JP2002017005A - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法

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JP2002017005A
JP2002017005A JP2001123976A JP2001123976A JP2002017005A JP 2002017005 A JP2002017005 A JP 2002017005A JP 2001123976 A JP2001123976 A JP 2001123976A JP 2001123976 A JP2001123976 A JP 2001123976A JP 2002017005 A JP2002017005 A JP 2002017005A
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motor
drive shaft
prime mover
torque
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JP2001123976A
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Toshibumi Takaoka
俊文 高岡
Takahiro Nishigaki
隆弘 西垣
Masakiyo Kojima
正清 小島
Hiroshi Kanai
弘 金井
Shinichi Abe
眞一 阿部
Yukio Kobayashi
幸男 小林
Kenichi Nagase
健一 長瀬
Osamu Harada
修 原田
Katsuhiko Yamaguchi
勝彦 山口
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイブリッド車両において発電するための負
荷運転状態からアイドリングまたはモータリング等の無
負荷運転状態に変化する過渡期においてショックが生じ
ていた。 【解決手段】 エンジンに発電機が機械的に結合された
ハイブリッド式の動力出力装置について、負荷運転状態
から無負荷運転状態に移行する過渡期に、発電機の出力
トルクが急変しないように制御する。一手段として負荷
運転状態における内燃機関の最低回転数を無負荷運転状
態における回転数よりも200rpm程度大きな回転数
に設定する。こうすることにより、負荷運転状態から無
負荷運転状態にエンジンの回転数が滑らかに変化するよ
うになり、エンジンの回転数に基づいてPI制御されて
いる発電機のトルクの急変を抑えることができるため、
該トルクの急変が原因となるショックを低減することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およ
びその制御方法に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力
する動力出力装置およびこうした動力出力装置の制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原動機から出力される動力をトル
ク変換して駆動軸に出力する動力出力装置としては、流
体を利用したトルクコンバータと変速機とを組み合わせ
てなるものが用いられていた。この装置におけるトルク
コンバータは、原動機の出力軸と変速機に結合された回
転軸との間に配置され、封入された流体の流動を介して
両軸間の動力の伝達を行なう。このようにトルクコンバ
ータでは、流体の流動により動力を伝達するため、両軸
間に滑りが生じ、この滑りに応じたエネルギ損失が発生
する。このエネルギ損失は、正確には、両軸の回転数差
とその時に動力の出力軸に伝達されるトルクとの積で表
わされ、熱として消費される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、こうした
動力出力装置を動力源として搭載する車両では、両軸間
の滑りが大きくなるとき、例えば発進時や登り勾配を低
速で走行するときなどのように大パワーが要求されると
きには、トルクコンバータでのエネルギ損失が大きくな
り、エネルギ効率が低いものとなるという問題があっ
た。また、定常走行時であっても、トルクコンバータに
おける動力の伝達効率は100パーセントにならないか
ら、例えば、手動式のトランスミッションと較べて、そ
の燃費は低くならざるを得ない。
【0004】本発明の動力出力装置は、上述の問題を解
決し、原動機から出力される動力を高効率に駆動軸に出
力する装置を提供することを目的の一つとする。
【0005】なお、出願人は、上述の問題に鑑み、流体
を用いたトルクコンバータを用いるのではなく、出力軸
を有する原動機と、回転軸を有する発電機と、原動機の
出力軸と発電機の回転軸と駆動軸とにキャリア,サンギ
ヤおよびリングギヤがそれぞれ結合されたプラネタリギ
ヤと、発電機と電動機とに接続されたバッテリとを備
え、原動機から出力される動力やバッテリに蓄えられた
電力を所望の動力として駆動軸に出力するものを提案し
ている(特開昭50−30223号公報)。
【0006】この提案の動力出力装置では、任意の運転
ポイントで運転されている原動機から出力される動力は
プラネタリギヤにより発電機に伝達される動力と駆動軸
に伝達される動力とに分配される。原動機から出力され
た動力を回転数を低減しつつトルクアップして駆動軸に
出力する場合には、発電機に伝達された動力を電力とし
て回生し、この電力を用いて駆動軸に結合された電動機
を駆動して駆動軸にトルクを付加する。逆に、原動機か
ら出力される動力をトルクを低減しつつ回転数を増して
駆動軸に出力する、いわゆるオーバードライブモードの
場合には、電動機に伝達された動力を電力として回生
し、この電力を用いて発電機を電動機として駆動する。
電動機が駆動軸に結合していることを考えると、オーバ
ードライブモードにおいては、電動機で回生された電力
が発電機に供給されるものの、該発電機を駆動して得ら
れる動力の一部はプラネタリギヤを介して駆動軸に出力
される際に、再び電動機により電力として回生されるこ
とになり、エネルギの一部が電動機,発電機,プラネタ
リギヤ,電動機の順に循環する循環路を形成してしま
う。こうしたエネルギの循環は、循環するエネルギの量
が大きくなると、それに伴って原動機からプラネタリギ
ヤを介して直接駆動軸に出力される損失の小さなエネル
ギが小さくなるから、装置全体のエネルギ効率を低下さ
せる。
【0007】そこで、本発明の動力出力装置およびその
制御方法は、こうした原動機から出力される動力の一部
を電気エネルギの形態を経ることにより所望のトルクお
よび回転数からなる動力にトルク変換して駆動軸に出力
する動力出力装置において、原動機から駆動軸にエネル
ギが出力される過程においてエネルギの循環路が形成さ
れることによる装置全体のエネルギ効率の低下を防止す
ることを目的の一つとする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の動力出力装置およびその制御方法は、上述の目的
の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採っ
た。
【0009】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を
出力する動力出力装置であって、出力軸を有する原動機
と、前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、
前記原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達する
と共に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりに
より調整する動力調整手段と、前記駆動軸に動力を入出
力する電動機と、前記駆動軸に出力されるトルクおよび
回転数に対応した駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸
目標動力状態設定手段と、前記駆動軸目標動力状態およ
び原動機の運転効率に基づいて、前記原動機から出力す
べきトルクおよび回転数に対応した原動機目標動力状態
を設定する原動機目標動力状態設定手段と、前記原動機
から出力された動力を前記駆動軸目標動力状態に変換し
て前記駆動軸から出力すると共に、前記電動機を該動力
の出力過程で生じるエネルギの循環を考慮して設定され
た所定トルク以上のトルクで駆動可能な動力状態で該原
動機が運転されるよう該原動機、該電動機および前記動
力調整手段を制御する制御手段とを備えることを要旨と
する。
【0010】制御手段は、前記原動機から出力された動
力を前記駆動軸目標動力状態に変換して前記駆動軸から
出力すると共に、前記電動機を該動力出力装置全体のエ
ネルギ効率を考慮して設定された所定トルク以上のトル
クで駆動可能な動力状態で該原動機が運転されるよう該
原動機、該電動機および前記動力調整手段を制御する制
御手段としてもよい。
【0011】この本発明の動力出力装置は、原動機の出
力軸および駆動軸に結合される動力調整手段が、前記原
動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
調整する。電動機は、原動機の駆動軸に動力を入出力す
る。原動機目標動力状態設定手段は前記駆動軸目標動力
状態および原動機の運転効率に基づいて、前記原動機か
ら出力すべきトルクおよび回転数に対応した原動機目標
動力状態を設定する。制御手段は、前記原動機目標動力
状態を前記駆動軸目標動力状態に変換して前記駆動軸か
ら出力すると共に、前記電動機を所定トルク以上のトル
クで駆動可能な動力状態で該原動機が運転されるよう該
原動機、該電動機および前記動力調整手段を制御する。
【0012】ここでいう「動力」は、軸に作用するトル
クとその軸の回転数との積の形態で表わされ、単位時間
当たりに出力されるエネルギの大きさをいう。これに対
し、「動力状態」とは、ある動力を与えるトルクおよび
回転数の組み合わせによって定まる運転状態をいうもの
と定義する。従って、ある「動力」を与える「動力状
態」は、トルクおよび回転数の組み合わせにより無数に
存在することになる。こうした「動力」および「動力状
態」の意味は、後述する本発明の動力出力装置の制御方
法においても同様である。なお、動力出力装置は、各瞬
間ごとにおけるエネルギのやりとり、言い換えれば単位
時間当たりのエネルギ収支を基準として制御されるた
め、以下、「エネルギ」という用語は単位時間当たりの
エネルギ、即ち「動力」と同義の用語として用いる。同
様に、単位時間当たりの電気エネルギを意味する「電
力」と「電気エネルギ」も同義の用語として用いる。
【0013】こうした本発明の動力出力装置によれば、
電動機が所定トルク以上のトルクで駆動可能となるよう
制御されるから、エネルギが電動機,動力調整手段,電
動機の循環路を循環する動作となっても、所定の大きさ
のエネルギ以上のエネルギの循環を抑制することができ
る。例えば、所定トルクを値0とすればエネルギの循環
を防止することができ、所定トルクが負の値の所定値で
あればそれに対応するエネルギ以上の大きさのエネルギ
の循環を防止することができる。この結果、原動機から
機械的に直接駆動軸に出力される損失の小さなエネルギ
が大きくなるから、装置全体のエネルギ効率を向上させ
ることができる。
【0014】上記発明における電動機および制御手段に
代えて、前記出力軸に動力を入出力する電動機と、前記
原動機から出力された動力を前記駆動軸目標動力状態に
変換して前記駆動軸から出力すると共に、前記電動機を
該動力の出力過程で生じるエネルギの循環を考慮して設
定された所定トルク以下のトルクで駆動可能な動力状態
で該原動機が運転されるよう該原動機、該電動機および
前記動力調整手段を制御する制御手段とすることもでき
る。
【0015】電動機が出力軸に動力を入出力するもので
ある構成において、電動機が出力軸に正のトルクを出力
しているときは、該電動機は出力軸に結合された動力調
整手段から電力の供給を受けていることになる。また、
こうして電動機により出力軸に付加された動力の一部
は、動力調整手段により再び電力として回収されること
になる。つまり、このとき原動機から出力された動力
は、動力調整手段、電動機、動力調整手段という循環路
を循環することになる。
【0016】上述の構成からなる動力出力装置によれ
ば、電動機が所定トルク以下のトルクで駆動可能となる
よう制御されるから、所定の大きさのエネルギ以上のエ
ネルギの循環を抑制することができる。例えば、所定ト
ルクを値0とすればエネルギの循環を防止することがで
き、所定トルクが正の値の所定値であればそれに対応す
るエネルギ以上の大きさのエネルギの循環を防止するこ
とができる。
【0017】なお、エネルギの循環は駆動軸の回転数と
原動機の回転数との回転数の差に応じて生じるものであ
り、エネルギの循環の許容される範囲は原動機の効率等
と関連して生じるものであるから、本発明の動力出力装
置において、前記所定トルクは、前記駆動軸の回転数に
基づいて定まるトルクであるものとしたり、前記原動機
の効率に基づいて定まるトルクであるものとしたりする
こともできる。
【0018】また、駆動軸に動力を入出力する電動機を
備える本発明の動力出力装置において、前記動力調整手
段により調整される電力の少なくとも一部と、前記電動
機による動力の入出力に必要な電力の少なくとも一部
と、を充放電可能な蓄電手段を備え、前記制御手段は、
前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転すると共
に、該原動機から出力される動力と前記蓄電手段から充
放電される電力とを変換して前記前記駆動軸に出力され
る動力が前記駆動軸目標動力状態となるよう該原動機、
前記電動機および前記動力調整手段を制御する動力制御
手段と、該動力制御手段による制御により前記電動機が
前記所定トルク未満のトルクで駆動されるとき、該電動
機が該所定トルク以上のトルクで駆動されるよう前記動
力制御手段で用いられる前記原動機目標動力状態を修正
する原動機目標動力状態修正手段とを備えるものとする
こともできる。
【0019】この態様の動力出力装置は、蓄電手段が、
必要に応じて、動力調整手段により調整される電力の少
なくとも一部と、電動機による動力の入出力に必要な電
力の少なくとも一部とを充放電する。そして、制御手段
が備える動力制御手段は、原動機を前記原動機目標動力
状態で運転すると共に、該原動機から出力される動力と
前記蓄電手段から充放電される電力とを変換して前記駆
動軸に出力される動力が前記駆動軸目標動力状態となる
よう該原動機、前記電動機および前記動力調整手段を制
御する。制御手段が備える原動機目標動力状態修正手段
は、こうした動力制御手段による制御により電動機が前
記所定トルク未満のトルクで駆動されるとき、該電動機
が該所定トルク以上のトルクで駆動されるよう前記動力
制御手段で用いられる前記原動機目標動力状態を修正す
る。こうした態様の動力出力装置によれば、原動機目標
動力状態を修正することにより電動機を所定トルク以上
のトルクで駆動することができる。
【0020】この制御手段が動力制御手段と原動機目標
動力設定手段とを備える態様の本発明の動力出力装置に
おいて、前記原動機目標動力状態修正手段は、前記原動
機目標動力状態を動力が同一で回転数が大きな動力状態
に修正する手段であるものとすることもできる。こうす
れば、原動機から出力されるエネルギを変更することな
くエネルギの循環を抑制することができる。
【0021】上述した動力出力装置における電動機およ
び原動機目標動力状態修正手段に代えて、前記出力軸に
動力を入出力する電動機と、該動力制御手段による制御
により前記電動機が前記所定トルクよりも大きいのトル
クで駆動されるとき、該電動機が該所定トルク以下のト
ルクで駆動されるよう前記動力制御手段で用いられる前
記原動機目標動力状態を修正する原動機目標動力状態修
正手段とを備えるものとすることもできる。また、前記
原動機目標動力状態修正手段は、前記原動機目標動力状
態を動力が同一で回転数が小さな動力状態に修正する手
段であるものとすることもできる。
【0022】こうした原動機目標動力状態を動力が同一
で回転数が大きな動力状態に修正する態様の動力出力装
置において、さらに、前記原動機目標動力状態修正手段
により原動機目標動力状態が修正されたとき、前記原動
機から出力される動力を略同一に保持した状態で前記原
動機の運転状態を前記修正された原動機目標動力状態に
移行するよう該原動機と前記電動機と前記動力調整手段
とを制御する移行制御手段を備えるものとすることもで
きる。こうすれば、過渡時でも原動機から出力される動
力を一定に保つことができる。こうした態様の動力出力
装置において、前記原動機は吸気管の開口面積と吸気バ
ルブの開閉タイミングとを変更可変な内燃機関であり、
前記移行制御手段は前記吸気管の開口面積を所定の開口
面積に保った状態で前記吸気バルブの開閉タイミングを
徐々に変更するに伴って前記動力調整手段により調整さ
れる電力を徐々に変更することにより前記原動機の運転
状態を前記修正された原動機目標動力状態に移行する手
段であるものとすることもできる。
【0023】また、原動機目標動力状態を動力が同一で
回転数が大きな動力状態に修正する態様の動力出力装置
において、さらに前記原動機目標動力状態修正手段によ
り原動機目標動力状態が修正されたとき、トルクに対し
て回転数を優先して前記原動機の運転状態を前記修正さ
れた原動機目標動力状態に移行するよう該原動機と前記
電動機と前記動力調整手段とを制御する移行制御手段を
備えるものとすることもできる。こうすれば、トルクに
対して回転数を優先して移行させるから、2段階以上の
移行となり、容易に制御することができる。この態様の
動力出力装置において、前記原動機は吸気管の開口面積
を変更可変な内燃機関であり、前記移行制御手段は、前
記原動機の回転数が前記修正された原動機目標動力状態
に対応する回転数に移行するよう前記動力調整手段によ
り調整される電力を変更する回転数移行手段と、該回転
数移行手段による変更により前記原動機の回転数の移行
が行われたとき、該原動機から前記修正された原動機目
標動力状態に対応するトルクが出力されるよう前記吸気
管の開口面積を調節するトルク移行手段とを備えるもの
としたり、あるいは、この態様の動力出力装置におい
て、前記原動機は吸気バルブの開閉タイミングを変更可
変な内燃機関であり、前記移行制御手段は、前記原動機
の回転数が前記修正された原動機目標動力状態に対応す
る回転数に移行するよう前記動力調整手段により調整さ
れる電力を変更する回転数移行手段と、該回転数移行手
段による変更により前記原動機の回転数の移行が行われ
たとき、該原動機から前記修正された原動機目標動力状
態に対応するトルクが出力されるよう吸気バルブの開閉
タイミングを調節するトルク移行手段とを備えるものと
することもできる。以上で説明した種々の移行制御手段
は、出力軸に動力を入出力する電動機を備える動力出力
装置においても同様に適用可能なものである。
【0024】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を
出力する動力出力装置であって、出力軸を有する原動機
と、前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、
前記原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達する
と共に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりに
より調整する動力調整手段と、前記駆動軸に動力を入出
力する電動機と、前記駆動軸に出力されるトルクおよび
回転数に対応した駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸
目標動力状態設定手段と、前記駆動軸の回転数および前
記原動機の出力する動力と、前記電動機を前記駆動軸か
らの動力の出力過程で生じるエネルギの循環を考慮して
設定された所定トルク以上のトルクで駆動できる前記原
動機の動力状態との関係を記憶した記憶手段と、前記駆
動軸の回転数を入力する回転数入力手段と、前記駆動軸
目標動力状態に基づいて設定される前記原動機が出力す
べき動力と、前記入力された駆動軸の回転数に基づい
て、前記記憶手段に記憶された関係を参照して得られる
前記原動機の動力状態を、前記原動機目標動力状態とし
て設定する原動機目標動力状態設定手段と、前記原動機
を前記原動機目標動力状態で運転すると共に、前記電動
機および動力調整手段を用いて、前記原動機目標動力状
態を前記駆動軸目標動力状態に変換して前記駆動軸から
出力する制御手段とを備えるものとすることもできる。
【0025】かかる動力出力装置は、上記記憶手段に記
憶された関係を参照することにより、前記電動機を所定
トルク以上のトルクで駆動できる動力状態を原動機目標
動力状態として設定する。この結果、電動機を所定トル
ク以上のトルクで駆動することが可能となり、エネルギ
の循環を防止することができる。また、かかる動力出力
装置によれば、エネルギの循環を防止するための制御が
容易に実現できる利点もある。さらに、動力出力装置の
運転状態が変化した場合に、電動機のトルクに比較して
緩やかに変動する駆動軸の回転数を用いて制御を行うた
め、動力出力装置の運転状態を滑らかに制御することも
できる。
【0026】上述した動力出力装置における電動機およ
び記憶手段に代えて、前記出力軸に動力を入出力する電
動機と、前記駆動軸の回転数および前記原動機の出力す
る動力と、前記電動機を前記駆動軸からの動力の出力過
程で生じるエネルギの循環を考慮して設定された所定ト
ルク以下のトルクで駆動できる前記原動機の動力状態と
の関係を記憶した記憶手段と、を備える動力出力装置と
することもできる。
【0027】これらの動力出力装置における前記所定の
トルクは、先に説明した動力出力装置と同様、値0とし
てもよいし、駆動軸の回転数に基づいて定まるトルク
や、原動機の効率に基づいて定まるトルクとしてもよ
い。
【0028】なお、以上で説明した種々の動力出力装置
のうち、蓄電手段を備える動力出力装置においては、前
記蓄電手段を充放電する目標電力を設定する目標電力設
定手段と、前記原動機から出力される動力を動力源とし
て駆動する補機とを備え、前記原動機目標動力状態設定
手段は前記駆動軸目標動力状態と前記目標電力と前記補
機の駆動に必要な動力とに基づいて原動機目標動力状態
を設定する手段であり、前記所定トルクは前記目標電力
と前記補機の駆動に必要な動力とに基づいて定まるトル
クであるものとすることもできる。
【0029】本発明の動力出力装置において、前記動力
調整手段は、前記出力軸に結合される第1の回転軸、前
記駆動軸に結合される第2の回転軸およびこれらと異な
る第3の回転軸を有し、該3つの回転軸のうちいずれか
2つの回転軸の動力状態が決定されると、該決定された
動力状態に基づいて残余の回転軸の動力状態が決定され
る3軸式動力入出力手段と、前記第3の回転軸に動力を
入出力する第2の電動機とを備えるものとすることもで
きる。
【0030】本発明の動力出力装置の制御方法は、出力
軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸および駆動軸
に結合され、前記原動機から出力された動力を前記駆動
軸に伝達すると共に、該伝達される動力の大きさを電力
のやりとりにより調整する動力調整手段と、前記駆動軸
に動力を入出力する電動機とを備え、前記駆動軸に動力
を出力する動力出力装置の制御方法であって、(a)前
記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した駆
動軸目標動力状態を設定し、(b) 前記駆動軸目標動
力状態および原動機の運転効率に基づいて、前記原動機
から出力すべきトルクおよび回転数に対応した原動機目
標動力状態を設定し、(c)前記原動機から出力された
動力を前記駆動軸目標動力状態に変換して前記駆動軸か
ら出力すると共に前記電動機を該動力の出力過程で生じ
るエネルギの循環を考慮して設定された所定トルク以上
のトルクで駆動可能な動力状態で該原動機が運転される
よう該原動機、該電動機および前記動力調整手段を制御
することを要旨とする。
【0031】こうした本発明の動力出力装置の制御方法
によれば、電動機が所定トルク以上のトルクとなるよう
制御されるから、エネルギが電動機,動力調整手段,電
動機の循環路を循環する動作となっても、所定の大きさ
のエネルギ以上のエネルギの循環を抑制することができ
る。例えば、所定トルクを値0とすればエネルギの循環
を防止することができ、所定トルクが負の値の所定値で
あればそれに対応するエネルギ以上の大きさのエネルギ
の循環を防止することができる。この結果、原動機から
機械的に直接駆動軸に出力される損失の小さなエネルギ
が大きくなるから、装置全体のエネルギ効率を向上させ
ることができる。なお、エネルギの循環は駆動軸の回転
数と原動機の回転数とによって生じるものであり、エネ
ルギの循環の許容される範囲は原動機の効率等と関連し
て生じるものであるから、本発明の動力出力装置の制御
方法においても、前記所定トルクは、前記駆動軸の回転
数に基づいて定まるトルクであるものとしたり、前記原
動機の効率に基づいて定まるトルクであるものとしたり
することもできる。
【0032】こうした本発明の動力出力装置の制御方法
において、前記動力出力装置は、更に、前記動力調整手
段により調整される電力の少なくとも一部と、前記電動
機による動力の入出力に必要な電力の少なくとも一部
と、を充放電可能な蓄電手段を備え、前記ステップ
(c)は、(c1)前記原動機を前記原動機目標動力状
態で運転すると共に、該原動機から出力される動力と前
記蓄電手段から充放電される電力とを変換して前記駆動
軸に出力される動力が前記駆動軸目標動力状態となるよ
う該原動機,前記電動機および前記動力調整手段を制御
し、(c2) 該制御により前記電動機が前記所定トル
ク未満のトルクで駆動されるとき、該電動機が該所定ト
ルク以上のトルクで駆動されるよう前記ステップ(c
1)で用いられる前記原動機目標動力状態を修正するス
テップとを備えるものとすることもできる。
【0033】また、本発明の動力出力装置の制御方法
は、出力軸を有する原動機と、前記原動機の出力軸およ
び駆動軸に結合され、前記原動機から出力された動力を
前記駆動軸に伝達すると共に、該伝達される動力の大き
さを電力のやりとりにより調整する動力調整手段と、前
記駆動軸に動力を入出力する電動機と前記駆動軸の回転
数および前記原動機の出力する動力と、前記電動機を所
定トルク以上のトルクで駆動できる前記原動機の動力状
態との関係を記憶した記憶手段と、を備え、前記駆動軸
に動力を出力する動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対
応した駆動軸目標動力状態を設定し、(b)前記駆動軸
目標動力状態に基づいて設定される前記原動機が出力す
べき動力と、入力された駆動軸の回転数に基づいて、前
記記憶手段に記憶された関係を参照して得られる前記原
動機の動力状態を、前記原動機目標動力状態として設定
し、(c)前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転
すると共に、前記電動機および動力調整手段を用いて、
前記原動機目標動力状態を前記駆動軸目標動力状態に変
換して前記駆動軸から出力するものとしてもよい。
【0034】こうした態様の動力出力装置の制御方法に
よれば、原動機目標動力を修正することにより電動機を
所定トルク以上のトルクで駆動することができる。ま
た、上述の動力出力装置の制御方法において、電動機を
所定トルク以下のトルクで駆動するものとすれば、駆動
軸に動力を入出力する電動機に代えて、出力軸に動力を
入出力する電動機を備える動力出力装置について、該制
御方法を適用することもできる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例として
の動力出力装置110の概略構成を示す構成図、図2は
実施例の動力出力装置110の部分拡大図、図3は実施
例の動力出力装置110を組み込んだ車両の概略構成を
示す構成図である。説明の都合上、まず図3を用いて、
車両全体の構成から説明する。
【0036】図3に示すように、この車両は、ガソリン
を燃料として動力を出力するエンジン150を備える。
このエンジン150は、吸気系からスロットルバルブ1
66を介して吸入した空気と燃料噴射弁151から噴射
されたガソリンとの混合気を吸気弁152を介して燃焼
室154に吸入し、この混合気の爆発により押し下げら
れるピストン155の運動をクランクシャフト156の
回転運動に変換する。ここで、スロットルバルブ166
はアクチュエータ168により開閉駆動される。点火プ
ラグ162は、イグナイタ158からディストリビュー
タ160を介して導かれた高電圧によって電気火花を形
成し、混合気はその電気火花によって点火されて爆発燃
焼する。
【0037】このエンジン150は、吸気弁152の開
閉タイミングBTを変更する開閉タイミング変更機構1
53を備える。この開閉タイミング変更機構153は、
吸気弁152を開閉駆動する図示しない吸気カムシャフ
トのクランク角に対する位相を進角または遅角すること
により吸気弁152の開閉タイミングBTを調整する。
なお、吸気カムシャフトの位相の進角および遅角は、吸
気カムシャフトのポジションを検出するカムシャフトポ
ジションセンサ173により検出される信号に基づい
て、後述する電子制御ユニット170によるフィードバ
ック制御によって行なわれる。
【0038】このエンジン150の運転は、電子制御ユ
ニット(以下、EFIECUと呼ぶ)170により制御
されている。EFIECU170には、エンジン150
の運転状態を示す種々のセンサが接続されている。例え
ば、スロットルバルブ166の開度(ポジション)TV
Pを検出するスロットルバルブポジションセンサ16
7、エンジン150の負荷を検出する吸気管負圧センサ
172、吸気カムシャフトのポジションを検出するカム
シャフトポジションセンサ173、エンジン150の水
温を検出する水温センサ174、ディストリビュータ1
60に設けられクランクシャフト156の回転数と回転
角度を検出する回転数センサ176及び回転角度センサ
178などである。なお、EFIECU170には、こ
の他、例えばイグニッションキーの状態STを検出する
スタータスイッチ179なども接続されているが、その
他のセンサ,スイッチなどの図示は省略した。
【0039】エンジン150のクランクシャフト156
は、後述するプラネタリギヤ120やモータMG1,モ
ータMG2に結合されており、更に駆動軸112を回転
軸とする動力伝達ギヤ111を介してディファレンシャ
ルギヤ114に結合されている。したがって、動力出力
装置110から出力された動力は、最終的に左右の駆動
輪116,118に伝達される。モータMG1およびモ
ータMG2は、制御装置180に電気的に接続されてお
り、この制御装置180によって制御される。制御装置
180の構成は後で詳述するが、内部には制御CPUが
備えられており、シフトレバー182に設けられたシフ
トポジションセンサ184やアクセルペダル164に設
けられたアクセルペダルポジションセンサ164a,ブ
レーキペダル165に設けられたブレーキペダルポジシ
ョンセンサ165aなども接続されている。また、制御
装置180は、上述したEFIECU170と通信によ
り、種々の情報をやり取りしている。これらの情報のや
り取りを含む制御については、後述する。
【0040】図1に示すように、実施例の動力出力装置
110は、大きくは、エンジン150、エンジン150
のクランクシャフト156にプラネタリキャリア124
が機械的に結合されたプラネタリギヤ120、プラネタ
リギヤ120のサンギヤ121に結合されたモータMG
1、プラネタリギヤ120のリングギヤ122に結合さ
れたモータMG2およびモータMG1,MG2を駆動制
御する制御装置180から構成されている。
【0041】プラネタリギヤ120およびモータMG
1,MG2の構成について、図2により説明する。プラ
ネタリギヤ120は、クランクシャフト156に軸中心
を貫通された中空のサンギヤ軸125に結合されたサン
ギヤ121と、クランクシャフト156と同軸のリング
ギヤ軸126に結合されたリングギヤ122と、サンギ
ヤ121とリングギヤ122との間に配置されサンギヤ
121の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリ
ピニオンギヤ123と、クランクシャフト156の端部
に結合され各プラネタリピニオンギヤ123の回転軸を
軸支するプラネタリキャリア124とから構成されてい
る。このプラネタリギヤ120では、サンギヤ121,
リングギヤ122およびプラネタリキャリア124にそ
れぞれ結合されたサンギヤ軸125,リングギヤ軸12
6およびクランクシャフト156の3軸が動力の入出力
軸とされ、3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力
が決定されると、残余の1軸に入出力される動力は決定
された2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。な
お、このプラネタリギヤ120の3軸への動力の入出力
についての詳細は後述する。
【0042】リングギヤ122には、動力の取り出し用
の動力取出ギヤ128が結合されている。この動力取出
ギヤ128は、チェーンベルト129により動力伝達ギ
ヤ111に接続されており、動力取出ギヤ128と動力
伝達ギヤ111との間で動力の伝達がなされる。
【0043】モータMG1は、同期電動発電機として構
成され、外周面に複数個の永久磁石135を有するロー
タ132と、回転磁界を形成する三相コイル134が巻
回されたステータ133とを備える。ロータ132は、
プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結合されたサ
ンギヤ軸125に結合されている。ステータ133は、
無方向性電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、ケ
ース119に固定されている。このモータMG1は、永
久磁石135による磁界と三相コイル134によって形
成される磁界との相互作用によりロータ132を回転駆
動する電動機として動作し、永久磁石135による磁界
とロータ132の回転との相互作用により三相コイル1
34の両端に起電力を生じさせる発電機として動作す
る。なお、サンギヤ軸125には、その回転角度θsを
検出するレゾルバ139が設けられている。
【0044】モータMG2も、モータMG1と同様に同
期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁
石145を有するロータ142と、回転磁界を形成する
三相コイル144が巻回されたステータ143とを備え
る。ロータ142は、プラネタリギヤ120のリングギ
ヤ122に結合されたリングギヤ軸126に結合されて
おり、ステータ143はケース119に固定されてい
る。モータMG2のステータ143も無方向性電磁鋼板
の薄板を積層して形成されている。このモータMG2も
モータMG1と同様に、電動機あるいは発電機として動
作する。なお、リングギヤ軸126には、その回転角度
θrを検出するレゾルバ149が設けられている。
【0045】次に、モータMG1,MG2を駆動制御す
る制御装置180について説明する。図1に示すよう
に、制御装置180は、モータMG1を駆動する第1の
駆動回路191、モータMG2を駆動する第2の駆動回
路192、両駆動回路191,192を制御する制御C
PU190、二次電池であるバッテリ194から構成さ
れている。制御CPU190は、1チップマイクロプロ
セッサであり、内部に、ワーク用のRAM190a、処
理プログラムを記憶したROM190b、入出力ポート
(図示せず)およびEFIECU170と通信を行なう
シリアル通信ポート(図示せず)を備える。この制御C
PU190には、レゾルバ139からのサンギヤ軸12
5の回転角度θs、レゾルバ149からのリングギヤ軸
126の回転角度θr、アクセルペダルポジションセン
サ164aからのアクセルペダルポジション(アクセル
ペダルの踏込量)AP、ブレーキペダルポジションセン
サ165aからのブレーキペダルポジション(ブレーキ
ペダルの踏込量)BP、シフトポジションセンサ184
からのシフトポジションSP、第1の駆動回路191に
設けられた2つの電流検出器195,196からの電流
値Iu1,Iv2、第2の駆動回路192に設けられた
2つの電流検出器197,198からの電流値Iu2,
Iv2、バッテリ194の残容量を検出する残容量検出
器199からの残容量BRMなどが、入力ポートを介して
入力されている。なお、残容量検出器199は、バッテ
リ194の電解液の比重またはバッテリ194の全体の
重量を測定して残容量を検出するものや、充電・放電の
電流値と時間を演算して残容量を検出するものや、バッ
テリの端子間を瞬間的にショートさせて電流を流し内部
抵抗を測ることにより残容量を検出するものなどが知ら
れている。
【0046】また、制御CPU190からは、第1の駆
動回路191に設けられたスイッチング素子である6個
のトランジスタTr1ないしTr6を駆動する制御信号
SW1と、第2の駆動回路192に設けられたスイッチ
ング素子としての6個のトランジスタTr11ないしT
r16を駆動する制御信号SW2とが出力されている。
第1の駆動回路191内の6個のトランジスタTr1な
いしTr6は、トランジスタインバータを構成してお
り、それぞれ、一対の電源ラインL1,L2に対してソ
ース側とシンク側となるよう2個ずつペアで配置され、
その接続点に、モータMG1の三相コイル(UVW)3
4の各々が接続されている。電源ラインL1,L2は、
バッテリ194のプラス側とマイナス側に、それぞれ接
続されているから、制御CPU190により対をなすト
ランジスタTr1ないしTr6のオン時間の割合を制御
信号SW1により順次制御し、三相コイル134の各コ
イルに流れる電流を、PWM制御によって擬似的な正弦
波にすると、三相コイル134により、回転磁界が形成
される。
【0047】他方、第2の駆動回路192の6個のトラ
ンジスタTr11ないしTr16も、トランジスタイン
バータを構成しており、それぞれ、第1の駆動回路19
1と同様に配置されていて、対をなすトランジスタの接
続点は、モータMG2の三相コイル144の各々に接続
されている。したがって、制御CPU190により対を
なすトランジスタTr11ないしTr16のオン時間を
制御信号SW2により順次制御し、各コイル144に流
れる電流を、PWM制御によって擬似的な正弦波にする
と、三相コイル144により、回転磁界が形成される。
【0048】以上構成を説明した実施例の動力出力装置
110の動作について説明する。実施例の動力出力装置
110の動作原理、特にトルク変換の原理は以下の通り
である。エンジン150を回転数Ne,トルクTeの運
転ポイントP1で運転し、このエンジン150から出力
されるエネルギPeと同一のエネルギであるが異なる回
転数Nr,トルクTrの運転ポイントP2でリングギヤ
軸126を運転する場合、すなわち、エンジン150か
ら出力される動力をトルク変換してリングギヤ軸126
に作用させる場合について考える。この時のエンジン1
50とリングギヤ軸126の回転数およびトルクの関係
を図4に示す。
【0049】プラネタリギヤ120の3軸(サンギヤ軸
125,リングギヤ軸126およびプラネタリキャリア
124(クランクシャフト156))における回転数や
トルクの関係は、機構学の教えるところによれば、図5
および図6に例示する共線図と呼ばれる図として表わす
ことができ、幾何学的に解くことができる。なお、プラ
ネタリギヤ120における3軸の回転数やトルクの関係
は、上述の共線図を用いなくても各軸のエネルギを計算
することなどにより数式的に解析することもできる。本
実施例では説明の容易のため共線図を用いて説明する。
【0050】図5における縦軸は3軸の回転数軸であ
り、横軸は3軸の座標軸の位置の比を表わす。すなわ
ち、サンギヤ軸125とリングギヤ軸126の座標軸
S,Rを両端にとったとき、プラネタリキャリア124
の座標軸Cは、軸Sと軸Rを1:ρに内分する軸として
定められる。ここで、ρは、リングギヤ122の歯数に
対するサンギヤ121の歯数の比であり、次式(1)で
表わされる。
【0051】
【数1】
【0052】いま、エンジン150が回転数Neで運転
されており、リングギヤ軸126が回転数Nrで運転さ
れている場合を考えているから、エンジン150のクラ
ンクシャフト156が結合されているプラネタリキャリ
ア124の座標軸Cにエンジン150の回転数Neを、
リングギヤ軸126の座標軸Rに回転数Nrをプロット
することができる。この両点を通る直線を描けば、この
直線と座標軸Sとの交点で表わされる回転数としてサン
ギヤ軸125の回転数Nsを求めることができる。以
下、この直線を動作共線と呼ぶ。なお、回転数Nsは、
回転数Neと回転数Nrとを用いて比例計算式(次式
(2))により求めることができる。このようにプラネ
タリギヤ120では、サンギヤ121,リングギヤ12
2およびプラネタリキャリア124のうちいずれか2つ
の回転を決定すると、残余の1つの回転は、決定した2
つの回転に基づいて決定される。
【0053】
【数2】
【0054】次に、描かれた動作共線に、エンジン15
0のトルクTeをプラネタリキャリア124の座標軸C
を作用線として図中下から上に作用させる。このとき動
作共線は、トルクに対してはベクトルとしての力を作用
させたときの剛体として取り扱うことができるから、座
標軸C上に作用させたトルクTeは、平行な2つの異な
る作用線への力の分離の手法により、座標軸S上のトル
クTesと座標軸R上のトルクTerとに分離すること
ができる。このときトルクTesおよびTerの大きさ
は、次式(3)および式(4)によって表わされる。
【0055】
【数3】
【0056】動作共線がこの状態で安定であるために
は、動作共線の力の釣り合いをとればよい。すなわち、
座標軸S上には、トルクTesと大きさが同じで向きが
反対のトルクTm1を作用させ、座標軸R上には、リン
グギヤ軸126に出力するトルクTrと同じ大きさで向
きが反対のトルクとトルクTerとの合力に対し大きさ
が同じで向きが反対のトルクTm2を作用させるのであ
る。このトルクTm1はモータMG1により、トルクT
m2はモータMG2により作用させることができる。こ
のとき、モータMG1では回転の方向と逆向きにトルク
を作用させるから、モータMG1は発電機として動作す
ることになり、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わ
される電気エネルギPm1をサンギヤ軸125から回生
する。モータMG2では、回転の方向とトルクの方向と
が同じであるから、モータMG2は電動機として動作
し、トルクTm2と回転数Nrとの積で表わされる電気
エネルギPm2を動力としてリングギヤ軸126に出力
する。
【0057】ここで、電気エネルギPm1と電気エネル
ギPm2とを等しくすれば、モータMG2で消費する電
力のすべてをモータMG1により回生して賄うことがで
きる。このためには、入力されたエネルギのすべてを出
力するものとすればよいから、エンジン150から出力
されるエネルギPeとリングギヤ軸126に出力される
エネルギPrとを等しくすればよい。すなわち、トルク
Teと回転数Neとの積で表わされるエネルギPeと、
トルクTrと回転数Nrとの積で表わされるエネルギP
rとを等しくするのである。図4に照らせば、運転ポイ
ントP1で運転されているエンジン150から出力され
るトルクTeと回転数Neとで表わされる動力状態を、
トルク変換して、同一のエネルギでトルクTrと回転数
Nrとで表わされる動力状態としてリングギヤ軸126
に出力するのである。前述したように、リングギヤ軸1
26に出力された動力は、動力取出ギヤ128および動
力伝達ギヤ111により駆動軸112に伝達され、ディ
ファレンシャルギヤ114を介して駆動輪116,11
8に伝達される。したがって、リングギヤ軸126に出
力される動力と駆動輪116,118に伝達される動力
とにはリニアな関係が成立するから、駆動輪116,1
18に伝達される動力は、リングギヤ軸126に出力さ
れる動力を制御することにより制御することができる。
【0058】図5の共線図の状態のときのエネルギの流
れを図7に模式的に示す。図中の通路の太さは、エネル
ギの大きさを示す。図示するように、エンジン150
は、燃料(実施例ではガソリン)が持つ化学エネルギを
エンジン150の効率を乗じた機械エネルギ(回転動
力)としてクランクシャフト156に出力する。プラネ
タリギヤ120は、エンジン150から出力された機械
エネルギをプラネタリキャリア124から入力し、この
機械エネルギを上述の動作共線の釣り合いの関係に基づ
いてサンギヤ軸125とリングギヤ軸126とに分配す
る。サンギヤ軸125に取り付けられたモータMG1
は、発電機として機能して、プラネタリギヤ120によ
りサンギヤ軸125に分配された機械エネルギをモータ
MG1の効率を乗じた電気エネルギPm1として回生
し、この電気エネルギPm1をバッテリ194やモータ
MG2に供給する。リングギヤ軸126に取り付けられ
たモータMG2は、プラネタリギヤ120により分配さ
れた機械エネルギを保有するリングギヤ軸126に、モ
ータMG1から供給される電気エネルギPm1をモータ
MG1の効率を乗じた機械エネルギを出力する。したが
って、バッテリ194の充放電は行なわれず、モータM
G1により回生された電気エネルギPm1のすべてがモ
ータMG2に供給されるものとすれば、エンジン150
からクランクシャフト156に出力された機械エネルギ
は、プラネタリギヤ120を介してリングギヤ軸126
に直接出力される経路と、モータMG1とモータMG2
とにより電気エネルギを経由してリングギヤ軸126に
出力される経路との2つの経路を通ってリングギヤ軸1
26に出力されることになる。実施例の動力出力装置1
10では、図5の共線図の状態においては、こうした2
つの経路を通ることにより、エンジン150に出力され
た動力を所望の動力状態にトルク変換してリングギヤ軸
126に出力することができるのである。なお、図7の
模式図では、モータMG1により回生された電気エネル
ギPm1の一部を用いてバッテリ194を充電するもの
としたが、逆に、バッテリ194から電気エネルギを取
り出してモータMG1により回生される電気エネルギP
m1と合わせてモータMG2に供給するものとしてもよ
い。
【0059】図5に示す共線図ではサンギヤ軸125の
回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転数N
eとリングギヤ軸126の回転数Nrとによっては、図
6に示す共線図のように負となる場合もある。このとき
には、モータMG1では、回転の方向とトルクの作用す
る方向とが同じになるから、モータMG1は電動機とし
て動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされ
る電気エネルギPm1を消費する。一方、モータMG2
では、回転の方向とトルクの作用する方向とが逆になる
から、モータMG2は発電機として動作し、トルクTm
2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギPm2
をリングギヤ軸126から回生することになる。この場
合、モータMG1で消費する電気エネルギPm1とモー
タMG2で回生する電気エネルギPm2とを等しくすれ
ば、モータMG1で消費する電気エネルギPm1をモー
タMG2で丁度賄うことができる。
【0060】図6の共線図の状態のときのエネルギの流
れを図8に模式的に示す。図示するように、図8の模式
図では、プラネタリギヤ120は、エンジン150から
出力される機械エネルギをプラネタリキャリア124に
入力すると共にモータMG1により出力される機械エネ
ルギをサンギヤ軸125に入力し、これらの機械エネル
ギの和を動作共線の釣り合いの関係に基づいてリングギ
ヤ軸126に出力する。リングギヤ軸126に取り付け
られたモータMG2は、発電機として機能して、プラネ
タリギヤ120によりリングギヤ軸126に出力された
機械エネルギの一部をモータMG2の効率を乗じた電気
エネルギPm2として回生し、この電気エネルギPm2
をバッテリ194やモータMG1に供給する。したがっ
て、バッテリ194の充放電は行なわれず、モータMG
2により回生された電気エネルギPm2のすべてがモー
タMG1に供給されるものとすれば、エンジン150か
らクランクシャフト156に出力された機械エネルギ
は、モータMG1,プラネタリギヤ120,モータMG
2,モータMG1の順に形成される循環路を経由してリ
ングギヤ軸126に出力されることになる。実施例の動
力出力装置110では、図6の共線図の状態において
は、こうしたエネルギの循環路を形成することにより、
エンジン150に出力された動力を所望の動力状態にト
ルク変換してリングギヤ軸126に出力することができ
るのである。図6の共線図において、リングギヤ軸12
6の回転数Nrが大きくなったときやエンジン150の
トルクTeを大きくしたときなどには、図9の模式図に
示すように、上述の循環するエネルギが大きくなってモ
ータMG1およびモータMG2による損失が大きくな
り、エンジン150から出力される機械エネルギのうち
プラネタリギヤ120を介して直接リングギヤ軸126
に出力される損失の小さなエネルギが小さくなるから、
動力出力装置110のエネルギ効率は低下する。こうし
た大きなエネルギの循環がエネルギ効率からみて好まし
くないのは、上述の「発明が解決しようとする課題」の
欄でも記載した。なお、図8や図9の模式図では、モー
タMG2により回生された電気エネルギPm2の一部を
用いてバッテリ194を充電するものとしたが、逆に、
バッテリ194から電気エネルギを取り出してモータM
G2により回生される電気エネルギPm2と合わせてモ
ータMG1に供給するものとしてもよい。
【0061】次に、上述の大きなエネルギの循環を回避
するトルク制御の実際について図10に例示するトルク
制御ルーチンに基づき説明する。本ルーチンは、動力出
力装置110が起動されたときから所定時間毎(例え
ば、48msec毎)に繰り返し実行されるものであ
る。本ルーチンが実行されると、制御装置180の制御
CPU190は、まず、リングギヤ軸126の回転数N
rを読み込む処理を実行する(ステップS100)。リ
ングギヤ軸126の回転数Nrはレゾルバ149により
検出される回転角度θrから求めることができる。
【0062】続いて、アクセルペダルポジションセンサ
164aによって検出されるアクセルペダルポジション
APを入力する処理を行なう(ステップS102)。ア
クセルペダル164は運転者が出力トルクが足りないと
感じたときに踏み込まれるものであるから、アクセルペ
ダルポジションAPは運転者の欲している出力トルク
(すなわち、駆動輪116,118に出力すべきトル
ク)に対応するものとなる。アクセルペダルポジション
APを読み込むと、読み込んだアクセルペダルポジショ
ンAPとリングギヤ軸126の回転数Nrとに基づいて
リングギヤ軸126に出力すべきトルクの目標値である
トルク指令値Tr*を導出する処理を行なう(ステップ
S104)。また、こうして導出されたトルク指令値T
r*とリングギヤ軸126の回転数Nrとの積からリン
グギヤ軸に出力すべきエネルギPrを算出する(ステッ
プS106)。ここで、駆動輪116,118に出力す
べきトルクを導出せずに、リングギヤ軸126に出力す
べきトルクを導出するのは、リングギヤ軸126は動力
取出ギヤ128,動力伝達ギヤ111およびディファレ
ンシャルギヤ114を介して駆動輪116,118に機
械的に結合されているから、リングギヤ軸126に出力
すべきトルクを導出すれば、駆動輪116,118に出
力すべきトルクを導出する結果となるからである。な
お、実施例では、リングギヤ軸126の回転数Nrとア
クセルペダルポジションAPとトルク指令値Tr*との
関係を示すマップを予めROM190bに記憶してお
き、アクセルペダルポジションAPが読み込まれると、
読み込まれたアクセルペダルポジションAPとリングギ
ヤ軸126の回転数NrとROM190bに記憶したマ
ップとに基づいてトルク指令値Tr*の値を導出するも
のとした。このマップの一例を図11に示す。
【0063】次に、残容量検出器199により検出され
るバッテリ194の残容量BRMを読み込み(ステップS
108)、読み込んだバッテリ194の残容量BRMに基
づいてバッテリ194を充放電する電力(充放電エネル
ギPb)を設定する(ステップS110)。このよう
に、バッテリ194の残容量BRMに基づいて充放電エネ
ルギPbを設定するのは、バッテリ194の充電可能な
電力や放電可能な電力は残容量BRMによって変化し、適
正な充電電圧や放電電圧,充電電流や放電電流も残容量
BRMによって変わるからである。図12にバッテリ19
4の残容量BRMと充電可能な電力との関係の一例を示
す。図中、閾値BLと閾値BHは、実施例におけるバッ
テリ194の適正な領域を示すものである。実施例で
は、バッテリ194の残容量BRMが閾値BLを下回った
ときに残容量BRMに基づいて求められる充電エネルギを
充放電エネルギPbとして設定し、残容量BRMが閾値B
Hを上回ったときに残容量BRMに基づいて求められる放
電エネルギを充放電エネルギPbとして設定する。な
お、実施例では、充放電エネルギPbは、充電エネルギ
のときには正の値として、放電エネルギのときには負の
値として設定するものとし、バッテリ194の各残容量
BRMに対して実験等により最適な充放電エネルギPbを
求め、それを予めROM190bにマップ(図示せず)
として記憶しておき、バッテリ194の残容量BRMに対
応する充放電エネルギPbをROM190bに記憶した
マップから導出するものとした。
【0064】充放電エネルギPbを導出すると、制御C
PU190は、リングギヤ軸126に出力すべきエネル
ギとして算出したエネルギPrと導出した充放電エネル
ギPbとエンジン150から出力される動力により駆動
する図示しない補機(例えば、エアコンのコンプレッサ
や冷却水のポンプなど)の駆動に必要な補機駆動エネル
ギPhとの和として必要エネルギPnを算出し(ステッ
プS112)、この必要エネルギPnをプラネタリギヤ
120やモータMG1,モータMG2などによるトルク
変換の効率ηtで割ってエンジン150から出力すべき
エネルギPeを算出する(ステップS114)。そし
て、求めたエネルギPeに基づいてエンジン150の目
標トルクTe*と目標回転数Ne*とを設定する処理を
行なう(ステップS116)。ここで、エンジン150
から出力するエネルギPeはそのトルクTeと回転数N
eとの積に等しいから、エネルギPeと目標回転数Ne
*と目標トルクTe*との関係はPe=Ne*×Te*
となる。この関係を満足するエンジン150の目標トル
クTe*と目標回転数Ne*との組み合せは無数に存在
する。そこで、実施例では、実験などにより各エネルギ
Peに対してエンジン150ができる限り効率の高い状
態で運転され、かつエネルギPeの変化に対してエンジ
ン150の運転状態が滑らかに変化する運転ポイントを
目標トルクTe*と目標回転数Ne*との組み合わせと
して求め、これを予めROM190bにマップとして記
憶しておき、エネルギPeに対応する目標トルクTe*
と目標回転数Ne*との組み合わせをこのマップから導
出するものとした。このマップについて、更に説明す
る。
【0065】図13は、エンジン150の運転ポイント
とエンジン150の効率との関係を示すグラフである。
図中曲線Bはエンジン150の運転可能な領域の境界を
示す。エンジン150の運転可能な領域には、その特性
に応じて効率が同一の運転ポイントを示す曲線α1ない
しα6のような等効率線を描くことができる。また、エ
ンジン150の運転可能な領域には、トルクTeと回転
数Neとの積で表わされるエネルギが一定の曲線、例え
ば曲線C1−C1ないしC3−C3を描くことができ
る。こうして描いたエネルギ一定の曲線C1−C1ない
しC3−C3に沿って各運転ポイントの効率をエンジン
150の回転数Neを横軸として表わすと図14のグラ
フのようになる。
【0066】図示するように、出力するエネルギPeが
同じでも、どの運転ポイントで運転するかによってエン
ジン150の効率は大きく異なる。例えばエネルギ一定
の曲線C1−C1上では、エンジン150を運転ポイン
トA1(トルクTe1,回転数Ne1)で運転すること
により、その効率を最も高くすることができる。このよ
うな効率が最も高い運転ポイントは、出力エネルギ一定
の曲線C2−C2およびC3−C3ではそれぞれ運転ポ
イントA2およびA3が相当するように、各エネルギ一
定の曲線上に存在する。図13中の曲線(動作曲線)A
は、これらのことに基づき、スロットルバルブ166の
前後で吸入空気に若干の圧力差が生じるようスロットル
バルブ166の開度TVPを調節した状態で、かつ、各
エネルギPeに対してエンジン150の効率ができる限
り高くなる運転ポイントを連続する線で結んだものであ
る。スロットルバルブ166の前後で吸入空気に若干の
圧力差が生じるようスロットルバルブ166を調節する
理由については後述する。実施例では、こうして得られ
る動作曲線A上の各運転ポイント(トルクTe,回転数
Ne)とエネルギPeとの関係をマップとしたものを用
いてエンジン150の目標トルクTe*と目標回転数N
e*とを設定した。
【0067】ここで、動作曲線Aを連続する曲線で結ぶ
のは、エネルギPeの変化に対して不連続な曲線により
エンジン150の運転ポイントを定めると、エネルギP
eが不連続な運転ポイントを跨いで変化するときにエン
ジン150の運転状態が急変することになり、その変化
の程度によっては、目標の運転状態にスムースに移行で
きずノッキングを生じたり停止してしまう場合があるか
らである。したがって、このように動作曲線Aを連続す
る曲線で結ぶと、動作曲線A上の各運転ポイントがエネ
ルギ一定の曲線上で最も効率が高い運転ポイントとなら
ない場合もある。なお、図13中、トルクTeminと
回転数Neminとにより表わされる運転ポイントAm
inは、エンジン150から出力可能な最小エネルギの
運転ポイントである。
【0068】こうしてエンジン150の目標回転数Ne
*と目標トルクTe*とを設定すると、設定した目標ト
ルクTe*とトルク指令値Tr*とを用いて次式(5)
によりモータMG2のトルク指令値Tm2*を計算する
(ステップS118)。ここで、式(5)は、エンジン
150が目標回転数Ne*と目標トルクTe*との運転
ポイントで定常運転されトルク指令値Tr*のトルクが
リングギヤ軸126に定常的に出力されるときにモータ
MG2に設定されるトルク指令値Tm2*を求める式で
あり、図5や図6の共線図における動作共線の釣り合い
から求めることができる。
【0069】
【数4】
【0070】続いて、リングギヤ軸126の回転数Nr
に基づいて閾値Trefを導出し(ステップS12
0)、算出したトルク指令値Tm2*と閾値Trefと
を比較する(ステップS122)。閾値Trefは、図
8や図9の模式図を用いて説明したエネルギの循環の許
容範囲の最大値をモータMG2のトルクの最低値として
表わすものであり、図5や図6の共線図と共に説明した
ように、リングギヤ軸126の回転数Nrに関連つけら
れて設定される。実施例では、例えば、図15に例示す
るリングギヤ軸126の回転数Nrと閾値Trefとの
関係を示すマップを予めROM190bに記憶してお
き、回転数Nrが与えられると、この回転数Nrに対応
する閾値Trefを導出するものとした。なお、リング
ギヤ軸126の回転数Nrが小さいときには大きなエネ
ルギによる循環が生じにくいため、実施例では、リング
ギヤ軸126の回転数Nrが閾値Nref未満のときに
は閾値TrefにモータMG2から出力可能な最小のト
ルクTminを設定するものとした。
【0071】トルク指令値Tm2*が閾値Trefより
小さいときには、許容範囲外の大きなエネルギによる循
環が生じ、動力出力装置110のエネルギ効率の低下が
顕著になると判断し、閾値TrefがモータMG2から
出力されるトルクTm2とみなして次式(6)によりエ
ンジン150の目標トルクTe*を計算して再設定し
(ステップS124)、この再設定された目標トルクT
e*でエネルギPeを除して目標回転数Ne*を再設定
する(ステップS126)。
【0072】 Te*←(Tr*−Tref)×(1+ρ) …(6)
【0073】図16に再設定される前後の目標トルクT
e*や目標回転数Ne*の関係を例示する。再設定され
る前の目標トルクTe*と目標回転数Ne*とがトルク
Te3と回転数Ne3とにより表わされる動作曲線A上
の運転ポイントP3となるよう設定されているときを考
えると、閾値Trefは式(5)で求められるトルク指
令値Tm2*より大きいから、上式(6)により再設定
される目標トルクTe*はトルクTe3より小さなトル
クTe4として算出され、この再設定された目標トルク
Te*でエネルギPeを除して得られる回転数Ne4を
目標回転数Ne*に設定するから、エンジン150の目
標とする運転ポイントは、運転ポイントP3からエネル
ギが同一の曲線上の運転ポイントP4に変更されること
になる。なお、このようにエンジン150の目標トルク
Te*と目標回転数Ne*とを閾値Trefを用いて再
設定することにより、エンジン150が再設定された目
標回転数Ne*と目標トルクTe*とで表わされる運転
ポイントで定常運転されたときには、モータMG2から
は閾値Trefのトルクが出力されることになり、許容
範囲内の大きさのエネルギの循環にすることができる。
【0074】一方、トルク指令値Tm2*が閾値Tre
f以上のときには、エネルギの循環が形成されないか、
形成されても許容範囲内であると判断し、エンジン15
0の目標トルクTe*や目標回転数Ne*の再設定は行
なわない。
【0075】エンジン150の目標トルクTe*や目標
回転数Ne*の再設定を行なった後、あるいはトルク指
令値Tm2*が閾値Tref以上であると判断された後
は、回転数Neに代えて目標回転数Ne*を用いて上式
(2)によりサンギヤ軸125の目標回転数Ns*を設
定する(ステップS128)。そして、設定した各設定
値を用いてモータMG1,モータMG2およびエンジン
150の各制御を行なう(ステップS130ないしS1
34)。実施例では、図示の都合上、モータMG1,モ
ータMG2およびエンジン150の各制御を別々のステ
ップとして記載したが、実際には、これらの制御は同時
に平行的にかつ総合的に行なわれる。例えば、制御CP
U190が割り込み処理を利用して、モータMG1とモ
ータMG2の制御を同時に平行して実行すると共に、通
信により指示を受けたEFIECU170によりエンジ
ン150の制御も同時に行なわせるのである。
【0076】モータMG1の制御(図10のステップS
130)は、図17に例示するモータMG1の制御ルー
チンによりなされる。このモータMG1の制御ルーチン
は、上述したように、制御CPU190により割り込み
処理を利用して所定時間毎(例えば、8msec毎)に
繰り返し実行されるものである。このルーチンが実行さ
れると、制御装置180の制御CPU190は、まず、
サンギヤ軸125の回転数Nsを読み込むと共に(ステ
ップS140)、読み込んだ回転数Nsを用いて次式
(7)によりモータMG1のトルク指令値Tm1*を設
定する処理を行なう(ステップS141)。ここで、サ
ンギヤ軸125の回転数Nsはレゾルバ139により検
出されるサンギヤ軸125の回転角度θsから求めるこ
とができる。式(7)中の右辺第1項は図5および図6
の共線図における動作共線の釣り合いから求められ、右
辺第2項は回転数Nsの目標回転数Ns*からの偏差を
打ち消す比例項であり、右辺第3項は定常偏差をなくす
積分項である。したがって、モータMG1のトルク指令
値Tm1*は、定常状態(回転数Nsの目標回転数Ns
*からの偏差が値0のとき)では、動作共線の釣り合い
から求められる右辺第1項に等しく設定されることにな
る。なお、式(7)中のK1およびK2は、比例定数で
ある。
【0077】
【数5】
【0078】続いて、レゾルバ139により検出される
サンギヤ軸125の回転角度θsを読み込み(ステップ
S142)、読み込んだ回転角度θsからモータMG1
の電気角θ1を求める処理を行なう(ステップS14
3)。実施例では、モータMG1として4極対の同期電
動機を用いているから、θ1=4θsを演算することに
なる。そして、電流検出器195,196により、モー
タMG1の三相コイル134のU相とV相に流れている
電流Iu1,Iv1を検出する処理を行なう(ステップ
S144)。電流はU,V,Wの三相に流れているが、
その総和はゼロなので、二つの相に流れる電流を測定す
れば足りる。次に、こうして得られた三相の電流を用い
て座標変換(三相−二相変換)を行なう(ステップS1
45)。座標変換は、永久磁石型の同期電動機のd軸,
q軸の電流値に変換することであり、次式(8)を演算
することにより行なわれる。ここで座標変換を行なうの
は、永久磁石型の同期電動機においては、d軸およびq
軸の電流が、トルクを制御する上で本質的な量だからで
ある。もとより、三相のまま制御することも可能であ
る。
【0079】
【数6】
【0080】次に、2軸の電流値に変換した後、モータ
MG1におけるトルク指令値Tm1*から求められる各
軸の電流指令値Id1*,Iq1*と実際各軸に流れた
電流Id1,Iq1との偏差を求め、各軸の電圧指令値
Vd1,Vq1を求める処理を行なう(ステップS14
6)。すなわち、まず以下の式(9)の演算を行ない、
次に次式(10)の演算を行なうのである。ここで、K
p1,Kp2,Ki1,Ki2は、各々係数である。こ
れらの係数は、適用するモータの特性に適合するよう調
整される。なお、電圧指令値Vd1,Vq1は、電流指
令値I*との偏差ΔIに比例する部分(式(10)右辺
第1項)と偏差ΔIのi回分の過去の累積分(右辺第2
項)とから求められる。
【0081】
【数7】
【0082】その後、こうして求めた電圧指令値をステ
ップS145で行なった変換の逆変換に相当する座標変
換(二相−三相変換)を行ない(ステップS148)、
実際に三相コイル134に印加する電圧Vu1,Vv
1,Vw1を求める処理を行なう。各電圧は、次式(1
1)により求める。
【0083】
【数8】
【0084】実際の電圧制御は、第1の駆動回路191
のトランジスタTr1ないしTr6のオンオフ時間によ
りなされるから、式(11)によって求めた各電圧指令
値となるよう各トランジスタTr1ないしTr6のオン
時間をPWM制御する(ステップS149)。
【0085】ここで、モータMG1のトルク指令値Tm
1*の符号を図5や図6の共線図におけるトルクTm1
の向きを正とすれば、同じ正の値のトルク指令値Tm1
*が設定されても、図5の共線図の状態のようにトルク
指令値Tm1*の作用する向きとサンギヤ軸125の回
転の向きとが異なるときには回生制御がなされ、図6の
共線図の状態のように同じ向きのときには力行制御がな
される。しかし、モータMG1の力行制御と回生制御
は、トルク指令値Tm1*が正であれば、ロータ132
の外周面に取り付けられた永久磁石135と三相コイル
134に流れる電流により生じる回転磁界とにより正の
トルクがサンギヤ軸125に作用するよう第1の駆動回
路191のトランジスタTr1ないしTr6を制御する
ものであるから、同一のスイッチング制御となる。すな
わち、トルク指令値Tm1*の符号が同じであれば、モ
ータMG1の制御が回生制御であっても力行制御であっ
ても同じスイッチング制御となる。したがって、図17
のモータMG1の制御ルーチンで回生制御と力行制御の
いずれも行なうことができる。また、トルク指令値Tm
1*が負のときには、ステップS142で読み込むサン
ギヤ軸125の回転角度θsの変化の方向が逆になるだ
けであるから、このときの制御も図17のモータMG1
の制御ルーチンにより行なうことができる。
【0086】次に、モータMG2の制御処理(図10の
ステップS132)について図18に例示するモータM
G2の制御ルーチンに基づき説明する。このモータMG
2の制御ルーチンも制御CPU190により割り込み処
理を利用して所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰
り返し実行されるものである。モータMG2の制御処理
は、モータMG2のトルク指令値Tm2*を次式(1
2)により設定した後、モータMG1の制御ルーチンの
ステップS142ないしS149の処理と同様の処理
(ステップS152ないしS159)を行なうことによ
り行なわれる。すなわち、レゾルバ149により検出さ
れるリングギヤ軸126の回転角度θrを読み込み(ス
テップS152)、読み込んだ回転角度θrからモータ
MG2の電気角θ2を計算(θ2=4θr)により求め
(ステップS153)、続いてモータMG2の各相電流
を電流検出器197,198を用いて検出し(ステップ
S154)、その後、座標変換(ステップS155)お
よび電圧指令値Vd2,Vq2の演算を行ない(ステッ
プS156)、更に電圧指令値の逆座標変換(ステップ
S158)を行なって、モータMG2の第2の駆動回路
192のトランジスタTr11ないしTr16のオンオ
フ制御時間を求め、PWM制御を行なう(ステップS1
59)。
【0087】
【数9】
【0088】ここで、モータMG2もトルク指令値Tm
2*の向きとリングギヤ軸126の回転の向きとにより
力行制御されたり回生制御されたりするが、モータMG
1と同様に、力行制御も回生制御も共に図18のモータ
MG2の制御処理で行なうことができる。なお、実施例
では、モータMG2のトルク指令値Tm2*の符号は、
図5の共線図の状態のときのトルクTm2の向きを正と
した。
【0089】次に、エンジン150の制御(図10のス
テップS134)について説明する。エンジン150
は、その目標とする運転ポイントが目標トルクTe*と
目標回転数Ne*とによって設定されると、設定された
運転ポイントで定常運転状態となるようエンジン150
のトルクTeと回転数Neとが制御される。具体的に
は、制御CPU190から通信によりEFIECU17
0に指示を送信し、燃料噴射弁151からの燃料噴射量
やスロットルバルブ166の開度TVPを増減して、エ
ンジン150の出力トルクが目標トルクTe*に、回転
数が目標回転数Ne*になるように徐々に調整するので
ある。なお、上述した式(7)に示すように、エンジン
150の回転数NeはモータMG1によるサンギヤ軸1
25の回転数Nsの制御によって行なわれるから、エン
ジン150の制御は、エンジン150から目標トルクT
e*が出力されるようスロットルバルブ166の開閉制
御と吸入空気量に対する空燃比制御と開閉タイミング変
更機構153による吸気弁152の開閉タイミングBT
の制御となる。
【0090】エンジン150の目標回転数Ne*と目標
トルクTe*とが図13や図16の動作曲線A上の運転
ポイントとして設定されたときには、エンジン150の
制御は、実施例では、予めROM190bに記憶された
マップにより、エンジン150から出力すべきエネルギ
Pe(目標回転数Ne*,目標トルクTe*)に対応す
るスロットルバルブ166の開度TVPと吸気弁152
の開閉タイミングBTとを導出し、その開度TVPとタ
イミングBTとなるようアクチュエータ168と開閉タ
イミング変更機構153とを駆動する制御となる。な
お、予めROM190bに記憶されたマップは、エンジ
ン150から出力すべきエネルギPeと、このエネルギ
Peを出力する動作曲線A上の運転ポイントでエンジン
150が効率よく運転されるスロットルバルブ166の
開度TVPと吸気弁152の開閉タイミングBTとの関
係を予め実験により求めて得たものである。
【0091】エンジン150の目標回転数Ne*や目標
トルクTe*が図10のトルク制御ルーチンのステップ
S124およびS126で再設定されたときには、エン
ジン150の制御は、前述のマップを用いてエネルギP
eに対応するスロットルバルブ166の開度TVPとな
るようアクチュエータ168を駆動すると共に、図19
に例示する開閉タイミング制御ルーチンにより吸気弁1
52の開閉タイミングBTの制御が行なわれる。この開
閉タイミング制御ルーチンは、EFIECU170によ
り割込処理を利用して所定時間毎(例えば、20mse
c毎)に繰り返し実行される。本ルーチンが実行される
と、EFIECU170は、まず、回転数センサ176
により検出されるエンジン150の回転数Neを読み込
み(ステップS160)、読み込んだ回転数Neとエン
ジン150から出力すべきエネルギPeとに基づいて開
閉タイミングBTの目標値(目標開閉タイミング)BT
*を設定する(ステップS162)。実施例では、エン
ジン150を設定したスロットルバルブ166の開度T
VPで回転数Neとなるよう運転したときにエネルギP
eが出力される開閉タイミングBTを予め実験などによ
り求めてマップとしてEFIECU170が備える図示
しない内部ROMに記憶しておき、エネルギPeと回転
数Nrとが与えられると、このエネルギPeと回転数N
rに対応する開閉タイミングBTを目標開閉タイミング
BT*として導出するものとした。
【0092】開閉タイミングBTとエンジン150の動
作曲線との関係の一例を図20に示す。図中、曲線Aは
開閉タイミングBTが進角側にも遅角側にも変更されて
いない標準位置にある前述した動作曲線Aであり、曲線
Dは開閉タイミングBTを80゜まで進角させたときの
エンジン150の動作曲線であり、曲線Eは開閉タイミ
ングBTを120゜まで遅角させたときのエンジン15
0の動作曲線である。上記角度は、吸気弁152が閉じ
た時点でのクランクシャフトの回転角をピストン155
が最下点に来る、いわゆる下死点を基準として表したも
のである。図示するように、エンジン150から一定の
エネルギPeを出力するのであれば、開閉タイミングB
Tを遅角させることによりエンジン150の運転ポイン
トを高回転で低トルク側に移行させることができる。す
なわち、エンジン150の回転数Neに応じて開閉タイ
ミングBTを遅角させることによって、エンジン150
の運転ポイントをエネルギPeが一定の曲線上で高回転
で低トルク側に移行させることができる。実施例では、
こうした関係を用いて、エンジン150がエネルギPe
が一定の曲線上で高回転で低トルク側に移行するよう目
標開閉タイミングBT*を設定するのである。
【0093】図13と図14とを用いて動作曲線Aを説
明する際に、スロットルバルブ166の前後で吸入空気
に若干の圧力差が生じるようスロットルバルブ166の
開度TVPを調節する理由についてここで説明する。図
21は、吸入空気量Gaとスロットルバルブ166の開
度TVPとの関係を例示する説明図である。図中曲線F
はエンジン150が1000rpmで回転しているとき
の吸入空気量Gaとスロットルバルブ166の開度TV
Pとの関係であり、曲線Gはエンジン150が2000
rpmで回転しているときの吸入空気量Gaとスロット
ルバルブ166の開度TVPとの関係である。スロット
ルバルブ166の開度TVPを大きくしても吸入空気量
Gaが増加しなくなるポイントF1,G1は、各回転数
Neにおいてスロットルバルブ166の前後の圧力差が
なくなるポイントである。このようにスロットルバルブ
166の前後で圧力差がなくなるポイントはエンジン1
50の回転数Neにより定まる。
【0094】いま、スロットルバルブ166の前後で圧
力差が生じないスロットルバルブ166の開度TVPお
よび1000rpmの回転数のポイントF3でエンジン
150を運転している場合を考える。このスロットルバ
ルブ166の開度TVPを保持した状態でモータMG1
の回転数制御により2000rpmの回転数でエンジン
150が運転されるようにすると、エンジン150は、
吸入空気量GaがポイントF3に比して増加するポイン
トG3で運転されることになる。エンジン150は吸入
空気量Gaにストイキな燃料が噴射されることにより運
転されるから、エンジン150から出力するエネルギP
eは吸入空気量Gaとリニアな関係となる。したがっ
て、ポイントF3からポイントG3への変更は、エンジ
ン150の回転数Neが大きくなるに伴ってエンジン1
50から出力されるエネルギPeも増加する変更とな
る。
【0095】一方、スロットルバルブ166の前後で若
干の圧力差が生じるスロットルバルブ166の開度TV
Pおよび1000rpmの回転数のポイントF2から、
このスロットルバルブ166の開度TVPを保持した状
態でモータMG1の回転数制御により2000rpmの
回転数でエンジン150が運転されるようにすると、運
転ポイントは、吸入空気量GaがポイントF2に比して
ほとんど増加しないポイントG2に変更される。上述し
たようにエンジン150は吸入空気量Gaはエンジン1
50から出力されるエネルギPeとリニアな関係がある
から、ポイントF2からポイントG2への変更は、エン
ジン150の回転数Neが大きくなってもエンジン15
0から出力されるエネルギPeはほとんど増加しない変
更となる。
【0096】実施例では、これらのことに基づいて、エ
ンジン150の回転数Neを増加させてもエンジン15
0から出力されるエネルギPeがほとんど変更しないよ
う、動作曲線Aをスロットルバルブ166の前後で吸入
空気に若干の圧力差が生じるようスロットルバルブ16
6の開度TVPを調節した際の曲線として求めたのであ
る。なお、エンジン150の回転数Neを増加してもエ
ンジン150から出力されるエネルギPeはほとんど増
加しないから、図19による開閉タイミング制御ルーチ
ンによる吸気弁152の開閉タイミングBTの制御は、
エンジン150の回転数Neの増加に伴うエネルギPe
の若干の変更を調節するための制御として位置づけられ
る。
【0097】図19の開閉タイミング制御ルーチンに戻
って、目標開閉タイミングBT*を導出すると、次に、
吸気弁152の現在の開閉タイミングBTを読み込み
(ステップS164)、導出した目標開閉タイミングB
T*から開閉タイミングBTを減じて偏差ΔBTを算出
する(ステップS166)。ここで、吸気弁152の現
在の開閉タイミングBTは、カムシャフトポジションセ
ンサ173により検出されるカムシャフトポジションか
ら求めることができる。そして、開閉タイミング変更機
構153により吸気弁152の開閉タイミングBTを偏
差ΔBTだけ変更して(ステップS168)、本ルーチ
ンを終了する。
【0098】以上説明した実施例の動力出力装置110
によれば、エネルギの循環の許容範囲内となるよう運転
することができる。この結果、エンジン150からプラ
ネタリギヤ120を介して直接リングギヤ軸126に出
力される損失の小さなエネルギを大きくするから、装置
全体のエネルギ効率を向上させることができる。しか
も、エネルギの循環の許容範囲をリングギヤ軸126の
回転数Nrに基づいて設定するから、より適切な許容範
囲を設定することができる。
【0099】実施例の動力出力装置110では、エネル
ギの循環の許容範囲を設定する閾値Trefをリングギ
ヤ軸126の回転数Nrに基づいて設定したが、エネル
ギの循環の許容範囲は、動力出力装置110全体の効率
により定まるものであるから、動力出力装置110全体
の効率を左右する因子、例えば、エンジン150の運転
ポイントの効率に基づいて閾値Trefを設定するもの
としてもよい。また、このエネルギの循環の許容範囲
は、エンジン150から出力すべきエネルギPeによっ
ても変化するから、バッテリ194を充放電する充放電
エネルギPbや補機の駆動に必要な補機駆動エネルギP
hに基づいて閾値Trefを設定するものとしてもよ
い。さらに、これらの各因子を重畳的に用いて閾値Tr
efを設定するものとしてもよい。
【0100】また、実施例の動力出力装置110では、
エネルギの循環の許容範囲を設定する閾値Trefをリ
ングギヤ軸126の回転数Nrに基づいて設定したが、
リングギヤ軸126の回転数Nrに拘わらず一定の値に
設定するものとしてもよい。例えば、閾値Trefに値
0を設定するものとしてもよい。こうすれば、モータM
G2は常に電動機として動作するから、電動機として動
作するが発電機としては動作しないモータをモータMG
2に用いることができる。
【0101】実施例の動力出力装置110では、トルク
指令値Tr*と目標トルクTe*とが設定されたときに
この設定値を用いて動作共線の釣り合いの関係からモー
タMG2のトルク指令値Tm2*を算出し、これをリン
グギヤ軸126の回転数Nrに基づいて定まる閾値Tr
efと比較してエネルギの循環の許容範囲内にあるかを
判断したが、実際にリングギヤ軸126に出力されてい
るトルクTrとエンジン150から出力されているトル
クTeとモータMG2から出力されているトルクTm1
とを検出して循環するエネルギの大きさを求め、これが
許容範囲内にあるか否かを判断するものとしてもよい。
この場合で、許容範囲内にないと判断されたときには、
許容範囲内になるまで比較的小さな回転数の変化量ΔN
ずつエンジン150の回転数Neを大きくするよう制御
するものとしてもよい。こうすれば、エンジン150の
運転状態が変化しているときなどの過渡時でもエネルギ
の循環を許容範囲内とすることができる。
【0102】実施例の動力出力装置110では、バッテ
リ194の充放電や補機の駆動を考慮してエンジン15
0から出力すべきエネルギPeを求めたが、バッテリ1
94の充放電を行なわない構成やエンジン150から出
力される動力を動力源として駆動する補機を備えない構
成では、リングギヤ軸126に出力すべきエネルギPr
を効率ηtで割った値をエンジン150から出力すべき
エネルギPeとしてもよい。
【0103】実施例の動力出力装置110では、エンジ
ン150の目標回転数Ne*や目標トルクTe*が再設
定されたときには、スロットルバルブ166の開度TV
Pを保持した状態でエンジン150の回転数Neの増加
に伴って吸気弁152の開閉タイミングBTを遅角する
ことにより、エネルギPeが一定の曲線上でエンジン1
50の運転ポイントを変更したが、まずエンジン150
の回転数Neを目標回転数Ne*となるよう変更し、そ
の後エンジン150から出力されるエネルギがエネルギ
Peとなるよう吸気弁152の開閉タイミングBTを調
節するものとしてもよく、あるいは、エンジン150の
回転数Neを目標回転数Ne*となるよう変更した後に
エンジン150から出力されるエネルギがエネルギPe
となるようスロットルバルブ166の開度TVPを調節
するものとしてもよい。なお、こうした変形例では、吸
気弁152の開閉タイミングBTやスロットルバルブ1
66の開度TVPをモータMG1のトルク指令値Tm1
*などによって推定されるエンジン150のトルクTe
によってフィードバック制御するのが好ましい。
【0104】実施例の動力出力装置110では、リング
ギヤ軸126に出力された動力をリングギヤ122に結
合された動力取出ギヤ128を介してモータMG1とモ
ータMG2との間から取り出したが、図22の変形例で
ある動力出力装置110Aに示すように、リングギヤ軸
126を延出してケース119から取り出すものとして
もよい。また、図23の変形例である動力出力装置11
0Bに示すように、エンジン150側からプラネタリギ
ヤ120,モータMG2,モータMG1の順になるよう
配置してもよい。この場合、サンギヤ軸125Bは中空
でなくてもよく、リングギヤ軸126Bは中空軸とする
必要がある。こうすれば、リングギヤ軸126Bに出力
された動力をエンジン150とモータMG2との間から
取り出すことができる。
【0105】次に本発明の第2の実施例である動力出力
装置110Cについて説明する。図24は、第2実施例
の動力出力装置110Cの構成の一部を例示する部分構
成図である。図24に示すように、第2実施例の動力出
力装置110Cは、モータMG2のロータ142がクラ
ンクシャフト156に取り付けられている点およびモー
タMG1とモータMG2の配置が異なる点等を除いて第
1実施例の動力出力装置110と同一の構成をしてい
る。このため、図24では第1実施例の動力出力装置1
10の構成を例示する図に相当する図1のうち同一の部
分である制御装置180等を省略した。また、第2実施
例の動力出力装置110Cを車両に搭載したときには図
3に例示する構成と同一の構成となる。したがって、第
2実施例の動力出力装置110Cの構成のうち第1実施
例の動力出力装置110と同一の構成については同一の
符号を付し、その説明は省略する。なお、明示しない限
り第1実施例の説明の際に用いた符号はそのまま同じ意
味で用いる。
【0106】第2実施例の動力出力装置110Cでは、
図24に示すように、エンジン150側からモータMG
2,プラネタリギヤ120,モータMG1の順に配置さ
れている。プラネタリギヤ120のサンギヤ121に結
合されたサンギヤ軸125CにはモータMG1のロータ
132が取り付けられており、プラネタリキャリア12
4には、第1実施例の動力出力装置110と同様に、エ
ンジン150のクランクシャフト156が取り付けられ
ている。このクランクシャフト156には、モータMG
2のロータ142と、クランクシャフト156の回転角
度θeを検出するレゾルバ157とが取り付けられてい
る。プラネタリギヤ120のリングギヤ122に取り付
けられたリングギヤ軸126Cは、その回転角度θrを
検出するレゾルバ149が取り付けられているだけで、
動力取出ギヤ128に結合されている。
【0107】第2実施例の動力出力装置110Cは、そ
の配置が第1実施例の動力出力装置110と異なるが、
第1実施例の動力出力装置110と同様に、モータMG
1の三相コイル134は制御装置180の第1の駆動回
路191に、モータMG2の三相コイル144は第2の
駆動回路192に接続されている。また、図示しない
が、レゾルバ157も信号ラインにより制御装置180
の制御CPU190の入力ポートに接続されている。
【0108】第2実施例の動力出力装置110Cは次の
ように動作する。エンジン150を回転数Ne,トルク
Teの運転ポイントP1で運転し、エンジン150から
出力されるエネルギPe(Pe=Ne×Te)と同じエ
ネルギPr(Pr=Nr×Tr)となる回転数Nr,ト
ルクTrの運転ポイントP2でリングギヤ軸126Cを
運転する場合、すなわち、エンジン150から出力され
る動力をトルク変換してリングギヤ軸126Cに作用さ
せる場合について考える。この状態の共線図を図25お
よび図26に例示する。
【0109】図25の共線図における動作共線の釣り合
いを考えると、次式(13)ないし式(16)が導き出
される。即ち、式(13)はエンジン150から入力さ
れるエネルギPeとリングギヤ軸126Cに出力される
エネルギPrの釣り合いから導き出され、式(14)は
クランクシャフト156を介してプラネタリキャリア1
24に入力されるエネルギの総和として導き出される。
また、式(15)および式(16)はプラネタリキャリ
ア124に作用するトルクを座標軸Sおよび座標軸Rを
作用線とするトルクに分離することにより導出される。
【0110】
【数10】
【0111】この動作共線がこの状態で安定であるため
には、動作共線の力の釣り合いがとれればよいから、ト
ルクTm1とトルクTcsとを等しく、かつ、トルクT
rとトルクTcrとを等しくすればよい。以上の関係か
らトルクTm1およびトルクTm2を求めれば、次式
(17)および式(18)のように表わされる。
【0112】
【数11】
【0113】したがって、モータMG1により式(1
7)で求められるトルクTm1をサンギヤ軸125Cに
作用させ、モータMG2により式(18)で求められる
トルクTm2をクランクシャフト156に作用させれ
ば、エンジン150から出力されるトルクTeおよび回
転数Neで表わされる動力状態をトルクTrおよび回転
数Nrで表わされる動力状態にトルク変換してリングギ
ヤ軸126Cに出力することができる。なお、この共線
図の状態では、モータMG1は、ロータ132の回転の
方向とトルクの作用方向が逆になるから、発電機として
動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表わされる
電気エネルギPm1を回生する。一方、モータMG2
は、ロータ142の回転の方向とトルクの作用方向が同
じになるから、電動機として動作し、トルクTm2と回
転数Nrとの積で表わされる電気エネルギPm2を消費
する。
【0114】図25の共線図の状態のときのエネルギの
流れを図27に模式的に示す。図示するように、図27
の模式図では、プラネタリギヤ120は、エンジン15
0から出力される機械エネルギとモータMG2により出
力される機械エネルギとの和のエネルギをプラネタリキ
ャリア124に入力し、この機械エネルギを動作共線の
釣り合いの関係に基づいてサンギヤ軸125Cとリング
ギヤ軸126Cとに分配する。サンギヤ軸125Cに取
り付けられたモータMG1は、発電機として機能して、
プラネタリギヤ120によりサンギヤ軸125Cに出力
された機械エネルギをモータMG1の効率を乗じた電気
エネルギPm1として回生し、この電気エネルギPm1
をバッテリ194やモータMG2に供給する。したがっ
て、バッテリ194の充放電は行なわれず、モータMG
1により回生された電気エネルギPm1のすべてがモー
タMG2に供給されるものとすれば、エンジン150お
よびモータMG2からクランクシャフト156に出力さ
れた機械エネルギの一部は、モータMG2,プラネタリ
ギヤ120,モータMG1,モータMG2の順に形成さ
れる循環路を経由してリングギヤ軸126cに出力され
ることになる。実施例の動力出力装置110では、図2
5の共線図の状態においては、モータMG2からクラン
クシャフト156に機械エネルギを出力することで上述
の循環路を形成することにより、エンジン150に出力
された動力を所望の動力状態にトルク変換してリングギ
ヤ軸126Cに出力することができるのである。このよ
うなエネルギの循環が動力出力装置のエネルギ効率から
みて好ましくないことは、既に述べた。なお、図27の
模式図では、モータMG1により回生された電気エネル
ギPm1の一部を用いてバッテリ194を充電するもの
としたが、逆に、バッテリ194から電気エネルギを取
り出してモータMG1により回生される電気エネルギP
m1と合わせてモータMG2に供給するものとしてもよ
い。
【0115】図25に示す共線図ではサンギヤ軸125
Cの回転数Nsは正であったが、エンジン150の回転
数Neとリングギヤ軸126Cの回転数Nrとによって
は、図26に示す共線図のように負となる場合もある。
このときには、モータMG1は、ロータ132の回転の
方向とトルクの作用する方向とが同じになるから、電動
機として動作し、トルクTm1と回転数Nsとの積で表
わされる電気エネルギPm1を消費する。一方、モータ
MG2は、ロータ142の回転の方向とトルクの作用す
る方向とが逆になるから、発電機として動作し、トルク
Tm2と回転数Nrとの積で表わされる電気エネルギP
m2をリングギヤ軸126Cから回生することになる。
【0116】図26の共線図の状態のときのエネルギの
流れを図28に模式的に示す。図示するように、図28
の模式図では、エンジン150からクランクシャフト1
56に出力された機械エネルギの一部は発電機として機
能するモータMG2により電気エネルギPm2に変換さ
れて、電動機として機能するモータMG1やバッテリ1
94に供給される。プラネタリギヤ120は、エンジン
150から出力される機械エネルギの残余をプラネタリ
キャリア124から入力すると共にモータMG1により
出力される機械エネルギをサンギヤ軸125Cから入力
し、これらの機械エネルギの和を動作共線の釣り合いの
関係に基づいてリングギヤ軸126Cに出力する。した
がって、バッテリ194の充放電は行なわれず、モータ
MG2により回生された電気エネルギPm2のすべてが
モータMG1に供給されるものとすれば、エンジン15
0からクランクシャフト156に出力された機械エネル
ギは、モータMG2,モータMG1により電気エネルギ
の形態を介してリングギヤ軸126Cに出力される経路
と、プラネタリギヤ120を介して直接リングギヤ軸1
26Cに出力される経路とを通ってリングギヤ軸126
に出力されることになる。このときは、図27に示した
ようなエネルギの循環路は形成されない。図28の模式
図では、モータMG2により回生された電気エネルギP
m2の一部を用いてバッテリ194を充電するものとし
たが、逆に、バッテリ194から電気エネルギを取り出
してモータMG2により回生される電気エネルギPm2
と合わせてモータMG1に供給するものとしてもよい。
【0117】以上説明したように第2実施例の動力出力
装置110Cは、モータMG2の取り付け位置が異なる
だけで第1実施例の動力出力装置110と同様にエンジ
ン150から出力される動力をトルク変換してリングギ
ヤ軸126Cに出力することができる。但し、第1実施
例ではモータMG2で電気エネルギを回生しているとき
にエネルギの循環路が形成されるのに対し(図8)、第
2実施例ではモータMG2が力行しているときにエネル
ギの循環路を形成する点で相違する。したがって、第2
実施例の動力出力装置110Cにおけるトルク制御ルー
チンは、基本的には第1実施例の動力出力装置110が
実行する図10のトルク制御ルーチンと同様であるが、
ステップS122における判断が次の通り相違する。
【0118】第2実施例においては、エネルギの循環を
防止するためにはモータMG2で電気エネルギを回生す
る必要があるから、エンジン目標トルクTe*の修正を
するか否かの判定(ステップS122)は、「Tm2*
>Tref?」で判断する必要がある。Tm2*はモー
タMG2のトルク指令値であり(ステップS118)、
Trefは所定の閾値である。そして、Tm2*がTr
efよりも大きいとき、即ちモータMG2が力行してい
るときに、エンジン目標トルクTe*の修正をするので
ある(ステップS124)。なお、所定の閾値Tref
は、第1実施例においては図15のグラフで定められる
負のトルクを用いており、本実施例でも同様にエネルギ
の循環量が許容範囲となるようなトルクの閾値を実験的
に設定することになる。かかるトルクは、概ね図15の
グラフを正負反転させたグラフに近いものとなってい
る。
【0119】また、モータMG1の取り付け位置が異な
ることに伴って、ステップS118のトルク指令値Tm
2*の計算はトルクTrとトルクTeとに代えてトルク
指令値Tr*と目標トルクTe*とを用いて上述の式
(18)により求める必要があり、ステップS120の
閾値Trefの導出に用いるマップ(図15)も変更す
る必要がある。また、ステップS124のエンジン15
0の目標トルクTe*の再設定は、次式(19)により
算出する必要がある。
【0120】 Te*←(1+ρ)×Tr*−Tref …(19)
【0121】また、第2実施例の動力出力装置110C
では、モータMG2がクランクシャフト156に取り付
けられているから、図17のモータMG1の制御ルーチ
ンのステップS140およびS141の処理に代えて図
29に例示するモータMG1の制御ルーチンのステップ
S241に示すように上式(17)のトルクTrに代え
てトルク指令値Tr*を用いて算出した値をモータMG
1のトルク指令値Tm1*に設定する処理を行ない、図
18のモータMG2の制御ルーチンのステップS150
の処理に代えて図30に例示するモータMG1の制御ル
ーチンのステップS250およびS251に示すよう
に、エンジン150の回転数Neを読み込み、読み込ん
だ回転数Neを用いて次式(20)により算出される値
をモータMG1のトルク指令値Tm2*に設定する処理
を行なう必要がある。なお、式(20)中の右辺第1項
は図25および図26の共線図における動作共線の釣り
合いから求められ、右辺第2項は回転数Neの目標回転
数Ne*からの偏差を打ち消す比例項であり、右辺第3
項は定常偏差をなくす積分項である。したがって、モー
タMG2のトルク指令値Tm2*は、定常状態(回転数
Neの目標回転数Ne*からの偏差が値0のとき)で
は、動作共線の釣り合いから求められる右辺第1項に等
しく設定されることになる。なお、式(20)中のK3
およびK4は、比例定数である。
【0122】
【数12】
【0123】以上説明したように、第2実施例の動力出
力装置110Cでは、電気エネルギの形態を介してリン
グギヤ軸126Cに出力するエネルギを許容範囲内とな
るよう運転することができる。この結果、エンジン15
0からプラネタリギヤ120を介して直接リングギヤ軸
126Cに出力する損失の小さなエネルギを大きくする
ことができるから、装置全体のエネルギ効率を向上させ
ることができる。しかも、電気エネルギの形態を介して
リングギヤ軸126Cに出力するエネルギの許容範囲を
リングギヤ軸126Cの回転数Nrに基づいて設定する
から、より適切な許容範囲を設定することができる。
【0124】第2実施例の動力出力装置110Cでは、
電気エネルギの形態を介してリングギヤ軸126Cに出
力するエネルギの許容範囲を設定する閾値Trefをリ
ングギヤ軸126の回転数Nrに基づいて設定したが、
電気エネルギの形態を介してリングギヤ軸126Cに出
力するエネルギの許容範囲は、動力出力装置110C全
体の効率により定まるものであるから、動力出力装置1
10C全体の効率を左右する因子、例えば、エンジン1
50の運転ポイントの効率に基づいて閾値Trefを設
定するものとしてもよい。また、この電気エネルギの形
態を介してリングギヤ軸126Cに出力するエネルギの
許容範囲は、エンジン150から出力すべきエネルギP
eによっても変化するから、バッテリ194を充放電す
る充放電エネルギPbや補機の駆動に必要な補機駆動エ
ネルギPhに基づいて閾値Trefを設定するものとし
てもよい。さらに、これらの各因子を重畳的に用いて閾
値Trefを設定するものとしてもよい。
【0125】また、第2実施例の動力出力装置110C
では、電気エネルギの形態を介してリングギヤ軸126
Cに出力するエネルギの許容範囲を設定する閾値Tre
fをリングギヤ軸126Cの回転数Nrに基づいて設定
したが、リングギヤ軸126Cの回転数Nrに拘わらず
一定の値に設定するものとしてもよい。例えば、閾値T
refに値0を設定するものとしてもよい。こうすれ
ば、モータMG2は常に電動機として動作するから、電
動機として動作するが発電機としては動作しないモータ
をモータMG2に用いることができる。
【0126】第2実施例の動力出力装置110Cでは、
バッテリ194の充放電や補機の駆動を考慮してエンジ
ン150から出力すべきエネルギPeを求めたが、バッ
テリ194の充放電を行なわない構成やエンジン150
から出力される動力を動力源として駆動する補機を備え
ない構成では、リングギヤ軸126Cに出力すべきエネ
ルギPrを効率ηtで割った値をエンジン150から出
力すべきエネルギPeとしてもよい。
【0127】第2実施例の動力出力装置110Cでは、
第1実施例の動力出力装置110と同様に、エンジン1
50の目標回転数Ne*や目標トルクTe*が再設定さ
れたときには、スロットルバルブ166の開度TVPを
保持した状態でエンジン150の回転数Neの増加に伴
って吸気弁152の開閉タイミングBTを遅角すること
により、エネルギPeが一定の曲線上でエンジン150
の運転ポイントを変更したが、まずエンジン150の回
転数Neを目標回転数Ne*となるよう変更し、その後
エンジン150から出力されるエネルギがエネルギPe
となるよう吸気弁152の開閉タイミングBTを調節す
るものとしてもよく、あるいは、エンジン150の回転
数Neを目標回転数Ne*となるよう変更した後にエン
ジン150から出力されるエネルギがエネルギPeとな
るようスロットルバルブ166の開度TVPを調節する
ものとしてもよい。なお、こうした変形例では、吸気弁
152の開閉タイミングBTやスロットルバルブ166
の開度TVPをモータMG1のトルク指令値Tm1*な
どによって推定されるエンジン150のトルクTeによ
ってフィードバック制御するのが好ましい。
【0128】第2実施例の動力出力装置110Cでは、
エンジン150とモータMG1とによりモータMG2を
挟持する配置としたが、図31の変形例の動力出力装置
110Dに示すように、モータMG1とモータMG2と
でエンジン150を挟持する配置としてもよい。また、
第2実施例の動力出力装置110Cでは、リングギヤ軸
126Cに出力された動力をリングギヤ122に結合さ
れた動力取出ギヤ128を介してモータMG1とモータ
MG2との間から取り出したが、図32の変形例の動力
出力装置110Eに示すように、リングギヤ軸126E
を延出してケース119から取り出すものとしてもよ
い。
【0129】次に本発明の第3の実施例である動力出力
装置について図33および図34を用いて説明する。第
3実施例における動力出力装置のハードウェアとしての
構成は、第1実施例における動力出力装置の構成(図1
から図3)と同一である。本実施例では、トルク制御ル
ーチンが第1実施例と相違する。以下、第3実施例にお
けるトルク制御ルーチンについて説明する。
【0130】図33は第3実施例におけるトルク制御ル
ーチンの流れを示すフローチャートである。このルーチ
ンは第1実施例におけるトルク制御ルーチンと同様、動
力出力装置110が起動されたときから所定時間毎(例
えば、48msec毎)に、制御装置180の制御CP
U190により繰り返し実行されるものである。
【0131】トルク制御ルーチンが実行されると、CP
U190は、リングギヤ軸126の回転数Nrおよびア
クセルペダルポジションAPを読み込み(ステップS3
00、S302)、これらの値に基づいてリングギヤ軸
126に出力すべきトルクの目標値であるトルク指令値
Tr*を導出する(ステップS304)。また、こうし
て導出されたトルク指令値Tr*とリングギヤ軸126
の回転数Nrとの積からリングギヤ軸に出力すべきエネ
ルギPrを算出する(ステップS306)。
【0132】次に、CPU190は、バッテリ194の
残容量BRMを読み込み(ステップS308)、この値に
基づいてバッテリ194を充放電する電力Pbを設定す
る(ステップS310)。また、該電力Pbにステップ
S306で算出したリングギヤ軸126から出力すべき
エネルギPr、および種々の補機を駆動するためのエネ
ルギPhを加えることにより必要エネルギPnを算出し
た後(ステップS312)、この必要エネルギPnをト
ルク変換の効率ηtで割ってエンジン150から出力す
べきエネルギPeを算出する(ステップS314)。こ
こまでの処理は、第1実施例におけるトルク制御ルーチ
ン(図10)と同一である。
【0133】次のステップにおいて、CPU190はエ
ンジン150の目標回転数ne*、目標トルクte*の
設定をする(ステップS316)。第1実施例では、図
13に示した動作曲線Aをマップとしたものを用いるこ
とによりエンジン150が最も効率よく運転できる回転
数およびトルクを目標回転数Ne*、目標トルクTe*
とした。第3実施例では、第1実施例と同様の方法によ
り目標回転数ne*、目標トルクte*を算出するので
ある。次のステップでは図34に示すマップを用いて求
められる回転数の修正量ΔNを目標回転数ne*に加
え、最終的な目標回転数Ne*を算出する(ステップS
318)。また、こうして算出された最終的な目標回転
数Ne*で、エンジン150から出力すべきエネルギP
eを割ることにより、最終的な目標トルクTe*を算出
する(ステップS318)。以下、この目標回転数Ne
*の算出について説明する。
【0134】エンジン150を最も効率よく運転できる
動力状態を目標回転数ne*および目標トルクte*と
して設定し、これらの値に基づいてモータMG2のトル
ク指令値Tm2*を計算した場合には、第1実施例にお
けるトルク制御ルーチンにおいて説明した通り、許容範
囲を越えるエネルギの循環を生じる場合もある。第1実
施例ではモータMG2のトルク指令値Tm2*に基づい
てこのようなエネルギの循環が生じているか否かを判断
し、エネルギの循環が生じている場合には、エンジン1
50の目標回転数Ne*、目標トルクTe*を修正する
という一種のフィードバック制御を行っていた(図10
のステップS122,S124,S126)。
【0135】一方、エンジン150の目標回転数ne*
の修正量ΔNは、動力出力装置が運転状態にない場合で
あっても算出することができる。修正量ΔNの算出は、
エンジン150から出力すべきエネルギPeおよびリン
グギヤ軸126の回転数Nrを仮定した上で、第1実施
例で説明した図10のステップS116からステップS
126までの演算を行えばよい。従って、エネルギPe
および回転数Nrを種々の値に設定して、上記演算を行
うことにより、エンジン150の回転数の修正量ΔNは
予めマップとして求めておくことができる。このマップ
の例を図34に示す。図34は、上記演算により算出し
たエンジンの目標回転数ne*の修正量ΔNを、横軸に
車速をとり、縦軸にエンジン出力エネルギPeをとって
表したものである。なお、駆動輪116、118とリン
グギヤ軸126は機械的に結合されており、車速即ち駆
動輪116,118の回転数とリングギヤ軸126の回
転数Nrとは等価なパラメータであるから、横軸を回転
数Nrとして表すものとしてもよい。
【0136】車速がSPDである場合を例にとり、図3
4の内容について説明する。図34は、例えば点Q1に
相当する車速およびエンジン出力エネルギPeが要求さ
れた場合、エンジン150の目標回転数をΔN1だけ増
すべきことを意味している。つまり、点Q1に相当する
エネルギPeをエンジン150から出力する際に、図1
3に示した動作曲線により求めた目標回転数ne*、目
標トルクte*でエンジン150を運転しては、モータ
MG2のトルク指令値Tm2*が低くなりエネルギの循
環が生じてしまうため、エンジン150の回転数ne*
をΔN1だけ増した回転数を目標回転数Ne*とする必
要があることを示している。
【0137】上記補正量ΔN1の意味を図16を用いて
説明する。図16に示した通り、エンジン150から出
力すべき要求エネルギがPeであるとき、エンジン15
0を最も効率のよいポイントで運転しようとすれば、動
作曲線A上の運転ポイントを選択することになるから、
図16の点P3、即ち回転数Ne3、トルクTe3で運
転することになる。ここで、点P3でエンジン150を
運転した場合には、エネルギの循環が生じており、この
循環を許容範囲に抑えるためには、エンジン150の回
転数をNe4まで増大する必要があったとする。当然こ
のときエンジン150から出力すべきエネルギはPeで
一定であるから、図16に示す通りエンジン150の出
力トルクはTe4まで減少することになる。図34にお
ける点Q1が上記状態に相当するとすれば、図34にお
ける回転数の補正量ΔN1は図16にいうNe4−Ne
3となる。
【0138】図34における点Q1でエンジン150が
運転された場合と同様、点Q2で運転された場合には回
転数の補正量はΔN2、点Q3に対してはΔN3・・・
という具合に、図34のマップからそれぞれエンジン1
50の回転数の補正量を求めることができるようになっ
ている。なお、本実施例では、これらの補正量はΔN1
>ΔN2>・・・となっている。そして、点Q5で運転
される場合には、エンジン150の回転数の補正量ΔN
は値0となる。つまり、このときエンジン150は図1
3の動作曲線によって求められる回転数で運転すればよ
いことを意味している。
【0139】本実施例における図34のマップはエネル
ギの循環のみならず、動力出力装置全体の運転効率も加
味して作成されている。つまり、図34のマップでは点
Q1よりもエンジン出力エネルギを小さくしていくにつ
れてエンジン回転数の修正量ΔNが小さくなっている
が、これはエンジン出力エネルギが小さい場合にはエネ
ルギの循環による損失も小さくなるため、エンジン15
0を運転効率のよい運転ポイントで運転した方が動力出
力装置の運転効率上好ましいからである。もっとも、こ
のように出力エネルギが低い場合でも、エネルギの循環
を完全になくすようにエンジン150の回転数を増大す
るマップを用いるものとしてもよい。
【0140】図34では、エンジン150の回転数の補
正量をΔN1からΔN4までの4段階で与えるマップを
示しているが、このマップは値0とΔN1の二値的なも
のとしてもよいし、更に段階を増やしほぼ連続的に変化
するようなものとしてもよい。また、回転数の補正量で
はなくエンジン150の目標回転数Ne*を直接与える
マップとしてもよいし、トルクの補正量または目標トル
クTe*を与えるマップとしてもよい。なお、このマッ
プは、本実施例では制御CPU190内のROM190
bに記憶されており、その形式は、車速およびエンジン
出力エネルギについて、それぞれ数点離散的な値を選択
し、これら各点に対応したエンジン150の回転数の補
正量を有するテーブル形式となっている。
【0141】トルク制御ルーチンの説明に戻る。エンジ
ン150の目標回転数Ne*、目標トルクTe*を設定
した後(ステップS318)、サンギヤ軸の目標回転数
Nsを設定する(ステップS320)。これらの処理
は、第1実施例において図10で説明した処理(ステッ
プS120、S128)と同一である。本実施例では、
エンジン150の回転数について、エネルギの循環が生
じない値を与えるマップ(図34)に基づいてエンジン
150の目標回転数Ne*、目標トルクTe*を設定し
ているため(ステップS318)、第1実施例における
トルク制御ルーチンのようにモータMG2のトルク指令
値Tm2*に応じてエンジン150の目標回転数Ne
*、目標トルクTe*を補正するようなフィードバック
制御(図10のステップS122,S124,S12
6)は必要ない。
【0142】次に、CPU190は、こうして設定され
た諸量に基づいて、モータMG1、モータMG2および
エンジン150の制御処理を実行する(ステップS32
2,S324,S326)。これらの処理も第1実施例
におけるトルク制御ルーチンと同一である(ステップS
130,S132,S134)。
【0143】以上で説明した動力出力装置は、図34に
示したマップを用いて、エンジン150、モータMG
1,MG2の運転をいわゆるフィードフォワード制御す
ることによって、エネルギの循環を生じない状態で駆動
軸126から動力を出力することができる。しかも、以
下に示す通り、動力出力装置を滑らかに制御することが
比較的容易に実現できる利点がある。つまり、第1実施
例におけるトルク制御ルーチンのように、モータMG2
のトルク指令値によるフィードバック制御を行った場
合、このトルク指令値はアクセルペダルポジションAP
等に基づいて算出されるため頻繁に変動し、また急激に
変動することがあるが、本実施例では比較的緩やかに変
動する車速に基づくフィードフォワード制御を採用して
いるため、エンジン150の運転状態も緩やかに変化す
ることになり、動力出力装置を全体として滑らかに制御
することが可能となるのである。
【0144】なお、上述のフィードフォワード制御にお
いては、エンジン150,モータMG1,MG2の運転
効率等を用いて、図34のマップを用意することにな
る。この際、製造誤差その他の原因により、製造される
エンジン150,モータMG1,MG2ごとに運転効率
等は異なることを考えれば、各動力装置ごとに上記運転
効率等を計測した上で、個別のマップを用意することが
望ましいが、これは非常に困難であり現実的ではない。
従って、ある特定の運転効率等に基づいて設定されたマ
ップを各動力装置で用いるものとすればよい。製造上の
原因による運転効率等のバラツキは比較的小さいため、
かかる手段を採用してもエネルギの循環を十分抑制する
ことができる。
【0145】さらに、上記バラツキによる影響を回避す
るために、動力出力装置の運転状態を監視し、その結果
に基づいて上記マップを補正する学習機能をもたせても
よい。まず、トルク制御ルーチンにおいて、上記マップ
に基づいて定められた状態で運転をしつつ、モータMG
2のトルク値Tm2*が所定の閾値Trefを越えない
様にエンジン150の運転状態をフィードバック制御す
る。このようなフィードバック制御が行われたときは、
前記マップの値が不適当であったことを意味しているた
め、フィードバック制御後のエンジン150の回転数に
基づいて前記マップを書き換えるのである。かかる機能
をもたせれば、動力出力装置の運転に伴って上記バラツ
キによる影響を回避することができる。
【0146】本実施例のトルク制御ルーチンは、第2実
施例におけるハードウェア構成(図24)を備える動力
出力装置に適用することもできる。このとき、第2実施
例で説明した通り、エネルギの再循環を回避するために
は、モータMG2で電力を回生する必要があり、エンジ
ン150の出力トルクを高くする必要がある。言い換え
れば、エンジン150の目標回転数Ne*を図13の動
作曲線により定まる回転数ne*よりも低くする必要が
ある。従って、図34のマップにおけるΔN1〜ΔN4
の各値がそれぞれ負の値となる点で上述した第3実施例
と相違する。
【0147】第1実施例の動力出力装置110や第2実
施例の動力出力装置110Cあるいはこれらの変形例で
は、FR型あるいはFF型の2輪駆動の車両に適用する
ものとしたが、図35の変形例の動力出力装置110F
に示すように、4輪駆動の車両に適用するものとしても
よい。この構成では、リングギヤ軸126に結合してい
たモータMG2をリングギヤ軸126より分離して、車
両の後輪部に独立して配置し、このモータMG2によっ
て後輪部の駆動輪117,119を駆動する。一方、リ
ングギヤ軸126は動力取出ギヤ128および動力伝達
ギヤ111を介してディファレンシャルギヤ114に結
合されて前輪部の駆動輪116,118を駆動する。こ
のような構成の下においても、前述した図10のトルク
制御ルーチンを実行することは可能である。
【0148】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【0149】例えば、上述した各実施例では、エンジン
150としてガソリンエンジンを用いたが、その他に、
ディーゼルエンジンや、タービンエンジンや、ジェット
エンジンなど各種の内燃あるいは外燃機関を用いること
もできる。
【0150】また、各実施例では、3軸式動力入出力手
段としてプラネタリギヤ120を用いたが、一方はサン
ギヤと他方はリングギヤとギヤ結合すると共に互いにギ
ヤ結合しサンギヤの外周を自転しながら公転する2つ1
組の複数組みのプラネタリピニオンギヤを備えるダブル
ピニオンプラネタリギヤを用いるものとしてもよい。こ
の他、3軸式動力入出力手段として3軸のうちいずれか
2軸に入出力される動力を決定すれば、この決定した動
力に基づいて残余の1軸に入出力される動力を決定され
るものであれば如何なる装置やギヤユニット等、例え
ば、ディファレンシャルギヤ等を用いることもできる。
また、3軸式動力入出力手段と発電機とからなる動力調
整手段に代えていわゆるクラッチモータを用いた、電気
分配式の動力出力装置に適用するものとしてもよい。電
気分配式の動力出力装置としては、例えば特開平9−4
7011に示す構成が挙げられる。
【0151】さらに、各実施例では、モータMG1およ
びモータMG2にPM形(永久磁石形;Permanent Magn
et type)同期電動機を用いたが、回生動作および力行
動作の双方が可能なものであれば、その他にも、VR形
(可変リラクタンス形;Variable Reluctance type)同
期電動機や、バーニアモータや、直流電動機や、誘導電
動機や、超電導モータや、ステップモータなどを用いる
こともできる。
【0152】あるいは、各実施例では、第1および第2
の駆動回路191,192としてトランジスタインバー
タを用いたが、その他に、IGBT(絶縁ゲートバイポ
ーラモードトランジスタ;Insulated Gate Bipolar mod
e Transistor)インバータや、サイリスタインバータ
や、電圧PWM(パルス幅変調;Pulse Width Modulati
on)インバータや、方形波インバータ(電圧形インバー
タ,電流形インバータ)や、共振インバータなどを用い
ることもできる。
【0153】また、バッテリ194としては、Pbバッ
テリ,NiMHバッテリ,Liバッテリなどを用いるこ
とができるが、バッテリ194に代えてキャパシタを用
いることもできる。
【0154】以上の実施例では、動力出力装置を車両に
搭載する場合について説明したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、船舶,航空機などの交通手段や、
その他各種産業機械などに搭載することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての動力出力装置110
の概略構成を示す構成図である。
【図2】実施例の動力出力装置110の部分拡大図であ
る。
【図3】実施例の動力出力装置110を組み込んだ車両
の概略の構成を例示する構成図である。
【図4】実施例の動力出力装置110の動作原理を説明
するためのグラフである。
【図5】実施例におけるプラネタリギヤ120に結合さ
れた3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図6】実施例におけるプラネタリギヤ120に結合さ
れた3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図である。
【図7】実施例の動力出力装置110が図5の共線図の
運転状態にあるときのエネルギの流れを模式的に例示す
る模式図である。
【図8】実施例の動力出力装置110が図6の共線図の
運転状態にあるときのエネルギの流れを模式的に例示す
る模式図である。
【図9】大きなエネルギの循環が生じているときのエネ
ルギの流れを模式的に例示する模式図である。
【図10】実施例の制御装置180により実行されるト
ルク制御ルーチンを例示するフローチャートである。
【図11】リングギヤ軸126の回転数Nrとアクセル
ペダルポジションAPとトルク指令値Tr*との関係を
例示する説明図である。
【図12】バッテリ194の残容量BRMと充電可能な電
力との関係の一例を示すグラフである。
【図13】エンジン150の運転ポイントと効率の関係
を例示するグラフである。
【図14】エネルギが一定の曲線に沿ったエンジン15
0の運転ポイントの効率とエンジン150の回転数Ne
との関係を例示するグラフである。
【図15】閾値Trefとリングギヤ軸126の回転数
Nrとの関係を例示するマップである。
【図16】再設定される前後の目標トルクTe*と目標
回転数Ne*との関係を例示する説明図である。
【図17】制御装置180の制御CPU190により実
行されるモータMG1の制御ルーチンを例示するフロー
チャートである。
【図18】制御装置180の制御CPU190により実
行されるモータMG2の制御ルーチンを例示するフロー
チャートである。
【図19】制御装置180の制御CPU190により実
行される開閉タイミング制御ルーチンを例示するフロー
チャートである。
【図20】開閉タイミングBTとエンジン150の動作
曲線との関係の一例を示す説明図である。
【図21】吸入空気量Gaとスロットルバルブ166の
開度TVPとの関係を例示する説明図である。
【図22】変形例の動力出力装置110Aの概略構成を
示す構成図である。
【図23】変形例の動力出力装置110Bの概略構成を
示す構成図である。
【図24】本発明の第2の実施例としての動力出力装置
110Cの概略構成を示す構成図である。
【図25】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図26】第2実施例におけるプラネタリギヤ120に
結合された3軸の回転数とトルクの関係を示す共線図で
ある。
【図27】第2実施例の動力出力装置110Cが図25
の共線図の運転状態にあるときのエネルギの流れを模式
的に例示する模式図である。
【図28】第2実施例の動力出力装置110Cが図26
の共線図の運転状態にあるときのエネルギの流れを模式
的に例示する模式図である。
【図29】第2実施例の変形例の動力出力装置110C
により実行されるモータMG1の制御ルーチンの一部を
例示するフローチャートである。
【図30】第2実施例の変形例の動力出力装置110C
により実行されるモータMG2の制御ルーチンの一部を
例示するフローチャートである。
【図31】第2実施例の変形例の動力出力装置110D
の概略構成を示す構成図である。
【図32】第2実施例の変形例の動力出力装置110E
の概略構成を示す構成図である。
【図33】第3実施例の制御装置180により実行され
るトルク制御ルーチンを例示するフローチャートであ
る。
【図34】上記演算により算出したエンジンの目標回転
数ne*の修正量を表す説明図である。
【図35】第1実施例の動力出力装置110を4輪駆動
車に適用したときの具体例である動力出力装置110F
を組み込んだ車両の概略構成を示す構成図である。
【符号の説明】
110…動力出力装置 110A〜110F…動力出力装置 111…動力伝達ギヤ 112…駆動軸 114…ディファレンシャルギヤ 116,118…駆動輪 117,119…駆動輪 119…ケース 120…プラネタリギヤ 121…サンギヤ 122…リングギヤ 123…プラネタリピニオンギヤ 124…プラネタリキャリア 125…サンギヤ軸 126…リングギヤ軸 128…動力取出ギヤ 129…チェーンベルト 132…ロータ 133…ステータ 134…三相コイル 135…永久磁石 139…レゾルバ 142…ロータ 143…ステータ 144…三相コイル 145…永久磁石 149…レゾルバ 150…エンジン 151…燃料噴射弁 152…吸気弁 153…開閉タイミング変更機構 154…燃焼室 155…ピストン 156…クランクシャフト 157…レゾルバ 158…イグナイタ 160…ディストリビュータ 162…点火プラグ 164…アクセルペダル 164a…アクセルペダルポジションセンサ 165…ブレーキペダル 165a…ブレーキペダルポジションセンサ 166…スロットルバルブ 167…スロットルバルブポジションセンサ 168…アクチュエータ 170…EFIECU 172…吸気管負圧センサ 173…カムシャフトポジションセンサ 174…水温センサ 176…回転数センサ 178…回転角度センサ 179…スタータスイッチ 180…制御装置 182…シフトレバー 184…シフトポジションセンサ 190…制御CPU 190a…RAM 190b…ROM 191…第1の駆動回路 192…第2の駆動回路 194…バッテリ 195,196…電流検出器 197,198…電流検出器 199…残容量検出器 L1,L2…電源ライン MG1…モータ MG2…モータ Tr1〜Tr6…トランジスタ Tr11〜Tr16…トランジスタ
フロントページの続き (72)発明者 小島 正清 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 金井 弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 阿部 眞一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小林 幸男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 長瀬 健一 愛知県刈谷市東刈谷町1−23−4−201 (72)発明者 原田 修 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山口 勝彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 5H115 PA12 PC06 PG04 PI11 PI16 PI24 PI29 PI30 PO02 PO06 PO17 PU02 PU09 PU10 PU12 PU13 PU24 PU25 PV09 PV23 PV25 QE01 QE02 QE04 QE08 QE09 QE10 QI04 QN03 QN04 RB08 RB26 RE02 RE03 RE05 RE06 RE07 RE12 RE13 SE04 SE05 SE08 TE02 TE03 TE05 TE06 TE08 TI02 TI06 TI10 TO12 TO21 TO23 TO30 UI13 UI23

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、前記
    原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
    に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
    調整する動力調整手段と、 前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、 前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した
    駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸目標動力状態設定
    手段と、 前記駆動軸目標動力状態および原動機の運転効率に基づ
    いて、前記原動機から出力すべきトルクおよび回転数に
    対応した原動機目標動力状態を設定する原動機目標動力
    状態設定手段と、 前記原動機から出力された動力を前記駆動軸目標動力状
    態に変換して前記駆動軸から出力すると共に、前記電動
    機を該動力の出力過程で生じるエネルギの循環を考慮し
    て設定された所定トルク以上のトルクで駆動可能な動力
    状態で該原動機が運転されるよう該原動機、該電動機お
    よび前記動力調整手段を制御する制御手段とを備える動
    力出力装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の動力出力装置であって、 前記動力調整手段により調整される電力の少なくとも一
    部と、前記電動機による動力の入出力に必要な電力の少
    なくとも一部とを充放電可能な蓄電手段を備え、 前記制御手段は、 前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転すると共
    に、該原動機から出力される動力と前記蓄電手段から充
    放電される電力とを変換して前記駆動軸に出力される動
    力が前記駆動軸目標動力状態となるよう該原動機、前記
    電動機および前記動力調整手段を制御する動力制御手段
    と、 該動力制御手段による制御により前記電動機が前記所定
    トルク未満のトルクで駆動されるとき、該電動機が該所
    定トルク以上のトルクで駆動されるよう前記動力制御手
    段で用いられる前記原動機目標動力状態を修正する原動
    機目標動力状態修正手段とを備える動力出力装置。
  3. 【請求項3】 前記原動機目標動力状態修正手段は、前
    記原動機目標動力状態を、動力が同一で回転数が大きな
    動力状態に修正する手段である請求項2記載の動力出力
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の動力出力装置であって、
    さらに前記原動機目標動力状態修正手段により原動機目
    標動力状態が修正されたとき、前記原動機から出力され
    る動力を略同一に保持した状態で前記原動機の運転状態
    を前記修正された原動機目標動力状態に移行するよう該
    原動機と前記電動機と前記動力調整手段とを制御する移
    行制御手段を備える動力出力装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の動力出力装置であって、 前記原動機は、吸気管の開口面積と吸気バルブの開閉タ
    イミングとを変更可変な内燃機関であり、 前記移行制御手段は、前記吸気管の開口面積を所定の開
    口面積に保った状態で前記吸気バルブの開閉タイミング
    を徐々に変更するに伴って前記動力調整手段により調整
    される電力を徐々に変更することにより前記原動機の運
    転状態を前記修正された原動機目標動力状態に移行する
    手段である動力出力装置。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の動力出力装置であって、
    さらに前記原動機目標動力状態修正手段により原動機目
    標動力状態が修正されたとき、トルクに対して回転数を
    優先して前記原動機の運転状態を前記修正された原動機
    目標動力状態に移行するよう該原動機と前記電動機と前
    記動力調整手段とを制御する移行制御手段を備える動力
    出力装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の動力出力装置であって、 前記原動機は、吸気管の開口面積を変更可変な内燃機関
    であり、 前記移行制御手段は、 前記原動機の回転数が前記修正された原動機目標動力状
    態に対応する回転数に移行するよう前記動力調整手段に
    より調整される電力を変更する回転数移行手段と、 該回転数移行手段による変更により前記原動機の回転数
    の移行が行われたとき、該原動機から前記修正された原
    動機目標動力状態に対応するトルクが出力されるよう前
    記吸気管の開口面積を調節するトルク移行手段とを備え
    る動力出力装置。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の動力出力装置であって、 前記原動機は、吸気バルブの開閉タイミングを変更可変
    な内燃機関であり、 前記移行制御手段は、 前記原動機の回転数が前記修正された原動機目標動力状
    態に対応する回転数に移行するよう前記動力調整手段に
    より調整される電力を変更する回転数移行手段と、 該回転数移行手段による変更により前記原動機の回転数
    の移行が行われたとき、該原動機から前記修正された原
    動機目標動力状態に対応するトルクが出力されるよう吸
    気バルブの開閉タイミングを調節するトルク移行手段と
    を備える動力出力装置。
  9. 【請求項9】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置で
    あって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、前記
    原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
    に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
    調整する動力調整手段と、 前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、 前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した
    駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸目標動力状態設定
    手段と、 前記駆動軸の回転数および前記原動機の出力する動力
    と、前記電動機を前記駆動軸からの動力の出力過程で生
    じるエネルギの循環を考慮して設定された所定トルク以
    上のトルクで駆動できる前記原動機の動力状態との関係
    を記憶した記憶手段と、 前記駆動軸の回転数を入力する回転数入力手段と、 前記駆動軸目標動力状態に基づいて設定される前記原動
    機が出力すべき動力と、前記入力された駆動軸の回転数
    に基づいて、前記記憶手段に記憶された関係を参照して
    得られる前記原動機の動力状態を、前記原動機目標動力
    状態として設定する原動機目標動力状態設定手段と、 前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転すると共
    に、前記電動機および動力調整手段を用いて、前記原動
    機目標動力状態を前記駆動軸目標動力状態に変換して前
    記駆動軸から出力する制御手段とを備える動力出力装
    置。
  10. 【請求項10】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置
    であって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、前記
    原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
    に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
    調整する動力調整手段と、 前記出力軸に動力を入出力する電動機と、 前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した
    駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸目標動力状態設定
    手段と、 前記駆動軸目標動力状態および原動機の運転効率に基づ
    いて、前記原動機から出力すべきトルクおよび回転数に
    対応した原動機目標動力状態を設定する原動機目標動力
    状態設定手段と、 前記原動機から出力された動力を前記駆動軸目標動力状
    態に変換して前記駆動軸から出力すると共に、前記電動
    機を該動力の出力過程で生じるエネルギの循環を考慮し
    て設定された所定トルク以下のトルクで駆動可能な動力
    状態で該原動機が運転されるよう該原動機、該電動機お
    よび前記動力調整手段を制御する制御手段とを備える動
    力出力装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の動力出力装置であっ
    て、 前記動力調整手段により調整される電力の少なくとも一
    部と、前記電動機による動力の入出力に必要な電力の少
    なくとも一部と、を充放電可能な蓄電手段を備え、 前記制御手段は、 前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転すると共
    に、該原動機から出力される動力と前記蓄電手段から充
    放電される電力とを変換して前記駆動軸に出力される動
    力が前記駆動軸となるよう該原動機、前記電動機および
    前記動力調整手段を制御する動力制御手段と、 該動力制御手段による制御により前記電動機が前記所定
    トルクよりも大きいのトルクで駆動されるとき、該電動
    機が該所定トルク以下のトルクで駆動されるよう前記動
    力制御手段で用いられる前記原動機目標動力状態を修正
    する原動機目標動力状態修正手段とを備える動力出力装
    置。
  12. 【請求項12】 前記原動機目標動力状態修正手段は、
    前記原動機目標動力状態を、動力が同一で回転数が小さ
    な動力状態に修正する手段である請求項11記載の動力
    出力装置。
  13. 【請求項13】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置
    であって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、前記
    原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
    に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
    調整する動力調整手段と、 前記出力軸に動力を入出力する電動機と、 前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した
    駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸目標動力状態設定
    手段と、 前記駆動軸の回転数および前記原動機の出力する動力
    と、前記電動機を前記駆動軸からの動力の出力過程で生
    じるエネルギの循環を考慮して設定された所定トルク以
    下のトルクで駆動できる前記原動機の動力状態との関係
    を記憶した記憶手段と、 前記駆動軸の回転数を入力する回転数入力手段と、 前記駆動軸目標動力状態に基づいて設定される前記原動
    機が出力すべき動力と、前記入力された駆動軸の回転数
    に基づいて、前記記憶手段に記憶された関係を参照して
    得られる前記原動機の動力状態を、前記原動機目標動力
    状態として設定する原動機目標動力状態設定手段と、 前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転すると共
    に、前記電動機および動力調整手段を用いて、前記原動
    機目標動力状態を前記駆動軸目標動力状態に変換して前
    記駆動軸から出力する制御手段とを備える動力出力装
    置。
  14. 【請求項14】 前記所定トルクは、値0である請求項
    1ないし13いずれか記載の動力出力装置。
  15. 【請求項15】 前記所定トルクは、前記駆動軸の回転
    数に基づいて定まるトルクである請求項1ないし13い
    ずれか記載の動力出力装置。
  16. 【請求項16】 前記所定トルクは、前記原動機の効率
    に基づいて定まるトルクである請求項1ないし13いず
    れか記載の動力出力装置。
  17. 【請求項17】 請求項2ないし9,11,12,13
    いずれか記載の動力出力装置であって、 前記蓄電手段を充放電する目標電力を設定する目標電力
    設定手段と、 前記原動機から出力される動力を動力源として駆動する
    補機とを備え、 前記原動機目標動力状態設定手段は、前記駆動軸目標動
    力状態と前記目標電力と前記補機の駆動に必要な動力と
    に基づいて原動機目標動力状態を設定する手段であり、 前記所定トルクは、前記目標電力と前記補機の駆動に必
    要な動力とに基づいて定まるトルクである動力出力装
    置。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし17いずれか記載の動
    力出力装置であって、 前記動力調整手段は、 前記出力軸に結合される第1の回転軸、前記駆動軸に結
    合される第2の回転軸およびこれらと異なる第3の回転
    軸を有し、該3つの回転軸のうちいずれか2つの回転軸
    の動力状態が決定されると、該決定された動力状態に基
    づいて残余の回転軸の動力状態が決定される3軸式動力
    入出力手段と、 前記第3の回転軸に動力を入出力する第2の電動機とを
    備える動力出力装置。
  19. 【請求項19】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および駆動軸に結合され、前記原動
    機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、
    該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより調整
    する動力調整手段と、 前記駆動軸に動力を入出力する電動機とを備え、前記駆
    動軸に動力を出力する動力出力装置の制御方法であっ
    て、(a)前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数
    に対応した駆動軸目標動力状態を設定し、(b) 前記
    駆動軸目標動力状態および原動機の運転効率に基づい
    て、前記原動機から出力すべきトルクおよび回転数に対
    応した原動機目標動力状態を設定し、(c)前記原動機
    から出力された動力を前記駆動軸目標動力状態に変換し
    て前記駆動軸から出力すると共に前記電動機を該動力の
    出力過程で生じるエネルギの循環を考慮して設定された
    所定トルク以上のトルクで駆動可能な動力状態で該原動
    機が運転されるよう該原動機、該電動機および前記動力
    調整手段を制御する動力出力装置の制御方法。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の動力出力装置の制御
    方法であって、 前記動力出力装置は、更に、 前記動力調整手段により調整される電力の少なくとも一
    部と、前記電動機による動力の入出力に必要な電力の少
    なくとも一部と、を充放電可能な蓄電手段を備え、 前記ステップ(c)は、 (c1)前記原動機を前記原動機目標動力状態で運転す
    ると共に、該原動機から出力される動力と前記蓄電手段
    から充放電される電力とを変換して前記駆動軸に出力さ
    れる動力が前記駆動軸目標動力状態となるよう該原動
    機,前記電動機および前記動力調整手段を制御し、 (c2) 該制御により前記電動機が前記所定トルク未
    満のトルクで駆動されるとき、該電動機が該所定トルク
    以上のトルクで駆動されるよう前記ステップ(c1)で
    用いられる前記原動機目標動力状態を修正するステップ
    とを備える動力出力装置の制御方法。
  21. 【請求項21】 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および駆動軸に結合され、前記原動
    機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共に、
    該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより調整
    する動力調整手段と、 前記駆動軸に動力を入出力する電動機と前記駆動軸の回
    転数および前記原動機の出力する動力と、前記電動機を
    所定トルク以上のトルクで駆動できる前記原動機の動力
    状態との関係を記憶した記憶手段と、 を備え、前記駆動軸に動力を出力する動力出力装置の制
    御方法であって、(a)前記駆動軸に出力されるトルク
    および回転数に対応した駆動軸目標動力状態を設定し、
    (b)前記駆動軸目標動力状態に基づいて設定される前
    記原動機が出力すべき動力と、入力された駆動軸の回転
    数に基づいて、前記記憶手段に記憶された関係を参照し
    て得られる前記原動機の動力状態を、前記原動機目標動
    力状態として設定し、(c)前記原動機を前記原動機目
    標動力状態で運転すると共に、前記電動機および動力調
    整手段を用いて、前記原動機目標動力状態を前記駆動軸
    目標動力状態に変換して前記駆動軸から出力する動力出
    力装置の制御方法。
  22. 【請求項22】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置
    であって、 出力軸を有する原動機と、 前記原動機の出力軸および前記駆動軸に結合され、前記
    原動機から出力された動力を前記駆動軸に伝達すると共
    に、該伝達される動力の大きさを電力のやりとりにより
    調整する動力調整手段と、 前記駆動軸に動力を入出力する電動機と、 前記駆動軸に出力されるトルクおよび回転数に対応した
    駆動軸目標動力状態を設定する駆動軸目標動力状態設定
    手段と、 前記駆動軸目標動力状態および原動機の運転効率に基づ
    いて、前記原動機から出力すべきトルクおよび回転数に
    対応した原動機目標動力状態を設定する原動機目標動力
    状態設定手段と、 前記原動機から出力された動力を前記駆動軸目標動力状
    態に変換して前記駆動軸から出力すると共に、前記電動
    機を該動力出力装置全体のエネルギ効率を考慮して設定
    された所定トルク以上のトルクで駆動可能な動力状態で
    該原動機が運転されるよう該原動機、該電動機および前
    記動力調整手段を制御する制御手段とを備える動力出力
    装置。
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KR20110128795A (ko) * 2009-02-24 2011-11-30 얀마 가부시키가이샤 엔진 제어 장치
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