JPH10291007A - 継目無し鋼管製造用プラグ - Google Patents

継目無し鋼管製造用プラグ

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JPH10291007A
JPH10291007A JP11520297A JP11520297A JPH10291007A JP H10291007 A JPH10291007 A JP H10291007A JP 11520297 A JP11520297 A JP 11520297A JP 11520297 A JP11520297 A JP 11520297A JP H10291007 A JPH10291007 A JP H10291007A
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JP
Japan
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plug
rear end
fitting portion
seamless steel
ceramic
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Pending
Application number
JP11520297A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
Katsura Matsubara
桂 松原
Takaaki Toyooka
高明 豊岡
Akira Yorifuji
章 依藤
Taro Kanayama
太郎 金山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高合金鋼などの難加工材ビレットを穿孔圧延
する場合でも内面に傷を発生させず、しかも破損を招く
ことなく高効率で製管できる長寿命のセラミック製プラ
グを得る。 【解決手段】 セラミックを素材として全体を一体形成
し、プラグ保持用バーへの取付け用の嵌合部8を後端面
7側に円柱状に凸設した。先端3を含め全体がセラミッ
クからなるため、製管される素管内面に傷を付けない。
嵌合部8が凸設されており、またロール圧を受ける部位
で引張り応力が問題とならないので破損を招かない。そ
してセラミック製であるから高合金鋼のビレットを穿孔
圧延する場合でも寿命が格段と長い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、継目無し鋼管製造
用プラグに関し、詳しくは、マンネスマン製管法によっ
て継目無し管(シームレス管)を製造する場合に用いら
れる継目無し鋼管製造用プラグ(以下、単にプラグとも
いう)に関する。
【0002】
【従来の技術】マンネスマン製管法においては、図8に
示したように、同方向、同速度で回転する2個のバレル
形(樽形)ロール101,101の間に、所定温度に加
熱された丸鋼片(以下、ビレットともいう)102を噛
み(挟み)こませて回転させながら送り出し、その丸鋼
片102の端面中心を、傾斜穿孔圧延機(ピアサーとも
称される)のマンドレル(棒体)103の先端(プラグ
保持用バー)に取り付けられた継目無し鋼管製造用プラ
グ200に押し付けることによって穿孔させ、中空の素
管(継目無し管)105を製造している。ここに各ロー
ル101は、同方向に同速度で回転しており、かつビレ
ット102のパスラインに対し所定角度傾斜しているの
で、ビレット102はロール101に噛み込まれると圧
縮されて楕円形状に変形しつつロール101との摩擦力
で反対方向に回転しながらパスライン方向(図8右)に
送り出され、その前方に配置されたプラグ200に押し
付けられて穿孔され、ロール101とプラグ200との
間で半回転ごとに圧延を受けて素管105となるのであ
る。
【0003】このようなプラグ200は、通常、低炭素
鋼の鋳鋼製で図9に示したように砲弾(弾丸)形状をし
ており、先端(小球面部)201から後方(図9右方)
に向けて、ワーク部(圧延部)といわれ所定の半径R1
で円弧状をなす円弧状部202(同図中L1の範囲)、
およびこれに続いて直径がテーパ状に漸増するリーリン
グ部と呼ばれる漸増部203(同図中L2の範囲)、そ
して、一般にはその後端に平行な円筒部(平行部)など
の後端逃し部204(同図中L3の範囲)を備えてい
る。しかして、後端面205に同軸状で凹設された嵌合
部(マンドレル装着孔)206に、マンドレル103の
先端が遊嵌されてビレット102の穿孔圧延に供される
が、その際、先端201でビレットを穿孔し、円弧状部
202で拡径し、漸増部203で肉厚を平均化し、後端
逃し部204で楕円形状の管を安定して回転させて真円
度を保持するように構成されている。なお、このような
プラグにおいては後端逃し部204がないものもある
し、その直径が後端に向かってテーパ状或いは円弧状に
漸減するように構成されたものもある。
【0004】ところで、このようなプラグは、穿孔圧延
工程で加熱されたビレットおよび素管との絶え間ない接
触によって高温にさらされているだけでなく、軸方向の
みならず半径方向にも極めて高い圧力(圧縮力)をうけ
ているなど、常時、高温、高圧の過酷な条件下におかれ
ている。このため、その表面は摩耗、溶損、焼付きなど
を起し易く、したがって、その対策としてプラグの材質
が鋼系金属のものでは、900〜1000℃の高温での
熱処理によるスケール付けを施し、表面に数十ないし数
百μmのスケール被膜を形成し、プラグの寿命の延長を
図ることが行われている。
【0005】とはいえ、プラグには上記のように極度の
高熱、高圧がかかることから、このような対策では必ず
しも十分ではなく、普通鋼のビレットを穿孔する場合で
も数十本程度以下で損耗が激しくなり寿命が尽きてしま
うことがある。しかも、近年は継目無し鋼管の使用環境
が益々過酷化しており、これに伴いその素材(ビレッ
ト)も高合金化が進んでいる。具体的には、Crを5%
以上含有するような高合金鋼などの難加工材の穿孔圧延
に使用する場合には、図10に示したプラグ200のよ
うにその先端201の近傍(図中2点鎖線部分)に損耗
や溶損を起し易いため、プラグの寿命は著しく短く、極
端な場合には1つのプラグで1本しか製管できないこと
があるなど継目無し鋼管の生産性を著しく阻害してい
る。
【0006】このような対策として、特開昭60−15
9156号公報や特開昭60−208458号公報で
は、3%Cr−1%Ni鋼をベースにMoやWを添加し
たプラグが提案されているが、これらのものでも、例え
ばオーステナイト系ステンレス鋼SUS304製の直径
110mm長さ2.5mのビレットを穿孔圧延するよう
な場合には1個のプラグで3本のビレットしか穿孔圧延
できないなど、鋼系材質間の変更だけによる対策では、
難加工材の穿孔圧延においては充分な寿命延長は実現で
きない。
【0007】また、特開昭63−203205号公報や
特公平5−85242号公報では、プラグ先端部にMo
基合金を接合することが提案されている。そして特開昭
62−244505号公報にはプラグ先端部に超硬部材
を接合し、プラグ母材表面へセラミックを溶射する技術
が提案されている。さらに特開昭62−238011号
公報にはセラミックの芯材に金属粉末層を熱間等方加圧
加工処理したプラグが提案されている。しかしながら、
これらはいずれも2種以上の複合材料からなり、部材間
の熱膨張係数、熱間強度などの物性値の差によって穿孔
中に結合が保たれなくなることがあるなどプラグ寿命が
不安定である。
【0008】一方、特開昭60−137511号公報記
載のプラグのようにその寿命向上のため、材質を従来の
鋼系金属に代えて先端近傍を耐熱性、耐摩耗性、摺動特
性に優れる窒化けい素等のセラミックとし、これを後方
の金属製本体(母材)に取り付けたものも提案されてい
る。すなわち、図9中2点鎖線で示したように、先端か
ら所定長さL4の領域にセラミック部材を取付けるよう
にしたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開昭60
−137511号公報記載のものは、先端部の耐摩耗
性、耐熱性等の確保は図られるものの、それより後方の
側面(円弧状部202の後方および漸増部203)では
従来と同様である。したがって難加工材の穿孔圧延にお
いては必ずしも満足できる寿命が得られない。さらに、
このような複合体構造は、セラミックと金属製本体との
接合界面の外周縁で熱膨張係数の相違に起因する段差が
必ずできてしまい、これがビレットの流れを阻害するば
かりか、素管内面に傷を付け、内面精度を低下させたり
品質不良を起こす原因ともなる。
【0010】このような問題に対しては、プラグ全体を
セラミック化することが考えられる。ところが図9に示
される従来のプラグ200をセラミック化した場合に
は、穿孔時におけるロール間圧力によって凹設された嵌
合部(凹部ともいう)206の内周面207に亀裂が入
り、破砕(破損)してしまうことから実用化できないも
のとされていた。この原因は次のようである。すなわ
ち、マンドレル側への取付け用(接合用)の嵌合部20
6はプラグ200をマンドレル103と隙間嵌めとして
素管105と一緒に軸線回りに回転するように構成され
ている。そして、その奥所底面208が軸線方向におい
て漸増部203の後端203bより先端側に存在するよ
うに、その深さL5が設定されている。
【0011】一方、穿孔過程ではプラグ200の側方の
漸増部203に対し、一対のロール101,101がそ
のテーパ面で素管105の肉を介して強く押し付けられ
ており、その圧縮力により凹部206の内周面207に
は周方向に引張り応力が作用する。このため、引張り強
度の低いセラミックプラグはこの応力によって凹部内周
面207に亀裂を発生させやすく、これが起点となって
破砕に至るのである。なお、プラグ200を隙間嵌めと
して素管105と一緒に回転させるのは穿孔圧延の円滑
化のためであるが、このように隙間嵌めとすることな
く、もし焼嵌めなどによりマンドレル側とタイトに嵌合
すればその応力で破損してしまう。
【0012】本発明は、このような問題点に鑑みて成さ
れたもので、その目的とするところは、ステンレス鋼な
どの難加工材のビレットを穿孔圧延する場合でも、素管
の内面に傷を発生させることなく、しかも格段の長寿命
化を図ることができるプラグを提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、セラミックを素材とした継目無し鋼管製
造用プラグであって、その軸線方向において最大径を有
する部分の前端より後方にプラグ保持用バーへの取付け
用の嵌合部をプラグ軸と同軸状に設けたこと、又は先端
側から後端に向かって外径がテーパ状で漸増する漸増部
を備え、後端面にプラグ保持用バーへの取付け用の嵌合
部をプラグ軸と同軸状に備えてなるセラミックを素材と
した継目無し鋼管製造用プラグであって、その嵌合部
を、軸線方向において前記漸増部の後端より後方に設け
たことにある。なお、本発明ではプラグの先端側を前方
とし、圧延機のプラグ保持用バーに取付けられる側を後
方として表す。
【0014】しかして、このように構成されたプラグを
その嵌合部を介して圧延機のマンドレルの先端側に取り
付け、従来と同様にビレットを穿孔圧延する場合には、
先端部のみをセラミックとしたもののように熱膨張係数
の差により外周面に段差ができることがない。したがっ
て、素管の内面に傷を付けることがない。
【0015】そしてこの穿孔時にはロールから素管の肉
を介してプラグの側面(外周面)に圧縮力がかかるが、
嵌合部が軸線方向において最大径部の前端又は漸増部の
後端より後方にあり、ロール圧力を受けない領域に存在
することから、嵌合部が凹部であってもその内周面に亀
裂を発生させることもない。このように耐熱性、耐摩耗
性の高いセラミックからなる本発明に係るプラグによれ
ば、高合金鋼などの難加工材を穿孔しても、内面に傷を
付けることもなく、しかも溶損などを起こすこともなく
一つのプラグで効率よく多数のビレットの穿孔圧延を行
うことができる。
【0016】上記各手段において嵌合部は、凸設されて
いるものがより好ましい。プラグ全体が中実状態となる
ので、圧縮応力のみを問題とすれば良く、セラミックの
強度上、安全だからである。具体的には、セラミックを
素材とした継目無し鋼管製造用プラグの後端面に、プラ
グ保持用バーへの取付け用の嵌合部をプラグ軸と同軸状
で凸設したものが好ましい。
【0017】そしてこの場合、嵌合部は、軸線に垂直な
断面で円形である円形断面部を有してなるものが成形も
容易であり製造上好ましい。具体的には、円柱形状若し
くは先細り円錐台形状(先細りテーパ状)のものがあげ
られる。なお、凸設された嵌合部には媒介部材を接着や
焼き嵌めなどにより嵌合固定し、この媒介部材とマンド
レルとの間で相対的に回転させるようにしてもよい。
【0018】なお、前記嵌合部が従来のように後端面に
凹設されているもののときは、その奥所底面が、軸線方
向において前記最大径部の前端よりも後方側に存在する
ものとすればよい。すなわち、最大径を有する部分より
後方にその最大径以下の直径をもつ後端逃し部を備え、
該後端逃し部の後端面に、プラグ保持用バーへの取付け
用の嵌合部をプラグ軸と同軸状で凹設してなるセラミッ
クを素材とした継目無し鋼管製造用プラグであって、そ
の嵌合部をその奥所底面が軸線方向において前記最大径
を有する部分の前端より後方となるように設けたもので
ある。
【0019】このように、嵌合部が従来のプラグのよう
にたとえ凹設されていても、その奥所の底面が最大径を
有する部分の前端より前方側に存在しない場合には、ロ
ール圧が嵌合部の内周面に引張り応力を発生させないの
で、それに起因する亀裂や破損を招かないからである。
なお、奥所底面は最大径を有する部分の前端より後方側
にあればよいが、なるべく後方側に、すなわち嵌合部
(凹部)を浅く設定するのが好ましい。なお、本発明に
おける嵌合部は、上記のように円柱状に凸設したものや
凹設したものに限定されるものではなく、プラグの後端
部において同心状の筒状部ないし環状部とすることも可
能である。
【0020】このように、本発明によれば、全体がセラ
ミックであるから素管の内面に傷を付けることがない
し、例え嵌合部を凹部としてもロール圧により破損を招
くこともなく、高合金材料など難加工材のビレットを穿
孔、圧延する際でもその長寿命化を図ることができる。
【0021】なおセラミックは、耐熱性、耐摩耗性、摺
動特性、さらには耐圧縮性に優れたものから適宜選択し
て用いればよい。特にSi3 4 を主成分とするものが
好ましい材質といえるが、本発明におけるセラミックは
これに限定されるものではなく、SiC系,Al2 3
系,ZrO2 系、SiO2 系などの各種のセラミック材
料から適宜のものを用いることができる。Si3 4
主成分とするセラミックを用いる場合には、機械的強度
と耐摩耗性のバランスを考慮して、Si3 4の結晶粒
が全体の60体積%以上含まれていることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に係るセラミック製のプラ
グを具体化した実施形態例について、図1および図2を
参照して詳細に説明する。図中1は、本例のプラグであ
り、プラグ本体2は窒化けい素(Si3 4 )を素材と
して砲弾形状に形成され、小球面をなす先端3から後方
(図1右方)に向けて、正面視、所定の半径R1で円弧
状をなす円弧状部4(同図中L1の範囲)を備えるとと
もに、これに続いて外周面がテーパ状に漸増する漸増部
5(同図中L2の範囲)を備え、そして、この漸増部5
の後端(最大外径部)5aから後方側にはその後端5a
と同外径D1で円柱状の後端逃し部6(同図中L3の範
囲)を軸線Jに平行に備えている。なお、漸増部5の母
線の軸線Jに対する角度θは、ロール101の出口面角
と略同じとされている。
【0023】そして、本例では本体2の後端面7の中央
に直径D2をなす円柱状(凸部)の嵌合部8が軸線Jと
同芯状で一体形成されており、本体2と共に表面が研磨
加工されている。なお嵌合部8は、図中2点鎖線で示し
たようにマンドレル103の先端の凹部103aに遊嵌
(緩み嵌め)されるようにその径D2が設定されてい
る。なお、後端面7における嵌合部8の根元には、所定
の半径(アール)で隅肉が付されている。
【0024】しかして、本例のプラグ1をマンドレル1
03の先端に取り付けてビレット102を穿孔圧延する
際には、従来と同様、ビレット102が一対の樽形ロー
ル101に噛み込まれて圧縮を受けながらロールの摩擦
力で回転すると共にパスライン方向(図1右)に前進
し、本例のプラグ1に押し付けられて穿孔され、ロール
101とプラグ1の側面(外周面)の間で半回転ごとに
圧延を受けて素管105となる。この際プラグ1は、素
管105と共に軸線J回りに回転すると共に、先端3か
ら漸増部5の後端5aまでの側面領域がビレット102
ないし素管105を介してロール101から圧力(圧縮
応力)Pをうける。
【0025】こうして形成される素管は、表面を含む全
体が摺動特性に優れたセラミックからなる本例のプラグ
1によって穿孔、圧延されることから、従来の複合構造
のプラグのように先端近傍の外周に段差が発生すること
もなく、したがって内面に傷を付けることがないので表
面粗さも向上し内面精度の高い素管となる。
【0026】そして、穿孔工程においてプラグ1の外周
面にはロール101からの圧力を受けるが、本例プラグ
1は全体が中実構造をなすから、圧縮応力のみを問題と
すればよい。すなわち、本例ではこのようなロール圧を
受けても、その受圧部位を含め全体が中実(充実)状態
にあるから、考慮すべき応力は圧縮応力だけでよい。し
たがって、耐圧縮性に優れる窒化けい素を素材とするセ
ラミック製の本例プラグ1は破損や溶損することなく、
しかも、耐熱性、耐摩耗性、耐溶損性に優れるから、S
US304のような高合金鋼製のビレットを穿孔する際
でもその長寿命化を図ることができる。なお、本例のよ
うに嵌合部8を円柱形状とする場合その径D2や長さ
は、マンドレルとの嵌合や回転さらには穿孔時の偏荷重
を考慮して穿孔圧延に支障のない範囲で適宜に設計すれ
ばよい。
【0027】次に図3に基づいて別の形態例について説
明するが、このプラグ1は嵌合部18を先細り円錐台形
状(テーパ状)とした点のみが前例と異なるだけであ
り、作用効果とも本質的相違は無いことから、同一部位
には同一の符号を付しその説明を省略する(以下の例で
も同様とする)。なお、このようにすれば横方向(軸線
Jと垂直方向)の荷重に対する嵌合部18自体の強度向
上が図られる。また図4に示したプラグ1のように、後
端面7の後方において同軸環状(筒状)をなす嵌合部2
8とすることも可能である。
【0028】すなわち、このような凸設構造の嵌合部
は、マンドレルなど穿孔機側への取り付けおよび穿孔に
支障のないようにプラグ軸と同軸状で凸設されていれば
よい。さらに、上記においては漸増部5の後端5aより
後方の後端逃し部6を平行に設けたもので具体化した
が、本発明においてはこれに代えて図5に示したプラグ
1のように漸増部5の後端5aより後方に向かって先
(後端)細状テーパで径が漸減する後端逃し部16とし
たものでも具体化できる。また、図示はしないがその径
が円弧状に漸減する後端逃し部としたものでも具体化で
きる。
【0029】また本発明に係るプラグは、図6に示した
プラグ61のように、上記各例における後端逃し部を有
することなく、本体62の漸増部65の後端面67に嵌
合部68を凸設したものとしても具体化できる。そして
この場合には、同図中2点鎖線で示したように、その嵌
合部68にさらに媒介部材69を接続し、これを介して
図示しないマンドレルに回転自在に取り付けるようにし
てもよい。後端逃し部は、穿孔や拡径には寄与せず素管
の真円度を保持するところであり、内面粗度に影響を及
ぼすこともないからである。ただし、このような媒介部
材69は穿孔圧延工程においてその外径が漸増部65の
後端面67の外径と同一かそれより小さくなるように設
定する。なお、このような本例のセラミック製のプラグ
61と媒介部材69との接続は遊嵌としてもよいし、焼
嵌めやロー付け或いは接着などにより固着してもよい。
【0030】さて、次に図7を参照しながら、嵌合部7
8を凹設したプラグ71について説明するが、このもの
も嵌合部78が凹設されている点を除き、図1に示した
プラグと共通するので、同一の部位には同一の符号を付
し、相違点のみ説明する。すなわち本例のプラグ71
は、漸増部5の後端5aより後方にそれと同径の後端逃
し部6を備えており、その後端面77の中央に嵌合部7
8として円柱状の空孔を同芯状に設け、しかも、その奥
所底面79が漸増部の後端5aより後方(図7右方)に
位置するように設けたものである。
【0031】このものでは嵌合部78を空孔としたもの
であるが、その奥所底面79が漸増部の後端5aより後
方の後端逃し部6の領域に存在するするため、ビレット
の穿孔圧延時にロール圧がかかっても、その力(面圧)
によって嵌合部(空孔)78の内周面には引張り応力は
作用せず、したがって破損することはない。つまり、穿
孔工程においてプラグ71の外周面にはロールからの圧
力を受けるが、ロールの圧力を受ける範囲は、プラグ7
1の先端3から漸増部5の後端5aまでであり、漸増部
5の後端5aより後方の後端逃し部6にはロール圧力が
かからないからである。
【0032】なお、嵌合部を凹設する場合には、後端逃
し部6を有するものにおいてのみ具体化できることにな
るが、その後端逃し部は後端側に向かって縮径する漸減
部としてもよい。また、嵌合部をなす空孔は円柱状とす
る必要はなく、例えば奥所が先細り状のテーパ孔(円錐
台形状の空孔)としてもよい。なお、奥所底面79は、
漸増部5の後端5aよりなるべく後方となるようにする
のが強度上好ましい。
【0033】本発明に係るプラグは、エロンゲーターミ
ル、リーラー、マンドレル、プラグミルなどの穿孔若し
くは圧延用のプラグ(芯金)として広く適用できる。ま
た、本発明に係るプラグはステンレス鋼や高合金鋼など
の難加工材を穿孔する場合にとくにその効果を発揮する
ものであるが、普通鋼や低合金鋼の穿孔に用いても有用
であることはいうまでもない。さらに、本発明に係るプ
ラグは、必ずしも全体をセラミックとせずに、摩耗や溶
損の起こり易い部分をセラミックとしたものであっても
よく、このような部分セラミック化することによりコス
トの低減を図れる。
【0034】
【実施例】さて次に図1に示した構造のプラグ(試料寸
法:最大直径45mm、先端3から後端逃し部の後端面
7までの全長が90mmのもの)でもって下記条件下、
モデルミルで穿孔して従来の鋳鋼製のプラグ(比較例)
と耐久性について比較した。なおプラグ(試料)は次の
ようにして製造した。平均粒径0.5μm、α率95%
のSi3 4 (窒化けい素)粉末を主成分とし、これに
MgOやYb2 3などの焼結助剤やバインダーを適量
添加し、所定時間混合した後、その混合物(スラリー)
を噴霧乾燥し造粒した。そして、5000kgf/cm
2 でプレス成形(CIP成形)し、窒素雰囲気中160
0℃で2時間焼結し、その後、表面を研磨した。なお、
比較例の鋳鋼製プラグは、0.3C−3Cr−1Ni系
低合金鋼製のものであり、表面には熱処理によって厚さ
200μmの酸化スケール被膜を形成した。
【0035】なお、穿孔条件は次のようである。被圧
延材(ビレット)はSUS304(オーステナイトステ
ンレス鋼)、ビレット寸法:直径55mm、長さ300
mm、素管寸法:直径60mm、肉厚6mm、圧延温
度:1250℃、圧延ロール:直径350mm、胴長
800mm、回転速度60rpm、連続圧延:パス時
間120秒、プラグ空冷。ただし、プラグは、ビレット
を1本穿孔圧延するごとに冷却した。そして、その冷却
後に、毎回プラグ表面の損耗ないし溶損状態を目視によ
り検査、確認し、溶損、摩耗、欠損などにより寿命(使
用不能)と判断された場合には別のプラグ(試料新品)
と交換することとした。
【0036】このモデルミルによる試験において本実施
例プラグでは、180本のビレットの穿孔、圧延後で
も、摩耗はほとんど起こらず、ほぼ当初の形状のままで
あった。しかし、比較例のものではわずか2本で先端部
の変形ないし溶損が発生し寿命となった。なお、本例プ
ラグで穿孔された素管はその内面の傷が皆無であり、内
面の表面粗さを測定したところ、本実施例プラグではR
a=3μm、比較例のものではRa=82μmと顕著な
差がみられた。
【0037】次に図1に示した構造のプラグ(試料寸
法:最大直径142mm)を前記と同様にして製造し、
その試料でもって下記条件下、実機でもって穿孔して従
来の鋳鋼製のプラグ(比較例)と耐久性について比較し
た。なお、比較例の鋳鋼製プラグは、0.3C−3Cr
−1Ni系低合金鋼製であり、熱処理によって厚さ40
0μmの酸化スケール被膜を形成した。
【0038】なお、この実機による穿孔条件は次のよう
である。被圧延材は13%Cr鋼以上の高合金鋼、ビ
レット寸法:直径175mm、長さ2m、素管寸法:直
径195mm、肉厚10mm、圧延温度:1250
℃、圧延ロール:直径1050mm、胴長2400m
m、回転速度60rpm、連続圧延:パス時間30
秒、空冷。ただし、この場合もプラグは、ビレットを1
本穿孔圧延するごとに冷却した。そして、その冷却後
に、毎回プラグ表面の損耗ないし溶損状態を目視により
検査、確認し、溶損、摩耗、欠損などにより寿命と判断
された場合には別のプラグ(試料新品)と交換すること
とした。
【0039】この実機試験において本実施例プラグで
は、450本のビレットの穿孔、圧延後でも摩耗はほと
んど起こらずほぼ当初の形状のままであったが、比較例
のものではわずか4本で先端部の変形ないし溶損が発生
し寿命となった。すなわち、本例のものでは比較例に比
べ、プラグの寿命は100倍以上あった。そしてこの実
機試験でも本例プラグで穿孔された素管は、その内面の
傷が皆無であり、内面の表面粗さも良好であった。上記
のモデルミルによる試験、およびこの実機試験の結果
は、とりもなおさず本発明の効果を実証するものであ
る。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
かかるプラグは、セラミック製で摺動特性が極めて良
く、しかも従来のプラグのように先端部をセラミックと
し金属本体と複合化したもののようにセラミックと金属
本体との接合界面外周に熱膨張率の差による段差ができ
ない。したがって、穿孔圧延して得られる素管の内面に
傷を付けることもなく、内面精度(品質)の高い継目無
し鋼管を得ることができる。すなわち、本発明に係るプ
ラグによれば、内面の傷に起因する不良率を皆無とし、
内面の表面粗さを向上し得るなど素管の品質の著しい向
上を図ることができる。
【0041】そして、嵌合部を軸線方向において漸増部
の後端より先端側に存在しないように設けたことから、
たとえ嵌合部が凹設されていてもその内周面にクラック
を発生させず、穿孔時に破損することもない。このよう
に本発明に係る継目無し鋼管製造用プラグによれば、セ
ラミック製であるから従来の鋳鋼製のプラグに比べ、高
度の耐摩耗性、耐溶損性を有し、したがって低合金鋼、
普通鋼はもとよりステンレス鋼などの高合金鋼のビレッ
トを穿孔、圧延する場合でも格段の長寿命化を図ること
ができ、継目無し鋼管の生産効率の向上と共に、生産コ
ストの低減も期待されるなどその効果には著しいものが
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミック製の継目無し鋼管製造
用プラグの実施形態例を示す正面図。
【図2】図1のプラグを後端側から見た図。
【図3】別の実施形態例を示す正面図。
【図4】別の実施形態例を示す一部破断正面図。
【図5】別の実施形態例を示す正面図。
【図6】別の実施形態例を示す正面図。
【図7】別の実施形態例を示す一部破断正面図。
【図8】従来の金属製継目無し鋼管製造用プラグによる
穿孔状態を説明する概略構成断面図。
【図9】従来の金属製継目無し鋼管製造用プラグを説明
する正面図。
【図10】従来の金属製継目無し鋼管製造用プラグの損
傷状態を説明する図。
【符号の説明】
1 継目無し鋼管製造用プラグ 2 プラグ本体 3 先端 4 円弧状部 5 漸増部 5a 漸増部の後端 6 後端逃し部 7,67,77 後端面 8,18,28,68,78 嵌合部 J 軸線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松原 桂 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 豊岡 高明 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 依藤 章 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内 (72)発明者 金山 太郎 愛知県半田市川崎町1丁目1番地 川崎製 鉄株式会社知多製造所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックを素材とした継目無し鋼管製
    造用プラグであって、その軸線方向において最大径を有
    する部分の前端より後方にプラグ保持用バーへの取付け
    用の嵌合部をプラグ軸と同軸状に設けたことを特徴とす
    る継目無し鋼管製造用プラグ。
  2. 【請求項2】 先端側から後端に向かって外径がテーパ
    状で漸増する漸増部を備え、後端面にプラグ保持用バー
    への取付け用の嵌合部をプラグ軸と同軸状に備えてなる
    セラミックを素材とした継目無し鋼管製造用プラグであ
    って、その嵌合部を、軸線方向において前記漸増部の後
    端より後方に設けたことを特徴とする継目無し鋼管製造
    用プラグ。
  3. 【請求項3】 プラグ保持用バーへの取付け用の嵌合部
    がプラグ軸と同軸状で凸設されてなることを特徴とする
    継目無し鋼管製造用プラグ。
  4. 【請求項4】 前記嵌合部が、軸線に垂直な断面で円形
    である円形断面部を有してなる請求項1ないし3記載の
    継目無し鋼管製造用プラグ。
  5. 【請求項5】 前記嵌合部が円柱形状である請求項4記
    載の継目無し鋼管製造用プラグ。
  6. 【請求項6】 前記嵌合部が先細り円錐台形状である請
    求項4記載の継目無し鋼管製造用プラグ。
  7. 【請求項7】 最大径を有する部分より後方にその最大
    径以下の直径をもつ後端逃し部を備え、該後端逃し部の
    後端面に、プラグ保持用バーへの取付け用の嵌合部をプ
    ラグ軸と同軸状で凹設してなるセラミックを素材とした
    継目無し鋼管製造用プラグであって、その嵌合部をその
    奥所底面が軸線方向において前記最大径を有する部分の
    前端より後方となるように設けたことを特徴とする継目
    無し鋼管製造用プラグ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102384019B1 (ko) * 2020-12-21 2022-04-08 (주)세창스틸 내열성을 갖는 심리스 튜브 제조용 피어싱 플러그 조립체

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KR102384019B1 (ko) * 2020-12-21 2022-04-08 (주)세창스틸 내열성을 갖는 심리스 튜브 제조용 피어싱 플러그 조립체

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