３または
   請求項４記載の電線矯正方法。
6. 【請求項６】 電線を挟み込むプレートの当該電線への
   押し付け圧力を変化させ、異なる電線径の電線の曲がり
   を取り除くことを特徴とする請求項３乃至請求項５記載
   の電線矯正方法。