JPH10279733A - 耐油性ゴム組成物及び該組成物と繊維との複合体 - Google Patents

耐油性ゴム組成物及び該組成物と繊維との複合体

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JPH10279733A
JPH10279733A JP9804897A JP9804897A JPH10279733A JP H10279733 A JPH10279733 A JP H10279733A JP 9804897 A JP9804897 A JP 9804897A JP 9804897 A JP9804897 A JP 9804897A JP H10279733 A JPH10279733 A JP H10279733A
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rubber
mooney viscosity
nitrile group
highly saturated
containing highly
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JP9804897A
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Yoshinori Fujii
義徳 藤井
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビ
ニル樹脂との混合物の加工性を改良し、これに加硫剤等
を配合してなるゴム組成物を加硫したゴム材料の強度特
性等を向上させること。 【解決手段】 老化防止剤の存在下に高せん断力を付与
することによってそのムーニー粘度を15ポイント以上
低下させたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムであっ
て、ムーニー粘度が20〜135であり、分子量分布
(Mw/Mn)が3〜5であり、かつ、ムーニー粘度を
低下させた後、室温で30日間放置後のムーニー粘度の
上昇が10ポイント以下であるニトリル基含有高飽和共
重合体ゴムにポリ塩化ビニル樹脂を配合してなる耐油性
ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性が改良され
たニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに塩化ビニル樹脂
をブレンドしてなるゴム組成物に関し、さらに詳しく
は、該ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル
樹脂の混練分散性を向上し、かつ押出し成形性にも優
れ、さらに、ガソリン、サワーガソリン、エンジンオイ
ルに対し耐薬品性があり、耐熱性、耐オゾン性、耐圧縮
歪性及び耐油性に優れたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、耐油性、耐オゾン性、を有す
るゴム加硫物を与えるゴム組成物として、アクリロニト
リル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)と塩化ビニル
樹脂とを混合してなるゴム組成物が知られている。ま
た、出願人は既に、部分水素化アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体ゴム(HNBR)と塩化ビニル樹脂との
混合物が耐油性及び耐寒性のバランスに優れ、かつ、耐
オゾン性、耐サワーガソリン性が従来の水準を上回るゴ
ム材料であることを報告した(特公昭60−4921
8)。
【0003】しかしながら、HNBRと塩化ビニル樹脂
とを固体状態で混合するドライブレンドにおいては、H
NBRと塩化ビニル樹脂との粘度差が大きいために、そ
れぞれを均一分散させることが難しい場合がある。とく
に、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの加工性は改良
することが望まれている。
【0004】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに良好
な加工性を付与するために、高剪断力によってそのムー
ニー粘度を低下させる方法が提案されている(特開平3
−122103号)。この提案された方法は、酸素また
は過酸化物のような酸素供与体とラジカル転移剤の存在
下に、ムーニー粘度55〜100の水素化ニトリルゴム
を高剪断強度で剪断することによって熱酸化分解して、
ムーニー粘度を30〜50に低下することからなる。
【0005】しかし、この提案された方法は、熱酸化分
解時に発生する遊離ラジカルを酸素供与体で安定化する
ものであるが、高剪断処理後に存在する過酸化物、カル
ボキシル基、カルボニル基などがゲル化の原因となるた
め、高剪断処理後に通常の老化防止剤を配合しても、ゴ
ムの保存中にムーニー粘度が上昇することが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ニト
リル基含有高飽和共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂との混
合物の加工性を改良し、これに加硫剤等を配合してなる
ゴム組成物を加硫したゴム材料の強度特性等を向上させ
ることにある。そこで本発明者は鋭意検討を重ねた結
果、老化防止剤の存在下に2軸押し出し機を使用してそ
のムーニー粘度を低下させた水素化アクリロニトリル−
ブタジエン共重合体ゴムと塩化ビニル樹脂との混合物
が、従来技術と比較して加工性が改良できることを見い
だし、この知見に基づき本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、下記(1)ないし(4)が提供される。 (1)老化防止剤の存在下に高剪断力を付与することに
よってそのムーニー粘度を15ポイント以上低下させた
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムであって、ムーニー
粘度が20〜135であり、分子量分布(Mw/Mn)
が3〜5であり、かつ、ムーニー粘度を低下させた後、
室温で空気中に30日間放置せる間のムーニー粘度の上
昇が10ポイント以下であるニトリル基含有高飽和共重
合体ゴムとポリ塩化ビニル樹脂とを配合してなる耐油性
ゴム組成物。 (2)(1)の耐油性ゴム組成物と繊維との複合体。 (3)ホース用である(2)の複合体。 (4)ダイヤフラム用である(2)の複合体。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。 (ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム)本発明で使用す
る高剪断処理されたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロ
ロアクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル
と、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどの
共役ジエンとの共重合体、または、上記の二種の単量体
およびこれと共重合可能な単量体、例えば、ビニル芳香
族化合物、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アク
リレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、
シアノアルキル(メタ)アクリレートなどの少なくとも
1種との多元共重合体であるニトリル基含有不飽和共重
合体ゴムの炭素−炭素二重結合を水素化したゴムを、老
化防止剤の存在下で高剪断力を付与することによっての
ムーニー粘度を低減させたゴムである。
【0009】この高剪断力を付与されるニトリル基含有
高飽和重合体ゴムは、エチレン性不飽和ニトリル単量体
単位を通常10〜60重量%、好ましくは20〜50重
量%の割合で含み、炭素−炭素二重結合を部分水素化な
どの手段によって70%以上、好ましくは90%以上水
素化したものである。エチレン性不飽和ニトリル単量体
単位の含有量が10重量%未満では耐油性が十分ではな
く、逆に、60重量%を越えると弾性が低下するので好
ましくない。炭素−炭素二重結合の含有量が30重量%
を越えると、強度特性が低下する。このニトリル基含有
高飽和共重合体ゴムは一般に良好な耐油性、耐熱性およ
び耐候性を有する。
【0010】このニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの
具体例としては、水素化アクリロニトリル−ブタジエン
共重合体ゴム、水素化アクリロニトリル−イソプレン共
重合体ゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエン−ア
クリレート共重合体ゴム、水素化アクリロニトリル−ブ
タジエン−アクリレート−メタクリル酸共重合体ゴムな
どが挙げられる。
【0011】この高剪断力を付与されるニトリル基含有
高飽和共重合体ゴムのムーニー粘度ML4 は通常60〜
150の範囲である。また、そのヨウ素価は120以
下、好ましくは60以下である。
【0012】かかるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム
は、高剪断力付与処理によって、ニトリル基含有高飽和
共重合体ゴムのムーニー粘度は60〜150の範囲から
15ポイント以上、好ましくは30ポイント以上、さら
に好ましくは60ポイント以上低下し、ムーニー粘度が
5〜135、好ましくは、20〜120、さらに好まし
くは20〜90の範囲に低下する。
【0013】この高剪断力付与処理とは、通常、酸素、
過酸化物、硝酸塩などのような酸素供与体の実質的不存
在下に剪断速度500〜5000S-1、好ましくは80
0〜4800S-1の下で、温度200〜380℃、好ま
しくは240〜360℃の範囲において、通常50〜2
00秒間、好ましくは90〜150秒間行われるもので
ある。ここで、酸素供与体の実質的不存在下とは、例え
ば特開平3−122103号に記載されているように、
上記酸素供与体を共存させる態様を含まないことを意味
し、必ずしも窒素などの不活性ガス雰囲気下での処理に
限定されるものではない。
【0014】高剪断力付与処理によってムーニー粘度が
低減されたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、ムー
ニー粘度を低下させた後、室温で空気中30日間放置せ
る間のムーニー粘度の上昇が最大でも10ポイント以
下、好ましくは5ポイント以下であり、その分子量分布
は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と
の比(Mw/Mn)として通常3以上5.0以下、好ま
しくは3.5以上4.5以下であり、実質的にゲルを含
有しないゴムである。ここで、平均分子量はGPC(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により標
準ポリスチレンに換算したものである。また、ゲル量は
80メッシュ金網を用いてメチルエチルケトン中に48
時間浸漬後に測定される値を指す。
【0015】高剪断力を付与するのに適当な装置として
は、単軸または多軸スクリューを具えた押出機が挙げら
れ、特に二軸スクリュー押出機が好ましく用いられる。
押出機のL/D(長さ/直径)比は格別限定されず、約
10〜100の範囲で適当に選定される。一般に、直列
に連なる複数のバレルから構成される押出機であって、
原料投入用ホッパーに続く最初の帯域では原料ゴムを溶
融するとともに老化防止剤を均一分散せしめ、引続く帯
域ではスクリューの剪断力を利用して、所定の高温度で
ゴムに高剪断力を付与し、次いで脱気用ベントが設けら
れた帯域で減圧下に揮発性の副生成物が除去され、最後
に押出しヘッドを具えた押出し帯域から、ムーニー粘度
が低減されたゴムが吐出されるように構成された押出機
を用いることが好ましい。最後の脱気帯域は10〜75
0mmHg、好ましくは700〜750mmHg減圧状
態に保持されるが、常圧に保持しても差支えない。ま
た、所望により、剪断力付与処理を行うに際し、例え
ば、2−ベンゾアミドチオフェノールの亜鉛塩のような
素練り促進剤を添加してもよい。
【0016】たとえば、高剪断力を付与する装置として
は、二軸スクリュー押出機の中でも、特に好ましくは完
全かみ合い型でスクリューが同方向に回転する二軸押出
機を挙げることができる。スクリューの形状は、2条以
上のスクリューを用いることがせん断力を与えるうえで
好ましく、特に二条スクリューまたは3条スクリューが
さらに好ましい。具体的な態様は以下のとおりである。
【0017】押出機のL/D(長さ/直径)比は少なく
とも30であり、好ましくは30〜50である。30よ
り小さいと、冷却ゾーンが充分に確保できず、そのため
押出機の出口でゴムが充分に冷却されず、ゴムがうまく
引取れなかったり、高温で押出されるため、ゴムの劣化
あるいはゲルが起こる。つまり、ゴムは粘度が高いため
高せん断下では発熱が非常に大きくゴムが簡単に高温に
達する。そのためゴムを押出機から押出される前に充分
冷却されることが必要であり、押出機の冷却ゾーンを必
要なだけ設ける必要がある。押出機の出口のゴム温度は
360℃以下、好ましくは330℃以下である。
【0018】一般に、直列に連なる複数のバレルから構
成される押出機であって、原料投入用ホッパーに続く押
出機1/3の最初の帯域では原料を溶融させるととも
に、老化防止剤をゴムに均一分散させた、本質的に均一
なブレンドが形成される。この帯域におけるスクリュー
構成は、基本的に送りの搬送セクションで構成され、材
料を徐々に圧縮する構成が用いられる。また、設定温度
も溶融混練が適当に行われる様な設定が好ましく、実際
には、250℃まで数段階に上昇されることが好まし
い。
【0019】続く1/3の帯域では、混練セクションで
構成されるスクリューが用いられ、スクリューのせん断
力を利用して、所定の高温度でゴムにせん断力を付与さ
れる。この時の温度設定は、240〜320℃であり、
好ましくは260から300℃である。高温であればあ
るほど、ムーニー粘度の低下率は大きくなるが、ゴム温
度の上昇をきたし、ゴムが充分冷却されないうちに押出
され、その結果、上記のごとくゴムの劣化、ゲルを引き
起こし好ましくない。また、240℃より低いと、ゴム
のムーニー粘度の低下は低い。しかし、剪断発熱でゴム
温度を上昇させるという手段もかんがえられるが、押出
機での安定性産性にかけるため、上記温度設定が好まし
い。
【0020】続く最後の1/3の帯域では高温に加熱し
たゴムを冷却する帯域であり、さらに脱気用ベントが設
けられ減圧下に水分や揮発性の副生成物が除去され、最
後に押出しヘッドを具えた押出し帯域からムーニー粘度
が低下されたゴム押出される。この帯域におけるスクリ
ュー構成は基本的にせん断力の小さい送りの搬送セクシ
ョンを用いて構成されることが好ましい。つまり、ゴム
がこの帯域を通過するあいだに充分冷却される必要があ
り、その通過に要する時間は、スクリューのピッチで制
御することができる。この時の温度設定は180〜25
0℃である。脱気帯域は10〜750mmHg、好まし
くは700〜750mmHfの減圧状態に保持される
が、常圧に保持しても差し支えない。
【0021】高剪断力を付与する際に使用する老化防止
剤は、ゴム技術の分野において、ゴムの酸化反応等によ
れ生成するゴムラジカルやゴムヒドロペルオキシラジカ
ルを酸化連鎖反応機構に関与しない型にしたり、ヒドロ
ペルオキシドを安定なアルコール型に変化させてしまう
ような機能を有するものであり、ゴムの老化を防ぎ、そ
の寿命を長くする目的で使用される有機化合物である。
【0022】使用する老化防止剤の例としては、芳香族
二級アミン系、アミン・ケトン系、メルカプトベンゾイ
ミダゾール系、ビスフェノール系、モノフェノール系、
チオビスフェノール系、ヒドロキノン系、ニッケル塩
素、チオウレア系、チオエーテル系およびリン系の老化
防止剤の中から選ばれる。これらの中でも、芳香族二級
アミン塩素、アミン・ケトン系、メルカプトベンゾイミ
ダゾール系およびビスフェノール系の老化防止剤などが
挙げられる。
【0023】芳香族二級アミン系老化防止剤は窒素原子
に芳香族環が結合した二級アミンであり、その具体例と
しては、オクチル化ジフェニルアミン、アルキル化ジフ
ェニルアミン、4,4′−ビス(ジメチルベンジル)ジ
フェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミンなどの
ジアリールアミン系老化防止剤、ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン、ジナフチル−p−フェニレンジアミン
などのジアリール−p−フェニレンジアミン系老化防止
剤、およびN−イソプロピル−N′−フェニル−p−フ
ェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N′
−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(3−メタ
クリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N′−
フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(メタアクリ
ロイル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミンな
どのアルキル・アリール−p−フェニレンジアミン系老
化防止剤が挙げられる。
【0024】アミン・ケトン系老化防止剤は芳香族アミ
ンとケトンとの縮合生成物であって、その具体例として
は、アニリン・アセトン縮合生成物、p−フェネジン・
アセトン縮合物、ジフェニルアミン・アセトン縮合物な
どが挙げられる。
【0025】メルカプトベンゾイミダゾール系老化防止
剤の具体例としては、メルカプトベンゾイミダゾールお
よびその亜鉛塩、メルカプトメチルベンゾイミダゾール
およぞその亜鉛塩などが挙げられる。
【0026】ビスフェノール系老化防止剤の具体例とし
ては、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−
メチル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノ
ール・アルカン;および4,4′−チオビス(3−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)などのビスフェノール
・スルフィドが挙げられる。
【0027】モノフェノール系老化防止剤の具体例とし
ては、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4
−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート、2,4−ジメチル−6−(1−メチルシクロヘ
キシル)フェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−
ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−
メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロ
−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,
6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどが挙げ
られる。
【0028】チオビスフェノール系老化防止剤の具体例
としては、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、4,4′−ビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フルフィド、4,
4′−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)な
どが挙げられる。
【0029】ヒドロキノン系老化防止剤の具体例として
は、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ
−t−アミルヒドロキノンなどが挙げられる。
【0030】ニッケル塩素老化防止剤の具体例として
は、ニッケルジメチルジチオカーバメート、ニッケルジ
エチルジチオカーバメート、ニッケルジブチルチオカー
バメート、ニッケルイソプロピルサントゲン酸塩などが
挙げられる。
【0031】チオウレア系老化防止剤の具体例として
は、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)チオウレ
ア、トリブチルチオウレアなどが挙げられる。
【0032】チオエーテル系老化防止剤の具体例として
は、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジス
テアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリ
スリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネー
ト)などが挙げられる。
【0033】リン系老化防止剤の具体例としては、トリ
ス(ノニル化フェニル)フォスファイトなどが挙げられ
る。
【0034】老化防止剤の使用量は、ニトリル基含有高
飽和共重合体ゴム100重量部に対し、通常1〜10重
量部、好ましくは2〜5重量部である。
【0035】老化防止剤は単独で用いても、または二以
上を組合せ用いてもよい。また、高剪断力を付与するニ
トリル基含有高飽和共重合体ゴムに一度に添加しても、
または分割添加してもよい。二種以上の老化防止剤を用
いる場合、例えば、最初にアミン・ケトン系老化防止剤
を添加し、押出機から押出し、後にメルカプトベンゾイ
ミダゾール系老化防止剤を添加することもできる。
【0036】(ポリ塩化ビニル系樹脂)本発明で使用す
るポリ塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニルホモポリマ
ー及び塩化ビニル単位と塩化ビニルとラジカル共重合し
得る他の単量体との公知の塩化ビニル単位含有率60重
量%以上の共重合体などを特に制限なく使用することが
でき、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−酢酸ビニルポリマーとの塩化ビニルのグラフト共
重合体、少量のジビニルベンゼン、ジアリルフタレート
等の2官能性単量体を共重合した部分架橋塩化ビニル樹
脂等を使用することができる。
【0037】本発明で使用するポリ塩化ビニル樹脂の分
子量は格別限定されるものではないが、通常平均重合度
600〜2,000のものが使用される。
【0038】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとポリ
塩化ビニル樹脂との混合比は、通常、不飽和ニトリル−
共役ジエン共重合体95〜50重量部、好ましくは80
〜60重量部に対しポリ塩化ビニル樹脂5〜50重量
部、好ましくは20〜40重量部である。特に、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体の水素化物約70重量
部とポリ塩化ビニル樹脂約30重量部との混合物が最適
である。
【0039】ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとポリ
塩化ビニル樹脂とをブレンドする方法はとくに限定され
ないが、通常は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムと
ポリ塩化ビニル樹脂粉末とをバンバリーミキサーなどを
用い高温で混合するドライブレンド法などが採られる。
なお、溶液法も採用することができる。
【0040】本発明のゴム組成物には、必要に応じて、
ゴム分野において使用される通常の他の配合剤、例え
ば、硫黄系加硫剤又は有機過酸化物系加硫剤等の加硫
剤、補強剤(カーボンブラック、シリカ、タルクな
ど)、充填剤(炭酸カルシウム、クレーなど)、加工助
剤、プロセス油、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、加硫
助剤、着色助剤などを配合することができる。
【0041】本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定
されないが、通常は、押出機やロール、バンバリーミキ
サーなどの混合機により、ニトリル基含有高飽和共重合
体ゴム、および加硫剤その他の配合剤とを混練・混合す
ることによって製造する。
【0042】使用する硫黄系加硫剤としては、粉末硫
黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、
不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホ
リン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィ
ド、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−ア
ゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化
物などの硫黄化合物;さらに、テトラメチルチウラムジ
スルフィルド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2
−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチフゾールなどの
硫黄を含む加硫促進剤を挙げることができる。
【0043】さらに、これらの硫黄系加硫剤に加えて、
亜鉛華、ステアリン酸などの加硫促進剤;グアニジン
系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア
系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、
ザンテート系などの他の加硫促進剤を使用することがで
きる。
【0044】硫黄系加硫促進剤の使用量は特に限定され
ないが、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム10
0重量部当り、0.10〜10重量部、好ましくは0.
1〜5重量部である。
【0045】有機過酸化物系加硫剤としては、例えば、
t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキ
ド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペ
ルオキシド、2,5−ジメチル−t−ブチルペルオキシ
ヘキサン、2,5−ジメチル−t−ブチルペルオキシヘ
キシン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロ
ピル)ベンゼン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、
t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオ
キシイソプロピルカルボナート、t−ブチルベンゾエー
トなどが挙げられる。
【0046】有機過酸化物系加硫剤の使用量は、通常ゴ
ム100重量部当り0.01〜30重量部、好ましくは
0.1〜10重量部である。
【0047】また、他の併用可能な加硫剤としてはトル
メチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベン
ゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルイソシア
ヌレートなどの多官能性化合物が挙げられる。さらに、
金属せっけん/硫黄系、トリアジン/ジチオカルバミン
酸塩系、ポリカルボン酸/オニウム塩系、ポリアミン系
(ヘキサメトレンジアミン、トリエチレンテトラミン、
ヘキサメチレンジアミンカルバメート、エチレンジアミ
ンカルバメート、トリエチレンジアミンなど)、安息香
酸アンモニウム塩系などの加硫剤も必要に応じて併用で
きる。
【0048】なお、本発明のゴム組成物には、必要に応
じて、アクリルゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエ
ン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共
重合体ゴム(EPDM)、天然ゴム、ポリイソプレンゴ
ムなどの他のゴムを不飽和ニトリル−共役ジエン共重合
体に組合せて使用することができる。本発明のゴム組成
物の製造方法は特に限定されないが、通常は、ロール、
バンバリーミキサーなどの通常の混合機により原料ゴム
と加硫系、その他の配合剤とを混練・混合することによ
って該ゴム組成物を製造する。
【0049】(耐油性ゴム組成物と繊維との複合体)本
発明のゴム組成物は、良好な加工性を示しナイロン等の
各種繊維との接着性が改良されることから、該ゴムと繊
維との複合体は、加硫接着によって接着強度及び機械的
強度に優れた製品が得られる。この複合体は、ベルト、
ホース等に有用である。使用される繊維には木綿のよう
な天然繊維、レーヨンのような再生繊維、ナイロン、ポ
リエステル、ビニロン、芳香族ポリアミド繊維のような
合成繊維、スチル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維など
が含まれる。これらの繊維は単独でも、または、二種以
上組合せて用いてもよい。これらの繊維はステーブル、
フィラメントまたはコード状、ロープ状、帆布、すだれ
状などの織布の形態で抗張体としてニトリル基含有高飽
和共重合体ゴムに埋設して用いられるが、繊維の種類お
よび形態は目的とするベルトその他の種類(用途)に応
じて適宜決定することができる。
【0050】繊維は共重合体ゴムと複合化するに先立っ
て、それぞれの繊維に通常実施されている方法で接着前
処理を行なうが、特別な処理は必要としない。例えば、
レーヨン、ナイロンの場合は通常レゾルシン−ホルマリ
ンの初期縮合物の水溶液(以下、RFと略記する)とゴ
ムラテックスとの混合物(以下、RFLと略記する)に
よって接着処理が施される。
【0051】一方、ポリエステル、芳香族ポリアミドな
どの繊維では分子構造上ゴムとの接着性が劣るため、前
記RFLによる接着処理では充分な接着力が得られず、
そのため、RFL処理に先立ってイソシアネート類、エ
チレンチオ尿素類、エポキシ類などの化合物またはこれ
らの化合物を適当に組合せた処理液で繊維を処理した
後、熱処理し、次にRFL処理が行なわれる。ガラス繊
維はRFL処理に先立ってエポキシシラン、アミノシラ
ン(例、アミノプロピルトリエトキシシランなどのシラ
ンカップリング剤による処理が一般的に有効である。
【0052】RFL処理で使用されるゴムラテックスは
特に限定されることなく、例えばスチレン−ブタジエン
共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−ビニルピ
リジン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−メタアクリル酸共重合体ラテックス、アクリロニト
リル−ブタジエン−アクリル酸共重合体ラテックス、ア
クリロニトリル−ブタジエン−ビニルピリジン共重合体
ラテックスおよびこれらの共重合体のブタジエン部分を
水素化したものなどのニトリル系共重合体ラテックス・
エピクロロヒドリン重合体、エピクロロヒドリンと一種
以上の他のエポキシドまたはオキセタンとの共重合体、
クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩
素化ポリエチレン、架橋用モノマーとして塩素含有モノ
マーを共重合した塩素含有アクリルゴム、臭素化ブチル
ゴム、ポリ塩化ビニリデン;塩素化または臭素化ジエン
系ゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、
スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴ
ムなど)、塩素化または臭素化エチレン−プロピレン−
ジエンモノマー−三元共重合体ゴムなどのハロゲン化重
合体などのハロゲン含有重合体ラテックスが例示され
る。
【0053】RFL処理に使用されるラテックスとし
て、前記ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの水性エマ
ルジョンを用いた場合にはゴム配合物と繊維との接着力
をさらに強固なものにすることができるので好ましい。
これらのゴムラテックスは単独であるいは混合して使用
することができる。
【0054】該ゴムラテックスは乳化重合で製造される
ものはその重合体ラテックスとしてそのまま使用でき、
固形の重合体として入手できるものは通常の転相法によ
りラテックス化して使用できるが、本発明においてはラ
テックスの製造方法は特に制限されない。
【0055】繊維を処理するためのRFL液は前記のゴ
ムラテックスとRFとの混合液であり、該混合液の構成
割合は特に限定されないが、通常該ラテックス対RFは
それぞれの固形分重量割合で10:1〜2:1の範囲に
あることが望ましい。また、RF液におけるレゾルシン
対ホルマリンのモル比も特に限定されないが、通常1:
3〜3:1の割合であることが望ましい。さらに望まし
くは1:1〜1.5:1の範囲である。また、RF液は
ゴム配合物と繊維の加硫接着用に常用されている該混合
液が使用でき、特に制限されない。
【0056】かかるRFL処理液による繊維の処理方法
は本発明においては特に限定されないが、浸漬法に従っ
て前記繊維を浸漬し、しかる後、熱処理を行なうのが一
般的である。熱処理の条件も本発明においては特に限定
されるものではなく、繊維の種類に従って多少の変動は
あるが、浸漬により付着したRFLを反応定着するに十
分な湿度と時間であり、通常140〜210℃位で数分
間行なわれる。なお、通常、繊維の種類によっては前記
熱処理液への浸漬に先立って繊維を予めイソシアネート
溶液、エポキシ溶液またはそれらの混合液に浸漬し、乾
燥処理しておくことも可能である。この場合、乾燥湿度
は、後続の熱処理温度以下が望ましい。
【0057】(ゴムと繊維との複合)上述のようなRF
L処理を行なった繊維をニトリル基含有高飽和共重合体
ゴム配合物と加硫接着させるが、該繊維はニトリル基含
有高飽和共重合体ゴム配合物に混合され、また該ゴム配
合物と積層されるなどした後、該ゴム配合物の通常の加
硫条件に従って加硫が行なわれる。加硫の条件はとくに
限定されないが、通常は0.5〜10MPaの加圧下、
130〜200℃で1〜120分間である。ニトリル基
含有高飽和共重合体ゴム配合物は該ゴムとゴム工業で常
用されている各種配合剤とを通常の混合液を用いて配合
ゴム組成物とされる。配合剤の種類および使用量はゴム
−繊維複合体の使用目的(用途)に従って決められ、本
発明においては特に限定されない。
【0058】(ベルト)ベルトの製造方法はとくに限定
されないが、通常、本発明の加硫性ゴム組成物単独で、
場合によっては本発明の主旨が損なわれない範囲で他の
ゴムと併用して、これに通常使用される充てん剤、補強
剤、加硫剤、可塑剤、老化防止剤、その他の配合剤を通
常の混合機を用いて混練混合してゴム配合組成物とし、
接着前処理した繊維とを通常のベルトの製造方法に従っ
て複合化し、目的に応じた形状に成形され、加硫工程を
経てベルトされる。
【0059】接着前処理としては、例えば、レーヨン、
ナイロンの場合は通常レゾシン−ホルマリンの初期縮合
物の水溶液(以下、RFと略記する)とゴムラテックス
との混合物(以下、RFLと略記する)によって接着処
理が施される。
【0060】一方、ポリエステル、芳香族ポリアミド等
の繊維では分子構造上ゴムとの接着性が劣るため、前記
RFLによる接着処理では充分な接着力が得られず、そ
のため、RFL処理に先立ってイソシアネート類、エチ
レンチオ尿素類、エポキシ類等の化合物あるいはこれら
の化合物を適当に組合せた;処理液で繊維を処理した
後、熱処理し、次にRFL処理が行なわれる。
【0061】又、ガラス繊維はRFL処理に先立ってエ
ポキシシラン、アミノシラン等のシラン化合物による処
理が一般的に有効である。
【0062】RFL処理で使用されるラテックスは特に
限定されないが、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン−メタア
クリル酸共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−アクリル酸共重合体ラテックス、アクリロニト
リル−ブタジエン−ビニルピリジン酸共重合体ラテック
ス等が特に好ましいものとして挙げられる。
【0063】又芳香族ポリアミドの前処理剤としてはエ
ポキシ化合物が好ましい。
【0064】ガラス繊維用の前処理剤はアミノプロピル
トリエトキシシラン等のシランカップリング剤が好まし
い。
【0065】使用される繊維は木綿のような天然繊維、
レーヨンのような再生繊維、ナイロン、ポリエステル、
ビニロン、芳香族ポリアミド繊維のような合成繊維、ス
チル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等が含まれる。こ
れらの繊維は単独でも、また二種以上組み合わせて用い
てもよい。
【0066】これらの繊維はステープル、フィラメント
あるいはコード状、ロープ状、帆布、すだれ状等の織布
の形態で抗張体として本発明の共重合体ゴムに埋設して
用いられるが、繊維の種類および形態はベルトの種類
(用途)に応じて適宜決定することができる。
【0067】(ホース)ホースは2層構造又は3層構造
のものを挙げることができ、その製造方法はとくに限定
されないが、通常は以下のとおりである。ホースの各層
は、各層に使用される各ゴムと、それぞれのゴムに対し
て従来から使用されている加硫系(硫黄加硫系、有機過
酸化物系)、補強剤及び/又は充填剤、老化防止剤、可
塑剤、加工助剤等の配合剤とを混合混練して調製した配
合物で形成される。3層構造のホースでは、通常、先
ず、内層用のゴム配合物を押出機にて押出し、接着剤を
塗布後、中間層用のゴム配合物を同様にして内層上に押
出し、続いてその上に編組補強糸層を形成し、接着剤を
塗布し、その上に外層用ゴム配合物を押出し、加硫工程
を経て3層構造のホースが製造される。
【0068】2層構造のホースでは、内層を形成し、編
組補強糸層を形成した後接着剤を塗布し、その上に外層
を押出し、加硫工程を経て2層構造のホースが製造され
る。加硫条件は通常150〜170℃で30〜60分で
ある。各ゴムに対して使用される配合剤の種類及び使用
量は、本発明においては特に限定されない。また、編組
補強糸層の糸の種類も、耐熱性を有する繊維の糸であれ
ば本発明では特に制限されないが、通常は、ポリエステ
ル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維等が用いられる。
【0069】(ゴムロール)ゴムロールの製造方法はと
くに限定されないが、一般にゴムロールの作成に採られ
ているのと同様な手法によって作成することができる。
すなわち、金属製の回転軸などのロール状基材を芯金と
してロール金型内に入れ、そこにゴム組成物を入れて、
芯金の周囲にロール状に賦形し、次いで、100〜25
0℃に加熱して加硫する方法が採られている。
【0070】加硫成形後、得られたゴムロールは、必要
に応じて表面の摩擦抵抗を下げたり、粘着力を低減する
ために、表面処理を行なうことが好ましい。
【0071】(ダイヤフラム)ダイヤフラムの製造方法
はとくに限定されないが、通常はゴム組成物に、通常使
用される各種副資材、例えば、カーボンブラック、シリ
カ、金属酸化物等の無機質充填剤やリグニンのような有
機質充填剤、及び軟化剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤
等を適宜配合し、さらに硫黄系又は過酸化物系の加硫剤
を適宜加えて混練する。このゴム材料をカレンダーロー
ルを用いて、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、木綿等
で形成された基布とともにトッピングを行ない、続いて
所定形状寸法に打ち抜きしたものをプレス成型してダイ
ヤフラムを製造する。この成型条件は、金型温度150
〜190℃、加硫時間3〜30min、成型圧力50〜
150kgf/cm2 である。このとき、液接触面側で
ないトッピング層は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴ
ムでなくてもよく、他のNBR、CR、CHR等も使用
できる。
【0072】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例及び参考例中の部及
び%は特に断りのないかぎり重量基準である。ゴム組成
物および原料成分の特性は以下のように測定した。 (1)常態物性評価試験 日本工業規格JIS K6301に従い、表1の配合処
方によって調製した未加硫ゴム組成物を160℃×20
分の条件で加硫して得られた厚さ2mmのシートを、3
号形ダンベルを用いて打ち抜いて試験片を作成し、引張
強さ(単位:kgf/cm2 )、100%引張り応力
(単位:kgf/cm2 )および伸び(単位:%)を測
定した。また、硬さはJISスプリング式A形硬さ試験
機を用いて測定した。さらに、圧縮永久歪はJIS K
6301に従って100℃にて22時間保持した後測定
した(単位:%)。 (2)耐油性試験については、JIS K6301に従
い、フューエルC(イソオクタン50容量%とトルエン
50容量%との混液)中にゴム試験片を浸漬し(60
℃、72時間)、体積変化率(単位:%)を測定した。 (3)耐オゾン性(耐候性)については、JIS K6
301に従い、フューエルCで40℃で168時間浸漬
した後、室温で1週間風乾した試験片を、オゾン濃度4
0pphm、温度40℃にて20%伸長下に静的オゾン
試験を行った。300時間放置した後、亀裂発生状況を
観察した。観察の結果、亀裂の発生が認められないもの
をNCで表示した。 (4)熱老化試験についてはJIS K6301に従
い、150℃×72時間保持の後、引張強さ、伸びおよ
び硬さの変化率(単位:±%)を測定した。 (5)結合ニトリル量 日本工業規格JIS K6384に従い、ケルダール法
によって共重合体中の窒素含量を測定し、計算により結
合ニトリル量を求めた(単位:%)。 (6)配合物ムーニー粘度 日本工業規格JIS K6383に従い、配合物約40
グラムを用いて100℃にて測定した。 (7)押し出し加工性の評価 ATSM D−2230−77に従い、ガーベダイを用
いて未加硫ゴム組成物を押出し、ダイスエル(%)およ
び押出量(g/分)を求めるとともに、押出物の形状な
いし状態を、膨油度・多孔度ならびにエッジ、表面およ
びコーナー部について評価し、それぞれ4段階で表示し
た(4が最良、1が最悪である。) (8)繊維接着試験 無水マレイン酸変性ゴム100重量部について表1の配
合剤を配合し、ロール上で混練の後、約2.5mm厚の
ゴム配合物シートを調製した。ナイロンコード(6−ナ
イロン、構造1260D/2)は、水素化NBRのラテ
ックス(ヨウ素価15、平均粒径0.10μm、固形分
40重量%、pH10.5)を用いたRFL液からなる
接着組成物で処理した後、ゴム配合物シートと加硫接着
したゴムと繊維との複合体を調製した。RFL液からな
る接着剤組成物の調製は表2の処方に従い配合した。
【0073】(高剪断力付与によりムーニー粘度を低下
させたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの調製)水素
化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(ムーニ
ー粘度130、水素化率90%、ヨウ素価25、アクリ
ロニトリル含有量44%)100重量部と老化防止剤3
重量部とを二軸押出機に供給し、下記条件下に高剪断力
付与処理を行い、ムーニー粘度を45に低下させた後、
室温で30日後のムーニー粘度が48のもの(LZP−
1)、同様に、ムーニー粘度を63に低下させた後、室
温で30日間後のムーニー粘度が65のもの(LZP−
2)を調製した。なお、老化防止剤はポリ(2,2,4
−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)を使用し
た。さらに、老化防止剤を添加しないこと以外は上記と
同様な条件でムーニー粘度を45まで低下させた後、室
温で空気中に30日間放置後、ムーニー粘度が65まで
上昇したもの(LZP−3)を比較例として使用した。
【0074】二軸押出機:プラスチック工学研究所製B
T−40、スクリュー径38mm、スクリュー長160
0cm、L/D 42、7バレル構成、スクリュー回転
数400rpm、処理速度7kg/時間 剪断速度3200S-1、滞留時間130〜150秒間 設定温度:バレル1(投入ゾーン)100℃ 設定温度:バレル2(溶融ゾーン)250℃ バレル3〜6(混練、剪断ゾーン)250〜290℃ バレル7(混練、脱気ゾーン)200〜250℃、72
0mmHg
【0075】(ゴム−塩化ビニル樹脂混合物の調製方
法)約160℃に加熱した1.7リットルバンバリー
(堺重工株式会社製)を用い、回転数100rpm、ロ
ーターの回転数比1.12に設定して、塩化ビニル樹脂
と水素かアクリルニトリル−ブタジエン共重合体ゴムと
を混合した。まず、該ゴムを投入し、1分間ゴムの素練
りを行い、その後、塩化ビニル樹脂の粉末に可塑剤を1
0:3の割合で含浸させた塩化ビニル樹脂を投入し、5
分間混練を行った。残りの可塑剤は、その他の配合剤を
混合する際、カーボンブラックに含浸させて使用した。
バンバリーの混練工程にかかった電力量をワット数で記
載したものを加工性評価の基準とした。電力量が低いの
が、混合物の分散性が良く、物性が向上する材料が好ま
しい状態である。また、取り出し時の材料温度を一緒に
表示した。
【0076】実施例1、2、3、4、比較例1、2、
3、4 ムーニー粘度を低下させた2種のニトリル基含有高飽和
共重合体ゴム(LZP−1 ムーニー粘度48、LZP
−2 ムーニー粘度65)と塩化ビニル樹脂とを、表1
の割合に従い、下記の方法で混合してゴム−塩化ビニル
樹脂混合物を調製した。その後、表1に示した配合剤を
配合し、40℃にて6インチロールを用いて混練してゴ
ム配合組成物を調製した。ゴム配合組成物は、160℃
で20分間、プレス成形機にて加圧加硫をおこない、得
られた加硫物について加硫物性を測定した。また、比較
として、LZP−3および市販の水素化NBR(ZP1
020、結合アクリロニトリル量44%、ヨウ素価2
5、ムーニー粘度90 日本ゼオン株式会社製)を使用
した。結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】表1の結果から、本発明によれば、高剪断
力を付与してムーニー粘度を低下させたニトリル基含有
高飽和共重合体ゴムを使用することにより、該ゴムと塩
化ビニル樹脂との混合物の加工性が改良されることが分
かる。さらに、本発明のゴム混合物は、老化防止剤を存
在させずに高剪断力を付与してムーニー粘度を低下させ
た後、30日後にムーニー粘度が上昇した水素化NBR
(LZP−3)及び高剪断力付与処理をしない水素化N
BR(ZP1020)を使用した場合と比較して、強度
特性及び耐圧縮永久歪性に優れることが分かる。これ
は、本発明で使用する水素化NBRが、老化防止剤の存
在下に高剪断力を付与してムーニー粘度を低下させたも
のであることから、従来技術と比較して、単にムーニー
粘度が低下して加工性が改良されただけに留まらず、塩
化ビニル樹脂との混合性が改良され、また、ゲルの発生
やムーニー粘度が上昇することもなく保存安定性が良好
であることから、強度特性も改良されたものと考えられ
る。
【0080】
【発明の効果】かくして本発明によれば、加工性が良好
で高強度かつ耐圧縮永久歪性が改良されたゴム材料を得
ることができる。本発明によって得られるゴム材料は、
優れた加工性を有し、その加硫物は機械的強度に優れ、
良好な耐油性、耐熱性、耐候性などを有するので各種シ
ール材、ベルト類、ホース類、ダイヤフラムその他自動
車用ゴム材料として有用である。
【0081】具体的には、O−リング、ガスケット、オ
イルシール、フレオンシールなどの各種シール材として
好適であり、さらに、自動車用Vベルト、ポリ・リブベ
ルト、歯付伝導ベルトなどのベルト類:自動車用パワー
ステアリングホース、建設機械など各種機械の油圧ホー
スなどの高圧耐油ホース、自動車用燃料ホースなどのホ
ース類;ロール類;油井、ガス井で使用されるゴム製品
〔パッカー、ブローアウトプリベンター(BOP)、バ
イププロテクターなど〕;各種ダイアフラム;自動車用
クラッチ板およびブレーキシュー(これらはフェノール
樹脂またはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂とのその他
の配合剤とブレンドし成型される)などを始めとし、各
種の防振ゴム、電気製品、自動車部品、工業用品、はき
ものなど広範囲に利用することができる。
【0082】(本発明の請求項1に係る耐油性ゴム組成
物の具体的な実施態様) (1)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、エチレン
性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体との共重合
体の炭素−炭素二重結合を70%以上水素化したゴムで
ある。 (2)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、エチレン
性不飽和ニトリル単量体を10〜60重量%含むもので
ある。 (3)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが高剪断力を
付与することによってそのムーニー粘度を30ポイント
以上低下させたゴムであって、ムーニー粘度が20〜1
20である。 (4)高剪断力を付与することが、酸素供与体の実質的
に不存在下に、剪断速度500〜5000S-1おこなわ
れることである。 (5)高剪断力を付与することによってそのムーニー粘
度を低下させた後、室温で空気中に30日間放置せる間
のムーニー粘度の上昇が5ポイント以下である。 (6)老化防止剤が、芳香族二級アミン塩素、アミン・
ケトン系、メルカプトベンゾイミダゾール系およびビス
フェノール系の老化防止剤から選ばれるものである。 (7)老化防止剤の使用量が、ニトリル基含有高飽和共
重合体ゴム100重量部に対し、通常1〜10重量部、
好ましくは2〜5重量部である。 (8)ポリ塩化ビニル系樹脂が、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−酢酸ビニルポリマーとの塩化ビ
ニルのグラフト共重合体、少量のジビニルベンゼン、ジ
アリルフタレート等の2官能性単量体を共重合した部分
架橋塩化ビニル樹脂等である。 (9)ポリ塩化ビニル樹脂の分子量が、通常平均重合度
600〜2,000のものである。 (10)ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとポリ塩化
ビニル樹脂との混合比が、通常、不飽和ニトリル−共役
ジエン共重合体95〜50重量部、好ましくは80〜6
0重量部に対しポリ塩化ビニル樹脂5〜50重量部、好
ましくは20〜40重量部である。
【0083】(本発明の請求項2ないし4に係る耐油性
ゴム組成物の繊維との複合体の具体的な実施態様) (1)使用される繊維が、木綿のような天然繊維、レー
ヨンのような再生繊維、ナイロン、ポリエステル、ビニ
ロン、芳香族ポリアミド繊維のような合成繊維、スチル
繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などである。 (2)繊維が、レゾルシン−ホルマリンの初期縮合物の
水溶液とゴムラテックスとの混合物によって接着処理が
施されるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 老化防止剤の存在下に高剪断力を付与す
    ることによってそのムーニー粘度を15ポイント以上低
    下させたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムであって、
    ムーニー粘度が5〜135であり、分子量分布(Mw/
    Mn)が3〜5であり、かつ、ムーニー粘度を低下させ
    た後、室温で空気中に30日間放置せる間のムーニー粘
    度の上昇が10ポイント以下であるニトリル基含有高飽
    和共重合体ゴムにポリ塩化ビニル樹脂を配合してなる耐
    油性ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1の耐油性ゴム組成物と繊維との
    複合体。
  3. 【請求項3】 ホース用である請求項2の複合体。
  4. 【請求項4】 ダイヤフラム用である請求項2の複合
    体。 【0001】
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