JP4117153B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、いわゆる多階調印刷等のため、インクジェットヘッドの同一のノズルから一印刷周期内に複数のインク滴を吐出し、これら複数のインク滴によって一つのインクドットを形成するインクジェット式記録装置が知られている。
【0003】
一般に、この種のインクジェット式記録装置に搭載されるインクジェットヘッドは、インクを収容する圧力室と当該圧力室に連通するノズルとが形成されたヘッド本体と、上記ノズルからインク滴を吐出させるように圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、アクチュエータに駆動信号を供給する駆動信号供給部とを備えている。ヘッドの小型化等のため、アクチュエータとしては、圧電素子を有するものがよく用いられている。
【0004】
記録動作の際には、まず、上記駆動信号供給部が一印刷周期中に1または2以上のパルスを含む駆動信号を供給する。そして、当該駆動信号を受けたアクチュエータは、圧力室内のインクをノズルから押し出すことによって、パルス数と同数のインク滴を吐出させる。吐出されたインク滴は、吐出順に記録紙上に着弾し、一つのインクドットを形成する。このようなインクドットが記録紙上に多数集合することにより、当該記録紙に所定の画像等が形成される。ここで、一印刷周期中に吐出するインク滴の個数を調整することにより、ドットの濃淡や大きさが調整される。その結果、いわゆる多階調印刷が行われることになる。
【0005】
しかし、高速印刷を行う場合には、インクジェットヘッドのキャリッジ速度が大きいため、同一のノズルから吐出された複数のインク滴は、キャリッジ方向にずれた位置に着弾しやすくなる。その結果、インクドットがキャリッジ方向に細長い長円形状になってしまい、画像の品質が低下しやすかった。
【0006】
そこで、高速印刷を可能にすべく、例えば特開平8−336970号公報に開示されているように、後から吐出するインク滴の吐出速度を先に吐出するインク滴の吐出速度よりも大きくすることにより、同一のノズルから吐出された2つのインク滴同士を飛翔中に合体させ、一つのインク滴にしてから着弾させることが提案されている。
【0007】
上記インクジェットヘッドは、ヘッドのヘルムホルツ周期よりも大きな周期でパルス信号を印加することを前提とし、そのうえで、パルス信号の立ち上がり波形または立ち下がり波形の傾斜角度を変更すると、ノズル内のインクメニスカスの引き込み量が変化し、インク滴の吐出速度が変更されることに着目したものである。上記インクジェットヘッドでは、パルス信号の立ち上がり波形または立ち下がり波形の傾斜角度を調整することにより、後から吐出するインク滴の吐出速度を前に吐出したインク滴の吐出速度よりも大きくしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記インクジェットヘッドでは、各パルス信号の印加周期がヘルムホルツ周期よりも長いので、一印刷周期は必然的にヘルムホルツ周期のパルス数倍以上の長さとなる。そのため、駆動周波数の増大が難しく、印刷速度の更なる高速化を図ることは困難であった。そこで、更なる高速印刷を可能にする新たな技術が待ち望まれていた。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一印刷周期内に複数のインク滴を吐出し、それらインク滴を飛翔中に合体させるインクジェットヘッドおよびそれを備えたインクジェット式記録装置において、印刷の更なる高速化を図ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るインクジェットヘッドは、ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、前記複数のパルス信号は、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定され、最初のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間は、後のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間よりも長く設定されているものである。
【0011】
このことにより、インクのメニスカス振動が共振するように、後のパルス信号は先のパルス信号から比較的短時間の間に印加されるので、一印刷周期の時間を短くすることができる。そのため、印刷速度の高速化を図ることができる。パルス信号の印加によって吐出された複数のインク滴は、飛翔中に合体し、一つのインク滴となって記録紙に着弾する。そのため、インクドットが長円となることはなく、記録の品質は向上する。最初のパルス信号の電位変化時間は後のパルス信号の電位変化時間よりも長く設定されているので、最初のパルス信号によるノズル内のインクメニスカスの引き込み速度は、後のパルス信号によるインクメニスカスの引き込み速度に比べて緩慢となる。そのため、最初のパルス信号の印加によって吐出されるインク滴は、後のパルス信号の印加によって吐出されるインク滴に比べて吐出速度が小さくなる。したがって、後に吐出されたインク滴は最初に吐出されたインク滴に容易に追いつき、それら複数のインク滴を飛翔中に合体させることが容易になる。そのため、一印刷周期の時間を短くしても安定したインク滴の飛翔が得られる。結果として、記録の品質は向上する。
【0012】
さらに、印刷速度の高速化が図られる。
【0013】
また、後のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間は、前記ヘルムホルツ周期の半周期以下に設定されていてもよい。
【0014】
このことにより、合体後のインク滴の吐出速度が高速となり、着弾精度の向上が図られる。
【0015】
本発明に係るインクジェットヘッドは、ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、前記複数のパルス信号は、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定され、前記複数のパルス信号は、基準電位からピーク電位までの電位変化時間が前記ヘルムホルツ周期の半周期以下である第1のパルス信号と、基準電位からピーク電位までの電位変化時間が前記ヘルムホルツ周期以下で且つ前記第1のパルス信号の前記電位変化時間よりも長い第2のパルス信号とを含んでいるものである。
【0016】
このことにより、第2のパルス信号により吐出されるインク滴(以下、第2インク滴という)は第1のパルス信号により吐出されるインク滴(以下、第1インク滴という)よりも吐出速度が遅くなるので、第1インク滴は第2インク滴に容易に追いつき、それらインク滴は容易に合体する。そのため、前述したように、印刷速度の高速化や記録品質の向上を図ることができる。
【0017】
本発明に係るインクジェットヘッドは、ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、前記複数のパルス信号は、パルス高さの異なる2以上のパルス信号を含み、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定されているものである。
【0018】
このことにより、パルス高さの低いパルス信号により吐出されるインク滴(以下、第2インク滴という)はパルス高さの高いパルス信号により吐出されるインク滴(以下、第1インク滴という)よりも吐出速度が遅くなるので、第1インク滴は第2インク滴に容易に追いつき、それらインク滴は容易に合体する。そのため、前述したように、印刷速度の高速化や記録品質の向上を図ることができる。
【0019】
前記インクジェットヘッドは、最初のパルス信号のパルス高さが後のパルス信号のパルス高さよりも低く設定されていることが好ましい。
【0020】
このことにより、最初に吐出されるインク滴の方が後に吐出されるインク滴よりも吐出速度が小さくなり、最初に吐出されるインク滴と後発のインク滴との合体が円滑かつ確実に行われる。
【0021】
前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、各パルス信号のピーク電位は、接地電位であり、パルス高さの異なるパルス信号の基準電位は、互いに異なっていることが好ましい。
【0022】
このことにより、パルス信号のピーク電位は、接地電位として共通化される。そのため、基準電位とピーク電位との差であるパルス高さは、基準電位によって決定されることになる。したがって、パルス信号同士の間では、基準電位の差がパルス高さの差となる。基準電位の調整は容易であることから、パルス高さを容易に調整することができ、パルス信号同士のパルス高さの誤差は生じにくくなる。
【0023】
なお、前記アクチュエータの圧電素子の厚みは0.5μm〜5μmに設定されていてもよい。
【0024】
本発明に係るインクジェット式記録装置は、前記インクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段とを備えているものである。
【0025】
このことにより、高速かつ高品質の記録を行う記録装置が得られる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数のパルス信号をインクのメニスカス振動を共振させるように印加するので、一印刷周期の時間を短くすることができ、印刷速度の高速化を図ることができる。
【0027】
また、最初のパルス信号の電位変化時間を後のパルス信号の電位変化時間よりも長く設定したので、複数のインク滴を飛翔中に合体させることが容易になる。
【0028】
また、第2パルス信号の電位変化時間を第1パルス信号の電位変化時間よりも長く設定したので、第1パルス信号により吐出されるインク滴は第2パルス信号により吐出されるインク滴に追いつきやすくなる。そのため、複数のインク滴を合体させることが容易になり、合体の安定性が向上する。
【0029】
また、パルス高さの異なる2以上のパルス信号を用いるので、パルス高さの高いパルス信号により吐出されたインク滴は、パルス高さの低いパルス信号により吐出されたインク滴よりも吐出速度が大きくなる。そのため、複数のインク滴を合体させることが容易になり、合体の安定性が向上する。
【0030】
したがって、本発明によれば、更なる高速印刷が可能になり、また、高品質の記録を行うことが容易になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
<駆動信号と吐出性能との関係>
本発明の実施形態の説明に先立ち、駆動信号と吐出性能との関係について説明する。
【0032】
図1は、駆動信号の波形とアクチュエータの変位とインクメニスカスの状態との関係を示した図である。駆動信号は、基準電位V0とピーク電位V1とを有するパルス信号Pである。ピーク電位V1は、圧力室を減圧するようにアクチュエータを駆動する電位であり、言い換えると、圧力室の容積を増大させるようにアクチュエータを駆動する電位である。本駆動信号は、圧力室をいったん減圧してから加圧する信号であり、インクメニスカスをいったんノズル内に引き込んだ後に押し出す信号(いわゆる引き押し波形の信号)である。なお、図1及び後述する図2〜4の駆動信号では、共振を利用するために、パルス信号Pの電位降下波形S1の開始時から電位上昇波形S3の開始時までの時間は、ヘルムホルツ周期の半周期に設定されている。図2〜図4の駆動信号との比較のため、以下では図1の上記駆動信号を基本信号と称することとする。
【0033】
ここで、吐出されるインクの液滴量は、アクチュエータの変位量とメニスカスの引き込み量とに影響され、上記変位量と上記引き込み量との差と液滴量との間には、相関関係が見られる。また、液滴の吐出速度は、アクチュエータの変位速度(つまり、図1におけるアクチュエータ変位曲線の傾き)と相関関係がある。
【0034】
図2に示すように、パルス信号Pの電位降下波形S1の傾きを緩やかにすると、アクチュエータの変位量は減少するが、メニスカスの引き込み量も減少する。そのため、吐出されるインクの液滴量m2は、基本信号により吐出されるインクの液滴量m1とほぼ同等か、あるいはm1よりも若干小さな値となる。一方、アクチュエータの変位量が減ったため、変位曲線の傾きは緩やかになる。そのため、吐出速度v2は、基本信号により吐出されるインクの吐出速度v1よりも小さくなる。つまり、m2≦m1、v2<v1となる。
【0035】
図3に示すように、吐出速度がv2とほぼ等しくなるようにパルス信号Pの電位上昇波形S3の傾きを緩やかにすると、メニスカスの引き込み量は基本信号の場合と変わらないが、アクチュエータの変位量は若干減少する。そのため、液滴量m3は、m2よりも少なくなる。また、アクチュエータの変位量が減ったため、変位曲線の傾きが緩やかになり、吐出速度v3はv1よりも小さくなる。つまり、m3<m2≦m1、v3≒v2<v1となる。
【0036】
図4に示すように、吐出速度がv2とほぼ等しくなるようにパルス信号Pのパルス高さを若干下げると、アクチュエータの変位量は減るが、メニスカスの引き込み量も基本信号の場合よりも若干減少する。そのため、液滴量m4はm1より小さくなるが、m3よりは大きくなる。また、アクチュエータの変位量が減ったため、変位曲線の傾きが緩やかになり、吐出速度v4はv1よりも小さくなる。つまり、m3<m4<m1、v4≒v3≒v2<v1となる。
【0037】
以上のように、液滴量に関しては、m3<m2≦m1、m3<m4<m1という関係が見られ、吐出速度に関しては、v4≒v3≒v2<v1という関係が見られる。
【0038】
実際に図1〜図4の駆動信号を用い、吐出速度と液滴量とを測定する実験を行った。図5に、測定条件と測定結果とを示す。本実験から、上記関係が正しいことが確認された。
【0039】
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
図6は、インクジェット式記録装置としてのプリンタ20の概略構成を示している。プリンタ20は、キャリッジ16に固定されたインクジェットヘッド1を備えている。キャリッジ16には、図6では図示を省略するキャリッジモータ28(図11参照)が設けられている。キャリッジ16は、キャリッジモータ28によって主走査方向(図6及び図7に示すX方向)に延びるキャリッジ軸17にガイドされ、その方向に往復移動するように構成されている。インクジェットヘッド1はキャリッジ16に搭載されているので、インクジェットヘッド1もキャリッジ16の往復移動に伴って主走査方向Xに往復移動する。なお、このキャリッジ16、キャリッジ軸17及びキャリッジモータ28により、インクジェットヘッド1と記録紙41とを相対移動させる移動手段が構成されている。
【0041】
記録紙41は、図6では図示を省略する搬送モータ26(図11参照)によって回転駆動される2つの搬送ローラ42に挟まれており、この搬送モータ26及び各搬送ローラ42により、主走査方向Xと直交する副走査方向(図6及び図7に示すY方向)に搬送される。
【0042】
図7〜図10に示すように、インクジェットヘッド1は、インクを収容する複数の圧力室4と各圧力室4にそれぞれ連通する複数のノズル2とが形成されたヘッド本体40と、各圧力室4内のインクに圧力を付与するアクチュエータ10とを有している。アクチュエータ10は、圧電素子13を有するピエゾ式のアクチュエータであって、圧電素子13に固着した振動板11がたわみ変形を行ういわゆるたわみ振動型のアクチュエータである。このアクチュエータ10は、圧力室4の縮小及び拡大に伴う圧力室4内の圧力変化によって、ノズル2からインク滴を吐出し且つ圧力室4にインクを充填する。
【0043】
図7に示すように、圧力室4は、インクジェットヘッド1の内部に主走査方向Xに延びるように長溝状に形成され、副走査方向Yに互いに所定間隔をあけて配設されている。圧力室4の一端部(図7の右側の端部)には、ノズル2が設けられている。ノズル2,2,…は、インクジェットヘッド1の下面において、副走査方向Yに互いに所定間隔をあけて開口するように設けられている。圧力室4の他端部(図7の左側の端部)は、インク供給路5の一端部に連続している。各インク供給路5の他端部は、副走査方向Yに延びるインク供給室3に連続している。
【0044】
図8に示すように、インクジェットヘッド1は、ノズル2が形成されたノズルプレート6と、圧力室4及びインク供給路5を区画形成する区画壁7と、アクチュエータ10とが順に積層されて構成されている。このノズルプレート6は厚さ20μmのポリイミド板からなり、区画壁7は厚さ480μmのステンレス製ラミネート板またはステンレスと感光性ガラスとのラミネート板からなっている。
【0045】
図9及び図10に誇張して示すように、アクチュエータ10は、圧力室4を覆う振動板11と、振動板11を振動させる薄膜の圧電素子13と、個別電極14とが順に積層されて構成されている。振動板11は、厚さ2μmのクロム板からなっていて、個別電極14と共に圧電素子13に電圧を印加するための共通電極としての機能をも有している。圧電素子13は、圧力室4に対応して設けられており、厚さ0.5μm〜5μmのPZT(ジルコル酸チタン酸鉛)等を好適に用いることができる。本実施形態では、圧電素子13の厚みは3μmに設定されている。個別電極14は厚さ0.1μmの白金板からなっており、アクチュエータ10の全体の厚さは約5μmとなっている。なお、互いに隣接する圧電素子13及び個別電極14の間には、ポリイミドからなる絶縁層15が設けられている。
【0046】
次に、図11のブロック図を参照しながら、プリンタ20の制御回路35を説明する。制御回路35は、CPUからなる主制御部21と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM22と、各種データの記憶等を行うRAM23と、搬送モータ26及びキャリッジモータ28とをそれぞれ駆動制御するためのドライバ回路25,27及びモータ制御回路24と、印刷データを受信するデータ受信回路29と、駆動信号発生回路30と、選択回路31とを備えている。選択回路31には、アクチュエータ10が接続されている。駆動信号発生回路30は、一印刷周期内に複数のパルス信号を有する駆動信号を発生させる。選択回路31は、インクジェットヘッド1がキャリッジ16と共に主走査方向Xに移動しているときに、上記駆動信号に含まれる1または2以上の駆動パルスをアクチュエータ10に選択的に入力させる。これら駆動信号発生回路30及び選択回路31により、アクチュエータ10に所定の駆動信号を供給する信号供給手段32が構成されている。
【0047】
次に、プリンタ20の動作について説明する。まず、プリンタ本体(図示せず)から画像データが送信され、データ受信回路29がこの画像データを受信すると、主制御部21がROM22に記憶された処理ルーチンに基づいて、モータ制御回路24及びドライバ回路25,27を介して搬送モータ26及びキャリッジモータ28をそれぞれ制御すると共に、駆動信号発生回路30に駆動信号を発生させる。さらに、主制御部21は、上記画像データに基づいて、選択回路31に対し選択すべきパルス信号の情報を出力する。そして、選択回路31は、上記情報に基づいて、複数の駆動パルスのうちから所定の1または2以上の駆動パルスを選択してアクチュエータ10に供給する。例えば、一印刷周期内に1つのインク滴を吐出する場合には、1つのパルス信号を選択し、2つのインク滴を吐出する場合には、2つのパルス信号を選択する。これにより、インクジェットヘッド1のノズル2から、一印刷周期内に1または2以上のインク滴が吐出されることになる。
【0048】
一印刷周期内に印加される複数のパルス信号は、パルス間隔がインクジェットヘッド1のヘルムホルツ周期以下に設定されている。なお、ここでいうヘルムホルツ周期とは、インクだけでなくアクチュエータ10の影響をも含めた振動系全体の固有周期(共振周期)をいう。また、上記複数のパルス信号は、これらパルス信号の印加により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定されている。また、上記複数のパルス信号は、最初のパルス信号の立ち下がり波形の立ち下がり時間が後のパルス信号の立ち下がり波形の立ち下がり時間よりも長くなるように設定されている。
【0049】
次に、図12を参照しながら、一印刷周期T内にノズル2から4つのインク滴を吐出する場合について説明する。ここでは、アクチュエータ10に供給される駆動信号は、4つの台形波状パルスP1〜P4、すなわち、第1パルスP1と第2パルスP2と第3パルスP3と第4パルスP4とを含んでいる。各パルスP1〜P4は、圧力室4をいったん減圧してから加圧するようにアクチュエータ10を駆動するパルス信号であり、言い換えると、アクチュエータ10に引き押し動作(いわゆるプルプッシュ動作)を行わせることによってインク滴を吐出させる信号である。
【0050】
第1〜第4パルスP1〜P4は、パルス間隔がヘルムホルツ周期に徐々に近づくような順番(ただし、隣り合う一部のパルス同士のパルス間隔は等しくてもよい。つまり、全体的にヘルムホルツ周期に近づくような順番になっていればよい。)に並んでいる。ただし、第1〜第4パルスP1〜P4のパルス間隔は、これらパルスによって吐出される第1〜第4のインク滴を飛翔中に合体させることができる限り、上記間隔に限定されるものではない。
【0051】
第1パルスP1の立ち下がり波形P11の立ち下がり時間t1は、へルムホルツ周期以下に設定されている。第2パルスP2の立ち下がり波形P21の立ち下がり時間t2,第3パルスP3の立ち下がり波形P31の立ち下がり時間t3、及び第4パルスP4の立ち下がり波形P41の立ち下がり時間t4は、いずれも上記ヘルムホルツ周期の半分の値(半周期)以下に設定されている。
【0052】
ところで、前記特開平8−336970号公報に開示された従来のインクジェットヘッドでは、複数のパルスは、ヘルムホルツ周期よりも長い時間をかけて圧力室を膨張させ、インクのメニスカスをノズル内に引き込んでいた。そして、このように引き込み時間がヘルムホルツ周期よりも長いので、メニスカス振動の共振は起こらず、引き込み時間を変化させてもアクチュエータの変位は変化しなかった。つまり、従来のインクジェットヘッドは、アクチュエータの変位を変えることなく、メニスカスの引き込み量の調整のみでインク滴の液適量及び吐出速度を調整するものであった。
【0053】
これに対し、本実施形態では、インクメニスカス振動の共振を利用するものである。具体的には、ヘルムホルツ周期よりも短い時間でメニスカスを引き込むものとし、そのような引き込みを行わせるパルスの立ち下がり時間を調整することにより、メニスカスの引き込み量及びアクチュエータの変位の両方を調整するものである。本実施形態では、引き込み時間(パルスの立ち下がり時間)がヘルムホルツ周期よりも短いため、引き込み時間によってアクチュエータの変位を変えることができる。したがって、引き込み時間が長いほどアクチュエータの変位は小さくなる。そのため、吐出速度の遅いインク滴を吐出する場合には、引き込み時間を長くすることによってアクチュエータの変位を小さくする。なお、この場合、インク滴の液適量も若干少なくなる。
【0054】
アクチュエータ10に対して上記駆動信号が供給されると、まず、第1パルスP1によって第1のインク滴が吐出される。次に、第2パルスP2が印加され、インクメニスカス振動の共振によって、第1インク滴の吐出速度v1よりも大きな吐出速度v2で第2のインク滴が吐出される。更に、第3パルスP3が印加され、インクメニスカス振動の共振によって、第2インク滴の吐出速度v2以上の吐出速度v3で第3のインク滴が吐出される。そして、更に、第4パルスP4が印加され、インクメニスカス振動の共振によって、第3インク滴の吐出速度v3以上の吐出速度v4で第4のインク滴が吐出される。つまり、v1<v2≦v3≦v4となっている。
【0055】
第1〜第4パルスP1〜P4によって吐出された第1〜第4インク滴は、飛翔中に合体して一つのインク滴となり、記録紙41に着弾して単一のインクドットを形成する。これにより、高速印刷の場合であっても、インクドットが長円になることがなく、良好なインクドットが形成されることになる。
【0056】
なお、ここでいうインク滴の合体とは、完全に分離しているインク滴同士が空中で一体となる場合だけでなく、各々の一部がつながっているものの各インク滴の存在が分かる程度に分かれているインク滴同士が、各インク滴の存在が分からない程度に一体化する場合も含まれる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、インクメニスカス振動が共振を起こすように複数のパルス信号を連続的に印加することとしたので、合体インク滴を形成するための複数のインク滴を、短時間の間に吐出することができる。したがって、駆動周波数の向上を図ることができ、高速印刷を実現することができる。
【0058】
第1パルスP1の立ち下がり時間t1を第2〜第4パルスP2〜P4の立ち下がり時間t2〜t4よりも長くしたので、第1パルスP1によって吐出される第1インク滴の吐出速度v1を、第2〜第4パルスP2〜P4によって吐出される第2〜第4インク滴の吐出速度v2〜v4よりも小さくすることができる。
【0059】
このように第1インク滴の吐出速度が小さいため、たとえ第3インク滴の吐出速度v3が第2インク滴の吐出速度v2と等しい場合であっても、第2インク滴と第1インク滴とが合体してなる合体インク滴は、第3インク滴よりも吐出速度が小さくなる。そのため、第3インク滴は合体インク滴と合体しやすくなる。また、同様に、第4インク滴も、第1〜第3インク滴が合体してなる合体インク滴と合体しやすくなる。
【0060】
したがって、本実施形態によれば、複数のインク滴を飛翔中に合体させることが容易となり、合体インク滴によって、記録紙41上に良好な単一ドットを形成することができる。そのため、高品質の記録を行うことができる。
【0061】
なお、上記実施形態のパルス信号P1〜P4は、アクチュエータ10に引き押し動作を行わせる信号であったが、パルス信号P1〜P4は、アクチュエータ10に押し引き動作(プッシュプル動作)を行わせる信号であってもよい。
【0062】
一印刷周期に含まれるパルスの個数は4に限定されず、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。
【0063】
−実施例−
次に、実施例について説明する。本実施例では、基準電位VH、負圧電位VL、及び第1〜第4パルスP1〜P4の立ち下がり時間t1〜t4を、それぞれ表1に示す値に設定した。なお、本実施例では、ヘルムホルツ周期は8μsである。
【0064】
【表1】
【0065】
第1〜第4パルスP1〜P4を印加したところ、第1〜第4のインク滴は飛翔中に合体し、一つのインク滴となって約8m/sの吐出速度で記録紙上に着弾した。その結果、記録紙上には、単一の良好なインクドットが形成された。
【0066】
<実施形態2>
実施形態1は、一印刷周期内に印加される複数のパルス信号のうち、最初のパルスP1の立ち下がり時間t1を、その後のパルスP2〜P4の立ち下がり時間t2〜t4よりも長くしたものであった。これに対し、図13に示すように実施形態2は、2番目のパルスP2の立ち下がり時間t2を、他のパルスP1,P3,P4の立ち下がり時間t1,t3,t4よりも長くしたものである。
【0067】
本実施形態の駆動信号は、第1〜第4のインク吐出用のパルス信号P1〜P4と、インクを吐出しない程度にアクチュエータを駆動する補助パルス信号P5とを有している。補助パルス信号P5は、アクチュエータの残留振動を抑制し、またはノズル内のインク粘度の上昇を抑制するものである。
【0068】
パルス信号P1〜P4は、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定されている。また、パルス信号P1,P3,P4の立ち下がり時間t1,t3,t4は、ヘルムホルツ周期の半周期以下に設定されている。一方、第2パルス信号P2の立ち下がり時間t2は、ヘルムホルツ周期以下であり、上記立ち下がり時間t1,t3,t4のいずれよりも長く設定されている。なお、本実施形態では、第1パルス信号P1、第3パルス信号P3、及び第4パルス信号P4が、本発明でいうところの「第1のパルス信号」に対応し、第2パルス信号P2が「第2のパルス信号」に対応する。
【0069】
本実施形態では、第2パルスP2によって吐出された第2インク滴は、液滴量はあまり変化しない一方、吐出速度が比較的小さくなる。そのため、第3パルスP3によって吐出された第3インク滴は第2インク滴に容易に追いつき、それらインク滴の合体の安定性が向上する。なお、本実施形態では共振を利用しているので、第4パルスP4によって吐出された第4インク滴の吐出速度は大きくなり、第4インク滴は合体後のインク滴に追いつく。そして、最終的には第1〜第4インク滴はすべて合体することになる。
【0070】
本実施形態においても、一印刷周期に含まれるパルスの個数は4に限らず、2又は3であってもよく、5以上であってもよい。立ち下がり時間が他のパルスよりも長いパルス(本発明でいうところの「第2のパルス」)は、2番目のパルスに限らず、3番目以降のパルスであってもよい。また、一印刷周期に含まれる上記パルス(=「第2のパルス」)の個数は1に限らず、2以上であってもよい。
【0071】
<実施形態3>
実施形態3は、パルスの立ち下がり時間を長くすることによって吐出速度を低減する代わりに、パルス高さを低くすることによって吐出速度を低減させるものである。
【0072】
図14に示す駆動信号は、第1〜第3パルスP1〜P3からなり、第1パルスP1及び第2パルスP2のパルス高さVH2−VLが、その後のパルスP3のパルス高さVH1−VLよりも低く設定されているものである。なお、本実施形態の第1パルスP1及び第2パルスP2のように、パルスによっては、パルスの前後において基準電位の値が異なっている場合がある。ここでは、パルス高さは、立ち下がり波形の立ち下がり開始時の基準電位とピーク電位との差と、立ち上がり波形の立ち上がり終了後の基準電位とピーク電位との差とのうち、どちらか小さい方をいうものとする。
【0073】
第1〜第3パルスP1〜P3は、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定されている。
【0074】
上記駆動信号によれば、第1インク滴及び第2インク滴の吐出速度が小さくなり、第3インク滴は第1インク滴及び第2インク滴に容易に追いつきやすくなる。したがって、第1〜第3インク滴の合体の安定性を高めることができる。また、複数のインク滴のうち、初めの方に吐出されるインク滴の吐出速度を低減することとしたので、後発のインク滴との合体を円滑且つ確実に行わせることができる。したがって、合体の安定性をより向上させることができる。
【0075】
なお、一印刷周期に含まれるパルスの個数は3に限らず、2又は4以上であってもよい。
【0076】
例えば、図15に示す駆動信号のように、4つのパルス信号P1〜P4を含んでいてもよい。また、インクを吐出しない程度にアクチュエータを駆動する補助パルス信号P5を含んでいてもよい。補助パルス信号P5は、アクチュエータの残留振動を抑制し、またはノズル内のインク粘度の上昇を抑制するものである。上記駆動信号においても、第1パルスP1及び第2パルスP2のパルス高さVH2−VLは、その後のパルスP3,P4のパルス高さVH1−VLよりも低く設定されている。したがって、上記駆動信号によっても、インク滴の合体の安定性を向上させることができる。
【0077】
なお、パルス高さを変化させる手法として、基準電位VHを一定としつつピーク電位の値VLを変化させることもできる。ただし、駆動回路の構成によってはピーク電位VLを接地電位(GND)にすることが好ましいので、このような場合には、ピーク電位VLを一定(=接地電位)としつつ基準電位VHの値を変化させることが好ましい。図16(a)に示すように、接地電位以外の電位VL1がピーク電位となった後、電位を上昇させる際に誤差が生じやすく、基準電位の値VH=VL1+ΔVが不安定になりやすいからである。これに対し、図16(b)に示すように、ピーク電位VLを接地電位とすれば、基準電位の値VH2=ΔVは安定しやすく、ピーク高さを正確に調整しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 駆動信号の波形とアクチュエータ変位とメニスカス状態との関係を示す図である。
【図2】 駆動信号の波形とアクチュエータ変位とメニスカス状態との関係を示す図である。
【図3】 駆動信号の波形とアクチュエータ変位とメニスカス状態との関係を示す図である。
【図4】 駆動信号の波形とアクチュエータ変位とメニスカス状態との関係を示す図である。
【図5】 駆動信号と吐出性能との関係を調べる確認実験の結果を示す図であり、(a)はパラメータの定義を示す波形図であり、(b)は測定条件及び測定結果を示す表である。
【図6】 実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図7】 インクジェットヘッドの部分平面図である。
【図8】 図7のA−A線断面図である。
【図9】 アクチュエータ近傍の部分断面図である。
【図10】 図7のB−B線断面図である。
【図11】 制御回路のブロック図である。
【図12】 実施形態1に係る駆動信号の波形図である。
【図13】 実施形態2に係る駆動信号の波形図である。
【図14】 実施形態3に係る駆動信号の波形図である。
【図15】 実施形態3に係る駆動信号の波形図である。
【図16】 実施形態3に係る駆動信号の波形図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 ノズル
3 インク供給室
4 圧力室
10 アクチュエータ
11 振動板
13 圧電素子
14 個別電極
20 プリンタ(インクジェット式記録装置)
32 信号供給手段
35 制御回路
40 ヘッド本体
41 記録紙(記録媒体)
P1〜P4 パルス信号
Claims (8)
- ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、
圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、
前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、
前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、
前記複数のパルス信号は、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定され、
最初のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間は、後のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間よりも長く設定されているインクジェットヘッド。 - 請求項1に記載のインクジェットヘッドであって、
後のパルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間は、ヘッドのヘルムホルツ周期の半周期以下に設定されているインクジェットヘッド。 - ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、
圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、
前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、
前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、
前記複数のパルス信号は、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定され、
前記複数のパルス信号は、基準電位からピーク電位までの電位変化時間が前記ヘルムホルツ周期の半周期以下である第1のパルス信号と、基準電位からピーク電位までの電位変化時間が前記ヘルムホルツ周期以下で且つ前記第1のパルス信号の前記電位変化時間よりも長い第2のパルス信号とを含んでいるインクジェットヘッド。 - ノズルと当該ノズルに連通し且つインクが充填された圧力室とが形成されたヘッド本体と、
圧電素子と当該圧電素子に電圧を印加する電極とを有し、前記圧電素子の圧電効果によって前記圧力室内のインクに圧力を付与するアクチュエータと、
前記アクチュエータに対して一印刷周期内に複数のパルス信号を含む駆動信号を供給する信号供給手段とを備えたインクジェットヘッドであって、
前記各パルス信号は、基準電位と、前記圧力室内を減圧するようにアクチュエータを駆動するピーク電位とを有し、
前記複数のパルス信号は、パルス高さの異なる2以上のパルス信号を含み、パルス間隔がヘッドのヘルムホルツ周期以下に設定されているとともに、後のパルス信号によるインクメニスカス振動が先のパルス信号によるインクメニスカス振動と共振するように、前記 各パルス信号における基準電位からピーク電位までの電位変化時間が、前記ヘルムホルツ周期以下に設定され、且つこれらパルス信号により吐出された複数のインク滴が飛翔中に合体するように設定されているインクジェットヘッド。 - 請求項4に記載のインクジェットヘッドであって、
最初のパルス信号のパルス高さが後のパルス信号のパルス高さよりも低く設定されているインクジェットヘッド。 - 請求項4又は5に記載のインクジェットヘッドであって、
各パルス信号のピーク電位は、接地電位であり、
パルス高さの異なるパルス信号の基準電位は、互いに異なっているインクジェットヘッド。 - 請求項1〜6のいずれか一つに記載のインクジェットヘッドであって、
アクチュエータの圧電素子の厚みが0.5μm〜5μmに設定されているインクジェットヘッド。 - 請求項1〜7のいずれか一つに記載のインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段と
を備えているインクジェット式記録装置。
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