JPH10278255A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH10278255A
JPH10278255A JP8294897A JP8294897A JPH10278255A JP H10278255 A JPH10278255 A JP H10278255A JP 8294897 A JP8294897 A JP 8294897A JP 8294897 A JP8294897 A JP 8294897A JP H10278255 A JPH10278255 A JP H10278255A
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JP
Japan
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ink
piezoelectric element
pulse voltage
voltage
pulse
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JP8294897A
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Nan Touno
楠 東野
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Minolta Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 より小さなインクドロップを吐出させるイン
クジェット記録装置を提供する。 【解決手段】 本インクジェットプリンタでは、パルス
電圧を印加することにより圧電素子を駆動し、インクチ
ャンネル内のインクからインクドロップを吐出し、パル
ス電圧の印加に応じて、インクはインクチャンネル内で
固有の周期で振動する。プリンタヘッド3を駆動するヘ
ッドドライバ56は、パルス電圧のパルス幅を上記のイ
ンクの固有振動周期の1/5以下とするよう設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録装置に関し、特に、圧電素子を駆動することによりイ
ンクドロップを吐出するインクジェット記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェットプリンタの記
録ヘッドに圧電素子を用いたものがある。このような記
録ヘッドでは、電圧の印加によって駆動される圧電素子
のひずみによって、所定の閉じた空間(インクチャンネ
ル)内のインクが加圧される。加圧されたインクは、イ
ンクチャンネルに設けられたノズルよりインクドロップ
となって記録シートに向かって吐出される。また、複数
の大きさのインクドロップを吐出させることによって階
調が表現される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在の
ところ、上述のようにして記録シート上に形成される画
像の品質は十分に高品質であるいえるレベルにまでは至
っていない。これは、画像の形成に際して、高い画像品
質を得る程度にまでノズルより吐出させるインクドロッ
プを小さくする技術が知られていないこと、また、小さ
なインクドロップを安定して吐出させる技術が知られて
いないことによる。
【0004】本発明は、これらを考慮してなされたもの
で、その目的は、より小さなインクドロップを安定して
吐出させるインクジェット記録装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、パルス電圧を印加することにより圧電素子を駆動
し、所定の空間に収められたインクからインクドロップ
を吐出して画像の記録を行なうインクジェット記録装置
であり、パルス電圧の印加に応じてインクは所定の空間
内で固有の周期で振動する。
【0006】本インクジェット記録装置は、インクドロ
ップを吐出する圧電素子を含むヘッドと、パルス電圧の
パルス幅をインクの固有の振動の周期の1/5以下に設
定して圧電素子を駆動する手段とを含んでいる。
【0007】請求項1に記載の発明によると、パルス電
圧のパルス幅はインクの固有の振動の周期の1/5以下
に設定され、従来のようにパルス電圧に応じてインクド
ロップが完全に形成されるより前にパルスが終了するの
で、インクの移動量は圧電素子の変位体積よりも小さく
なる。これにより、より小さなインクドロップを吐出さ
せることができる。
【0008】請求項2に記載の発明は、パルス電圧を印
加することにより圧電素子を駆動し、所定の空間に収め
られたインクからインクドロップを吐出して画像の記録
を行なうインクジェット記録装置であり、パルス電圧の
印加に応じてインクは所定の空間内で固有の周期で振動
する。
【0009】本インクジェット記録装置は、インクドロ
ップを吐出する圧電素子を含むヘッドと、パルス電圧の
立ち上がり時間を圧電素子の共振周期よりも長くしつ
つ、パルス電圧のパルス幅をインクの固有の振動の周期
の1/5以下となるよう設定して圧電素子を駆動する手
段とを含んでいる。
【0010】請求項2に記載の発明によると、パルス電
圧の立ち上がり時間は圧電素子の共振周期よりも長くさ
れつつ、パルス電圧のパルス幅はインクの固有の振動の
周期の1/5以下と設定される。これにより、印加され
るパルス電圧に対する圧電素子の追従性はよくなり、か
つ、従来のようにパルス電圧に応じてインクドロップが
形成されるより前にパルスが終了するのでインクの移動
量は圧電素子の変位体積よりも小さくなり、より小さな
インクドロップを安定して吐出させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
における実施の形態の1つであるインクジェットプリン
タについて説明する。
【0012】図1は、本発明における実施の形態の1つ
であるプリンタヘッド3を有するインクジェットプリン
タ1の概略構成を示す斜視図である。
【0013】インクジェットプリンタ1は、用紙やOH
Pシートなどの記録媒体である記録シート2に印字する
ためのインクジェット方式のプリンタヘッドであるプリ
ンタヘッド3と、プリンタヘッド3を保持するキャリッ
ジ4と、キャリッジ4を記録シート2の記録面に平行に
往復移動させるための揺動軸5、6と、キャリッジ4を
揺動軸5、6に沿って往復駆動させる駆動モータ7と、
駆動モータ7の回転をキャリッジの往復運動に変えるた
めのタイミングベルト9、アイドルプーリ8とを含んで
いる。
【0014】また、インクジェットプリンタ1は、記録
シート2を搬送経路にそって案内するガイド板を兼ねる
プラテン10と、プラテン10との間に記録シート2を
挟み込み記録シート2を押さえ浮きを防止する紙押さえ
板11と、記録シート2を排出するための排出ローラ1
2、拍車ローラ13と、プリンタヘッド3のインク吐出
不良を良好な状態に回復させる回復系14と、記録シー
ト2を手動で搬送するための紙送りノブ15とを含んで
いる。
【0015】記録シート2は、図示しない手差しあるい
はカットシートフィーダ等の給紙装置によって、プリン
タヘッド3とプラテン10とが対向する記録部へ送り込
まれる。この際、図示しない紙送りローラの回転量が制
御され、記録部への搬送が制御される。
【0016】プリンタヘッド3には、インクドロップを
飛翔させるエネルギ源として圧電素子(PZT)が用い
られる。圧電素子には電圧が印加され、ひずみが生じ
る。このひずみは、インクで満たされたチャンネルの容
積を変化させる。この容積の変化により、チャンネルに
設けられたノズルからインクが吐出され、記録シート2
への記録が行なわれる。
【0017】キャリッジ4は、駆動モータ7、アイドル
プーリ8、タイミングベルト9により、記録シート2を
横方向に主走査し、キャリッジ4に取り付けられたプリ
ンタヘッド3は1ライン分の画像を記録する。1ライン
の記録が終わる毎に、記録シート2は縦方向に送られ副
走査され、次のラインが記録される。
【0018】記録シート2にはこのように画像が記録さ
れ、記録部を通過した記録シート2は、その搬送方向下
流側に配置された排出ローラ12とこれに圧接される拍
車ローラ13とによって排出される。
【0019】図2〜図4は、プリンタヘッド3の構成を
説明するための図である。図2はプリンタヘッド3の一
部を示す平面図であり、図3は図2のIII−III線
断面図であり、図4は図3のIV−IV線断面図であ
る。
【0020】プリンタヘッド3は、大径ヘッド部301
と小径ヘッド部302とからなる。これら大径ヘッド部
301と小径ヘッド部302とは、チャンネルプレート
303、隔壁304、振動板305、基板306とを一
体に重ねた構成となっている。複数のドット径のインク
ドロップのうち、大径ヘッド部301からは比較的大き
な径のインクドロップが吐出され、小径ヘッド部302
からは比較的小さな径のインクドロップが吐出される。
なお、本実施の形態においては、大径ヘッド部と小径ヘ
ッド部との両者を有する構成のプリンタヘッドを説明し
ているが、このような構成に限定されるものではなく、
同一径のノズルを有するプリンタヘッドについても同様
に本発明を適用することができる。
【0021】チャンネルプレート303は、金属または
セラミックなどからなり、表面320には撥水コート層
を有する。隔壁304との対向面はNi電鋳またはフォ
トレジスト等により微細加工され、大径ヘッド部301
と小径ヘッド部302とにはそれぞれインク307を収
容する複数のインクチャンネル308と、各インクチャ
ンネル308をインク供給室310に連結するインクイ
ンレット311が形成されている。
【0022】図3に示すように、大径ヘッド部301と
小径ヘッド部302とのインクチャンネル308は、大
径ヘッド部301と小径ヘッド部302とが対向する方
向に向かって伸びる長溝状にかつ平行に形成されてい
る。また、インク供給室310とインクチャンネル30
8とは中央線312をはさんで対称に形成されており、
図示しないインクタンクに接続されている。
【0023】隔壁304には、薄肉フィルムが使用され
ており、チャンネルプレート303と振動板305との
間に固定されている。なお、隔壁304は所定の張力が
加わった状態で固定される。
【0024】振動板305は圧電素子315を含んでい
る。振動板305の加工は、まず基板306に絶縁接着
剤で固定され、その後ダイサーによりセパレート溝31
8、319が形成され分断されることにより行なわれ
る。また、この分断によって、各インクチャンネル30
8に対応する圧電素子315と、隣接する圧電素子31
5の間に位置する圧電素子柱部316と、これらを囲む
周囲壁317とが分離される。
【0025】圧電素子315の動作は、後述するヘッド
ドライバ56(図5参照)を介して、インクジェットプ
リンタ1の制御部によってコントロールされる。制御部
から圧電素子に設けられた2つの電極間に印字信号であ
る所定の電圧が印加されると圧電素子315は隔壁30
4を押す方向に変形する。圧電素子315の変形は隔壁
304に伝えられ、これによりインクチャンネル308
内のインク307が加圧され、ノズル309を介してイ
ンクドロップが記録シート2に向かって飛翔する。
【0026】また、以上のような構成のプリンタヘッド
3では、図示しないインクタンクからインク供給室31
0にインク307が供給される。インク供給室310の
インク307は、インクインレット311を介して各イ
ンクチャンネル308に分配される。
【0027】図5は、インクジェットプリンタ1の制御
部の構成を示すブロック図である。メインコントローラ
51は、コンピュータ等からの画像データを受け取り、
画像データを1フレーム単位でバッファ用のフレームメ
モリ52に格納する。記録シート2への印字の際には、
メインコントローラ51は、モータドライバ54、55
を介して、キャリッジ4の駆動モータ7と紙送りモータ
16とを駆動制御する。
【0028】これらの駆動制御とともに、メインコント
ローラ51は、フレームメモリ52から読み出した画像
データをもとに、ドライバコントローラ53、ヘッドド
ライバ56とを介して、大径ヘッド部301、小径ヘッ
ド部302の各圧電素子315を駆動制御する。
【0029】次に、プリンタヘッド内の圧電素子の挙動
について説明し、より小さなインクドロップを安定して
吐出させるための条件を説明する。
【0030】駆動電圧に対する圧電素子の挙動を調べる
ための方法の1つとして等価回路を用いる方法が挙げら
れる。この方法は、まず、圧電素子の等価回路(メイソ
ンの等価回路)を仮定し、インピーダンスを測定してこ
のインピーダンスの測定値から等価回路内の回路素子の
各値を決定し、次に、この等価回路に駆動電圧を印加し
て圧電素子の挙動を解析するものである。
【0031】図6は、メイソンの等価回路を示す図であ
る。本等価回路では、圧電素子は機械系振動子部分10
0と通常の誘電体部分200とからなるとしてモデル化
する。機械系振動子部分100は、コンデンサC1、イ
ンダクタンスL1、抵抗r1からなり、誘導体部分20
0は、コンデンサCdからなる。機械系振動子部分10
0と誘電体部分200とはノードn3、n4にて並列に
接続され、入力端子n1、n2から駆動電圧が印加され
る。この駆動電圧により、機械系振動子部分100に電
流i1が流れ、誘電体部分200に電流i2が流れるも
のとする。
【0032】以下、[数1]としてこの等価回路を用い
た圧電素子の解析方法に必要な関係式第(1)式〜第
(8)式を示し、これらを導く手順について説明する。
【0033】
【数1】
【0034】本等価回路では、圧電素子の変位量(ひず
み)Δx(t)は機械振動子部分100に流れ込む電荷
量Q1に比例し第(1)式が成り立つ。
【0035】図7は、本等価回路でのインピーダンスと
周波数との関係を示す図である。本等価回路では、イン
ピーダンスは共振周波数frで極小となり、反共振周波
数faで極大となる。共振周波数fr、反共振周波数f
aについては、次のような関係が成り立つ。共振周波数
frにおいては、第(2)式が成り立つ。また、抵抗r
1は共振時のインピーダンスZfrにほぼ等しいとし
て、第(3)式が成り立つとする。反共振周波数faに
おいては第(4)式が成立する。
【0036】第(2)式と第(4)式とを連立させて、
インダクタンスL1とコンデンサC1について解くと、
第(5)式と第(6)式とを得る。また、第(7)式が
成立するとして、第(5)式とより、第(8)式が得ら
れる。
【0037】これらの第(1)式〜第(8)式は実際の
圧電素子を含む回路について成り立ち、実際の圧電素子
を含む回路についてインピーダンス測定によってC0、
fr、fa、Zfrの値を測定し、上記の各関係式から
各回路素子の値C1、L1、r1、Cdを導き、さらに
電圧を印加したときの圧電素子の静的な変位量を実測す
ることで、圧電素子の挙動をシミュレートすることがで
きる。
【0038】実際に、一層の厚み35[μm]のグリー
ンシートを28層積層してなるPZT振動子(圧電素
子)を後述する構成のインクジェットヘッドに組み込ん
だ状態でインピーダンスを測定したところ、以下のよう
な値を得た。C0=10.2[nF]、fr=633
[kHz]、fa=691[kHz]、Zfr=18.
8[Ω]。
【0039】これらを、第(8)式に代入すると、Cd
=8.58[nF]を得る。続いて、このCdとfa、
frとを第(5)式、第(6)式に代入すると、次のよ
うな各回路素子の値(定数)が求められる。C1=1.
65[nF]、L1=38.3[μH]。第(3)式か
らはr1=18.8[Ω]が得られる。また、このPZ
T振動子に30[V]の直流電圧を印加した際、この直
流電圧によりC1に蓄えられる電荷量Q1に比例する、
静的な変位量Δx0は0.41[μm]であった。
【0040】回路シミュレータ上でこれらの値を持つ回
路素子を構成し、入力端子から駆動電圧を印加すること
により動的な変位解析を行う。
【0041】図8、図9は、上述のような変位解析によ
り求められた、上記の圧電素子への駆動電圧と変位量と
の関係を示す図である。図8(b)に示す駆動電圧に対
し図8(a)に示す変位量を得て、図9(b)に示す駆
動電圧に対し図9(a)に示す変位量を得る。図8
(a)、(b)は、駆動電圧の立ち上がり時間Δtが共
振周期Trよりも短い場合(Δt=1.0[μs]<T
r)を示し、図9(a)、(b)は、駆動電圧の立ち上
がり時間Δtが共振周期Trと等しい場合(Δt=1.
6[μs]=Tr)を示している。
【0042】圧電素子を駆動するパルス電圧は、それぞ
れ図に示す立ち上がり時間Δtをかけて0[V]から3
0[V]へと立ち上げられ、全体のパルス幅が5[μ
s]となるように最大振幅を継続し、立ち上がり時間Δ
tに等しい立ち下がり時間をかけて30[V]から0
[V]へと立ち下げられる。
【0043】これらの図8、図9を参照すると、立ち上
がり時間Δt、立ち下がり時間が圧電素子の共振周期T
r(=1.6[μs])より短い図8の場合に、パルス
幅を無限に大きくとったときに収束する変位の値Aから
のオーバシュート量B、電圧を立ち下げたときに落ち着
くべき変位の値0からのアンダーシュート量Cが立ち上
がり時間Δt、立下り時間が圧電素子の共振周期Trと
等しい図9の場合に比べ、著しく大きくなっていること
がわかる。これらのようなオーバシュート、アンダーシ
ュートを伴なう圧電素子の余分な振動は、圧電素子の正
確な制御を阻害しており、サテライト(印字ドット径に
対応するインクドロップの飛翔が小さなインクドロップ
の発生を伴なうこと)等を発生させる原因ともなってい
る。
【0044】図10は、図8、図9と同様の変位解析に
より求められた、圧電素子へのパルス電圧の電圧立ち上
がり時間ΔtとオーバシュートB/Aとの関係を示す図
である。図10(a)は実験により求められたこれらの
数値を示しており、図10(b)は図10(a)に示す
数値から得られるグラフを示している。ここでは、図
8、図9とは異なり、パルス電圧の立ち下がり時間につ
いては考慮していない。
【0045】図10を参照すると、立ち上がり時間Δt
が共振周期Trより短い場合にオーバシュート量が著し
く大きいことが確認され、立ち上がり時間Δtを共振周
期Trの2倍以上に設定することによりオーバシュート
量が5%以内に抑えられることがわかる。さらに、立ち
上がり時間Δtを共振周期Tr付近に設定するとオーバ
シュート量は立ち上がり時間Δtを少し変化させるだけ
で大きくばらつくが、立ち上がり時間Δtを共振周期T
rの2倍以上に設定することにより、このオーバシュー
ト量のばらつきを小さくすることができることがわか
る。
【0046】このように、圧電素子の立ち上がり時間Δ
tを調節することにより、印加されるパルス電圧に対す
る圧電素子の追従性がよくなることがわかったが、さら
に、上述のパルス電圧では5[μs]としたパルス幅を
変化させつつ、実際に上述の圧電素子をd33モードで
駆動して、このパルス幅の変化に対応するドットの変化
を計測する。
【0047】次に示す表1は、計測により求めた、圧電
素子に印加するパルス電圧のパルス幅とこの圧電素子に
よって印字されるドットとの関係を示している。また、
この際、圧電素子に印加したパルス電圧の波形を図11
に示す。
【0048】ここで、この圧電素子を有するプリンタヘ
ッドのノズルの径は35[μm]であった。また、本実
験において、インクの物性とインクチャンネルの形状か
ら決まるインクの固有振動周期Tiは45[μs]、パ
ルス電圧を立ち上げてからインクがノズルから離脱する
までの時間Tdは、25〜29[μs]であった。
【0049】
【表1】
【0050】表1を参照すると、圧電素子に印加される
パルス電圧のパルス幅twが20[μs]以上(インク
の固有振動周期の44[%]以上)のとき、この圧電素
子によって印字されるドットの面積は8500〜880
0[μm2]でほぼ一定であり、パルス幅twが10
[μs](インクの固有振動周期の22[%])のと
き、ドット面積は、基準としたパルス幅30[μs]で
印字されるドットの面積の約80[%]となっているこ
とがわかる。さらに、パルス幅twを小さくしていくと
これに伴ないドット面積も減少し、パルス幅twが7
[μs]のとき(インクの固有振動周期の16[%])
印字されるドットの面積は基準としたドット面積の64
[%]となり、パルス幅twが4、5[μs]のとき
(インクの固有振動周期の10[%]程度)印字される
ドットの面積は基準としたドット面積の約半分となるこ
とがわかる。
【0051】ドットの面積は印字濃度に対応し、上記の
結果は、パルス幅twを4[μs]から20[μs]ま
で変化させることにより、印字濃度として2倍以上の階
調の変化が得られることを示している。
【0052】すなわち、パルス幅をTi/10≦tw≦
Ti/2(Td/5≦tw≦Td)程度の範囲で変化さ
せることにより、インクドットの面積は2倍以上の変化
をさせることが可能となり、大きな階調の変化が得られ
ることがわかる。
【0053】次に、上述の実験結果のようにパルス幅を
小さくしていくと印字されるドット面積が小さくなって
いく理由を説明する。
【0054】図12は、圧電素子に印加する電圧Vとこ
の圧電素子のひずみによるインクチャンネル内からのイ
ンクの変位Δxとの関係を示す図である(これらの圧電
素子、インクチャンネル、ノズル等の構成は、図2〜図
4を用いて説明したものと同様である)。
【0055】図12(b)は圧電素子に印加する電圧V
を示す図であり、図12(a)はこの電圧Vによって駆
動される圧電素子のひずみによるノズル近くのインクの
変位Δxを示す図である。
【0056】図12(a)に示すインクの変位Δxは、
高速ストロボ撮像装置で撮像したノズル付近のインクの
揺れを再現したものであり、駆動電圧波形D、Eはそれ
ぞれインクの変位F、Gに対応する。また、インクチャ
ンネル内からノズルを通過してインクチャンネル外に吐
出する方向を正としてあり、時間Td1、Td2はパル
ス電圧を立ち上げてからインクが飛翔するまでの時間を
それぞれ示している。
【0057】これらを参照して、インクの変位Δxは駆
動電圧波形に関わらず固有振動周期Tiで振動すること
が確かめられる。すなわち、インクは、圧電素子のひず
みに応じて一旦圧縮された後、インクの固有振動周期T
iに応じた伸縮振動を行う。
【0058】また、パルス電圧を立ち上げてからインク
が飛翔するまでの時間Td1、Td2はインクの変位が
最大となる、固有振動周期Tiの1/2程度の時間とな
っている。
【0059】これらのことから、短いパルス幅で圧電素
子を駆動すると、インクが吐出に至る変位となる前に、
圧電素子にインクを引き込む動作を加えることになるの
で、インク変位の最大値が小さくなって吐出体積が減少
することが推測される。
【0060】さらに、表1に示す実験結果と図10に示
す実験結果とを合わせて参照することにより、パルス電
圧の立ち上がり時間Δtを圧電素子の共振周期Trより
も大きくしつつパルス幅をTi/5よりも小さくすると
き、すなわち、Δt≧Trかつtw≦Ti/5とすると
き、より小さなインクドロップは安定して吐出され、こ
のようにして駆動される圧電素子を有するプリンタヘッ
ドは追従性よく2倍近くの階調を表現することが可能と
なる。
【0061】また、表1に示す実験結果と図10に示す
実験結果とを合わせて参照することにより、パルス電圧
の立ち上がり時間Δtを圧電素子の共振周期Trよりも
大きくしつつ、パルス電圧のパルス幅をTi/10より
も小さくするとき、すなわち、Δt≧Trかつtw≦T
i/10とするとき、より小さなインクドロップは安定
して吐出され、このようにして駆動される圧電素子を有
するプリンタヘッドは追従性よく2倍以上の階調を表現
することが可能となる。
【0062】本実施の形態では、大径および小径のノズ
ルを有するプリンタヘッドについて説明しているが、ノ
ズルの径は同じ大きさであってもよい。径の大きさが同
じノズルを有し飛翔させるインクドロップのドロップ径
を制御してドット径変調で階調印字する場合、本発明は
特に効果的であり、小径のインクドロップを安定させて
飛翔させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施の形態の1つであるプリン
タヘッド3を有するインクジェットプリンタ1の概略構
成を示す斜視図である。
【図2】プリンタヘッド3の構成を説明するための、プ
リンタヘッド3の一部を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】インクジェットプリンタ1の制御部の構成を示
すブロック図である。
【図6】メイソンの等価回路を示す図である。
【図7】本等価回路でのインピーダンスと周波数との関
係を示す図である。
【図8】圧電素子への駆動電圧と変位量との関係を示す
第1の図である。
【図9】圧電素子への駆動電圧と変位量との関係を示す
第2の図である。
【図10】圧電素子へのパルス電圧の電圧立ち上がり時
間Δtとオーバシュートとの関係を示す図である。
【図11】表1に示す結果を得る実験で、圧電素子に印
加したパルス電圧の波形を示す図である。
【図12】圧電素子に印加する電圧Vとこの圧電素子の
ひずみによるインクチャンネル内からのインクの変位Δ
xとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 2 記録シート 3 プリンタヘッド 56 ヘッドドライバ 307 インク 308 インクチャンネル 315 圧電素子 tw 圧電素子に印加されるパルス電圧のパルス幅 Tr 圧電素子の共振周期 Ti インクチャンネル内でのインクの固有振動周期 Δt 立ち上がり時間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス電圧を印加することにより圧電素
    子を駆動し、所定の空間に収められたインクからインク
    ドロップを吐出して画像の記録を行なうインクジェット
    記録装置であって、 前記パルス電圧の印加に応じて、前記インクは前記所定
    の空間内で固有の周期で振動し、 前記インクドロップを吐出する前記圧電素子を含むヘッ
    ドと、 前記パルス電圧のパルス幅を、前記インクの固有の振動
    の周期の1/5以下に設定して前記圧電素子を駆動する
    手段とを含む、インクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 パルス電圧を印加することにより圧電素
    子を駆動し、所定の空間に収められたインクからインク
    ドロップを吐出して画像の記録を行なうインクジェット
    記録装置であって、 前記パルス電圧の印加に応じて、前記インクは前記所定
    の空間内で固有の周期で振動し、 前記インクドロップを吐出する前記圧電素子を含むヘッ
    ドと、 前記パルス電圧の立ち上がり時間を前記圧電素子の共振
    周期よりも長くしつつ、前記パルス電圧のパルス幅を前
    記インクの固有の振動の周期の1/5以下となるよう設
    定して前記圧電素子を駆動する手段とを含む、インクジ
    ェット記録装置。
JP8294897A 1997-04-01 1997-04-01 インクジェット記録装置 Pending JPH10278255A (ja)

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