JPH10282661A - 感光性樹脂組成物、その製造方法、それを用いた感光性樹脂印刷用原版および感光性樹脂印刷版 - Google Patents

感光性樹脂組成物、その製造方法、それを用いた感光性樹脂印刷用原版および感光性樹脂印刷版

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JPH10282661A
JPH10282661A JP8910897A JP8910897A JPH10282661A JP H10282661 A JPH10282661 A JP H10282661A JP 8910897 A JP8910897 A JP 8910897A JP 8910897 A JP8910897 A JP 8910897A JP H10282661 A JPH10282661 A JP H10282661A
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JP
Japan
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photosensitive resin
phase
resin composition
ethylenically unsaturated
unsaturated compound
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Pending
Application number
JP8910897A
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English (en)
Inventor
Keizo Kawahara
恵造 河原
Koji Ogi
浩二 小木
Kumiko Imai
久美子 今井
Naoki Nishimori
直樹 西森
Atsushi Kachi
篤 加地
Satoshi Imahashi
聰 今橋
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系現像性および耐水性(特に耐インキ性)
という相反する要求を満足し、作業性および保存安定性
に優れ、レリーフ再現性が良好で、優れた弾性を有する
感光性樹脂印刷用原版および感光性樹脂印刷版を提供す
る。 【解決手段】 連続相と、当該連続相に分散された微粒
子状の分散相からなる相分離構造を有する感光性樹脂組
成物であって、連続相は、数平均分子量Mnが500以
上、Mnに対する重量平均分子量Mwの割合、Mw/M
nが2以上、かつ20℃における粘度が2000センチ
ポイズ以上であるエチレン性不飽和化合物を含有するこ
とを特徴とする感光性樹脂組成物である。分散相は、好
ましくは、疎水性ポリマーを含有するコア相と、当該コ
ア相を被覆し、かつ親水性ポリマーを含有するシェル相
とからなるコアシェル粒子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系現像液で現像
可能な感光性樹脂印刷用原版の感光層に使用できる感光
性樹脂組成物、その製造方法、それを用いた感光性樹脂
印刷用原版および感光性樹脂印刷版に関し、特にフレキ
ソ印刷用として有用な感光性樹脂組成物、その製造方
法、それを用いた感光性樹脂印刷用原版および感光性樹
脂印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のフレキソ印刷用の感光性樹脂原版
としては、有機溶剤で現像するものが知られているが、
毒性、引火性等の人体および環境への安全性に問題があ
った。そのため、これらに代わるものとして、水系現像
液で現像可能な印刷用原版が提案されており、例えば以
下の感光性樹脂組成物からなるものである。
【0003】共役ジエン系炭化水素、α,β−エチレ
ン性不飽和カルボン酸またはその塩、モノオレフィン系
不飽和化合物を単独重合または共重合して得られる共重
合体と、光重合性不飽和単量体、および光増感剤を含有
する感光性樹脂組成物(特開昭52−134655号公
報、特開昭53−10648号公報、特開昭61−22
339号公報参照)、共役ジエン系炭化水素重合体ま
たは共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化
合物との共重合体、親水性高分子化合物、非気体性エチ
レン性不飽和化合物および光重合開始剤を必須成分とし
て含有する感光性エラストマー組成物(特開昭60−2
11451号公報参照)、α,β−エチレン性不飽和
基を有する疎水性オリゴマー、エラストマー水膨潤性物
質および光重合開始剤を必須成分として含有する感光性
樹脂組成物(特開昭60−173055号公報参照)等
がある。
【0004】また、印刷版の機械的強度、反発弾性等
の性能の向上を目的として、硬質の有機樹脂微粒子を含
有する感光性樹脂組成物(特開昭63−8648号公報
参照)、水現像性の付与、水性インク耐性の付与およ
び印刷性の向上を目的として、架橋性樹脂微粒子を含有
する感光性樹脂組成物(特開平2−175702号公
報、特開平3−228060号公報、特開平4−293
907号公報、特開平4−293909号公報、特開平
4−294353号公報、特開平4−340968号公
報、特開平5−32743号公報、特開平5−1504
51号公報、特開平5−204139号公報参照)、
印刷版のインキ受容性向上を目的として2相構造を有
し、ジアゾ化合物、重クロム酸塩を連続相に含み、分散
相に10μm以下の粒子を含有する感光性樹脂組成物
(特公昭59−36731号公報参照)等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のの
感光性樹脂組成物を用いた印刷用原版においては、水系
の現像液、例えばアルカリ水溶液またはアルカリ水溶液
−有機溶剤系による現像は可能であるが、pH5.0〜
9.0のいわゆる生活用水による現像が困難であり、か
つ印刷版のレリーフ部の耐水性、水および/またはアル
コールを含有するインキに対する耐性(以下、耐インキ
性ともいう)が不充分であるといった問題がある。ま
た、レリーフ部の耐水性を発現するするために、光重合
性エチレン性不飽和化合物の含有量を多くすると、光重
合前の感光性樹脂組成物の粘度が小さくなって作業性が
低下し、また保存時に樹脂が流れだすコールドフロー現
象が生じ、また光重合後は、架橋密度が高すぎてゴム弾
性が損なわれる等の問題が生じる。
【0006】上述のまたはの感光性樹脂組成物を用
いた印刷用原版においては、水系現像を可能とするため
には親水性成分が連続相に含まれていることが必要であ
り、その場合、親水性成分の含有量は熱力学的な安全性
上、分散相形成成分の含有量よりも多くする必要があ
る。そのため、レリーフ部の耐水性(特に耐インキ性)
が劣る。上記の場合、レリーフ部の耐水性を発現するた
めに、光重合性不飽和化合物の含有量を多くすると、光
重合前の感光性樹脂組成物の粘度が小さくなって作業性
が低下し、また保存時に樹脂が流れだすコールドフロー
現象が生じ、また光重合後は、架橋密度が高すぎてゴム
弾性が損なわれる等の問題が生じる。他方、ゴム弾性を
維持するために共役ジエン系炭化水素重合体等の含有量
を多くすると、上記と同様に感光性樹脂組成物の粘度が
小さくなって作業性が低下し、また保存時に樹脂が流れ
だすコールドフロー現象が生じる。
【0007】上述のの感光性樹脂組成物を用いた印刷
用原版においては、印刷版のレリーフ部の画像再現性、
解像度、硬度、ゴム弾性、機械的強度、および水現像性
と耐水性(特に耐インキ性)のバランスが硬質の有機樹
脂微粒子の粒径と含有量に支配され、各特性を同時に満
足することが困難である。
【0008】上述のの感光性樹脂組成物を用いた印刷
用原版においては、架橋樹脂微粒子により水現像性を付
与することが可能となるが、親水性成分が架橋樹脂微粒
子に結合しているため、樹脂微粒子同志の融着、凝集に
よって、安定した性能を発現できなかったり、粒子の分
布状態が変化するために光重合前に感光性樹脂組成物の
粘度が変動し、作業性の低下およびコールドフロー現象
が生じたりするという問題がある。
【0009】上述のの感光性樹脂組成物を用いた印刷
用原版においては、平版印刷版等の薄膜版では実用性が
あるが、フレキソ版等の厚膜版に適用することは困難で
ある。この場合も、上述のと同様に、感光性樹脂組成
物中の樹脂微粒子同志の融着、凝集によって、安定した
性能を発現できなかったり、粒子の分布状態が変化する
ために光重合前に感光性樹脂組成物の粘度が変動し、作
業性の低下およびコールドフロー現象が生じたりすると
いう問題がある。
【0010】感光性樹脂組成物には、相溶性が良好であ
り、光散乱率が低く、屈折率が適正であることが要求さ
れるが、上述の水系現像を可能にするための親水性成分
は極性が高いため、水現像性と耐インキ性の両立および
良好な感光特性の発現のために、該親水性成分と混合し
たときに十分に相溶し得るような疎水性成分の種類、お
よび親水性成分と疎水性成分との混合比率が限定される
いう問題がある。さらに、親水性成分であるポリマーを
構成するモノマーの共重合比率(例えば、異なる親水基
を有するモノマーの共重合比、親水基を有するモノマー
と疎水基を有するモノマーの共重合比)、疎水性成分で
あるポリマーを構成するモノマーの共重合比率(例え
ば、異なる疎水基を有するモノマーの共重合比)、使用
可能な光重合成分、その他の構成成分、これらの混合比
率等が限定されるという問題がある。
【0011】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的とするところは、分散相の
凝集がなく、作業性および保存安定性に優れ、水系現像
性および耐水性(特に耐インキ性)という相反する要求
を満足し、レリーフ再現性が良好で、優れた弾性を有す
る感光性樹脂印刷用原版および感光性樹脂印刷版を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、連続相に
所定の分子量、分子量分布および粘度を有するエチレン
性不飽和化合物を含有させることにより、上記の種々の
問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0013】即ち、本発明は、以下の特徴を有する。 (1)連続相と、当該連続相に分散された微粒子状の分散
相からなる相分離構造を有する感光性樹脂組成物であっ
て、連続相が、数平均分子量Mnが500以上、Mnに
対する重量平均分子量Mwの割合、Mw/Mnが2以
上、かつ20℃における粘度が2000センチポイズ以
上であるエチレン性不飽和化合物を含有することを特徴
とする感光性樹脂組成物。 (2)分散相が、疎水性ポリマーを含有するコア相と、当
該コア相を被覆し、かつ親水性ポリマーを含有するシェ
ル相とからなるコアシェル粒子である上記 (1)の感光性
樹脂組成物。 (3)連続相が、上記 (1)のエチレン性不飽和化合物と、
コア相に含有される疎水性ポリマーとは異なり、かつ当
該エチレン性不飽和化合物と相溶する疎水性ポリマーと
を含有する上記 (2)の感光性樹脂組成物。 (4)数平均分子量Mnが500以上、Mnに対する重量
平均分子量Mwの割合、Mw/Mnが2以上、かつ20
℃における粘度が2000センチポイズ以上であるエチ
レン性不飽和化合物と、親水性ポリマーと、疎水性ポリ
マーと、当該疎水性ポリマーとは異なり、かつ当該エチ
レン性不飽和化合物と相溶する疎水性ポリマーと、当該
親水性ポリマーを溶解または膨潤させる溶剤とを混合
し、相分離によって連続相とコアシェル粒子の分散相と
を形成させることを特徴とする感光性樹脂組成物の製造
方法。 (5)支持体と、上記請求項(1) 〜(3) のいずれかに記載
の感光性樹脂組成物を含有する感光層とが積層されてな
ることを特徴とする感光性樹脂印刷用原版。 (6)上記(5) に記載の感光性樹脂印刷用原版を露光、次
いで現像してなることを特徴とする感光性樹脂印刷版。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の感光性樹脂組成物は、連続相と、当該連
続相に分散された微粒子状の分散相からなる相分離構造
を有する。このような相構造としては、例えば以下の3
つの構造が例示される。 疎水性ポリマーが粒子状の分散相で、親水性ポリマー
がその周りを取り囲む連続相となった構造。 疎水性ポリマーがコアで親水性ポリマーがシェルとな
ったコアシェル粒子が分散相であり、さらに当該疎水性
ポリマーとは異なる疎水性ポリマーを主成分とする連続
相が分散相の周りを取り囲む構造。 親水性ポリマーが粒子状の分散相で、疎水性ポリマー
がその周りを取り囲む連続相となった構造。
【0015】以下、の相構造を有する感光性樹脂組成
物に基づいて本発明を詳細に説明する。の相構造は、
疎水性ポリマーの含有量を多く親水性ポリマーの含有量
を少なくできるので、このように感光性樹脂組成物を用
いた感光層は、耐インク性を有し、かつ現像時には、分
散相の親水性ポリマーからなるシェルが吸水膨潤して現
像液中に分散するが、同時に疎水性ポリマーからなるコ
アも現像液中に分散するので、耐インク性を保持したま
まで水現像性を発現できる。
【0016】の相構造を有する感光性樹脂組成物は、
疎水性ポリマーを含有する連続相cと、疎水性ポリマー
を含有するコア相aと、当該コア相を被覆し、かつ親水
性ポリマーを含有するシェル相bとからなるコアシェル
粒子が、連続相cに分散された、相分離構造を有する感
光性樹脂組成物である。
【0017】なお、本発明において、親水性とは、水ま
たは水を主成分として含有する現像液に対して溶解また
は膨潤する性質をいい、疎水性とは、水または水を主成
分ととして含有する現像液に対して溶解および膨潤しな
い性質をいう。
【0018】本発明の感光性樹脂組成物において、シェ
ル相bは吸着および/または会合等によりコア相aの回
りに形成され、このコアシェル粒子は連続相cとは結合
しないものであるので、コア相a、シェル相bおよび連
続相cに使用される化合物は、これらの相が互いに結合
せずに相分離するような化合物が選択される。
【0019】a.コア相 本発明においてはコア相を形成するポリマーとして、耐
インキ性およびゴム弾性を感光性樹脂組成物に発現させ
るために疎水性ポリマー(以下、コア相形成疎水性ポリ
マーともいう)が使用される。このような疎水性ポリマ
ーとしては、汎用エラストマーとして使用される疎水性
ポリマーが挙げられ、具体的には、非共役ジエン系エラ
ストマー、共役ジエン系エラストマーが挙げられる。
【0020】1)非共役ジエン系エラストマー 非共役ジエン系エラストマーとしては、塩素原子を有す
るポリオレフィン系エラストマー、および塩素原子を有
しないポリオレフィン系エラストマーが挙げられ、これ
らのいずれも好適に使用される。塩素原子を有するポリ
オレフィン系エラストマーとしては、ポリオレフィン系
エラストマーを塩素化することにより得られるエラスト
マー;塩素原子を有する単量体の重合により得られるエ
ラストマー;塩素原子を含有する単量体と塩素原子を有
しない単量体との共重合により得られるエラストマー;
あるいは塩素または塩素原子を有する活性物質と塩素原
子を有しない重合体との反応により得られるエラストマ
ーが挙げられる。このような塩素原子を有するポリオレ
フィン系エラストマーの具体例としては、例えば、塩素
化ポリエチレン(昭和電工(株)製エラスレン、ダイソ
ー(株)製ダイソラック、ヘキスト(株)製HOLTA
LIZ、ダウケミカル(株)製DOW−CPE)、塩素
化エチレン−プロピレンゴム(昭和電工(株)製エラス
レン)、塩化ブチルゴム、塩素化ポリプロピレン、塩化
ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エピクロロヒド
リンゴム、エピクロロヒドリンとエチレンオキシドとの
共重合体、エピクロロヒドリンとプロピレンオキシドと
の共重合体、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエ
ーテルとの共重合体(ダイソー(株)製エピクロマー、
グッドリッチ(株)製HYDRIN、日本ゼオン(株)
製ゼオスパン、Hercules(株)製HERCLO
R)等が例示され、中でも塩素化ポリエチレン、塩素化
エチレンプロピレンゴムが好ましい。これらのポリマー
は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用され
る。
【0021】上記の塩素原子を有するポリオレフィン系
エラストマーの粘度は、後述するようなエチレン性不飽
和化合物との相分離の点を考慮すると、例えば、塩素化
ポリエチレンのムーニー粘度はML1+4 (121℃)と
して10〜150であることが好ましい。
【0022】上記の塩素原子を有するポリオレフィン系
エラストマーの塩素含有率は、好ましくは5〜60重量
%、より好ましくは10〜50重量%であり、塩素含有
率がこの範囲を外れるとその柔軟性が損なわれたり熱安
定性が悪くなり、感光性樹脂組成物が硬くなったり着色
が生じやすくなる場合がある。
【0023】塩素原子を有しないポリオレフィン系エラ
ストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム、イソブ
チレンゴム、エチレン−プロピレン−ブタジエン三元共
重合体、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ヨウ化ブチル
ゴム、水素還元型スチレン−イソプレンゴム等が挙げら
れる。これらのポリマーの粘度は、後述するようなエチ
レン性不飽和化合物との相分離の点を考慮すると、例え
ば、エチレン−プロピレンゴムのムーニー粘度はML
1+4 (100℃)として20〜150であることが好ま
しい。
【0024】2)共役ジエン系エラストマー 共役ジエン系エラストマーとしては、共役ジエン系炭化
水素を重合させて得られる重合体、共役ジエン系炭化水
素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得ら
れる共重合体等が挙げられる。
【0025】上記の共役ジエン系炭化水素としては、具
体的には、例えば、1,3−ブダジエン、イソプレン、
クロロプレン等が挙げられる。これらの化合物は単独、
あるいは二種類以上組合せて用いられる。
【0026】上記のモノオレフィン系不飽和化合物とし
ては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニト
リル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、
メタアクリルアミド、メタアクリルアミド酢酸ビニル、
アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル等が挙げ
られる。
【0027】上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて
得られる重合体、または共役ジエン系炭化水素とモノオ
レフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合
体としては、具体的には、ブタジエン重合体、イソプレ
ン重合体、クロロプレン重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−
クロロプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、ア
クリロニトリル−クロロプレン共重合体、アクリル酸エ
ステル−ブタジエン共重合体、メタアクリル酸エステル
−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレ
ン共重合体、メタアクリル酸エステル−イソプレン共重
合体、アクリル酸エステル−クロロプレン共重合体、メ
タアクリル酸エステル−クロロプレン共重合体、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロ
ニトリル−イソプレン−スチレン共重合体、アクリロニ
トリル−クロロプレン−スチレン共重合体等が挙げられ
る。
【0028】共役ジエン系エラストマーの粘度につい
て、後述するようなエチレン性不飽和化合物との相分離
の点を考慮すると、例えば、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴムのムーニー粘度はML1+4 (100℃)として
25〜95、ポリブタジエンゴムのムーニー粘度はML
1+4 (100℃)として25〜65、ポリイソプレンゴ
ムのムーニー粘度はML1+4 (100℃)として30〜
100であることが好ましい。
【0029】b.シェル相 シェル相に使用される親水性ポリマーは、水または水を
主成分として含有する現像液に可溶あるいは膨潤するポ
リマー(以下、シェル相形成親水性ポリマーともいう)
である。このような親水性ポリマーは、コア相形成疎水
性ポリマーやエチレン性不飽和化合物の種類により選択
されるが、コア相形成疎水性ポリマーとはより高い親和
性を示すが、後述するエチレン性不飽和化合物とはより
低い親和性を示す構造のもの(例えば、分子内に共通の
構造を有するもの、溶解度パラメーター(SP値)が近
いもの、粘度が近いもの、経験則で親和性があるといわ
れているもの等)が選択される。このような親水性ポリ
マーとしては、例えば、−COOM1 基、−SO3 2
基、−CONH2 基、−NH2 基、−OH基等の親水性
基を有するポリマーが挙げられ、架橋ポリマーおよび架
橋していない鎖状のポリマーも含有される。
【0030】具体的には、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシメチルセルロース等の汎用樹脂、(メ
タ)アクリル酸とジエン化合物とを共重合させたジエン
系ゴム、無水マレイン酸で変性した液状ポリブタジエ
ン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエン等が挙げら
れるが、−COOM1 基または−CONH2 基を50〜
50000当量/106 g有する親水性ポリマーを用い
ることが好ましい。これらの基が50当量/106 g未
満では、水に対する親和性が劣り、中性水で現像するこ
とが困難となる場合があり、逆に50000当量/10
6 gを超えると耐インキ性が劣る場合がある。
【0031】上記のM1 、M2 はそれぞれ、水素イオ
ン、1価の金属イオン(例えば、Li + 、Na+ 、K+
等)、2価の金属イオン(例えば、Ca2+、Mg
2+等)、3価の金属イオン(例えば、Al3+等)または
置換または無置換のアンモニウムイオンのいずれかをい
う。
【0032】−COOM1 基を有する代表的なポリマー
としては、−COOM1 基を有するポリウレタン、−C
OOM1 基を有するポリウレアウレタン、−COOM1
基を有するポリエステル、−COOM1 基を有するエポ
キシ化合物、−COOM1 基を有するポリアミド酸、−
COOM1 基を有するアクリロニトリル−ブタジエンコ
ポリマー、−COOM1 基を有するスチレン−ブタジエ
ンコポリマー、−COOM1 基を有するポリブタジエ
ン、−COOM1 基を有するポリイソプレン、−COO
1 基を有するポリクロロプレン、−COOM1 基を有
するポリオレフィンレン、ポリアクリル酸ナトリウム、
ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロ
キシエチルセルロース(HEC)、およびこれらの誘導
体等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0033】上記の−COOM1 基は酸または塩の形態
となる。−COOM1 基が塩の形態となったポリマー
は、−COOH基を有するポリマーを中和することによ
り得られる。中和の際に使用される化合物としては、水
酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の
アルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウムなどの炭酸アルカリ金属塩;カリウ
ム−t−ブトキシド、ナトリウムメトキシドなどのアル
カリ金属のアルコキシド;水酸化カルシウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化アルミニウムなどの多価金属の水酸
化物;アルミニウムイソプロポキシドなどの多価金属ア
ルコキシド;トリエチルアミン、トリ n−プロピルア
ミンなどの第3級アミン;ジエチルアミン、ジn−プロ
ピルアミンなどの第2級アミン;モルホリンなどの環状
アミン;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;炭酸
アンモニウム塩などのアンモニウム塩;酢酸マグネシウ
ム、酢酸カルシウム、酢酸アルミニウムなどの酢酸金属
塩などが挙げられる。これらは、単独で、あるいは2種
類以上組み合わせて使用され得る。
【0034】上記の親水性ポリマーは、親水性基とし
て、さらにポリオキシアルキレン部分を有してもよく、
また架橋剤として作用するようにエチレン性不飽和基を
分子末端または分子内側鎖に有してもよい。
【0035】親水性ポリマーは、コア相形成疎水性ポリ
マー100重量部に対し、好ましくは3重量部〜100
重量部、より好ましくは10重量部〜70重量部の割合
で配合される。この配合量が3重量部未満の場合、得ら
れる感光性樹脂組成物から作成される感光性樹脂印刷版
の水現像性が不充分となる場合があり、逆に100重量
部を超える場合、感光性樹脂印刷版に耐水性が不充分と
なる場合があり、好ましくない。
【0036】シェル相は、上記した親水性ポリマーと相
溶するものであれば、その他の成分を含有してもよい。
このような成分には、親水性ポリマーと相溶するエチレ
ン性不飽和化合物や可塑剤、エラストマー等が挙げられ
る。
【0037】c.連続相 本発明においては、連続相は特定のエチレン性不飽和化
合物を含有する。 1)エチレン性不飽和化合物 本発明で用いられるエチレン性不飽和化合物は、少なく
とも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、遊離ラジカ
ルにより連鎖成長付加重合し、高分子重合体を形成する
性質を有する。即ち、光重合反応可能な化合物であり、
紫外線照射等により重合する。
【0038】本発明で用いられるエチレン性不飽和化合
物は、数平均分子量(Mn)が500以上、好ましくは
500〜300000、より好ましくは500〜100
000であり、かつ分子量分布を表すパラメーターであ
る、Mnに対する重量平均分子量(Mw)の割合、Mw
/Mnが2以上、好ましくは2〜15であり、かつ20
℃における粘度が2000センチポイズ以上、好ましく
は2500センチポイズ以上、より好ましくは3000
センチポイズ以上の高分子量および高粘度を有する。
【0039】本発明で使用されるエチレン性不飽和化合
物は、上記したように高分子量かつ高粘度であるため
に、本発明の感光性樹脂組成物は、光重合前には良好な
固体状態を維持し、作業が容易になり、また保存時にコ
ールドフロー現象が発生しない。また、感光性樹脂組成
物の各成分の混合時には、高分子量かつ高粘度のエチレ
ン性不飽和化合物は、固体であるコア相形成疎水性ポリ
マーとは相溶せずに相分離するので、コアシェル粒子が
連続相内で凝集融着することを防止できる。従って、こ
のような組成物を用いた感光性樹脂印刷版のレリーフ再
現性が良好となる。
【0040】エチレン性不飽和化合物のMnが500未
満の場合、架橋点であるエチレン性不飽和基付近の分子
量が小さいため、架橋点付近が剛直な構造となり、重合
体のフレキシビリティーが損なわれる。また、エチレン
性不飽和基が多官能である場合、当該化合物のMwが5
00未満であれば、前記した理由以外に架橋点間の距離
が小さくなるため、重合体のフレキシビリティーが損な
われる。Mw/Mnが2未満の場合、架橋点であるエチ
レン性不飽和基付近の分子量分布が小さくなり、重合体
のフレキシビリティーが損なわれる。20℃における粘
度が2000センチポイズ未満の場合、調製された感光
性樹脂組成物を室温で良好に固体化できないので、作業
が悪く、また保存時にコールドフロー現象が発生する。
加えて、コア相形成疎水性ポリマーを相分離できない。
【0041】このようなエチレン性不飽和化合物として
は、高分子量ポリオール類の不飽和エステルが挙げられ
る。例えば、ポリエチレングリコール(ジ)(メタ)
(ウレタン)アクリレート、ポリプロピレングリコール
(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコール(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリ
レート等のポリエーテルポリオール(ジ)(メタ)(ウ
レタン)アクリレート;ポリエチレングリコール等のポ
リオールとテレフタル酸、アジピン酸等のポリカルボン
酸を縮合反応して得られるポリエステルポリオールに、
不飽和エステルを導入したポリエステルポリオール
(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレート;ポリブタジ
エンポリオール(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレー
ト、ポリニトリルブタジエンポリオール(ジ)(メタ)
(ウレタン)アクリレート、ポリイソプレンポリオール
(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレート、ポリスチレ
ンブタジエンポリオール(ジ)(メタ)(ウレタン)ア
クリレート等のポリ共役ジエン系ポリオール(ジ)(メ
タ)(ウレタン)アクリレート;ポリエチレンポリオー
ル(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレート、ポリプロ
ピレンポリオール(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレ
ート、ポリエチレンプロピレンポリオール(ジ)(メ
タ)(ウレタン)アクリレート等のポリオレフィンポリ
オール(ジ)(メタ)(ウレタン)アクリレート;上記
の高分子量ポリオールのマレイン酸エステル等が挙げら
れるが、これに限定されない。これらの化合物は、単独
あるいは2種類以上組み合わせて用いられ得る。
【0042】上記したポリオールに不飽和エステルを導
入する方法は、ポリオールと不飽和カルボン酸の脱水化
反応による直接エステル化反応、ポリオールと不飽和カ
ルボン酸エステルとの脱アルコール反応によるエステル
交換反応等の通常のエステル化方法が挙げられる。これ
らの反応のうち、ポリオールと不飽和カルボン酸の脱水
化反応による直接エステル化反応では、予め、ポリオー
ル同士の脱水化反応により生成する多量体化したポリオ
ールと不飽和カルボン酸との脱水化反応によりエチレン
性不飽和化合物を得る方法も含まれる。
【0043】本発明で用いられるエチレン性不飽和化合
物は、コア相形成疎水性ポリマー100重量部に対し
て、好ましくは10重量部〜200重量部、より好まし
くは15〜150重量部の割合で配合される。この配合
量が10重量部未満の場合、得られる感光性樹脂組成物
中でコアシェル粒子が凝集融着したり、また感光性樹脂
印刷版に耐水性を付与することができない場合があり、
逆に配合量が200重量部を超える場合、感光性樹脂印
刷用原版の水現像性が不充分となる場合があり、好まし
くない。
【0044】上記のエチレン性不飽和化合物以外の、エ
チレン性不飽和化合物を配合してもよく、例えば、セチ
ルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコ
ールの不飽和エステル等が挙げられる。その他、ポリオ
ール類の不飽和エステルが挙げられる。例えば、エチレ
ングリコール(ジ)(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコール(ジ)(メタ)アクリレート、グリセロール
(ジ)(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオー
ル(ジ)(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオー
ル(ジ)(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタント
リオール(ジ)(メタ)アクリレート、1,2,4−ブ
タントリオール(トリ)(メタ)アクリレート、1,4
−シクロヘキサンジオール(ジ)(メタ)アクリレー
ト、1,6−シクロヘキサンジオール(ジ)(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパン(ジ)(メタ)ア
クリレート、ジアリルフタレート、トリメチロールプロ
パン(トリ)(メタ)アクリレート、ジアリルフタレー
ト、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、1,9−
ノナンジオール(ジ)(メタ)アクリレート、N置換マ
レアミド化合物(例えば、N−メチルマレアミド、N−
エチルマレアミド、N−ラウリルマレアミド等)等が挙
げられる。
【0045】2)疎水性ポリマー 連続相には、光重合後の組成物の物性改善および弾性向
上の点で、上記のエチレン性不飽和化合物以外に疎水性
ポリマーを含有することが好ましい。この疎水性ポリマ
ーは疎水性エラストマーであり、上記のエチレン性不飽
和化合物と相溶し、かつコア相形成疎水性ポリマーとは
異なる疎水性エラストマーである。このような疎水性エ
ラストマーとしては、例えば、共役ジエン系エラストマ
ー(例えば、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタ
ジエンゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴ
ム、ポリイソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリ
ブタジエン−スチレンブロック共重合体など)、塩素を
含有しないポリオレフィン系エラストマー(エチレンプ
ロピレンゴム、ブチルゴムなど)、アクリルゴム、エチ
レンビニルアセテート等が特に好ましい。
【0046】連続相の疎水性ポリマーは、コア相形成疎
水性ポリマー100重量部に対して、好ましくは400
重量部以下、より好ましくは5重量部〜120重量部の
割合で組成物中に配合される。この配合量が400重量
部を超える場合、コア相形成疎水性ポリマーの配合割合
が小さくなるため、感光性樹脂印刷用原版の水現像性の
発現が困難となる。
【0047】本発明の感光性樹脂組成物は、上記の疎水
性ポリマー、親水性ポリマー、エチレン性不飽和化合物
以外に他の成分、例えば、光重合開始剤、熱重合禁止
剤、可塑剤等が配合されていてもよい。
【0048】本発明で使用される光重合開始剤として
は、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセトフェノン
類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベン
ジルアルキルケタール類、アントラキノン類、チオキサ
ントン類等が挙げられ、具体的には、ベンゾフェノン、
クロロベンゾフェノン、ベンゾイン、アセトフェノン、
ベンジル、ベンゾイン、メチルエーテル、ベンゾインエ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベン
ゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケター
ル、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジイソプロピ
ルケタール、アントラキノン、2−クロロアントラキノ
ン、2−エチルアントラキノン、チオキサントン、2−
クロロチオキサントン、メチルナフトキノン等が例示さ
れ、中でも、ベンジルジメチルケタール、メチルナフト
キノン、および2−エチルアントラキノンが好ましい。
【0049】このような光重合開始剤は、組成物100
重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量
部、より好ましくは、0.1重量部〜5重量部の割合で
配合される。0.01重量部を下回ると光重合開始能が
不十分となる傾向があり、10重量部を超えると自らの
遮光により感光層内部が硬化しなくなり、現像により画
像が欠けやすくなる傾向がある。
【0050】熱重合禁止剤は、光重合反応を抑制するこ
となく熱による重合反応のみを防止するために配合さ
れ、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテ
ル、カテコール、p−t−ブチルカテコール、2,6−
ジ−t−ブチル−p−クレゾール等が挙げられ、中でも
ハドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブ
チル−p−クレゾールが好ましい。
【0051】このような熱重合禁止剤は、組成物100
重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜10重量
部、より好ましくは、0.001重量部〜5重量部の割
合で配合される。
【0052】本発明に使用される可塑剤としては、例え
ば、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリアクリロニトリ
ルブタジエンゴム、液状ポリスチレンブタジエンゴム、
液状イソプレンゴム等の液状ゴム等、ジオクチルフタレ
ート、ジヘプチルフタレートを初めとする脂肪族炭化水
素のフタル酸エステル、トリメリット酸トリオクチルを
初めとするトリメリット酸エステル、アジピン酸2−エ
チルヘキシルをはじめとするアジピン酸エステル等の可
塑剤、分子量が400〜3000付近のアジピン酸系ポ
リエステルまたはポリエーテルエステル等の可塑剤等が
挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用すること
ができる。
【0053】本発明の感光性樹脂組成物は、コア相形成
疎水性ポリマーと、シェル相形成親水性ポリマーと、エ
チレン性不飽和化合物と、当該親水性ポリマーを溶解ま
たは膨潤させる溶剤を混合することにより、コア相形成
疎水性ポリマーとシェル相形成親水性ポリマーとが、そ
れらの親和性に基づく吸着および/または会合等によっ
てコアシェル粒子である分散相を形成し、エチレン性不
飽和化合物が連続相を形成する。このような感光性樹脂
組成物は、各成分の相分離挙動を利用して調製される
が、相分離を進行させる装置および方法は限定されな
い。
【0054】本発明の感光性樹脂組成物の調製方法の例
としては、上記各成分を任意の順序で混合または一括し
て混合する方法、任意の溶剤に各成分を膨潤および分散
させて均一にした後、溶剤を除去する方法が挙げられ
る。このようにして得られた感光性樹脂組成物は、通
常、所望の形状に成型される。
【0055】感光性樹脂組成物の調製において、連続相
を形成するエチレン性不飽和化合物は、高分子量かつ高
粘度であるために、コア相形成疎水性ポリマーとは相溶
せずに相分離し、コア相が形成される。溶剤により溶解
または膨潤したシェル相形成親水性ポリマーは、コア相
形成疎水性ポリマーとはより高い親和性を示すが、連続
相のエチレン性不飽和化合物とはより低い親和性を示す
ので、連続相中に相分離しているコア相の回りを被覆す
る。
【0056】また、コア相形成疎水性ポリマーとは異な
り、かつ当該エチレン性不飽和化合物と相溶する疎水性
ポリマーをさらに配合すると、当該疎水性ポリマーはエ
チレン性不飽和化合物と相溶して連続相を形成する。
【0057】本発明の感光性樹脂組成物は、連続相とし
て高分子量かつ高粘度のエチレン性不飽和化合物を配合
するため室温で固体化する。このため、本発明の感光性
樹脂組成物は、光重合前には良好な固体状態を維持する
ので、作業が容易になり、また保存時にコールドフロー
現象が発生しない。本発明の感光性樹脂組成物は、厚さ
2800mmの感光層上に荷重10gをかけて測定され
る(a/2800)×100%(感光層の厚さの変化
量:amm)で表される形状安定性が、好ましくは5%
以下、より好ましくは2%以下の性能を有する。
【0058】また、高分子量かつ高粘度のエチレン性不
飽和化合物はコア相形成疎水性ポリマーとは相溶せずに
相分離するので、コアシェル粒子が連続相内で凝集融着
することを防止できる。本発明の感光性樹脂組成物は、
コアシェル粒子の最大粒子径は好ましくは30μm以
下、より好ましくは20μm以下という性能を有する。
従って、このような組成物を用いた感光性樹脂印刷版の
レリーフ再現性が良好となる。
【0059】さらに、分散相が疎水性ポリマーを含有す
るコアシェル粒子であるため、耐水性の付与のためにエ
チレン性不飽和化合物を多くする必要がないので、水現
像性および耐水性の両立が可能となる。本発明の感光性
樹脂組成物より作成された感光性樹脂印刷版は、後述す
るように、光重合し、乾燥した重量ag、これを20℃
のイオン交換水に24時間浸漬した後の重量bgとした
時の、(b−a)/a×100%で表される水膨潤率
が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の
性能を有する。
【0060】さらにまた、分散相がコアシェル型粒子で
あるため、耐水性の発現のためにエチレン性不飽和化合
物を多くする必要がないので、本発明の感光性樹脂組成
物より作成された感光性樹脂印刷版の架橋度(硬度)が
高くならない。感光性樹脂印刷版は、JIS−K630
1に準じるスプリング式硬さ試験(A型)法で測定され
る硬度が好ましくは30〜80度、より好ましくは、3
0〜75度、反発弾性率が好ましくは20%以上、より
好ましく25%以上という性能を有する。従って、良好
な弾性を有する感光性樹脂印刷版を得ることができる。
【0061】の相構造を有する感光層においては、シ
ェル相形成親水性ポリマーおよび連続相のエチレン性不
飽和化合物は、それぞれ未硬化の状態では化学的に架橋
されないことが好ましいが、コア相形成疎水性ポリマー
は未硬化の状態では架橋されていても架橋されていなく
てもかまわない。また、シェル相形成親水性ポリマーお
よび連続相のエチレン性不飽和化合物とは、硬化後互い
に化学的に結合されていても結合されていなくともかま
わない。
【0062】各成分の混合に使用される製造装置は、上
記の相分離挙動を生じさせるような製造装置であればど
のような構造でもよい。好ましい製造装置の例として
は、2軸押出機、1軸押出機、加圧ニーダー、バンバリ
ータイプミキサー、または一般的な攪拌機能を有する混
合器(例えば、リボン式攪拌翼、アンカー型攪拌翼、プ
ロペラ式攪拌翼など)が挙げられるが、これらに限定さ
れない。各成分を混合して本発明の感光性樹脂マトリッ
クスでなる樹脂版を作成するための製造方法の例として
は、キャスト法などの方式が挙げられるが、これに限定
されない。
【0063】本発明の感光性樹脂印刷用原版は、好まし
くは、支持体上に接着層、上述の感光性樹脂組成物から
なる感光層、粘着防止層およびカバーフィルムから構成
される。その製造方法としては、接着層を形成した支持
体と、粘着防止層を形成したカバーフィルムとの間に、
感光性樹脂組成物をサンドイッチ上に挟み(接着層と粘
着防止層をともに内側にして)、加熱圧着することによ
り、感光性樹脂版が作製される。上記の粘着防止層はポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド、セルロー
ス、ポリアミドなどを含有する。支持体としては、ポリ
エステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピ
レンフィルムなどが使用され、好ましくはポリエステル
フィルムが使用され得る。
【0064】このような感光性樹脂印刷用原版は紫外線
照射することにより、少なくともエチレン性不飽和化合
物は重合して硬化する。硬化の際に照射する紫外線は、
150〜500nm、特に300〜450nmの波長を
有するものが好ましく、そのような紫外線の光源として
は、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク
灯、紫外線蛍光灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、
ジルコニウムランプ等が望ましい。
【0065】本発明の感光性樹脂印刷版は、上記の感光
性樹脂印刷用原版を上記光源下で透明画像を有するネガ
フィルムを密着させて紫外線を照射し画像露光させた
後、露光されない未硬化部分の非画像部を約20℃〜5
0℃の現像液を用いて除去してレリーフ画像を形成する
ことにより得られる。溶解除去された未硬化の感光性樹
脂は乳濁液あるいは懸濁状溶液となって現像槽中に残
る。
【0066】使用される現像液は、水系の現像液に界面
活性剤が添加されており、前述の親水性ポリマーはこの
界面活性剤が添加された現像液に溶解または分散するも
のを使用することが重要である。即ち、作業安全性、環
境への安全性、入手し易さ等から使用可能な現像液を決
定し、これに合わせて感光層に使用する親水性ポリマー
を選択する。
【0067】上記の界面活性剤としては、アニオン系界
面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、両性界面活性剤等を幅広く使用することができる。
界面活性剤の添加量は、現像液中、0.01〜10重量
%が好ましい。又、最適な現像を行えるように上記の界
面活性剤を複数を組み合わせて使用してもよい。
【0068】現像液は、作業者の安全性、環境への配慮
から水系の現像液が好ましく、必要に応じてエタノー
ル、イソプロパノール、セロソルブ、グリセリン、ポリ
エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド、アセトン等の水と混和し得る有機溶媒を
混合してもよい。
【0069】また、現像液には、炭酸ソーダ、トリポリ
リン酸ソーダ、ピロリン酸カリウム、ケイ酸ソーダ、硫
酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、酢酸ソーダ、酢酸マグネシウ
ム、クエン酸ソーダ、コハク酸ソーダ等の中性、酸性ま
たはアルカリ性の無機または有機の塩類;カルボキシメ
チルセルロース、メチルセルロース等の高分子系添加
剤;pH調整のための硫酸、塩酸、リン酸等の酸、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の
アルカリ;その他、粘度調整剤、分散安定剤、凝集剤、
ゼオライト等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよ
い。
【0070】なお、現像は感光性樹脂印刷用原版を現像
液に浸漬し、必要ならばブラシで感光性樹脂層を擦り、
未硬化部分を除去して行う。現像時の温度は20〜50
℃が好ましい。
【0071】このようにして得られた感光性樹脂印刷版
は、ゴム弾性を有し、フレキソ印刷版として有用であ
る。また、耐インク性、インクの転移性、耐刷性にも優
れている。
【0072】なお、本発明の感光性樹脂組成物は、フレ
キソ印刷版用として使用する以外にフォシレジスト用、
サンドプラスト用にも適用でき、他に紫外線により硬化
するエラストマーとしての用途、接着剤、フィルム、塗
料等にも使用できる。
【0073】
【実施例】以下の実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、
実施例中、部は重量部を意味する。また、レリーフ深
度、硬度、反発弾性率、水膨潤率、形状安定性、コアシ
ェル形成の有無、粒子凝集の有無について以下に示す。
【0074】1.エチレン性不飽和化合物のMnおよび
Mw/Mnの測定条件 使用機器:島津製作所製 GPC LC−4A 使用サンプル:1重量%THF溶液 流量:1ml/分 カラム:shodexKF−805L 測定温度:20℃ UV波長:220nm 2.エチレン性不飽和化合物の粘度の測定方法 ローター式ブルックフィールド型粘度計により、JIS
K−6726に準じて20℃で測定した。 3.レリーフ深度 感光性樹脂印刷版について、現像後の画像部と非画像部
の高さの差をONO測器製OG−911により測定し
た。 4.硬度 感光性樹脂印刷版について、JIS−K6301に準ず
るスプリング式硬さ試験(A法)により20℃で測定し
た 5.反発弾性率:感光性樹脂印刷版について、径10m
m(重さ4.16g)の鋼製ボールを高さ20cmより
落とし、跳び返る高さ(a)を読み取り、(a/20)
×100%を表示値とした。 6.水膨潤率:感光層樹脂組成物を厚み0.1cm、縦
2.0cm、横5.0cmのシートに成形し、照射量4
000mJ/cm2 の露光を行った。このシートを真空
乾燥器60℃において24時間乾燥を行った。この重量
を秤量した(a(g))。これを20℃のイオン交換水
に24時間浸漬し、秤量した(b(g))。水膨潤率と
して(b−a)/a×100%を表示値とした。 7.形状安定性:円筒型検出端子(検出端子直径:10
mm、荷重10g重)付き厚み計(小野測器製DG−9
11)の検出端子を、感光性樹脂組成物からなる感光層
が形成された支持体(全厚み2800mm)の感光層側
に60秒間のせ、その変化量(amm)を読み取り、
(a/2800)×100%を表示値とした。 8.コアシェル粒子および粒子凝集の有無 感光性樹脂組成物を25℃においてカチオン系染料(プ
リモシアニン:クリスタルバイオレット)1.0%水溶
液に30分間浸漬し親水性ポリマーを選択的に染色し
た。その状態を光学顕微鏡でコアシェル型粒子がマトリ
ックス内に生じているかどうか観察した。さらに、この
複数のコアシェル型粒子が、互いに凝集していないかど
うかも観察した。複数のコアシェル型粒子が近接または
融化している場合、粒子凝集が生じると評価した。
【0075】実施例1 <親水性ポリマーIの調製>ヘキサメチレンジイソシア
ナート276部、ジメチロールプロピオン酸145部、
ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG−85
0:保土谷化学(株)製)175部、ヒドロキシエチル
メタアクリレート60部、末端にアミノ基を有するアク
リロニトリル−ブタジエンオリゴマー(HYCAR−A
RBN1300×16:宇部興産(株)製)343部、
およびジ−n−ブチルスズジラウレート20部を、テト
ラヒドロフラン1000部に、冷却管付き2リットルフ
ラスコ内で溶解させた後、60℃で4時間反応を行っ
た。反応の終了は、残留NCO量を定量することにより
確認した。形成されたポリマー中の−COOH基を水酸
化リチウム1水和塩および酢酸マグネシウム4水和塩を
半当量ずつ用いて中和し、親水性ポリマーIを得た。
【0076】<エチレン性不飽和化合物Iの調製>水酸
基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化学
(株)製:Poly−bd R−45HT、数平均分子
量2800)とアクリル酸を混合して、脱水化反応を行
い、数平均分子量7100、Mw/Mnが3.8、20
℃における粘度が7500センチポイズであるエチレン
性不飽和化合物Iを得た。
【0077】<感光性樹脂組成物の調製>上記親水性ポ
リマーIを10部、塩素化ポリエチレン(昭和電工
(株)製:エラスレン:301MA;ガラス転移温度:
−30℃〜−25℃)46部、ポリブタジエン(日本合
成ゴム(株)製:BRO2LL,ガラス転移温度:−1
02℃〜−75℃)14部、エチレン性不飽和化合物I
を27部、ベンジルジメチルケタール1部、ハイドロキ
ノンモノメチルエーテル0.1部、2,6−ジ−t−ブ
チルクレゾール0.2部、メチルナフトキノン0.05
部、2−エチルアントラキノン0.5部、トルエン10
0部、および水10部を、75℃にて加圧ニーダーで混
練し、溶剤を除去して感光性樹脂組成物を得た。 実施例2 <エチレン性不飽和化合物IIの調製>水酸基末端液状
ポリブタジエン(出光石油化学(株)製:Poly−b
d R45HT、数平均分子量2800)とアクリル酸
を混合して、脱水化反応を行い、数平均分子量800
0、Mw/Mnが4.3、20℃における粘度が950
0センチポイズであるエチレン性不飽和化合物IIを得
た。
【0078】実施例1において、エチレン性不飽和化合
物Iのかわりにエチレン性不飽和化合物IIを27部を
用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感光性樹脂
組成物を得た。
【0079】実施例3 実施例1において、塩素化ポリエチレンのかわりに、ニ
トリルブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製:JSR
222SH)46部を用いたこと以外は、実施例1と同
様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0080】実施例4 実施例1において、塩素化ポリエチレン、ポリブタジエ
ン、エチレン性不飽和化合物Iのかわりに、実施例1と
同様の塩素化ポリエチレン36部、ポリイソプレンゴム
(クラレ製:IR−10)14部、エチレン性不飽和化
合物Iを21部、ステアリルメタアクリレート6部、ジ
オクチルフタレート10部を用いたこと以外は、実施例
1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0081】実施例5 実施例2において、エチレン性不飽和化合物IIのかわ
りに、エチレン性不飽和化合物IIを21部、1,9−
ノナンジオールメタアクリレート6部を用いたこと以外
は、実施例2と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0082】実施例6 <親水性ポリマーIIの調製>ヘキサメチレンジイソシ
アナート299部、ジメチロールプロピオン酸144
部、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG−
850:保土谷化学(株)製)68部、ヒドロキシエチ
ルメタアクリレート60部、末端にアミノ基を有するア
クリロニトリルブタジエンオリゴマー(HYCAR−A
RBN1300×16:宇部興産(株)製)429部、
およびジ−Nブチルスズジラウレート20部をテトラヒ
ドロフラン1000部に、冷却管付2リットルフラスコ
内で溶解した後、60℃で4時間反応を行った。反応の
終了は、残留NCO量を定量することにより確認した。
反応溶液中に存在する−COOH基を水酸化リチウム1
水和塩および酢酸マグネシウム4水和塩を半当量ずつ水
溶液中で中和し親水性ポリマーIIを得た。
【0083】<エチレン性不飽和化合物IIIの調製>
水酸基を末端に有する液状ポリブタジエン(出光石油化
学(株)製:Poly−bd R−45HT、数平均分
子量2800)とアクリル酸メチルを混合して、エステ
ル交換反応を行い、数平均分子量(Mn)5700、M
w/Mn3.1、20℃における粘度が4100センチ
ポイズであるエチレン性不飽和化合物IIIを得た。
【0084】<感光性樹脂組成物の調製>実施例5にお
いて、親水性ポリマーI、エチレン性不飽和化合物II
のかわりに、親水性ポリマーIIを10部、エチレン性
不飽和化合物IIIを21部を用いたこと以外は、実施
例5と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0085】実施例7 <エチレン性不飽和化合物IVの調製>水酸基を末端に
有するポリイソプレン(出光石油化学(株)製:Pol
y−IP)とアクリル酸を混合して脱水化反応を行い、
数平均分子量(Mn)8000、Mw/Mn4.0、2
0℃における粘度が8000センチポイズであるエチレ
ン性不飽和化合物IVを得た。
【0086】<感光性樹脂組成物の調製>実施例1にお
いて、エチレン性不飽和化合物Iのかわりに、エチレン
性不飽和化合物IVを27部用いたこと以外は、実施例
1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0087】実施例8 実施例1において、エチレン性不飽和化合物Iのかわり
に、アクリレート化ポリイソプレン(クラレ(株)製:
UCL−1、数平均分子量25000、Mw/Mn=
3.5、20℃における粘度80000センチポイズ)
27部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感
光性樹脂組成物を得た。
【0088】実施例9 実施例1において、エチレン性不飽和化合物Iのかわり
に、オリゴブタジエンウレタンアクリレート(出光石油
化学(株)製:ACR−LC、水酸基末端ポリブタジエ
ン(R45HT、数平均分子量2800)のウレタンア
クリレート、数平均分子量12000、Mw/Mn=
3.5、20℃における粘度45000センチポイズ)
27部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感
光性樹脂組成物を得た。
【0089】実施例10 <エチレン性不飽和化合物Vの調製>ポリテトラメチレ
ングリコール(数平均分子量650)とイソホロンジイ
ソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートを反応さ
せることよりエチレン性不飽和化合物Vを得た。得られ
たエチレン性不飽和化合物Vの数平均分子量2000、
Mw/Mn=3.1、20℃における粘度は3000セ
ンチポイズであった。
【0090】<感光性樹脂組成物の調製>実施例1にお
いて、エチレン性不飽和化合物Iのかわりに、エチレン
性不飽和化合物Iを20部、エチレン性不飽和化合物V
を7部用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で感光
性樹脂組成物を得た。
【0091】実施例11 <エチレン性不飽和化合物VIの調製>水酸基を末端に
有するポリブタジエンを水添したポリオール(三菱化学
(株)製:ポリテールHA)253.7g、ヘキサメチ
レンジイソシアナート40.8g、ジ−n−ブチルスズ
ジラウリレート2.9gを混合し、N2 下80℃で4時
間反応させた後、ヒドロキシエチルアクリレート27
g、フェノチアジン0.005gを添加し、さらに80
℃で4時間反応を行い、エチレン性不飽和化合物VIを
得た。得られたエチレン性不飽和化合物VIの数平均分
子量9500、Mw/Mn=3.9、20℃における粘
度は10000センチポイズ以上であった。 <感光性樹脂組成物の調製>実施例5において、1,9
−ノナンジオールメタアクリレートのかわりに、エチレ
ン性不飽和化合物VIを6部用いたこと以外は、実施例
5と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0092】実施例12 実施例1において、塩素化ポリエチレンの代わりに、ス
チレンブタジエンスチレンブロック共重合体(ガラス転
移温度:−90℃,シェル石油化学社製、クレイトン1
101)46部を用いたこと以外は、実施例1と同様の
方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0093】実施例13 実施例1において、エチレンプロピレンゴム(ガラス転
移温度:−60℃〜−50℃,JSR−EP51:日本
合成ゴム(株)製)40部、イソブチレンゴム(ガラス
転移温度:−75℃〜−63℃,JSR−Butyl
365:日本合成ゴム(株)製)15部、末端カルボキ
シル基含有ブタジエンオリゴマー(HYCAR−CTB
2000×162:宇部興産(株)製)14部、エチレ
ン性不飽和化合物Iを25部用い、実施例1と同様の光
重合開始剤、熱重合禁止剤を用いたこと以外は、実施例
1と同様の方法で感光性樹脂組成物を得た。
【0094】実施例14 実施例1において、塩素化ポリエチレンのかわりに、ア
クリルゴム(日本ゼオン(株)製:NIPOL AR5
4)46部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法
で感光性樹脂組成物を得た。
【0095】比較例1〜14 実施例1〜14において、エチレン性不飽和化合物のか
わりに、それぞれ1,6−ヘキサメチレンジアクリレー
トを用いたこと以外は、実施例1〜14と同様の方法で
感光性樹脂組成物を得た。
【0096】実施例1〜14および比較例1〜14で得
られた感光性樹脂組成物について、形状安定性、コアシ
ェル粒子並びに粒子凝集の有無、および水膨潤性につい
て評価した。その結果を表1または表2に示す。
【0097】<感光性樹脂印刷用原版の作成>一面に厚
さ125μmのウレタン系接着層を有するポリエステル
フィルムと、一面に厚さ100μmのポリビニルアルコ
ール層を有するポリエステルフィルムを準備し、これら
のポリエステルフィルムを接着剤層とポリビニルアルコ
ール層とを内側にして、実施例1〜14および比較例1
〜14で得られた感光性樹脂組成物をサンドウィッチ状
にはさみ、ヒートプレス機で100℃にて100kg/
cm2 の圧力をかけ、厚さ2.9mmのシートを得た。
次に、ポリビニルアルコール層を有するポリエステルフ
ィルムのみを剥離して、感光性樹脂層上にポリビニルア
ルコール層を残し、感光性樹脂印刷用原版を得た。 <感光性樹脂印刷版の作成>得られた感光性樹脂印刷用
原版のポリビニルアルコール層上に、画像を有するネガ
フィルムを密着して高輝度ランプ(アンダーソンアンド
ブリーランド社製ホットバルブランプ)で照射量400
0mJ/cm2 の露光を行った。ネガフィルムを除いた
後、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2重量%を含
む中性水により40℃15分間、ブラシによる現像を行
い感光性樹脂印刷版を得た。得られた感光性樹脂印刷版
について、レリーフ深度、硬度および反発弾性率につい
て評価した。その結果を表1または表2に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】表1、表2より、実施例1〜14で得られ
た感光性樹脂組成物は、コアシェル粒子の凝集がなく、
形状安定性および水膨潤性も良好なものであり、感光性
樹脂印刷版は、レリーフ深度が1.1〜2.0mmであ
り、使用したネガフィルムの画像を忠実に再現してお
り、また良好な弾性を有するものであり、インキの受理
転移性もよく鮮明な画像を示した。
【0101】しかし、比較例1〜14で得られた感光性
樹脂組成物はコアシェル粒子の凝集が見られ、また形状
安定性も劣ったいた。感光性樹脂印刷版は、レリーフ深
度が0.3〜0.7mmであり、使用したネガフィルム
の画像を忠実に再現しておらず、また弾性も劣ったもの
であった。
【0102】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、分散相の凝集がなく、作業性および保存安定性
に優れ、水系現像性および耐水性(特に耐インキ性)と
いう相反する要求を満足し、レリーフ再現性が良好で、
優れた弾性を有する感光性樹脂印刷用原版および感光性
樹脂印刷版を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西森 直樹 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 加地 篤 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 今橋 聰 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続相と、当該連続相に分散された微粒
    子状の分散相からなる相分離構造を有する感光性樹脂組
    成物であって、 連続相が、数平均分子量Mnが500以上、Mnに対す
    る重量平均分子量Mwの割合、Mw/Mnが2以上、か
    つ20℃における粘度が2000センチポイズ以上であ
    るエチレン性不飽和化合物を含有することを特徴とする
    感光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 分散相が、疎水性ポリマーを含有するコ
    ア相と、当該コア相を被覆し、かつ親水性ポリマーを含
    有するシェル相とからなるコアシェル粒子であることを
    特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 連続相が、請求項1に記載のエチレン性
    不飽和化合物と、コア相に含有される疎水性ポリマーと
    は異なり、かつ当該エチレン性不飽和化合物と相溶する
    疎水性ポリマーとを含有することを特徴とする請求項2
    に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 数平均分子量Mnが500以上、Mnに
    対する重量平均分子量Mwの割合、Mw/Mnが2以
    上、かつ20℃における粘度が2000センチポイズ以
    上であるエチレン性不飽和化合物と、親水性ポリマー
    と、疎水性ポリマーと、当該疎水性ポリマーとは異な
    り、かつ当該エチレン性不飽和化合物と相溶する疎水性
    ポリマーと、当該親水性ポリマーを溶解または膨潤させ
    る溶剤とを混合し、相分離によって連続相とコアシェル
    粒子の分散相とを形成させることを特徴とする感光性樹
    脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体と、請求項1〜3のいずれかに記
    載の感光性樹脂組成物を含有する感光層とが積層されて
    なることを特徴とする感光性樹脂印刷用原版。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の感光性樹脂印刷用原版
    を露光、次いで現像してなることを特徴とする感光性樹
    脂印刷版。
JP8910897A 1997-04-08 1997-04-08 感光性樹脂組成物、その製造方法、それを用いた感光性樹脂印刷用原版および感光性樹脂印刷版 Pending JPH10282661A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003147217A (ja) * 2001-11-16 2003-05-21 Jsr Corp 液状硬化性樹脂組成物
US6949327B2 (en) 2003-07-09 2005-09-27 Kodak Polychrome Graphics Llc On-press developable lithographic printing plate
JP2017105201A (ja) * 2013-06-11 2017-06-15 ボール コーポレイションBall Corporation 装飾装置及び同装飾装置を用いて容器の外面を装飾する方法

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