JPH10276034A - プリントアンテナおよびその共振周波数調整方法 - Google Patents

プリントアンテナおよびその共振周波数調整方法

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JPH10276034A
JPH10276034A JP9338114A JP33811497A JPH10276034A JP H10276034 A JPH10276034 A JP H10276034A JP 9338114 A JP9338114 A JP 9338114A JP 33811497 A JP33811497 A JP 33811497A JP H10276034 A JPH10276034 A JP H10276034A
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dielectric
printed antenna
dielectric material
composite
adjusting
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JP9338114A
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English (en)
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Hiromi Okamoto
ひろみ 岡本
Yoshiyuki Yasukawa
芳行 安川
Toshiaki Yamada
俊昭 山田
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比誘電率が高く、誘電体損が小さく、金属導
体層等との密着性が高く、常温での成形が可能で、積層
構造等の複雑な構造を容易に形成でき、耐熱性、耐候性
に優れた誘電体基板を有するプリントアンテナを提供す
る。共振周波数のずれを生産ライン上で容易に調整で
き、また、容易に再調整でき、また、プリントアンテナ
の信頼性を向上できる共振周波数の調整方法を提供す
る。 【解決手段】 誘電体基板の一方の面に放射電極を、他
方の面に接地導体を有し、誘電体基板を構成する誘電体
シートが、高分子誘電体材料とセラミックス誘電体材料
とを含有する複合誘電体シートを含み、高分子誘電体材
料が、フマル酸ジエステルを含む単量体組成物の重合物
であるプリントアンテナ。このプリントアンテナの共振
周波数を調整するために、前記高分子誘電体材料を含有
する調整用誘電体層を、放射電極を覆うように設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信機器や
衛星放送受信機等に使用されるプリントアンテナと、こ
のプリントアンテナの共振周波数を調整する方法とに関
する。
【0002】
【従来の技術】移動体通信機器用や衛星放送受信機等で
は、アンテナが組み込まれる機器の小型化にともない、
アンテナそのものに対しても小型化が要求されるように
なってきている。このため、これらの機器に利用される
高周波帯域用アンテナとしては、プリントアンテナが使
用される場合が多くなってきている。プリントアンテナ
は、誘電体基板の一方の面に、送受信部として所定の大
きさの放射電極が形成され、他方の面に、その面と同等
の大きさの接地導体が形成された構成である。
【0003】プリントアンテナは、小型軽量である。ま
た、印刷技術によって作製することができるので、精度
の高い加工が可能であって、しかも量産が容易である。
さらに、放射電極および接地導体を設けた誘電体基板上
にはIC等の回路部品を設置することができるため、プ
リントアンテナにこれらの部品を接続することが容易で
あるという利点もある。したがって、プリントアンテナ
には、今後のアンテナとして大きな期待がかけられてい
る。
【0004】プリントアンテナは高周波帯域で用いるた
め、プリントアンテナの誘電体基板は、一般的に比誘電
率が高く、かつ誘電体損が極力小さいことが望ましい。
特に、誘電体損が大きいと利得の大幅な低下につながる
ため、プリントアンテナの小型化を進めていくうえで誘
電体損はできるだけ小さくする必要がある。
【0005】ここで、プリントアンテナにおける共振周
波数と比誘電率と放射電極の寸法との関係を、下記式
(1)に示す。
【0006】
【数1】
【0007】上記式(1)において、aは放射電極の一
辺の寸法を表し、fは共振周波数、cは光速、εrは誘
電体基板の比誘電率を表す。
【0008】上記式(1)から、プリントアンテナの小
型化のためには、比誘電率の高い誘電体基板を用いれば
よいことがわかる。
【0009】しかし、従来、比誘電率が高く、しかも誘
電体損が小さい誘電体基板を用いたプリントアンテナは
知られていない。例えば、従来のプリントアンテナにお
いて誘電体損を小さくする必要がある場合には、空気や
発泡体など比誘電率の低い誘電体を用いているため、小
型軽量化が難しい。
【0010】一方、比誘電率の高い樹脂系やセラミック
系の誘電体基板は、小型化には適する。しかし、従来使
用されている樹脂系の誘電体基板は誘電体損が大きいた
め、高周波用、特に移動体通信用や衛星放送受信用に用
いられるプリントアンテナに使用するのは困難である。
また、プリントアンテナは、比誘電率の異なる誘電体基
板を積層等の方法を用いて組み合わせることにより、周
波数帯域の異なる複数のアンテナを一体的に形成できる
という特徴をもつが、樹脂系の誘電体基板を用いた場合
には、このような積層型のアンテナを形成することが工
法上困難である。具体的には、樹脂基板上に放射電極等
の金属導体を固定する際に熱圧着法を用いることが一般
的なので、誘電体基板同士を積層する際に、各誘電体基
板について熱圧着により金属導体を固定した後、再度基
板同士を張り合わせたり接着したりする必要が生じるた
め、量産に適さない。さらに、樹脂系の誘電体基板は、
高温で変形したり、はんだ耐熱性が不十分であるものが
多い。
【0011】また、セラミック系の誘電体基板を用いる
プリントアンテナでは、放射電極等を金属導体の焼き付
けにより形成することが一般的であるが、焼き付けの際
には高温の加熱を伴うため、誘電体の特性が変化する場
合がある。また、原料ロットや製造ロットの差による特
性のばらつきが大きいため、プリントアンテナ形成後に
アンテナ特性の確認を行う必要がある。さらに、セラミ
ック系の誘電体基板は折り曲げることが不可能であるた
め、湾曲構造や立体形状が要求されるプリントアンテナ
には対応できない。
【0012】このように、樹脂系やセラミック系の誘電
体基板は種々の問題を抱えており、かつコスト的にも高
価であるので、量産には不向きであった。
【0013】ところで、プリントアンテナの重要な特性
の一つである共振周波数は、前述したように放射電極の
寸法および比誘電率と相関関係にある。したがって、放
射電極の寸法が同一であっても比誘電率が異なれば、共
振周波数も異なることになる。そのため、プリントアン
テナを量産した場合に、製品間または製造ロット間で比
誘電率のバラツキが発生すると、共振周波数のずれが生
じてアンテナとしての性能に問題が発生し、製造歩留り
の悪化につながる。そこで、製造歩留まり向上のため
に、生産ライン上で共振周波数の調整を行う必要があ
る。
【0014】従来知られている共振周波数の調整方法と
しては、放射電極を削って寸法を変化させる方法(特開
平5−175719号公報)や、放射電極の上部にエポ
キシ系樹脂等の誘電体を付加して調整する方法(特開平
5−121925号公報)などが挙げられる。
【0015】しかし、放射電極を削る方法では、放射電
極のエッジ部分を削る際に研削部が乱雑で不連続な状態
となるので、特性が劣化することがある。また、実作業
においては、アンテナの特性を測定しながら注意深く研
削を進めなければならないため、作業時間が長くなり、
コストアップにつながる。
【0016】また、放射電極の上部に誘電体として樹脂
を付加して調整する方法は、付加される樹脂の厚さが部
分的に不均一となることがあるため、共振周波数の調整
が困難である。また、基板と樹脂とは材質が異なるた
め、温度変化によって樹脂の剥がれ等が発生する場合が
あり、信頼性に問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、比誘電率が比較的高く、しかも誘電体損が小さく、
金属導体層等との密着性が高く、常温での成形が可能で
あり、積層構造等の複雑な構造を容易に形成でき、耐熱
性および耐候性にも優れた誘電体基板を有するプリント
アンテナを提供することである。本発明の第2の目的
は、共振周波数のずれを生産ライン上で容易に調整する
ことが可能であり、また、目的とする共振周波数に調整
できなかった場合であっても容易に再調整をすることが
でき、また、プリントアンテナの信頼性を向上できる共
振周波数の調整方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(12)のいずれかの構成により達成される。 (1) 誘電体基板と、この誘電体基板の一方の面に設
けられた放射電極と、前記誘電体基板の他方の面に設け
られた接地導体とを有し、前記誘電体基板が、誘電体シ
ートまたは誘電体シートの積層体からなり、前記誘電体
シートの少なくとも1枚が、高分子誘電体材料とセラミ
ックス誘電体材料とを含有する複合誘電体材料から構成
される複合誘電体シートであり、前記高分子誘電体材料
が、少なくともフマル酸ジエステルを含む単量体組成物
を重合して得られたものであるプリントアンテナ。 (2) 前記複合誘電体シートの少なくとも1枚が、前
記複合誘電体材料を含む溶液を強化用繊維に含浸して形
成した繊維強化複合誘電体シートである上記(1)のプ
リントアンテナ。 (3) 前記誘電体シートの少なくとも1枚が、前記高
分子誘電体材料から構成される高分子誘電体シートであ
る上記(1)または(2)のプリントアンテナ。 (4) 前記誘電体シートの少なくとも1枚が、前記高
分子誘電体材料を含む溶液を強化用繊維に含浸して形成
した繊維強化高分子誘電体シートである上記(1)〜
(3)のいずれかのプリントアンテナ。 (5) 前記繊維強化高分子誘電体シートの少なくとも
一方の面に、前記複合誘電体材料を含む溶液を塗布する
ことにより形成された複合誘電体シートを有する上記
(4)のプリントアンテナ。 (6) 前記放射電極および前記接地導体が、溶剤が残
留している前記誘電体基板に金属導体フィルムを密着さ
せた後、脱溶剤することによって形成されたものである
上記(1)〜(5)のいずれかのプリントアンテナ。 (7) 前記誘電体基板が、間に放射電極を挟む2枚の
誘電体シートを含むものであり、少なくとも2つの共振
周波数を有する上記(1)〜(6)のいずれかのプリン
トアンテナ。 (8) 共振周波数を調整するための調整用誘電体層
が、前記放射電極を覆うように少なくとも1層設けられ
ており、前記調整用誘電体層が、前記高分子誘電体材料
を含有するものである上記(1)〜(7)のいずれかの
プリントアンテナ。 (9) 前記調整用誘電体層が、前記セラミックス誘電
体材料を含有する上記(8)のプリントアンテナ。 (10) 上記(1)〜(7)のいずれかのプリントア
ンテナの共振周波数を調整する方法であって、共振周波
数を調整するための調整用誘電体層を、前記放射電極を
覆うように設けるに際し、前記調整用誘電体層として前
記高分子誘電体材料を含有するものを用いるプリントア
ンテナの共振周波数調整方法。 (11) 前記調整用誘電体層に、前記セラミックス誘
電体材料が含有される上記(10)のプリントアンテナ
の共振周波数調整方法。 (12) プリントアンテナの誘電体基板を構成する複
合誘電体シートと、放射電極表面を覆う調整用誘電体層
とが、同一の複合誘電体材料から構成されている上記
(11)のプリントアンテナの共振周波数調整方法。
【0019】
【発明の実施の形態】プリントアンテナ 本発明のプリントアンテナは、誘電体基板と、この誘電
体基板の一方の面に設けられた放射電極と、前記誘電体
基板の他方の面に設けられた接地導体とを有する。
【0020】本発明で用いる誘電体基板は、少なくとも
1枚の誘電体シートから構成される。誘電体シートの少
なくとも1枚は、高分子誘電体材料と、セラミックス誘
電体材料とを含む複合誘電体シートである。前記高分子
誘電体材料は、単量体として少なくともフマル酸ジエス
テルを含む単量体組成物を重合して得られたものであ
り、フマル酸ジエステルから誘導される繰り返し単位を
有するフマレート系重合体である。
【0021】本発明で用いる複合誘電体材料は、本出願
人による特願平9−14878号に開示されている。ま
た、この複合誘電体材料に用いる高分子誘電体材料は、
本出願人による特願平8−42073号に開示されてい
る。
【0022】本発明で用いるフマル酸ジエステル単量体
としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】上記式(I)において、R1はアルキル基
またはシクロアルキル基を表し、R2はアルキル基、シ
クロアルキル基またはアリール基を表し、R1およびR2
は同一でも異なるものであってもよい。式(I)で表さ
れるフマル酸ジエステル単量体のうち特に好ましいもの
は、ジイソプロピルフマレート、ジシクロヘキシルフマ
レート、ジ−sec−ブチルフマレート、ジ−tert
−ブチルフマレート、イソプロピル−tert−ブチル
フマレート、n−ブチル−イソプロピルフマレート、n
−ヘキシル−イソプロピルフマレートなどである。
【0025】フマレート系重合体は、フマル酸ジエステ
ル(フマレート系化合物)の単独重合体であってもよ
く、その共重合体であってもよい。共重合体はランダム
共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等のいずれ
であってもよい。
【0026】また、フマレート系重合体は、フマル酸ジ
エステルと他の単量体とを重合した共重合体であっても
よい。他の単量体成分としては、ビニル系単量体を用い
ればよい。ビニル系単量体は、前記フマレート系化合物
と共重合しうるものであれば特に限定されないが、好ま
しくは下記式(II)で表される化合物を用いる。
【0027】
【化2】
【0028】上記式(II)において、Xは水素原子また
はメチル基を表し、Yはフッ素原子、塩素原子、アルキ
ル基、アルケニル基、アリール基、エーテル基、アシル
基またはエステル基を表す。
【0029】式(II)で表されるビニル系単量体として
は、例えば酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2,2−ジ
メチルブタン酸ビニル、2,2−ジメチルペンタン酸ビ
ニル、2−メチル−2−ブタン酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、2−エチル−2−メチル
ブタン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;p−tert
−ブチル安息香酸ビニル、N,N−ジメチルアミノ安息
香酸ビニル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニル系単量体
類;スチレン、o−,m−,p−クロロメチルスチレ
ン、α−メチルスチレンおよびその核置換体などのα−
置換スチレン誘導体類;o−、m−、p−メチルスチレ
ン等のアルキル核置換スチレン類;塩化ビニル、フッ化
ビニル等のα−オレフィン類;p−クロロスチレン等の
o−、m−、p−ハロゲン化スチレン等のハロゲン核置
換スチレン;エチルビニルエーテル、ビニルブチルエー
テル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類;α−、β−ビニルナフタレン等のナフタレン誘導
体;メチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン等の
アルキルビニルケトン類;ブタジエン、イソプレン等の
ジエン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等
の公知のラジカル重合性単量体等を好ましく挙げること
ができる。
【0030】ビニル系単量体は、1種のみを用いても2
種以上を併用してもよい。また、ビニル系単量体から誘
導される繰り返し単位を有するフマレート系重合体は、
ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体等
のいずれであってもよい。
【0031】本発明で用いるフマレート系重合体の分子
量は特に限定されないが、十分な機械的強度を得るため
には、数平均分子量で10,000〜1,500,00
0であることが好ましい。
【0032】単量体組成物中のフマル酸ジエステルの含
有率は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは6
0重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であ
る。フマル酸ジエステル量が少ないと、電気特性、耐熱
性等が不十分となり、好ましくない。また、フマレート
系重合体中のフマル酸ジエステルに由来する構成成分の
比率も、好ましくは50重量%以上、より好ましくは6
0重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上であ
る。
【0033】本発明において高分子誘電体材料として用
いられるフマレート系重合体のうち特に好ましいもの
は、ジ−シクロヘキシルフマレート/ジ−イソプロピル
フマレート共重合体(CDIP)およびジ−シクロヘキ
シルフマレート/ジ−sec−ブチルフマレート共重合
体(CDSB)(各々εr=2.4〜2.8、Q=20
0〜600/1GHz)であり、これらは1種だけ用いて
もよく、2種以上併用してもよい。
【0034】本発明で用いるセラミックス誘電体材料は
特に限定されないが、比誘電率(εr)が好ましくは1
0以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは8
5〜100、誘電正接(tanδ)が好ましくは0.00
5以下、Qが好ましくは2500〜6000/1GHzで
あるものが望ましい。
【0035】本発明において好ましく用いられるセラミ
ックス誘電体材料としては、例えば、チタン−バリウム
−ネオジウム系複合酸化物、鉛−カルシウム系複合酸化
物、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系
セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ス
トロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セ
ラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン
酸マグネシウム系セラミックス、ジルコン酸鉛系セラミ
ックスなどが挙げられる。さらに、CaWO4系セラミ
ックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba
(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,M
g,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,T
a)O3系セラミックスなども挙げられる。これらは、
単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0036】なお、前記二酸化チタン系セラミックスと
は、組成的には二酸化チタンのみを含む系、または二酸
化チタンに他の少量の添加物を含む系であって、主成分
である二酸化チタンの結晶構造が保持されているもので
ある。他の系のセラミックスもこれと同様である。二酸
化チタンはTiO2で示される物質で、種々の結晶構造
をとりうるものであるが、誘電体セラミックスとして使
用されるのは、その中のルチル構造のものである。
【0037】セラミックス誘電体材料の粒子径は、好ま
しくは約50μm 以下、より好ましくは0.1〜20μ
m 、さらに好ましくは0.5〜7μm の範囲から選択す
る。セラミックス誘電体材料の粒子径が大きすぎると、
高分子誘電体材料内への均一な分散・混合が困難とな
る。一方、粒子径が小さすぎると、取り扱いが困難とな
る。
【0038】高分子誘電体材料とセラミックス誘電体材
料との混合比率は特に限定されず、プリントアンテナの
小型化が可能で、かつ誘電体損が小さい複合誘電体シー
トが得られるように、例えば30MHz以上の高周波帯域
において比誘電率(εr)が5.0以上、Qの値が20
0以上となるように、適宜決定すればよい。具体的に
は、複合誘電体材料中のセラミックス誘電体材料の含有
率は、チタン−バリウム−ネオジウム系複合酸化物を用
いる場合には60〜90重量%とすることが好ましく、
鉛−カルシウム系複合酸化物を用いる場合には85〜9
0重量%とすることが好ましい。
【0039】複合誘電体シートを製造する際には、ま
ず、好ましくは10〜20重量%溶液となるように高分
子誘電体材料を溶剤に溶解する。次いで、セラミックス
誘電体材料の粉末を添加し、混合撹拌する。次いで、3
本ロール等により少なくとも2回混合・粉砕した後、粘
度調整のためさらに溶剤を加え、10〜20分間程度混
合撹拌する。このとき、脱気しながら撹拌することが望
ましい。これにより、厚さ1μm程度以上の膜を形成す
ることが可能な複合誘電体材料溶液を得ることができ
る。
【0040】次に、このようにして製造した複合誘電体
材料溶液を、板状に成形する。成形方法は特に限定され
ず、例えばキャスティング法などを用いればよい。具体
的には、例えば、溶液を、ガラス繊維やテフロン等の樹
脂繊維などの強化用繊維に含浸させ、ガラス板、シリコ
ーンゴム板、金属板などから構成した型に入れた後、溶
剤を蒸発させることによって、複合誘電体シートを形成
することができる。また、強化用繊維に含浸させること
なく、型中において溶剤を蒸発させることにより、シー
ト状に成形することもできる。これらの方法では、通
常、0.1〜10mm程度の厚さの複合誘電体シートを作
製することができる。このようにして製造した複合誘電
体シートは、単層で誘電体基板として用いることができ
るが、必要に応じ、溶剤が完全に蒸発していない状態
(以下、残溶剤状態ということがある)で複数の複合誘
電体シートを積層し、これを乾燥させて誘電体基板とし
て用いてもよい。
【0041】なお、本明細書において残溶剤状態とは、
通常、溶剤含有量が3重量%以上、特に5〜15重量%
であることを意味する。
【0042】強化繊維含浸用の溶液に用いる溶剤は、高
分子誘電体材料に対し良好な溶解性を示すことが必要で
あるが、蒸発速度等のコントロール等を考慮に入れ悪影
響を及ぼさない程度の貧溶媒を併せて用いることができ
る。具体的には、例えば、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン等のケ
トン系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系
溶剤、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等の各種グリコールエーテル系溶剤、ブチルセロソル
ブアセテート、メチルセロソルブアセテート、酢酸エチ
ル等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−
ピロリドン等のアミド系溶剤、メタノール、エタノール
等のアルコール系溶剤、他にテトラヒドロフラン(TH
F)、デカリン、ジメチルスルホキシド、ブチルクロラ
イド、トリクロロトリフルオロエタン、トリフルオロト
ルエン等の少なくとも1種を用いればよい。
【0043】この含浸用の溶液中の複合誘電体材料の含
有量は、操作性等を考慮して60〜85重量%とするこ
とが好ましい。この場合の粘度は、常態で好ましくは5
00〜30,000cps 程度である。
【0044】強化用繊維としては、ガラス繊維のほか、
リジッド基板の製造に補強用繊維として従来用いられて
いる任意の絶縁性繊維が使用できるが、ガラス繊維が好
ましく、特に、低誘電性(低誘電率、低誘電損失正接)
を有するガラス繊維がより好ましい。ガラス繊維の形態
は特に限定されず、ガラス織布、ガラス不織布等のいず
れであってもよい。
【0045】ガラス繊維を含む複合誘電体シート中の複
合誘電体材料の含有量は、好ましくは10〜70重量%
である。含有量をこの範囲とすることにより、十分な強
度が得られ、低誘電性が実現し、耐熱性が良好となる。
10〜70重量%の含有量は、複合誘電体シートを積層
する際に樹脂のりとして高分子誘電体材料含有溶液(通
常60〜85重量%溶液)を塗布することによって実現
されるものであってもよい。
【0046】複合誘電体シートの形成には、印刷法を利
用することもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)等の樹脂フィルム基体上に、前記複合誘
電体材料を含有する塗布溶液を塗布して乾燥することに
より、複合誘電体シートを得ることが可能である。この
場合には、厚さ1μm以上の複合誘電体シートを得るこ
とができ、塗布溶液の濃度等を調整することにより、5
00μm程度まで厚くすることが可能である。塗布方法
は特に限定されず、例えば、ドクターブレードコート
法、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン印
刷法などを用いればよく、用途に応じた塗布法を選択で
きるので、生産性を高くすることが可能である。塗布に
より形成した複合誘電体シートは、通常、複数積層して
誘電体基板とする。積層の際には、通常、残溶剤状態の
シートを積層し、積層後に乾燥させる。
【0047】複合誘電体シートから溶剤を蒸発させる
際、残溶剤状態のときに必要に応じて加圧プレス加工す
ることにより、複合誘電体シートの厚さを容易に調整す
ることができる。溶剤は室温(15〜30℃程度)で蒸
散させることが可能であるが、必要に応じて40〜60
℃程度の雰囲気中で乾燥させてもよい。また、残溶剤状
態のシートを立体形状の型に入れて加圧プレス加工すれ
ば、型形状に応じた再成形が可能である。また、乾燥後
であっても、溶剤に短時間浸漬することにより残溶剤状
態にできるので、厚さの調整が可能である。
【0048】誘電体基板を積層構造とする場合、すべて
の誘電体シートを上記複合誘電体シートから構成しても
よいが、誘電体シートの少なくとも1枚が、前記高分子
誘電体材料を含む溶液を強化用繊維に含浸して形成した
繊維強化高分子誘電体シートであってもよい。また、こ
の高分子誘電体シートを基材シートとして、この基材シ
ートの少なくとも一方の面に複合誘電体材料溶液を塗布
し、基材シートと複合誘電体シートとの積層体を形成す
れば、電気特性を確保したまま強度の向上をはかること
ができる。ただし、基材シートとして、繊維強化した複
合誘電体シートを用いてもよい。
【0049】接地導体や放射電極は、残溶剤状態の誘電
体シートに金属導体を密着させ、脱溶剤を行うことによ
って誘電体シート表面に固定することができる。樹脂系
基板を用いる場合に従来利用されている熱圧着法では、
高温で接着を行うため大がかりな装置が必要であるが、
本発明では、特殊な装置を使用することなく常温での脱
溶剤により、放射電極や接地導体を簡単に固定すること
ができる。また、金属導体を密着させた後、残溶剤状態
で他のシートを積層し、次いで脱溶剤を行えば、加熱す
ることや接着剤を使用することなく積層型のアンテナを
得ることができるので、低コストでの量産が可能であ
る。
【0050】このようにして得られる複合誘電体シート
は、高分子誘電体材料およびセラミックス誘電体材料の
種類や、両者の混合比を制御することにより、比誘電率
や誘電体損を任意の値に設定することが可能なので、任
意の共振周波数をもつ利得の高いプリントアンテナを任
意の寸法で製造することができる。また、平面形状およ
び厚さも、任意に設定することが可能である。さらに、
比誘電率の異なる複数の複合誘電体シートを用い、各シ
ート上に放射電極を形成した後、積層すれば、複数の共
振周波数をもつアンテナを作製することができる。
【0051】また、前記特願平8−42073号に提示
されているように、この複合誘電体シートは耐熱性や密
着性に優れており、また、強酸やアルカリに対する耐性
に優れているので、この点でもプリントアンテナ用の誘
電体基板に好適である。
【0052】本発明で用いる誘電体基板は、良好な高周
波特性を有するためプリント配線基板としても用いるこ
とができる。したがって、給電部にマイクロストリップ
線路を用い、開口部を設けた任意の比誘電率をもつ複合
誘電体シートを積層してスロットアンテナを構成するこ
とができる。また、誘電体基板に電気回路の配線部を設
けてチップ部品を接続し、ドライバ回路等を設けると共
に、誘電体基板の一部に放射電極および接地導体を形成
してプリントアンテナを構成すれば、小型で信頼性の高
いアンテナユニットを構成することが可能である。
【0053】さらに、複数のプリントアンテナを同一基
板上で並列に接続し、衛星放送受信用の平面アンテナを
構成することもできる。
【0054】共振周波数の調整方法 プリントアンテナの基本的な特性である共振周波数は、
前記式(1)に示されるように誘電体基板の比誘電率に
よって左右される。
【0055】本発明ではこれを利用し、図8(a)に示
すように、前記高分子誘電体材料を含有する均一な厚さ
の調整用誘電体層100を、プリントアンテナの放射電
極2形成面に積層することによって実効誘電率を変化さ
せ、これにより共振周波数を変化させて所望の値に調整
する。調整用誘電体層の厚さは、目的とする共振周波数
が得られるように適宜決定すればよい。共振周波数は、
放射電極上に積層する調整用誘電体層の厚さに依存して
変化するので、安定した調整が可能である。単層の調整
用誘電体層100を形成しただけでは共振周波数が目的
とする範囲に入らない場合には、再調整を行う。再調整
を行う場合、図8(b)に示すように、調整用誘電体層
100と同様な均一な厚さの調整用誘電体層101を、
さらに積層する。これにより実効誘電率がさらに変化す
るので、共振周波数の再調整が可能となる。
【0056】調整用誘電体層となる誘電体シートは、誘
電体基板に用いる複合誘電体シートと同様な塗布法によ
り作製することが好ましいが、キャスティング法でも作
製可能である。調整用誘電体層は、プリントアンテナを
溶剤に短時間浸漬して残溶剤状態とした後、残溶剤状態
の誘電体シートを積層して加圧プレスすることにより容
易に形成することができる。この場合も、常温での脱溶
剤が可能である。また、調整用誘電体層となる誘電体シ
ートが比較的厚い場合には、この誘電体シートの含む溶
剤がプリントアンテナに十分に浸透するため、プリント
アンテナを残溶剤状態としなくても両者の接着が可能で
あり、工程の簡素化が可能である。また、放射電極上に
直接塗布することにより、調整用誘電体層を形成するこ
ともできる。そして、一度調整を施したプリントアンテ
ナであっても、同様な手順によりさらに調整用誘電体層
を積層することが可能なので、再調整が容易であり、歩
留まりの向上に大きく貢献することができる。
【0057】この方法で共振周波数の調整を行ったプリ
ントアンテナでは、放射電極の表面が調整用誘電体層に
よって覆われることになるため、放射電極の酸化を防止
することができる。
【0058】また、積層する調整用誘電体層は、誘電体
基板に用いる高分子誘電体材料を含有するので、熱膨張
係数の違いに起因する剥離が生じにくい。
【0059】なお、熱膨張係数の違いによる不具合の発
生をさらに抑制するためには、調整用誘電体層に前記セ
ラミックス誘電体材料を含有させることが好ましく、調
整用誘電体層の組成を、誘電体基板構成材料と同一にす
ることがより好ましい。
【0060】
【実施例】実施例1 図1(a)は、本発明のプリントアンテナの一実施例で
あって、GPS装置等に用いられるパッチアンテナの概
略を示す斜視図であり、図1(b)は、その断面図であ
る。
【0061】図示されるプリントアンテナの作製に際し
ては、まず、高分子誘電体材料とセラミックス誘電体材
料との混合物に溶剤を加え、複合誘電体材料溶液を得
た。高分子誘電体材料には、ジ−シクロヘキシルフマレ
ート/ジ−sec−ブチルフマレート共重合体(CDS
B)を用い、セラミックス誘電体材料には、チタン−バ
リウム−ネオジウム系複合酸化物を用いた。混合物中に
おける重量比は、高分子誘電体材料:セラミックス誘電
体材料=10:90とした。
【0062】次に、上記溶液を含浸したガラス繊維を、
ガラスの型中で積層した後、室温にて加圧プレスし、溶
剤を大部分を蒸散させて、誘電体基板を得た。
【0063】次に、残溶剤状態の誘電体基板1の一方の
面に放射電極2を、対向する他方の面に接地導体3を配
置し、脱溶剤を行って放射電極2と接地導体3とを誘電
体基板1に密着させた。
【0064】さらに、接地導体3、誘電体基板1および
放射電極2からなる積層体に給電孔をドリルで形成し、
この給電孔にはんだを流入することにより給電部4を形
成して接地導体3と放射電極2とを電気的に接続し、G
PS装置用パッチアンテナとした。
【0065】このパッチアンテナの特性を、表1に示
す。
【0066】
【表1】
【0067】また、誘電体基板1を表2に示す誘電体材
料から構成し、かつ共振周波数が上記した本発明のアン
テナと同じとなるように各部の寸法を設定したほかは上
記と同様にして、比較例のパッチアンテナを作製した。
これらのパッチアンテナにおける比誘電率(εr)、誘
電正接(tanδ)および絶対利得(dBi)を、表2に
示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2から、本発明のアンテナは、誘電体
損、絶対利得の双方がアンテナとして満足できるもので
あることがわかる。これに対し、比較例のアンテナのう
ち誘電体損が小さく絶対利得が大きいものは、比誘電率
が低すぎるため、小型化が不可能であることがわかる。
【0070】実施例2 図2(a)は、本発明を、2つの共振周波数をもつ積層
型のプリントアンテナに適用した実施例を示す断面図で
ある。このアンテナは、表面に放射電極2aを、裏面に
接地導体3をそれぞれ形成した複合誘電体シート1a
と、表面に放射電極2bを形成した複合誘電体シート1
bとを、放射電極2aを挟むように積層し、実施例1と
同様にして給電部4を形成したものである。両誘電体シ
ートの比誘電率は同一とし、放射電極2aと放射電極2
bとは相異なる寸法としてある。
【0071】図2(b)も、2つの共振周波数をもつ積
層型のプリントアンテナの実施例を示す断面図である。
このアンテナは、裏面に接地導体3を、表面に放射電極
2aをそれぞれ形成した複合誘電体シート1aと、表面
に放射電極2bを形成した複合誘電体シート1bと、複
合誘電体シート1cとを積層し、実施例1と同様にして
給電部4を設けたものである。3枚の複合誘電体シート
1a、1b、1cは、セラミックス誘電体材料の含有量
を調整することにより、比誘電率を相異なるものとして
ある。
【0072】図2(a)および図2(b)にそれぞれ示
されるプリントアンテナは、複数の共振周波数をもつた
め、複数の帯域に対応できる。
【0073】実施例3 図3(a)は、本発明を回路組み込みアンテナ基板(ア
ンテナユニット)に適用した実施例を示す正面図であ
り、図3(b)は、裏面側から見た平面図である。この
回路組み込みアンテナ基板は、複合誘電体シートからな
る誘電体基板1の表面および裏面に、チップ部品7を搭
載してドライバ回路等を構成すると共に、誘電体基板1
の表面の一部に放射電極2を形成し、これと対向する裏
面の一部に接地導体3を形成したものである。このよう
な構成では、回路部とアンテナ部との接続が容易で、回
路接続等に関する不具合が発生することがなく、高い信
頼性が得られる。
【0074】実施例4 図4は、本発明をスロットアンテナに適用した実施例を
示す分解斜視図である。このスロットアンテナは、給電
部としてマイクロストリップ線路8を表面に有すると共
に裏面に接地導体3を有する複合誘電体シート1aと、
金属コート部6を表面に有すると共にスロット5が開口
している複合誘電体シート1bとを、マイクロストリッ
プ線路8を挟むように積層したものである。
【0075】実施例5 図5は、本発明をライン型アンテナに適用した実施例を
示す斜視図である。このライン型アンテナは、複合誘電
体シートからなる誘電体基板1の表面に、電波を放射し
やすい形状のマイクロストリップ線路からなる放射電極
2を形成したものである。この構成では、マイクロスト
リップ線路を自由な形状に加工できるため、複雑な形状
の放射電極を安価に形成できる。
【0076】実施例6 図6(a)は、本発明を衛星放送受信用プリントアンテ
ナに適用した実施例を示す平面図である。図6(a)に
示す給電アレイ11は、小型のパッチアンテナ9を複数
配置し、線路10で並列に接続したものである。この給
電アレイを図6(b)に示すように複数並列に接続する
ことにより、衛星放送受信用プリントアンテナが構成さ
れる。図6(b)では、給電アレイ11a、11b、1
1c、11dを線路10により並列に接続し、衛星放送
受信用プリントアンテナ12を構成している。このアン
テナにおける接地導体(図示せず)は、円板状の誘電体
基板1の裏面に形成されている。衛星放送受信用プリン
トアンテナ12は、パラボラアンテナと異なり平板状で
あるため、容積が小さいという利点がある。
【0077】実施例7 図7は、2つの周波教帯域を有するプリントアンテナの
実施例を示す分解斜視図である。このプリントアンテナ
は、給電のためのスロットアンテナ15と、表面に放射
電極2aを有する複合誘電体シート1aと、表面に放射
電極2bを有する複合誘電体シート1bとを積層したも
のであり、複合誘電体シート1aと複合誘電体シート1
bとは、比誘電率が相異なるものである。
【0078】実施例8 実施例1と同様にして、図1(a)および図1(b)に
示す構造のGPS装置用パッチアンテナを作製した。こ
のパッチアンテナの共振周波数は、1635MHzであっ
た。
【0079】このパッチアンテナの放射電極上に、印刷
法により形成した平均印刷厚さ100μmのシート状調
整用誘電体層を、加圧プレス加工により1〜4層積層
し、共振周波数の変化を調べた。結果を表3および図9
に示す。
【0080】
【表3】
【0081】表3および図9から、放射電極表面に構成
した調整用誘電体層の数、すなわち、調整用誘電体層の
合計厚さが増大するに従って、共振周波数が低下するこ
とがわかる。また、調整用誘電体層1層あたりの共振周
波数の変化幅は、ほぼ同じであることがわかる。したが
って、調整用誘電体層の合計厚さを制御することによ
り、プリントアンテナの共振周波数を任意の値に調整す
ることが可能である。
【0082】
【発明の効果】本発明では、比誘電率が比較的高く、し
かも誘電体損が小さく、金属導体層等との密着性が高
く、常温での成形が可能であり、積層構造等の複雑な構
造を容易に形成でき、耐熱性および耐候性にも優れた誘
電体基板を用いるので、アンテナとしての特性が良好
で、しかも、製造が容易なプリントアンテナが実現す
る。
【0083】また、本発明の共振周波数調整方法によれ
ば、共振周波数のずれを生産ライン上で容易に調整する
ことが可能となる。また、調整値が安定しない場合であ
っても容易に再調整をすることができる。また、放射電
極表面を調整用誘電体層で覆うため、放射電極の酸化に
よる特性劣化を防止することが可能である。また、調整
用誘電体層は、プリントアンテナの誘電体基板と同種の
組成であって熱膨張係数が類似するため、温度変化が生
じても剥離しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明のプリントアン
テナの実施例を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図
である。
【図2】(a)および(b)は、本発明のプリントアン
テナの実施例を示す断面図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明のプリントアン
テナの実施例を示し、(a)は正面図、(b)は平面図
である。
【図4】本発明のプリントアンテナの実施例を示す分解
斜視図である。
【図5】本発明のプリントアンテナの実施例を示す斜視
図である。
【図6】(a)および(b)は、本発明を適用した衛星
放送受信用プリントアンテナを示し、(a)は、一部を
拡大して示す平面図であり、(b)は、斜視図である。
【図7】本発明のプリントアンテナの実施例を示す分解
斜視図である。
【図8】(a)および(b)は、プリントアンテナの共
振周波数調整方法を説明するための断面図である。
【図9】共振周波数を調整するための誘電体層の積層数
と共振周波数との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 誘電体基板 1a、1b、1c 複合誘電体シート 2、2a、2b 放射電極 3 接地導体 4 給電部 5 スロット 6 金属コート部 7 チップ部品 8 マイクロストリップ線路 9 パッチアンテナ 10 線路 11、11a、11b、11c、11d 給電アレイ 12 衛星放送受信用アンテナ 15 スロットアンテナ 100、101 調整用誘電体層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板と、この誘電体基板の一方の
    面に設けられた放射電極と、前記誘電体基板の他方の面
    に設けられた接地導体とを有し、 前記誘電体基板が、誘電体シートまたは誘電体シートの
    積層体からなり、前記誘電体シートの少なくとも1枚
    が、高分子誘電体材料とセラミックス誘電体材料とを含
    有する複合誘電体材料から構成される複合誘電体シート
    であり、前記高分子誘電体材料が、少なくともフマル酸
    ジエステルを含む単量体組成物を重合して得られたもの
    であるプリントアンテナ。
  2. 【請求項2】 前記複合誘電体シートの少なくとも1枚
    が、前記複合誘電体材料を含む溶液を強化用繊維に含浸
    して形成した繊維強化複合誘電体シートである請求項1
    のプリントアンテナ。
  3. 【請求項3】 前記誘電体シートの少なくとも1枚が、
    前記高分子誘電体材料から構成される高分子誘電体シー
    トである請求項1または2のプリントアンテナ。
  4. 【請求項4】 前記誘電体シートの少なくとも1枚が、
    前記高分子誘電体材料を含む溶液を強化用繊維に含浸し
    て形成した繊維強化高分子誘電体シートである請求項1
    〜3のいずれかのプリントアンテナ。
  5. 【請求項5】 前記繊維強化高分子誘電体シートの少な
    くとも一方の面に、前記複合誘電体材料を含む溶液を塗
    布することにより形成された複合誘電体シートを有する
    請求項4のプリントアンテナ。
  6. 【請求項6】 前記放射電極および前記接地導体が、溶
    剤が残留している前記誘電体基板に金属導体フィルムを
    密着させた後、脱溶剤することによって形成されたもの
    である請求項1〜5のいずれかのプリントアンテナ。
  7. 【請求項7】 前記誘電体基板が、間に放射電極を挟む
    2枚の誘電体シートを含むものであり、少なくとも2つ
    の共振周波数を有する請求項1〜6のいずれかのプリン
    トアンテナ。
  8. 【請求項8】 共振周波数を調整するための調整用誘電
    体層が、前記放射電極を覆うように少なくとも1層設け
    られており、前記調整用誘電体層が、前記高分子誘電体
    材料を含有するものである請求項1〜7のいずれかのプ
    リントアンテナ。
  9. 【請求項9】 前記調整用誘電体層が、前記セラミック
    ス誘電体材料を含有する請求項8のプリントアンテナ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかのプリントア
    ンテナの共振周波数を調整する方法であって、 共振周波数を調整するための調整用誘電体層を、前記放
    射電極を覆うように設けるに際し、前記調整用誘電体層
    として前記高分子誘電体材料を含有するものを用いるプ
    リントアンテナの共振周波数調整方法。
  11. 【請求項11】 前記調整用誘電体層に、前記セラミッ
    クス誘電体材料が含有される請求項10のプリントアン
    テナの共振周波数調整方法。
  12. 【請求項12】 プリントアンテナの誘電体基板を構成
    する複合誘電体シートと、放射電極表面を覆う調整用誘
    電体層とが、同一の複合誘電体材料から構成されている
    請求項11のプリントアンテナの共振周波数調整方法。
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