JP3374321B2 - 定速駆動装置及び自動車の定速走行装置並びに動力出力装置の制御方法 - Google Patents

定速駆動装置及び自動車の定速走行装置並びに動力出力装置の制御方法

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JP3374321B2
JP3374321B2 JP21203096A JP21203096A JP3374321B2 JP 3374321 B2 JP3374321 B2 JP 3374321B2 JP 21203096 A JP21203096 A JP 21203096A JP 21203096 A JP21203096 A JP 21203096A JP 3374321 B2 JP3374321 B2 JP 3374321B2
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俊文 高岡
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  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定速駆動装置及び
自動車の定速走行装置並びに動力出力装置の制御方法に
関し、詳しくは、駆動軸を定速で回転駆動する定速駆動
装置および自動車を定速で走行する定速走行装置並びに
駆動軸に動力を出力する動力出力装置の制御方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の定速駆動装置または自動
車の定速走行装置としては、自動車の車速を検出し、こ
の車速と目標速度とに基づいて車速が目標速度となるよ
うエンジンから出力される動力をフィードバック制御す
るものが提案されている(例えば、特開昭63−747
30号公報など)。この装置では、エンジンから出力さ
れる動力は、エンジンへ供給される吸気量を調節するス
ロットルバルブの開度を調節することによって行なわれ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
たエンジンから出力される動力を調節することにより車
速を目標速度に制御する定速走行装置では、きめ細かな
定速走行の制御ができないといった問題があった。エン
ジンは、スロットルバルブを開いても直ちにその開度に
応じた回転数およびトルクで運転されるものではないか
ら、その開度に応じた動力が出力されるまでにある程度
の時間が必要になる。このようにエンジンの出力の応答
性は低いから、車速と目標速度とに偏差が生じてもその
偏差を直ちに解消することができない。また、こうした
スロットルバルブの開度の調節によるエンジン出力の制
御は、直接的にエンジン出力を制御するものでないか
ら、エンジン出力を高精度に制御することができない。
【0004】本発明の定速駆動装置および自動車の定速
走行装置並びに動力出力装置の制御方法は、こうした問
題を解決し、車速や駆動軸の回転数をより安定して一定
に保つことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の定速駆動装置は、駆動軸を定速で回転駆動する定
速駆動装置であって、出力軸を有する原動機と、前記原
動機を運転する原動機運転手段と、前記原動機の出力軸
と前記駆動軸とを接続する接続手段と、前記原動機の出
力軸または前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機
と、前記電動機を駆動する電動機駆動回路と、前記電動
機駆動回路を介して前記電動機から回生される電力によ
る充電と、前記電動機駆動回路を介して前記電動機の駆
動に要する電力の放電とを行なう蓄電手段と、操作者の
指示に基づいて前記駆動軸の目標回転数を設定する目標
回転数設定手段と、前記駆動軸の回転数を検出する回転
数検出手段と、該検出された回転数に基づいて、該回転
数が前記目標回転数となるよう前記原動機運転手段およ
び前記電動機駆動回路を介して前記原動機および前記電
動機を制御する回転制御手段とを備えることを要旨とす
る。
【0006】この定速駆動装置は、原動機運転手段が出
力軸を有する原動機を運転し、接続手段が原動機の出力
軸と駆動軸とを接続する。電動機は、電動機駆動回路に
よって駆動され、原動機の出力軸または駆動軸と動力の
やり取りをする。蓄電手段は、必要に応じて、電動機駆
動回路を介して電動機から回生される電力による充電
と、電動機駆動回路を介して電動機の駆動に要する電力
の放電とを行なう。回転制御手段は、回転数検出手段に
より検出された回転数に基づいて、該回転数が操作者の
指示に基づいて目標回転数設定手段により設定された駆
動軸の目標回転数となるよう原動機運転手段および電動
機駆動回路を介して原動機および電動機を制御する。
【0007】こうした定速駆動装置によれば、駆動軸の
回転数に基づいて原動機と電動機と接続手段とが制御さ
れて駆動軸に出力される動力が調整されるから、駆動軸
の回転数を目標回転数にすることができる。しかも、電
動機から出力される動力は、瞬時に変更することがで
き、その変化量も十分に小さいものとすることができる
から、応答性が良い高精度な制御とすることができる。
【0008】こうした本発明の定速駆動装置において、
前記接続手段は前記原動機の出力軸と前記駆動軸とを機
械的に接続する手段であるものすることもできる。
【0009】また、本発明の定速駆動装置において、前
記接続手段は、前記原動機の出力軸に結合される第1の
回転軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸とを有
し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の
回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する
電気エネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段
であり、前記蓄電手段は、前記エネルギ調整手段による
前記エネルギ偏差の調整の際に入出力される電気エネル
ギの少なくとも一部の充放電が可能な手段であるものと
することもできる。
【0010】この態様の定速駆動装置は、原動機の出力
軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合される第2
の回転軸とを有する接続手段であるエネルギ調整手段
が、第1の回転軸に入出力される動力と第2の回転軸に
入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネ
ルギの入出力により調整する。そして、蓄電手段は、必
要に応じてエネルギ調整手段によるエネルギ偏差の調整
の際に入出力される電気エネルギの少なくとも一部の充
放電を行なう。こうすれば、原動機と駆動軸とを独立に
動作させることもできる。また、蓄電手段でエネルギ調
整手段によるエネルギ偏差の調整の際に入出力される電
気エネルギの少なくとも一部を充放電することによりエ
ネルギ効率をより高くすることができる。
【0011】こうした接続手段がエネルギ調整手段であ
る定速駆動装置において、前記エネルギ調整手段は、前
記第1の回転軸に結合された第1のロータと、前記第2
の回転軸に結合され該第1のロータに対して相対的に回
転可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的
な結合を介して該両回転軸間の動力のやり取りをすると
共に、該両ロータ間の電磁的な結合と該両ロータ間の回
転数差とに基づいて電気エネルギを入出力する対ロータ
電動機であるものとすることもできる。この態様の定速
駆動装置は、第1の回転軸に結合された第1のロータ
と、第2の回転軸に結合され第1のロータに対して相対
的に回転可能な第2のロータとを有する対ロータ電動機
が、両ロータ間の電磁的な結合を介して両回転軸間の動
力のやり取りをすると共に、両ロータ間の電磁的な結合
と両ロータ間の回転数差とに基づいて電気エネルギを入
出力する。
【0012】このエネルギ調整手段が対ロータ電動機で
ある定速駆動装置において、前記電動機は、前記対ロー
タ電動機の第2のロータと該第2のロータを回転可能な
ステータとからなり、前記駆動軸と動力のやり取りをす
る電動機であるものとしたり、前記電動機は、前記対ロ
ータ電動機の第1のロータと該第1のロータを回転可能
なステータとからなり、前記原動機の出力軸と動力のや
り取りをする電動機であるものとすることもできる。こ
れらの態様とすれば、装置全体の小型化を図ることがで
きる。
【0013】また、接続手段がエネルギ調整手段である
定速駆動装置において、前記エネルギ調整手段は、前記
第1の回転軸および前記第2の回転軸と異なる第3の回
転軸を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回
転軸へ入出力される動力を決定したとき、該決定された
動力に基づいて残余の回転軸へ入出力される動力が決定
される3軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸と動
力のやり取りをする回転軸電動機とからなるものとする
こともできる。この態様の定速駆動装置における3軸式
動力入出力装置は、第1の回転軸と第2の回転軸と第3
の回転軸とを有し、これらの3軸のうちのいずれか2軸
へ動力が入出力されたとき、この入出力された動力に基
づいて決定される動力を残余の1軸から入出力する。そ
して、回転軸電動機は、第3の回転軸と動力のやり取り
をする。
【0014】これらの変形例を含め本発明の定速駆動装
置において、前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状
態検出手段を備え、前記回転制御手段は、前記蓄電状態
検出手段により検出された前記蓄電手段の蓄電状態と前
記回転数検出手段により検出された回転数とに基づい
て、該回転数が前記目標回転数となり前記蓄電手段の蓄
電状態が所定範囲の状態となるよう前記原動機および前
記電動機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制
御する手段であるものとすることもできる。
【0015】この態様の定速駆動装置とすれば、蓄電手
段の蓄電状態を常に所定の状態範囲内にすることができ
る。
【0016】また、本発明の定速駆動装置において、前
記回転制御手段は、前記原動機から出力される動力が段
階的に変化するよう制御する手段であるものとすること
もできる。この態様の定速駆動装置とすれば、原動機の
運転制御の精度を低くすることができると共に、原動機
の運転制御を簡易なものとすることができる。
【0017】あるいは、本発明の定速駆動装置におい
て、前記回転制御手段は、前記回転数検出手段により検
出された回転数に基づいて、該回転数の変化率を演算す
る変化率演算手段を備え、該演算された変化率と前記検
出された回転数とに基づいて、前記原動機および前記電
動機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制御す
る手段であるものとすることもできる。
【0018】この態様の定速駆動装置とすれば、駆動軸
の回転数の変化率に基づいて制御するから、その制御の
精度をより高くすることができる。
【0019】本発明の自動車の定速走行装置は、自動車
を定速で走行する定速走行装置であって、出力軸を有す
る原動機と、前記原動機を運転する原動機運転手段と、
前記原動機の出力軸と前記自動車の車輪に結合される駆
動軸とを接続する接続手段と、前記原動機の出力軸また
は前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機と、前記電
動機を駆動する電動機駆動回路と、前記電動機駆動回路
を介して前記電動機から回生される電力による充電と、
前記電動機駆動回路を介して前記電動機の駆動に要する
電力の放電とを行なう蓄電手段と、操作者の指示に基づ
いて前記自動車の目標速度を設定する目標速度設定手段
と、前記自動車の車速を検出する車速検出手段と、該検
出された車速に基づいて、該車速が前記目標速度となる
よう前記原動機運転手段および前記電動機駆動回路を介
して前記原動機および前記電動機を制御すると共に前記
接続手段の接続状態を制御する車速制御手段とを備える
ことを要旨とする。
【0020】この自動車の定速走行装置は、原動機運転
手段が出力軸を有する原動機を運転し、接続手段が原動
機の出力軸と自動車の車輪に結合される駆動軸とを接続
する。電動機は、電動機駆動回路によって駆動され、原
動機の出力軸または駆動軸と動力のやり取りをする。蓄
電手段は、必要に応じて、電動機駆動回路を介して電動
機から回生される電力による充電と、電動機駆動回路を
介して電動機の駆動に要する電力の放電とを行なう。車
速制御手段は、車速検出手段により検出された車速に基
づいて、車速が操作者の支持に基づいて目標速度設定手
段により設定された目標速度となるよう原動機運転手段
および電動機駆動回路を介して原動機および電動機を制
御すると共に接続手段の接続状態を制御する。
【0021】こうした自動車の定速走行装置によれば、
自動車の車速に基づいて原動機と電動機と接続手段とが
制御されて、車輪に結合される駆動軸に出力される動力
が調整されるから、車速を目標車速にすることができ
る。しかも、電動機から出力される動力は、瞬時に変更
することができ、その変化量も十分に小さいものとする
ことができるから、応答性が良い高精度な制御とするこ
とができる。
【0022】こうした本発明の自動車の定速走行装置に
おいて、前記接続手段は前記原動機の出力軸と前記駆動
軸とを機械的に接続する手段であるものとしたり、前記
接続手段は操作者の指示に基づいて前記原動機の出力軸
と前記駆動軸との接続および接続の解除を行なう接続解
除手段を備えるものとすることもできる。
【0023】また、本発明の自動車の定速走行装置にお
いて、前記接続手段は、前記原動機の出力軸に結合され
る第1の回転軸と前記駆動軸に結合される第2の回転軸
とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前記
第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を対
応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ調
整手段であり、前記蓄電手段は、前記エネルギ調整手段
による前記エネルギ偏差の調整の際に入出力される電気
エネルギの少なくとも一部の充放電が可能な手段である
ものとすることもできる。
【0024】この態様の自動車の定速走行装置は、原動
機の出力軸に結合される第1の回転軸と駆動軸に結合さ
れる第2の回転軸とを有する接続手段であるエネルギ調
整手段が、第1の回転軸に入出力される動力と第2の回
転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電
気エネルギの入出力により調整する。そして、蓄電手段
は、必要に応じてエネルギ調整手段によるエネルギ偏差
の調整の際に入出力される電気エネルギの少なくとも一
部の充放電を行なう。こうすれば、原動機と駆動軸とを
独立に動作させることもできる。また、蓄電手段でエネ
ルギ調整手段によるエネルギ偏差の調整の際に入出力さ
れる電気エネルギの少なくとも一部を充放電することに
よりエネルギ効率をより高くすることができる。
【0025】こうした接続手段がエネルギ調整手段であ
る自動車の定速走行装置において、前記エネルギ調整手
段は、前記第1の回転軸に結合された第1のロータと、
前記第2の回転軸に結合され該第1のロータに対して相
対的に回転可能な第2のロータとを有し、該両ロータ間
の電磁的な結合を介して該両回転軸間の動力のやり取り
をすると共に、該両ロータ間の電磁的な結合と該両ロー
タ間の回転数差とに基づいて電気エネルギを入出力する
対ロータ電動機であるものとすることもできる。この態
様の自動車の定速走行装置は、第1の回転軸に結合され
た第1のロータと、第2の回転軸に結合され第1のロー
タに対して相対的に回転可能な第2のロータとを有する
対ロータ電動機が、両ロータ間の電磁的な結合を介して
両回転軸間の動力のやり取りをすると共に、両ロータ間
の電磁的な結合と両ロータ間の回転数差とに基づいて電
気エネルギを入出力する。
【0026】このエネルギ調整手段が対ロータ電動機で
ある自動車の定速走行装置において、前記電動機は、前
記対ロータ電動機の第2のロータと該第2のロータを回
転可能なステータとからなり、前記駆動軸と動力のやり
取りをする電動機であるものとしたり、前記電動機は、
前記対ロータ電動機の第1のロータと該第1のロータを
回転可能なステータとからなり、前記原動機の出力軸と
動力のやり取りをする電動機であるものとすることもで
きる。これらの態様とすれば、装置全体の小型化を図る
ことができる。
【0027】また、接続手段がエネルギ調整手段である
自動車の定速走行装置において、前記エネルギ調整手段
は、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸と異なる
第3の回転軸を有し、前記3つの回転軸のうちいずれか
2つの回転軸へ入出力される動力を決定したとき、該決
定された動力に基づいて残余の回転軸へ入出力される動
力が決定される3軸式動力入出力手段と、前記第3の回
転軸と動力のやり取りをする回転軸電動機とからなるも
のとすることもできる。この態様の自動車の定速走行装
置における3軸式動力入出力装置は、第1の回転軸と第
2の回転軸と第3の回転軸とを有し、これらの3軸のう
ちのいずれか2軸へ動力が入出力されたとき、この入出
力された動力に基づいて決定される動力を残余の1軸か
ら入出力する。そして、回転軸電動機は、第3の回転軸
と動力のやり取りをする。
【0028】これらの変形例を含め本発明の自動車の定
速走行装置において、前記蓄電手段の蓄電状態を検出す
る蓄電状態検出手段を備え、前記車速制御手段は、前記
蓄電状態検出手段により検出された前記蓄電手段の蓄電
状態と前記車速検出手段により検出された車速とに基づ
いて、該車速が前記目標速度となり前記蓄電手段の蓄電
状態が所定範囲の状態となるよう前記原動機および前記
電動機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制御
する手段であるものとすることもできる。
【0029】この態様の自動車の定速走行装置とすれ
ば、蓄電手段の蓄電状態を常に所定範囲の状態にするこ
とができる。
【0030】また、本発明の自動車の定速走行装置にお
いて、前記車速制御手段は、前記原動機から出力される
動力が段階的に変化するよう制御する手段であるものと
することもできる。この態様の自動車の定速走行装置と
すれば、原動機の運転制御の精度を低くすることができ
ると共に、原動機の運転制御を簡易なものとすることが
できる。
【0031】あるいは、本発明の自動車の定速走行装置
において、前記車速制御手段は、前記車速検出手段によ
り検出された車速に基づいて、該車速の変化率を演算す
る変化率演算手段を備え、該演算された変化率と前記検
出された車速とに基づいて、前記原動機および前記電動
機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制御する
手段であるものとすることもできる。
【0032】この態様の自動車の定速走行装置とすれ
ば、車速の変化率に基づいて制御するから、その制御の
精度をより高くすることができる。
【0033】本発明の第1の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸と駆
動軸とを接続する接続手段と、前記原動機の出力軸また
は前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機と、前記電
動機駆動回路を介して前記電動機から回生される電力に
よる充電と、前記電動機駆動回路を介して前記電動機の
駆動に要する電力の放電とを行なう蓄電手段とを備える
動力出力装置の制御方法であって、操作者の指示に基づ
いて前記駆動軸の目標回転数を設定し、前記駆動軸の回
転数を検出し、該検出された回転数に基づいて、該回転
数が前記目標回転数となるよう前記原動機および前記電
動機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制御す
ることを要旨とする。
【0034】この動力出力装置の制御方法によれば、駆
動軸の回転数に基づいて原動機と電動機と接続手段とが
制御されて駆動軸に出力される動力が調整されるから、
駆動軸の回転数を目標回転数にすることができる。しか
も、電動機から出力される動力は、瞬時に変更すること
ができ、その変化量も十分に小さいものとすることがで
きるから、応答性が良い高精度な制御とすることができ
る。
【0035】本発明の第2の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸と自
動車の車輪に結合される駆動軸とを接続する接続手段
と、前記原動機の出力軸または前記駆動軸と動力のやり
取りをする電動機と、前記電動機駆動回路を介して前記
電動機から回生される電力による充電と、前記電動機駆
動回路を介して前記電動機の駆動に要する電力の放電と
を行なう蓄電手段とを備える動力出力装置を搭載する自
動車を定速走行させる該動力出力装置の制御方法であっ
て、操作者の指示に基づいて前記自動車の目標速度を設
定し、前記自動車の車速を検出し、該検出された車速に
基づいて、該車速が前記目標速度となるよう前記原動機
および前記電動機を制御すると共に前記接続手段の接続
状態を制御することを要旨とする。
【0036】この動力出力装置の制御方法によれば、自
動車の車速に基づいて原動機と電動機と接続手段とが制
御されて、自動車の車輪に結合される駆動軸に出力され
る動力が調整されるから、駆動軸の回転数を目標回転数
にすることができる。しかも、電動機から出力される動
力は、瞬時に変更することができ、その変化量も十分に
小さいものとすることができるから、応答性が良い高精
度な制御とすることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施例と
しての動力出力装置20を搭載した車両の概略構成を示
す構成図である。図示するように、動力出力装置20
は、大きくは、エンジン50と、エンジン50の運転を
制御する電子制御ユニット(以下、EFIECUと呼
ぶ)70と、エンジン50から出力される動力を駆動軸
22に伝達するクラッチモータ30およびアシストモー
タ40と、このクラッチモータ30およびアシストモー
タ40を駆動制御する制御装置80とから構成される。
【0038】エンジン50は、ガソリンにより運転され
るガソリンエンジンであり、吸気系からスロットルバル
ブ66を介して吸入した空気と燃料噴射弁51から噴射
されたガソリンとの混合気を燃焼室52に吸入し、この
混合気の爆発により押し下げられるピストン54の運動
をクランクシャフト56の回転運動に変換する。ここ
で、スロットルバルブ66はアクチュエータ68により
開閉駆動される。点火プラグ62は、イグナイタ58か
らディストリビュータ60を介して導かれた高電圧によ
って電気火花を形成し、混合気はその電気火花によって
点火されて爆発燃焼する。
【0039】EFIECU70には、エンジン50の運
転状態を示す種々のセンサが接続されている。例えば、
スロットルバルブ66の開度(ポジション)を検出する
スロットルバルブポジションセンサ67、原動機の50
の負荷を検出する吸気管負圧センサ72、エンジン50
の水温を検出する水温センサ74、ディストリビュータ
60に設けられクランクシャフト56の回転数と回転角
度を検出する回転数センサ76および回転角度センサ7
8などである。なお、EFIECU70には、この他、
例えばイグニッションキーの状態STを検出するスター
タスイッチ79なども接続されているが、その他のセン
サ,スイッチなどの図示は省略した。
【0040】エンジン50のクランクシャフト56に
は、クラッチモータ30とアシストモータ40とが結合
されている。クラッチモータ30およびアシストモータ
40に結合された駆動軸22は、ディファレンシャルギ
ヤ24に結合されており、エンジン50から出力される
動力は最終的に左右の駆動輪26,28に出力される。
クラッチモータ30とアシストモータ40は、制御装置
80により制御されている。制御装置80の構成は後で
詳述するが、内部には制御CPUが備えられており、シ
フトレバー82に設けられたシフトポジションセンサ8
4やアクセルペダル64に設けられたアクセルペダルポ
ジションセンサ65、車両の車速を検出する車速センサ
86などが接続されている。また、制御装置80は、上
述したEFIECU70と通信により、種々の情報をや
り取りしている。これらの情報のやり取りを含む制御に
ついては、後述する。
【0041】図2は、クラッチモータ30,アシストモ
ータ40および制御装置80を中心に動力出力装置20
の概略構成を示す構成図である。図示するように、クラ
ッチモータ30は、アウタロータ32とインナロータ3
4とから構成されており、アウタロータ32はエンジン
50のクランクシャフト56に結合され、インナロータ
34は駆動軸22に結合されている。そして、この駆動
軸22にはアシストモータ40のロータ42が結合され
ている。
【0042】クラッチモータ30は、アウタロータ32
の内周面に永久磁石35を備え、インナロータ34に形
成されたスロットに三相のコイル36を巻回する同期電
動機として構成されている。この三相コイル36への電
力は、回転トランス38を介して供給される。インナロ
ータ34において三相コイル36用のスロットおよびテ
ィースを形成する部分は、無方向性電磁鋼板の薄板を積
層することで構成されている。なお、クランクシャフト
56には、その回転角度θeを検出するレゾルバ39が
設けられているが、このレゾルバ39は、ディストリビ
ュータ60に設けられた回転角度センサ78と兼用する
ことも可能である。
【0043】他方、アシストモータ40も同期電動機と
して構成されているが、回転磁界を形成する三相コイル
44は、ケース45に固定されたステータ43に巻回さ
れている。このステータ43も、無方向性電磁鋼板の薄
板を積層することで形成されている。ロータ42の外周
面には、複数個の永久磁石46が設けられている。アシ
ストモータ40では、この永久磁石46により磁界と三
相コイル44が形成する磁界との相互作用により、ロー
タ42が回転する。ロータ42が機械的に結合された軸
は、動力出力装置20のトルクの出力軸である駆動軸2
2であり、駆動軸22には、その回転角度θdを検出す
るレゾルバ48が設けられている。また、駆動軸22
は、ケース45に設けられたベアリング49により軸支
されている。
【0044】係るクラッチモータ30とアシストモータ
40は、クラッチモータ30のインナロータ34がアシ
ストモータ40のロータ42、延いては駆動軸22に機
械的に結合されている。したがって、エンジン50と両
モータ30,40との関係を簡略に言えば、エンジン5
0からクランクシャフト56に出力された軸トルクがク
ラッチモータ30のアウタロータ32およびインナロー
タ34を介して駆動軸22に出力され、アシストモータ
40からのトルクがこれに加減算されるということにな
る。
【0045】アシストモータ40は、通常の永久磁石型
三相同期モータとして構成されているが、クラッチモー
タ30は、永久磁石35を有するアウタロータ32も三
相コイル36を備えたインナロータ34も、共に回転す
るよう構成されている。そこで、クラッチモータ30の
構成の詳細について、図3のクラッチモータ30および
アシストモータ40の構造を示す断面図を用いて補足す
る。クラッチモータ30のアウタロータ32は、クラン
クシャフト56に嵌合されたホイール57の外周端に圧
入ピン59aおよびネジ59bにより取り付けられてい
る。ホイール57の中心部は、軸形状に突設されてお
り、ここにベアリング37A,37Bを用いてインナロ
ータ34が回転自在に取り付けられている。また、イン
ナロータ34には、駆動軸22の一端が固定されてい
る。
【0046】アウタロータ32に永久磁石35が設けら
れていることは既に説明した。この永久磁石35は、実
施例では4個設けられており、アウタロータ32の内周
面に貼付されている。その磁化方向はクラッチモータ3
0の軸中心に向かう方向であり、一つおきに磁極の方向
は逆向きになっている。この永久磁石35と僅かなギャ
ップにより対向するインナロータ34の三相コイル36
は、インナロータ34に設けられた計24個のスロット
(図示せず)に巻回されており、各コイルに通電する
と、スロットを隔てるティースを通る磁束を形成する。
各コイルに三相交流を流すと、この磁界は回転する。三
相コイル36の各々は、回転トランス38から電力の供
給を受けるよう接続されている。この回転トランス38
は、ケース45に固定された一次巻線38Aとインナロ
ータ34に結合された駆動軸22に取り付けられた二次
巻線38Bとからなり、電磁誘導により、一次巻線38
Aと二次巻線38Bとの間で、双方向に電力をやり取り
することができる。なお、三相(U,V,W相)の電流
をやり取りするために、回転トランス38には三相分の
巻線が用意されている。
【0047】隣接する一組の永久磁石35が形成する磁
界と、インナロータ34に設けられた三相コイル36が
形成する回転磁界との相互作用により、アウタロータ3
2とインナロータ34とは種々の振る舞いを示す。通常
は、三相コイル36に流す三相交流の周波数は、クラン
クシャフト56に直結されたアウタロータ32の回転数
(1秒間の回転数)とインナロータ34の回転数との偏
差の周波数としている。この結果、両者の回転には滑り
を生じることになる。クラッチモータ30およびアシス
トモータ40の制御の詳細については、後でフローチャ
ートを用いて詳しく説明する。
【0048】次に、クラッチモータ30およびアシスト
モータ40を駆動・制御する制御装置80について説明
する。制御装置80は、クラッチモータ30を駆動する
第1の駆動回路91、アシストモータ40を駆動する第
2の駆動回路92、両駆動回路91,92を制御する制
御CPU90、二次電池であるバッテリ94から構成さ
れている。制御CPU90は、1チップマイクロプロセ
ッサであり、内部に、ワーク用のRAM90a、処理プ
ログラムを記憶したROM90b、入出力ポート(図示
せず)およびEFIECU70と通信を行なうシリアル
通信ポート(図示せず)を備える。この制御CPU90
には、レゾルバ39からのエンジン50の回転角度θ
e、レゾルバ48からの駆動軸22の回転角度θd、ア
クセルペダルポジションセンサ65からのアクセルペダ
ルポジション(アクセルペダルの踏込量)AP、シフト
ポジションセンサ84からのシフトポジションSP、車
速センサ86からの車速V、第1の駆動回路91に設け
られた2つの電流検出器95,96からのクラッチ電流
値Iuc,Ivc、第2の駆動回路に設けられた2つの
電流検出器97,98からのアシスト電流値Iua,I
va、バッテリ94の残容量を検出する残容量検出器9
9からの残容量BRMなどが、入力ポートを介して入力さ
れている。なお、残容量検出器99は、バッテリ94の
電解液の比重またはバッテリ94の全体の重量を測定し
て残容量を検出するものや、充電・放電の電流値と時間
を演算して残容量を検出するものや、バッテリの端子間
を瞬間的にショートさせて電流を流し内部抵抗を測るこ
とにより残容量を検出するものなどが知られている。
【0049】また、制御CPU90からは、第1の駆動
回路91に設けられたスイッチング素子である6個のト
ランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号SW
1と、第2の駆動回路92に設けられたスイッチング素
子としての6個のトランジスタTr11ないしTr16
を駆動する制御信号SW2とが出力されている。第1の
駆動回路91内の6個のトランジスタTr1ないしTr
6は、トランジスタインバータを構成しており、それぞ
れ、一対の電源ラインL1,L2に対してソース側とシ
ンク側となるよう2個ずつペアで配置され、その接続点
に、クラッチモータ30の三相コイル(UVW)36の
各々が、回転トランス38を介して接続されている。電
源ラインL1,L2は、バッテリ94のプラス側とマイ
ナス側に、それぞれ接続されているから、制御CPU9
0により対をなすトランジスタTr1ないしTr6のオ
ン時間の割合を制御信号SW1により順次制御し、各コ
イル36に流れる電流を、PWM制御によって擬似的な
正弦波にすると、三相コイル36により、回転磁界が形
成される。
【0050】他方、第2の駆動回路92の6個のトラン
ジスタTr11ないしTr16も、トランジスタインバ
ータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路91と
同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接続点
は、アシストモータ40の三相コイル44の各々に接続
されている。従って、制御CPU90により対をなすト
ランジスタTr11ないしTr16のオン時間を制御信
号SW2により順次制御し、各コイル44に流れる電流
を、PWM制御によって擬似的な正弦波にすると、三相
コイル44により、回転磁界が形成される。
【0051】以上構成を説明した動力出力装置20の動
作について説明する。動力出力装置20の動作原理、特
にトルク変換の原理は以下の通りである。エンジン50
がEFIECU70により運転され、エンジン50の回
転数Neが所定の回転数N1で回転しているとする。こ
のとき、制御装置80が回転トランス38を介してクラ
ッチモータ30の三相コイル36に何等電流を流してい
ないとすれば、即ち第1の駆動回路91のトランジスタ
Tr1ないしTr6が常時オフ状態であれば、三相コイ
ル36には何等の電流も流れないから、クラッチモータ
30のアウタロータ32とインナロータ34とは電磁的
に全く結合されていない状態となり、エンジン50のク
ランクシャフト56は空回りしている状態となる。この
状態では、トランジスタTr1ないしTr6がオフとな
っているから、三相コイル36からの回生も行なわれな
い。即ち、エンジン50はアイドル回転をしていること
になる。
【0052】制御装置80の制御CPU90が制御信号
SW1を出力してトランジスタをオンオフ制御すると、
エンジン50のクランクシャフト56の回転数Neと駆
動軸22の回転数Ndとの偏差(言い換えれば、クラッ
チモータ30におけるアウタロータ32とインナロータ
34の回転数差Nc(Ne−Nd))に応じて、クラッ
チモータ30の三相コイル36に一定の電流が流れる。
即ち、クラッチモータ30は発電機として機能し、電流
が第1の駆動回路91を介して回生され、バッテリ94
が充電される。この時、アウタロータ32とインナロー
タ34とは一定の滑りが存在する結合状態となる。即
ち、エンジン50の回転数Ne(クランクシャフト56
の回転数)よりは低い回転数Ndでインナロータ34は
回転する。この状態で、回生された電気エネルギと等し
いエネルギがアシストモータ40で消費されるように、
制御CPU90が第2の駆動回路92を制御すると、ア
シストモータ40の三相コイル44に電流が流れ、アシ
ストモータ40においてトルクが発生する。
【0053】図4に照らせば、クランクシャフト56が
回転数N1,トルクT1で運転しているときに、領域G
1のエネルギをクラッチモータ30から回生し、これを
アシストモータ40に付与することにより、駆動軸22
を回転数N2,トルクT2で回転させることができるの
である。こうして、クラッチモータ30における滑り、
即ち正の値の回転数差Ncに応じたエネルギをトルクと
して駆動軸22に付与して、トルクの変換を行なうので
ある。
【0054】次に、エンジン50が回転数Neが所定の
回転数N2でトルクTeがトルクT2で運転されてお
り、駆動軸22が回転数N2より大きな回転数N1で回
転している場合を考える。この状態では、クラッチモー
タ30のインナロータ34は、アウタロータ32に対し
て回転数差Nc(Ne−Nd)の絶対値で示される回転
数で駆動軸22の回転方向に回転するから、クラッチモ
ータ30は、通常のモータとして機能し、バッテリ94
からの電力により駆動軸22に回転エネルギを与える。
一方、制御CPU90によりアシストモータ40により
電力を回生するよう第2の駆動回路92を制御すると、
アシストモータ40のロータ42とステータ43との間
の滑りにより三相コイル44に回生電流が流れる。ここ
で、アシストモータ40により回生される電力がクラッ
チモータ30により消費されるよう制御CPU90によ
り第1および第2の駆動回路91,92を制御すれば、
クラッチモータ30を、バッテリ94に蓄えられた電力
を用いることなく駆動することができる。
【0055】図4に照らせば、クランクシャフト56が
回転数N2,トルクT2で運転しているときに、領域G
2と領域G3のエネルギをアシストモータ40から回生
し、これをクラッチモータ30に付与することにより、
駆動軸22を回転数N1,トルクT1で回転させること
ができるのである。
【0056】なお、実施例の動力出力装置20では、こ
うしたトルク変換に加えて、エンジン50から出力され
るエネルギ(トルクTeと回転数Neとの積)と、クラ
ッチモータ30により回生または消費される電気エネル
ギと、アシストモータ40により消費または回生される
電気エネルギとを調節することにより、余剰の電気エネ
ルギを見い出してバッテリ94を放電したり、不足する
電気エネルギをバッテリ94に蓄えられた電力により補
ったりして、エンジン50からの出力エネルギをより効
率よく動力として駆動軸22に出力することができる。
【0057】次に、こうして構成される動力出力装置2
0による車両の定速走行の制御について説明する。車両
の定速走行は、運転者により所望の目標速度Vmが設定
されることにより行なわれる。運転者による目標速度V
mの設定は、例えば、目標速度Vmの設定の指示が行な
われたときの車両の車速を車速センサ86により読みと
り、これを目標速度Vmに設定するものや、車両の走行
速度には無関係に所望の車速を目標速度Vmに設定する
ものがある。
【0058】このように運転者により定速走行の指示
(目標速度Vmの設定)がなされると、制御装置80の
制御CPU90は、まず、ROM90bに予め記憶され
た図5に例示する定速走行初期処理ルーチンを実行し、
その後、図10に例示する定速走行制御ルーチンを繰り
返し実行する。以下に、まず定速走行初期処理ルーチン
について説明し、その後、定速制御ルーチンについて説
明する。
【0059】本ルーチンが実行されると、制御装置80
の制御CPU90は、まず、運転者の指示された速度を
目標速度Vmとして設定し(ステップS100)、この
目標速度Vmに基づいてROM90bに予め記憶された
図示しないマップにより駆動軸22に出力すべきトルク
の指令値(以下、出力トルク指令値という)Td*を設
定する(ステップS102)。ここで、実施例が用いる
マップは、無風状態で水平で平坦な所定の路面状態の道
路において車両を車速Vで定速走行するのに必要な駆動
軸22のトルクTdを実験により求め、各車速Vとトル
クTdを目標速度Vmと出力トルク指令値Td*との関
係としてマップとしたものである。したがって、このマ
ップは、エンジン50やクラッチモータ30,アシスト
モータ40の特性、車両の重量や形状等により定まるも
のである。
【0060】次に、定速走行時の駆動軸22の目標回転
数Nd*を目標速度Vmに比例係数Kdを乗じて求める
(ステップS104)。通常、車両の車速に対して駆動
軸22の回転数Ndは比例関係にあるから、目標回転数
Nd*は、目標速度Vmに車両によって特定される比例
係数Kdを乗じて求められる。続いて、求めた出力エネ
ルギPdを出力トルク指令値Td*と目標回転数Nd*
とを用いて計算(Pd=Td*×Nd*)により算出し
(ステップS106)、算出した出力エネルギPdに基
づいて、エンジン50の目標トルクTe*と目標回転数
Ne*とを設定する処理を行なう(ステップS10
8)。ここで、エンジン50の供給するエネルギはエン
ジン50のトルクTeと回転数Neとの積に等しいか
ら、出力エネルギPdとエンジン50の目標トルクTe
*および目標回転数Ne*との関係はPd=Te*×N
e*となり、かかる関係を満足するエンジン50の目標
トルクTe*および目標回転数Ne*の組合せは無数に
存在する。そこで、本実施例では、各出力エネルギPd
に対してエンジン50ができる限り効率の高い状態で運
転され、かつ出力エネルギPdの変化に対してエンジン
50の運転状態が滑らかに変化するエンジン50の目標
トルクTe*および目標回転数Ne*を実験等により求
め、これを予めROM90bにマップとして記憶してお
き、ステップS103により求めた出力エネルギPdに
対応するエンジン50の目標トルクTe*および目標回
転数Ne*をこのマップから導出するものとした。
【0061】次に、設定されたエンジン50の目標トル
クTe*をクラッチモータ30のトルク指令値Tc*と
して設定し(ステップS110)、アシストモータ40
のトルク指令値Ta*を計算(Ta*=Td*−Tc
*)により算出する(ステップS112)。ここで、ス
テップS110でクラッチモータ30のトルク指令値T
c*とエンジン50の目標トルクTe*とを同じ値にす
るのは、エンジン50を目標トルクTe*および目標回
転数Ne*でほぼ一定に運転するためである。これは、
エンジン50のトルクTeは、エンジン50の負荷トル
ク、即ちクラッチモータ30により駆動軸22に作用さ
せるトルクの反作用として働くトルクにより定まること
に基づく。
【0062】こうして、エンジン50の目標トルクTe
*および目標回転数Ne*,クラッチモータ30のトル
ク指令値Tc*,アシストモータ40のトルク指令値T
a*を設定すると、これらの設定値に基づいてクラッチ
モータ30の制御(ステップS114)、アシストモー
タ40の制御(ステップS116)およびエンジン50
の制御(ステップS118)が行なわれる。なお、図示
の都合上、クラッチモータ30の制御とアシストモータ
40の制御とエンジン50の制御とは別々のステップと
して記載しているが、実際には、これらの制御は同時に
並行して行なわれる。例えば、制御CPU90が割り込
み処理を利用して、クラッチモータ30とアシストモー
タ40の制御を同時に実行すると共に、通信によりEF
IECU70に指示を送信して、EFIECU70によ
りエンジン50の制御も同時に行なわせるのである。
【0063】なお、実施例では、説明の容易のためエン
ジン50から出力されるエネルギPeのクラッチモータ
30およびアシストモータ40による駆動軸22への伝
達効率が100%の理想状態として説明したが、実際に
は、両モータ30,40の効率も100%ではなく、第
1および第2の駆動回路91,92での損失もあるか
ら、伝達効率は100%にならない。このため、クラッ
チモータ30およびアシストモータ40のトルクTc,
Taを指令値とおりの値として動作させるとバッテリ9
4から放電されることになる。したがって、実際には、
ステップS106の出力エネルギPdを伝達効率で除し
て対処するか、両モータのトルク指令値Tc*,Ta*
を設定する際に各モータおよび各駆動回路の効率を考慮
する必要がある。以下の説明でも、説明の容易のために
理想状態として取り扱うが、実際には、こうした効率を
考慮して行なう必要があることは言うまでもない。
【0064】クラッチモータ30の制御(ステップS1
14)は、図6に例示するクラッチモータ制御処理に基
づいて行なわれる。この処理が実行されると、制御CP
U90は、まず駆動軸22の回転角度θdをレゾルバ4
8から読み込む処理が行なわれる(ステップS12
2)。次に、レゾルバ39からエンジン50のクランク
シャフト56の回転角度θeを入力し(ステップS12
4)、両軸の相対角度θcを求める処理を行なう(ステ
ップS126)。即ち、θc=θe−θdを演算するの
である。
【0065】次に、電流検出器95,96により、クラ
ッチモータ30の三相コイル36のU相とV相に流れて
いる相電流Iuc,Ivcを検出する処理を行なう(ス
テップS128)。相電流はU,V,Wの三相に流れて
いるが、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流
を測定すれば足りる。こうして得られた三相の相電流を
用いて座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップ
S130)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd
軸,q軸の電流値に変換することであり、次式(1)を
演算することにより行なわれる。ここで座標変換を行な
うのは、永久磁石型の同期電動機においては、d軸及び
q軸の電流がトルクを制御する上で本質的な量だからで
ある。もとより、三相のまま制御することも可能であ
る。
【0066】
【数1】
【0067】次に、2軸の電流値に変換した後、クラッ
チモータ30におけるトルク指令値Tc*から求められ
る各軸の電流指令値Idc*,Iqc*と実際各軸に流
れた電流Idc,Iqcと偏差を求め、各軸の電圧指令
値Vdc,Vqcを求める処理を行なう(ステップS1
32)。即ち、まず以下の式(2)の演算を行ない、次
に次式(3)の演算を行なうのである。ここで、Kp
1,2およびKi1,2は各々係数である。これらの係
数は、適用するモータの特性に適合するよう調整され
る。また、電圧指令値Vdc,Vqcは、電流指令値I
*との偏差△Iに比例する部分(下式(3)右辺第1
項)と偏差△Iのi回分の過去の累積分(右辺第2項)
とから求められる。
【0068】
【数2】
【0069】
【数3】
【0070】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS130で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS134)、
実際に三相コイル36に印加する電圧Vuc,Vvc,
Vwcを求める処理を行なう。各電圧は、次式(4)に
より求める。
【0071】
【数4】
【0072】実際の電圧制御は、第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間により
なされるから、式(4)によって求めた各電圧指令値と
なるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン時間
をPWM制御する(ステップS136)。
【0073】なお、クラッチモータ30の制御は、トル
ク指令値Tc*の符号を駆動軸22にクランクシャフト
56の回転方向に正のトルクが作用するときを正とする
と、正の値のトルク指令値Tc*が設定されても、エン
ジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより大
きいとき(正の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、回転数差Ncに応じた回生電流を発生さ
せる回生制御がなされ、回転数Neが回転数Ndより小
さいとき(負の値の回転数差Nc(Ne−Nd)が生じ
るとき)には、クランクシャフト56に対して相対的に
回転数差Ncの絶対値で示される回転数で駆動軸22の
回転方向に回転する力行制御がなされる。クラッチモー
タ30の回生制御と力行制御は、トルク指令値Tc*が
正の値であれば、共にアウタロータ32に取り付けられ
た永久磁石35と、インナロータ34の三相コイル36
に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の値のト
ルクが駆動軸22に作用するよう第1の駆動回路91の
トランジスタTr1ないしTr6を制御するものである
から、同一のスイッチング制御となる。即ち、トルク指
令値Tc*の符号が同じであれば、クラッチモータ30
の制御が回生制御であっても力行制御であっても同じス
イッチング制御となる。したがって、図6のクラッチモ
ータ制御処理によりいずれの制御も行なうことができ
る。また、トルク指令値Tc*が負の値のとき、即ち駆
動軸22を制動しているときや車両を後進させていると
きは、ステップS126の相対角度θcの変化の方向が
逆になるから、このときの制御も図6のクラッチモータ
制御処理により行なうことができる。
【0074】次に、アシストモータ40の制御(図5の
ステップS116)について図7に例示するアシストモ
ータ制御処理に基づき説明する。アシストモータ制御処
理では、制御CPU90は、まず駆動軸22の回転角度
θdをレゾルバ48を用いて検出し(ステップS14
0)、続いてアシストモータ40の各相電流を電流検出
器97,98を用いて検出する処理(ステップS14
2)を行なう。その後、クラッチモータ30と同様の座
標変換(ステップS144)および電圧指令値Vda,
Vqaの演算を行ない(ステップS146)、更に電圧
指令値の逆座標変換(ステップS148)を行なって、
アシストモータ40の第2の駆動回路92のトランジス
タTr11ないしTr16のオンオフ制御時間を求め、
PWM制御を行なう(ステップS149)。これらの処
理は、クラッチモータ30について行なったものと全く
同一である。
【0075】ここで、アシストモータ40は、トルク指
令値Ta*が正の値として設定されるときには力行制御
がなされ、トルク指令値Ta*が負の値として設定され
るときには回生制御がなされる。しかし、アシストモー
タ40の力行制御と回生制御は、クラッチモータ30の
制御と同様に、共に図7のアシストモータ制御処理で行
なうことができる。また、駆動軸22がクランクシャフ
ト56の回転方向と逆向きに回転しているとき、即ち車
両が後進しているときも同様である。なお、アシストモ
ータ40のトルク指令値Ta*の符号は、駆動軸22に
クランクシャフト56の回転方向に正のトルクが作用す
るときを正とした。
【0076】次に、エンジン50の制御(図5のステッ
プS118)について説明する。エンジン50の制御
は、図5のステップS108において設定された目標ト
ルクTe*および目標回転数Ne*の運転ポイントで定
常運転状態となるようトルクTeおよび回転数Neが制
御される。実際には、制御CPU90から通信によりE
FIECU70にエンジン50の目標トルクTe*およ
び目標回転数Ne*が送信され、この目標トルクTe*
および目標回転数Ne*に基づいてスロットルバルブ6
6の開度制御や燃料噴射弁51からの燃料噴射制御が行
なわれる。スロットルバルブ66の開度制御は、例えば
図8に示すスロットルバルブ開度制御ルーチンに基づい
て行なわれ、燃料噴射制御は、例えば図9に示す燃料噴
射制御処理ルーチンにより行なわれる。これらの各ルー
チンは、所定時間毎に繰り返し実行される。以下、各ル
ーチンについて簡単に説明する。
【0077】スロットルバルブ開度制御ルーチンが実行
されると、EFIECU70は、まずスロットルバルブ
ポジションセンサ67により検出されるスロットルバル
ブ66の開度BPを読み込む処理(ステップS152)
と、エンジン50の回転数Neを読み込む処理を実行す
る(ステップS154)。EFIECU70では、エン
ジン50の回転数Neは、ディストリビュータ60に設
けられた回転数センサ76によって検出されたものを用
いる。レゾルバ39から読み込んだクランクシャフト5
6の回転角度θeから求めることもできるが、この場
合、制御装置80から通信により情報を受け取ることに
なる。
【0078】次に、図5のステップS106で求めた出
力エネルギPdに基づいてスロットルバルブ66の基本
開度BPFを設定する(ステップS156)。実施例で
は、各出力エネルギPdに対して、各出力エネルギPd
に基づいて設定される目標トルクTe*および目標回転
数Ne*の運転ポイントでエンジン50が定常運転状態
となるスロットルバルブ66の開度BPを実験等により
求め、これをEFIECU70が備える図示しないRO
Mにマップとして予め記憶しておき、与えられた出力エ
ネルギPdに対してこのマップから対応する開度BPを
基本開度BPFとして導出するものとした。
【0079】続いて、得られた基本開度BPFおよび回
転数Ne,目標回転数Ne*を用いて次式(5)により
開度指令値BP*を算出する処理を行なう(ステップS
158)。ここで、式中のkeは比例定数である。この
ように開度指令値BP*を設定することにより、エンジ
ン50を目標回転数Ne*で安定して運転するのであ
る。
【0080】 BP*=ke(Ne*−Ne)+BPF …(5)
【0081】開度指令値BP*を設定すると、開度指令
値BP*から開度BPを減じて偏差△BPを算出し(ス
テップS160)、アクチュエータ68によりスロット
ルバルブ66を偏差△BPだけ駆動させる処理を実行し
て(ステップS162)、本ルーチンを終了する。
【0082】次に、燃料噴射制御について図9に例示す
る燃料噴射制御処理ルーチンに基づき説明する。本ルー
チンが実行されると、EFIECU70は、まずエンジ
ン50の回転数Neを入力する処理(ステップS16
4)と、吸入空気量Qを入力する処理とを行なう(ステ
ップS166)。吸入空気量Qは、吸気管負圧センサ7
2により検出される吸気管の負圧と、エンジン50の回
転数Neとにより計算することができる。
【0083】続いて、ステップS164およびS166
で入力した吸入空気量Qおよび回転数Neを用いて、基
本燃料噴射量TPを次式(6)に従って算出する(ステ
ップS168)。なお、式中のktは定数である。
【0084】TP=kt・Q/Ne …(6)
【0085】こうして求めた基本燃料噴射量TPに、次
式(7)に従うように各種補正係数を掛けることによ
り、実燃料噴射量TAUを算出する(ステップS17
0)。ここで、FAFは、図示しない空燃比センサによ
り検出された混合気のリーン・リッチの状態から定めら
れる空燃比補正係数であり、空燃比センサの出力が混合
気のリッチ状態に対応した値となるまで積分動作により
漸増され、リッチ状態になった後はリーン状態に対応し
た値となるまで積分動作により漸減される。FWLは、
暖機増量補正係数であり、冷却水温が60℃以下の間は
1.0以上の値をとる。α,βは、その他の補正係数で
あり、例えば、吸気温補正,過渡時補正,電源電圧補正
等に関する補正係数が該当する。
【0086】 TAU=TP・FAF・FWL・α・β …(7)
【0087】ステップS170で実燃料噴射量TAUが
算出されると、続いて、その実燃料噴射量TAUに相当
する燃料噴射時間を燃料噴射弁51の開弁時間を決定す
る図示しないカウンタにセットする(ステップS17
2)。この結果、図示しない燃料噴射弁駆動処理ルーチ
ンにおいて、そのカウンタにセットされた開弁時間だ
け、燃料噴射弁51が開弁駆動され、エンジン50の吸
気ポートに必要量の燃料が噴射される。
【0088】以上説明した制御により、車両は目標速度
Vm近傍の速度で走行する。上述の制御では、無風状態
で水平な平坦路で所定の路面状態の道路を走行している
ときには、車速は目標速度Vmとなるが、実際には、風
や路面の傾斜,路面状態により設定した目標速度Vmで
定速走行しない場合が多い。実施例では、上述の制御に
より、車両が目標速度Vmの近傍の速度になると、上述
の制御に代えて図10に例示する定速走行制御ルーチン
に基づく制御を行なう。なお、運転者による目標速度V
mの設定が、設定の指示が行なわれたときの車両の車速
を目標速度Vmとする場合には、図5の処理のうち、ス
テップS100ないしS112が実行された後、直ちに
図10の定速走行制御ルーチンに基づく制御が行なわれ
る。
【0089】定速走行制御ルーチンが実行されると、制
御装置80の制御CPU90は、まず車速センサ86に
より検出される車速Vを読み込む処理を行ない(ステッ
プS174)、目標速度Vmから読み込んだ車速Vを減
じて速度偏差△Vを計算する(ステップS176)。そ
して、計算した速度偏差△Vと前回の基本出力エネルギ
Pdfを用いて新たな基本出力エネルギPdfを次式
(8)により算出する(ステップS178)。ここで、
前回の基本出力エネルギPdfは、前回このルーチンが
実行されたときにステップS178で設定された新たな
基本出力エネルギPdfであり、このルーチンが始めて
実行されたときには、図5のルーチンのステップS10
6で設定された出力エネルギPdが前回の基本出力エネ
ルギPdfとして用いられる。また、式(8)中のKv
1は比例定数である。
【0090】 Pdf=前回のPdf+Kv1・△V …(8)
【0091】次に、残容量検出器99により検出される
バッテリ94の残容量BRMを入力し(ステップS18
0)、入力したバッテリ94の残容量BRMが閾値B1お
よび閾値B2により設定されている範囲にあるか否かの
判断を行なう(ステップS182)。ここで、閾値B1
は、バッテリ94の充電を開始する残容量の値として設
定されるものであり、その値は、例えばエンジン50を
起動するのに必要な残容量やエンジン50を停止した状
態でアシストモータ40により車両を所定時間走行させ
るのに必要な残容量等を考慮して定められる。閾値B2
は、バッテリ94の放電を開始する残容量として設定さ
れるものであり、その値は、例えば車両を制動させた際
に回転駆動している駆動軸22からクラッチモータ30
またはアシストモータ40により回生される電力を蓄積
可能な容量がバッテリ94に残るよう定められる。
【0092】残容量BRMが閾値B1と閾値B2で定める
範囲内にあるときには、出力エネルギPdに基本出力エ
ネルギPdfをそのまま設定する(ステップS18
6)。残容量BRMが閾値B1以下のときには、基本出力
エネルギPdfに充電エネルギPbiを加えた値として
出力エネルギPdを設定し(ステップS184)、残容
量BRMが閾値B2以上のときには、基本出力エネルギP
dfから放電エネルギPboを減じた値として出力エネ
ルギPdを設定する(ステップS188)。ここで、充
電エネルギPbiは、バッテリ94を充電するためのエ
ネルギであり、所定値あるいはバッテリ94の残容量B
RMに基づいて設定されるものである。また、放電エネル
ギPboは、バッテリ94から放電するエネルギであ
り、所定値あるいは、バッテリ94の残容量BRMに基づ
いて設定されるものである。
【0093】こうして出力エネルギPdが設定される
と、この出力エネルギPdをエンジン50の目標トルク
Te*で除してエンジン50の目標回転数Ne*を求め
(ステップS190)、アシストモータ40のトルク指
令値Ta*を、前回のトルク指令値Ta*と速度偏差△
Vとを用いて次式(9)により計算する(ステップS1
92)。ここで、前回のトルク指令値Ta*は、前回こ
のルーチンが実行されたときにステップS192で設定
された新たなトルク指令値Ta*であり、このルーチン
が始めて実行されたときには、図5のルーチンのステッ
プS112で設定されたトルク指令値Ta*が前回のト
ルク指令値Ta*として用いられる。また、式(9)
中、Kv2は比例定数であり、上述の比例定数Kv1と
次式(10)の関係にある。
【0094】 Ta*=前回のTa*+Kv2・△V …(9) Kv2=Kv1/Nd …(10)
【0095】こうしてエンジン50の目標回転数Ne*
とアシストモータ40のトルク指令値Ta*とを設定す
ると、設定した設定値を用いて、クラッチモータ30の
制御(ステップS194)、アシストモータ40の制御
(ステップS196)およびエンジン50の制御(ステ
ップS198)を行なう。これらの各制御は、前述した
図5のステップS114ないしS118の各制御と同一
であるから、その詳細な説明は省略する。なお、定速走
行制御ルーチンでは、これらの制御に必要な設定値のう
ちエンジン50の目標回転数Ne*とアシストモータ4
0のトルク指令値Ta*しか設定していないが、エンジ
ン50の目標トルクTe*とクラッチモータ30のトル
ク指令値Tc*は、図5のステップS108およびS1
10で設定されたものが用いられる。
【0096】次に、こうした定速走行制御ルーチンを実
行することにより車速Vが目標速度Vmに保たれる様子
について説明する。まず、バッテリ94の残容量BRMが
閾値B1と閾値B2により設定される範囲(以下、適正
範囲という)内にあるときに車両の車速Vが目標速度V
mに保たれる様子について、この様子を例示する図11
に基づき説明する。図10の定速走行制御ルーチンで
は、風や道路の傾斜により車速Vが目標速度Vmより速
度偏差△V1だけ小さくなると、前回の基本出力エネル
ギPdfに値Kv1・△V1が加えられた基本出力エネ
ルギPdfを出力エネルギPdとして設定すると共に
(ステップS178,S186)、この設定された出力
エネルギPdに基づいてエンジン50の目標回転数Ne
*を演算して(ステップS190)、エンジン50の制
御(ステップS198)を行なうと同時に、前回のトル
ク指令値Ta*に速度偏差△V1に応じて定まる値Kv
2・△V1を加えたものとしてアシストモータ40のト
ルク指令値Ta*を設定して(ステップS192)、ア
シストモータ40の制御(ステップS196)を行な
う。
【0097】この結果、図11に示すように、動力の出
力軸としての駆動軸22に直接出力されるアシストモー
タ40のトルクTaが直ちに値Kv2・△V1だけ増加
されるから、車速Vと目標速度Vmとの速度偏差△Vは
打ち消され、車速Vが目標速度Vmに保たれる。こうし
たアシストモータ40の素早いトルク変化により、速度
偏差△Vが生じても、直ちにその偏差を小さくして車速
Vを目標速度Vmにするのである。一方、エンジン50
は、目標回転数Ne*が新たに設定され、スロットルバ
ルブ66の開度も直ちに目標の運転状態となるように制
御されるが、アシストモータ40のトルク変化に比して
その応答性が低いから、直ちに目標回転数Ne*で運転
することができず、エンジン50から出力されるエネル
ギPeは遅れて目標値(出力エネルギPd)に達する。
したがって、アシストモータ40のトルク増加に要する
電力は、エンジン50から出力されるエネルギPeでは
賄えないことになる。実施例では、エンジン50が目標
の運転状態に至るまでに不足する電力は、バッテリ94
から供給される。
【0098】こうして、車速Vが目標速度Vmに保たれ
た後に、再び車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△V2
が生じると、この速度偏差△V2を打ち消す方向にエン
ジン50から出力されるエネルギPeが増減されると共
にアシストモータ40のトルク指令値Ta*が増減され
て、速度偏差△V2が打ち消され、車速Vを目標速度V
mとする。この際、アシストモータ40のトルク変化の
応答性に対してエンジン50から出力されるエネルギP
eの変化の応答性が低いことから、アシストモータ40
のトルク変化に要する電力に過不足の電力が生じるが、
この過不足の電力はバッテリ94の充放電により調整さ
れる。
【0099】車速Vと目標速度Vmとの速度偏差△Vを
打ち消す際のエンジン50の運転ポイントおよび駆動軸
22の運転ポイントの変化の様子を図12および図13
に示す。図12はエンジン50の回転数Neが駆動軸2
2の回転数Ndより大きいときの変化の様子であり、図
13はエンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数
Ndより小さいときの変化の様子である。
【0100】エンジン50の回転数Neが駆動軸22の
回転数Ndより大きいときには、図12に示すように、
エンジン50および駆動軸22の運転ポイントが変更さ
れる。即ち、エンジン50は、速度偏差△Vが生じる前
に車速Vを目標速度Vmに保つのに必要なエネルギであ
る出力エネルギPd1のエネルギが同一の曲線上の運転
ポイントPE1(トルクTe,回転数Ne1)から速度
偏差△Vを打ち消して再び車速Vを目標速度Vmに保つ
のに必要なエネルギの増加量Kv1・△Vだけ出力エネ
ルギPd1よりエネルギが高い出力エネルギPd2のエ
ネルギの同一の曲線上の運転ポイントのうち運転ポイン
トPE1とトルクは同じだが回転数が大きな運転ポイン
トPE2(トルクTe,回転数Ne2)に変更される。
そして、駆動軸22は、このエンジン50の運転ポイン
トの変更に伴い、運転ポイントPE1とエネルギが同一
の曲線上の運転ポイントPD1(出力トルクTd1,回
転数Nd)から運転ポイントPE2とエネルギが同一の
曲線上の運転ポイントのうち運転ポイントPD1と回転
数は同じだが出力トルクが値Kv2・△Vだけ大きな運
転ポイントPD2(出力トルクTd2,回転数Nd)に
変更される。この駆動軸22の出力トルクの増加量Kv
2・△Vは、定速走行制御ルーチンのステップS192
でアシストモータ40のトルクTaを値Kv2・△Vだ
け増加することにより行なわれる。なお、クラッチモー
タ30のトルクTcは、エンジン50のトルクTeが一
定に保たれるから、変更されない。
【0101】エンジン50の回転数Neが駆動軸22の
回転数Ndより小さいときには、図13に示すように、
エンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndよ
り大きいときと同様に、エンジン50は運転ポイントP
E1(トルクTe,回転数Ne1)から運転ポイントP
E2(トルクTe,回転数Ne2)における運転に変更
され、駆動軸22は運転ポイントPD1(出力トルクT
d1,回転数Nd)から運転ポイントPD2(出力トル
クTd2,回転数Nd)における運転に変更される。こ
の場合、アシストモータ40は負の値のトルクTaに基
づいて回生制御されているから、トルクTaの増加は、
値Kv2・△Vだけ増加されることによりその絶対値が
小さくなるものとして表わされる。なお、図13では、
駆動軸22の回転数Ndをエンジン50の回転数Ne2
より大きな場合について示したが、駆動軸22の回転数
Ndが、エンジン50の回転数Ne1より大きいが回転
数Ne2より小さいときには、エンジン50の運転ポイ
ントの変更により図12の状態となるから、クラッチモ
ータ30は力行制御から回生制御に、アシストモータ4
0は逆に回生制御から力行制御に変更されることにな
る。
【0102】次に、車速Vが目標速度Vmで一定のとき
にバッテリ94の残容量BRMが適正範囲に保たれる様子
について、この様子を例示する図14に基づき説明す
る。バッテリ94の残容量BRMが閾値B1以下であるの
を検出すると、図10の定速走行制御ルーチンでは、基
本出力エネルギPdfに充電エネルギPbiを加えたも
のとして出力エネルギPdを設定すると共に(ステップ
S184)、この設定された出力エネルギPdに基づい
てエンジン50の目標回転数Ne*を演算して(ステッ
プS190)、エンジン50の制御(ステップS19
8)を行なうから、図14に示すように、エンジン50
から出力すべきエネルギPdは、充電エネルギPbiだ
け増加する。一方、クラッチモータ30のトルク指令値
Tc*は、エンジン50の目標トルクTe*に変更がな
いから一定に保たれ、アシストモータ40のトルク指令
値Ta*も車両の車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△
Vを生じないから一定に保たれているから、エンジン5
0から出力されるエネルギPdの増加の前後で、クラッ
チモータ30およびアシストモータ40から駆動軸22
に伝達するエネルギは等しい。したがって、エンジン5
0から出力されるエネルギPdの増加分は、すべてバッ
テリ94の充電に用いられることになる。
【0103】こうしたバッテリ94の充電の際のエンジ
ン50の運転ポイントおよび駆動軸22の運転ポイント
の変化の様子を図15および図16に示す。図15はエ
ンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより
大きいときの変化の様子であり、図16はエンジン50
の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより小さいとき
の変化の様子である。
【0104】図15および図16に示すように、エンジ
ン50は、車速Vを目標速度Vmに保つのに必要なエネ
ルギである基本出力エネルギPdfとエネルギが同一の
曲線上の運転ポイントPE1(トルクTe,回転数Ne
1)からバッテリ94の充電に必要な充電エネルギPb
iだけエネルギの高いエネルギが同一の曲線上の運転ポ
イントのうち運転ポイントPE1とトルクは同じだが回
転数が大きな運転ポイントPE2(トルクTe,回転数
Ne2)に変更されるが、駆動軸22は、エンジン50
の運転ポイントの変更に拘わらず、運転ポイントPE1
とエネルギが同一の曲線上の運転ポイントPD1(出力
トルクTd1,回転数Nd)で運転されることになる。
したがって、エネルギ収支上、エンジン50の回転数N
eの増加分(Ne2−Ne1)に相当する図中領域Gb
iで表わされるエネルギが余剰のエネルギとして見い出
されるから、この余剰のエネルギによりバッテリ94の
充電が行なわれる。
【0105】余剰のエネルギである領域Gbiで表わさ
れるエネルギは、図15のエンジン50の回転数Neが
駆動軸22の回転数Ndより大きいときでは、エンジン
50の回転数Neと駆動軸22の回転数Ndとの偏差で
ある回転数差Ncが正の値でありその偏差が増加するこ
とから、クラッチモータ30の回生制御による回生され
る電力の増加として見い出され、図16のエンジン50
の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより小さいとき
では、回転数差Ncが負の値でありその偏差が減少する
ことから、クラッチモータ30の力行制御に必要な電力
の減少として見い出されることになる。なお、図16で
は駆動軸22の回転数Ndをエンジン50の回転数Ne
2より大きな場合について示したが、駆動軸22の回転
数Ndが、エンジン50の回転数Ne1より大きいが回
転数Ne2より小さいときには、エンジン50の運転ポ
イントの変更によりクラッチモータ30は力行制御から
回生制御に変更されることになる。
【0106】また、バッテリ94の残容量BRMが閾値B
2以上であるのを検出すると、図10の定速走行制御ル
ーチンでは、基本出力エネルギPdfから放電エネルギ
Pboを減じたものとして出力エネルギPdを設定する
と共に(ステップS188)、この設定された出力エネ
ルギPdに基づいてエンジン50の目標回転数Ne*を
演算して(ステップS190)、エンジン50の制御
(ステップS198)を行なうから、図14に示すよう
に、エンジン50から出力すべきエネルギPdは、放電
エネルギPboだけ減少する。クラッチモータ30およ
びアシストモータ40のトルク指令値Tc*,Ta*
は、前述のバッテリ94の残容量BRMが閾値B1以下で
あるときと同様にエンジン50から出力されるエネルギ
Pdの減少の前後で変化しないから、両モータ30,4
0から駆動軸22に出力されるエネルギは等しい。した
がって、エンジン50から出力されるエネルギPdが減
少した分だけエネルギが不足することとなり、この不足
分がバッテリ94から放電される電力で賄われることに
なる。
【0107】こうしたバッテリ94の放電の際のエンジ
ン50の運転ポイントおよび駆動軸22の運転ポイント
の変化の様子を図17および図18に示す。図17はエ
ンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより
大きいときの変化の様子であり、図18はエンジン50
の回転数Neが駆動軸22の回転数Ndより小さいとき
の変化の様子である。
【0108】図17および図18に示すように、エンジ
ン50は、車速Vを目標速度Vmに保つのに必要なエネ
ルギである基本出力エネルギPdfの同一エネルギ曲線
上の運転ポイントPE1(トルクTe,回転数Ne1)
からバッテリ94から放電される放電エネルギPboだ
けエネルギの低いエネルギが同一の曲線上の運転ポイン
トのうち運転ポイントPE1とトルクは同じだが回転数
が大きな運転ポイントPE2(トルクTe,回転数Ne
2)に変更されるが、駆動軸22は、エンジン50の運
転ポイントの変更に拘わらず、運転ポイントPE1とエ
ネルギが同一の曲線上の運転ポイントPD1(出力トル
クTd1,回転数Nd)で運転されることになる。した
がって、エネルギ収支上、エンジン50の回転数Neの
減少分(Ne2−Ne1)に相当する図中領域Gboで
表わされるエネルギが不足することになり、この不足分
がバッテリ94から放電される電力で賄われることにな
る。
【0109】エネルギの不足分である領域Gboで表わ
されるエネルギは、図17のエンジン50の回転数Ne
が駆動軸22の回転数Ndより大きいときでは、正の数
の回転数差Ncの減少に伴うクラッチモータ30の回生
制御による回生される電力の減少として表わされ、図1
8のエンジン50の回転数Neが駆動軸22の回転数N
dより小さいときでは、負の数の回転数差Ncの偏差の
増加に伴うクラッチモータ30の力行制御に必要な電力
の増加として表わされる。なお、図17では駆動軸22
の回転数Ndをエンジン50の回転数Ne2より小さな
場合について示したが、駆動軸22の回転数Ndが、エ
ンジン50の回転数Ne1より小さいが回転数Ne2よ
り大きいときには、エンジン50の運転ポイントの変更
によりクラッチモータ30は回生制御から力行制御に変
更されることになる。
【0110】次に、速度偏差△Vに基づく制御とバッテ
リ94の充放電の制御が同時に行なわれる様子につい
て、この様子を例示する図19に基づき説明する。この
動作は図11を用いて説明した速度偏差△Vに基づく制
御と、図14を用いて説明したバッテリ94の充放電の
制御とを組み合わせたものである。図19には、バッテ
リ94の充電開始から充電終了までの間に速度偏差△V
が生じたときの動作を示した。
【0111】図示するように、バッテリ94の残容量B
RMが閾値B1以下であるのを検出すると、エンジン50
から出力すべきエネルギPdは基本出力エネルギPdf
にバッテリ94の充電に必要な充電エネルギPbiが加
算された値として設定されるから、加算された充電エネ
ルギPbiによりバッテリ94が充電される。この状態
では、前述したようにクラッチモータ30およびアシス
トモータ40のトルク指令値Tc*,Ta*は変化され
ない。こうしたバッテリ94の充電中に速度偏差△V3
が生じると、基本出力エネルギPdfはこの速度偏差△
V3を打ち消すのに必要なエネルギの値Kv1・△V3
だけ加算されるから、エンジン50から出力すべきエネ
ルギPdもこの値Kv1・△V3だけ増加する。そし
て、この増加したエネルギが、アシストモータ40のト
ルク指令値Ta*を値Kv2・△V3だけ増加すること
でアシストモータ40から駆動軸22に与えられ、速度
偏差△V3が打ち消されて、車速Vは目標速度Vmとな
る。なお、この状態では、エンジン50から出力される
エネルギPeはバッテリ94の充電前からみると値(P
bi+Kv1・△V3)だけ増加している。
【0112】その後、バッテリ94の残容量BRMが閾値
B1より大きくなると、基本出力エネルギPdfに充電
エネルギPbiを加算して出力エネルギPdを設定する
のを止め、基本出力エネルギPdfをそのまま出力エネ
ルギPdに設定するから、エンジン50から出力すべき
エネルギPdは充電エネルギPbiだけ減少する。この
状態では、基本出力エネルギPdfが速度偏差△V3に
基づく値Kv1・△V3だけ増加された状態が継続され
ているから、エンジン50から出力されるエネルギPe
は、バッテリ94の充電前からみると値Kv1・△V3
だけ増加しており、アシストモータ40のトルクTaも
値Kv2・△V3だけ増加している。
【0113】こうした速度偏差△Vに基づく制御とバッ
テリ94の充放電の制御の際のエンジン50の運転ポイ
ントおよび駆動軸22の運転ポイントの変化の様子を図
20および図21に示す。図20はエンジン50の回転
数Neが駆動軸22の回転数Ndより大きいときの変化
の様子であり、図21はエンジン50の回転数Neが駆
動軸22の回転数Ndより小さいときの変化の様子であ
る。
【0114】図20および図21に示すように、バッテ
リ94の充電を開始するときには、エンジン50は、車
速Vを目標速度Vmに保つのに必要なエネルギである出
力エネルギPd1とエネルギが同一の曲線上の運転ポイ
ントPE1(トルクTe,回転数Ne1)からバッテリ
94の充電に必要な充電エネルギPbiだけエネルギの
高いエネルギが同一の曲線上の運転ポイントのうち運転
ポイントPE1とトルクは同じだが回転数が大きな運転
ポイントPE2(トルクTe,回転数Ne2)に変更さ
れる。このとき、駆動軸22は、エンジン50の運転ポ
イントの変更に拘わらず、運転ポイントPE1とエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントPD1(出力トルクT
d1,回転数Nd)で運転される。この結果、エンジン
50の回転数Neの増加分(Ne2−Ne1)に相当す
る図中の領域Gbiで表わされるエネルギが余剰のエネ
ルギとして見い出され、このエネルギによりバッテリ9
4の充電が行なわれる。
【0115】この状態で速度偏差△V3が生じると、エ
ンジン50は、出力エネルギPd1に充電エネルギPb
iを加算したエネルギが同一の曲線上の運転ポイントP
E2(トルクTe,回転数Ne2)から速度偏差△V3
を打ち消して再び車速Vを目標速度Vmに保つのに必要
なエネルギの増加量Kv1・△V3だけエネルギの高い
出力エネルギPd2に充電エネルギPbiが加算された
エネルギが同一の曲線上の運転ポイントのうち運転ポイ
ントPE2とトルクは同じだが回転数が大きな運転ポイ
ントPE3(トルクTe,回転数Ne3)に変更され
る。このときアシストモータ40のトルクTaは、値K
v2・△V3だけ増加されるから、駆動軸22は、運転
ポイントPD1(出力トルクTd1,回転数Nd)から
この運転ポイントPD1より値Kv1・△V3だけ高い
出力エネルギPd2とエネルギが同一の曲線上の運転ポ
イントのうち運転ポイントPD1と回転数は同じだが出
力トルクが値Kv2・△Vだけ大きな運転ポイントPD
2(出力トルクTd2,回転数Nd)に変更される。こ
うしたアシストモータ40のトルク増加により速度偏差
△Vが打ち消され、車速Vは目標速度Vmとなる。な
お、この状態でもエンジン50からの出力エネルギと駆
動軸22へ伝達されるエネルギとには充電エネルギPb
iだけの偏差が継続しているから、アシストモータ40
のトルク増加に拘わらず、この充電エネルギPbiによ
りバッテリ94は充電され続ける。
【0116】バッテリ94の充電を終了するときには、
エンジン50は、出力エネルギPd2に充電エネルギP
biが加算されたエネルギが同一の曲線上の運転ポイン
トPE3(トルクTe,回転数Ne3)からバッテリ9
4の充電に必要な充電エネルギPbiだけエネルギの低
い出力エネルギPd2とエネルギが同一の曲線上の運転
ポイントのうち運転ポイントPE1とトルクは同じだが
回転数が小さな運転ポイントPE4(トルクTe,回転
数Ne4)に変更される。このとき、駆動軸22は、エ
ンジン50の運転ポイントの変更に拘わらず、出力エネ
ルギPd2とエネルギが同一の曲線上の運転ポイントP
D2(出力トルクTd2,回転数Nd)で運転される。
この結果、エンジン50の運転ポイントPE4と駆動軸
22の運転ポイントPD2とが同一のエネルギが同一の
曲線上の運転ポイントとなるから、エンジン50から出
力される動力のすべてがクラッチモータ30およびアシ
ストモータ40によりトルク変換されて駆動軸22に出
力されることになり、バッテリ94からの充放電はなく
なる。
【0117】なお、図21では駆動軸22の回転数Nd
をエンジン50の回転数Ne3より大きな場合について
示したが、駆動軸22の回転数Ndが、エンジン50の
回転数Ne1より大きいが回転数Ne2より小さいと
き、あるいは回転数Ne2より大きいが回転数Ne3よ
り小さいときには、エンジン50の運転ポイントの変更
によりクラッチモータ30は力行制御から回生制御に変
更されることになる。
【0118】なお、図19ないし図21にはバッテリ9
4の充電開始から充電終了までの間に正の値の速度偏差
△Vが生じたときの動作についてのみ示したが、バッテ
リ94の充電開始から充電終了までの間に負の値の速度
偏差△Vが生じたときの動作、バッテリ94の放電開始
から放電終了までの間に正または負の値の速度偏差△V
が生じたときの動作も同様に考えることができる。
【0119】以上説明した第1実施例の動力出力装置2
0によれば、車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△Vが
生じてもエンジン50から出力されるエネルギPeを増
減すると共にアシストモータ40のトルクを増減するか
ら、速度偏差△Vを打ち消して車速Vを目標速度Vmに
することができる。しかも、アシストモータ40のトル
クの増減はバッテリ94の充放電により直ちに行なわれ
るから、速度偏差△Vはすぐに解消され、車速Vは目標
速度Vmに保たれる。この結果、車速Vを高い精度で目
標速度Vmにすることができる。また、クラッチモータ
30のトルクTcは、速度偏差△Vの有無に拘わらず一
定の値としたから、アシストモータ40のトルクTaを
増減するだけで、車速Vを目標速度Vmに保つよう制御
することができる。
【0120】また、第1実施例の動力出力装置20によ
れば、バッテリ94の残容量BRMが適正範囲にないとき
には、バッテリ94の充放電を行なうことにより残容量
BRMを適正範囲内にすることができる。しかも、バッテ
リ94の充放電に見合うエネルギの増減をエンジン50
から出力されるエネルギPeにて行なうことができる。
【0121】なお、第1実施例の動力出力装置20で
は、定速走行制御ルーチンで定速走行の制御である走行
速度偏差△Vに基づく制御とバッテリ94の充放電の制
御とを同時に行なうものとしたが、速度偏差△Vに基づ
く制御のみを行なうものとしてもよい。この場合、図1
0の定速走行制御ルーチンのステップS180ないしS
188は不要となる。
【0122】また、第1実施例の動力出力装置20で
は、定速走行の制御を車速Vと目標速度Vmとの速度偏
差△Vに基づいて、この速度偏差△Vを打ち消すようア
シストモータ40のトルク指令値Ta*を制御したが、
速度偏差△Vに基づく制御に加えて、車速Vの微分量、
即ち変化率を演算し、この変化率に基づいてアシストモ
ータ40のトルク指令値Ta*を制御するものとしても
よい。こうすれば、車速Vをより安定して目標速度Vm
に保つことができる。
【0123】第1実施例の動力出力装置20では、スロ
ットルバルブ66の開度BPの制御で、開度指令値BP
*をエンジン50の回転数Neによってフィードバック
制御するものとしたが、目標回転数Ne*が設定された
ときに開度指令値BP*を設定し、エンジン50の回転
数Neによるフィードバック制御しないものとしてもか
まわない。
【0124】第1実施例の動力出力装置20では、速度
偏差△Vが生じたりバッテリ94を充放電したりするす
る際の出力エネルギPdの増減に対して、エンジン50
の目標トルクTe*は変化させず、エンジン50の目標
回転数Ne*を変化させたが、目標トルクTe*も変化
させるものとしてもよい。この場合、図10の定速走行
制御ルーチンのステップS190およびS192の処理
に代えて、図22の定速走行制御ルーチンに例示するス
テップS290ないしS293の処理を実行する。即
ち、図10の定速走行制御ルーチンのステップS184
ないしS188により出力エネルギPdを設定した後、
まず、図5の定速走行初期処理ルーチンのステップS1
08で設定したのと同様に、設定された出力エネルギP
dに対してエンジン50ができる限り効率の高い状態で
運転され、かつ出力エネルギPdの変化に対してエンジ
ン50の運転状態が滑らかに変化するエンジン50の目
標トルクTe*および目標回転数Ne*を設定する(ス
テップS290)。続いて、クラッチモータ30のトル
ク指令値Tc*にエンジン50の目標トルクTe*を設
定し(ステップS291)、クラッチモータ30のトル
ク偏差△Tcを次式(11)により求める。そして、ア
シストモータ40のトルク指令値Ta*を次式(12)
により算出する。
【0125】 △Tc=Tc*−前回のTc* …(11) Ta*=前回のTa*−△Tc+Kv2・△V …(12)
【0126】ここで、上述した式(9)と比べて式(1
2)では、式(9)で算出されるトルク指令値Ta*か
らクラッチモータ30のトルク偏差△Tcを減じている
が、これは、出力エネルギPdの増減に伴ってエンジン
50の目標トルクTe*を変化させることによりクラッ
チモータ30のトルクTcも変化するから、その変化分
を打ち消すためのものである。
【0127】こうした出力エネルギPdの増減に伴って
エンジン50の目標トルクTe*および目標回転数Ne
*を変更する際のエンジン50の運転ポイントおよび駆
動軸22の運転ポイントの変化の様子を図23および図
24に示す。図23はエンジン50の回転数Neが駆動
軸22の回転数Ndより大きいときの変化の様子であ
り、図24はエンジン50の回転数Neが駆動軸22の
回転数Ndより小さいときの変化の様子である。
【0128】図23および図24に示すように、エンジ
ン50は、出力エネルギPd1とエネルギが同一の曲線
上の運転ポイントのうち効率の高い運転ポイントPE1
(トルクTe1,回転数Ne1)から出力エネルギPd
2とエネルギが同一の曲線上の運転ポイントのうち効率
の高い運転ポイントPE2(トルクTe1,回転数Ne
2)に変更され、駆動軸22は、このエンジン50の運
転ポイントの変更に伴い、運転ポイントPE1とエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントPD1(出力トルクT
d1,回転数Nd)から運転ポイントPE2とエネルギ
が同一の曲線上の運転ポイントのうち運転ポイントPD
1と回転数が同じだがトルクは値Kv2・△Vだけ大き
な運転ポイントPD2(出力トルクTd2,回転数N
d)に変更される。これに伴いクラッチモータ30もト
ルクTc1からトルクTc2に変更され、アシストモー
タ40もトルクTa1からトルクTa2に変更される。
ただし、両モータ30,40のトルク変化には、上式
(12)すなわち次式(13)の関係がある。
【0129】 Ta2=Ta1−(Tc2−Tc1)+Kv2・△V …(13)
【0130】以上説明したように第1実施例の動力出力
装置20を出力エネルギPdの増減に応じてエンジン5
0の目標トルクTe*および目標回転数Ne*を変更す
るものとすれば、エンジン50はより効率の良い運転ポ
イントで運転することになるから、全体としての効率を
より高くすることができる。
【0131】第1実施例の動力出力装置20では、出力
エネルギPdを設定することによりエンジン50を目標
トルクTe*および目標回転数Ne*の運転ポイントに
より運転できるものとして説明したが、スロットルバル
ブ66のアクチュエータ67の精度によっては、エンジ
ン50から所望の出力エネルギPdを出力することがで
きないときがある。例えば、アクチュエータ67として
段階的にしか位置決めできないステッピングモータを用
い、これによりスロットルバルブ66を駆動するときに
は、スロットルバルブ66の開度BPは段階的にしか設
定できず、出力エネルギPdも段階的にしか設定できな
い。このような場合、設定した出力エネルギPdと実際
の出力エネルギPdとにエネルギ偏差が生じるが、第1
実施例の動力出力装置20では、バッテリ94の充放電
によりこのエネルギ偏差を補うことができる。この様子
を図25および図26に示す。
【0132】図25および図26中、破線の曲線は設定
された出力エネルギPdとエネルギが同一の曲線であ
り、複数の実線の曲線はスロットルバルブ66の開度B
Pが調節された際にエンジン50から出力される出力エ
ネルギPd(BP1),Pd(BP2),Pd(BP
3),Pd(BP4)とそれぞれエネルギが同一の曲線
である。いま、図10の定速走行制御ルーチンのステッ
プS184ないしS188で出力エネルギPdが設定さ
れると、エンジン50からこの出力エネルギPdが出力
されるようスロットルバルブ66の開度BPが制御され
る。しかし、前述したようにスロットルバルブ66の開
度BPは段階的にしか設定できないから、エンジン50
は、図25および図26に示すように、設定された出力
エネルギPdとエネルギが同一の曲線上の運転ポイント
では運転されず、設定された出力エネルギPdより僅か
にエネルギが低い出力エネルギPd(BP2)とエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントPE1(図25)か、
出力エネルギPdより僅かにエネルギが高い出力エネル
ギPd(BP3)とエネルギが同一の曲線上の運転ポイ
ントPE2(図26)かのいずれかで運転されることに
なる。
【0133】エンジン50が出力エネルギPdより僅か
にエネルギが低い出力エネルギPd(BP2)とエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントPE1(図25)で運
転される場合、クラッチモータ30およびアシストモー
タ40により駆動軸22に出力されるエネルギに比し
て、エンジン50が出力する動力は式(Pd−Pd(B
P2))により計算されるエネルギ、すなわち図25中
領域Gboで表わされるエネルギだけ不足することにな
る。実施例では、この不足するエネルギをバッテリ94
からの放電により賄い、車両の車速Vを目標速度Vmに
保つ。また、エンジン50が出力エネルギPdより僅か
にエネルギが高い出力エネルギPd(BP3)とエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントPE2(図26)で運
転される場合、クラッチモータ30およびアシストモー
タ40により駆動軸22に出力されるエネルギに比し
て、エンジン50が出力する動力のうち式(Pd(BP
2)−Pd)により計算されるエネルギ、すなわち図2
6中領域Gbiで表わされるエネルギが余剰のエネルギ
となる。実施例では、この余剰のエネルギをバッテリ9
4を充電することにより用いて、車両の車速Vを目標速
度Vmに保つ。
【0134】このように、第1実施例の動力出力装置2
0によれば、設定された出力エネルギPdとエンジン5
0からの出力されるエネルギとに偏差が生じても、この
エネルギ偏差をバッテリ94の充放電により調整するこ
とができる。したがって、スロットルバルブ66のアク
チュエータ67に、スロットルバルブ66の開度BPを
段階的にしか設定できないような精度の低いものでも用
いることがでる。しかも、アクチュエータ67に精度の
低いものを用いても、車両の車速Vを目標速度Vmに安
定して保つことができる。
【0135】第1実施例の動力出力装置20では、車両
の車速Vを目標速度Vmに保つために図5の定速走行初
期処理ルーチンおよび図10の定速走行制御ルーチンを
実行したが、これらのルーチンを駆動軸22を定速で回
転駆動する定速駆動制御に適用することもできる。この
場合、図5および図10のルーチンの目標速度Vmに代
えて目標回転数Nd*を用い、車速Vに代えて回転数N
dを用いればよい。なお、駆動軸22の回転数Ndは、
駆動軸22に取り付けられたレゾルバ48により検出す
ることができる。このように第1実施例の動力出力装置
20により駆動軸22を定速に回転駆動する定速駆動制
御を行なえば、動力出力装置20を車両以外の輸送機関
(例えば船舶や航空機など)や、他の機械(例えば工作
機械等)にも搭載した場合にも適用することができる。
【0136】第1実施例の動力出力装置20では、クラ
ッチモータ30とアシストモータ40とをそれぞれ別個
に駆動軸22に取り付けたが、図27に例示する動力出
力装置20Aのように、クラッチモータとアシストモー
タとが一体となるよう構成してもよい。この変形例の動
力出力装置20Aの構成について以下に簡単に説明す
る。図示するように、この動力出力装置20Aのクラッ
チモータ30Aは、クランクシャフト56に結合したイ
ンナロータ34Aと、駆動軸22に結合したアウタロー
タ32Aとから構成され、インナロータ34Aには三相
コイル36Aが取り付けられており、アウタロータ32
Aには永久磁石35Aがその外周面側の磁極と内周面側
の磁極とが異なるよう嵌め込まれている。一方、アシス
トモータ40Aは、このクラッチモータ30Aのアウタ
ロータ32Aと、三相コイル44が取り付けられたステ
ータ43とから構成される。すなわち、クラッチモータ
30Aのアウタロータ32Aがアシストモータ40Aの
ロータを兼ねる構成となっている。なお、クランクシャ
フト56に結合したインナロータ34Aに三相コイル3
6Aが取り付けられているから、クラッチモータ30A
の三相コイル36Aに電力を供給する回転トランス38
は、クランクシャフト56に取り付けられている。
【0137】この動力出力装置20Aでは、アウタロー
タ32Aに嵌め込まれた永久磁石35Aの内周面側の磁
極に対してインナロータ34Aの三相コイル36Aに印
加する電圧を制御することにより、クラッチモータ30
とアシストモータ40とを駆動軸22に別個に取り付け
た前述の動力出力装置20のクラッチモータ30と同様
に動作する。また、アウタロータ32Aに嵌め込まれた
永久磁石35Aの外周面側の磁極に対してステータ43
の三相コイル44に印加する電圧を制御することによ
り、動力出力装置20のアシストモータ40と同様に動
作する。したがって、上述した動力出力装置20の総て
の動作についてこの動力出力装置20Aも同様に動作す
る。
【0138】こうした変形例の動力出力装置20Aによ
れば、アウタロータ32Aがクラッチモータ30Aのロ
ータの一方とアシストモータ40Aのロータとを兼ねる
から、動力伝達装置の小型化および軽量化を図ることが
できる。
【0139】次に本発明の第2の実施例である動力出力
装置20Bについて説明する。図28は、第2実施例の
動力出力装置20Bの構成の概略を例示する構成図であ
る。図示するように、第2実施例の動力出力装置20B
は、アシストモータ40がエンジン50とクラッチモー
タ30との間のクランクシャフト56に取り付けられて
いる点を除いて第1実施例の動力出力装置20の構成と
同一の構成をしている。このため、図28では第2実施
例の動力出力装置20Bの構成を例示する図に相当する
図2のうち同一の部分である制御装置80等を省略し
た。また、第2実施例の動力出力装置20Bを車両に搭
載したときには図1に例示する構成と同一の構成とな
る。したがって、第2実施例の動力出力装置20Bの構
成のうち第1実施例の動力出力装置20と同一の構成に
ついては同一の符号を付し、その説明は省略する。な
お、明示しない限り第1実施例の説明の際に用いた符号
はそのまま同じ意味で用いる。
【0140】第2実施例の動力出力装置20Bは次のよ
うに動作する。今、エンジン50が、図4のトルクと回
転数とにより表わされる出力エネルギが一定の曲線上の
トルクTeがトルクT1,回転数Neが回転数N1の運
転ポイントで運転されており、駆動軸22の回転数Nd
が回転数N2であるとする。クランクシャフト56に取
り付けられたアシストモータ40によりクランクシャフ
ト56にトルクTa(Ta=T2−T1)を付加すれ
ば、図4中の領域G2と領域G3との和で表わされるエ
ネルギがクランクシャフト56に与えられて、クランク
シャフト56のトルクは値T2(T1+Ta)となる。
一方、クラッチモータ30のトルクTcをトルクT2と
して制御すれば、駆動軸22にはこのトルクTc(T1
+Ta)が出力されると共に、エンジン50の回転数N
eと駆動軸22の回転数Ndとの回転数差Ncに基づく
電力(領域G1と領域G3との和で表わされるエネル
ギ)が回生される。したがって、アシストモータ40の
トルクTaをクラッチモータ30により回生される電力
により丁度賄えるよう設定し、この回生電力を電源ライ
ンL1,L2を介して第2の駆動回路92に供給すれ
ば、アシストモータ40は、この回生電力により駆動す
る。
【0141】次に、エンジン50が、図4中のトルクT
eがトルクT2,回転数Neが回転数N2の運転ポイン
トで運転されており、駆動軸22の回転数Ndが回転数
N1のときを考える。このとき、アシストモータ40の
トルクTaをT2−T1で求められる値として制御すれ
ば、アシストモータ40は回生制御され、図4中の領域
G2で表わされるエネルギ(電力)をクランクシャフト
56から回生する。一方、クラッチモータ30は、イン
ナロータ34がアウタロータ32に対して回転数差Nc
(N1−N2)の回転数で駆動軸22の回転方向に相対
的に回転するから、通常のモータとして機能し、回転数
差Ncに応じた領域G1で表わされるエネルギを駆動軸
22に回転エネルギとして与える。したがって、アシス
トモータ40のトルクTaを、アシストモータ40によ
り回生される電力でクラッチモータ30により消費され
る電力を丁度賄えるよう設定すれば、クラッチモータ3
0は、アシストモータ40により回生される電力により
駆動する。
【0142】したがって、第2実施例の動力出力装置2
0Bでも、第1実施例の動力出力装置20と同様に、ア
シストモータ40のトルクTaおよびクラッチモータ3
0のトルクTcを、次式(14)および式(15)が成
り立つよう制御すれば、エンジン50から出力されるエ
ネルギを自由にトルク変換して駆動軸22に付与するこ
とができる。なお、式(14)および式(15)の関係
は、クラッチモータ30およびアシストモータ40の効
率が100%のときの理想状態であるから、実際にはT
c×NdおよびTaは若干小さくなる。
【0143】 Te×Ne=Tc×Nd …(14) Te+Ta=Tc=Td …(15)
【0144】以上の説明から解るように、第2実施例の
動力出力装置20Bでも第1実施例の動力出力装置20
と同様に図5に例示した定速走行初期処理ルーチンおよ
び図10に例示した定速走行制御ルーチンを実行するこ
とができる。ただし、定速走行初期処理ルーチンについ
ては、図5中のステップS110およびS112に代え
て図29に例示する定速走行初期処理ルーチンのステッ
プS310およびS312が実行され、定速走行制御ル
ーチンについては、図10中のステップS192に代え
て図30に例示する定速走行制御ルーチンのステップS
391およびS392が実行される。この相違は、アシ
ストモータ40をエンジン50のクランクシャフト56
に配置したことによるものである。すなわち、第2実施
例の動力出力装置20Bでは、駆動軸22にトルクを出
力できるのはクラッチモータ30だけであるから、速度
偏差△Vに対しては、前回のトルク指令値Tc*に速度
偏差△Vに基づく値Kv3・△Vを加えて新たなトルク
指令値Tc*を設定し(ステップS391)、クラッチ
モータ30の制御をすることにより速度偏差△Vを打ち
消して車速Vを目標速度Vmに保つのである。なお、ク
ラッチモータ30のトルクTcは、クランクシャフト5
6のトルクに等しくする必要があるから、クラッチモー
タ30のトルク指令値Tc*とエンジン50の目標トル
クTe*との差をアシストモータ40のトルク指令値T
a*に設定し(ステップS392)、アシストモータ4
0を制御している。
【0145】以上説明した第2実施例の動力出力装置2
0Bによれば、車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△V
が生じてもエンジン50から出力されるエネルギPeを
増減すると共にクラッチモータ30およびアシストモー
タ40のトルクを増減するから、速度偏差△Vを打ち消
して車速Vを目標速度Vmにすることができる。しかも
クラッチモータ30およびアシストモータ40のトルク
の増減はバッテリ94の充放電により賄われて直ちに行
なわれるから、速度偏差△Vはすぐに解消され、車速V
は目標速度Vmに保たれる。この結果、きめ細かな制御
を行なうことができるから、車速Vを安定して目標速度
Vmに保つことができる。
【0146】この他、第2実施例の動力出力装置20B
でも、第1実施例の動力出力装置20が奏する効果、即
ち、バッテリ94の残容量BRMが適正範囲にないときに
は、バッテリ94の充放電を行なうことにより残容量B
RMを適正範囲内にすることができる効果も奏する。
【0147】更に、第2実施例の動力出力装置20Bで
も、第1実施例の動力出力装置20と同様に、速度偏差
△Vやバッテリ94の充放電に基づく出力エネルギPd
の変更に応じてエンジン50の目標トルクTe*および
目標回転数Ne*を変更する構成や、速度偏差△Vによ
るアシストモータ40のトルク指令値Ta*の制御に加
えて車速Vの変化率に基づいてアシストモータ40のト
ルク指令値Ta*を制御する構成、スロットルバルブ6
6のアクチュエータ67に精度の低いものを用いる構
成、駆動軸22を定速で回転駆動する定速駆動制御を行
なう構成などとしてもよい。これらの構成とした場合、
第1実施例の動力出力装置20と同様な効果を奏するの
は言うまでもない。
【0148】なお、第2実施例の動力出力装置20Bで
は、アシストモータ40がエンジン50とクラッチモー
タ30との間のクランクシャフト56に取り付けられて
いるが、図31に例示する変形例の動力出力装置20C
のように、アシストモータ40とクラッチモータ30と
でエンジン50を挟持する配置としてもよい。
【0149】また、第2実施例の動力出力装置20B
を、図32に例示する変形例の動力出力装置20Dのよ
うに、クラッチモータとアシストモータとを一体となる
よう構成してもよい。動力出力装置20Dでは、図示す
るように、クラッチモータ30Dのアウタロータ32D
がアシストモータ40Dのロータを兼ねる構成となって
おり、アウタロータ32Dに嵌め込まれた永久磁石35
Dの内周面側の磁極に対してインナロータ34の三相コ
イル36に印加する電圧を制御することにより、第2実
施例の動力出力装置20Bのクラッチモータ30と同様
の動作が可能となり、アウタロータ32Dに嵌め込まれ
た永久磁石35Dの外周面側の磁極に対してステータ4
3の三相コイル44に印加する電圧を制御することによ
り、第2実施例の動力出力装置20Bのアシストモータ
40と同様の動作が可能となる。したがって、動力伝達
装置の小型化および軽量化を図ることができる。
【0150】次に、本発明の第3の実施例である動力出
力装置110について説明する。図33は本発明の第3
の実施例としての動力出力装置110を搭載した車両の
概略構成を示す構成図、図34は第5実施例の動力出力
装置110の概略構成を示す構成図、図35は図34の
動力出力装置110の部分拡大図である。
【0151】第3実施例の動力出力装置110が組み込
まれた車両は、図33に示すように、クランクシャフト
156にクラッチモータ30とアシストモータ40とが
取り付けられている代わりにプラネタリギヤ120,モ
ータMG1およびモータMG2が取り付けられている点
を除いて第1実施例の動力出力装置20が組み込まれた
車両(図1)と同様の構成をしている。したがって、同
一の構成には、値100を加えた符号を付し、その説明
は省略する。なお、第3実施例の動力出力装置110の
説明でも、明示しない限り第1実施例の動力出力装置2
0の説明の際に用いた符号はそのまま同じ意味で用い
る。
【0152】図34に示すように、第3実施例の動力出
力装置110は、大きくは、エンジン150、エンジン
150のクランクシャフト156にプラネタリキャリア
124が機械的に結合されたプラネタリギヤ120、プ
ラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたモー
タMG1、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に
結合されたモータMG2およびモータMG1,MG2を
駆動制御する制御装置180から構成されている。
【0153】プラネタリギヤ120およびモータMG
1,MG2の構成について、図34により説明する。プ
ラネタリギヤ120は、クランクシャフト156に軸中
心を貫通された中空のサンギヤ軸125に結合されたサ
ンギヤ121と、クランクシャフト156と同軸のリン
グギヤ軸126に結合されたリングギヤ122と、サン
ギヤ121とリングギヤ122との間に配置されサンギ
ヤ121の外周を自転しながら公転する複数のプラネタ
リピニオンギヤ123と、クランクシャフト156の端
部に結合され各プラネタリピニオンギヤ123の回転軸
を軸支するプラネタリキャリア124とから構成されて
いる。このプラネタリギヤ120では、サンギヤ12
1,リングギヤ122およびプラネタリキャリア124
にそれぞれ結合されたサンギヤ軸125,リングギヤ軸
126およびクランクシャフト156の3軸が動力の入
出力軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入出力される
動力が決定されると、残余の1軸に入出力される動力は
決定された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
なお、このプラネタリギヤ120の3軸への動力の入出
力についての詳細は後述する。
【0154】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128がモータMG1側に結合されてい
る。この動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129
により動力伝達ギヤ111に接続されており、動力取出
ギヤ128と動力伝達ギヤ111との間で動力の伝達が
なされる。図33に示すように、この動力伝達ギヤ11
1はディファレンシャルギヤ114にギヤ結合されてい
る。したがって、動力出力装置110から出力された動
力は、最終的に左右の駆動輪116,118に伝達され
る。
【0155】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個の永久磁石135を有するロー
タ132と、回転磁界を形成する三相コイル134が巻
回されたステータ133とを備える。ロータ132は、
プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたサ
ンギヤ軸125に結合されている。ステータ133は、
無方向性電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケ
ース119に固定されている。このモータMG1は、永
久磁石135による磁界と三相コイル134によって形
成される磁界との相互作用によりロータ132を回転駆
動する電動機として動作し、永久磁石135による磁界
とロータ132の回転との相互作用により三相コイル1
34の両端に起電力を生じさせる発電機として動作す
る。なお、サンギヤ軸125には、その回転角度θsを
検出するレゾルバ139が設けられている。
【0156】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石145を有するロータ142と、回転磁界を形成する
三相コイル144が巻回されたステータ143とを備え
る。ロータ142は、プラネタリギヤ120のリングギ
ヤ122に結合されたリングギヤ軸126に結合されて
おり、ステータ143はケース119に固定されてい
る。モータMG2のステータ143も無方向性電磁鋼板
の薄板を積層して形成されている。このモータMG2
も、モータMG1と同様に、電動機あるいは発電機とし
て動作する。なお、リングギヤ軸126には、その回転
角度θrを検出するレゾルバ149が設けられている。
【0157】図34に示すように、第3実施例の動力出
力装置110が備える制御装置180は、第1実施例の
動力出力装置20が備える制御装置80と同様に構成さ
れている。即ち、制御装置180は、モータMG1を駆
動する第1の駆動回路191、モータMG2を駆動する
第2の駆動回路192、両駆動回路191,192を制
御する制御CPU190、二次電池であるバッテリ19
4から構成されており、制御CPU190は、内部に、
ワーク用のRAM190a、処理プログラムを記憶した
ROM190b、入出力ポート(図示せず)およびEF
IECU170と通信を行なうシリアル通信ポート(図
示せず)を備える。この制御CPU190には、レゾル
バ139からのサンギヤ軸125の回転角度θs、レゾ
ルバ149からのリングギヤ軸126の回転角度θr、
アクセルペダルポジションセンサ165からのアクセル
ペダルポジションAP、シフトポジションセンサ184
からのシフトポジションSP、車速センサ186からの
車速V、第1の駆動回路191に設けられた2つの電流
検出器195,196からの電流値Iu1,Iv2、第
2の駆動回路192に設けられた2つの電流検出器19
7,198からの電流値Iu2,Iv2、バッテリ19
4の残容量を検出する残容量検出器199からの残容量
BRMなどが、入力ポートを介して入力されている。
【0158】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
この第1の駆動回路191および第2の駆動回路192
内の各々6個のトランジスタTr1ないしTr6,トラ
ンジスタTr11ないしTr16は、それぞれトランジ
スタインバータを構成しており、それぞれ、一対の電源
ラインL1,L2に対してソース側とシンク側となるよ
う2個ずつペアで配置され、その接続点に、第1の駆動
回路191ではモータMG1の三相コイル134の各々
が、第2の駆動回路192ではモータMG2の三相コイ
ル144の各々が接続されている。電源ラインL1,L
2はバッテリ194のプラス側とマイナス側にそれぞれ
接続されているから、制御CPU190により対をなす
トランジスタTr1ないしTr6,トランジスタTr1
1ないしTr16のオン時間の割合を制御信号SW1,
SW2により順次制御することにより、三相コイル13
4,144に流れる電流をPWM制御によって擬似的な
正弦波とすることができ、この結果、三相コイル13
4,144により回転磁界が形成される。
【0159】次に第3実施例の動力出力装置110の動
作について説明する。第3実施例の動力出力装置110
の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通りであ
る。図36に示すように、エンジン150を回転数N
e,トルクTeの運転ポイントP1で運転し、このエン
ジン150から出力されるエネルギPeと同一のエネル
ギであるが異なる回転数NrとトルクTrの運転ポイン
トP2でリングギヤ軸126を運転する場合、すなわ
ち、エンジン150から出力される動力をトルク変換し
てリングギヤ軸126に作用させる場合について考え
る。
【0160】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124)における回転数やトルクの関係は、機構学の教
えるところによれば、図37および図38に例示する共
線図と呼ばれる図として表わすことができ、幾何学的に
解くことができる。なお、プラネタリギヤ120におけ
る3軸の回転数やトルクの関係は、上述の共線図を用い
なくても各軸のエネルギを計算することなどにより数式
的に解析することもできる。第3実施例では説明の容易
のため共線図を用いて説明する。
【0161】図37における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(16)
で表わされる。
【0162】
【数5】
【0163】今、エンジン150が回転数Neで運転さ
れており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転され
ている場合を考えているから、エンジン150のクラン
クシャフト156が結合されているプラネタリキャリア
124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、リ
ングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロットす
ることができる。この両点を通る直線を描けば、この直
線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサンギ
ヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以下、
この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、回転
数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式(1
7))により求めることができる。このようにプラネタ
リギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ122
およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2つの
回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した2つ
の回転に基づいて決定される。
【0164】
【数6】
【0165】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、向きが同じで異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(18)および式(19)によって表わされ
る。
【0166】
【数7】
【0167】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力すべきトルクTrと同じ大きさで
向きが反対のトルクとトルクTerとの合力に対し大き
さが同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるので
ある。このトルクTm1はモータMG1により、トルク
Tm2はモータMG2により作用させることができる。
このとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトル
クを作用させるから、モータMG1は発電機として動作
することになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表
わされる電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回
生する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向
とが同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0168】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図36に照らせば、運転ポ
イントP1で運転されているエンジン150から出力さ
れるトルクTeと回転数Neとで表わされる動力を、ト
ルク変換して、同一のエネルギでトルクTrと回転数N
rとで表わされる動力としてリングギヤ軸126に出力
するのである。前述したように、リングギヤ軸126に
出力された動力は、動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に伝
達される。したがって、リングギヤ軸126に出力され
る動力と駆動輪116,118に伝達される動力とには
リニアな関係が成立するから、駆動輪116,118に
伝達される動力を、リングギヤ軸126に出力される動
力を制御することにより制御することができる。
【0169】図37に示す共線図ではサンギヤ軸125
の回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数
Neとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、
図38に示す共線図のように負となる場合もある。この
ときには、モータMG1では、回転の方向とトルクの作
用する方向とが同じになるから、モータMG1は電動機
として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1を消費する。一方、モータM
G2では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆に
なるから、モータMG2は発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126から回生することになる。こ
の場合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1と
モータMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しく
すれば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1を
モータMG2で丁度賄うことができる。
【0170】なお、第3実施例の動力出力装置110で
は、こうしたトルク変換に加えて、エンジン150から
出力されるエネルギPe(トルクTeと回転数Neとの
積)と、モータMG1により回生または消費される電気
エネルギPm1と、モータMG2により消費または回生
される電気エネルギPm2とを調節することにより、余
剰の電気エネルギを見い出してバッテリ194を放電し
たり、不足する電気エネルギをバッテリ194に蓄えら
れた電力により補ったりして、エンジン150から出力
されるエネルギPeをより効率よく動力としてリングギ
ヤ軸126に出力することができる。
【0171】第3実施例の動力出力装置110における
以上の動作原理では、プラネタリギヤ120やモータM
G1,モータMG2,トランジスタTr1ないしTr1
6などによる動力の変換効率を値1(100%)として
説明した。実際には、値1未満であるから、エンジン1
50から出力されるエネルギPeをリングギヤ軸126
に出力するエネルギPrより若干大きな値とするか、逆
にリングギヤ軸126に出力するエネルギPrをエンジ
ン150から出力されるエネルギPeより若干小さな値
とする必要がある。例えば、エンジン150から出力さ
れるエネルギPeを、リングギヤ軸126に出力される
エネルギPrに変換効率の逆数を乗じて算出される値と
すればよい。また、モータMG2のトルクTm2を、図
37の共線図の状態ではモータMG1により回生される
電力に両モータの効率を乗じたものから算出される値と
し、図38の共線図の状態ではモータMG1により消費
される電力を両モータの効率で割ったものから算出すれ
ばよい。なお、プラネタリギヤ120では機械摩擦など
により熱としてエネルギを損失するが、その損失量は全
体量からみれば極めて少なく、モータMG1,MG2に
用いた同期電動機の効率は値1に極めて近い。また、ト
ランジスタTr1ないしTr16のオン抵抗もGTOな
ど極めて小さいものが知られている。したがって、動力
の変換効率は値1に近いものとなるから、以下の説明で
も、説明の容易のため、明示しない限り値1(100
%)として取り扱う。
【0172】次に、こうして構成される第3実施例の動
力出力装置110による車両の定速走行の制御について
説明する。第3実施例の車両の定速走行も、第1実施例
の車両の低速走行と同様に、運転者により所望の目標速
度Vmが設定されることにより行なわれる。運転者によ
る目標速度Vmの設定は、例えば、目標速度Vmの設定
の指示が行なわれたときの車両の車速を車速センサ18
6により読みとり、これを目標速度Vmに設定するもの
や、車両の走行速度には無関係に所望の車速を目標速度
Vmに設定するものがある。
【0173】このように運転者により定速走行の指示
(目標速度Vmの設定)がなされると、第3実施例の動
力出力装置110でも、第1実施例と同様に、まず、図
39に例示する定速走行初期処理ルーチンを実行し、そ
の後、図42に例示する定速走行制御ルーチンを繰り返
し実行する。以下に、まず定速走行初期処理ルーチンに
ついて説明し、その後、定速制御ルーチンについて説明
する。
【0174】定速走行初期処理ルーチンが実行される
と、制御装置180の制御CPU190は、まず、運転
者の指示された速度を目標速度Vmとして設定し(ステ
ップS400)、この目標速度Vmに基づいてROM1
90bに予め記憶された図示しないマップによりリング
ギヤ軸126に出力すべきトルクの指令値(以下、出力
トルク指令値という)Tr*を設定する(ステップS4
02)。ここで、第3実施例が用いるマップは、第1実
施例と同様に、無風状態で水平で平坦な所定の路面状態
の道路において車両を車速Vで定速走行するのに必要な
リングギヤ軸126のトルクTrを実験により求め、各
車速VとトルクTrを目標速度Vmと出力トルク指令値
Tr*との関係としてマップとしたものである。
【0175】次に、定速走行時のリングギヤ軸126の
目標回転数Nr*を目標速度Vmに比例係数Krを乗じ
て求める(ステップS404)。通常、車両の車速に対
してリングギヤ軸126の回転数Nrは比例関係にある
から、目標回転数Nr*は、目標速度Vmに車両によっ
て特定される比例係数Krを乗じて求められる。続い
て、求めた出力エネルギPrを出力トルク指令値Tr*
と目標回転数Nd*とを用いて計算(Pr=Tr*×N
r*)により算出し(ステップS406)、算出した出
力エネルギPrに基づいてエンジン150の目標トルク
Te*と目標回転数Ne*とを設定する処理を行なう
(ステップS408)。このエンジン150の目標トル
クTe*と目標回転数Ne*との設定は、第1実施例と
同様に、出力エネルギPrに対してエンジン150がで
きる限り効率の高い状態で運転される運転ポイントをマ
ップとしてROM190bに記憶しておき、算出された
出力エネルギPrに対応するエンジン150の目標トル
クTe*および目標回転数Ne*をこのマップから導出
するものとした。
【0176】エンジン150の目標トルクTe*と目標
回転数Ne*とを設定すると、制御CPU190は、モ
ータMG1のトルク指令値Tm1*を、設定した目標ト
ルクTe*とギヤ比ρとに基づいて次式(20)により
算出して設定すると共に(ステップS410)、モータ
MG2のトルク指令値Tm2*を、出力トルク指令値T
r*と目標トルクTe*とギヤ比ρとに基づいて次式
(21)により算出して設定する(ステップS41
2)。トルク指令値Tm1*,Tm2*を式(20)お
よび式(21)によって算出できるのは、図37および
図38の共線図における動作共線の釣り合いの関係とし
て説明した。
【0177】
【数8】
【0178】こうして、エンジン150の目標トルクT
e*,目標回転数Ne*,モータMG1およびモータM
G2のトルク指令値Tm1*,Tm2*を設定した後
は、モータMG1の制御(ステップS414),モータ
MG2の制御(ステップS416)およびエンジン15
0の制御(ステップS418)を行なう。第3実施例で
も第1実施例と同様に、図示の都合上、モータMG1,
モータMG2およびエンジン150の各制御を別々のス
テップとして記載したが、実際には、これらの制御は総
合的に行なわれる。例えば、制御CPU190が割り込
み処理を利用して、モータMG1とモータMG2の制御
を同時に実行すると共に、通信によりEFIECU17
0に指示を送信して、EFIECU170によりエンジ
ン150の制御も同時に行なわせるのである。こうした
各制御のうちエンジン150の制御は、第1実施例のエ
ンジン50の制御と同様に、図8に例示するスロットル
バルブ開度制御ルーチンに基づいて実行されるスロット
ルバルブ開度制御と、図9に例示する燃料噴射制御処理
ルーチンに基づいて実行される燃料噴射制御とにより行
なわれる。したがって、第3実施例におけるエンジン1
50の制御については省略する。
【0179】モータMG1の制御(図39のステップS
414)は、図40に例示するモータMG1の制御ルー
チンによりなされる。このルーチンが実行されると、制
御CPU190は、まず、サンギヤ軸125の回転角度
θsをレゾルバ139から入力する処理を行ない(ステ
ップS420)、続いて、電流検出器195,196に
より、モータMG1の三相コイル134のU相とV相に
流れている電流Iu1,Iv1を検出する処理を行なう
(ステップS422)。電流はU,V,Wの三相に流れ
ているが、その総和はゼロなので、二つの相に流れる電
流を測定すれば足りるのは、第1実施例でも記載した。
その後、第1実施例のクラッチモータ30の制御(図
6)で説明した座標変換(ステップS424)および電
圧指令値Vd1,Vq1の演算を行ない(ステップS4
26)、更に電圧指令値の逆座標変換(ステップS42
8)を行なって、モータMG1の第1の駆動回路192
のトランジスタTr1ないしTr6のオンオフ制御時間
を求め、PWM制御を行なう(ステップS429)。
【0180】ここで、モータMG1のトルク指令値Tm
1*の符号を図37や図38の共線図におけるトルクT
m1の向きを正とすれば、同じ正の値のトルク指令値T
m1*が設定されても、図37の共線図の状態のように
トルク指令値Tm1*の作用する向きとサンギヤ軸12
5の回転の向きとが異なるときには回生制御がなされ、
図38の共線図の状態のように同じ向きのときには力行
制御がなされる。しかし、モータMG1の力行制御と回
生制御は、トルク指令値Tm1*が正であれば、ロータ
132の外周面に取り付けられた永久磁石135と三相
コイル134に流れる電流により生じる回転磁界とによ
り正のトルクがサンギヤ軸125に作用するよう第1の
駆動回路191のトランジスタTr1ないしTr6を制
御するものであるから、同一のスイッチング制御とな
る。すなわち、トルク指令値Tm1*の符号が同じであ
れば、モータMG1の制御が回生制御であっても力行制
御であっても同じスイッチング制御となる。したがっ
て、図40のモータMG1の制御処理で回生制御と力行
制御のいずれも行なうことができる。また、トルク指令
値Tm1*が負のときには、ステップS420で読み込
むサンギヤ軸125の回転角度θsの変化の方向が逆に
なるだけであるから、このときの制御も図40のモータ
MG1の制御処理により行なうことができる。
【0181】モータMG2の制御(図39のステップS
416)について図41に例示するモータMG2の制御
ルーチンに基づき説明する。モータMG2の制御処理
は、モータMG1の制御処理うちトルク指令値Tm1*
とサンギヤ軸125の回転角度θsに代えてトルク指令
値Tm2*とリングギヤ軸126の回転角度θrとを用
いる点を除き、モータMG1の制御処理と全く同一であ
る。すなわち、リングギヤ軸126の回転角度θrをレ
ゾルバ149を用いて検出し(ステップS430)、続
いてモータMG2の各相電流を電流検出器197,19
8を用いて検出し(ステップS432)、その後、座標
変換(ステップS434)および電圧指令値Vd2,V
q2の演算を行ない(ステップS436)、更に電圧指
令値の逆座標変換(ステップS438)を行なって、モ
ータMG2の第2の駆動回路192のトランジスタTr
11ないしTr16のオンオフ制御時間を求め、PWM
制御を行なう(ステップS439)。
【0182】ここで、モータMG2もトルク指令値Tm
2*の向きとリングギヤ軸126の回転の向きとにより
力行制御されたり回生制御されたりするが、モータMG
1と同様に、力行制御も回生制御も共に図41のモータ
MG2の制御処理で行なうことができる。なお、実施例
では、モータMG2のトルク指令値Tm2*の符号は、
図37の共線図の状態のときのトルクTm2の向きを正
とした。
【0183】以上説明した制御により、車両は目標速度
Vm近傍の速度で走行する。上述の制御では、無風状態
で水平な平坦路で所定の路面状態の道路を走行している
ときには、車速は目標速度Vmとなるが、実際には、風
や路面の傾斜,路面状態により設定した目標速度Vmで
定速走行しない場合が多い。第3実施例でも、第1実施
例と同様に、上述の制御により、車両が目標速度Vmの
近傍の速度になると、上述の制御に代えて図42に例示
する定速走行制御ルーチンに基づく制御を行なう。な
お、第3実施例でも、運転者による目標速度Vmの設定
が、設定の指示が行なわれたときの車両の車速を目標速
度Vmとする場合には、図39の処理のうち、ステップ
S400ないしS412が実行された後、直ちに図42
の定速走行制御ルーチンに基づく制御が行なわれる。
【0184】定速走行制御ルーチンが実行されると、制
御装置180の制御CPU190は、まず車速センサ1
86により検出される車速Vを読み込む処理を行ない
(ステップS474)、目標速度Vmから読み込んだ車
速Vを減じて速度偏差△Vを計算する(ステップS47
6)。そして、計算した速度偏差△Vと前回の基本出力
エネルギPrfを用いて新たな基本出力エネルギPrf
を次式(22)により算出する(ステップS478)。
ここで、前回の基本出力エネルギPrfは、前回このル
ーチンが実行されたときにステップS478で設定され
た新たな基本出力エネルギPrfであり、このルーチン
が始めて実行されたときには、図39のルーチンのステ
ップS406で設定された出力エネルギPrが前回の基
本出力エネルギPrfとして用いられる。なお、下式
(22)中のKv5は、比例定数である。
【0185】 Prf=前回のPrf+Kv5・△V …(22)
【0186】次に、残容量検出器199により検出され
るバッテリ194の残容量BRMを入力する(ステップS
480)。そして、入力したバッテリ194の残容量B
RMが閾値B1および閾値B2により設定されている範囲
にあるか否かを判断し(ステップS482)、残容量B
RMが、閾値B1と閾値B2で定める範囲内にあるときに
は、出力エネルギPrに基本出力エネルギPrfをその
まま設定する(ステップS486)。残容量BRMが閾値
B1以下のときには、基本出力エネルギPrfに充電エ
ネルギPbiを加えた値として出力エネルギPrを設定
し(ステップS484)、残容量BRMが閾値B2以上の
ときには、基本出力エネルギPrfから放電エネルギP
boを減じた値として出力エネルギPrを設定する(ス
テップS488)。ここでの閾値B1,閾値B2,充電
エネルギPbiおよび放電エネルギPboについては、
第1実施例で説明した。
【0187】こうして出力エネルギPrが設定される
と、この出力エネルギPrをエンジン150の目標トル
クTe*で除してエンジン150の目標回転数Ne*を
求め(ステップS490)、モータMG2のトルク指令
値Tm2*を、前回のトルク指令値Tm2*と速度偏差
△Vとを用いて次式(23)により計算する(ステップ
S492)。ここで、前回のトルク指令値Tm2*は、
前回このルーチンが実行されたときにステップS492
で設定されたトルク指令値Tm2*であり、このルーチ
ンが始めて実行されたときには、図39のルーチンのス
テップS412で設定されたトルク指令値Tm2*が前
回のトルク指令値Tm2*として用いられる。また、式
(23)中、Kv6は比例定数であり、上述の比例定数
Kv5と次式(24)の関係にある。
【0188】 Tm2*=前回のTm2*+Kv6・△V …(23) Kv6=Kv5/Nr …(24)
【0189】こうしてエンジン150の目標回転数Ne
*とモータMG2のトルク指令値Tm2*とを設定する
と、設定した設定値を用いて、モータMG1の制御(ス
テップS494)、モータMG2の制御(ステップS4
96)およびエンジン150の制御(ステップS49
8)を行なう。これらの各制御は、前述した図39のス
テップS414ないしS418の各制御と同一であるか
ら、その詳細な説明は省略する。なお、定速走行制御ル
ーチンでは、これらの制御に必要な設定値のうちエンジ
ン150の目標回転数Ne*とモータMG2のトルク指
令値Tm2*しか設定していないが、エンジン150の
目標トルクTe*とモータMG1のトルク指令値Tm1
*は、図39のステップS408およびS410で設定
されたものが用いられる。
【0190】次に、定速走行制御ルーチンを実行するこ
とにより車速Vが目標速度Vmに保たれる様子について
説明する。まず、バッテリ194の残容量BRMが閾値B
1と閾値B2により設定される適正範囲内にあるときに
車両の車速Vが目標速度Vmに保たれる様子について、
この様子を例示する図43を用いて説明する。図42の
定速走行制御ルーチンでは、風や道路の傾斜などにより
車速Vが目標速度Vmより速度偏差△V5だけ小さくな
ると、前回の基本出力エネルギPrfに値Kv5・△V
5が加えられた基本出力エネルギPrfを出力エネルギ
Prとして設定すると共に(ステップS478,S48
6)、この設定された出力エネルギPrに基づいてエン
ジン150の目標回転数Ne*を演算して(ステップS
490)、エンジン150の制御(ステップS498)
を行なうと同時に、前回のモータMG2のトルク指令値
Tm2*に速度偏差△V5に応じて定まる値Kv6・△
V5を加えたものとしてモータMG2のトルク指令値T
m2*を設定して(ステップS492)、モータMG2
の制御(ステップS496)を行なう。
【0191】この結果、図43に示すように、動力の出
力軸としてのリングギヤ軸126に直接出力されるモー
タMG2のトルクTm2が直ちに値Kv6・△V5だけ
増加されるから、車速Vと目標速度Vmとの速度偏差△
Vは打ち消され、車速Vが目標速度Vmに保たれる。こ
うしたモータMG2の素早いトルク変化により、速度偏
差△Vが生じても、直ちにその偏差を小さくして車速V
を目標速度Vmにするのである。一方、エンジン150
は、第1実施例でも説明したように、目標回転数Ne*
が新たに設定され、スロットルバルブ166の開度も直
ちに目標の運転状態となるように制御されても、モータ
MG2のトルク変化に比してその応答性が低いから、直
ちに目標回転数Ne*で運転することができず、エンジ
ン150から出力されるエネルギPeは遅れて目標値に
達する。したがって、モータMG2のトルク増加に要す
る電力は、エンジン150から出力されるエネルギPe
では賄えず、バッテリ194から供給されることにな
る。
【0192】こうして、車速Vが目標速度Vmに保たれ
た後に、再び車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△V6
が生じると、この速度偏差△V6を打ち消す方向にエン
ジン150から出力されるエネルギPeが増減されると
共にモータMG2のトルク指令値Tm2*が増減され
て、速度偏差△V2が打ち消され、車速Vは目標速度V
mとなる。この際、モータMG2のトルク変化の応答性
に対してエンジン150から出力されるエネルギPeの
変化の応答性が低いことから、モータMG2のトルク変
化に要する電力の過不足は、バッテリ94の充放電によ
り調整されることになる。
【0193】車速Vと目標速度Vmとの速度偏差△Vを
打ち消す際の共線図を図44および図45に示す。図4
4は車速Vが目標速度Vmより小さくなったとき(速度
偏差△Vが正の値のとき)の共線図であり、図45は車
速Vが目標速度Vmより大きくなったとき(速度偏差△
Vが負の値のとき)の共線図である。
【0194】図44および図45に示すように、速度偏
差△Vが生じたときには、エンジン150の運転ポイン
トは、トルクTeは同じだが、回転数Neは、回転数N
e1から出力するエネルギが値Kv5・△Vだけ増減さ
れた値となる回転数Ne2となる。このため、動作共線
は、リングギヤ軸126の回転数Nrとエンジン150
の回転数Ne1とを結ぶ直線DL1からリングギヤ軸1
26の回転数Nrとエンジン150の回転数Ne2とを
結ぶ直線DL2に変更され、サンギヤ軸125は回転数
Ns1から回転数Ns2に変更される。エンジン150
から出力されるトルクTeは同じだから、エンジン15
0からトルクTeが出力されることに伴ってサンギヤ軸
125に作用するトルクTesとリングギヤ軸126に
作用するトルクTerは、同じ値のままとなる。一方、
モータMG2から出力されるトルクTm2は、速度偏差
△Vに応じて値Kv6・△Vだけ増減されるから、リン
グギヤ軸126に出力されるトルクTrは、値Kv6・
△Vだけ増減され、速度偏差△Vが打ち消される。
【0195】また、前述したように、速度偏差△Vによ
っては、サンギヤ軸125に作用するトルクTesは変
更されず、モータMG1のトルクTm1も変更されな
い。しかし、サンギヤ軸125の回転数Nsは動作共線
の変更に伴って変更されるから、モータMG1で回生さ
れる電気エネルギPm1は、その回転数差(Ns2−N
s1)にトルクTm1を乗じた分だけ変更されることに
なる。したがって、この変更分が、モータMG2のトル
クTm2の増減に伴って増減する電気エネルギPm2の
変更分に等しくすれば、定常状態となったときには、バ
ッテリ194の充放電は行なわれない。なお、モータM
G2のトルクTm2は、直ちに値Kv6・△Vだけ増加
できるが、エンジン150の回転数Neは直ちに回転数
Ne2にすることができないから、その間に不足する電
力はバッテリ94の充放電により賄われることは前述し
た。
【0196】次に、車速Vが目標速度Vmで一定のとき
にバッテリ194の残容量BRMが適正範囲に保たれる様
子について説明する。図42の定速走行制御ルーチンで
は、バッテリ194の残容量BRMが閾値B1と閾値B2
とにより定められる適正範囲にないときには、基本出力
エネルギPrfに充電エネルギPbiまたは放電エネル
ギPboを増減して出力エネルギPrを設定すると共に
(ステップS484,S488)、この設定された出力
エネルギPrに基づいてエンジン150の目標回転数N
e*を演算し(ステップS490)、エンジン150の
制御(ステップS498)を行なう。したがって、エン
ジン150は、速度偏差△Vが生じたときと同様に、ト
ルクTeはそのままに、回転数Neだけ増減されること
になるから、この場合も、図44および図45に示した
共線図と同様に、動作曲線がリングギヤ軸126の回転
数Nrを支点として変更される。なお、図44および図
45の共線図を、車速Vが目標速度Vmで一定のときに
おけるバッテリ194の充放電の際の共線図として見る
ときには、速度偏差△Vを値0としてモータMG2のト
ルクTm2は変更されないものとし、充電エネルギPb
iおよび放電エネルギPboは、それぞれ図44と図4
5におけるエンジン150の回転数差(Ne2−Ne
1)とトルクTeとの積で表わされるエネルギとすれば
よい。
【0197】したがって、サンギヤ軸125の回転数N
sが回転数Ns1から回転数Ns2に変更されることに
伴って、モータMG1により回生される電気エネルギP
m1が変更される。第3実施例では、この電気エネルギ
Pm1の増減分が充電エネルギPbiまたは放電エネル
ギPboとしてバッテリ194の充放電に用いられる。
なお、こうしたバッテリ194の充放電の様子は、第1
実施例の説明で用いた図14に示す様子と同一である。
【0198】次に、速度偏差△Vに基づく制御とバッテ
リ194の充放電の制御が同時に行なわれる様子につい
て、この様子を例示する図46に基づき説明する。この
動作は図43を用いて説明した速度偏差△Vに基づく制
御と、バッテリ194の充放電の制御とを組み合わせた
ものである。図46には、バッテリ194の充電開始か
ら充電終了までの間に速度偏差△V7が生じたときの動
作を示した。
【0199】図示するように、バッテリ194の残容量
BRMが閾値B1以下であるのを検出すると、エンジン1
50から出力すべきエネルギPrは基本出力エネルギP
rfにバッテリ194の充電に必要な充電エネルギPb
iが加算された値として設定されるから、加算された充
電エネルギPbiによりバッテリ194が充電される。
この状態では、前述したようにモータMG1およびモー
タMG2のトルク指令値Tm1*,Tm2*は変更され
ない。こうしたバッテリ194の充電中に速度偏差△V
7が生じると、基本出力エネルギPrfはこの速度偏差
△V7を打ち消すのに必要なエネルギの値Kv5・△V
7だけ加算されるから、エンジン150から出力される
エネルギPeもこの値Kv5・△V7だけ増加する。そ
して、この増加したエネルギが、モータMG2のトルク
指令値Tm2*を値Kv6・△V7だけ増加することで
モータMG2からリングギヤ軸126に出力され、速度
偏差△V7が打ち消されて、車速Vは目標速度Vmとな
る。なお、この状態では、エンジン150から出力され
るエネルギPeはバッテリ194の充電前からみると値
(Pbi+Kv5・△V7)だけ増加している。
【0200】その後、バッテリ194の残容量BRMが閾
値B1より大きくなると、基本出力エネルギPrfに充
電エネルギPbiを加算して出力エネルギPdを設定す
るのを止め、基本出力エネルギPrfをそのまま出力エ
ネルギPrに設定するから、エンジン150から出力さ
れるエネルギPeは充電エネルギPbiだけ減少する。
この状態では、基本出力エネルギPrfが速度偏差△V
7に基づく値Kv5・△V7だけ増加された状態が継続
されているから、エンジン150の出力エネルギPr
は、バッテリ194の充電前からみると値Kv5・△V
7だけ増加しており、モータMG2のトルクTm2も値
Kv6・△V7だけ増加している。
【0201】こうした速度偏差△Vに基づく制御とバッ
テリ194の充放電の制御の際の共線図の一例を図47
に示す。バッテリ194の充電を開始するときには、エ
ンジン150の回転数Neは、回転数Ne1からエネル
ギが充電エネルギPbiだけ増加する値となる回転数N
e2に変更され、これに伴って、動作共線は、直線DL
1から直線DL2に変更される。この結果、サンギヤ軸
125の回転数Nsの偏差(Ns2−Ns1)とトルク
Tm1との積で表わされる電気エネルギが余剰電力とし
て見い出され、バッテリ194の充電に用いられる。こ
の状態で、速度偏差△V7が生じると、エンジン150
の回転数Neは、エネルギが値Kv5・△V7だけ増加
する値となる回転数Ne3に変更され、動作共線は直線
DL3に変更される。このときにも、モータMG1によ
り回生される電力には、その回転数Nsの偏差(Ns3
−Ns2)とトルクTm1との積で表わされる電気エネ
ルギが更なる余剰電力として見い出されるが、この電力
は、モータMG2のトルクTm2を値Kv6・△7だけ
増加することにより消費される。そして、バッテリ19
4の残容量BRMが閾値B1を上回ると、エンジン150
の回転数Neは、充電エネルギPbiだけ減少する値と
なる回転数Ne4に変更され、動作共線も直線DL4に
変更される。このため、モータMG1では、サンギヤ軸
125の回転数Nsの偏差(Ns3−Ns4)とトルク
Tm1との積で表わされる電気エネルギだけ回生されな
くなり、バッテリ194の充電が停止される。
【0202】なお、図46および図47にはバッテリ1
94の充電開始から充電終了までの間に正の値の速度偏
差△V7が生じたときの動作についてのみ示したが、バ
ッテリ194の充電開始から充電終了までの間に負の値
の速度偏差△Vが生じたときの動作、バッテリ194の
放電開始から放電終了までの間に正または負の値の速度
偏差△Vが生じたときの動作も同様に考えることができ
る。
【0203】以上説明した第3実施例の動力出力装置1
10によれば、車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△V
が生じてもエンジン150から出力されるエネルギPe
を増減すると共にモータMG2のトルクを増減するか
ら、速度偏差△Vを打ち消して車速Vを目標速度Vmに
することができる。しかも、モータMG2のトルクの増
減はバッテリ194の充放電により直ちに行なわれるか
ら、速度偏差△Vはすぐに解消され、車速Vは目標速度
Vmに保たれる。この結果、車速Vを高い精度で目標速
度Vmにすることができる。
【0204】また、第3実施例の動力出力装置110に
よれば、バッテリ194の残容量BRMが適正範囲にない
ときには、バッテリ194の充放電を行なうことにより
残容量BRMを適正範囲内にすることができる。しかも、
バッテリ194の充放電に見合うエネルギの増減をエン
ジン50から出力されるエネルギPeにて行なうことが
できる。
【0205】なお、第3実施例の動力出力装置110で
は、定速走行制御ルーチンで定速走行の制御である走行
速度偏差△Vに基づく制御とバッテリ194の充放電の
制御とを同時に行なうものとしたが、速度偏差△Vに基
づく制御のみを行なうものとしてもよい。この場合、図
42の定速走行制御ルーチンのステップS480ないし
S488は不要となる。
【0206】また、第3実施例の動力出力装置110で
は、定速走行の制御を車速Vと目標速度Vmとの速度偏
差△Vに基づいて、この速度偏差△Vを打ち消すようモ
ータMG2のトルク指令値Tm2*を制御したが、速度
偏差△Vに基づく制御に加えて、車速Vの微分量、即ち
変化率を演算し、この変化率に基づいてモータMG2の
トルク指令値Tm2*を制御するものとしてもよい。こ
うすれば、車速Vをより安定して目標速度Vmに保つこ
とができる。
【0207】第3実施例の動力出力装置110では、ス
ロットルバルブ166の開度BPの制御で、開度指令値
BP*をエンジン150の回転数Neによってフィード
バック制御するものとしたが、目標回転数Ne*が設定
されたときに開度指令値BP*を設定し、エンジン15
0の回転数Neによるフィードバック制御しないものと
してもかまわない。
【0208】第3実施例の動力出力装置110では、速
度偏差△Vが生じたりバッテリ194を充放電したりす
るする際の出力エネルギPrの増減に対して、エンジン
150の目標トルクTe*は変化させず、エンジン15
0の目標回転数Ne*を変化させたが、目標トルクTe
*も変化させるものとしてもよい。この場合、図42の
定速走行制御ルーチンのステップS490およびS49
2の処理に代えて、図48の定速走行制御ルーチンに例
示するステップS590ないしS593の処理を実行す
る。即ち、図42の定速走行制御ルーチンのステップS
484ないしS488により出力エネルギPrを設定し
た後、まず、図39の定速走行初期処理ルーチンのステ
ップS408で設定したのと同様に、設定された出力エ
ネルギPrに対してエンジン150ができる限り効率の
高い状態で運転され、かつ出力エネルギPdの変化に対
してエンジン150の運転状態が滑らかに変化するエン
ジン150の目標トルクTe*および目標回転数Ne*
を設定する(ステップS590)。続いて、モータMG
1のトルク指令値Tm1*にエンジン150の目標トル
クTe*を用いて上式(20)により算出して設定し
(ステップS591)、エンジン150のトルクTe*
の変更に伴ってリングギヤ軸126に作用するトルクT
erの変化量△Terを次式(25)により求める。そ
して、モータMG2のトルク指令値Tm2*を次式(2
6)により算出する。
【0209】
【数9】
【0210】ここで、上述した式(23)と比べて式
(26)では、式(23)で算出されるトルク指令値T
m2*からリングギヤ軸126に作用するトルクTer
の変化量△Terを減じているが、これは、エンジン1
50の目標トルクTe*を変化させることに伴ってリン
グギヤ軸126に作用するトルクTerが変化するか
ら、その変化分を打ち消すためのものである。
【0211】以上説明したように第3実施例の動力出力
装置110を出力エネルギPrの増減に応じてエンジン
150の目標トルクTe*および目標回転数Ne*を変
更するものとすれば、エンジン150はより効率の良い
運転ポイントで運転することになるから、全体としての
効率をより高くすることができる。
【0212】第3実施例の動力出力装置110では、出
力エネルギPrを設定することによりエンジン150を
目標トルクTe*および目標回転数Ne*の運転ポイン
トにより運転できるものとして説明したが、第1実施例
の動力出力装置20と同様に、スロットルバルブ166
のアクチュエータ167が段階的にしか位置決めできな
いものを用いるものとしてもよい。この場合、スロット
ルバルブ166の開度BPを段階的にしか設定できない
ことから生じる出力すべきエネルギPrとエンジン15
0から出力されるエネルギPeとのエネルギ偏差は、バ
ッテリ194の充放電により賄われる。出力すべきエネ
ルギPrとエンジン150から出力されるエネルギPe
とバッテリ194の充放電エネルギとの関係について
は、第1実施例の動力出力装置20における同様の処理
で説明した図25および図26と同様である。このよう
に、第3実施例の動力出力装置110によれば、設定さ
れた出力エネルギPrとエンジン150からの出力され
るエネルギとに偏差が生じても、このエネルギ偏差をバ
ッテリ194の充放電により調整することができる。し
たがって、スロットルバルブ166のアクチュエータ1
67に、スロットルバルブ166の開度BPを段階的に
しか設定できないような精度の低いものでも用いること
がでる。しかも、アクチュエータ167に精度の低いも
のを用いても、車両の車速Vを目標速度Vmに安定して
保つことができる。
【0213】第3実施例の動力出力装置110では、車
両の車速Vを目標速度Vmに保つために図39の定速走
行初期処理ルーチンおよび図42の定速走行制御ルーチ
ンを実行したが、これらのルーチンをリングギヤ軸12
6を定速で回転駆動する定速駆動制御に適用することも
できる。この場合、図39および図42のルーチンの目
標速度Vmに代えて目標回転数Nr*を用い、車速Vに
代えて回転数Nrを用いればよい。なお、リングギヤ軸
126の回転数Nrは、リングギヤ軸126に取り付け
られたレゾルバ149により検出することができる。こ
のように第3実施例の動力出力装置110によりリング
ギヤ軸126を定速に回転駆動する定速駆動制御を行な
えば、第3実施例の動力出力装置110を車両以外の輸
送機関(例えば船舶や航空機など)や、他の機械(例え
ば工作機械等)にも搭載した場合にも適用することがで
きる。
【0214】第3実施例の動力出力装置110では、リ
ングギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122
に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1
とモータMG2との間から取り出したが、図49の変形
例である動力出力装置110Aに示すように、リングギ
ヤ軸126を延出してケース119から取り出すものと
してもよい。また、図50の変形例である動力出力装置
110Bに示すように、エンジン150側からプラネタ
リギヤ120,モータMG2,モータMG1の順になる
よう配置してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは
中空でなくてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸と
する必要がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに
出力された動力をエンジン150とモータMG2との間
から取り出すことができる。
【0215】次に、本発明の第4の実施例である動力出
力装置110Cについて説明する。図51は、第4実施
例の動力出力装置110Cの構成の一部を例示する部分
構成図である。図51に示すように、第4実施例の動力
出力装置110Cは、モータMG2のロータ142がク
ランクシャフト156に取り付けられている点およびモ
ータMG1とモータMG2の配置が異なる点等を除いて
第3実施例の動力出力装置110と同一の構成をしてい
る。このため、図51では第3実施例の動力出力装置1
10の構成を例示する図に相当する図34のうち同一の
部分である制御装置180等を省略した。また、第4実
施例の動力出力装置110Cを車両に搭載したときには
図33に例示する構成と同一の構成となる。したがっ
て、第4実施例の動力出力装置110Cの構成のうち第
3実施例の動力出力装置110と同一の構成については
同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、明示し
ない限り第1実施例および第3実施例の説明の際に用い
た符号はそのまま同じ意味で用いる。
【0216】第4実施例の動力出力装置110Cでは、
図51に示すように、エンジン150側からモータMG
2,プラネタリギヤ120,モータMG1の順に配置さ
れている。プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結
合されたサンギヤ軸125CにはモータMG1のロータ
132が取り付けられており、プラネタリキャリア12
4には、第1実施例の動力出力装置110と同様に、エ
ンジン150のクランクシャフト156が取り付けられ
ている。このクランクシャフト156には、モータMG
2のロータ142と、クランクシャフト156の回転角
度θeを検出するレゾルバ157とが取り付けられてい
る。プラネタリギヤ120のリングギヤ122に取り付
けられたリングギヤ軸126Cは、その回転角度θrを
検出するレゾルバ149が取り付けられているだけで、
動力取出ギヤ128に結合されている。
【0217】第4実施例の動力出力装置110Cは、そ
の配置が第3実施例の動力出力装置110と異なるが、
第3実施例の動力出力装置110と同様に、モータMG
1の三相コイル134は制御装置180の第1の駆動回
路191に、モータMG2の三相コイル144は第2の
駆動回路192に接続されている。また、図示しない
が、レゾルバ157も信号ラインにより制御装置180
の制御CPU190の入力ポートに接続されている。
【0218】第4実施例の動力出力装置110Cは次の
ように動作する。エンジン150を回転数Ne,トルク
Teの運転ポイントP1で運転し、エンジン150から
出力されるエネルギPe(Pe=Ne×Te)と同じエ
ネルギPr(Pr=Nr×Tr)となる回転数Nr,ト
ルクTrの運転ポイントP2でリングギヤ軸126Cを
運転する場合、すなわち、エンジン150から出力され
る動力をトルク変換してリングギヤ軸126Cに作用さ
せる場合について考える。この状態の共線図を図52お
よび図53に例示する。
【0219】図52の共線図における動作共線の釣り合
いを考えると、次式(27)ないし式(30)が導き出
される。即ち、式(27)はエンジン150から入力さ
れるエネルギPeとリングギヤ軸126Cに出力される
エネルギPrの釣り合いから導き出され、式(28)は
クランクシャフト156を介してプラネタリキャリア1
24に入力されるエネルギの総和として導き出される。
また、式(29)および式(30)はプラネタリキャリ
ア124に作用するトルクを座標軸Sおよび座標軸Rを
作用線とするトルクに分離することにより導出される。
【0220】
【数10】
【0221】この動作共線がこの状態で安定であるため
には、動作共線の力の釣り合いがとれればよいから、ト
ルクTm1とトルクTcsとを等しく、かつ、トルクT
rとトルクTcrとを等しくすればよい。以上の関係か
らトルクTm1およびトルクTm2を求めれば、次式
(31)および式(32)のように表わされる。
【0222】
【数11】
【0223】したがって、モータMG1により式(3
1)で求められるトルクTm1をサンギヤ軸125Cに
作用させ、モータMG2により式(32)で求められる
トルクTm2をクランクシャフト156に作用させれ
ば、エンジン150から出力されるトルクTeおよび回
転数Neで表わされる動力をトルクTrおよび回転数N
rで表わされる動力にトルク変換してリングギヤ軸12
6Cに出力することができる。なお、この共線図の状態
では、モータMG1は、ロータ132の回転の方向とト
ルクの作用方向が逆になるから、発電機として動作し、
トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる電気エネ
ルギPm1を回生する。一方、モータMG2は、ロータ
142の回転の方向とトルクの作用方向が同じになるか
ら、電動機として動作し、トルクTm2と回転数Nrと
の積で表わされる電気エネルギPm2を消費する。
【0224】図52に示す共線図ではサンギヤ軸125
Cの回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転
数Neとリングギヤ軸126Cの回転数Nrとによって
は、図53に示す共線図のように負となる場合もある。
このときには、モータMG1は、ロータ132の回転の
方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、電動
機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表
わされる電気エネルギPm1を消費する。一方、モータ
MG2は、ロータ142の回転の方向とトルクの作用す
る方向とが逆になるから、発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126Cから回生することになる。
【0225】以上の動作原理の説明でも、第3実施例の
動力出力装置110の動作原理と同様に、プラネタリギ
ヤ120やモータMG1,モータMG2,トランジスタ
Tr1ないしTr16などによる動力の変換効率を値1
(100%)として説明したが、実際には値1未満とな
るから、エンジン150から出力されるエネルギPeを
リングギヤ軸126Cに出力するエネルギPrより若干
大きな値としたり、逆にリングギヤ軸126Cに出力す
るエネルギPrをエンジン150から出力されるエネル
ギPeより若干小さな値とする必要がある。しかし、前
述したように、プラネタリギヤ120における機械摩擦
によるエネルギの損失が小さく、モータMG1,MG2
に用いた同期電動機の効率は値1に極めて近いことなど
を考慮すれば、動力の変換効率は値1に近いものとな
る。したがって、第4実施例の以下の説明でも、明示し
ない限り変換効率を値1(100%)として取り扱う。
【0226】以上、第4実施例の動力出力装置110C
の基本的な動作について説明したが、こうしたエンジン
150から出力された動力のすべてをトルク変換してリ
ングギヤ軸126Cに出力する動作の他、エンジン15
0から出力された動力にバッテリ194に蓄えられた電
気エネルギを付加してリングギヤ軸126Cに出力する
動作や、逆にエンジン150から出力された動力の一部
をバッテリ194に電気エネルギとして蓄える動作など
も第3実施例の動力出力装置110と同様に可能であ
る。
【0227】以上の説明から解るように、第4実施例の
動力出力装置110Cでも第3実施例の動力出力装置1
10と同様に図39に例示した定速走行初期処理ルーチ
ンおよび図42に例示した定速走行制御ルーチンを実行
することができる。ただし、定速走行初期処理ルーチン
については、図39中のステップS410およびS41
2に代えて図54に例示する定速走行初期処理ルーチン
のステップS610およびS612が実行され、定速走
行制御ルーチンについては、図42中のステップS49
2に代えて図55に例示する定速走行制御ルーチンのス
テップS691およびS692が実行される。この相違
は、モータMG2をエンジン150のクランクシャフト
156に配置したことによるものである。以下、この点
について若干説明する。
【0228】第4実施例の動力出力装置110Cでは、
モータMG2がクランクシャフト156に取り付けられ
ており、その動力の入出力がプラネタリキャリア124
になされるから、モータMG2のトルクTm2の増減に
より、サンギヤ軸125Cおよびリングギヤ軸126C
に作用するトルクTcsおよびトルクTcrは、モータ
MG2のトルクTm2の増減量を△Tm2とすれば、次
式(33)および式(30)により計算される増減量△
Tcsおよび増減量△Tcrだけ変化する。
【0229】
【数12】
【0230】このリングギヤ軸126Cに作用するトル
クの増減量△Tcrを、第3実施例における速度偏差△
Vを打ち消すためのモータMG2のトルクの増減値であ
る値Kv6・△V(図42のステップS492)に等し
くすれば、第4実施例の動力出力装置110Cを搭載す
る車両は、第3実施例の動力出力装置110と同様に、
速度偏差△Vが打ち消され、目標速度Vmで定速走行す
ることになる。したがって、第4実施例におけるモータ
MG2のトルクTm2の増減量△Tm2を比例定数Kv
7を用いてKv7・△Vとおけば、上式(26)と式
(34)とによりKv7=Kv6(1+ρ)の関係とな
る。一方、モータMG2のトルクTm2の増減に伴いサ
ンギヤ軸125Cに作用するトルクTcsも変化するか
ら、動作共線の釣り合いをとるためにモータMG1のト
ルクTm1を上式(33)で計算される増減量△Tcs
だけ変化させる必要がある。これらのことから、第4実
施例の動力出力装置110Cでは、前述の比例定数Kv
7を用いて、モータMG1のトルク指令値Tm1*を次
式(35)により、モータMG2のトルク指令値Tm2
*を次式(36)により算出して設定しているのである
(ステップS691,S692)。
【0231】
【数13】
【0232】以上説明した第4実施例の動力出力装置1
10Cによれば、車速Vと目標速度Vmとに速度偏差△
Vが生じてもエンジン150から出力されるエネルギP
eを増減すると共にモータMG1およびモータMG2の
トルクを増減するから、速度偏差△Vを打ち消して車速
Vを目標速度Vmにすることができる。しかもモータM
G1およびモータMG2のトルクの増減はバッテリ19
4の充放電により賄われて直ちに行なわれるから、速度
偏差△Vはすぐに解消され、車速Vは目標速度Vmに保
たれる。この結果、きめ細かな制御を行なうことができ
るから、車速Vを安定して目標速度Vmに保つことがで
きる。
【0233】この他、第4実施例の動力出力装置110
Cでも、第3実施例の動力出力装置110が奏する効
果、即ち、バッテリ194の残容量BRMが適正範囲にな
いときには、バッテリ194の充放電を行なうことによ
り残容量BRMを適正範囲内にすることができる効果も奏
する。
【0234】更に、第4実施例の動力出力装置110C
でも、第3実施例の動力出力装置110と同様に、速度
偏差△Vやバッテリ194の充放電に基づく出力エネル
ギPrの変更に応じてエンジン150の目標トルクTe
*および目標回転数Ne*を変更する構成や、速度偏差
△VによるモータMG2のトルク指令値Tm2*の制御
に加えて車速Vの変化率に基づいてモータMG2のトル
ク指令値Tm2*を制御する構成、スロットルバルブ1
66のアクチュエータ167に精度の低いものを用いる
構成、リングギヤ軸126を定速で回転駆動する定速駆
動制御を行なう構成などとしてもよい。これらの構成と
した場合、第3実施例の動力出力装置110と同様な効
果を奏するのは言うまでもない。
【0235】なお、第4実施例の動力出力装置110C
では、エンジン150とモータMG1とによりモータM
G2を挟持する配置としたが、図56の変形例である動
力出力装置110Dに示すように、モータMG1とモー
タMG2とでエンジン150を挟持する配置としてもよ
い。また、第4実施例の動力出力装置110Cでは、リ
ングギヤ軸126Cに出力された動力をリングギヤ12
2に結合された動力取出ギヤ128を介してモータMG
1とモータMG2との間から取り出したが、図57の変
形例である動力出力装置110Eに示すように、リング
ギヤ軸126Eを延出してケース119から取り出すも
のとしてもよい。
【0236】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0237】例えば、第1実施例の動力出力装置20を
4輪駆動車(4WD)に適用する場合には、図58に示
すごとくになる。図58に示す構成では、駆動軸22に
機械的に結合していたアシストモータ40を駆動軸22
より分離して、車両の後輪部に独立して配置し、このア
シストモータ40によって後輪部の駆動輪27,29を
駆動する。一方、駆動軸22の先端はギヤ23を介して
ディファレンシャルギヤ24に結合されており、この駆
動軸22によって前輪部の駆動輪26,28を駆動す
る。このような構成の下においても、前述した第1実施
例およびその変形例を実現することができる。
【0238】また、第3実施例の動力出力装置110を
4輪駆動車(4WD)に適用する場合には、図59に示
すごとくになる。図59に示す構成では、リングギヤ軸
126に取り付けられていたモータMG2をリングギヤ
軸126から分離して、車両の後輪部に独立して配置
し、このモータMG2によって後輪部の駆動輪117,
119を駆動する。一方、リングギヤ軸126に結合さ
れた動力取出ギヤ128は、チェーンベルト129およ
び動力伝達ギヤ111を介して車両の前輪部のディファ
レンシャルギヤ114に結合されており、駆動輪11
6,118を駆動する。このような構成の下において
も、前述した第5実施例を実現することができる。
【0239】さらに、本発明は、図60に例示するよう
にドライブシャフトDSにモータMGが取り付けられた
構成にも適用することができる。この構成では、エンジ
ンEGは、クラッチモータやプラネタリギヤなどにより
接続されておらず、クラッチCLを介して直接ドライブ
シャフトDSに接続されている。車両は、エンジンEG
から出力されるエネルギとモータから入出力されるエネ
ルギとにより走行する。この構成における定速走行制御
は、たとえば、速度偏差△Vに対して、エンジンEGか
ら出力されるエネルギを増減制御すると共に、エンジン
EGの出力変化に対する応答性の低さを考慮してモータ
MGのトルク指令値を制御するものとなる。このよう
に、本発明は、エンジンから出力されるエネルギとモー
タから入出力されるエネルギとにより駆動軸を動作させ
る構成であれば如何なる構成でも適用することができ
る。たとえば、図61に例示するように、エンジンEG
のクランクシャフトとドライブシャフトDSとの接続を
スイッチングするスイッチSWを備える構成や、図62
に例示するように、エンジンEGから出力されるエネル
ギとモータMGから入出力されるエネルギとをプラネタ
リギヤによりミックスしてドライブシャフトDSに出力
する構成などにも適用することもできる。
【0240】ところで、上述した各実施例では、エンジ
ン50およびエンジン150としてガソリンにより運転
されるガソリンエンジンを用いたが、その他に、ディー
ゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェットエンジ
ンなど各種の内燃或いは外燃機関を用いることもでき
る。
【0241】また、第1または第2実施例のクラッチモ
ータ30およびアシストモータ40として、あるいは、
第3または第4実施例のモータMG1およびモータMG
2として、PM形(永久磁石形;Permanent Magnet typ
e)同期電動機を用いたが、回生動作および力行動作を
行なわせるものであれば、その他にも、VR形(可変リ
ラクタンス形;Variable Reluctance type)同期電動機
や、バーニアモータや、直流電動機や、誘導電動機や、
超電導モータや、ステップモータなどを用いることもで
きる。
【0242】さらに、第1または第2実施例では、クラ
ッチモータ30に対する電力の伝達手段として回転トラ
ンス38を用いたが、その他、スリップリング−ブラシ
接触、スリップリング−水銀接触、或いは磁気エネルギ
の半導体カップリング等を用いることもできる。
【0243】第1または第2実施例の第1および第2の
駆動回路91,92として、あるいは、第3または第4
実施例の第1および第2の駆動回路191,192とし
てトランジスタインバータを用いたが、その他に、IG
BT(絶縁ゲートバイポーラモードトランジスタ;Insu
lated Gate Bipolar mode Transistor)インバータや、
サイリスタインバータや、電圧PWM(パルス幅変調;
Pulse Width Modulation)インバータや、方形波インバ
ータ(電圧形インバータ,電流形インバータ)や、共振
インバータなどを用いることもできる。
【0244】また、第1または第2実施例のバッテリ9
4として、あるいは、第3または第4実施例のバッテリ
194としては、Pbバッテリ,NiMHバッテリ,L
iバッテリなどを用いることができるが、バッテリ9
4,194に代えてキャパシタを用いることもできる。
【0245】各実施例では、動力出力装置を車両に搭載
する場合について説明したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、船舶,航空機などの交通手段や、その
他各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例としての動力出力装置2
0を搭載した車両の概略構成を示す構成図である。
【図2】クラッチモータ30,アシストモータ40およ
び制御装置80を中心に第1実施例の動力出力装置20
の概略構成を示す構成図である。
【図3】第1実施例の動力出力装置20を構成するクラ
ッチモータ30およびアシストモータ40の構造を示す
断面図である。
【図4】第1実施例の動力出力装置20の動作原理を説
明するためのグラフである。
【図5】第1実施例の制御装置80により実行される定
速走行初期処理ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図6】第1実施例の制御装置80により実行されるク
ラッチモータ30の制御の基本的な処理を例示するフロ
ーチャートである。
【図7】第1実施例の制御装置80により実行されるア
シストモータ40の制御の基本的な処理を例示するフロ
ーチャートである。
【図8】第1実施例のEFIECU70により実行され
るスロットルバルブ開度制御ルーチンを例示するフロー
チャートである。
【図9】第1実施例のEFIECU70により実行され
る燃料噴射制御処理ルーチンを例示するフローチャート
である。
【図10】第1実施例の制御装置80により実行される
定速走行制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図11】バッテリ94の残容量BRMが適正範囲内にと
きに車両の車速Vが目標速度Vmに保たれる様子を例示
する説明図である。
【図12】速度偏差△Vを打ち消す際の回転数Ne>回
転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび駆
動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラフ
である。
【図13】速度偏差△Vを打ち消す際の回転数Ne<回
転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび駆
動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラフ
である。
【図14】車速Vが目標速度Vmで一定のときにバッテ
リ94の残容量BRMが適正範囲に保たれる様子を例示す
る説明図である。
【図15】バッテリ94を充電する際の回転数Ne>回
転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび駆
動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラフ
である。
【図16】バッテリ94を充電する際の回転数Ne<回
転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび駆
動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラフ
である。
【図17】バッテリ94から放電する際の回転数Ne>
回転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび
駆動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラ
フである。
【図18】バッテリ94から放電する際の回転数Ne<
回転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントおよび
駆動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示するグラ
フである。
【図19】バッテリ94の充電中に速度偏差△Vが生じ
たときのエンジン50,バッテリ94およびアシストモ
ータ40の動作の様子を例示する説明図である。
【図20】バッテリ94の充電中に速度偏差△Vが生じ
た際の回転数Ne>回転数Ndにおけるエンジン50の
運転ポイントおよび駆動軸22の運転ポイントの変化の
様子を例示するグラフである。
【図21】バッテリ94の充電中に速度偏差△Vが生じ
た際の回転数Ne<回転数Ndにおけるエンジン50の
運転ポイントおよび駆動軸22の運転ポイントの変化の
様子を例示するグラフである。
【図22】第1実施例の制御装置80により実行される
定速走行制御ルーチンの変形例を示すフローチャートで
ある。
【図23】出力エネルギPdの増減に伴って目標トルク
Te*および目標回転数Ne*を変更する際の回転数N
e>回転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントお
よび駆動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示する
グラフである。
【図24】出力エネルギPdの増減に伴って目標トルク
Te*および目標回転数Ne*を変更する際の回転数N
e<回転数Ndにおけるエンジン50の運転ポイントお
よび駆動軸22の運転ポイントの変化の様子を例示する
グラフである。
【図25】出力エネルギPdが段階的に設定できない際
の回転数Ne>回転数Ndにおけるエンジン50の運転
ポイントおよび駆動軸22の運転ポイントの変化の様子
を例示するグラフである。
【図26】出力エネルギPdが段階的に設定できない際
の回転数Ne<回転数Ndにおけるエンジン50の運転
ポイントおよび駆動軸22の運転ポイントの変化の様子
を例示するグラフである。
【図27】第1実施例の動力出力装置20の変形例であ
る動力出力装置20Aの概略構成を示す構成図である。
【図28】第2実施例の動力出力装置20Bの概略構成
を示す構成図である。
【図29】第2実施例の動力出力装置20Bの制御装置
80により実行される定速走行初期処理ルーチンの一部
を例示するフローチャートである。
【図30】第2実施例の動力出力装置20Bの制御装置
80により実行される定速走行制御ルーチンの一部を例
示するフローチャートである。
【図31】第2実施例の動力出力装置20Bの変形例で
ある動力出力装置20Cの構成の概略を例示する構成図
である。
【図32】第2実施例の動力出力装置20Bの変形例で
ある動力出力装置20Dの構成の概略を例示する構成図
である。
【図33】本発明の第3の実施例としての動力出力装置
110を組み込んだ車両の概略の構成を例示する構成図
である。
【図34】第3実施例としての動力出力装置110の概
略構成を示す構成図である。
【図35】第3実施例の動力出力装置110の部分拡大
図である。
【図36】第3実施例の動力出力装置110の動作を説
明するためのグラフである。
【図37】プラネタリギヤ120に結合された3軸の回
転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図38】プラネタリギヤ120に結合された3軸の回
転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図39】第3実施例の制御装置180により実行され
る定速走行初期処理ルーチンを例示するフローチャート
である。
【図40】第3実施例の制御装置180により実行され
るモータMG1の制御の基本的な処理を例示するフロー
チャートである。
【図41】第3実施例の制御装置180により実行され
るモータMG2の制御の基本的な処理を例示するフロー
チャートである。
【図42】第3実施例の制御装置80により実行される
定速走行制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図43】第3実施例のバッテリ194の残容量BRMが
適正範囲内にときに車両の車速Vが目標速度Vmに保た
れる様子を例示する説明図である。
【図44】速度偏差△Vを打ち消す際の共線図の変化の
様子を説明する説明図である。
【図45】速度偏差△Vを打ち消す際の共線図の変化の
様子を説明する説明図である。
【図46】第3実施例のバッテリ194の充電中に速度
偏差△Vが生じたときの1エンジン50,バッテリ19
4およびモータMG2の動作の様子を例示する説明図で
ある。
【図47】バッテリ94の充電中に速度偏差△Vが生じ
た際の共線図の変化の様子を説明する説明図である。
【図48】第3実施例の制御装置80により実行される
定速走行制御ルーチンの変形例を示すフローチャートで
ある。
【図49】第3実施例の動力出力装置110の変形例で
ある動力出力装置110Aの構成の概略を例示する構成
図である。
【図50】第3実施例の動力出力装置110の変形例で
ある動力出力装置110Bの構成の概略を例示する構成
図である。
【図51】第4実施例の動力出力装置110Cの概略構
成を示す構成図である。
【図52】第4実施例のプラネタリギヤ120に結合さ
れた3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図53】第4実施例のプラネタリギヤ120に結合さ
れた3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図54】第4実施例の動力出力装置110Cの制御装
置180により実行される定速走行初期処理ルーチンの
一部を例示するフローチャートである。
【図55】第4実施例の動力出力装置110Cの制御装
置180により実行される定速走行制御ルーチンの一部
を例示するフローチャートである。
【図56】第4実施例の動力出力装置110Cの変形例
である動力出力装置110Dの構成の概略を例示する構
成図である。
【図57】第4実施例の動力出力装置110Cの変形例
である動力出力装置110Eの構成の概略を例示する構
成図である。
【図58】第1実施例の動力出力装置20を4輪駆動車
に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図59】第3実施例の動力出力装置110を4輪駆動
車に適用した場合の構成を示す構成図である。
【図60】本発明の適用可能な構成の概略を例示する構
成図である。
【図61】本発明の適用可能な構成の概略を例示する構
成図である。
【図62】本発明の適用可能な構成の概略を例示する構
成図である。
【符号の説明】
20…動力出力装置 20A〜20D…動力出力装置 22…駆動軸 23…ギヤ 24…ディファレンシャルギヤ 26,28…駆動輪 27,29…駆動輪 30…クラッチモータ 32…アウタロータ 34…インナロータ 35…永久磁石 36…三相コイル 37A,37B…ベアリング 38…回転トランス 38A…一次巻線 38B…二次巻線 39…レゾルバ 40…アシストモータ 42…ロータ 43…ステータ 44…三相コイル 45…ケース 46…永久磁石 48…レゾルバ 49…ベアリング 50…エンジン 51…燃料噴射弁 52…燃焼室 54…ピストン 56…クランクシャフト 57…ホイール 58…イグナイタ 59a…圧入ピン 59b…ネジ 60…ディストリビュータ 62…点火プラグ 64…アクセルペダル 65…アクセルペダルポジションセンサ 66…スロットルバルブ 67…アクチュエータ 67…スロットルバルブポジションセンサ 68…アクチュエータ 70…EFIECU 72…吸気管負圧センサ 74…水温センサ 76…回転数センサ 78…回転角度センサ 79…スタータスイッチ 80…制御装置 82…シフトレバー 84…シフトポジションセンサ 86…車速センサ 90…制御CPU 90a…RAM 90b…ROM 91…第1の駆動回路 92…第2の駆動回路 94…バッテリ 95,96…電流検出器 97,98…電流検出器 99…残容量検出器 110…動力出力装置 110A〜110E…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 119…ケース 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 156…クランクシャフト 157…レゾルバ 165…アクセルペダルポジションセンサ 166…スロットルバルブ 167…アクチュエータ 170…EFIECU 180…制御装置 184…シフトポジションセンサ 186…車速センサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 L1,L2…電源ライン MG1…モータ MG2…モータ Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11からTr16…トランジスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B60K 6/04 553 B60K 6/04 553 555 555 41/18 41/18 B60L 11/12 B60L 11/12 F02B 61/00 F02B 61/00 E F02D 29/02 F02D 29/02 D 301 301C (56)参考文献 特開 平7−279702(JP,A) 特開 平7−231506(JP,A) 特開 平6−247164(JP,A) 特開 昭49−43311(JP,A) 特開 昭50−30223(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 29/02 B60L 11/14 B60K 31/00 F02D 41/14 B60K 6/02 - 6/04

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸を定速で回転駆動する定速駆動装
    置であって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機を運転する原動機運転手段と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記駆
    動軸に結合される第2の回転軸とを有し、前記第1の回
    転軸に入出力される動力と前記第2の回転軸に入出力さ
    れる動力とのエネルギ偏差を対応する電気エネルギの入
    出力により調整するエネルギ調整手段と、 前記原動機の出力軸または前記駆動軸と動力のやり取り
    をする電動機と、 前記電動機を駆動する電動機駆動回路と、 前記電動機駆動回路を介して前記電動機から回生される
    電力による充電と前記電動機駆動回路を介して前記電動
    機の駆動に要する電力の放電とを行なうと共に前記エネ
    ルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整の際に入出
    力される電気エネルギの少なくとも一部の充放電が可能
    蓄電手段と、 操作者の指示に基づいて前記駆動軸の目標回転数を設定
    する目標回転数設定手段と、 前記駆動軸の回転数を検出する回転数検出手段と、 該検出された回転数に基づいて、該回転数が前記目標回
    転数となるよう前記原動機運転手段および前記電動機駆
    動回路を介して前記原動機および前記電動機を制御する
    と共に前記エネルギ調整手段を制御する回転制御手段と
    を備える定速駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回
    転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸に
    結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第
    2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を介
    して該両回転軸間の動力のやり取りをすると共に、該両
    ロータ間の電磁的な結合と該両ロータ間の回転数差とに
    基づいて電気エネルギを入出力する対ロータ電動機であ
    る請求項記載の定速駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の第
    2のロータと該第2のロータを回転可能なステータとか
    らなり、前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機であ
    る請求項記載の定速駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の第
    1のロータと該第1のロータを回転可能なステータとか
    らなり、前記原動機の出力軸と動力のやり取りをする電
    動機である請求項記載の定速駆動装置。
  5. 【請求項5】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の回
    転軸および前記第2の回転軸と異なる第3の回転軸を有
    し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸へ入
    出力される動力を決定したとき、該決定された動力に基
    づいて残余の回転軸へ入出力される動力が決定される3
    軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸と動力のやり
    取りをする回転軸電動機とからなる請求項記載の定速
    駆動装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないしいずれか記載の定速駆
    動装置であって、 前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状態検出手段を
    備え、 前記回転制御手段は、前記蓄電状態検出手段により検出
    された前記蓄電手段の蓄電状態と前記回転数検出手段に
    より検出された回転数とに基づいて、該回転数が前記目
    標回転数となり前記蓄電手段の蓄電状態が所定範囲の状
    態となるよう前記原動機および前記電動機を制御すると
    共に前記エネルギ調整手段を制御する手段である定速駆
    動装置。
  7. 【請求項7】 前記回転制御手段は、前記原動機から出
    力される動力が段階的に変化するよう制御する手段であ
    る請求項1ないしいずれか記載の定速駆動装置。
  8. 【請求項8】 前記回転制御手段は、前記回転数検出手
    段により検出された回転数に基づいて、該回転数の変化
    率を演算する変化率演算手段を備え、該演算された変化
    率と前記検出された回転数とに基づいて、前記原動機お
    よび前記電動機を制御すると共に前記エネルギ調整手段
    を制御する手段である請求項1ないし7いずれか記載の
    定速駆動装置。
  9. 【請求項9】 自動車を定速で走行する定速走行装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機を運転する原動機運転手段と、前記原動機の出力軸に結合される第1の回転軸と前記自
    動車の車輪に結合される駆動軸に結合される第2の回転
    軸とを有し、前記第1の回転軸に入出力される動力と前
    記第2の回転軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を
    対応する電気エネルギの入出力により調整するエネルギ
    調整手段と、 前記原動機の出力軸または前記駆動軸と動力のやり取り
    をする電動機と、 前記電動機を駆動する電動機駆動回路と、 前記電動機駆動回路を介して前記電動機から回生される
    電力による充電と、前記電動機駆動回路を介して前記電
    動機の駆動に要する電力の放電とを行なうと共に前記エ
    ネルギ調整手段による前記エネルギ偏差の調整の際に入
    出力される電気エネルギの少なくとも一部の充放電が可
    能な蓄電手段と、 操作者の指示に基づいて前記自動車の目標速度を設定す
    る目標速度設定手段と、 前記自動車の車速を検出する車速検出手段と、 該検出された車速に基づいて、該車速が前記目標速度と
    なるよう前記原動機運転手段および前記電動機駆動回路
    を介して前記原動機および前記電動機を制御すると共に
    前記エネルギ調整手段を制御する車速制御手段とを備え
    る自動車の定速走行装置。
  10. 【請求項10】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の
    回転軸に結合された第1のロータと、前記第2の回転軸
    に結合され該第1のロータに対して相対的に回転可能な
    第2のロータとを有し、該両ロータ間の電磁的な結合を
    介して該両回転軸間の動力のやり取りをすると共に、該
    両ロータ間の電磁的な結合と該両ロータ間の回転数差と
    に基づいて電気エネルギを入出力する対ロータ電動機で
    ある請求項記載の自動車の定速走行装置。
  11. 【請求項11】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の
    第2のロータと該第2のロータを回転可能なステータと
    からなり、前記駆動軸と動力のやり取りをする電動機で
    ある請求項10記載の自動車の定速走行装置。
  12. 【請求項12】 前記電動機は、前記対ロータ電動機の
    第1のロータと該第1のロータを回転可能なステータと
    からなり、前記原動機の出力軸と動力のやり取りをする
    電動機である請求項10記載の自動車の定速走行装置。
  13. 【請求項13】 前記エネルギ調整手段は、前記第1の
    回転軸および前記第2の回転軸と異なる第3の回転軸を
    有し、前記3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸へ
    入出力される動力を決定したとき、該決定された動力に
    基づいて残余の回転軸へ入出力される動力が決定される
    3軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸と動力のや
    り取りをする回転軸電動機とからなる請求項9記載の自
    動車の定速走行装置。
  14. 【請求項14】 請求項9ないし13いずれか記載の自
    動車の定速走行装置であって、 前記蓄電手段の蓄電状態を検出する蓄電状態検出手段を
    備え、 前記車速制御手段は、前記蓄電状態検出手段により検出
    された前記蓄電手段の蓄電状態と前記車速検出手段によ
    り検出された車速とに基づいて、該車速が前記目標速度
    となり前記蓄電手段の蓄電状態が所定範囲の状態となる
    よう前記原動機および前記電動機を制御すると共に前記
    エネルギ調整手段を制御する手段である自動車の定速走
    行装置。
  15. 【請求項15】 前記車速制御手段は、前記原動機から
    出力される動力が段階的に変化するよう制御する手段で
    ある請求項9ないし14いずれか記載の自動車の定速走
    行装置。
  16. 【請求項16】 前記車速制御手段は、前記車速検出手
    段により検出された車速に基づいて、該車速の変化率を
    演算する変化率演算手段を備え、該演算された変化率と
    前記検出された車速とに基づいて、前記原動機および前
    記電動機を制御すると共に前記接続手段の接続状態を制
    御する手段である請求項9ないし15いずれか記載の
    動車の定速走行装置。
  17. 【請求項17】 出力軸を有する原動機と、前記原動機
    の出力軸に結合される第1の回転軸と前記自動車の車輪
    に結合される駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し
    前記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転
    軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気
    エネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、
    前記原動機の出力軸または前記駆動軸と動力のやり取り
    をする電動機と、前記電動機駆動回路を介して前記電動
    機から回生される電力による充電と前記電動機駆動回路
    を介して前記電動機の駆動に要する電力の放電とを行な
    と共に前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差
    の調整の際に入出力される電気エネルギの少なくとも一
    部の充放電が可能な蓄電手段とを備える動力出力装置の
    制御方法であって、 操作者の指示に基づいて前記駆動軸の目標回転数を設定
    し、 前記駆動軸の回転数を検出し、 該検出された回転数に基づいて、該回転数が前記目標回
    転数となるよう前記原動機および前記電動機を制御する
    と共に前記エネルギ調整手段を制御する動力出力装置の
    制御方法。
  18. 【請求項18】 出力軸を有する原動機と、前記原動機
    の出力軸に結合される第1の回転軸と前記自動車の車輪
    に結合される駆動軸に結合される第2の回転軸とを有し
    前記第1の回転軸に入出力される動力と前記第2の回転
    軸に入出力される動力とのエネルギ偏差を対応する電気
    エネルギの入出力により調整するエネルギ調整手段と、
    前記原動機の出力軸または前記駆動軸と動力のやり取り
    をする電動機と、前記電動機駆動回路を介して前記電動
    機から回生される電力による充電と前記電動機駆動回路
    を介して前記電動機の駆動に要する電力の放電とを行な
    と共に前記エネルギ調整手段による前記エネルギ偏差
    の調整の際に入出力される電気エネルギの少なくとも一
    部の充放電が可能な蓄電手段とを備える動力出力装置を
    搭載する自動車を定速走行させる該動力出力装置の制御
    方法であって、 操作者の指示に基づいて前記自動車の目標速度を設定
    し、 前記自動車の車速を検出し、 該検出された車速に基づいて、該車速が前記目標速度と
    なるよう前記原動機および前記電動機を制御すると共に
    前記接続手段の接続状態を制御する動力出力装置の制御
    方法。
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