JPH10286692A - 耐プライマ性ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

耐プライマ性ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ

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JPH10286692A
JPH10286692A JP9093795A JP9379597A JPH10286692A JP H10286692 A JPH10286692 A JP H10286692A JP 9093795 A JP9093795 A JP 9093795A JP 9379597 A JP9379597 A JP 9379597A JP H10286692 A JPH10286692 A JP H10286692A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は耐プライマ性の改善とともに、アー
クが安定しスラグ除去も容易で、かつ良好な水平すみ肉
ビード形状が得られる耐プライマ性ガスシールドアーク
溶接用フラックス入りワイヤを提供する。 【解決手段】 鋼製外皮内にフラックスを充填してなる
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
て、ワイヤ全重量に対する重量%で、 TiO2 :2.0〜5.0
%、 SiO2 :0.2〜0.6 %、 ZrO2 :0.2〜0.8 %、鉄酸化
物:1.0〜3.5 %、Ca:0.03〜0.30%、かつ、 F:0.005〜
0.05%を含有させたことを特徴とする耐プライマ性ガス
シールドアーク溶接用フラックス入りワイヤであり、ま
たワイヤの全水素量が20ppm 以下に限定する耐プライ
マ性に優れたガスシールドアーク溶接用フラックス入り
ワイヤにある。 【効果】 プライマ塗布鋼板のすみ肉溶接において問題
となる耐プライマ性を改善でき、これによるビード形
状、スラグ除去性も良好であり、溶接の高能率化及び溶
接部の品質向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、船舶、橋梁などの
溶接構造物の建造分野で、特に水平すみ肉溶接に使用し
て良好な耐プライマ性が得られるガスシールドアーク溶
接用フラックス入りワイヤ(以下、フラックス入りワイ
ヤという)に関する。
【0002】
【従来の技術】造船、橋梁などの分野においては、水平
すみ肉溶接の比率が高く、しかも鋼材の多くは建造期間
中の防錆のためにプライマ(防錆塗料)が塗布されてお
り、この鋼板の溶接時にピットやガス溝等の溶接欠陥が
発生しやすい。この防止対策として溶接前のプライマ除
去や溶接速度低減、或いは溶接後の欠陥箇所の手直しは
工数増となり溶接作業能率を低下させる。
【0003】従来より、水平すみ肉溶接における耐プラ
イマ性改善を目的としたフラックス入りワイヤが種々提
案されている。例えば、特開昭61−147993号公
報の提案は、金属弗化物や金属炭酸塩を含有させること
により、溶融金属プールの撹拌を強めてプライマ熱分解
ガスの放出を容易にしたものである。特開平1−262
096号公報には、金属または金属合金の水素添加物を
使用し、スラグ形成剤の種類及び量を適正化し、耐プラ
イマ性・ビード形状が良好でスパッタの少ないフラック
ス入りワイヤについて述べてある。特開昭52−680
40号公報、特開昭52−144341号公報などの提
案は、シールドガスや充填フラックスから所定量の水素
を供給し、溶融金属中のガス放出速度を促進して溶融金
属の凝固前にガスを放出させることにより、ピットやガ
ス溝などの溶接欠陥を防止しようとするものである。
【0004】しかし、金属弗化物を多量に含有させた場
合には溶融スラグの粘性が低下し、水平すみ肉ビードの
立板側にスラグが薄く残りこれの除去、即ちスラグ剥離
性が問題となる。金属炭酸塩はスパッタの発生が多くな
り、溶接部に付着したスパッタ除去のために工数増とな
るので、その含有量が制限される。また、高水素系のフ
ラックス入りワイヤでは溶接速度の制限とともに溶接金
属の耐割れ性の点で鋼種や板厚が制限される。
【0005】さらに、船舶や橋梁の場合は、耐疲労強度
の観点からアンダーカットやオーバーラップのない水平
すみ肉ビード形状を必要とし、もし発生した場合、これ
らの修復は著しく作業能率を低下させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は耐プ
ライマ性の改善とともに、アークが安定しスラグ除去も
容易で、かつ良好な水平すみ肉ビード形状が得られる耐
プライマ性ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワ
イヤを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、鋼製外
皮内にフラックスを充填してなるガスシールドアーク溶
接用フラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対
する重量%で、 TiO2 :2.0〜5.0%、 SiO2 :0.2〜0.6%、 ZrO2 :0.2〜0.8%、 鉄酸化物:1.0〜3.5%、 Ca:0.03〜0.30%、かつ、F:0.005〜0.05% を含有する耐プライマ性ガスシールドアーク溶接用フラ
ックス入りワイヤであり、またワイヤの全水素量が20
ppm 以下に限定する耐プライマ性に優れたガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤにある。
【0008】
【発明の実施の形態】従来の耐プライマ性フラックス入
りワイヤを使用した場合、無機ジンクプライマ塗布鋼板
ではかなりの高速溶接が可能であるが、橋梁分野ではウ
オッシュプライマ塗布鋼板が多用されいる。溶接現場で
はウオッシュプライマの膜厚変動や板厚が厚く冷却速度
が大きくなることもあって、溶接速度が概略30cm/min
を超えるとピットやガス溝の多発が問題となる。本発明
者らは、特にウオッシュプライマ塗装鋼板の水平すみ肉
溶接における耐プライマ性改善を目的に、種々のフラッ
クス入りワイヤを試作し詳細に検討した結果、次のよう
な知見を得て本発明を完成したものである。
【0009】本発明において、TiO2 ,SiO2 及び
ZrO2 はビード表面全体を被包しビード形状を整え、
またスラグにある程度の厚みを持たせてスラグを除去し
やすくするためのスラグ形成剤として含有させる。さら
に、鉄酸化物及びCaOを含有するスラグ組成にして溶
融プールを拡大し、また、鉄酸化物の含有量を多めにす
ることにより、図1(a),(b),(c)に示したよ
うに生成スラグに敢えて凝固むらを形成させた。
【0010】図1(a)はビード表面の模式図であり、
スラグの厚い部分6、薄い部分5を表し、(b)は
(a)のB−B断面、(c)は(a)のC−C断面を表
し、ビード3表面のスラグ4の断面厚さの違いを示す。
即ち、溶融プールの拡大とともにビード3表面が露出し
ない程度にスラグ層4の薄い部分5を断続的に形成する
ことによって、プライマ燃焼ガスの外部への放出が促進
される。加えて、Fを少なく制限し、アーク力を弱めて
コーナー部の溶け込みを抑えプライマ燃焼ガスの発生量
を少なくした。また、フラックス入りワイヤ自身が持つ
全水素量について極力少なくすることにより、さらに耐
プライマ性が改善できることを確認した。これらにより
ウオッシュプライマ塗装鋼板であっても、溶接速度を4
0〜45cm/minにおいてピット、ガス溝を顕著に低減で
きることを見出した。
【0011】この時、鉄酸化物はアークを安定にしスパ
ッタの低減、及び下板側ビード止端部のオーバーラップ
がなく、母材とのなじみ性のよいビード形成に、また、
CaOを含有する組成のスラグは脆く砕けやすくなりス
ラグ除去を容易にするのにも有効に作用した。
【0012】以下に本発明のフラックス入りワイヤの成
分限定理由を述べる。 [TiO2 :2.0〜5.0%]TiO2 はビード表面
全体を被包するスラグを生成し、なめらかなビード形状
とある程度のスラグ生成量を確保し、スラグ除去を容易
にするために2.0%以上含有させる。TiO2 が2.
0%未満ではスラグ生成量が不足し、スラグによる被包
効果が不充分でビード形状、外観が劣り、さらにはビー
ドが部分的に露出するようになり、スラグの除去も困難
となる。一方、TiO2 が5.0%を超えるとスラグ生
成量が多く、溶融スラグの粘性も高くなり過ぎるため
に、図1に示したような溶融スラグの凝固むらが形成さ
れず、ガスの放出が阻害されてピットのみならずガス溝
が発生しやすくなる。また、ビード止端部がオーバーラ
ップとなる。
【0013】[SiO2 :0.2〜0.6%]SiO2
はスラグ形成剤として0.2%以上含有させ、スラグ被
包性が良好なスラグ組成とする。一方、SiO2 が0.
6%を超えるとスラグの粘性が大きくなり溶融スラグの
凝固むらが起こりにくくなり、耐プライマ性が劣化す
る。また、ビードが丸みを持ち、止端部のなじみ性が悪
くなる。
【0014】[ZrO2 :0.2〜0.8%]ZrO2
をスラグ形成剤として0.2%以上含有させることによ
り、ビード全体を被包するスラグを形成しビード形状を
整える。ZrO2 が0.2%未満では溶融スラグが流動
しやすくビードの立板側の脚長が小さくなる。また、溶
融スラグの凝固むらが過剰となりビードが部分的に露出
しスラグ除去が困難となる。一方、ZrO2 が0.8%
を超えるとビードが細く凸状となる他、緻密で固く砕け
にくいスラグとなり、スラグの除去が困難になる。ま
た、凝固が速く凝固むらも形成されにくくなる。
【0015】[鉄酸化物:1.0〜3.5%]本発明で
は、FeO,Fe43 4 ,Fe2 3 などの鉄酸化物
を1.0%以上含有させる。このように比較的多量の鉄
酸化物をCaOとともスラグ組成として含有させること
によってスラグの粘性を小さくする。これにより、プラ
イマ熱分解ガスを外部に放出しやすくして耐プライマ性
改善のために効果的な溶融プールの拡大と溶融スラグの
凝固むらの形成が可能となった。なお、溶融スラグの凝
固むらの形成は、鉄酸化物の増加に伴いその度合いが強
くなるが、これはCaOとの共存下において可能とな
る。また、鉄酸化物は安定したアーク状態となしスパッ
タの発生を少なくし、母材とのなじみ性がよく、揃った
ビード止端部形状にするように作用する。
【0016】鉄酸化物が1.0%未満では、これらの効
果が得られず、一方、3.5重量%を超えるとスラグ生
成量が過剰となり、溶融スラグの凝固むらによる断続的
な薄いスラグ層を形成しにくくなり、耐プライマ性は急
激に劣化する。また、スラグの粘性が過剰に低下するこ
とにより、ビード立板側のスラグ被包性が劣化しアンダ
ーカットが生じたり、ビード表面からスラグが剥離しに
くくスラグ除去も困難となる。
【0017】[Ca:0.03〜0.30%]CaはC
aOを含有するスラグ組成にするために0.03〜0.
30%含有させる。この組成の溶融スラグは鉄酸化物と
相まって、粘性を小さくし溶融プールを拡大し、また、
溶融スラグの凝固むらを形成させるためにも不可欠であ
る。さらに、凝固したスラグは脆くて砕けやすく、かつ
ビード表面からも剥離しやすいのでスラグ除去が容易に
なる。なお、鉄酸化物を相当量含有し、CaOを含有し
ないスラグ組成の場合、ビード止端部がオーバーラップ
気味になる。このCaの効果は0.03%以上含有させ
ることにより得られる。一方、Caが0.30%を超え
るとCaOが過剰なスラグ組成となり、溶融スラグの凝
固むらが形成されにくくなるとともに、スラグのビード
表面への焼き付きが見られるようになりスラグ除去が困
難となる。
【0018】なお、本発明ではCaを含有させる原料に
ついて特に限定するものでないが、Caの単体以外に、
例えばCa−Siのような合金やCaOを組成に含む溶
融型フラックス、Caの酸化物及び炭酸塩或いはステア
リン酸カルシウムなどで含有させる場合には、それらの
Ca換算値をもって含有量とする。鋼製外皮中及び鋼製
外皮の内外表面に付着しているCaは含有量に含める
が、CaF2 はスラグ組成にCaOを含有させる効果が
小さいので、本発明では限定するCaの含有量から除外
する。
【0019】[F:0.005〜0.05%]Fは従来
より耐プライマ性の改善に対し、溶融金属内の撹拌作用
によりガスの放出を容易にし、ピット、ガス溝の発生防
止に効果的な成分として利用されている。反面、Fはア
ーク力を強くし、コーナー部の溶け込みを増し、プライ
マの燃焼量を増加させる。特にウオッシュプライマのよ
うにプライマ熱分解ガスの発生量が多い場合には、Fの
含有量は極力少なくして過剰な溶け込みとならないよう
にすることが耐プライマ性改善には有利である。従っ
て、Fは0.005〜0.05%に限定した。この範囲
で、耐プライマ性を劣化させることなく、スラグの粘性
を調整して、すみ肉ビード形状をより平滑化し、また、
ビード止端部と母材とのなじみ性を良好にする。Fが
0.05%を超えると、コーナー部の溶け込み増加の他
に、溶融スラグの適度な凝固むらが形成しにくくなった
り、また立板側のビード止端部にスラグが薄く残るなど
悪影響が現れる。FはLi,Na,K,Mg,Caの弗
化物或いはK2 SiF6 などで含有させてよく、これら
のF換算値でもって含有量とする。
【0020】[ワイヤの全水素量:20ppm 以下]ワイ
ヤ中の水素は、プライマ熱分解ガスによる水素とともに
アーク雰囲気中の水素分圧を上げ、溶融金属中に侵入
し、ピット、ガス溝の発生原因となる。この水素に起因
するピット、ガス溝の発生を抑制するためには、充填フ
ラックス、鋼製外皮中に含有され、また鋼製外皮の内表
面に付着しているワイヤの全水素量を極力抑える必要が
ある。ワイヤの全水素量はフラックス原料の種類、充填
フラックスの乾燥条件、或いはシームレスタイプのフラ
ックス入りワイヤの場合は、ワイヤの中間焼鈍条件を適
宜選択することによって、20ppm 以下低減することが
可能である。ワイヤ成分をほぼ同一にして全水素量を変
化させた試作ワイヤについて、その影響を調査した結
果、ワイヤの全水素量を20ppm 以下にすることによっ
て、さらに耐プライマ性が向上する。なお、ワイヤの全
水素量の測定は、ワイヤ表面に付着している水分及び潤
滑剤(これらの影響は耐プライマ性に対し極めて小さ
い。)を除去後、不活性ガス融解熱伝導法による分析で
行うものとする。
【0021】以上、本発明のフラックス入りワイヤが必
須とする成分の限定理由を述べたが、その他のワイヤ成
分は、主に溶接金属に必要な強度及び靭性を確保するた
めの基本成分であるC(0.02〜0.10%)、Si
(0.2〜1.5%)、Mn(1.0〜4.0%)、ア
ーク安定化のためにK及びNa(1種または2種の合計
で0.02〜0.10%)及び高溶着性を得るための鉄
粉などである。なお、( )内には軟鋼及び490N/
mm2 級高張力鋼用フラックス入りワイヤとして好ましい
含有量の範囲を示した。
【0022】さらに、Al2 3 ,MgO及びMnOな
どのスラグ形成剤やAl,Mg,Zr,Tiなどの強脱
酸剤を含有させてこれらの高融点酸化物をスラグ組成に
取り入れて溶接構造物の目標脚長や施工溶接条件範囲の
拡大に対応すること、Ni,Cr,Mo,Nb,V,B
などの合金剤を含有させて適用鋼種の要求品質に適合し
た溶接金属の種々の特性(強度、靭性、耐火性、耐熱
性、耐候性等)を高めること、またBi,Bi2 3
どのスラグ剥離補助剤を含有させることも、本発明の効
果を損なうことのない範囲で可能である。
【0023】鋼製外皮は、フラックス充填後の伸線加工
性の点からフラックス入りワイヤに一般的に用いられて
いる軟鋼材が好ましいが、C,Si,Mn以外に上記脱
酸剤、合金剤を含有した成分系のものも使用できる。
【0024】フラックス充填率は、高溶着、高能率性を
得るために8%以上とし、一方、上限については充填率
があまり高くなるとワイヤ製造段階で断線が発生しやす
くなることを考慮し30%とした。ワイヤ断面形状につ
いては、図2(a),(b),(c)に示したような、
外皮7にフラックス8を充填した一般的な形状のもので
よいが、外皮部に開口部がないシームレスタイプ(a)
は海辺や梅雨時などの使用環境においても充填フラック
スの吸湿がなく耐プライマ性が劣化することがない。
【0025】ワイヤ径は公称外径1.0〜2.0mmの細
径のものが高溶着、高能率性の点から好ましい。また、
ワイヤ表面にCuめっきを施すことは溶接時の通電性や
耐錆性を向上させる。
【0026】本発明のフラックス入りワイヤを使用する
場合に用いるシールドガスは安価なCO2 ガス、低ヒュ
ーム、低スパッタ化が可能なArガス或いはAr−CO
2 混合ガスなどを使用できる。以下に、実施例により本
発明の効果をさらに詳細に示す。
【0027】
【実施例】軟鋼パイプ(C:0.05%、Si:0.0
3%、Mn:0.35%、P:0.P:0.013%、
S:0.005%)を外皮素材に用いて、フラックスを
充填後、伸線して(外皮部の軟化及び低水素化のための
中間焼鈍を1回実施、水素量の変化には温度及び保持時
間で対応)、フラックス充填率15%、ワイヤ径1.2
mmのシームレスタイプのフラックス入りワイヤを試作し
た。表1に試作ワイヤのフラックス成分を示した。
【0028】これら試作ワイヤを使用して、図3に示し
た試験体に組んで水平すみ肉溶接試験を行った。図3に
おいてプライマ塗装した9鋼板(鋼種SM490B)を
用い、その下板2の板厚は16mm、縦板1の板厚は12
mm、試験体長さは2m、プライマ膜厚は約25μmとし
た。3は溶接した第1パス側ビード、3′は溶接した第
2パス側ビードを示し、さらに溶接欠陥のピット10及
びガス溝11を示した。
【0029】表2に溶接条件(自動溶接)、表3に溶接
試験結果を示した。なお、溶接順は、第1パス側終了
後、第2パス側を溶接した。耐プライマ性の評価は第1
パス側ではピット、ガス溝とも発生しなかったので第2
パス側で行った。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】試験No.1〜21はウオッシュプライマ
塗装鋼板による試験結果である。試験No.1〜6は本
発明によるフラックス入りワイヤ(W1〜6)を使用し
た場合で、溶融スラグの凝固むらが効果的に形成され、
ピット、ガス溝は発生しない。また、ビード止端部のな
じみ性のよいビード形状が得られ、スラグの除去も容易
であった。なお、試験No.20,21はワイヤの全水
素量を特に少なくしたフラックス入りワイヤ(W20,
21)を使用した場合で、溶接速度を速めることができ
た。これに対し、試験No.7〜19は比較例である。
【0034】比較例において、試験No.7(W7)は
TiO2 が不足、試験No.8(W8)はTiO2 が過
剰、試験No.9(W9)はSiO2 が不足、試験N
o.10(W10)はSiO2 が過剰、試験No.11
(W11)はZrO2 が含有されていない、試験No.
12(W12)はZrO2 が過剰、試験No.13(W
13)は鉄酸化物が不足、試験No.14(W14)は
鉄酸化物が過剰、試験No.15(W15)はCaが含
有されていない、試験No.16(W16)はCaが過
剰、試験No.18(W18)はFが過剰のため、いず
れも溶融スラグの凝固むらが適度に形成されず、ピッ
ト、ガス溝が発生した。また、ビード形状、外観も劣
り、スラグ除去が困難なものもあった。
【0035】試験No.17(W17)はFが含有され
ていないため、ピット、ガス溝の発生とビード形状も劣
った。試験No.19(W19)はワイヤの全水素量が
多すぎるため、ピット、ガス溝が発生した。試験No.
22〜24は無機ジンクプライマ塗装鋼板による試験結
果である。試験No.22,23は本発明によるフラッ
クス入りワイヤ(W1,6)を使用した場合で、溶融ス
ラグの凝固むらが効果的に形成され、ピット、ガス溝の
発生がなく、ビード形状、スラグの除去も良好であっ
た。試験No.24は比較例で、ワイヤ(W15)にC
aが含有されていないため、無機ジンクプライマ塗装鋼
板であっても溶接速度が速くなるとピットが発生した。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤによれば、プラ
イマ塗布鋼板のすみ肉溶接において問題となる耐プライ
マ性を改善でき、これによるビード形状、スラグ除去性
も良好であり、溶接の高能率化及び溶接部の品質向上が
図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による水平すみ肉溶接状況(溶融スラグ
の凝固むら)を説明するために示した模式図であって、
(a)はビード平面、(b)はB−B断面、(c)はC
−C断面を示す。
【図2】(a),(b),(c)は各種フラックス入り
ワイヤの断面形状を示す模式図である。
【図3】実施例における水平すみ肉溶接試験体及び溶接
後の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1:立板 2:下板 3:ビード 4:スラグ 5:スラグ被包の薄い部分 6:スラグ被包の厚い部分 7:外皮 8:フラックス 9:プライマ 10:ピット 11:ガス溝

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮内にフラックスを充填してなる
    ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおい
    て、ワイヤ全重量に対する重量%で、 TiO2 :2.0〜5.0%、 SiO2 :0.2〜0.6%、 ZrO2 :0.2〜0.8%、 鉄酸化物:1.0〜3.5%、 Ca:0.03〜0.30%、かつ、 F :0.005〜0.05% を含有させたことを特徴とする耐プライマ性ガスシール
    ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 ワイヤの全水素量が20ppm 以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の耐プライマ性ガスシー
    ルドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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