JPH10283039A - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法

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JPH10283039A
JPH10283039A JP10093497A JP10093497A JPH10283039A JP H10283039 A JPH10283039 A JP H10283039A JP 10093497 A JP10093497 A JP 10093497A JP 10093497 A JP10093497 A JP 10093497A JP H10283039 A JPH10283039 A JP H10283039A
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誠志 中村
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智治 前田
Hidetsugu Hamada
英嗣 浜田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電可能な蓄電手段を備え、原動機から出
力される動力を所望の動力にトルク変換して駆動軸に出
力する動力出力装置において、過剰な電力による蓄電手
段の充放電を回避する。 【解決手段】 エンジン50から出力される動力は、ク
ランクシャフト56と駆動軸22と接続されたクラッチ
モータ30とアシストモータ40とにより所望の動力に
トルク変換されて駆動軸22に出力される。このときに
両モータ30,40により回生または消費される電力の
過不足は、バッテリ94の充放電によって賄われる。電
力の過不足がバッテリ94を充放電する許容範囲を超え
ているときには、許容範囲内となるようアシストモータ
40のトルク指令値を再設定する。この結果、エンジン
50の運転には影響を与えずに、バッテリ94を充放電
する電力を許容範囲内にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およ
びその制御方法に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力
する動力出力装置およびこうした動力出力装置の制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、
車両に搭載される装置であって、原動機の出力軸と電動
機のロータに結合された駆動軸とを電磁継手により電磁
的に結合して原動機の動力を駆動軸に出力するものが提
案されている(例えば、特開昭53−133814号公
報等)。この動力出力装置では、電動機により車両の走
行を開始し、電動機の回転数が所定の回転数になった
ら、電磁継手へ励磁電流を与えて原動機をクランキング
すると共に原動機への燃料供給や火花点火を行なって原
動機を始動する。原動機が始動した後は、原動機からの
動力を電磁継手の電磁的な結合により駆動軸に出力して
車両を走行させる。電動機は、電磁継手により駆動軸に
出力される動力では駆動軸に必要な動力が不足する場合
に駆動され、この不足分を補う。電磁継手は、駆動軸に
動力を出力している際、その電磁的な結合の滑りに応じ
た電力を回生する。この回生された電力は、走行の開始
の際に用いられる電力としてバッテリに蓄えられたり、
駆動軸の動力の不足分を補う電動機の動力として用いら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の動力出力装置は、駆動軸の回転数が大きくな
ると、装置全体の効率が低下する場合を生じるという問
題があった。上述の動力出力装置では、駆動軸の回転数
が大きくなったときでも電磁継手により駆動軸に動力を
出力しようとすると、原動機の回転数を駆動軸の回転数
以上にしなければならない。原動機の効率のよい運転ポ
イントの領域は、その回転数と負荷トルクとにより範囲
が定まっているのが通常であるから、その範囲を超える
回転数で駆動軸が回転しているときには、原動機は効率
のよい運転ポイントの範囲外で運転しなければならず、
この結果、装置全体の効率が低下することとなる。
【0004】出願人は、こうした問題に対する解決策の
1つとして、既に出願した特願平7−266475号に
おいて、電磁継手に代えて原動機の出力軸と駆動軸とに
それぞれ結合される2つのロータを有し発電動作が可能
な対ロータ電動機を用い、駆動軸の回転数が大きくなっ
たときには、この対ロータ電動機をモータとして制御し
て、原動機の出力軸に結合されたロータに対して相対的
に駆動軸に結合されたロータを回転駆動させることによ
り、駆動軸の回転数より小さな回転数で原動機を運転可
能とするものを提案している。こうした動力出力装置
は、更に原動機の出力軸や駆動軸に電動機を設け、原動
機から出力される動力を対ロータ電動機と電動機とによ
りトルク変換して所望の動力として駆動軸に出力する。
【0005】しかし、従来の動力出力装置や提案の動力
出力装置では、原動機や対ロータ電動機,電動機の制御
は、定常運転状態における制御としているため、駆動軸
に出力すべき目標動力に変更が生じたときには、変更さ
れた目標動力に対する原動機の応答時間が対ロータ電動
機や電動機の応答時間に比して遅いことから、過剰な電
力による蓄電手段の充電や蓄電手段から過剰な電力の放
電を必要とする場合が生じる。即ち、定常状態における
制御では、原動機が2つの電動機と同様に直ちに変更さ
れた目標動力に対応する運転が可能として制御するか
ら、原動機から出力される動力が目標動力に対応する動
力になっていないにも拘わらず、2つの電動機は直ちに
変更された目標動力に対応する運転となることによっ
て、過剰な電力による蓄電手段の充放電が生じるのであ
る。こうした過剰な電力による蓄電手段の充放電は、蓄
電手段の寿命の低下や、蓄電手段の破損、ヒューズの切
断などの不都合を生じさせる。
【0006】本発明の動力出力装置およびその制御方法
は、こうした問題を解決し、過剰な電力による蓄電手段
の充放電を回避することを目的の一つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の動力出力装置およびその制御方法は、上述の目的
の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採っ
た。
【0008】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を
出力する動力出力装置であって、出力軸を有する原動機
と、前記出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆動軸
に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸
に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される
動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力
により調整するエネルギ調整手段と、前記出力軸または
前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機と、前記エネ
ルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に必要な電
気エネルギとして調整電気エネルギによる充放電と、前
記電動機による動力のやり取りに必要な電気エネルギと
しての電動機電気エネルギによる充放電とが可能な蓄電
手段と、前記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標
動力設定手段と、該設定された目標動力に基づいて前記
原動機の目標運転状態を設定する目標運転状態設定手段
と、該設定された目標運転状態で前記原動機が運転され
ると共に、該原動機から出力される動力の少なくとも一
部がエネルギ変換されて前記目標動力が前記駆動軸に出
力されるよう該原動機と前記エネルギ調整手段と前記電
動機とを制御する駆動制御手段と、前記調整電気エネル
ギと前記電動機電気エネルギとを演算すると共に、該演
算された両電気エネルギに基づいて前記蓄電手段を充放
電する充放電エネルギを演算する充放電エネルギ演算手
段と、該演算された充放電エネルギが所定範囲外となる
とき、該充放電エネルギが該所定範囲内となるよう前記
調整電気エネルギと前記電動機電気エネルギの少なくと
も一方の電気エネルギを制限する電気エネルギ制限手段
と、該電気エネルギ制限手段による制限がなされたと
き、前記駆動制御手段による制御に代えて、前記目標運
転状態で前記原動機が運転されると共に、前記制限され
た電気エネルギの範囲内で該原動機から出力される動力
の少なくとも一部がエネルギ変換されて前記駆動軸に出
力されるよう該原動機と前記エネルギ調整手段と前記電
動機とを制御する制限時制御手段とを備えることを要旨
とする。
【0009】この本発明の動力出力装置は、原動機の出
力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第
2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1の回転
軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力される動
力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力に
より調整し、電動機が原動機の出力軸または駆動軸と動
力のやり取りをする。蓄電手段は、必要に応じ、エネル
ギ調整手段によるエネルギ偏差の調整に必要な電気エネ
ルギとして調整電気エネルギによる充放電と、電動機に
よる動力のやり取りに必要な電気エネルギとしての電動
機電気エネルギによる充放電とを行なう。目標動力設定
手段は、駆動軸に出力する目標動力を設定し、目標運転
状態設定手段は、目標動力設定手段により設定された目
標動力に基づいて原動機の目標運転状態を設定する。駆
動制御手段は、この設定された目標運転状態で原動機が
運転されると共に、原動機から出力される動力の少なく
とも一部がエネルギ変換されて目標動力が駆動軸に出力
されるよう原動機とエネルギ調整手段と電動機とを制御
する。充放電エネルギ演算手段は、調整電気エネルギと
電動機電気エネルギとを演算すると共に、演算された両
電気エネルギに基づいて蓄電手段を充放電する充放電エ
ネルギを演算する。電気エネルギ制限手段は、こうして
演算された充放電エネルギが所定範囲外となるとき、こ
の充放電エネルギが所定範囲内となるよう調整電気エネ
ルギと電動機電気エネルギの少なくとも一方の電気エネ
ルギを制限する。制限時制御手段は、こうした電気エネ
ルギ制限手段による制限がなされたとき、駆動制御手段
による制御に代えて、目標運転状態で原動機が運転され
ると共に、この制限された電気エネルギの範囲内で原動
機から出力される動力の少なくとも一部がエネルギ変換
されて駆動軸に出力されるよう原動機とエネルギ調整手
段と電動機とを制御する。なお、ここでいう「動力」
は、軸に作用するトルクとその軸の回転数との積の形態
で表わされるエネルギを意味する。したがって、動力と
してのエネルギの大きさが同じでも、トルクと回転数と
が異なれば、動力としての形態が異なるから、異なる動
力となる。
【0010】こうした本発明の動力出力装置によれば、
蓄電手段を充放電する充放電エネルギを所定範囲内とす
ることができる。この結果、過剰な電力による蓄電手段
の充放電が回避されるから、蓄電手段の寿命の低下や、
蓄電手段の破損、動力出力装置が備えるヒューズの切断
などの不都合を回避することができる。しかも、原動機
の運転状態は、こうした制限に拘わらず、目標運転状態
となるよう制御することができる。この結果、原動機が
目標運転状態で運転されるに至れば、こうした制限を解
除することができる。
【0011】この本発明の動力出力装置において、前記
電動機は前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機であ
り、前記電気エネルギ制限手段は前記電動機電気エネル
ギを制限する手段であるものとしたり、前記電動機は前
記出力軸と動力のやり取りをする電動機であり、前記電
気エネルギ制限手段は前記調整電気エネルギを制限する
手段であるものとすることもできる。こうすれば、容易
に充放電エネルギの制限の影響を駆動軸への出力にのみ
反映させることができる。
【0012】これらの変形例を含め本発明の動力出力装
置において、前記エネルギ調整手段は、前記第1の回転
軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸に結
合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第2
のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介し
て該両回転軸間の動力のやり取りをする対ロータ電動機
であるものとすることもできる。
【0013】また、本発明の動力出力装置において、前
記エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸および前記第
2の回転軸と異なる第3の回転軸を有し、前記3つの回
転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入出力される動力を
決定したとき、該決定された動力に基づいて残余の回転
軸へ動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第
3の回転軸と動力のやり取りをする回転軸電動機と、を
備えるものとすることもできる。
【0014】本発明の動力出力装置の制御方法は、出力
軸を有する原動機と、前記出力軸に結合される第1の回
転軸と駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記
第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に
入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネ
ルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、前記
出力軸または前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機
と、前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調
整に必要な電気エネルギとして調整電気エネルギによる
充放電と、前記電動機による動力のやり取りに必要な電
気エネルギとしての電動機電気エネルギによる充放電と
が可能な蓄電手段とを備える動力出力装置の制御方法で
あって、(a)前記駆動軸に出力する目標動力を設定
し、(b)該設定された目標動力に基づいて前記原動機
の目標運転状態を設定し、(c)該設定された目標運転
状態で前記原動機が運転されると共に、該原動機から出
力される動力の少なくとも一部がエネルギ変換されて前
記目標動力が前記駆動軸に出力されるよう該原動機と前
記エネルギ調整手段と前記電動機とを制御し、(d)前
記調整電気エネルギと前記電動機電気エネルギとを演算
すると共に、該演算された両電気エネルギに基づいて前
記蓄電手段を充放電する充放電エネルギを演算し、
(e)該演算された充放電エネルギが所定範囲外となる
とき、該充放電エネルギが該所定範囲内となるよう前記
調整電気エネルギと前記電動機電気エネルギの少なくと
も一方の電気エネルギを制限し、(f)該電気エネルギ
の制限がなされたとき、前記ステップ(c)の制御に代
えて、前記目標運転状態で前記原動機が運転されると共
に、前記制限された電気エネルギの範囲内で該原動機か
ら出力される動力の少なくとも一部がエネルギ変換され
て前記駆動軸に出力されるよう該原動機と前記エネルギ
調整手段と前記電動機とを制御することを要旨とする。
【0015】この本発明の動力出力装置の制御方法によ
れば、蓄電手段を充放電する充放電エネルギを所定範囲
内とすることができる。この結果、過剰な電力による蓄
電手段の充放電が回避されるから、蓄電手段の寿命の低
下や、蓄電手段の破損、動力出力装置が備えるヒューズ
の切断などの不都合を回避することができる。しかも、
原動機の運転状態は、こうした制限に拘わらず、目標運
転状態となるよう制御することができる。この結果、原
動機が目標運転状態で運転されるに至れば、こうした制
限を解除することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力出力装置20の概略構成を示す構成図、図2
は図1の第1実施例の動力出力装置20を組み込んだ車
両の概略構成を示す構成図である。説明の都合上、まず
図2を用いて、車両全体の構成から説明する。
【0017】図2に示すように、この車両には、動力源
であるエンジン50としてガソリンにより運転されるガ
ソリンエンジンが備えられている。このエンジン50
は、吸気系からスロットルバルブ66を介して吸入した
空気と燃料噴射弁51から噴射されたガソリンとの混合
気を燃焼室52に吸入し、この混合気の爆発により押し
下げられるピストン54の運動をクランクシャフト56
の回転運動に変換する。ここで、スロットルバルブ66
はアクチュエータ68により開閉駆動される。点火プラ
グ62は、イグナイタ58からディストリビュータ60
を介して導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混
合気はその電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
【0018】このエンジン50の運転は、電子制御ユニ
ット(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御され
ている。EFIECU70には、エンジン50の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロ
ットルバルブ66の開度(ポジション)を検出するスロ
ットルバルブポジションセンサ67、エンジン50の負
荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50の水
温を検出する水温センサ74、ディストリビュータ60
に設けられクランクシャフト56の回転数と回転角度を
検出する回転数センサ76および回転角度センサ78な
どである。なお、EFIECU70には、この他、例え
ばイグニッションキーの状態STを検出するスタータス
イッチ79なども接続されているが、その他のセンサ,
スイッチなどの図示は省略した。
【0019】エンジン50のクランクシャフト56に
は、後述するクラッチモータ30およびアシストモータ
40を介して駆動軸22が結合されている。駆動軸22
は、ディファレンシャルギヤ24に結合されており、動
力出力装置20からのトルクは最終的に左右の駆動輪2
6,28に伝達される。このクラッチモータ30および
アシストモータ40は、制御装置80により制御されて
いる。制御装置80の構成は後で詳述するが、内部には
制御CPUが備えられており、シフトレバー82に設け
られたシフトポジションセンサ84やアクセルペダル6
4に設けられたアクセルペダルポジションセンサ64
a,ブレーキペダル65に設けられたブレーキペダルポ
ジションセンサ65aなども接続されている。また、制
御装置80は、上述したEFIECU70と通信によ
り、種々の情報をやり取りしている。これらの情報のや
り取りを含む制御については、後述する。
【0020】図1に示すように、実施例の動力出力装置
20は、大きくは、エンジン50と、エンジン50のク
ランクシャフト56にアウタロータ32が結合されると
共に駆動軸22にインナロータ34が結合されたクラッ
チモータ30と、駆動軸22に結合されたロータ42を
有するアシストモータ40と、クラッチモータ30およ
びアシストモータ40を駆動制御する制御装置80とか
ら構成されている。
【0021】クラッチモータ30は、図1に示すよう
に、アウタロータ32の内周面に永久磁石35を備え、
インナロータ34に形成されたスロットに三相のコイル
36を巻回する同期電動機として構成されている。この
三相コイル36への電力は、スリップリング38を介し
て供給される。インナロータ34において三相コイル3
6用のスロットおよびティースを形成する部分は、無方
向性電磁鋼板の薄板を積層することで構成されている。
なお、クランクシャフト56には、その回転角度θeを
検出するレゾルバ39が設けられているが、このレゾル
バ39は、ディストリビュータ60に設けられた回転角
度センサ78と兼用することも可能である。
【0022】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース45に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ42の外周
面には、複数個の永久磁石46が設けられている。アシ
ストモータ40では、この永久磁石46により磁界と三
相コイル44が形成する磁界との相互作用により、ロー
タ42が回転する。ロータ42が機械的に結合された軸
は、動力出力装置20のトルクの出力軸である駆動軸2
2であり、駆動軸22には、その回転角度θdを検出す
るレゾルバ48が設けられている。また、駆動軸22
は、ケース45に設けられたベアリング49により軸支
されている。
【0023】係るクラッチモータ30とアシストモータ
40とは、クラッチモータ30のインナロータ34がア
シストモータ40のロータ42、延いては駆動軸22に
機械的に結合されている。したがって、エンジン50と
両モータ30,40との関係を簡略に言えば、エンジン
50からクランクシャフト56に出力された軸トルクが
クラッチモータ30のアウタロータ32およびインナロ
ータ34を介して駆動軸22に出力され、アシストモー
タ40からのトルクがこれに加減算されるということに
なる。
【0024】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、さらに説明する。クラッチモータ
30のアウタロータ32はクランクシャフト56に、イ
ンナロータ34は駆動軸22に結合されており、アウタ
ロータ32に永久磁石35が設けられていることは既に
説明した。この永久磁石35は、実施例では8個(N極
が4個でS極が4個)設けられており、アウタロータ3
2の内周面に貼付されている。その磁化方向はクラッチ
モータ30の軸中心に向かう方向であり、一つおきに磁
極の方向は逆向きになっている。この永久磁石35と僅
かなギャップにより対向するインナロータ34の三相コ
イル36は、インナロータ34に設けられた計12個の
スロット(図示せず)に巻回されており、各コイルに通
電すると、スロットを隔てるティースを通る磁束を形成
する。各コイルに三相交流を流すと、この磁界は回転す
る。三相コイル36の各々は、スリップリング38から
電力の供給を受けるよう接続されている。このスリップ
リング38は、駆動軸22に固定された回転リング38
aとブラシ38bとから構成されている。なお、三相
(U,V,W相)の電流をやり取りするために、スリッ
プリング38には三相分の回転リング38aとブラシ3
8bとが用意されている。
【0025】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
とインナロータ34の回転数との偏差の4倍の周波数と
している。
【0026】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動制御する制御装置80について説明す
る。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する第
1の駆動回路91と、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92と、両駆動回路91,92を制御する
制御CPU90と、二次電池であるバッテリ94とから
構成されている。制御CPU90は、1チップマイクロ
プロセッサであり、内部に、ワーク用のRAM90a、
処理プログラムを記憶したROM90b、入出力ポート
(図示せず)およびEFIECU70と通信を行なうシ
リアル通信ポート(図示せず)を備える。この制御CP
U90には、レゾルバ39からのエンジン50の回転角
度θe、レゾルバ48からの駆動軸22の回転角度θ
d、アクセルペダルポジションセンサ64aからのアク
セルペダルポジション(アクセルペダル64の踏込量)
AP、ブレーキペダルポジションセンサ65aからのブ
レーキペダルポジション(ブレーキペダル65の踏込
量)BP、シフトポジションセンサ84からのシフトポ
ジションSP、第1の駆動回路91に設けられた2つの
電流検出器95,96からのクラッチ電流値Iuc,I
vc、第2の駆動回路に設けられた2つの電流検出器9
7,98からのアシスト電流値Iua,Iva、残容量
検出器99からのバッテリ94の残容量BRMなどが、入
力ポートを介して入力されている。なお、残容量検出器
99は、バッテリ94の電解液の比重またはバッテリ9
4の全体の重量を測定して残容量を検出するものや、充
電・放電の電流値と時間を演算して残容量を検出するも
のや、バッテリの端子間を瞬間的にショートさせて電流
を流し内部抵抗を測ることにより残容量を検出するもの
などが知られている。
【0027】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、スリップリング38を介して接続されている。
電源ラインL1,L2は、バッテリ94のプラス側とマ
イナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU
90により対をなすトランジスタTr1ないしTr6の
オン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各
コイル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的
な正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が
形成される。
【0028】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0029】以上構成を説明した第1実施例の動力出力
装置20の動作について説明する。第1実施例の動力出
力装置20の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の
通りである。エンジン50がEFIECU70により運
転され、エンジン50の回転数Neが値N1で回転して
いるとする。このとき、制御装置80がスリップリング
38を介してクラッチモータ30の三相コイル36に何
等電流を流していないとすれば、即ち第1の駆動回路9
1のトランジスタTr1,3,5をオフとしトランジス
タTr2,4,6をオンとした状態であれば、三相コイ
ル36には何等の電流も流れないから、クラッチモータ
30のアウタロータ32とインナロータ34とは電磁的
に全く結合されていない状態となり、エンジン50のク
ランクシャフト56は空回りしている状態となる。
【0030】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50のクランクシャフト56の回転数Neと駆
動軸22の回転数Ndとの偏差(言い換えれば、クラッ
チモータ30におけるアウタロータ32とインナロータ
34の回転数差Nc(Ne−Nd))に応じて、クラッ
チモータ30の三相コイル36に電流が流れ、クラッチ
モータ30は発電機として機能し、電流が第1の駆動回
路91を介して回生され、バッテリ94が充電される。
このとき、アウタロータ32とインナロータ34とは滑
りが存在する電磁的な結合状態となり、インナロータ3
4は、エンジン50の回転数Ne(クランクシャフト5
6の回転数)より低い回転数Ndで回転する。この状態
で、回生される電気エネルギと等しいエネルギがアシス
トモータ40で消費されるように、制御CPU90が第
2の駆動回路92を制御すると、アシストモータ40の
三相コイル44に電流が流れ、アシストモータ40にお
いてトルクが発生する。
【0031】図3に照らせば、エンジン50の回転数N
eが値N1でトルクTeが値T1の運転ポイントP1で
運転しているときに、クラッチモータ30で値T1のト
ルクを駆動軸22に伝達すると共に領域G1で表わされ
るエネルギを回生し、この回生されたエネルギを領域G
2で表わされるエネルギとしてアシストモータ40に供
給することにより、値N2の回転数で回転する駆動軸2
2に値T2のトルクを出力することができる。
【0032】次に、エンジン50の回転数Neが値N2
でトルクTeが値T2の運転ポイントP2で運転されて
おり、駆動軸22の回転数Ndが値N2より大きな値N
1で回転している場合を考える。この状態では、クラッ
チモータ30のインナロータ34は、アウタロータ32
に対して回転数差Nc(Ne−Nd)の絶対値で示され
る回転数で駆動軸22の回転方向に回転するから、クラ
ッチモータ30は、通常のモータとして機能し、バッテ
リ94からの電力により駆動軸22に回転エネルギを与
える。一方、制御CPU90によりアシストモータ40
により電力を回生するよう第2の駆動回路92を制御す
ると、アシストモータ40のロータ42とステータ43
との間の滑りにより三相コイル44に回生電流が流れ
る。ここで、アシストモータ40により回生される電力
がクラッチモータ30により消費されるよう制御CPU
90により第1および第2の駆動回路91,92を制御
すれば、クラッチモータ30を、バッテリ94に蓄えら
れた電力を用いることなく駆動することができる。
【0033】図3に照らせば、クランクシャフト56の
回転数Neが値N2でトルクTeが値T2の運転ポイン
トP2で運転しているときに、領域G1と領域G3との
和として表わされるエネルギをクラッチモータ30に供
給して駆動軸22に値T2のトルクを出力すると共に、
クラッチモータ30に供給するエネルギを領域G2と領
域G3との和として表わされるエネルギとしてアシスト
モータ40から回生して賄うことにより、値N1の回転
数で回転する駆動軸22に値T1のトルクを出力するこ
とができる。
【0034】なお、第1実施例の動力出力装置20で
は、こうしたエンジン50から出力される動力のすべて
をトルク変換して駆動軸22に出力する動作の他に、エ
ンジン50から出力される動力(トルクTeと回転数N
eとの積)を駆動軸22に要求される動力(トルクTd
と回転数Ndとの積)より大きくして余剰の電気エネル
ギを見い出し、バッテリ94の充電を伴う動作とした
り、逆にエンジン50から出力される動力を駆動軸22
に要求される動力より小さくして電気エネルギが不足す
るものし、バッテリ94から放電を伴う動作とすること
もできる。
【0035】次に、実施例の動力出力装置20における
トルク制御について図4に例示するトルク制御ルーチン
に基づき具体的に説明する。トルク制御ルーチンは、動
力出力装置が起動されてから所定時間毎(例えば、20
msec毎)に繰り返し実行される。本ルーチンが実行
されると、制御装置80の制御CPU90は、まず、駆
動軸22の回転数Ndを読み込む処理を実行する(ステ
ップS100)。駆動軸22の回転数Ndは、レゾルバ
48により検出される駆動軸22の回転角度θdから求
めることができる。
【0036】続いて、アクセルペダルポジションセンサ
64aにより検出されるアクセルペダル64の踏込量で
あるアクセルペダルポジションAPを読み込む処理を行
なう(ステップS102)。アクセルペダル64は運転
者が出力トルクが足りないと感じたときに踏み込まれる
ものであり、したがって、アクセルペダルポジションA
Pの値は運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆
動軸22に出力すべきトルク)に対応するものである。
次に、読み込んだアクセルペダルポジションAPと駆動
軸22の回転数Ndとに基づいてTd*を導出する処理
を行なう(ステップS104)。実施例では、各アクセ
ルペダルポジションAPと回転数Ndとの組み合わせに
対して対応するトルク指令値Td*を定め、これを予め
マップとしてROM90bに記憶しておき、駆動軸22
の回転数NdとアクセルペダルポジションAPが読み込
まれると、ROM90bに記憶したマップを参照して対
応するトルク指令値Td*を導出するものとした。な
お、このマップの一例を図5に示す。
【0037】こうしてトルク指令値Td*を導出する
と、導出したトルク指令値Td*と読み込まれた駆動軸
22の回転数Ndとから、駆動軸22に出力すべきエネ
ルギPdを計算(Pd=Nd×Td*)により求めると
共に(ステップS106)、求めたエネルギPdを伝達
効率ηtで割ってエンジン50から出力すべきエネルギ
Peを算出する(ステップS108)。そして、このエ
ネルギPeに基づいてエンジン50の目標回転数Ne*
と目標トルクTe*とを設定する処理を行なう(ステッ
プS110)。ここで、エンジン50から出力されるエ
ネルギPeはエンジン50の回転数NeとトルクTeと
の積に等しいから、エネルギPeと目標回転数Ne*お
よび目標トルクTe*との関係はPe=Ne*×Te*
となる。しかし、かかる関係を満足する目標回転数Ne
*と目標トルクTe*との組合せは無数に存在する。そ
こで、実施例では、実験などにより各エネルギPeに対
してエンジン50ができる限り効率の高い状態で運転さ
れ、かつエネルギPeの変化に対してエンジン50の運
転状態が滑らかに変化する運転ポイントを目標回転数N
e*と目標トルクTe*との組み合わせとして求め、こ
れを予めROM90bにマップとして記憶しておき、エ
ネルギPeに対応する目標回転数Ne*と目標トルクT
e*との組み合わせをこのマップから導出するものとし
た。このマップについて、更に説明する。
【0038】図6は、エンジン50の運転ポイントとエ
ンジン50の効率との関係を示すグラフである。図中曲
線Bはエンジン50の運転可能な領域の境界を示す。エ
ンジン50の運転可能な領域には、その特性に応じて効
率が同一の運転ポイントを示す曲線α1ないしα6のよ
うな等効率線を描くことができる。また、エンジン50
の運転可能な領域には、トルクTeと回転数Neとの積
で表わされるエネルギが一定の曲線、例えば曲線C1−
C1ないしC3−C3を描くことができる。こうして描
いたエネルギ一定の曲線C1−C1ないしC3−C3に
沿って各運転ポイントの効率をエンジン50の回転数N
eを横軸として表わすと図7のグラフのようになる。
【0039】図示するように、出力するエネルギが同じ
でも、どの運転ポイントで運転するかによってエンジン
50の効率は大きく異なる。例えばエネルギ一定の曲線
C1−C1上では、エンジン50を運転ポイントA1
(トルクTe1,回転数Ne1)で運転することによ
り、その効率を最も高くすることができる。このような
効率が最も高い運転ポイントは、出力エネルギ一定の曲
線C2−C2およびC3−C3ではそれぞれ運転ポイン
トA2およびA3が相当するように、各エネルギ一定の
曲線上に存在する。図6中の曲線Aは、これらのことに
基づき各エネルギPeに対してエンジン50の効率がで
きる限り高くなる運転ポイントを連続する線で結んだも
のである。実施例では、この曲線A上の各運転ポイント
(回転数Ne,トルクTe)とエネルギPeとの関係を
マップとしたものを用いてエンジン50の目標回転数N
e*と目標回転数Ne*とを設定した。
【0040】ここで、曲線Aを連続する曲線で結ぶの
は、エネルギPeの変化に対して不連続な曲線によりエ
ンジン50の運転ポイントを定めると、エネルギPeが
不連続な運転ポイントを跨いで変化するときにエンジン
50の運転状態が急変することになり、その変化の程度
によっては、目標の運転状態にスムースに移行できずノ
ッキングを生じたり停止してしまう場合があるからであ
る。したがって、このように曲線Aを連続する曲線で結
ぶと、曲線A上の各運転ポイントがエネルギ一定の曲線
上で最も効率が高い運転ポイントとならない場合もあ
る。なお、図6中、回転数NeminとトルクTemi
nとにより表わされる運転ポイントAminは、エンジ
ン50から出力可能な最小エネルギの運転ポイントであ
る。
【0041】こうしてエンジン50の目標回転数Ne*
と目標トルクTe*とを設定すると、これらの設定した
値を用いてクラッチモータ30,アシストモータ40お
よびエンジン50の各制御を行なう(ステップS112
ないしS116)。実施例では、図示の都合上、クラッ
チモータ30,アシストモータ40およびエンジン50
の各制御を本ルーチンの別々のステップとして記載した
が、実際には、これらの制御は本ルーチンとは別個独立
にかつ総合的に行なわれる。例えば、制御CPU90が
割り込み処理を利用して、クラッチモータ30とアシス
トモータ40の制御を本ルーチンとは異なるタイミング
で平行して実行すると共に、通信によりEFIECU7
0に指示を送信して、EFIECU70によりエンジン
50の制御も平行して行なわせるのである。
【0042】クラッチモータ30の制御(図4のステッ
プS112)は、図8に例示するクラッチモータ制御ル
ーチンによってなされる。このルーチンが実行される
と、制御装置80の制御CPU90は、まず、エンジン
50の回転数Neを読み込む処理を実行する(ステップ
S120)。エンジン50の回転数Neは、クランクシ
ャフト56に取り付けられたレゾルバ39により検出さ
れるクランクシャフト56の回転角度θeから求めるこ
ともできるし、ディストリビュータ60に設けられた回
転数センサ76により検出される値をEFIECU70
からの通信により得るものとしてもよい。続いて、読み
込んだエンジン50の回転数Neと目標回転数Ne*と
に基づいて次式(1)により算出される値をクラッチモ
ータ30のトルク指令値Tc*に設定する(ステップS
122)。ここで、式(1)中の右辺第1項は前回この
ルーチンが起動されたときにこのステップで設定された
クラッチモータ30のトルク指令値Tc*であり、右辺
第2項は回転数Neの目標回転数Ne*からの偏差を打
ち消す比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくすた
めの積分項である。このようにクラッチモータ30のト
ルク指令値Tc*をエンジン50の回転数Neに基づい
て設定しクラッチモータ30のトルクTcを制御するこ
とにより、エンジン50を目標回転数Ne*で運転する
ことができるのである。
【0043】
【数1】
【0044】次に、駆動軸22の回転角度θdをレゾル
バ48から、エンジン50のクランクシャフト56の回
転角度θeをレゾルバ39から入力する処理を行ない
(ステップS124,S126)、クラッチモータ30
の電気角θcを両軸の回転角度θe,θdから求める処
理を行なう(ステップS128)。実施例では、クラッ
チモータ30として4極対の同期電動機を用いているか
ら、θc=4(θe−θd)を演算することになる。
【0045】30の電気角θcを算出すると、電流検出
器95,96により検出されるクラッチモータ30の三
相コイル36のU相とV相に流れている電流Iuc,I
vcを読み込む処理を行なう(ステップS130)。電
流はU,V,Wの三相に流れているが、その総和はゼロ
なので、二つの相に流れる電流を測定すれば足りる。こ
うして得られた三相の電流を用いて座標変換(三相−二
相変換)を行なう(ステップS132)。座標変換は、
永久磁石型の同期電動機のd軸,q軸の電流値に変換す
ることであり、次式(2)を演算することにより行なわ
れる。ここで座標変換を行なうのは、永久磁石型の同期
電動機においては、d軸及びq軸の電流が、トルクを制
御する上で本質的な量だからである。もとより、三相の
まま制御することも可能である。
【0046】
【数2】
【0047】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
34)。即ち、まず以下の式(3)の演算を行ない、次
に次式(4)の演算を行なうのである。ここで、Kp
1,2及びKi1,2は、各々係数である。これらの係
数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。なお、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(式(4)右辺第1項)
と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)とか
ら求められる。
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS132で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS136)、
実際に三相コイル36に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(5)に
より求める。
【0051】
【数5】
【0052】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(5)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS138)。
【0053】なお、クラッチモータ30の制御は、トル
ク指令値Tc*の符号を駆動軸22にクランクシャフト
56の回転方向に正のトルクが作用するときを正とする
と、正の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エン
ジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大
きいとき(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生さ
せる回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小
さいとき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、クランクシャフト56に対して相対的に
回転数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の
回転方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモー
タ30の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が
正の値であれば、共にアウタロータ32に取り付けられ
た永久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36
に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のト
ルクが駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6を制御するものである
から、同一のスイッチング制御となる。即ち、トルク指
令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ30
の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じス
イッチング制御となる。したがって、図8のクラッチモ
ータ制御ルーチンで回生制御と力行制御のいずれも行な
うことができる。また、トルク指令値Tc*が負の値の
とき、即ち駆動軸22を制動しているときや車両を後進
させているときは、ステップS128のクラッチモータ
30の電気角θcの変化の方向が逆になるから、この際
の制御も図8のクラッチモータ制御ルーチンにより行な
うことができる。
【0054】次に、アシストモータ40の制御(図4の
ステップS114)について図9および図10に例示す
るアシストモータ制御ルーチンに基づき説明する。アシ
ストモータ制御ルーチンが実行されると、制御装置80
の制御CPU90は、まず、駆動軸22に出力すべきト
ルクの指令値Td*からクラッチモータ30のトルク指
令値Tc*を減じてアシストモータ40のトルク指令値
Ta*を設定する(ステップS140)。このようにア
シストモータ40のトルク指令値Ta*を設定すること
により、駆動軸22にトルク指令値Td*に相当するト
ルクを出力することができるのである。
【0055】続いて、エンジン50の回転数Neと駆動
軸22の回転数Ndとを読み込み(ステップS14
2)、読み込んだ回転数Neと回転数Ndとを用いて次
式(6)および式(7)によりクラッチモータ電力Pc
とアシストモータ電力Paとを算出する(ステップS1
44,S146)。ここで、実施例では、クラッチモー
タ電力Pcの符号はクラッチモータ30が発電機として
動作して電力を発電するときを正とし、アシストモータ
電力Paはアシストモータ40が電動機として動作して
電力を消費するときを正とした。
【0056】 Pc=Tc*×(Ne−Nd) …(6) Pa=Ta*×Nd …(7)
【0057】次に、クラッチモータ電力Pcからアシス
トモータ電力Paを減じてバッテリ94の充放電電力P
bを算出し(ステップS148)、算出した充放電電力
Pbが閾値Pb1と閾値Pb2とにより表わされる充放
電範囲内にあるか否かを判定する(ステップS15
0)。ここで、充放電電力Pbは、上述のクラッチモー
タ電力Pcとアシストモータ電力Paとの符号の付け方
から解るように、バッテリ94を充電するときに正の値
となり、バッテリ94から電力の放電がなされるときに
負の値となる。また、充放電可能範囲は、バッテリ94
の充放電が許容される電力の範囲であり、バッテリ94
の性能などによって定められる。したがって、閾値Pb
1は負の値として設定され、閾値Pb2は正の値として
設定されることになる。
【0058】充放電電力Pbが充放電可能範囲外となる
ときには、充放電電力Pbが充放電可能範囲内となるよ
うアシストモータ40のトルク指令値Ta*を再設定す
る(ステップS152,S154)。即ち、充放電電力
Pbが閾値Pb1より小さいときには次式(8)によ
り、充放電電力Pbが閾値Pb2より大きいときには次
式(9)により、アシストモータ40のトルク指令値T
a*を再設定するのである。このようにアシストモータ
40のトルク指令値Ta*を再設定することにより、充
放電可能範囲内の電力によってバッテリ94を充放電す
ることができる。
【0059】 Ta*=(Pc−Pb1)/Nd …(8) Ta*=(Pc−Pb2)/Nd …(9)
【0060】こうしてバッテリ94が充放電可能範囲内
の電力で充放電されるようアシストモータ40のトルク
指令値Ta*を再設定すると、次に、駆動軸22の回転
角度θdをレゾルバ48を用いて検出し(ステップS1
56)、検出した駆動軸22の回転角度θdからアシス
トモータ40の電気角θaを求める処理を行なう(ステ
ップS158)。実施例では、アシストモータ40にも
4極対の同期電動機を用いているから、θa=4θdを
演算することになる。そして、アシストモータ40の各
相電流を電流検出器97,98を用いて検出する処理
(ステップS160)を行なう。その後、クラッチモー
タ30と同様の座標変換(ステップS162)および電
圧指令値Vda,Vqaの演算を行ない(ステップS1
64)、更に電圧指令値の逆座標変換(ステップS16
6)を行なって、アシストモータ40の第2の駆動回路
92のトランジスタTr11ないしTr16のオンオフ
制御時間を求め、PWM制御を行なう(ステップS16
8)。これらのステップS160ないしステップS16
8の処理は、クラッチモータ30の制御として説明した
図8のステップS130ないしS138の処理と同一で
ある。
【0061】ここで、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*は、アシストモータ40が力行駆動されるか回
生駆動されるかにより正の値となったり負の値となった
りする。しかし、アシストモータ40の力行制御と回生
制御は、クラッチモータ30の制御と同様に、共に図9
および図10のアシストモータ制御ルーチンで行なうこ
とができる。また、駆動軸22がクランクシャフト56
の回転方向と逆向きに回転しているときも同様である。
なお、アシストモータ40のトルク指令値Ta*の符号
は、駆動軸22にクランクシャフト56の回転方向に正
のトルクが作用するときを正とした。
【0062】次に、エンジン50の制御(図4のステッ
プS116)について説明する。エンジン50は、目標
回転数Ne*と目標トルクTe*とにより表わされる運
転ポイントで定常運転状態となるようその回転数Neと
トルクTeとが制御される。具体的には、エンジン50
が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とで表わされる
運転ポイントで運転されるよう、制御CPU90から通
信により目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信
したEFIECU70によってスロットルバルブ66の
開度制御,燃料噴射弁51からの燃料噴射制御および点
火プラグ62による点火制御が行なわれると共に、制御
装置80の制御CPU90によりエンジン50の負荷ト
ルクとしてのクラッチモータ30のトルクTcを制御が
行なわれるのである。エンジン50は、その負荷トルク
により出力トルクTeと回転数Neとが変化するから、
EFIECU70による制御だけでは目標トルクTe*
および目標回転数Ne*の運転ポイントで運転すること
はできず、負荷トルクを与えるクラッチモータ30のト
ルクTcの制御も必要となるからである。なお、クラッ
チモータ30のトルクTcの制御は、前述したクラッチ
モータ30の制御で説明した。
【0063】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0によれば、バッテリ94を充放電する充放電電力Pb
が充放電可能範囲内にないときには、充放電可能範囲内
となるようにアシストモータ40のトルク指令値Ta*
を再設定するから、バッテリ94の過剰な電力による充
電や、バッテリ94からの過剰な電力の放電を回避する
ことができる。この結果、バッテリ94を破損するとい
った不都合や、大電流が流れることによるヒューズの切
断といった不都合を回避することができる。しかも、ク
ラッチモータ30のトルク制御によってエンジン50の
回転数Neを制御し、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*を再設定することによってバッテリ94の充放
電電力Pbを充放電可能範囲内とするから、充放電電力
Pbの制御に拘わらず、エンジン50を安定して目標回
転数Ne*で運転することができる。
【0064】もとより、エンジン50から出力する動力
をクラッチモータ30とアシストモータ40とによりト
ルク変換して駆動軸22に出力するから、動力出力装置
20をより効率のよいものにすることができる。
【0065】第1実施例の動力出力装置20では、クラ
ッチモータ30とアシストモータ40とをそれぞれ別個
に駆動軸22に取り付けたが、図11に例示する変形例
の動力出力装置20Aのように、クラッチモータとアシ
ストモータとが一体となるよう構成してもよい。この変
形例の動力出力装置20Aの構成について以下に簡単に
説明する。図示するように、変形例の動力出力装置20
Aのクラッチモータ30Aは、クランクシャフト56に
結合したインナロータ34Aと、駆動軸22に結合した
アウタロータ32Aとから構成され、インナロータ34
Aには三相コイル36Aが取り付けられており、アウタ
ロータ32Aには永久磁石35Aがその外周面側の磁極
と内周面側の磁極とが異なるよう嵌め込まれている。な
お、図示しないが、永久磁石35Aの外周面側の磁極と
内周面側の磁極との間には、非磁性体により構成された
部材が嵌挿されている。一方、アシストモータ40A
は、このクラッチモータ30Aのアウタロータ32A
と、三相コイル44が取り付けられたステータ43とか
ら構成される。すなわち、クラッチモータ30Aのアウ
タロータ32Aがアシストモータ40Aのロータを兼ね
る構成となっている。なお、クランクシャフト56に結
合したインナロータ34Aに三相コイル36Aが取り付
けられているから、クラッチモータ30Aの三相コイル
36Aに電力を供給するスリップリング38は、クラン
クシャフト56に取り付けられている。
【0066】この変形例の動力出力装置20Aでは、ア
ウタロータ32Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの内周
面側の磁極に対してインナロータ34Aの三相コイル3
6Aに印加する電圧を制御することにより、クラッチモ
ータ30とアシストモータ40とを駆動軸22に別個に
取り付けた前述の動力出力装置20のクラッチモータ3
0と同様に動作する。また、アウタロータ32Aに嵌め
込まれた永久磁石35Aの外周面側の磁極に対してステ
ータ43の三相コイル44に印加する電圧を制御するこ
とにより実施例の動力出力装置20のアシストモータ4
0と同様に動作する。したがって、変形例の動力出力装
置20Aは、上述した実施例の動力出力装置20が行な
うすべての動作について同様に動作する。
【0067】こうした変形例の動力出力装置20Aによ
れば、アウタロータ32Aがクラッチモータ30Aのロ
ータの一方とアシストモータ40Aのロータとを兼ねる
から、動力出力装置の小型化および軽量化を図ることが
できる。
【0068】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、アシストモータ40を駆動軸22に取り付けたが、
図12の変形例の動力出力装置20Bに示すように、ア
シストモータ40をエンジン50とクラッチモータ30
との間のクランクシャフト56に取り付けてもよい。こ
うした変形例の動力出力装置20Bは次のように動作す
る。いま、エンジン50が、図3のトルクと回転数とに
より表わされる出力エネルギ一定の曲線上の回転数Ne
が値N1でトルクTeが値T1の運転ポイントP1で運
転されており、駆動軸22が値N2の回転数Ndの回転
数で回転しているとする。クランクシャフト56に取り
付けられたアシストモータ40からクランクシャフト5
6にトルクTa(Ta=T2−T1)を出力すれば、図
3の領域G2と領域G3の和で表わされるエネルギがク
ランクシャフト56に与えられて、クランクシャフト5
6のトルクは値T2(T1+Ta)となる。一方、クラ
ッチモータ30のトルクTcを値T2として制御すれ
ば、駆動軸22にこのトルクTc(T1+Ta)が出力
されると共に、エンジン50の回転数Neと駆動軸22
の回転数Ndとの回転数差Ncに基づく電力(領域G1
と領域G3との和で表わされるエネルギ)が回生され
る。したがって、アシストモータ40のトルクTaをク
ラッチモータ30により回生される電力により丁度賄え
るよう設定し、この回生電力を電源ラインL1,L2を
介して第2の駆動回路92に供給すれば、アシストモー
タ40は、この回生電力により駆動することになる。
【0069】また、エンジン50が、図3中の回転数N
eが値N2でトルクTeが値T2の運転ポイントP2で
運転されており、駆動軸22が値N2の回転数Ndで回
転しているときを考える。このとき、アシストモータ4
0のトルクTaをT2−T1で求められる値として制御
すれば、アシストモータ40は回生制御され、図3中の
領域G2で表わされるエネルギ(電力)をクランクシャ
フト56から回生する。一方、クラッチモータ30は、
インナロータ34がアウタロータ32に対して回転数差
Nc(N1−N2)の回転数で駆動軸22の回転方向に
相対的に回転するから、通常のモータとして機能し、回
転数差Ncに応じた領域G1で表わされるエネルギを駆
動軸22に回転エネルギとして与える。したがって、ア
シストモータ40のトルクTaを、アシストモータ40
により回生される電力でクラッチモータ30により消費
される電力を丁度賄えるよう設定すれば、クラッチモー
タ30は、アシストモータ40により回生される電力に
よって駆動することになる。
【0070】したがって、変形例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20と同様に、アシス
トモータ40のトルクTaおよびクラッチモータ30の
トルクTcを、次式(10)および式(11)が成り立
つよう制御すれば、エンジン50から出力されるエネル
ギを自由にトルク変換して駆動軸22に付与することが
できる。また、変形例の動力出力装置20Bでも、第1
実施例の動力出力装置20と同様に、こうしたエンジン
50から出力される動力のすべてをトルク変換して駆動
軸22に出力する動作の他に、エンジン50から出力さ
れる動力(トルクTeと回転数Neとの積)を駆動軸2
2に要求される動力(トルクTdと回転数Ndとの積)
より大きくして余剰の電気エネルギを見い出し、バッテ
リ94の充電を伴う動作としたり、逆にエンジン50か
ら出力される動力を駆動軸22に要求される動力より小
さくして電気エネルギが不足するものし、バッテリ94
から放電を伴う動作とすることもできる。
【0071】Te×Ne=Tc×Nd …(10) Te+Ta=Tc=Td …(11)
【0072】したがって、変形例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20と同様に図4のト
ルク制御ルーチンを実行することができ、第1実施例の
動力出力装置20が奏する効果と同様に効果を奏するこ
とができる。なお、変形例の動力出力装置20Bでは、
アシストモータ40がクランクシャフト56に取り付け
られていることから、クラッチモータ30の制御は図8
のクラッチモータ制御ルーチンに代えて図13に例示す
るクラッチモータ制御ルーチンにより行ない、アシスト
モータ40の制御は図9および図10のアシストモータ
制御ルーチンに代えて図14と図10とによるアシスト
モータ制御ルーチンにより行なう必要がある。以下、こ
のクラッチモータ30の制御とアシストモータ40の制
御について説明する。説明の都合上、まず、アシストモ
ータ40の制御から説明する。
【0073】図14と図10とからなるアシストモータ
制御ルーチンが実行されると、制御装置80の制御CP
U90は、まず、エンジン50の回転数Neを読み込み
(ステップS190)、読み込んだ回転数Neとエンジ
ン150の目標回転数Ne*とを用いて次式(12)に
よって算出される値をアシストモータ40のトルク指令
値Ta*に設定する(ステップS192)。ここで、式
(12)中の右辺第1項は前回このルーチンが起動され
たときにこのステップで設定されたアシストモータ40
のトルク指令値Ta*であり、右辺第2項は回転数Ne
の目標回転数Ne*からの偏差を打ち消す比例項であ
り、右辺第3項は定常偏差をなくすための積分項であ
る。このようにアシストモータ40のトルク指令値Ta
*をエンジン50の回転数Neに基づいて設定しアシス
トモータ40のトルクTaを制御することにより、エン
ジン50を目標回転数Ne*で運転することができる。
即ち、変形例の動力出力装置20Bでは、クランクシャ
フト56に取り付けられたアシストモータ40によりエ
ンジン50の回転数制御がなされるのである。こうして
アシストモータ40のトルク指令値Ta*を設定する
と、この設定したトルク指令値Ta*に相当するトルク
がアシストモータ40から出力されるよう図10の各処
理が行なわれる。この図10の各処理については詳述し
たので、ここでは省略する。
【0074】
【数6】
【0075】図13に例示するクラッチモータ制御ルー
チンが実行されると、制御装置80の制御CPU90
は、まず、駆動軸22にトルク指令値Td*を出力する
ために、クラッチモータ30のトルク指令値Tc*にト
ルク指令値Td*を設定する(ステップS170)。そ
して、図9のルーチンのステップS142ないしS15
0の処理と同一のステップS172ないしS180の処
理、即ちバッテリ94を充放電する充放電電力Pbを算
出し、この充放電電力Pbが充放電可能範囲内となって
いるか否かを判定する処理を行なう。そして、充放電電
力Pbが充放電可能範囲外のときには、充放電電力Pb
が充放電可能範囲内となるようクラッチモータ30のト
ルク指令値Tc*を再設定する(ステップS182,S
184)。即ち、充放電電力Pbが閾値Pb1より小さ
いときには次式(13)により、充放電電力Pbが閾値
Pb2より大きいときには次式(14)により、クラッ
チモータ30のトルク指令値Tc*を再設定するのであ
る。このようにクラッチモータ30のトルク指令値Tc
*を再設定することにより、充放電可能範囲内の電力に
よってバッテリ94を充放電することができる。
【0076】 Tc*=(Pb1+Pa)/(Ne−Nd) …(13) Tc*=(Pb2+Pa)/(Ne−Nd) …(14)
【0077】こうしてクラッチモータ30のトルク指令
値Tc*を設定すると、この設定したトルク指令値Tc
*に相当するトルクがクラッチモータ30から出力され
るよう図8のルーチンのステップS124ないしS13
8の処理と同一の処理が行なわれる。この処理について
は詳述したので、これ以上の説明は省略する。
【0078】以上説明したように、変形例の動力出力装
置20Bは、クラッチモータ30とアシストモータ40
の役割が異なるものの、第1実施例の動力出力装置20
と同様に動作することができるから、第1実施例の動力
出力装置20が奏する効果と同様の効果を奏することが
できる。
【0079】こうした変形例の動力出力装置20Bで
は、アシストモータ40をエンジン50とクラッチモー
タ30との間のクランクシャフト56に取り付けたが、
図15に例示する変形例の動力出力装置20Cのよう
に、アシストモータ40とクラッチモータ30とでエン
ジン50を挟持する配置としてもよい。
【0080】また、変形例の動力出力装置20Bを、図
16に例示する変形例の動力出力装置20Dのように、
クラッチモータとアシストモータとを一体となるよう構
成してもよい。こうした変形例の動力出力装置20Dで
は、図示するように、クラッチモータ30Dのアウタロ
ータ32Dがアシストモータ40Dのロータを兼ねる構
成となっており、アウタロータ32Dに嵌め込まれた永
久磁石35Dの内周面側の磁極に対してインナロータ3
4Dの三相コイル36に印加する電圧を制御することに
より、変形例の動力出力装置20Bのクラッチモータ3
0と同様の動作が可能となる。また、アウタロータ32
Dに嵌め込まれた永久磁石35Dの外周面側の磁極に対
してステータ43の三相コイル44に印加する電圧を制
御することにより、変形例の動力出力装置20Bのアシ
ストモータ40と同様の動作が可能となる。したがっ
て、変形例の動力出力装置20Dは、変形例の動力出力
装置20Bのすべての動作について全く同様に動作する
ことができる。この変形例の動力出力装置20Dによれ
ば、変形例の動力出力装置20Bが奏する効果、即ち第
1実施例の動力出力装置20が奏する効果の他に動力出
力装置の小型化および軽量化を図ることができるという
効果も奏する。
【0081】こうした第1実施例の動力出力装置20や
変形例の動力出力装置20Bは、アシストモータ40が
駆動軸22かクランクシャフト56のいずれかに取り付
けられていたが、図17の変形例の動力出力装置20E
に示すように、アシストモータ40Eを、クラッチCL
1,CL2により駆動軸22に取り付けた構成とした
り、クランクシャフト56に取り付ける構成としたりす
るものとしてもよい。変形例の動力出力装置20Eは、
図示するように、クランクシャフト56に取り付けられ
たインナロータ32Eと駆動軸22に取り付けられたア
ウタロータ34Eにより構成されるクラッチモータ30
Eと、クランクシャフト56と同軸上で中空の回転軸4
1に取り付けられたアシストモータ40Eと、クランク
シャフト56と回転軸41との接続および接続の解除を
行なうクラッチCL1と、クラッチモータ30Eのアウ
タロータ34Eを介して駆動軸22と回転軸41との接
続および接続の解除を行なうクラッチCL2とを備え
る。クラッチCL1,CL2は、図示しない油圧回路等
の駆動手段により駆動され、この駆動手段は、信号ライ
ンを介して制御装置80の制御CPU90によって駆動
制御を受けるようになっている。なお、回転軸41に
は、アシストモータ40Eの制御に必要な回転軸41の
回転角度を検出するレゾルバ41aが設けられている。
【0082】変形例の動力出力装置20Eは、クラッチ
CL1をオフ(接続の解除状態)とすると共にクラッチ
CL2をオン(接続状態)とすることにより、アシスト
モータ40Eが駆動軸22に取り付けられた構成とな
り、第1実施例の動力出力装置20と同一の構成とな
る。また、変形例の動力出力装置20Eは、クラッチC
L1をオンとすると共にクラッチCL2をオフとするこ
とにより、アシストモータ40Eがクランクシャフト5
6に取り付けられた構成となり、変形例の動力出力装置
20Bと同一の構成になる。したがって、変形例の動力
出力装置20Eは、クラッチCL1をオフとすると共に
クラッチCL2をオンとすることにより、第1実施例の
動力出力装置20により実行される図4のトルク制御ル
ーチン,図8のクラッチモータ制御ルーチン,図9およ
び図10のアシストモータ制御ルーチンによる制御を行
なうことができ、クラッチCL1をオンとすると共にク
ラッチCL2をオフとすることにより、変形例の動力出
力装置20Bにより実行される図4のトルク制御ルーチ
ン,図13のクラッチモータ制御ルーチン,図14と図
10とからなるアシストモータ制御ルーチンによる制御
を行なうことができる。この結果、変形例の動力出力装
置20Eは、第1実施例の動力出力装置20が奏する効
果や変形例の動力出力装置20Bが奏する効果を同様に
奏することができる。
【0083】第1実施例の動力出力装置20やその変形
例では、FR型あるいはFF型の車両に動力出力装置を
搭載したが、図18に例示する変形例の動力出力装置2
0Fのように、4輪駆動車(4WD)に適用してもよ
い。この構成では、駆動軸22に機械的に結合していた
アシストモータ40を駆動軸22より分離して、車両の
後輪部に独立して配置し、このアシストモータ40によ
って後輪部の駆動輪27,29を駆動する。一方、駆動
軸22の先端はギヤ23を介してディファレンシャルギ
ヤ24に結合されており、この駆動軸22によって前輪
部の駆動輪26,28を駆動する。このような構成の下
においても、前述した第1実施例を実現することは可能
である。
【0084】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、クラッチモータ30に対する電力の伝達手段として
回転リング38aとブラシ38bとからなるスリップリ
ング38を用いたが、回転リング−水銀接触、磁気エネ
ルギの半導体カップリング、回転トランス等を用いるこ
ともできる。
【0085】次に、本発明の第2の実施例としての動力
出力装置110について説明する。図19は第2実施例
としての動力出力装置110の概略構成を示す構成図、
図20は第2実施例の動力出力装置110の部分拡大
図、図21は第2実施例の動力出力装置110を組み込
んだ車両の概略構成を示す構成図である。
【0086】第2実施例の動力出力装置110が組み込
まれた車両は、図21に示すように、クランクシャフト
156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが
取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モ
ータMG1およびモータMG2が取り付けられている点
を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた
車両(図2)と同様の構成をしている。したがって、第
2実施例の動力出力装置110の構成のうち第1実施例
の動力出力装置20と同一の構成については、値100
を加えた符号を付し、その説明は省略する。なお、第2
実施例の動力出力装置110の説明でも、明示しない限
り第1実施例の動力出力装置20の説明の際に用いた符
号はそのまま同じ意味で用いる。
【0087】図19に示すように、第2実施例の動力出
力装置110は、大きくは、エンジン150、エンジン
150のクランクシャフト156にプラネタリキャリア
124が機械的に結合されたプラネタリギヤ120、プ
ラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたモー
タMG1、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に
結合されたモータMG2およびモータMG1,MG2を
駆動制御する制御装置180から構成されている。
【0088】図20に示すように、プラネタリギヤ12
0は、クランクシャフト156に軸中心を貫通された中
空のサンギヤ軸125に結合されたサンギヤ121と、
クランクシャフト156と同軸のリングギヤ軸126に
結合されたリングギヤ122と、サンギヤ121とリン
グギヤ122との間に配置されサンギヤ121の外周を
自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ1
23と、クランクシャフト156の端部に結合され各プ
ラネタリピニオンギヤ123の回転軸を軸支するプラネ
タリキャリア124とから構成されている。このプラネ
タリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ12
2およびプラネタリキャリア124にそれぞれ結合され
たサンギヤ軸125,リングギヤ軸126およびプラネ
タリキャリア124(クランクシャフト156)の3軸
が動力の入出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入
出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力さ
れる動力は決定された2軸へ入出力される動力に基づい
て定まる。なお、このプラネタリギヤ120の3軸への
動力の入出力についての詳細は後述する。
【0089】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128がモータMG1側に結合されてい
る。この動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129
により動力伝達ギヤ111に接続されており、動力取出
ギヤ128と動力伝達ギヤ111との間で動力の伝達が
なされる。図21に示すように、この動力伝達ギヤ11
1はディファレンシャルギヤ114にギヤ結合されてい
る。したがって、動力出力装置110から出力された動
力は、最終的に左右の駆動輪116,118に伝達され
る。
【0090】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個(実施例では、N極が4個でS
極が4個)の永久磁石135を有するロータ132と、
回転磁界を形成する三相コイル134が巻回されたステ
ータ133とを備える。ロータ132は、プラネタリギ
ヤ120のサンギヤ121に結合されたサンギヤ軸12
5に結合されている。ステータ133は、無方向性電磁
鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース115に
固定されている。このモータMG1は、永久磁石135
による磁界と三相コイル134によって形成される磁界
との相互作用によりロータ132を回転駆動する電動機
として動作し、永久磁石135による磁界とロータ13
2の回転との相互作用により三相コイル134の両端に
起電力を生じさせる発電機として動作する。なお、サン
ギヤ軸125には、その回転角度θsを検出するレゾル
バ139が設けられている。
【0091】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個(実施例
では、N極が4個でS極が4個)の永久磁石145を有
するロータ142と、回転磁界を形成する三相コイル1
44が巻回されたステータ143とを備える。ロータ1
42は、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に結
合されたリングギヤ軸126に結合されており、ステー
タ143はケース115に固定されている。モータMG
2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を積層し
て形成されている。このモータMG2もモータMG1と
同様に、電動機あるいは発電機として動作する。なお、
リングギヤ軸126には、その回転角度θrを検出する
レゾルバ149が設けられている。
【0092】図19に示すように、第2実施例の動力出
力装置110が備える制御装置180は、第1実施例の
動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成さ
れている。すなわち、制御装置180は、モータMG1
を駆動する第1の駆動回路191、モータMG2を駆動
する第2の駆動回路192、両駆動回路191,192
を制御する制御CPU190、二次電池であるバッテリ
194から構成されており、制御CPU190は、内部
に、ワーク用のRAM190a、処理プログラムを記憶
したROM190b、入出力ポート(図示せず)および
EFIECU170と通信を行なうシリアル通信ポート
(図示せず)を備える。この制御CPU190には、第
1実施例の制御CPU90と同様に、レゾルバ139か
らのサンギヤ軸125の回転角度θs、レゾルバ149
からのリングギヤ軸126の回転角度θr、アクセルペ
ダルポジションセンサ164aからのアクセルペダルポ
ジションAP、ブレーキペダルポジションセンサ165
aからのブレーキペダルポジションBP、シフトポジシ
ョンセンサ184からのシフトポジションSP、第1の
駆動回路191に設けられた2つの電流検出器195,
196からの電流値Iu1,Iv2、第2の駆動回路1
92に設けられた2つの電流検出器197,198から
の電流値Iu2,Iv2、残容量検出器199からのバ
ッテリ194の残容量BRMなどが、入力ポートを介して
入力されている。
【0093】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192
内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トラ
ンジスタTr11ないしTr16は、それぞれトランジ
スタインバータを構成しており、それぞれ、一対の電源
ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよ
う2個ずつペアで配置され、その接続点に、第1の駆動
回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々
が、第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイ
ル144の各々が接続されている。電源ラインL1,L
2は、バッテリ194のプラス側とマイナス側に、それ
ぞれ接続されている。したがって、制御CPU190に
より対をなすトランジスタTr1ないしTr6,トラン
ジスタTr11ないしTr16のオン時間の割合を制御
信号SW1,SW2により順次制御し、三相コイル13
4,144に流れる電流をPWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル134,144により、回
転磁界が形成される。
【0094】次に、第2実施例の動力出力装置110の
動作について説明する。第2実施例の動力出力装置11
0の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン150を回転数NeとトルクTeとで表わ
される運転ポイントP1で運転し、このエンジン150
から出力されるエネルギPeと同一のエネルギであるが
異なる回転数NrとトルクTrとで表わされる運転ポイ
ントP2でリングギヤ軸126を運転する場合、即ち、
エンジン150から出力される動力をトルク変換してリ
ングギヤ軸126に作用させる場合について考える。こ
の時のエンジン150とリングギヤ軸126の回転数お
よびトルクの関係は、図22に示されている。
【0095】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124)における回転数やトルクの関係は、機構学の教
えるところによれば、図23および図24に例示する共
線図と呼ばれる図として表わすことができ、幾何学的に
解くことができる。なお、プラネタリギヤ120におけ
る3軸の回転数やトルクの関係は、上述の共線図を用い
なくても各軸のエネルギを計算することなどにより数式
的に解析することもできる。第2実施例では説明の容易
のため共線図を用いて説明する。
【0096】図23における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(15)
で表わされる。
【0097】
【数7】
【0098】いま、エンジン150が回転数Neで運転
されており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転さ
れている場合を考えているから、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、
リングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロット
することができる。この両点を通る直線を描けば、この
直線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサン
ギヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以
下、この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、
回転数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式
(16))により求めることができる。このようにプラ
ネタリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ1
22およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2
つの回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した
2つの回転に基づいて決定される。
【0099】
【数8】
【0100】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、向きが同じで異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(17)および式(18)によって表わされ
る。
【0101】
【数9】
【0102】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力するトルクと同じ大きさで向きが
反対のトルクTrとトルクTerとの合力に対し大きさ
が同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるのであ
る。このトルクTm1はモータMG1により、トルクT
m2はモータMG2により作用させることができる。こ
のとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトルク
を作用させるから、モータMG1は発電機として動作す
ることになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生
する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向と
が同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0103】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図22に照らせば、運転ポ
イントP1で運転されているエンジン150から出力さ
れるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を、ト
ルク変換して、エネルギが同一でトルクTrと回転数N
rとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力
するのである。前述したように、リングギヤ軸126に
出力された動力は、動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝
達される。したがって、リングギヤ軸126に出力され
る動力と駆動輪116,118に伝達される動力とには
リニアな関係が成立するから、駆動輪116,118に
伝達される動力を、リングギヤ軸126に出力される動
力を制御することにより制御することができる。
【0104】図23に示す共線図ではサンギヤ軸125
の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数
Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、
図24に示す共線図のように負となる場合もある。この
ときには、モータMG1では、回転の方向とトルクの作
用する方向とが同じになるから、モータMG1は電動機
として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1を消費する。一方、モータM
G2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆に
なるから、モータMG2は発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126から回生することになる。こ
の場合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1と
モータMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しく
すれば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1を
モータMG2で丁度賄うことができる。
【0105】以上の説明から解るように、第2実施例の
動力出力装置110では、リングギヤ軸126の回転数
Nrに拘わらず、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
ことができる。このことは、第1実施例の動力出力装置
20と同様に、プラネタリギヤ120,モータMG1お
よびモータMG2とによるトルク変換の効率を100%
とすれば、エンジン150の運転ポイントは、リングギ
ヤ軸126に出力すべきエネルギPrと同一のエネルギ
を出力する運転ポイントであれば如何なるポイントであ
ってもよいこととなり、リングギヤ軸126に出力すべ
きエネルギPrと同一のエネルギを出力することを条件
にリングギヤ軸126の回転数Nrに拘わらず自由に定
めることができることを意味する。したがって、第2実
施例の動力出力装置110は、第1実施例の動力出力装
置20と同様に、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
動作の他に、エンジン150から出力される動力(トル
クTeと回転数Neとの積)をリングギヤ軸126に要
求される動力(トルクTrと回転数Nrとの積)より大
きくして余剰の電気エネルギを見い出し、バッテリ19
4の充電を伴う動作としたり、逆にエンジン150から
出力される動力をリングギヤ軸126に要求される動力
より小さくして電気エネルギが不足するものし、バッテ
リ194から放電を伴う動作とすることもできる。
【0106】こうした第2実施例の動力出力装置110
は、上述したように、プラネタリギヤ120の動作を考
慮する必要があるが、エンジン150の運転ポイントと
リングギヤ軸126の運転ポイントとを独立に設定でき
るから、第1実施例の動力出力装置20と同様な処理、
即ち図4のトルク制御ルーチンと同様な処理を行なうこ
とができる。図25に第2実施例の動力出力装置110
において実行されるトルク制御ルーチンの一例を示す。
図示するように、図25のトルク制御ルーチンは、図4
のトルク制御ルーチンと比較すると、駆動軸22の回転
数Ndや駆動軸22に出力すべきトルクの指令値Td
*,駆動軸22に出力すべきエネルギPdなどをリング
ギヤ軸126の回転数Nrやリングギヤ軸126に出力
すべきトルクの指令値Tr*,リングギヤ軸126に出
力すべきエネルギPrなどに変更し(ステップS200
〜S210)、設定されたエンジン150の目標回転数
Ne*を回転数Neに代えて上述した式(16)を用い
てサンギヤ軸125の目標回転数Ns*を設定する処理
(ステップS211)を追加し、更に、クラッチモータ
30およびアシストモータ40の制御をモータMG1お
よびモータMG2の制御(ステップS212およびS2
14)に変更したものである。第2実施例の動力出力装
置110のリングギヤ軸126は、動力取出ギヤ12
8,チェーンベルト129,動力伝達ギヤ111および
ディファレンシャルギヤ114を介して駆動輪116,
118に接続されているから、第1実施例の動力出力装
置20の駆動軸22に相当する。したがって、サンギヤ
軸125の目標回転数Ns*の設定とモータMG1およ
びモータMG2の制御を除けば、図25のトルク制御ル
ーチンは、図4のトルク制御ルーチンと同一の処理とい
うことができる。以下、モータMG1およびモータMG
2の制御について説明する。なお、ステップS200の
リングギヤ軸126の回転数Nrの読み込みは、リング
ギヤ軸126に設けられたレゾルバ149により検出さ
れるリングギヤ軸126の回転角度θrから求めること
ができる。
【0107】モータMG1の制御(図25のステップS
212)は、図26に例示するモータMG1の制御ルー
チンにより行なわれる。このルーチンが実行されると、
制御装置180の制御CPU190は、まず、サンギヤ
軸125の回転数Nsを読み込む処理を実行する(ステ
ップS220)。サンギヤ軸125の回転数Nsは、レ
ゾルバ139により検出されるサンギヤ軸125の回転
角度θsから求めることができる。続いて、読み込んだ
回転数Nsとサンギヤ軸125の目標回転数Ns*とを
用いて次式(19)により算出される値をモータMG1
のトルク指令値Tm1*に設定する(ステップS22
2)。ここで、式(19)中の右辺第1項は前回このル
ーチンが起動されたときにこのステップで設定されたモ
ータMG1のトルク指令値Tm1*であり、右辺第2項
は回転数Nsの目標回転数Ns*からの偏差を打ち消す
比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくすための積
分項である。このようにモータMG1のトルク指令値T
m1*をサンギヤ軸125の回転数Nsに基づいて設定
しモータMG1のトルクTm1を制御することにより、
サンギヤ軸125を目標回転数Ns*で回転させること
ができる。この結果、上述の式(16)の関係から、エ
ンジン150を目標回転数Ne*で運転することができ
るのである。
【0108】
【数10】
【0109】こうしてモータMG1のトルク指令値Tm
1*を設定すると、図9および図10のアシストモータ
制御ルーチンのステップS156ないしS168の処理
と同様であるステップS226ないしS238の処理を
実行する。これらの処理についての詳細な説明は既にし
ているから、ここでは省略する。
【0110】モータMG2の制御(図25のステップS
214)は、図27および図28に例示するモータMG
2の制御ルーチンによって行なわれる。このルーチンが
実行されると、制御装置180の制御CPU190は、
まず、次式(20)によって算出される値をモータMG
2のトルク指令値Tm2*に設定する(ステップS24
0)。ここで、式(20)は、図23や図24の共線図
における動作共線の釣り合いから求めることができる。
【0111】
【数11】
【0112】そして、図9および図10のアシストモー
タ制御ルーチンにおけるステップS142ないしS15
0の処理と同様なステップS242ないしS250の処
理、即ち、サンギヤ軸125の回転数Nsとリングギヤ
軸126の回転数Nrとを読み込み(ステップS24
2)、モータMG1の電力Pm1とモータMG2の電力
Pm2とを算出し(ステップS244,S246)、充
放電電力Pbを求めて(ステップS248)、これが充
放電可能範囲内となっているか否かを判定するするので
ある(ステップS250)。なお、第2実施例では、モ
ータMG1の電力Pm1は、モータMG1が発電機とし
て動作して電力を発電するときを正とし、モータMG2
の電力Pm2は、モータMG2が電動機として動作して
電力を消費するときを正とした。そして、充放電電力P
bが充放電可能範囲外のときには、充放電電力Pbが充
放電可能範囲内となるようモータMG2のトルク指令値
Tm2*を再設定する(ステップS252,S25
4)。即ち、充放電電力Pbが閾値Pb1より小さいと
きには次式(21)により、充放電電力Pbが閾値Pb
2より大きいときには次式(22)により、モータMG
2のトルク指令値Tm2*を再設定するのである。この
ようにモータMG2のトルク指令値Tm2*を再設定す
ることにより、充放電可能範囲内の電力によってバッテ
リ194を充放電することができる。
【0113】 Tm2*=(Pm1−Pb1)/Nr …(21) Tm2*=(Pm1−Pb2)/Nr …(22)
【0114】こうしてモータMG2のトルク指令値Tm
2*を設定すると、この設定したトルク指令値Tm2*
に相当するトルクがモータMG2から出力されるよう図
9および図10のルーチンのステップS156ないしS
168の処理と同様のステップS256ないしS268
の処理が行なわれる。この処理については詳述したの
で、これ以上の説明は省略する。
【0115】以上説明した第2実施例の動力出力装置1
10によれば、バッテリ194を充放電する充放電電力
Pbが充放電可能範囲内にないときには、充放電可能範
囲内となるようにモータMG2のトルク指令値Tm2*
を再設定するから、バッテリ194の過剰な電力による
充電や、バッテリ194からの過剰な電力の放電を回避
することができる。この結果、バッテリ194を破損す
るといった不都合や、大電流が流れることによるヒュー
ズの切断といった不都合を回避することができる。しか
も、モータMG1のトルク制御によってエンジン150
の回転数Neを制御し、モータMG2のトルク指令値T
m2*を再設定することによってバッテリ194の充放
電電力Pbを充放電可能範囲内とするから、充放電電力
Pbの制御に拘わらず、エンジン150を安定して目標
回転数Ne*で運転することができる。
【0116】もとより、エンジン150から出力する動
力をプラネタリギヤ120,モータMG1およびモータ
MG2によりトルク変換してリングギヤ軸126、延い
ては駆動輪116,118に出力するから、動力出力装
置110をより効率のよいものにすることができる。
【0117】第2実施例の動力出力装置110では、リ
ングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122
に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1
とモータMG2との間から取り出したが、図29の変形
例の動力出力装置110Aに示すように、リングギヤ軸
126を延出してケース115から取り出すものとして
もよい。また、図30の変形例の動力出力装置110B
に示すように、エンジン150側からプラネタリギヤ1
20,モータMG2,モータMG1の順になるよう配置
してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空でな
くてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必要
がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに出力され
た動力をエンジン150とモータMG2との間から取り
出すことができる。
【0118】第2実施例の動力出力装置110では、モ
ータMG2をリングギヤ軸126に取り付けたが、図3
1に例示する変形例の動力出力装置110Cのように、
モータMG2をクランクシャフト156に取り付けるも
のとしてもよい。この変形例の動力出力装置110Cで
は、図31に示すように、プラネタリギヤ120のサン
ギヤ121に結合されたサンギヤ軸125Cにはモータ
MG1のロータ132が取り付けられており、プラネタ
リキャリア124には、第2実施例の動力出力装置11
0と同様に、エンジン150のクランクシャフト156
が取り付けられている。このクランクシャフト156に
は、モータMG2のロータ142と、クランクシャフト
156の回転角度θeを検出するレゾルバ157とが取
り付けられている。プラネタリギヤ120のリングギヤ
122に取り付けられたリングギヤ軸126Cは、その
回転角度θrを検出するレゾルバ149が取り付けられ
ているだけで、動力取出ギヤ128に結合されている。
【0119】この変形例の動力出力装置110Cは次の
ように動作する。エンジン150を回転数Neとトルク
Teとで表わされる運転ポイントP1で運転し、エンジ
ン150から出力されるエネルギPe(Pe=Ne×T
e)と同じエネルギPr(Pr=Nr×Tr)となる回
転数NrとトルクTrとで表わされる運転ポイントP2
でリングギヤ軸126Cを運転する場合、すなわち、エ
ンジン150から出力される動力をトルク変換してリン
グギヤ軸126Cに作用させる場合について考える。こ
の状態の共線図を図32および図33に例示する。
【0120】図32の共線図における動作共線の釣り合
いを考えると、次式(23)ないし式(26)が導き出
される。即ち、式(23)はエンジン150から入力さ
れるエネルギPeとリングギヤ軸126Cに出力される
エネルギPrの釣り合いから導き出され、式(24)は
クランクシャフト156を介してプラネタリキャリア1
24に入力されるエネルギの総和として導き出される。
また、式(25)および式(26)はプラネタリキャリ
ア124に作用するトルクを座標軸Sおよび座標軸Rを
作用線とするトルクに分離することにより導出される。
【0121】
【数12】
【0122】この動作共線がこの状態で安定であるため
には、動作共線の力の釣り合いがとれればよいから、ト
ルクTm1とトルクTcsとを等しく、かつ、トルクT
rとトルクTcrとを等しくすればよい。以上の関係か
らトルクTm1およびトルクTm2を求めれば、次式
(27)および式(28)のように表わされる。
【0123】
【数13】
【0124】したがって、モータMG1により式(2
7)で求められるトルクTm1をサンギヤ軸125Cに
作用させ、モータMG2により式(28)で求められる
トルクTm2をクランクシャフト156に作用させれ
ば、エンジン150から出力されるトルクTeおよび回
転数Neで表わされる動力をトルクTrおよび回転数N
rで表わされる動力にトルク変換してリングギヤ軸12
6Cに出力することができる。なお、この共線図の状態
では、モータMG1は、ロータ132の回転の方向とト
ルクの作用方向が逆になるから、発電機として動作し、
トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネ
ルギPm1を回生する。一方、モータMG2は、ロータ
142の回転の方向とトルクの作用方向が同じになるか
ら、電動機として動作し、トルクTm2と回転数Nrと
の積で表わされる電気エネルギPm2を消費する。
【0125】図32に示す共線図ではサンギヤ軸125
Cの回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転
数Neとリングギヤ軸126Cの回転数Nrとによって
は、図33に示す共線図のように負となる場合もある。
このときには、モータMG1は、ロータ132の回転の
方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、電動
機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表
わされる電気エネルギPm1を消費する。一方、モータ
MG2は、ロータ142の回転の方向とトルクの作用す
る方向とが逆になるから、発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126Cから回生することになる。
【0126】以上説明したように、変形例の動力出力装
置110Cでも、第2実施例の動力出力装置110と同
様に、図25のトルク制御ルーチンを実行することがで
き、第2実施例の動力出力装置110が奏する効果と同
様に効果を奏することができる。なお、変形例の動力出
力装置110Cでは、モータMG2がクランクシャフト
156に取り付けられていることから、モータMG1の
制御は図26のモータMG1の制御ルーチンに代えて図
34に例示するモータMG1の制御ルーチンにより行な
い、モータMG2の制御は図27および図28のモータ
MG2の制御ルーチンに代えて図35と図28とによる
モータMG2の制御ルーチンにより行なう必要がある。
以下、このモータMG1の制御とモータMG2の制御に
ついて説明する。説明の都合上、まず、モータMG2の
制御から説明する。
【0127】図35と図28とからなるモータMG2の
制御ルーチンが実行されると、制御装置180の制御C
PU190は、まず、エンジン50の回転数Neを読み
込み(ステップS290)、読み込んだ回転数Neとエ
ンジン150の目標回転数Ne*とを用いて次式(2
9)によって算出される値をモータMG2のトルク指令
値Tm2*に設定する(ステップS292)。ここで、
式(29)中の右辺第1項は前回このルーチンが起動さ
れたときにこのステップで設定されたモータMG2のト
ルク指令値Tm2*であり、右辺第2項は回転数Neの
目標回転数Ne*からの偏差を打ち消す比例項であり、
右辺第3項は定常偏差をなくすための積分項である。こ
のようにモータMG2のトルク指令値Tm2*をエンジ
ン150の回転数Neに基づいて設定しモータMG2の
トルクTm2を制御することにより、エンジン150を
目標回転数Ne*で運転することができる。即ち、変形
例の動力出力装置110Cでは、クランクシャフト15
6に取り付けられたモータMG2によりエンジン150
の回転数制御を行なうのである。こうしてモータMG2
のトルク指令値Tm2*を設定すると、この設定したト
ルク指令値Tm2*に相当するトルクがモータMG2か
ら出力されるよう図28の各処理が行なわれる。この図
28の各処理については詳述したので、ここでは省略す
る。
【0128】
【数14】
【0129】図34に例示するモータMG1の制御ルー
チンが実行されると、制御装置180の制御CPU19
0は、まず、リングギヤ軸126に出力すべきトルクの
指令値Tr*にプラネタリギヤ120のギヤ比ρを乗じ
たものをモータMG1のトルク指令値Tm1*に設定す
る(ステップS270)。そして、図27のルーチンの
ステップS242ないしS250の処理と同一のステッ
プS272ないしS280の処理、即ちバッテリ194
を充放電する充放電電力Pbを算出し、この充放電電力
Pbが充放電可能範囲内となっているか否かを判定する
処理を行なう。そして、充放電電力Pbが充放電可能範
囲外のときには、充放電電力Pbが充放電可能範囲内と
なるようモータMG1のトルク指令値Tm1*を再設定
する(ステップS282,S284)。即ち、充放電電
力Pbが閾値Pb1より小さいときには次式(30)に
より、充放電電力Pbが閾値Pb2より大きいときには
次式(31)により、モータMG1のトルク指令値Tm
1*を再設定するのである。このようにモータMG1の
トルク指令値Tm1*を再設定することにより、充放電
可能範囲内の電力によってバッテリ194を充放電する
ことができる。
【0130】 Tm1*=(Pm2+Pb1)/Ns …(30) Tm1*=(Pm2+Pb2)/Ns …(31)
【0131】こうしてモータMG1のトルク指令値Tm
1*を設定すると、この設定したトルク指令値Tm1*
に相当するトルクがモータMG1から出力されるよう図
26のルーチンのステップS226ないしS238の処
理と同一の処理が行なわれる。この処理については詳述
したので、これ以上の説明は省略する。
【0132】以上説明したように、変形例の動力出力装
置110Cは、モータMG1とモータMG2の役割が異
なるものの、第2実施例の動力出力装置110と同様に
動作することができるから、第2実施例の動力出力装置
110が奏する効果と同様の効果を奏することができ
る。
【0133】変形例の動力出力装置110Cでは、エン
ジン150とモータMG1とによりモータMG2を挟持
する配置としたが、図36の変形例の動力出力装置11
0Dに示すように、モータMG1とモータMG2とでエ
ンジン150を挟持する配置としてもよい。また、変形
例の動力出力装置110Cでは、リングギヤ軸126C
に出力された動力をリングギヤ122に結合された動力
取出ギヤ128を介してモータMG1とモータMG2と
の間から取り出したが、図37の変形例の動力出力装置
110Eに示すように、リングギヤ軸126Eを延出し
てケース115から取り出すものとしてもよい。
【0134】第2実施例の動力出力装置110やその変
形例では、FR型あるいはFF型の2輪駆動の車両に動
力出力装置を搭載するものとしたが、図38の変形例の
動力出力装置110Fに示すように、4輪駆動の車両に
適用するものとしてもよい。この構成では、リングギヤ
軸126に結合していたモータMG2をリングギヤ軸1
26より分離して、車両の後輪部に独立して配置し、こ
のモータMG2によって後輪部の駆動輪117,119
を駆動する。一方、リングギヤ軸126は動力取出ギヤ
128および動力伝達ギヤ111を介してディファレン
シャルギヤ114に結合されて前輪部の駆動輪116,
118を駆動する。このような構成の下においても、第
2実施例を実行することは可能である。
【0135】また、第2実施例の動力出力装置110や
その変形例では、3軸式動力入出力手段としてプラネタ
リギヤ120を用いたが、一方はサンギヤと他方はリン
グギヤとギヤ結合すると共に互いにギヤ結合しサンギヤ
の外周を自転しながら公転する2つ1組の複数組みのプ
ラネタリピニオンギヤを備えるダブルピニオンプラネタ
リギヤを用いるものとしてもよい。この他、3軸式動力
入出力手段として3軸のうちいずれか2軸に入出力され
る動力を決定すれば、この決定した動力に基づいて残余
の1軸に入出力される動力を決定されるものであれば如
何なる装置やギヤユニット等、例えば、ディファレンシ
ャルギヤ等を用いることもできる。
【0136】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0137】例えば、上述した第1実施例の動力出力装
置20やその変形例のエンジン50、あるいは第2実施
例の動力出力装置110やその変形例のエンジン150
としてガソリンエンジンを用いたが、その他に、ディー
ゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェットエンジ
ンなど各種の内燃あるいは外燃機関を用いることもでき
る。
【0138】また、第1実施例の動力出力装置20やそ
の変形例のクラッチモータ30やアシストモータ40、
あるいは第2実施例の動力出力装置110やその変形例
のモータMG1やモータMG2にPM形(永久磁石形;
Permanent Magnet type)同期電動機を用いたが、回生
動作および力行動作の双方が可能なものであれば、その
他にも、VR形(可変リラクタンス形;Variable Reluc
tance type)同期電動機や、バーニアモータや、直流電
動機や、誘導電動機や、超電導モータや、ステップモー
タなどを用いることもできる。
【0139】あるいは、第1実施例の動力出力装置20
やその変形例あるいは第2実施例の動力出力装置110
やその変形例では、第1および第2の駆動回路91,9
2,191,192としてトランジスタインバータを用
いたが、その他に、IGBT(絶縁ゲートバイポーラモ
ードトランジスタ;Insulated Gate Bipolar mode Tran
sistor)インバータや、サイリスタインバータや、電圧
PWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulation)イン
バータや、方形波インバータ(電圧形インバータ,電流
形インバータ)や、共振インバータなどを用いることも
できる。
【0140】また、バッテリ94,194としては、P
bバッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用
いることができるが、バッテリ194に代えてキャパシ
タを用いることもできる。
【0141】以上の実施例では、動力出力装置を車両に
搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、船舶,航空機などの交通手段や、
その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての動力出力装置2
0の概略構成を示す構成図である。
【図2】第1実施例の動力出力装置20を組み込んだ車
両の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施例の動力出力装置20の動作原理を説
明するためのグラフである。
【図4】第1実施例の制御装置80により実行されるト
ルク制御ルーチンを例示するフローチャートである。
【図5】アクセルペダルポジションAPと回転数Ndと
トルク指令値Td*との関係を例示するマップである。
【図6】エンジン50の運転ポイントと効率の関係を例
示するグラフである。
【図7】エネルギ一定の曲線に沿ったエンジン50の運
転ポイントの効率とエンジン50の回転数Neとの関係
を例示するグラフである。
【図8】第1実施例の制御装置80により実行されるク
ラッチモータ制御ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図9】第1実施例の制御装置80により実行されるア
シストモータ制御ルーチンの前半部を例示するフローチ
ャートである。
【図10】第1実施例の制御装置80により実行される
アシストモータ制御ルーチンの後半部を例示するフロー
チャートである。
【図11】第1実施例の変形例の動力出力装置20Aの
概略構成を示す構成図である。
【図12】第1実施例の変形例の動力出力装置20Bの
概略構成を示す構成図である。
【図13】変形例の動力出力装置20Bにより実行され
るクラッチモータ制御ルーチンの一部を例示するフロー
チャートである。
【図14】変形例の動力出力装置20Bにより実行され
るアシストモータ制御ルーチンの前半部を例示するフロ
ーチャートである。
【図15】第1実施例の変形例の動力出力装置20Cの
概略構成を示す構成図である。
【図16】第1実施例の変形例の動力出力装置20Dの
概略構成を示す構成図である。
【図17】第1実施例の変形例の動力出力装置20Eの
概略構成を示す構成図である。
【図18】第1実施例の変形例である動力出力装置20
Fの概略構成を示す構成図である。
【図19】第2実施例としての動力出力装置110の概
略構成を示す構成図である。
【図20】第2実施例の動力出力装置110の部分拡大
図である。
【図21】第2実施例の動力出力装置110を組み込ん
だ車両の概略の構成を例示する構成図である。
【図22】第2実施例の動力出力装置110の動作原理
を説明するためのグラフである。
【図23】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図24】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図25】第2実施例の制御装置180により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図26】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図27】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG2の制御ルーチンの前半部を例示するフロ
ーチャートである。
【図28】第2実施例の制御装置180により実行され
るモータMG2の制御ルーチンの後半部を例示するフロ
ーチャートである。
【図29】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Aの概略構成を示す構成図である。
【図30】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Bの概略構成を示す構成図である。
【図31】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Cの概略構成を示す構成図である。
【図32】変形例の動力出力装置110Cにおけるプラ
ネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルクの
関係を示す共線図である。
【図33】変形例の動力出力装置110Cにおけるプラ
ネタリギヤ120に結合された3軸の回転数とトルクの
関係を示す共線図である。
【図34】変形例の動力出力装置110Cにより実行さ
れるモータMG1の制御ルーチンの一部を例示するフロ
ーチャートである。
【図35】変形例の動力出力装置110Cにより実行さ
れるモータMG2の制御ルーチンの前半部を例示するフ
ローチャートである。
【図36】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Dの概略構成を示す構成図である。
【図37】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Eの概略構成を示す構成図である。
【図38】第2実施例の変形例である動力出力装置11
0Fの概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A〜20B…動力出力装置 22…駆動軸 23…ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 27,29…駆動輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 35…永久磁石 36…三相コイル 38…スリップリング 38a…回転リング 38b…ブラシ 39…レゾルバ 40…アシストモータ 41…回転軸 41a…レゾルバ 42…ロータ 43…ステータ 44…コイル 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 58…イグナイタ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 64a…アクセルペダルポジションセンサ 65…ブレーキペダル 65a…ブレーキペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 110A〜110F…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 115…ケース 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 156…クランクシャフト 157…レゾルバ 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 180…制御装置 184…シフトポジションセンサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 CL1…クラッチ CL2…クラッチ L1,L2…電源ライン MG1…モータ MG2…モータ Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H02P 7/747 H02P 7/747 9/04 9/04 M

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆動軸に結
    合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸に入
    出力される動力と前記第2の回転軸に入出力される動力
    とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力によ
    り調整するエネルギ調整手段と、 前記出力軸または前記駆動軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギとして調整電気エネルギによる充放
    電と、前記電動機による動力のやり取りに必要な電気エ
    ネルギとしての電動機電気エネルギによる充放電とが可
    能な蓄電手段と、 前記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定
    手段と、 該設定された目標動力に基づいて前記原動機の目標運転
    状態を設定する目標運転状態設定手段と、 該設定された目標運転状態で前記原動機が運転されると
    共に、該原動機から出力される動力の少なくとも一部が
    エネルギ変換されて前記目標動力が前記駆動軸に出力さ
    れるよう該原動機と前記エネルギ調整手段と前記電動機
    とを制御する駆動制御手段と、 前記調整電気エネルギと前記電動機電気エネルギとを演
    算すると共に、該演算された両電気エネルギに基づいて
    前記蓄電手段を充放電する充放電エネルギを演算する充
    放電エネルギ演算手段と、 該演算された充放電エネルギが所定範囲外となるとき、
    該充放電エネルギが該所定範囲内となるよう前記調整電
    気エネルギと前記電動機電気エネルギの少なくとも一方
    の電気エネルギを制限する電気エネルギ制限手段と、 該電気エネルギ制限手段による制限がなされたとき、前
    記駆動制御手段による制御に代えて、前記目標運転状態
    で前記原動機が運転されると共に、前記制限された電気
    エネルギの範囲内で該原動機から出力される動力の少な
    くとも一部がエネルギ変換されて前記駆動軸に出力され
    るよう該原動機と前記エネルギ調整手段と前記電動機と
    を制御する制限時制御手段とを備える動力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記電動機は、前記駆動軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記電気エネルギ制限手段は、前記電動機電気エネルギ
    を制限する手段である動力出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記電動機は、前記出力軸と動力のやり取りをする電動
    機であり、 前記電気エネルギ制限手段は、前記調整電気エネルギを
    制限する手段である動力出力装置。
  4. 【請求項4】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回
    転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸に
    結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第
    2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介
    して該両回転軸間の動力のやり取りをする対ロータ電動
    機である請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3いずれか記載の動力出
    力装置であって、 前記エネルギ調整手段は、 前記第1の回転軸および前記第2の回転軸と異なる第3
    の回転軸を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つ
    の回転軸へ入出力される動力を決定したとき、該決定さ
    れた動力に基づいて残余の回転軸へ動力を入出力する3
    軸式動力入出力手段と、 前記第3の回転軸と動力のやり取りをする回転軸電動機
    とを備える動力出力装置。
  6. 【請求項6】 出力軸を有する原動機と、 前記出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
    れる第2の回転軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力
    される動力と前記第2の回転軸に入出力される動力との
    エネルギ偏差を対応する電気エネルギの入出力により調
    整するエネルギ調整手段と、 前記出力軸または前記駆動軸と動力のやり取りをする電
    動機と、 前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整に
    必要な電気エネルギとして調整電気エネルギによる充放
    電と、前記電動機による動力のやり取りに必要な電気エ
    ネルギとしての電動機電気エネルギによる充放電とが可
    能な蓄電手段とを備える動力出力装置の制御方法であっ
    て、(a)前記駆動軸に出力する目標動力を設定し、
    (b)該設定された目標動力に基づいて前記原動機の目
    標運転状態を設定し、(c)該設定された目標運転状態
    で前記原動機が運転されると共に、該原動機から出力さ
    れる動力の少なくとも一部がエネルギ変換されて前記目
    標動力が前記駆動軸に出力されるよう該原動機と前記エ
    ネルギ調整手段と前記電動機とを制御し、(d)前記調
    整電気エネルギと前記電動機電気エネルギとを演算する
    と共に、該演算された両電気エネルギに基づいて前記蓄
    電手段を充放電する充放電エネルギを演算し、(e)該
    演算された充放電エネルギが所定範囲外となるとき、該
    充放電エネルギが該所定範囲内となるよう前記調整電気
    エネルギと前記電動機電気エネルギの少なくとも一方の
    電気エネルギを制限し、(f)該電気エネルギの制限が
    なされたとき、前記ステップ(c)の制御に代えて、前
    記目標運転状態で前記原動機が運転されると共に、前記
    制限された電気エネルギの範囲内で該原動機から出力さ
    れる動力の少なくとも一部がエネルギ変換されて前記駆
    動軸に出力されるよう該原動機と前記エネルギ調整手段
    と前記電動機とを制御する動力出力装置の制御方法。
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