JPH10278639A - 車両用シート装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両用シートにおいて乗降性を向上するため
に、シートの向きを変更可能に構成すると共に、この回
転時にシートの着座面の高さを変更可能に構成する。 【解決手段】 車両用シート装置１を、車室床面４上に
回転装置１０を介して配設する。シートの着座面の高さ
を回転時に変更可能な高さ調整機構部２０を、回転装置
に付設する。この高さ調整機構部２０を付設した回転装
置１０を、車室床面上に設けた固定ベース１１と、シー
トのシートクッション２下側に設けた回転板１２とから
構成すると共に、これらの固定ベース１１と回転板１２
とをボルト・ナットを利用したねじ機構を介して連結す
ることにより構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はシートの向きを変更
可能な回転装置付きの車両用シート装置に関し、更に詳
述すると、着座者の乗降性を向上させるためにシートの
回転に伴って着座面の高さを変更可能に構成した車両用
シート装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の車両用シート装置におい
て、着座者の乗降性を改善するために、シートを車室床
面上で回転可能に構成し、シートの向きをドア側に回転
させることができるように構成したものが提案されてい
る。

【０００３】図５は従来の車両用シート１の概要を示す
側面図であって、このシート１はシートクッション２と
その後方から立ち上がるシートバック３とを備えてい
る。このシート１は、車室床面４上であってシートクッ
ション２の下部に回転装置５を備えている。この回転装
置５は、車室床面４に脚部６を介して固定した固定ベー
ス板７とシートクッション２側に固定した回転板８とを
備えている。

【０００４】このような回転装置５によってシート１を
車室床面４上で回転させると、例えば図６（ａ），
（ｂ）に示すように、運転席側のシート１Ａの向きを、
ドア側に変更させることができ、着座者の乗降性を改善
することができる。尚、助手席側のシート１Ｂにも同様
に回転装置５を設けるとよい。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の車両用
シート１では、車室床面４上に回転装置５を設けてシー
トを載置しているだけのものであり、以下の問題があ
る。即ち、車高が高いレイアウトの車両では、シートの
向きをドア側に向けても、着座者の足が地面にとどかな
いことがあり、使い勝手の面から問題であった。また、
車高が低いレイアウトの車両では、上述したとは逆に、
地面に足がついても、膝が曲がり過ぎて乗り降りがしに
くいと言う問題もあった。

【０００６】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、従来の回転するだけのシートの向きの変更
機能に加えて、シートを回転させたときにシートの着座
面の高さも変更できる機能を持たせることにより、車両
での乗降性をより一層向上させることが可能となる車両
用シート装置を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的に応える
ために本発明の請求項１に記載の車両用シート装置は、
車室床面上に回転装置を介して設けた車両用シート装置
において、前記回転装置に前記シートの着座面の高さを
回転時に変更可能な高さ調整機構部を付設したことを特
徴とする。

【０００８】また、本発明の請求項２に記載の車両用シ
ート装置は、前記高さ調整機構部は、車室床面上に設け
た固定ベースと、シートのシートクッション下側に設け
た回転板とを備え、前記固定ベースと回転板とをボルト
・ナットを利用したねじ機構を介して連結したことを特
徴とする。

【０００９】更に、本発明の請求項３に記載の車両用シ
ート装置は、前記高さ調整機構部に、固定ベースと回転
板との間での回転を所定角度範囲内に規制する回転規制
手段を設けたことを特徴とする。

【００１０】本発明によれば、車両用シートの向きを回
転装置によりドア側に変更できると共に、シート着座面
の高さを車両前方を向いている標準位置に対して変更す
ることができる。例えば車高の低いレイアウトを持つ車
両の場合にはシートの着座面の高さが標準位置よりも高
くなるようにし、車高の高いレイアウトを持つ車両の場
合にはシートの着座面の高さを標準位置よりも低くなる
ように変えることにより、着座者の車両での乗降性が向
上する。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１乃至図４は本発明に係る車両
用シート装置の実施の形態を示し、これらの図において
は、本発明を特徴づけるシート回転機構部のみを図示
し、それ以外の構成や図示等は省略する。

【００１２】本発明によれば、前述した構成による車両
用シート１において、シート着座面（シートクッション
２の着座面）の高さを、シートの向きを変更するための
回転装置１０による回転時に変更可能な高さ調整機構部
を付設したことを特徴としている。

【００１３】これを詳述すると、本発明を特徴づける高
さ調整機構部２０を付設した回転装置１０は、図１及び
図２に示すように、車室床面４（図５参照）上に固定さ
れる固定ベース１１と、シートクッション２の下側に設
けた回転板１２とから構成されている。そして、これら
の固定ベース１１と回転板１２とを、ボルト・ナットを
利用した高さ調整機構部２０となるねじ機構を介して連
結することにより、回転及び上下の高さを変更できるよ
うに構成している。

【００１４】前記ねじ機構は、固定ベース１１から上方
に突設され外周部に雄側ねじ部１４を形成した筒状部１
５と、前記回転板１２から下方に垂下され内周部に雌側
ねじ部１６を形成した筒状部１７とを備えている。

【００１５】そして、これらの筒状部１５，１７を嵌合
状態で組合わせ、そのねじ部１４，１６を螺合させる
と、シート１を車室床面４上で回転自在に支持する回転
装置１０が構成される。

【００１６】また、上述した筒状部１５，１７のねじ部
１４，１６によって、ボルト・ナット構造によるねじ式
の高さ調整機構部２０が構成される。この高さ調整機構
部２０による高さ方向での移動量は、シート１の回転量
とねじ部１４，１６のねじピッチによって決定される。
尚、上述したシート１の回転量が略９０度の角度範囲で
あるとき、高さ方向での移動量が１条ねじでは不足する
場合には、２条或いは３条というようにねじの条数を増
すことと、ねじピッチの調整で自由に設定することがで
きる。

【００１７】特に、このようなねじ式の高さ調整機構部
２０を付設した回転装置１０では、簡単な構造であるに
もかかわらず、シートの向きの変更とシート着座面の高
さの変更とを相互に連動させることができる。

【００１８】また、上述したシート１の回転量が定まっ
ているとき、即ち運転席や助手席のように車両の正面で
の標準位置からドア側を向くように約９０度の角度範囲
でのみ回動可能に構成するときは、筒状部１７と固定ベ
ース１１とに回転方向において係合する係合突起２１，
２２による回転角度位置規制用の回転規制手段を付設す
るとよい。勿論、このような回転規制手段２１，２２の
付設位置は、上述した箇所には限定されず、回転装置１
０において相対的に回転する部材間に設けておけばよ
い。

【００１９】更に、上述した回転装置１０における筒状
部１５，１７でのねじ部１４，１６は、雄、雌を逆に組
合わせてもよい。また、上述した回転装置１０におい
て、図３に示すように、中心位置出しシャフト３１を筒
状部１５，１７の嵌合部内に設け、そのフランジ部３１
ａを回転板１２側に溶接等で固定すると、固定ベース１
１側の筒状部１５内への嵌合によって両部材間を補強
し、回転時のがた付きを抑えることができる。更に、こ
のようなシャフト３１を設けると、シート１に作用する
過大曲げ力等に対しての補強部材として機能を発揮する
ことができる。

【００２０】そして、以上の構成によれば、従来の回転
するだけのシート１の向きの変更機能に加えて、シート
１を例えばドア側を向くように回転させたときにシート
クッション２の着座面の高さを車両前方を向いていると
きの標準位置に対して変更することができ、回転機能と
協働して車両での乗降性をより一層向上させることがで
きる。

【００２１】例えば車高の低いレイアウトを持つ車両の
場合にはシート１の着座面（シートクッション２）の高
さが標準位置よりも高くなるようにし、車高の高いレイ
アウトを持つ車両の場合にはシート１の着座面の高さを
標準位置よりも低くなるように変えることにより、着座
者の車両での乗降性を向上させることができる。

【００２２】図４は本発明による高さ調整機構部２０を
付設した回転装置１０を備えているシートの状態を示
し、（ａ）は車両の正面を向いた標準位置であるとき、
これを約９０度回転させると、（ｂ）に示す状態とな
り、車両のドア側にシート１を向けて乗降をしやすくす
ることができる。特に、本発明では、このときに車高に
応じて設定した着座面の高さも乗降性に配慮して変更し
ているので、乗降性をより一層向上させることができ
る。

【００２３】また、本発明による回転装置１０では、図
４（ｃ）に示すように約１８０度の回転を行い、所謂対
座式シートとしても利用することができる。このような
対座式シートとして利用するとき、本発明のような高さ
調整機構部２０を備えていると、車室床面４に段差があ
って、後方座席との高さが異なるときにも、高さを揃え
ることができるという利点がある。

【００２４】尚、本発明は上述した実施の形態で説明し
た構造には限定されず、各部の形状、構造等を適宜変
形、変更し得ることは言うまでもない。例えば本発明に
係る車両用シート１は、運転席や助手席に用いるシート
に限らない。また、シート１の回転量や着座面の高さ方
向での移動量も、車両の状況等に応じて適宜設定すると
よい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る車両用
シート装置によれば、車室床面上に回転装置を介して設
けた車両用シートにおける着座面の高さを、前記回転装
置による回転時に変更可能な高さ調整機構部を付設して
いるので、簡単な構成であるにもかかわらず、以下に述
べる優れた効果を奏する。

【００２６】即ち、本発明によれば、従来の回転するだ
けのシートの向きの変更機能に加えて、シートを例えば
ドア側を向くように回転させたときにシートの着座面の
高さも車両前方を向いているときの標準位置に対して変
更できる機能を持たせることにより、車両での乗降性を
より一層向上させることができる。

【００２７】例えば車高の低いレイアウトを持つ車両の
場合にはシートの着座面の高さが標準位置よりも高くな
るようにし、車高の高いレイアウトを持つ車両の場合に
はシートの着座面の高さを標準位置よりも低くなるよう
に変えることにより、着座者の車両での乗降性を向上さ
せることができる。

【００２８】また、本発明によれば、高さ調整機構部
を、車室床面上に設けた固定ベースと、シートクッショ
ン下側に設けた回転板とから構成すると共に、これらの
固定ベースと回転板とをボルト・ナットを利用したねじ
機構を介して連結して構成することにより、簡単な構造
であるにもかかわらず、シートの向きとシート着座面の
高さとを相互に連動させて変更することができる。

【００２９】更に、本発明によれば、高さ調整機構部
に、固定ベースと回転板との間での回転を所定角度範囲
内に規制する回転規制手段を設けているので、シートの
回転方向での調整や着座面の高さ調整を行う際の動きを
所定の箇所で規制し、安全性に優れているという利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両用シート装置の実施の形態を
示し、高さ調整機構部を付設した回転装置の分解斜視
図。

【図２】本発明に係る車両用シート装置の実施の形態を
示し、高さ調整機構部を付設した回転装置の要部を分解
して示す断面図。

【図３】本発明に係る車両用シート装置の実施の形態を
示し、高さ調整機構部を付設した回転装置の要部の組合
わせ状態を示す断面図。

【図４】本発明に係る車両用シート装置の実施の形態を
示し、（ａ），（ｂ），（ｃ）はシートの向きを変更し
た状態を示すシートの平面図。

【図５】従来の回転装置を備えた車両用シート装置を示
す側面図。

【図６】従来の回転装置を備えた車両用シート装置を運
転席側の座席に適用した状態を示し、（ａ）はその概要
を示す斜視図、（ｂ）は回転装置によるシートの向きの
変更状態を示す平面図。

【符号の説明】

１ 車両用シート装置 ２ シートクッション ４ 車室床面 １０ 回転装置 １１ 固定ベース １２ 回転板 １４ 雄側ねじ部 １５ 筒状部 １６ 雌側ねじ部 １７ 筒状部 ２０ 高さ調整機構部 ２１ 係合突起（回転規制手段） ２２ 係合突起（回転規制手段） ３１ 中心位置出しシャフト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車室床面上に回転装置を介して設けた車
   両用シート装置において、 前記回転装置に前記シートの着座面の高さを回転時に変
   更可能な高さ調整機構部を付設したことを特徴とする車
   両用シート装置。
2. 【請求項２】 前記高さ調整機構部は、車室床面上に設
   けた固定ベースと、シートのシートクッション下側に設
   けた回転板とを備え、前記固定ベースと回転板とをボル
   ト・ナットを利用したねじ機構を介して連結したことを
   特徴とする請求項１に記載の車両用シート装置。
3. 【請求項３】 前記高さ調整機構部に、固定ベースと回
   転板との間での回転を所定角度範囲内に規制する回転規
   制手段を設けたことを特徴とする請求項１または請求項
   ２に記載の車両用シート装置。