JPH10112901A - 動力出力装置および電動機の異常検出装置 - Google Patents

動力出力装置および電動機の異常検出装置

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JPH10112901A
JPH10112901A JP11610997A JP11610997A JPH10112901A JP H10112901 A JPH10112901 A JP H10112901A JP 11610997 A JP11610997 A JP 11610997A JP 11610997 A JP11610997 A JP 11610997A JP H10112901 A JPH10112901 A JP H10112901A
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JP
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motor
rotation speed
power
target
rotor
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JP11610997A
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Masatoshi Uchida
昌利 内田
Akihiro Yamanaka
章弘 山中
Takeshi Kotani
武史 小谷
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力出力装置が備えるエネルギ調整手段の電
動機の異常を早期に的確に検出する。 【解決手段】 動力出力装置20は、エンジン50と、
エンジン50のクランクシャフト56に結合されるアウ
タロータ32と駆動軸22に結合されるインナロータ3
4とを有するクラッチモータ30と、駆動軸22に取り
付けられるアシストモータ40と、制御装置80とを備
える。制御装置80は、目標回転数と目標トルクとの積
で表わされるエネルギがエンジン50から出力されるよ
う吸入空気量や燃料噴射量等を制御すると共にエンジン
50が目標トルクで運転されるようクラッチモータ30
を制御する。こうした制御の際、エンジン50が正常に
動作しているにも拘わらず、エンジン50の回転数が目
標回転数に収束しないときには、クラッチモータ30に
異常が生じていると判断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およ
び電動機の異常検出装置に関し、詳しくは、原動機の出
力軸から駆動軸間での間でエネルギをやり取りする機構
を有する動力出力装置およびその機構において異常を検
出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、
車両に搭載される装置であって、原動機の出力軸と電動
機のロータに結合された駆動軸とを電磁継手により電磁
的に結合して原動機の動力を駆動軸に伝達するものが提
案されている(例えば、特開昭53−133814号公
報等)。この動力出力装置では、電動機により車両の走
行を開始し、電動機の回転数が所定の回転数になった
ら、電磁継手へ励磁電流を与えて原動機をクランキング
すると共に原動機への燃料供給や火花点火を行なって原
動機を始動する。原動機が始動した後は、原動機からの
動力を電磁継手の電磁的な結合により駆動軸に伝達して
車両を走行させる。電動機は、電磁継手により駆動軸に
伝達される動力では駆動軸に必要な動力が不足する場合
に駆動され、この不足分を補う。電磁継手は、駆動軸に
動力を伝達している際、その電磁的な結合の滑りに応じ
た電力を回生する。この回生された電力は、走行の開始
の際に用いられる電力としてバッテリに蓄えられたり、
駆動軸の動力の不足分を補う電動機の動力として用いら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
動力出力装置には、電磁継手における異常を検出する異
常検出装置は備えられていないから、電磁継手に異常が
生じても何ら対処することができなかった。たとえば、
電磁継手の双方が接触してロック状態となるという異常
を検出することができないために、原動機から出力され
る動力がトルク変換されずにそのまま駆動軸に伝達され
てしまい、エネルギ効率が低下するという場合を生じた
り、電磁継手における電磁的な結合がなされないといっ
た異常を検出することができないために、原動機を始動
することができなかったり、バッテリの充電を行なうこ
とができないという場合を生じる。また、電磁継手に永
久磁石を用いている場合、永久磁石の減磁が生じるため
に、所望のトルクを駆動軸に伝達できない場合も生じ
る。こうした事態は動力出力装置における基本的な動作
を阻害するものなので、早期に検出されるのが好まし
い。
【0004】本発明の動力出力装置は、原動機から出力
される動力の少なくとも一部をトルク変換して駆動軸に
出力する2つのロータを有する電動機やプラネタリギヤ
と電動機とによる組合せなどのエネルギ調整手段の異常
を的確に検出することを目的の一つとする。また、本発
明の電動機の異常検出装置は、2つのロータを有する電
動機の異常を的確に検出することを目的の一つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の動力出力装置および電動機の異常検出装置は、上
述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段
を採った。
【0006】本発明の第1の動力出力装置は、駆動軸に
動力を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する
原動機と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転
軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前
記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸
に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エ
ネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、前
記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定手
段と、該設定された目標動力に基づいて原動機の目標回
転数と目標トルクとにより表される目標運転状態を設定
する目標運転状態設定手段と、該設定された目標運転状
態で前記原動機が運転されると共に該原動機から出力さ
れる動力の少なくとも一部がトルク変換されて前記目標
動力として前記駆動軸に出力されるよう該原動機と前記
エネルギ調整手段とを制御する駆動制御手段と、前記原
動機が正常に動作しているか否かを判定する動作判定手
段と、前記原動機の運転状態を検出する運転状態検出手
段と、前記動作判定手段により前記原動機が正常に動作
していると判定されているにも拘わらず、前記運転状態
検出手段により検出された前記原動機の運転状態が前記
目標運転状態にないとき、該状態を前記エネルギ調整手
段の異常として検出する異常検出手段とを備えることを
要旨とする。
【0007】この本発明の第1の動力出力装置は、原動
機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
れる第2の回転軸とを有するエネルギ調整手段が、第1
の回転軸に入出力される動力と第2の回転軸に入出力さ
れる動力とのエネルギ偏差、即ち原動機の出力軸に入出
力される動力と駆動軸に入出力される動力とのエネルギ
偏差を対応する電気エネルギの入出力により調整する。
目標運転状態設定手段は、目標動力設定手段により駆動
軸に出力する動力として設定された目標動力に基づいて
原動機の目標回転数と目標トルクとにより表される目標
運転状態を設定する。駆動制御手段は、こうして設定さ
れた目標運転状態で原動機が運転されると共に原動機か
ら出力される動力の少なくとも一部がトルク変換されて
目標動力として駆動軸に出力されるよう原動機とエネル
ギ調整手段とを制御する。異常検出手段は、動作判定手
段により原動機が正常に動作していると判定されている
にも拘わらず、運転状態検出手段により検出された原動
機の運転状態が目標運転状態にないときに、この状態を
前記エネルギ調整手段の異常として検出する。
【0008】この第1の動力出力装置によれば、原動機
の運転状態を目標運転状態と比較することによりエネル
ギ調整手段の異常を検出することができる。このため、
異常時への対応を早期に行なうことができる。
【0009】こうした本発明の第1の動力出力装置にお
いて、前記運転状態検出手段は、前記原動機の出力軸の
回転数を検出する原動機回転数検出手段を有し、前記異
常検出手段は、前記原動機回転数検出手段により検出さ
れる前記原動機の回転数と前記目標回転数との偏差が所
定値以上のとき、該原動機が前記目標運転状態にないと
判定し、該状態を前記エネルギ調整手段の異常として検
出する手段であるものとすることもできる。
【0010】こうすれば、原動機の運転状態のうち原動
機の出力軸の回転数によってエネルギ調整手段の異常を
検出することができる。
【0011】また、本発明の第1の動力出力装置におい
て、前記運転状態検出手段は、前記原動機の出力軸のト
ルクを検出する原動機トルク検出手段であり、前記異常
検出手段は、前記原動機トルク検出手段により検出され
る前記原動機の出力軸のトルクと前記目標トルクとの偏
差が所定値以上のとき、該原動機が前記目標運転状態に
ないと判定し、該状態を前記エネルギ調整手段の異常と
して検出する手段であるものとすることもできる。
【0012】こうすれば、原動機の運転状態のうち原動
機の出力軸のトルクによってエネルギ調整手段の異常を
検出することができる。
【0013】あるいは、本発明の動力出力装置におい
て、前記異常検出手段により前記エネルギ調整手段の異
常が検出されたとき、前記駆動制御手段による制御に拘
わらず、前記原動機が所定の運転状態を越えないよう該
原動機の運転を制限する運転制限手段を備えるものとす
ることもできる。こうすれば、エネルギ調整手段に異常
が生じても、それに伴って原動機が過回転すること等の
不都合を回避することができる。
【0014】これら各種態様を含め本発明の第1の動力
出力装置において、前記エネルギ調整手段は、前記第1
の回転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転
軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能
な第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合
を介して該両回転軸間の動力のやり取りをする対ロータ
電動機を備え、前記異常検出手段は、前対ロータ電動機
の異常を検出する手段であるものとすることもできる。
【0015】また、本発明の動力出力装置において、前
記エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸および前記第
2の回転軸とは異なる第3の回転軸を有し、前記3つの
回転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入出力される動力
を決定したとき、該決定された動力に基づいて残余の回
転軸へ動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記
第3の回転軸と動力のやり取りをする電動機とを備え、
前記異常検出手段は、前記電動機の異常を検出する手段
であるものとすることもできる。
【0016】本発明の第2の動力出力装置は、駆動軸に
動力を出力する動力出力装置であって、出力軸を有する
原動機と、前記原動機の出力軸に結合された第1のロー
タと、前記駆動軸に結合され該第1のロータに対して相
対的に回転可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間
の電磁的な結合を介して前記原動機の出力軸と該駆動軸
との間で動力のやり取りをする対ロータ電動機と、前記
駆動軸の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段と、前
記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定手
段と、該設定された目標動力に基づいて原動機の目標回
転数と目標トルクとにより表される目標運転状態を設定
する目標運転状態設定手段と、該設定された目標運転状
態で前記原動機が運転されるよう該原動機への吸入空気
量および燃料供給量を制御すると共に前記対ロータ電動
機の前記第2のロータの前記第1のロータに対する相対
的な回転数が前記駆動軸回転数検出手段により検出され
た前記駆動軸の回転数と前記目標回転数との偏差として
表わされる目標相対回転数となるよう該対ロータ電動機
を駆動制御する駆動制御手段と、前記原動機が正常に動
作しているか否かを判定する動作判定手段と、前記対ロ
ータ電動機の前記第2のロータの前記第1のロータに対
する相対的な回転数を検出する相対回転数検出手段と、
前記動作判定手段により前記原動機が正常に動作してい
ると判定されているにも拘わらず、前記相対回転数検出
手段により検出された回転数と前記目標相対回転数との
偏差が所定値以上のとき、該状態を対ロータ電動機の異
常として検出する電動機異常検出手段とを備えることを
要旨とする。
【0017】この本発明の第2の動力出力装置は、原動
機の出力軸に結合された第1のロータと駆動軸に結合さ
れ第1のロータに対して相対的に回転可能な第2のロー
タとを有する対ロータ電動機が、両ロータ間の電磁的な
結合を介して原動機の出力軸と駆動軸との間で動力のや
り取りをする。目標運転状態設定手段は、目標動力設定
手段により駆動軸に出力する動力として設定された目標
動力に基づいて原動機の目標回転数と目標トルクとによ
り表される目標運転状態を設定する。駆動制御手段は、
こうして設定された目標運転状態で原動機が運転される
よう原動機への吸入空気量および燃料供給量を制御する
と共に対ロータ電動機の第2のロータの第1のロータに
対する相対的な回転数が駆動軸回転数検出手段により検
出された駆動軸の回転数と目標回転数との偏差として表
わされる目標相対回転数となるよう対ロータ電動機を駆
動制御する。電動機異常検出手段は、動作判定手段によ
り原動機が正常に動作していると判定されているにも拘
わらず、相対回転数検出手段により検出された対ロータ
電動機の第2のロータの第1のロータに対する相対的な
回転数と目標相対回転数との偏差が所定値以上のとき、
この状態を対ロータ電動機の異常として検出する。
【0018】この第2の動力出力装置によれば、対ロー
タ電動機の第2のロータの第1のロータに対する相対的
な回転数に基づいて対ロータ電動機の異常を検出するこ
とができる。このため、異常時への対応を早期に行なう
ことができる。
【0019】こうした第2の動力出力装置において、前
記相対回転数検出手段は、前記原動機の出力軸の回転数
を検出する原動機回転数検出手段と、該検出される前記
原動機の出力軸の回転数と、前記駆動軸回転数検出手段
により検出される前記駆動軸の回転数とにより前記相対
的な回転数を演算する演算手段とを備えるものとするこ
ともできる。
【0020】こうすれば、対ロータ電動機の第2のロー
タの第1のロータに対する相対的な回転数を容易に求め
ることができる。
【0021】本発明の電動機の異常検出装置は、第1の
回転軸に結合される第1のロータと、第2の回転軸に結
合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第2
のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介し
て前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間で動力の
やり取りをする電動機の異常を検出する異常検出装置で
あって、前記第1のロータと前記第2のロータとの隙間
を検出する隙間検出手段と、該検出された隙間が所定値
未満のとき、電動機に異常があると判定する異常判定手
段とを備えることを要旨とする。
【0022】この本発明の電動機の異常検出装置は、隙
間検出手段が、電動機の第1の回転軸に結合される第1
のロータと第2の回転軸に結合され該第1のロータに対
して相対的に回転可能な第2のロータとの隙間を検出
し、異常判定手段が、この検出された隙間が所定値未満
のとき、電動機に異常があると判定する。
【0023】本発明の電動機の異常検出装置によれば、
電動機の第1の回転軸に結合される第1のロータと第2
の回転軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回
転可能な第2のロータとの隙間に基づいて、電動機の異
常を検出することができる。
【0024】こうした本発明の電動機の異常検出装置に
おいて、前記第1の回転軸の回転数を検出する回転数検
出手段を備え、前記異常判定手段は、前記回転数検出手
段により検出された回転数に基づいて前記所定値を設定
する所定値設定手段を備えるものとすることもできる。
【0025】こうすれば、第1の回転軸の回転数に応じ
て、より適切に電動機の異常を検出することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力出力装置20の概略構成を示す構成図、図2
は図1の動力出力装置20が備えるクラッチモータ30
およびアシストモータ40の構造を示す断面図、図3は
図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概略構成を
示す構成図である。説明の都合上、まず図3を用いて車
両全体の構成から説明する。
【0027】図3に示すように、車両には、動力源であ
るエンジン50としてガソリンにより運転されるガソリ
ンエンジンが備えられている。このエンジン50は、吸
気系からスロットルバルブ66を介して吸入した空気と
燃料噴射弁51から噴射されたガソリンとの混合気を燃
焼室52に吸入し、この混合気の爆発により押し下げら
れるピストン54の運動をクランクシャフト56の回転
運動に変換する。ここで、スロットルバルブ66はアク
チュエータ68により開閉駆動される。点火プラグ62
は、イグナイタ58からディストリビュータ60を介し
て導かれた高電圧によって電気火花を形成し、混合気は
その電気火花によって点火されて爆発燃焼する。
【0028】このエンジン50の運転は、電子制御ユニ
ット(以下、EFIECUと呼ぶ)70により制御され
ている。EFIECU70には、エンジン50の運転状
態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、スロ
ットルバルブ66の開度(ポジション)BPを検出する
スロットルバルブポジションセンサ67、原動機の50
の負荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50
の各燃焼室52に設けられ各燃焼室52の燃焼時(爆発
時)の最高圧力(燃焼圧Pn)を検出する燃焼圧センサ
73、エンジン50の水温を検出する水温センサ74、
ディストリビュータ60に設けられクランクシャフト5
6の回転数と回転角度を検出する回転数センサ76及び
回転角度センサ78などである。なお、EFIECU7
0には、この他、例えばイグニッションキーの状態ST
を検出するスタータスイッチ79なども接続されている
が、その他のセンサ,スイッチなどの図示は省略した。
【0029】エンジン50のクランクシャフト56に
は、後述するクラッチモータ30及びアシストモータ4
0を介して駆動軸22が結合されている。駆動軸22
は、ディファレンシャルギヤ24に結合されており、動
力出力装置20からのトルクは最終的に左右の駆動輪2
6,28に伝達される。このクラッチモータ30および
アシストモータ40は、制御装置80により制御されて
いる。制御装置80の構成は後で詳述するが、内部には
制御CPUが備えられており、シフトレバー82に設け
られたシフトポジションセンサ84やアクセルペダル6
4に設けられたアクセルペダルポジションセンサ65な
ども接続されている。また、制御装置80は、上述した
EFIECU70と通信により、種々の情報をやり取り
している。
【0030】図1に示すように、動力出力装置20は、
大きくは、エンジン50、エンジン50のクランクシャ
フト56にアウタロータ32が機械的に結合されたクラ
ッチモータ30、このクラッチモータ30のインナロー
タ34に機械的に結合されたロータ42を有するアシス
トモータ40およびクラッチモータ30とアシストモー
タ40を駆動・制御する制御装置80から構成されてい
る。
【0031】各モータの概略構成について、図1により
説明する。クラッチモータ30は、図1に示すように、
アウタロータ32の内周面に永久磁石35を備え、イン
ナロータ34に形成されたスロットに三相のコイル36
を巻回する同期電動機として構成されている。この三相
コイル36への電力は、回転トランス38を介して供給
される。インナロータ34において三相コイル36用の
スロット及びティースを形成する部分は、無方向性電磁
鋼板の薄板を積層することで構成されている。なお、ク
ランクシャフト56には、その回転角度θeを検出する
レゾルバ39が設けられているが、このレゾルバ39
は、ディストリビュータ60に設けられた回転角度セン
サ78と兼用することも可能である。
【0032】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース45に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ42の外周
面には、複数個の永久磁石46が設けられている。アシ
ストモータ40では、この永久磁石46により磁界と三
相コイル44が形成する磁界との相互作用により、ロー
タ42が回転する。ロータ42が機械的に結合された軸
は、動力出力装置20のトルクの出力軸である駆動軸2
2であり、駆動軸22には、その回転角度θdを検出す
るレゾルバ48が設けられている。また、駆動軸22
は、ケース45に設けられたベアリング49により軸支
されている。
【0033】係るクラッチモータ30とアシストモータ
40とは、クラッチモータ30のインナロータ34がア
シストモータ40のロータ42、延いては駆動軸22に
機械的に結合されている。従って、エンジン50と両モ
ータ30,40との関係を簡略に言えば、エンジン50
のクランクシャフト56の回転および軸トルクが、クラ
ッチモータ30のアウタロータ32およびインナロータ
34を介して駆動軸22に伝達され、アシストモータ4
0によるトルクがこれに加減算されるということにな
る。
【0034】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、図2を用いて補足する。クラッチ
モータ30のアウタロータ32は、クランクシャフト5
6に嵌合されたホイール57の外周端に圧入ピン59a
およびネジ59bにより取り付けられている。ホイール
57の中心部は、軸形状に突設されており、ここにベア
リング37A,37Bを用いてインナロータ34が回転
自在に取り付けられている。また、インナロータ34に
は、駆動軸22の一端が固定されている。
【0035】アウタロータ32に永久磁石35が設けら
れていることは既に説明した。この永久磁石35は、実
施例では8個(N極が4個でS極が4個)設けられてお
り、アウタロータ32の内周面に貼付されている。その
磁化方向はクラッチモータ30の軸中心に向かう方向で
あり、一つおきに磁極の方向は逆向きになっている。こ
の永久磁石35と僅かなギャップにより対向するインナ
ロータ34の三相コイル36は、インナロータ34に設
けられた計12個のスロット(図示せず)に巻回されて
おり、各コイルに通電すると、スロットを隔てるティー
スを通る磁束を形成する。各コイルに三相交流を流す
と、この磁界は回転する。三相コイル36の各々は、回
転トランス38から電力の供給を受けるよう接続されて
いる。この回転トランス38は、ケース45に固定され
た一次巻線38Aとインナロータ34に結合された駆動
軸22に取り付けられた二次巻線38Bとからなり、電
磁誘導により、一次巻線38Aと二次巻線38Bとの間
で、双方向に電力をやり取りすることができる。なお、
三相(U,V,W相)の電流をやり取りするために、回
転トランス38には三相分の巻線が用意されている。
【0036】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
(1秒間の回転数)とインナロータ34の回転数との偏
差の周波数としている。この結果、両者の回転には滑り
を生じることになる。
【0037】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動・制御する制御装置80について説明
する。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する
第1の駆動回路91、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92、両駆動回路91,92を制御する制
御CPU90、二次電池であるバッテリ94から構成さ
れている。制御CPU90は、1チップマイクロプロセ
ッサであり、内部に、ワーク用のRAM90a、処理プ
ログラムを記憶したROM90b、入出力ポート(図示
せず)およびEFIECU70と通信を行なうシリアル
通信ポート(図示せず)を備える。この制御CPU90
には、レゾルバ39からのエンジン50の回転角度θ
e、レゾルバ48からの駆動軸22の回転角度θd、ア
クセルペダルポジションセンサ65からのアクセルペダ
ルポジション(アクセルペダルの踏込量)AP、シフト
ポジションセンサ84からのシフトポジションSP、第
1の駆動回路91に設けられた2つの電流検出器95,
96からのクラッチ電流値Iuc,Ivc、第2の駆動
回路に設けられた2つの電流検出器97,98からのア
シスト電流値Iua,Iva、バッテリ94の残容量を
検出する残容量検出器99からの残容量BRMなどが、入
力ポートを介して入力されている。なお、残容量検出器
99は、バッテリ94の電解液の比重またはバッテリ9
4の全体の重量を測定して残容量を検出するものや、充
電・放電の電流値と時間を演算して残容量を検出するも
のや、バッテリの端子間を瞬間的にショートさせて電流
を流し内部抵抗を測ることにより残容量を検出するもの
などが知られている。
【0038】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、回転トランス38を介して接続されている。電
源ラインL1,L2は、バッテリ94のプラス側とマイ
ナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU9
0により対をなすトランジスタTr1ないしTr6のオ
ン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各コ
イル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が形
成される。
【0039】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0040】以上構成を説明した実施例の動力出力装置
20の動作について説明する。実施例の動力出力装置2
0の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン50がEFIECU70により運転され、
エンジン50の回転数Neが値N1で回転しているとす
る。このとき、制御装置80が回転トランス38を介し
てクラッチモータ30の三相コイル36に何等電流を流
していないとすれば、即ち第1の駆動回路91のトラン
ジスタTr1,3,5をオフとしトランジスタTr2,
4,6をオンとした状態であれば、三相コイル36には
何等の電流も流れないから、クラッチモータ30のアウ
タロータ32とインナロータ34とは電磁的に全く結合
されていない状態となり、エンジン50のクランクシャ
フト56は空回りしている状態となる。
【0041】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndと
の偏差(言い換えれば、クラッチモータ30におけるア
ウタロータ32とインナロータ34の回転数差Nc(N
e−Nd))に応じて、クラッチモータ30の三相コイ
ル36に一定の電流が流れる。即ち、クラッチモータ3
0は発電機として機能し、電流が第1の駆動回路91を
介して回生され、バッテリ94が充電される。この時、
アウタロータ32とインナロータ34とは一定の滑りが
存在する結合状態となる。即ち、エンジン50の回転数
Neよりは低い回転数Ndでインナロータ34は回転す
る。この状態で、回生された電気エネルギと等しいエネ
ルギがアシストモータ40で消費されるように、制御C
PU90が第2の駆動回路92を制御すると、アシスト
モータ40の三相コイル44に電流が流れ、アシストモ
ータ40においてトルクが発生する。
【0042】図4に照らせば、動力出力装置20は、回
転数Neが回転数N1,トルクTeがトルクT1の運転
ポイントP1でエンジン50を運転しているときに、領
域G1で表わされるエネルギをクラッチモータ30によ
り回生し、これを領域G2で表わされるエネルギとして
アシストモータ40に付与することにより、駆動軸22
を回転数Ndが回転数N2,出力トルクTdがトルクT
2の運転ポイントP2で運転することができるのであ
る。こうして、クラッチモータ30における滑り、即ち
正の値の回転数差Ncに応じたエネルギをトルクとして
駆動軸22に付与して、トルク変換を行なうのである。
【0043】次に、エンジン50が回転数Neが回転数
N2,トルクTeがトルクT2の運転ポイントP2で運
転されており、駆動軸22を回転数Ndが回転数N2よ
り大きな回転数N1で回転している場合を考える。この
状態では、クラッチモータ30のインナロータ34は、
アウタロータ32に対して回転数差Nc(Ne−Nd)
の絶対値で示される回転数で駆動軸22の回転方向に相
対的に回転するから、クラッチモータ30は、通常のモ
ータとして機能し、駆動軸22に回転エネルギを与え
る。一方、制御CPU90によってアシストモータ40
により電力を回生するよう第2の駆動回路92を制御す
ると、アシストモータ40のロータ42とステータ43
との間の滑りにより三相コイル44に回生電流が流れ
る。ここで、アシストモータ40により回生される電力
がクラッチモータ30で消費されるよう第1および第2
の駆動回路91,92を制御すれば、クラッチモータ3
0を、バッテリ94に蓄えられた電力を用いることなく
駆動することができる。
【0044】図4に照らせば、回転数Neが回転数N
2,トルクTeがトルクT2の運転ポイントP2でエン
ジン50を運転しているときに、領域G2と領域G3と
の和で表わされるエネルギをアシストモータ40により
回生し、これを領域G1と領域G3との和で表わされる
エネルギとしてクラッチモータ30に付与することによ
り、駆動軸22を回転数Ndが回転数N1,トルクTe
がトルクT1の運転ポイントで運転することができるの
である。
【0045】なお、実施例の動力出力装置20では、こ
うしたトルク変換に加えて、エンジン50からの出力エ
ネルギ(トルクTeと回転数Neとの積)と、クラッチ
モータ30により回生または消費される電気エネルギ
と、アシストモータ40により消費または回生される電
気エネルギとを調節することにより、余剰の電気エネル
ギを見い出してバッテリ94を充電したり、不足する電
気エネルギをバッテリ94に蓄えられた電力により補っ
たりして、エンジン50から出力される動力(エネル
ギ)をより効率よく駆動軸22に出力することができ
る。
【0046】次に第1実施例の動力出力装置20の動作
を図5のトルク制御ルーチンに基づいて説明する。な
お、トルク制御ルーチンは、車両の運転が開始されてか
ら所定時間毎(例えば、20msec毎)に繰り返し実
行される。
【0047】トルク制御ルーチンが実行されると、制御
装置80の制御CPU90は、まず駆動軸22の回転数
Ndを読み込む処理を行なう(ステップS100)。駆
動軸22の回転数Ndは、レゾルバ48から読み込んだ
駆動軸22の回転角度θdから求めることができる。次
に、アクセルペダルポジションセンサ65により検出さ
れるアクセルペダルポジションAPを読み込む処理を行
なう(ステップS101)。アクセルペダル64は運転
者が出力トルクが足りないと感じたときに踏み込まれる
ものであり、したがって、アクセルペダルポジションA
Pの値は運転者の欲している出力トルク(すなわち、駆
動軸22のトルク)に対応するものである。
【0048】続いて、読み込まれたアクセルペダルポジ
ションAPと駆動軸22の回転数Ndとに基づいて駆動
軸22に出力すべきトルクの目標値であるトルク指令値
Td*を導出する処理を行なう(ステップS102)。
実施例では、トルク指令値Td*と駆動軸22の回転数
NdとアクセルペダルポジションAPとの関係を示すマ
ップを予めROM90bに記憶しておき、アクセルペダ
ルポジションAPが読み込まれると、マップと読み込ま
れたアクセルペダルポジションAPと駆動軸22の回転
数Ndとにより対応するトルク指令値Td*の値を導出
するものとした。このマップの一例を図6に示す。
【0049】次に、導き出された出力トルク指令値Td
*と読み込まれた駆動軸22の回転数Ndとから、駆動
軸22に出力すべきエネルギPd(目標エネルギ)を計
算(Pd=Td*×Nd)により求める処理を行い(ス
テップS103)、求めた出力エネルギPdを伝達効率
ηtで割ってエンジン50から出力すべきエネルギPe
を算出する(ステップS104)。そして、エンジン5
0から出力すべきエネルギPeに基づいてエンジン50
の目標トルクTe*と目標回転数Ne*とを設定する処
理を行なう(ステップS105)。ここで、エンジン5
0から出力すべきエネルギPeと目標回転数Ne*と目
標トルクTe*との関係は式(Pe=Ne*×Te*)
が成立すればよいから、この式を満足する目標回転数N
e*と目標トルクTe*との組合せは無数に存在する。
そこで、本実施例では、各エネルギPeに対してエンジ
ン50ができる限り効率の高い状態で運転され、かつエ
ネルギPeの変化に対してエンジン50の運転状態が滑
らかに変化するエンジン50の目標トルクTe*および
目標回転数Ne*を実験等により求め、これを予めRO
M90bにマップとして記憶しておき、エネルギPeが
与えられると、このエネルギPeに対応するエンジン5
0の目標トルクTe*および目標回転数Ne*をこのマ
ップから導出するものとした。
【0050】図7は、エンジン50の運転ポイント(目
標トルクTe*および目標回転数Ne*)をその効率と
共に例示するグラフである。図中曲線Bはエンジン50
の運転可能な領域の境界を示す。エンジン50の運転可
能な領域には、その特性に応じて効率が同一の運転ポイ
ントを示す曲線α1ないし曲線α6のような等効率線を
描くことができる。また、エンジン50の運転可能な領
域には、トルクTeと回転数Neとの積で表わされるエ
ンジン50から出力されるエネルギが一定の曲線、例え
ば曲線C1−C1ないし曲線C3−C3を描くことがで
きる。図中曲線Aは、こうして描いた出力エネルギ一定
の曲線上でエンジン50の効率ができる限り高くなる運
転ポイントを連続する線で結んだものである。実施例で
はこの曲線A上の各運転ポイント(トルクTe,回転数
Ne)とエンジン50から出力すべきエネルギPeとの
関係をマップとしてROM90bに記憶しておき、エン
ジン50の目標トルクTe*および目標回転数Ne*を
設定する際に用いた。
【0051】こうしてエンジン50の目標トルクTe*
および目標回転数Ne*を設定すると、この目標トルク
Te*および目標回転数Ne*に基づいてクラッチモー
タ30の制御(ステップS108)、アシストモータ4
0の制御(ステップS110)およびエンジン50の制
御(ステップS111)が行なわれる。なお、図示の都
合上、クラッチモータ30の制御とアシストモータ40
の制御とエンジン50の制御とを別々のステップとして
記載しているが、実際には、これらの制御は同時に並行
して行なわれる。例えば、制御CPU90が割り込み処
理を利用して、クラッチモータ30とアシストモータ4
0の制御を同時に実行すると共に、通信によりEFIE
CU70に指示を送信して、EFIECU70によりエ
ンジン50の制御も同時に行なわせるのである。以下、
各制御について説明する。
【0052】クラッチモータ30の制御(図5のステッ
プS108)は、図8に例示するクラッチモータ制御ル
ーチンによりなされる。このルーチンが実行されると、
制御CPU90は、まずエンジン50の回転数Neを読
み込む処理を行なう(ステップS112)。エンジン5
0の回転数Neは、レゾルバ39から読み込んだクラン
クシャフト56の回転角度θeから求めることもできる
し、ディストリビュータ60に設けられた回転数センサ
76によっても直接検出することもできる。回転数セン
サ76を用いる場合には、回転数センサ76に接続され
たEFIECU70から通信により回転数Neの情報を
受け取ることになる。
【0053】次に、次式(1)によって求められる値を
クラッチモータ30のトルク指令値Tc*に設定する
(ステップS113)。ここで、式(1)中の右辺第2
項は回転数Neの目標回転数Ne*からの偏差を打ち消
す比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくすための
積分項である。したがって、クラッチモータ30のトル
ク指令値Tc*は、定常状態(回転数Neの目標回転数
Ne*からの偏差が値0のとき)では、エンジン50の
目標トルクTe*が設定されることになる。なお、式
(1)中のK1およびK2は、比例定数である。このよ
うにクラッチモータ30のトルク指令値Tc*をエンジ
ン50の回転数Neに基づいて設定してエンジン50の
負荷トルクとしてのクラッチモータ30のトルクTcを
制御することにより、エンジン50を目標トルクTe*
および目標回転数Ne*の運転ポイントで安定させるこ
とができる。
【0054】
【数1】
【0055】続いて、制御CPU90は、駆動軸22の
回転角度θdをレゾルバ48から、エンジン50のクラ
ンクシャフト56の回転角度θeをレゾルバ39から入
力する処理を行ない(ステップS114,S115)、
クラッチモータ30の電気角θcを両軸の回転角度θ
e,θdから求める処理を行なう(ステップS11
6)。実施例では、クラッチモータ30として4極対の
同期電動機を用いているから、θc=4(θe−θd)
を演算することになる。
【0056】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル36のU相とV相に流れて
いる電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ステ
ップS118)。電流はU,V,Wの三相に流れている
が、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測
定すれば足りる。こうして得られた三相の電流を用いて
座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS12
0)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,q
軸の電流値に変換することであり、次式(2)を演算す
ることにより行なわれる。ここで座標変換を行なうの
は、永久磁石型の同期電動機においては、d軸及びq軸
の電流が、トルクを制御する上で本質的な量だからであ
る。もとより、三相のまま制御することも可能である。
【0057】
【数2】
【0058】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
22)。即ち、まず以下の式(3)の演算を行ない、次
に次式(4)の演算を行なうのである。ここで、Kp
1,2及びKi1,2は、各々係数である。これらの係
数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。なお、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(式(4)右辺第1項)
と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)とか
ら求められる。
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS120で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS124)、
実際に三相コイル36に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(5)に
より求める。
【0062】
【数5】
【0063】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(5)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS126)。
【0064】なお、クラッチモータ30の制御は、トル
ク指令値Tc*の符号を駆動軸22にクランクシャフト
56の回転方向に正のトルクが作用するときを正とする
と、正の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エン
ジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大
きいとき(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生さ
せる回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小
さいとき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、クランクシャフト56に対して相対的に
回転数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の
回転方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモー
タ30の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が
正の値であれば、共にアウタロータ32に取り付けられ
た永久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36
に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のト
ルクが駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6を制御するものである
から、同一のスイッチング制御となる。即ち、トルク指
令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ30
の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じス
イッチング制御となる。したがって、図8のクラッチモ
ータ制御ルーチンで回生制御と力行制御のいずれも行な
うことができる。また、トルク指令値Tc*が負の値の
とき、即ち駆動軸22を制動しているときや車両を後進
させているときは、ステップS116のクラッチモータ
30の電気角θcの変化の方向が逆になるから、この際
の制御も図8のクラッチモータ制御ルーチンにより行な
うことができる。
【0065】次に、アシストモータ40によるトルク制
御(図5のステップS110)について図9および図1
0に例示するアシストモータ制御ルーチンに基づき説明
する。アシストモータ制御ルーチンでは、制御CPU9
0は、まず駆動軸22の回転数Ndを読み込み(ステッ
プS131)、続いてエンジン50の回転数Neを読み
込む処理を行なう(ステップS132)。読み込んだ駆
動軸22の回転数Ndとエンジン50の回転数Neとか
ら、両軸の回転数差Ncを計算(Nc=Ne−Nd)に
より求める処理を行ない(ステップS133)、求めた
回転数差Ncの符号を調べる(ステップS134)。
【0066】回転数差Ncの符号が正のときには、クラ
ッチモータ30は回生制御されるから、クラッチモータ
30により回生される電力Pcを次式(6)により求め
(ステップS135)、この電力Pcを消費するアシス
トモータ40のトルク指令値Ta*を次式(7)により
求める(ステップS136)。ここで、式(6)中のK
scはクラッチモータ30の効率であり、式(7)中の
Ksaはアシストモータ40の効率である。
【0067】Pc=Ksc×Nc×Tc* …(6) Ta*=ksa×Pc/Nd …(7)
【0068】一方、回転数差Ncの符号が負のときに
は、クラッチモータ30は力行制御されるから、クラッ
チモータ30により消費される電力Pcを次式(8)に
より求め(ステップS137)、この電力Pcを回生す
るアシストモータ40のトルク指令値Ta*を次式
(9)により求める(ステップS138)。この場合、
回転数差Ncが負の値であるから、電力Pcおよびトル
ク指令値Ta*も負の値となり、アシストモータ40に
より駆動軸22に回転方向と逆向きのトルクを作用させ
ることになり、アシストモータ40は回生制御されるこ
とになる。なお、式(8)および式(9)でも、式
(6)および式(7)で用いたクラッチモータ30の効
率Kscおよびアシストモータ40の効率Ksaを用い
たが、発電動作の効率と力行動作の効率とが異なるモー
タの場合には、発電動作および力行動作について各々の
効率を用いればよい。
【0069】 Pc=(1/Ksc)×Nc×Tc* …(8) Ta*=(1/Ksa)×Pc/Nd …(9)
【0070】次に、求めたトルク指令値Ta*がアシス
トモータ40によって付与し得る最大トルクTamax
を越えているか否かの判断を行ない(ステップS13
9)、越えている場合には、トルク指令値Ta*に最大
トルクTamaxを設定して最大値に制限する処理を行
なう(ステップS140)。
【0071】続いて、駆動軸22の回転角度θdをレゾ
ルバ48を用いて検出し(ステップS141)、アシス
トモータ40の電気角θaを駆動軸22の回転角度θd
から求める処理を行なう(ステップS142)。実施例
では、アシストモータ40にも4極対の同期電動機を用
いているから、θa=4θdを演算することになる。そ
して、アシストモータ40の各相電流を電流検出器9
7,98を用いて検出する処理を行なう(ステップS1
43)。その後、クラッチモータ30と同様の座標変換
(ステップS144)および電圧指令値Vda,Vqa
の演算を行ない(ステップS146)、更に電圧指令値
の逆座標変換(ステップS148)を行なって、アシス
トモータ40の第2の駆動回路92のトランジスタTr
11ないしTr16のオンオフ制御時間を求め、PWM
制御を行なう(ステップS150)。これらの処理は、
クラッチモータ30について行なったものと全く同一で
ある。
【0072】ここで、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*は、アシストモータ40が力行駆動されるか回
生駆動されるかにより正の値となったり負の値となった
りする。しかし、アシストモータ40の力行制御と回生
制御は、クラッチモータ30の制御と同様に、共に図9
および図10のアシストモータ制御ルーチンで行なうこ
とができる。また、駆動軸22がクランクシャフト56
の回転方向と逆向きに回転しているときも同様である。
なお、アシストモータ40のトルク指令値Ta*の符号
は、駆動軸22にクランクシャフト56の回転方向に正
のトルクが作用するときを正とした。
【0073】次に、エンジン50の制御(図5のステッ
プS111)について説明する。エンジン50は、図5
のステップS105において設定された目標トルクTe
*および目標回転数Ne*の運転ポイントで定常運転状
態となるよう制御される。具体的には、制御CPU90
から通信によりEFIECU70に指示を送信し、エン
ジン50から出力エネルギPdが出力されるよう、出力
エネルギPdに基づいて燃料噴射弁51からの燃料噴射
量やスロットルバルブ66の開度を制御するのである。
すなわち、予め実験により図7の曲線A上の各出力エネ
ルギPdに対応する各運転ポイントでエンジン50を定
常運転する際の燃料噴射量とスロットルバルブ66の開
度との関係を求め、これをマップとしてEFIECU7
0の図示しない内部ROMに記憶しておき、制御CPU
90から通信により出力エネルギPdを受信すると、受
信した出力エネルギPdと内部ROMに記憶されたマッ
プとを用いて燃料噴射量とスロットルバルブ66の開度
を導出し、導出した燃料噴射量およびスロットルバルブ
66の開度となるよう燃料噴射弁51およびアクチュエ
ータ68を駆動制御するのである。なお、エンジン50
のトルクTeは負荷トルクであるクラッチモータ30の
トルクTcによって定まるから、こうしたエンジン50
の制御だけでは、エンジン50は目標トルクTe*およ
び目標回転数Ne*の運転ポイントで定常運転しない
が、上述したように、クラッチモータ30のトルク指令
値Tc*は上式(1)によって調整されるから、エンジ
ン50の運転ポイントは目標トルクTe*および目標回
転数Ne*の運転ポイントに収束する。
【0074】こうした各制御により第1実施例の動力出
力装置20は、アクセルペダル64の踏込量に応じたエ
ネルギをエンジン50から出力すると共にこのエネルギ
を所望の動力にトルク変換して駆動軸22に出力するこ
とができる。
【0075】次に、こうして動作している動力出力装置
20のクラッチモータ30の異常を検出する処理につい
て図11に例示する異常判定処理ルーチンに基づき説明
する。この異常判定処理ルーチンは、エンジン50の始
動後に所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し
実行される。
【0076】本ルーチンが実行されると、まず、制御装
置80の制御CPU90は、エンジン50が正常に動作
しているかを示すエンジン動作判定フラグFegの値を
入力して調べる(ステップS160,S162)。ここ
で、エンジン動作判定フラグFegは、エンジン50が
正常に動作しているか否かを判別するためのフラグであ
り、EFIECU70により所定時間毎(例えば、4m
sec毎)に図12に例示するエンジン動作判定処理ル
ーチンにより設定され、所定時間毎に通信により制御装
置80の制御CPU90が備えるRAM90aの所定ア
ドレスに書き込まれるものである。したがって、制御C
PU90は、このRAM90aの所定アドレスのデータ
を読み込むことによりエンジン動作判定フラグFegの
値を調べることができる。エンジン動作判定フラグFe
gの設定について図12を用いて簡単に説明する。
【0077】図12のエンジン動作判定処理ルーチンが
実行されると、EFIECU70は、まず、通信により
制御装置80の制御CPU90から受信し図示しない内
部RAMの所定アドレスに書き込まれたエンジン50の
目標回転数Ne*および目標トルクTe*を入力する処
理を行なう(ステップS180)。続いて、入力した目
標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいてエン
ジン50の燃焼圧Pnの正常範囲Rpを求める処理を行
なう(ステップS182)。ここで、燃焼圧Pnの正常
範囲Rpは、エンジン50が目標回転数Ne*および目
標トルクTe*の運転ポイントで正常に運転していると
きに変動し得る燃焼圧Pnの範囲として設定されるもの
である。こうした燃焼圧Pnの正常範囲Rpの導出は、
実施例では、予め実験により図7の曲線A上の各運転ポ
イント(トルクTe,回転数Ne)における燃焼圧Pn
を正常範囲Rpを求め、エンジン50の目標回転数Ne
*および目標トルクTe*との関係を示すマップとして
内部ROMに記憶しておき、このマップから導出するも
のとした。
【0078】次に、エンジン50の各燃焼室52の燃焼
圧Pnを各燃焼室52に取り付けられた燃焼圧センサ7
3から入力し(ステップS184)、入力した各燃焼室
52の燃焼圧Pnのすべてが導出した燃焼圧Pnの正常
範囲Rpにあるかを判定する(ステップS186)。各
燃焼室52のすべての燃焼圧Pnが正常範囲Rp内にあ
るときには、エンジン50は正常に動作していると判断
し、エンジン動作判定フラグFegに値0をセットして
(ステップS188)、本ルーチンを終了する。一方、
各燃焼室52の燃焼圧Pnのうち1つでも正常範囲Rp
にないときには、いずれかの燃焼室52における爆発が
正常に行なわれず、エンジン50は正常に動作していな
いと判断し、エンジン動作判定フラグFegに値1をセ
ットして(ステップS189)、本ルーチンを終了す
る。
【0079】こうして設定されたエンジン動作判定フラ
グFegの値を調べ、エンジン動作判定フラグFegが
値0のときには、エンジン50は正常に動作している判
断してクラッチモータ30の異常を判定する処理である
ステップS163ないしS178の処理を実行し、エン
ジン動作判定フラグFegが値1のときには、エンジン
50は正常に動作していないと判断して本ルーチンを終
了する。クラッチモータ30の異常を判定する処理で
は、まず、エンジン50の目標回転数Ne*と目標トル
クTe*とが変更されていないかを調べる(ステップS
163)。エンジン50の目標回転数Ne*や目標トル
クTe*が変更された直後は、エンジン50の動作やク
ラッチモータ30の動作は過渡時の動作となり、本ルー
チンでは過渡時の動作に基づいてクラッチモータ30の
異常の判定し得ないから、この場合には、カウンタCに
値0をセットすると共に(ステップS176)、クラッ
チモータ異常判定フラグFcmに値0をセットして(ス
テップS178)、本ルーチンを終了する。
【0080】エンジン50の目標回転数Ne*や目標ト
ルクTe*が変更されていないときには、エンジン50
の回転数Neを入力し(ステップS164)、入力した
回転数Neと目標回転数Ne*との偏差△Neを算出す
る(ステップS166)。続いて、算出した偏差△Ne
を閾値Nerと比較する(ステップS168)。ここ
で、閾値Nerは、エンジン50が正常に動作している
ときに、トルクリップル等によりその回転数Neが変動
し得る値より若干大きめの値に設定されるものであり、
エンジン50の性能等によって定まる。エンジン50は
ステップS162のエンジン動作判定フラグFegの値
により正常に動作しており、図8のクラッチモータ制御
ルーチンのステップS113で説明したようにクラッチ
モータ30のトルク指令値Tc*は、エンジン50の回
転数Neが目標回転数Ne*に収束するよう設定される
から、クラッチモータ30が正常に動作していれば、偏
差△Neは閾値Ner以内に収束し、クラッチモータ3
0が正常に動作していなければ、偏差△Neは閾値Ne
r以内に収束しないことになる。したがって、偏差△N
eと閾値Nerとを比較することにより、クラッチモー
タ30が正常に動作しているか否かを判断することがで
きる。
【0081】偏差△Neが閾値Ner以下のときには、
クラッチモータ30は正常に動作していると判断し、カ
ウンタCに値0をセットすると共に(ステップS17
6)、クラッチモータ異常判定フラグFcmに値0をセ
ットして(ステップS178)、本ルーチンを終了す
る。一方、偏差△Neが閾値Nerより大きいときに
は、カウンタCをインクリメントし(ステップS17
0)、カウンタCと所定値Csetとを比較する(ステ
ップS172)。ここで、所定値Csetは、エンジン
50の目標回転数Ne*や目標トルクTe*が変更され
たときに、エンジン50の回転数Neが目標回転数Ne
*からの偏差△Neが閾値Ner以内に収束するのに要
する時間より若干長い時間として設定されるものであ
り、エンジン50の性能やクラッチモータ30の制御手
法、本ルーチンの起動間隔等によって定められるもので
ある。
【0082】カウンタCが所定値Cset未満のときに
は、エンジン50の回転数Neが目標回転数Ne*へ収
束している最中であると判断し、クラッチモータ異常判
定フラグFcmに値0をセットして(ステップS17
8)、本ルーチンを終了する。カウンタCが所定値Cs
et以上のときには、クラッチモータ30に異常が発生
したと判断し、クラッチモータ異常判定フラグFcmに
値1をセットして(ステップS174)、本ルーチンを
終了する。
【0083】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0によれば、エンジン50の運転状態を表わす回転数N
eに基づいてクラッチモータ30の異常を検出すること
ができる。しかも、エンジン50の目標回転数Ne*や
目標トルクTe*が変更されたときに回転数Neが目標
回転数Ne*に収束するのに要する時間を考慮するか
ら、より確実にクラッチモータ30の異常を検出するこ
とができる。このようにクラッチモータ30の異常を早
期により確実に検出することができるから、クラッチモ
ータ30の異常を検出した際の処理、例えば、エンジン
50を停止してアシストモータ40のみによる走行モー
ドへ切り換える処理や、運転者にクラッチモータ30の
異常を報知する処理等の種々の処理を速やかに行なうこ
とができる。
【0084】もとより、第1実施例の動力出力装置20
によれば、エンジン50から出力される動力をより効率
よく所望の動力にトルク変換して駆動軸22に出力する
ことができる。
【0085】第1実施例の動力出力装置20では、エン
ジン50の回転数Neが目標回転数Ne*に収束するよ
うクラッチモータ30のトルク指令値Tc*を設定した
が、クラッチモータ30のアウタロータ32とインナロ
ータ34との回転数差Ncが目標の回転数差に収束する
ようクラッチモータ30を制御するものとしてもよい。
この場合、図8のクラッチモータ制御ルーチンのステッ
プS112およびS113の処理に代えて図13のクラ
ッチモータ制御ルーチンのステップS212ないしS2
20の処理とし、図11の異常判定処理ルーチンのステ
ップS164ないしS168の処理に代えて図14の異
常判定処理ルーチンのステップS264ないしS269
の処理を行なえばよい。以下、変更すべき処理について
簡単に説明する。
【0086】図13のクラッチモータ制御ルーチンで
は、制御装置80の制御CPU90は、まずエンジン5
0の回転数Neを入力すると共に(ステップS21
2)、駆動軸22の回転数Ndを入力する(ステップS
214)。続いて、図5のステップS105で設定した
エンジン50の目標回転数Ne*から入力した回転数N
eを減じて目標回転数差Nc*を算出すると共に(ステ
ップS216)、回転数Neから回転数Ndを減じて回
転数差Ncを算出する(ステップS218)。そして、
次式(10)によりクラッチモータ30のトルク指令値
Tc*を計算して設定し(ステップS220)、図8の
クラッチモータ制御ルーチンのステップS114ないし
S126の処理を行なう。こうした処理により、クラッ
チモータ30は、アウタロータ32とインナロータ34
の回転数差Ncが目標回転数差Nc*に収束するよう制
御される。
【0087】
【数6】
【0088】図14の異常判定処理ルーチンでは、図1
1の異常判定処理ルーチンのステップS160ないしS
163の処理を行ない、エンジン50が正常に動作して
いると判定され、エンジン50の目標回転数Ne*と目
標トルクTe*とが変更されていないと判定された後
は、まず、エンジン50の回転数Neを入力すると共に
(ステップS264)、駆動軸22の回転数Ndを入力
する(ステップS265)。続いて、エンジン50の目
標回転数Ne*から入力した回転数Ndを減じて目標回
転数差Nc*を算出すると共に(ステップS266)、
回転数Neから回転数Ndを減じて回転数差Ncを算出
する(ステップS267)。そして、目標回転数差Nc
*と回転数差Ncとの偏差△Ncを算出し(ステップS
268)、算出した偏差△Ncと閾値Ncrとを比較す
る(ステップS269)。ここで、閾値Ncrは、図1
1の異常判定処理ルーチンの閾値Nerと同様に、エン
ジン50のトルクリップル等によりその回転数Neが変
動し得る値より若干大きめの値に設定されるものであ
る。こうした処理の後に、図11の異常判定処理ルーチ
ンのステップS170ないしS178の処理を行なう。
エンジン50は正常に動作しており、クラッチモータ3
0のトルク指令値Tc*は図13のクラッチモータ制御
ルーチンによりアウタロータ32とインナロータ34と
の回転数差Ncが目標回転数差Nc*に収束するよう設
定されるから、クラッチモータ30が正常に動作してい
れば、偏差△Ncは閾値Ncr以内に収束し、クラッチ
モータ30が正常に動作していなければ、偏差△Ncは
閾値Ncr以内に収束しないことになる。したがって、
偏差△Ncと閾値Ncrとを比較することにより、クラ
ッチモータ30が正常に動作しているか否かを判断する
ことができる。
【0089】このように、クラッチモータ30のアウタ
ロータ32とインナロータ34との回転数差Ncが目標
の回転数差に収束するようクラッチモータ30を制御す
るものとすれば、クラッチモータ30のアウタロータ3
2とインナロータ34との回転数差Ncに基づいてクラ
ッチモータ30の異常を検出することができる。
【0090】第1実施例の動力出力装置20では、クラ
ッチモータ30とアシストモータ40とをそれぞれ別個
に駆動軸22に取り付けたが、図15に例示する変形例
の動力出力装置20Aのように、クラッチモータとアシ
ストモータとが一体となるよう構成してもよい。この動
力出力装置20Aの構成について以下に簡単に説明す
る。図示するように、この動力出力装置20Aのクラッ
チモータ30Aは、クランクシャフト56に結合したイ
ンナロータ34Aと、駆動軸22に結合したアウタロー
タ32Aとから構成され、インナロータ34Aには三相
コイル36Aが取り付けられており、アウタロータ32
Aには永久磁石35Aがその外周面側の磁極と内周面側
の磁極とが異なるよう嵌め込まれている。一方、アシス
トモータ40Aは、このクラッチモータ30Aのアウタ
ロータ32Aと、三相コイル44が取り付けられたステ
ータ43とから構成される。すなわち、クラッチモータ
30Aのアウタロータ32Aがアシストモータ40Aの
ロータを兼ねる構成となっている。なお、クランクシャ
フト56に結合したインナロータ34Aに三相コイル3
6Aが取り付けられているから、クラッチモータ30A
の三相コイル36Aに電力を供給する回転トランス38
は、クランクシャフト56に取り付けられている。
【0091】この変形例の動力出力装置20Aでは、ア
ウタロータ32Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの内周
面側の磁極に対してインナロータ34Aの三相コイル3
6Aに印加する電圧を制御することにより、クラッチモ
ータ30とアシストモータ40とを駆動軸22に別個に
取り付けた前述の動力出力装置20のクラッチモータ3
0と同様に動作する。また、アウタロータ32Aに嵌め
込まれた永久磁石35Aの外周面側の磁極に対してステ
ータ43の三相コイル44に印加する電圧を制御するこ
とにより、動力出力装置20のアシストモータ40と同
様に動作する。したがって、上述した動力出力装置20
の総ての動作、即ち図5のトルク制御ルーチンや図11
の異常判定処理ルーチおよびこれらの変形例について、
この動力出力装置20Aも同様に動作する。こうした変
形例の動力出力装置20Aによれば、アウタロータ32
Aがクラッチモータ30Aのロータの一方とアシストモ
ータ40Aのロータとを兼ねるから、動力出力装置の小
型化および軽量化を図ることができる。
【0092】第1実施例の動力出力装置20では、アシ
ストモータ40を駆動軸22に取り付けたが、図11や
図14の異常判定処理ルーチンは、アシストモータ40
の動作には何ら影響されないから、図16や図17に示
す変形例の動力出力装置20Bや動力出力装置20Cの
ように、アシストモータ40をエンジン50のクランク
シャフト56に取り付けるものとしてもよい。こうした
アシストモータ40をエンジン50のクランクシャフト
56に取り付ける構成では、クラッチモータとアシスト
モータとを一体とした図18に示す変形例の動力出力装
置20Dのようにしてもよい。さらに、図19の変形例
の動力出力装置20Eに示すように、アシストモータ4
0を駆動軸22とは結合されていない車輪27,29の
車軸に取り付けるものとしてもよい。こうすれば、第1
実施例の動力出力装置20を4輪駆動の車両にも適用す
ることができる。
【0093】次に本発明の第2の実施例の動力出力装置
20Fについて説明する。図20は、第2実施例の動力
出力装置20Fの概略構成を示す構成図である。図示す
るように、第2実施例の動力出力装置20Fは、クラッ
チモータ30にギャップセンサ37が取り付けられてい
る点を除いて第1実施例の動力出力装置20の構成と同
一の構成をしている。したがって、第2実施例の動力出
力装置20Fの構成のうち第1実施例の動力出力装置2
0と同一の構成については同一の符号を付し、その説明
は省略する。なお、明示しない限り第1実施例の説明の
際に用いた符号はそのまま同じ意味で用いる。
【0094】図示するように、クラッチモータ30に設
けられたギャップセンサ37は、走査しながらレーザー
光を照射する照射部と照射したレーザー光の反射光を受
光する受光部とを備え、アウタロータ32とインナロー
タ34との隙間に走査しながら照射したレーザー光の反
射光を受光することによりアウタロータ32とインナロ
ータ34との間隔を検出する。このため、アウタロータ
32の付け根の部分には、レーザー光を反射する反射板
32aが取り付けられている。
【0095】こうして構成された第2実施例の動力出力
装置20Fでも、第1実施例の動力出力装置20と同様
に図5に例示したトルク制御ルーチンによるトルク制御
を基本として動作する。第2実施例の動力出力装置20
Fでは、クラッチモータ30の異常の検出は、図21に
例示する異常判定処理ルーチンにより行なう。以下、こ
の異常判定処理ルーチンに基づきクラッチモータ30の
異常の検出処理について説明する。なお、このルーチン
は、エンジン50の運転の有無に拘わらず、所定時間毎
(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。
【0096】異常判定処理ルーチンが実行されると、制
御装置80の制御CPU90は、まず、駆動軸22の回
転数Ndを入力する(ステップS300)。続いて、ギ
ャップセンサ37により検出されるクラッチモータ30
のアウタロータ32とインナロータ34との隙間(ギャ
ップ)△Gを入力し(ステップS302)、入力したギ
ャップ△Gと回転数Ndに基づいて定められる閾値g
(Nd)と比較する(ステップS304)。ここで、閾
値g(Nd)は、アウタロータ32とインナロータ34
とのギャップの最小値として設定されるものであり、イ
ンナロータ34の回転ぶれを考慮して定められる。実施
例では、図22に示すマップとして与えられるものとし
た。クラッチモータ30としては、漏れ磁束をできる限
り少なくし、効率のよいものとするために、アウタロー
タ32とインナロータ34との隙間はできる限り小さい
方が好ましいが、アウタロータ32やインナロータ34
の回転によるぶれや径方向の伸張等が生じるため、ある
程度のギャップが必要となる。したがって、このギャッ
プが必要以上に小さいときには、アウタロータ32とイ
ンナロータ34とが接触していたり接触する直前の状態
と判断できるから、ギャップを検出することによりクラ
ッチモータ30の異常を検出することができるのであ
る。
【0097】ギャップ△Gが閾値g(Nd)以上のとき
には、アウタロータ32とインナロータ34との間に正
常なギャップがあると判断し、クラッチモータ異常判定
フラグFcmに値0をセットして(ステップS30
8)、本ルーチンを終了する。一方、ギャップ△Gが閾
値g(Nd)未満のときには、アウタロータ32とイン
ナロータ34とが接触しているか接触する直前の状態に
あり、クラッチモータ30に異常が発生したと判断し、
クラッチモータ異常判定フラグFcmに値1を設定して
(ステップS306)、本ルーチンを終了する。
【0098】以上説明した第2実施例の動力出力装置2
0Fによれば、クラッチモータ30のアウタロータ32
とインナロータ34とのギャップに基づいてクラッチモ
ータ30の異常を検出することができる。しかも、駆動
軸22の回転数Ndに応じてより的確にクラッチモータ
30の異常を検出することができる。また、エンジン5
0の運転に拘わらずクラッチモータ30の異常を検出す
ることができる。もとより、第2実施例の動力出力装置
20Fによれば、エンジン50から出力される動力をよ
り効率よく所望の動力にトルク変換して駆動軸22に出
力することができる。
【0099】第2実施例の動力出力装置20Fでは、閾
値g(Nd)を駆動軸22の回転数Nd、即ちインナロ
ータ34の回転数に基づいて設定するものとしたが、ア
ウタロータ32の回転数とインナロータ34の回転数と
に基づいて閾値を設定するものとしてもよく、あるい
は、インナロータ34やアウタロータ32の回転数に拘
わらず所定の値を閾値としてもよい。
【0100】第2実施例の動力出力装置20Fは、クラ
ッチモータ30にギャップセンサ37を備えるものとす
れば、アシストモータ40の位置はどこでもよいから、
図15ないし図19の変形例の動力出力装置20Aない
し20Eの構成にも適用できる。また、図15の変形例
の動力出力装置20Aや図18の変形例の動力出力装置
20Dでは、アウタロータ32Aとステータ43との間
にギャップセンサ37を備えるものとすれば、アシスト
モータ40Aの異常の検出にも適用することができる。
【0101】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0やその変形例および第2実施例の動力出力装置20F
では、クラッチモータ30に対する電力の伝達手段とし
て回転トランス38を用いたが、その他、スリップリン
グ−ブラシ接触、スリップリング−水銀接触、あるいは
磁気エネルギの半導体カップリング等を用いることもで
きる。
【0102】次に、本発明の第3の実施例としての動力
出力装置110について説明する。図23は第3実施例
としての動力出力装置110の概略構成を示す構成図、
図24は第3実施例の動力出力装置110の部分拡大
図、図25は第3実施例の動力出力装置110を組み込
んだ車両の概略構成を示す構成図である。
【0103】第3実施例の動力出力装置110が組み込
まれた車両は、図25に示すように、クランクシャフト
156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが
取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モ
ータMG1およびモータMG2が取り付けられている点
を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた
車両(図3)と同様の構成をしている。したがって、第
3実施例の動力出力装置110の構成のうち第1実施例
の動力出力装置20と同一の構成については、値100
を加えた符号を付し、その説明は省略する。なお、第3
実施例の動力出力装置110の説明でも、明示しない限
り第1実施例の動力出力装置20の説明の際に用いた符
号はそのまま同じ意味で用いる。
【0104】図23に示すように、第3実施例の動力出
力装置110は、大きくは、エンジン150、エンジン
150のクランクシャフト156にプラネタリキャリア
124が機械的に結合されたプラネタリギヤ120、プ
ラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたモー
タMG1、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に
結合されたモータMG2およびモータMG1,MG2を
駆動制御する制御装置180から構成されている。
【0105】図24に示すように、プラネタリギヤ12
0は、クランクシャフト156に軸中心を貫通された中
空のサンギヤ軸125に結合されたサンギヤ121と、
クランクシャフト156と同軸のリングギヤ軸126に
結合されたリングギヤ122と、サンギヤ121とリン
グギヤ122との間に配置されサンギヤ121の外周を
自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギヤ1
23と、クランクシャフト156の端部に結合され各プ
ラネタリピニオンギヤ123の回転軸を軸支するプラネ
タリキャリア124とから構成されている。このプラネ
タリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ12
2およびプラネタリキャリア124にそれぞれ結合され
たサンギヤ軸125,リングギヤ軸126およびプラネ
タリキャリア124(クランクシャフト156)の3軸
が動力の入出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入
出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力さ
れる動力は決定された2軸へ入出力される動力に基づい
て定まる。なお、このプラネタリギヤ120の3軸への
動力の入出力についての詳細は後述する。
【0106】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128がモータMG1側に結合されてい
る。この動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129
により動力伝達ギヤ111に接続されており、動力取出
ギヤ128と動力伝達ギヤ111との間で動力の伝達が
なされる。図25に示すように、この動力伝達ギヤ11
1はディファレンシャルギヤ114にギヤ結合されてい
る。したがって、動力出力装置110から出力された動
力は、最終的に左右の駆動輪116,118に伝達され
る。
【0107】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個(実施例では、N極が4個でS
極が4個)の永久磁石135を有するロータ132と、
回転磁界を形成する三相コイル134が巻回されたステ
ータ133とを備える。ロータ132は、プラネタリギ
ヤ120のサンギヤ121に結合されたサンギヤ軸12
5に結合されている。ステータ133は、無方向性電磁
鋼板の薄板を積層して形成されており、ケース115に
固定されている。このモータMG1は、永久磁石135
による磁界と三相コイル134によって形成される磁界
との相互作用によりロータ132を回転駆動する電動機
として動作し、永久磁石135による磁界とロータ13
2の回転との相互作用により三相コイル134の両端に
起電力を生じさせる発電機として動作する。なお、サン
ギヤ軸125には、その回転角度θsを検出するレゾル
バ139が設けられている。
【0108】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個(実施例
では、N極が4個でS極が4個)の永久磁石145を有
するロータ142と、回転磁界を形成する三相コイル1
44が巻回されたステータ143とを備える。ロータ1
42は、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に結
合されたリングギヤ軸126に結合されており、ステー
タ143はケース115に固定されている。モータMG
2のステータ143も無方向性電磁鋼板の薄板を積層し
て形成されている。このモータMG2もモータMG1と
同様に、電動機あるいは発電機として動作する。なお、
リングギヤ軸126には、その回転角度θrを検出する
レゾルバ149が設けられている。
【0109】図23に示すように、第3実施例の動力出
力装置110が備える制御装置180は、第1実施例の
動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成さ
れている。すなわち、制御装置180は、モータMG1
を駆動する第1の駆動回路191、モータMG2を駆動
する第2の駆動回路192、両駆動回路191,192
を制御する制御CPU190、二次電池であるバッテリ
194から構成されており、制御CPU190は、内部
に、ワーク用のRAM190a、処理プログラムを記憶
したROM190b、入出力ポート(図示せず)および
EFIECU170と通信を行なうシリアル通信ポート
(図示せず)を備える。この制御CPU190には、第
1実施例の制御CPU90と同様に、レゾルバ139か
らのサンギヤ軸125の回転角度θs、レゾルバ149
からのリングギヤ軸126の回転角度θr、アクセルペ
ダルポジションセンサ164aからのアクセルペダルポ
ジションAP、ブレーキペダルポジションセンサ165
aからのブレーキペダルポジションBP、シフトポジシ
ョンセンサ184からのシフトポジションSP、第1の
駆動回路191に設けられた2つの電流検出器195,
196からの電流値Iu1,Iv1、第2の駆動回路1
92に設けられた2つの電流検出器197,198から
の電流値Iu2,Iv2、残容量検出器199からのバ
ッテリ194の残容量BRMなどが、入力ポートを介して
入力されている。
【0110】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192
内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トラ
ンジスタTr11ないしTr16は、それぞれトランジ
スタインバータを構成しており、それぞれ、一対の電源
ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよ
う2個ずつペアで配置され、その接続点に、第1の駆動
回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々
が、第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイ
ル144の各々が接続されている。電源ラインL1,L
2は、バッテリ194のプラス側とマイナス側に、それ
ぞれ接続されている。したがって、制御CPU190に
より対をなすトランジスタTr1ないしTr6,トラン
ジスタTr11ないしTr16のオン時間の割合を制御
信号SW1,SW2により順次制御し、三相コイル13
4,144に流れる電流をPWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル134,144により、回
転磁界が形成される。
【0111】次に、第3実施例の動力出力装置110の
動作について説明する。第3実施例の動力出力装置11
0の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。エンジン150を回転数NeとトルクTeとで表わ
される運転ポイントP1で運転し、このエンジン150
から出力されるエネルギPeと同一のエネルギであるが
異なる回転数NrとトルクTrとで表わされる運転ポイ
ントP2でリングギヤ軸126を運転する場合、即ち、
エンジン150から出力される動力をトルク変換してリ
ングギヤ軸126に作用させる場合について考える。こ
の時のエンジン150とリングギヤ軸126の回転数お
よびトルクの関係は、図26に示されている。
【0112】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124(クランクシャフト156))における回転数や
トルクの関係は、機構学の教えるところによれば、図2
7および図28に例示する共線図と呼ばれる図として表
わすことができ、幾何学的に解くことができる。なお、
プラネタリギヤ120における3軸の回転数やトルクの
関係は、上述の共線図を用いなくても各軸のエネルギを
計算することなどにより数式的に解析することもでき
る。第3実施例では説明の容易のため共線図を用いて説
明する。
【0113】図27における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(11)
で表わされる。
【0114】
【数7】
【0115】いま、エンジン150が回転数Neで運転
されており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転さ
れている場合を考えているから、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、
リングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロット
することができる。この両点を通る直線を描けば、この
直線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサン
ギヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以
下、この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、
回転数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式
(12))により求めることができる。このようにプラ
ネタリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ1
22およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2
つの回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した
2つの回転に基づいて決定される。
【0116】
【数8】
【0117】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、向きが同じで異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(13)および式(14)によって表わされ
る。なお、共線図を用いた以下の説明においては、各ト
ルクTes,Te,Ter,Trは総てその作用する方
向に関係なく正の符号を持つものとして絶対値で扱う
が、差し引き必要になるトルクTm1,Tm2は、符号
付きで扱うものとする。したがって、トルクTm1は下
向きが正の符号、Tm2は上向きが正の符号となる。こ
の結果、Tr−Ter>0なら、トルクTm2は、共線
図において上向きのトルクとなり、Tr−Ter<0な
ら、トルクTm2は、下向きのトルクとなる。
【0118】
【数9】
【0119】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力するトルクと同じ大きさで向きが
反対のトルクTrとトルクTerとの合力に対し大きさ
が同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるのであ
る。このトルクTm1はモータMG1により、トルクT
m2はモータMG2により作用させることができる。こ
のとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトルク
を作用させるから、モータMG1は発電機として動作す
ることになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生
する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向と
が同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0120】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図26に照らせば、運転ポ
イントP1で運転されているエンジン150から出力さ
れるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を、ト
ルク変換して、エネルギが同一でトルクTrと回転数N
rとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力
するのである。前述したように、リングギヤ軸126に
出力された動力は、動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝
達される。したがって、リングギヤ軸126に出力され
る動力と駆動輪116,118に伝達される動力とには
リニアな関係が成立するから、駆動輪116,118に
伝達される動力を、リングギヤ軸126に出力される動
力を制御することにより制御することができる。
【0121】図27に示す共線図ではサンギヤ軸125
の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数
Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、
図28に示す共線図のように負となる場合もある。この
ときには、モータMG1では、回転の方向とトルクの作
用する方向とが同じになるから、モータMG1は電動機
として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1を消費する。一方、モータM
G2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆に
なるから、モータMG2は発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126から回生することになる。こ
の場合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1と
モータMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しく
すれば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1を
モータMG2で丁度賄うことができる。
【0122】以上の説明から解るように、第3実施例の
動力出力装置110では、リングギヤ軸126の回転数
Nrに拘わらず、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
ことができる。このことは、第1実施例の動力出力装置
20と同様に、プラネタリギヤ120,モータMG1お
よびモータMG2とによるトルク変換の効率を100%
とすれば、エンジン150の運転ポイントは、リングギ
ヤ軸126に出力すべきエネルギPrと同一のエネルギ
を出力する運転ポイントであれば如何なるポイントであ
ってもよいこととなり、リングギヤ軸126に出力すべ
きエネルギPrと同一のエネルギを出力することを条件
にリングギヤ軸126の回転数Nrに拘わらず自由に定
めることができることを意味する。したがって、第3実
施例の動力出力装置110は、第1実施例の動力出力装
置20と同様に、エンジン150から出力される動力の
すべてをトルク変換してリングギヤ軸126に出力する
動作の他に、エンジン150から出力される動力(トル
クTeと回転数Neとの積)をリングギヤ軸126に要
求される動力(トルクTrと回転数Nrとの積)より大
きくして余剰の電気エネルギを見い出し、バッテリ19
4の充電を伴う動作としたり、逆にエンジン150から
出力される動力をリングギヤ軸126に要求される動力
より小さくして電気エネルギが不足するものし、バッテ
リ194から放電を伴う動作とすることもできる。
【0123】こうした第3実施例の動力出力装置110
は、上述したように、プラネタリギヤ120の動作を考
慮する必要があるが、エンジン150の運転ポイントと
リングギヤ軸126の運転ポイントとを独立に設定でき
るから、第1実施例の動力出力装置20と同様な処理、
即ち図5のトルク制御ルーチンと同様な処理を行なうこ
とができる。図29に第3実施例の動力出力装置110
において実行されるトルク制御ルーチンの一例を示す。
図示するように、図29のトルク制御ルーチンは、図5
のトルク制御ルーチンと比較すると、駆動軸22の回転
数Ndおよび駆動軸22に出力すべきトルクTd*をリ
ングギヤ軸126の回転数Nrおよびリングギヤ軸12
6に出力すべきトルクTr*に変更して処理し(ステッ
プS400ないしS405)、エンジン150の目標回
転数Ne*に基づいてサンギヤ軸125の目標回転数N
s*を上述した式(12)により算出する処理を加え
(ステップS406)、クラッチモータ30およびアシ
ストモータ40に代えてモータMG1およびモータMG
2を制御する(ステップS408およびS410)、も
のである。第3実施例の動力出力装置110のリングギ
ヤ軸126は、動力取出ギヤ128,チェーンベルト1
29,動力伝達ギヤ111およびディファレンシャルギ
ヤ114を介して駆動輪116,118に接続されてい
るから、第1実施例の動力出力装置20の駆動軸22に
相当する。したがって、サンギヤ軸125の目標回転数
Ns*を設定する処理を加える点とモータMG1および
モータMG2の制御を除けば、図29のトルク制御ルー
チンは、図5のトルク制御ルーチンと同一の処理という
ことができる。以下、モータMG1およびモータMG2
の制御について説明する。なお、ステップS400のリ
ングギヤ軸126の回転数Nrの読み込みは、リングギ
ヤ軸126に設けられたレゾルバ149により検出され
るリングギヤ軸126の回転角度θrから求めることが
できる。
【0124】モータMG1の制御(図29のステップS
408)は、図30に例示するモータMG1の制御ルー
チンによって行なわれる。このルーチンが実行される
と、制御装置180の制御CPU190は、まず、サン
ギヤ軸125の回転数Nsを読み込む処理を実行する
(ステップS420)。サンギヤ軸125の回転数Ns
は、サンギヤ軸125に取り付けられたレゾルバ139
により検出されるサンギヤ軸125の回転角度θsから
求めることができる。続いて、読み込んだ回転数Nsと
サンギヤ軸125の目標回転数Ns*とに基づいて次式
(15)により算出される値をモータMG1のトルク指
令値Tm1*に設定する。ここで、式(15)中の右辺
第1項は図27や図28の共線図における動作共線の釣
り合いから求められるものであり、右辺第2項は回転数
Nsの目標回転数Ns*からの偏差を打ち消す比例項で
あり、右辺第3項は定常偏差をなくすための積分項であ
る。したがって、モータMG1のトルク指令値Tm1*
は、定常状態(回転数Nsの目標回転数Ns*からの偏
差が値0のとき)では、動作共線の釣り合いの関係から
求められる値が設定されることになる。なお、式(1
5)中のK3およびK4は、比例定数である。サンギヤ
軸125の回転数Nsは上述した式(12)に示すよう
に、リングギヤ軸126の回転数Nrとエンジン150
の回転数Neとにより定まるから、モータMG1のトル
ク指令値Tm1*をサンギヤ軸125の回転数Nsに基
づいて設定することにより、エンジン150を目標回転
数Ne*の運転ポイントで安定させることができる。
【0125】
【数10】
【0126】以下のステップS422ないしS429の
処理は、図9および図10のアシストモータ制御ルーチ
ンにおけるステップS141ないしS150の処理と同
様であるから、これ以上の説明は省略する。
【0127】モータMG2の制御(図29のステップS
410)は、図31に例示するモータMG2の制御ルー
チンによって行なわれる。このルーチンが実行される
と、制御装置180の制御CPU190は、まず、次式
(16)により算出される値をモータMG2のトルク指
令値Tm2*に設定する(ステップS431)。ここ
で、式(16)は、図27や図28の共線図における動
作共線の釣り合いから求めることができる。そして、図
9および図10のアシストモータ制御ルーチンにおける
ステップS141ないしS150の処理と同様の処理で
あるステップS432ないしS439の処理を実行す
る。これらの処理については詳述したから、ここでは省
略する。
【0128】
【数11】
【0129】こうした各制御により第3実施例の動力出
力装置110は、アクセルペダル164の踏込量に応じ
たエネルギをエンジン150から出力すると共にこのエ
ネルギを所望の動力にトルク変換してリングギヤ軸12
6、延いては駆動輪116,118に出力することがで
きる。
【0130】次に、こうして動作している第3実施例の
動力出力装置110のモータMG1の異常を検出する処
理について図32に例示する異常判定処理ルーチンに基
づき説明する。この異常判定処理ルーチンは、エンジン
150の始動後に所定時間毎(例えば、8msec毎)
に繰り返し実行される。
【0131】本ルーチンが実行されると、制御装置18
0の制御CPU190は、まず、図11の異常判定処理
ルーチンのステップS160ないしS163の処理と同
一のステップS460ないしS463の処理を実行す
る。即ち、図12のエンジン動作判定処理ルーチンによ
りエンジン150が正常に動作しているか否かをエンジ
ン動作判定フラグFegにより判定し(ステップS46
0およびS462)、エンジン150が正常に動作して
いると判定されたときには、エンジン150の目標回転
数Ne*や目標トルクTe*が変更されていないかを判
定するのである(ステップS463)。ステップS46
2でエンジン動作判定フラグFegが値1のときにはエ
ンジン150が正常に動作していないと判断して本ルー
チンを終了し、ステップS463で目標回転数Ne*や
目標トルクTe*が変更されていれば、エンジン150
の動作やモータMG1の動作は過渡時の動作となり、本
ルーチンでは過渡時の動作に基づいてモータMG1の異
常の判定し得ないから、この場合には、カウンタCに値
0をセットすると共に(ステップS486)、モータM
G1の異常判定フラグFm1に値0をセットして(ステ
ップS488)、本ルーチンを終了する。
【0132】エンジン150の目標回転数Ne*や目標
トルクTe*が変更されていないときには、制御装置1
80の制御CPU190は、まず、エンジン150に吸
入される吸入空気量Gaを読み込む処理を実行する(ス
テップS464)。吸入空気量Gaは、吸気管に設けら
れた吸気管負圧センサ172により検出される吸気管負
圧から求めることができる。続いて、エンジン150の
回転数Neを読み込み(ステップS466)、読み込ん
だ吸入空気量Gaと回転数Neとに基づいてエンジン1
50からクランクシャフト156に出力していると推定
されるトルク(推定トルク)Teeを導出する(ステッ
プS468)。エンジン150の燃料噴射弁151から
噴射される燃料は、吸入空気量Gaに対してストイキと
なるよう制御されるから、エンジン150から出力して
いるエネルギPeと吸入空気量Gaとはリニアな関係を
持つ。また、エンジン150から出力しているトルクT
eは、エンジン150から出力しているエネルギPeを
その回転数Neで割ったものである。したがって、吸入
空気量Gaに関係付けられたエネルギPeを回転数Ne
で割ることによりエンジン150から出力しているトル
クTeを推定することができる。実施例では、各吸入空
気量Gaに対するエンジン150から出力しているエネ
ルギPeを実験により求め、これをマップとして予めR
OM190bに記憶しておき、吸入空気量Gaが与えら
れると、与えられた吸入空気量Gaに対応するエネルギ
Peを導出し、これを回転数Neで割って推定トルクT
eeとして導出するものとした。なお、エンジン150
の制御によっては、例えば、空燃比を理論空燃比より燃
料の比率が小さいリーン側で制御する場合や或いは理論
空燃比より燃料の比率が大きいリッチ側で制御する場合
などでは、吸入空気量Gaに対して必ずしもリニアな関
係になっていない場合もある。
【0133】次に、モータMG1のトルク指令値Tm1
*を読み込み(ステップS470)、読み込んだトルク
指令値Tm1*を用いて次式(17)によりエンジン1
50から出力されていると演算されるトルク(演算トル
ク)Temを算出する(ステップS472)。ここで、
式(17)は、式(13)の左辺をトルク指令値Tm1
*に置き換え、トルクTeについて解いたものである。
【0134】
【数12】
【0135】推定トルクTeeと演算トルクTemとを
求めると、これらの偏差△Teを算出し(ステップS4
76)、算出した偏差△Teを閾値Trefと比較する
(ステップS478)。ここで、閾値Trefは、エン
ジン150から出力していると推定される推定トルクT
eeを導出するときの誤差や、車両の走行状態に応じて
モータMG1のトルク指令値Tm1*から演算される演
算トルクTemを演算するときに生じる誤差などの許容
される最大値あるいはこれより若干大きな値として設定
されるものである。したがって、エンジン150が正常
に動作しており、モータMG1も正常に動作していれ
ば、偏差△Teは閾値Tref以内に収束し、モータM
G1が正常に動作していなければ、偏差△Teは閾値T
ref以内に収束しないことになる。したがって、偏差
△Teと閾値Trefとを比較することにより、モータ
MG1が正常にに動作しているか否かを判断することが
できる。なお、モータMG1の異常には、モータMG1
として永久磁石を用いた同期電動機を用いたから、永久
磁石の減磁も含まれる。
【0136】偏差△Teが閾値Tref以下のときに
は、モータMG1は正常に動作していると判断し、カウ
ンタCに値0をセットすると共に(ステップS48
6)、モータMG1の異常判定フラグFm1に値0をセ
ットして(ステップS488)、本ルーチンを終了す
る。一方、偏差△Teが閾値Trefより大きいときに
は、カウンタCをインクリメントし(ステップS48
0)、カウンタCが所定値Cset以上になったときに
(ステップS482)、モータMG1に異常が発生した
と判断し、モータMG1の異常判定フラグFm1に値1
をセットして(ステップS484)、本ルーチンを終了
する。なお、所定値Csetについては第1実施例で説
明した。
【0137】以上説明した第3実施例の動力出力装置2
0によれば、エンジン150の運転状態を表わすトルク
Teに基づいてモータMG1の異常を検出することがで
きる。しかも、エンジン150の目標回転数Ne*や目
標トルクTe*が変更されたときに回転数Neが目標回
転数Ne*に収束するのに要する時間を考慮するから、
より確実にモータMG1の異常を検出することができ
る。このようにモータMG1の異常を早期により確実に
検出することができるから、モータMG1の異常を検出
した際の処理、例えば、エンジン150から出力される
トルクTeを制限する処理や、モータMG1のトルク指
令値Tm1*を算出する式(15)中の比例定数K3,
K4を順次大きな値に変更する処理、エンジン150を
停止してモータMG2のみによる走行モードへ切り換え
る処理、運転者にモータMG1の異常を報知する処理等
の種々の処理を速やかに行なうことができる。
【0138】例えば、エンジン150から出力されるト
ルクTeを制限するものとしては、図29のトルク制御
処理に代えて図33に例示するトルク制御ルーチンを行
なえばよい。このルーチンでは、図29のルーチンのス
テップS404のエンジン150から出力すべきエネル
ギPeを算出する処理とステップS405のエンジン1
50の目標トルクTe*と目標回転数Ne*とを設定す
る処理との間に、ステップS404aないしS404d
の処理を実行する。即ち、モータMG1の異常判定フラ
グFm1が値1であるか否かを判定し(ステップS40
4a)、モータMG1の異常判定フラグFm1が値1の
ときには、モータMG1の永久磁石135が減磁したと
判断して、モータMG1の永久磁石135に減磁が生じ
てもプラネタリギヤ120を介してサンギヤ軸125に
出力されるエンジン150から出力されるトルクTeを
受け止められるようエネルギPeを所定値Pesetに
制限する(ステップS404bおよびS404c)。そ
して、制限されたエネルギPeに基づいて、Pe=Te
*×Ne*の関係の下、エンジン150の目標トルクT
e*や目標回転数Ne*を設定するのである(ステップ
S404d)。なお、モータMG1の異常判定フラグF
m1が値0のときや、値1であってもエネルギPeが所
定値Peset以下のときには、モータMG1によりプ
ラネタリギヤ120を介してサンギヤ軸125に出力さ
れるエンジン150のトルクTeを受け止めることがで
きるから、エネルギPeの再設定は行なわれない。な
お、このルーチンでは、モータMG1に異常が生じてい
るときでもリングギヤ軸126にトルク指令値Tr*に
相当するトルクを出力するから、モータMG2のトルク
指令値Tm2*には高い値が設定されることになる。
【0139】このようにモータMG1に異常が生じたと
きにエンジン150から出力されるエネルギPeを制限
することによりモータMG1の永久磁石135に減磁が
生じても動力出力装置110を動作させることができ
る。
【0140】第3実施例の動力出力装置110では、リ
ングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122
に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1
とモータMG2との間から取り出したが、図34の変形
例の動力出力装置110Aに示すように、リングギヤ軸
126を延出してケース115から取り出すものとして
もよい。また、図35の変形例の動力出力装置110B
に示すように、エンジン150側からプラネタリギヤ1
20,モータMG2,モータMG1の順になるよう配置
してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空でな
くてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする必要
がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに出力され
た動力をエンジン150とモータMG2との間から取り
出すことができる。
【0141】第3実施例の動力出力装置110では、モ
ータMG2をリングギヤ軸126に取り付けたが、図3
2の異常判定処理ルーチンは、モータMG2の動作には
何ら影響されないから、図36や図37,図38に示す
変形例の動力出力装置110Cないし110Eのよう
に、モータMG2をエンジン150のクランクシャフト
156に取り付けるものとしてもよい。さらに、図39
の変形例の動力出力装置110Fに示すように、モータ
MG2リングギヤ軸126とは結合されていない車輪1
17,119の車軸に取り付けるものとしてもよい。こ
うすれば、第3実施例の動力出力装置110を4輪駆動
の車両にも適用することができる。
【0142】第3実施例の動力出力装置110では、エ
ンジン150の運転状態を表わすトルクTeに基づいて
モータMG1の異常を検出したが、第1実施例の動力出
力装置20と同様にエンジン150の状態を表わす回転
数Neに基づいてモータMG1の異常を検出するものと
してもよい。同様に、第1実施例の動力出力装置20で
は、エンジン50の運転状態を表わす回転数Neに基づ
いてクラッチモータ30の異常を検出したが、第3実施
例の動力出力装置110と同様にエンジン50の状態を
表わすトルクTeに基づいてクラッチモータ30の異常
を検出するものとしてもよい。
【0143】また、第3実施例の動力出力装置110や
その変形例では、3軸式動力入出力手段としてプラネタ
リギヤ120を用いたが、一方はサンギヤと他方はリン
グギヤとギヤ結合すると共に互いにギヤ結合しサンギヤ
の外周を自転しながら公転する2つ1組の複数組みのプ
ラネタリピニオンギヤを備えるダブルピニオンプラネタ
リギヤを用いるものとしてもよい。この他、3軸式動力
入出力手段として3軸のうちいずれか2軸に入出力され
る動力を決定すれば、この決定した動力に基づいて残余
の1軸に入出力される動力を決定されるものであれば如
何なる装置やギヤユニット等、例えば、ディファレンシ
ャルギヤ等を用いることもできる。
【0144】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0145】例えば、上述した第1実施例や第12実施
例のエンジン50あるいは第3実施例のエンジン150
としてガソリンエンジンを用いたが、その他に、ディー
ゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェットエンジ
ンなど各種の内燃あるいは外燃機関を用いることもでき
る。
【0146】また、第1実施例または第2実施例のクラ
ッチモータ30やアシストモータ40、あるいは第3実
施例のモータMG1やモータMG2にPM形(永久磁石
形;Permanent Magnet type)同期電動機を用いたが、
回生動作および力行動作の双方が可能なものであれば、
その他にも、VR形(可変リラクタンス形;VariableRe
luctance type)同期電動機や、バーニアモータや、直
流電動機や、誘導電動機や、超電導モータや、ステップ
モータなどを用いることもできる。
【0147】あるいは、第1実施例や第2実施例の第1
および第2の駆動回路91,92あるいは第3実施例の
第1および第2の駆動回路191,192としてトラン
ジスタインバータを用いたが、その他に、IGBT(絶
縁ゲートバイポーラモードトランジスタ;Insulated Ga
te Bipolar mode Transistor)インバータや、サイリス
タインバータや、電圧PWM(パルス幅変調;Pulse Wi
dth Modulation)インバータや、方形波インバータ(電
圧形インバータ,電流形インバータ)や、共振インバー
タなどを用いることもできる。
【0148】また、バッテリ94,194としては、P
bバッテリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用
いることができるが、バッテリ94,194に代えてキ
ャパシタを用いることもできる。
【0149】以上の実施例では、動力出力装置を車両に
搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、船舶,航空機などの交通手段や、
その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての動力出力装置2
0の概略構成を示す構成図である。
【図2】図1の動力出力装置20が備えるクラッチモー
タ30およびアシストモータ40の構造を示す断面図で
ある。
【図3】図1の動力出力装置20を組み込んだ車両の概
略構成を示す構成図である。
【図4】動力出力装置20の動作原理を説明するための
グラフである。
【図5】制御装置80の制御CPU90により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図6】トルク指令値Td*と回転数Ndとアクセルペ
ダルポジションAPとの関係を示すマップを例示する説
明図である。
【図7】エンジン50の運転ポイント(目標トルクTe
*および目標回転数Ne*)を例示するグラフである。
【図8】制御装置80により実行されるクラッチモータ
30の制御の基本的な処理を例示するフローチャートで
ある。
【図9】制御装置80により実行されるアシストモータ
40の制御の基本的な処理の前半部分を例示するフロー
チャートである。
【図10】制御装置80により実行されるアシストモー
タ40の制御の基本的な処理の後半部分を例示するフロ
ーチャートである。
【図11】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れる異常判定処理ルーチンを例示するフローチャートで
ある。
【図12】制御装置80の制御CPU90により実行さ
れるエンジン動作判定処理ルーチンを例示するフローチ
ャートである。
【図13】変形例のクラッチモータ30の制御の一部を
例示するフローチャートである。
【図14】変形例の異常判定処理ルーチンの一部を例示
するフローチャートである。
【図15】変形例の動力出力装置20Aの概略構成を示
す構成図である。
【図16】変形例の動力出力装置20Bの概略構成を示
す構成図である。
【図17】変形例の動力出力装置20Cの概略構成を示
す構成図である。
【図18】変形例の動力出力装置20Dの概略構成を示
す構成図である。
【図19】変形例の動力出力装置20Eの概略構成を示
す構成図である。
【図20】本発明の第2の実施例としての動力出力装置
20Fの概略構成を示す構成図である。
【図21】第2実施例の制御装置80の制御CPU90
により実行される異常判定処理ルーチンを例示するフロ
ーチャートである。
【図22】駆動軸22の回転数Ndと閾値g(Nd)と
の関係を例示するグラフである。
【図23】本発明の第3の実施例としての動力出力装置
110の概略構成を示す構成図である。
【図24】第3実施例の動力出力装置110の部分拡大
図である。
【図25】第3実施例の動力出力装置110を組み込ん
だ車両の概略の構成を例示する構成図である。
【図26】第3実施例の動力出力装置110の動作原理
を説明するためのグラフである。
【図27】第3実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図28】第3実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図29】第3実施例の制御装置180により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図30】第3実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図31】第3実施例の制御装置180により実行され
るモータMG2の制御ルーチンを例示するフローチャー
トである。
【図32】第3実施例の制御装置180により実行され
る異常判定処理ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図33】変形例のトルク制御ルーチンの一部を例示す
るフローチャートである。
【図34】第3実施例の変形例の動力出力装置110A
の概略構成を示す構成図である。
【図35】第3実施例の変形例の動力出力装置110B
の概略構成を示す構成図である。
【図36】第3実施例の変形例の動力出力装置110C
の概略構成を示す構成図である。
【図37】第3実施例の変形例の動力出力装置110D
の概略構成を示す構成図である。
【図38】第3実施例の変形例の動力出力装置110E
の概略構成を示す構成図である。
【図39】第3実施例の変形例の動力出力装置110F
の概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A〜20F…動力出力装置 22…駆動軸 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 27,29…車輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 32a…反射板 34…インナロータ 35…永久磁石 36…三相コイル 37…ギャップセンサ 37A,37B…ベアリング 38…回転トランス 38A…一次巻線 38B…二次巻線 39…レゾルバ 40…アシストモータ 42…ロータ 43…ステータ 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 57…ホイール 58…イグナイタ 59a…圧入ピン 59b…ネジ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 65…アクセルペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 73…燃焼圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 110A〜110F…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 115…ケース 116,118…駆動輪 117,119…車輪 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 151…燃料噴射弁 156…クランクシャフト 164…アクセルペダル 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 170…EFIECU 172…吸気管負圧センサ 180…制御装置 184…シフトポジションセンサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 L1,L2…電源ライン MG1…モータ MG2…モータ Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H02K 7/18 H02K 7/18 B

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆
    動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回
    転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力さ
    れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
    出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定
    手段と、 該設定された目標動力に基づいて原動機の目標回転数と
    目標トルクとにより表される目標運転状態を設定する目
    標運転状態設定手段と、 該設定された目標運転状態で前記原動機が運転されると
    共に該原動機から出力される動力の少なくとも一部がト
    ルク変換されて前記目標動力として前記駆動軸に出力さ
    れるよう該原動機と前記エネルギ調整手段とを制御する
    駆動制御手段と、 前記原動機が正常に動作しているか否かを判定する動作
    判定手段と、 前記原動機の運転状態を検出する運転状態検出手段と、 前記動作判定手段により前記原動機が正常に動作してい
    ると判定されているにも拘わらず、前記運転状態検出手
    段により検出された前記原動機の運転状態が前記目標運
    転状態にないとき、該状態を前記エネルギ調整手段の異
    常として検出する異常検出手段とを備える動力出力装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記運転状態検出手段は、前記原動機の出力軸の回転数
    を検出する原動機回転数検出手段を有し、 前記異常検出手段は、前記原動機回転数検出手段により
    検出される前記原動機の回転数と前記目標回転数との偏
    差が所定値以上のとき、該原動機が前記目標運転状態に
    ないと判定し、該状態を前記エネルギ調整手段の異常と
    して検出する手段である動力出力装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記運転状態検出手段は、前記原動機の出力軸のトルク
    を検出する原動機トルク検出手段であり、 前記異常検出手段は、前記原動機トルク検出手段により
    検出される前記原動機の出力軸のトルクと前記目標トル
    クとの偏差が所定値以上のとき、該原動機が前記目標運
    転状態にないと判定し、該状態を前記エネルギ調整手段
    の異常として検出する手段である動力出力装置。
  4. 【請求項4】 前記異常検出手段により前記エネルギ調
    整手段の異常が検出されたとき、前記駆動制御手段によ
    る制御に拘わらず、前記原動機が所定の運転状態を越え
    ないよう該原動機の運転を制限する運転制限手段を備え
    る請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4いずれか記載の動力出
    力装置であって、 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回転軸に結合され
    た第1のロータと、前記第2の回転軸に結合され該第1
    のロータに対して相対的に回転可能な第2のロータとを
    有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介して該両回転軸
    間の動力のやり取りをする対ロータ電動機を備え、 前記異常検出手段は、前対ロータ電動機の異常を検出す
    る手段である動力出力装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4いずれか記載の動力出
    力装置であって、 前記エネルギ調整手段は、 前記第1の回転軸および前記第2の回転軸とは異なる第
    3の回転軸を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2
    つの回転軸へ入出力される動力を決定したとき、該決定
    された動力に基づいて残余の回転軸へ動力を入出力する
    3軸式動力入出力手段と、 前記第3の回転軸と動力のやり取りをする電動機とを備
    え、 前記異常検出手段は、前記電動機の異常を検出する手段
    である動力出力装置。
  7. 【請求項7】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸に結合された第1のロータと、前記
    駆動軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回転
    可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な
    結合を介して前記原動機の出力軸と該駆動軸との間で動
    力のやり取りをする対ロータ電動機と、 前記駆動軸の回転数を検出する駆動軸回転数検出手段
    と、 前記駆動軸に出力する目標動力を設定する目標動力設定
    手段と、 該設定された目標動力に基づいて原動機の目標回転数と
    目標トルクとにより表される目標運転状態を設定する目
    標運転状態設定手段と、 該設定された目標運転状態で前記原動機が運転されるよ
    う該原動機への吸入空気量および燃料供給量を制御する
    と共に前記対ロータ電動機の前記第2のロータの前記第
    1のロータに対する相対的な回転数が前記駆動軸回転数
    検出手段により検出された前記駆動軸の回転数と前記目
    標回転数との偏差として表わされる目標相対回転数とな
    るよう該対ロータ電動機を駆動制御する駆動制御手段
    と、 前記原動機が正常に動作しているか否かを判定する動作
    判定手段と、 前記対ロータ電動機の前記第2のロータの前記第1のロ
    ータに対する相対的な回転数を検出する相対回転数検出
    手段と、 前記動作判定手段により前記原動機が正常に動作してい
    ると判定されているにも拘わらず、前記相対回転数検出
    手段により検出された回転数と前記目標相対回転数との
    偏差が所定値以上のとき、該状態を対ロータ電動機の異
    常として検出する電動機異常検出手段とを備える動力出
    力装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の動力出力装置であって、 前記相対回転数検出手段は、 前記原動機の出力軸の回転数を検出する原動機回転数検
    出手段と、 該検出される前記原動機の出力軸の回転数と、前記駆動
    軸回転数検出手段により検出される前記駆動軸の回転数
    とにより前記相対的な回転数を演算する演算手段とを備
    える動力出力装置。
  9. 【請求項9】 第1の回転軸に結合される第1のロータ
    と、第2の回転軸に結合され該第1のロータに対して相
    対的に回転可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間
    の電磁的な結合を介して前記第1の回転軸と前記第2の
    回転軸との間で動力のやり取りをする電動機の異常を検
    出する異常検出装置であって、 前記第1のロータと前記第2のロータとの隙間を検出す
    る隙間検出手段と、 該検出された隙間が所定値未満のとき、電動機に異常が
    あると判定する異常判定手段とを備える電動機の異常検
    出装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の電動機の異常検出装置
    であって、 前記第1の回転軸の回転数を検出する回転数検出手段を
    備え、 前記異常判定手段は、前記回転数検出手段により検出さ
    れた回転数に基づいて前記所定値を設定する所定値設定
    手段を備える電動機の異常検出装置。
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JP8-227623 1996-08-09
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008068930A1 (ja) * 2006-12-08 2008-06-12 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 動力出力装置およびその制御方法並びに車両
JP2016049895A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 三菱自動車工業株式会社 ハイブリッド自動車
JP2017206162A (ja) * 2016-05-19 2017-11-24 本田技研工業株式会社 車両制御システム

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