JP3488418B2 - 基 板 - Google Patents

基 板

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JP3488418B2
JP3488418B2 JP2000248629A JP2000248629A JP3488418B2 JP 3488418 B2 JP3488418 B2 JP 3488418B2 JP 2000248629 A JP2000248629 A JP 2000248629A JP 2000248629 A JP2000248629 A JP 2000248629A JP 3488418 B2 JP3488418 B2 JP 3488418B2
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glass cloth
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、この発明はコンデ
ンサーを内蔵した回路基板、複合部品やコンデンサー、
ストリップライン、インピーダンス整合回路、遅延回
路、アンテナ等といった電子部品に用いられるガラスク
ロスと樹脂もしくはガラスクロスと樹脂とフイラーを有
する基板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における実装方法の小型化・高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより
優れた電気特性、成形性、小型・軽量化、高速化が要求
されつつある。特に、携帯電話などの移動体通信、衛生
放送、衛星通信機器に使用される電波の周波数領域は、
数GHz帯の高周波領域が使用されている。
【0003】これらの通信、放送機器の急速な発展のな
かで、筐体および基板、電子部品の小型化、高密度実装
化が求められている。また、回路基板、電子部品の高性
能化を図る上で、Qの高い基板、プリプレグが要求され
ている。
【0004】基板に用いられる樹脂材料としては、エポ
キシ系樹脂等が一般的であるが、エポキシ系樹脂では高
いQを得ることが困難であり、フマレート系樹脂では実
用的な電気特性が得られるものの、機械強度が弱く、製
品の歩留まりが悪いため、量産に向いていないという欠
点を有していた。
【0005】この様な点から、本発明者らは特願平11
−373806号において、機械的強度に優れ、良好な
電気特性が得られるポリビニルベンジルエーテル樹脂
を、基板、プリプレグに用いる検討を行っている。
【0006】しかし、ポリビニルベンジルエーテル樹脂
とガラスクロスで構成される基板において、高い湿度中
に放置しておくと電気特性の一つであるQが初期値に比
べて著しく低下する傾向があった。この原因の一つとし
て、樹脂とクロスの界面に水が侵入し、Qの低下や比誘
電率の上昇が起きると考えられる。特に、このような構
成の材料の比誘電率やQを積極的に活用する電子部品を
設計する場合、特性の変化が生じることは致命的な問題
となることがある。
【0007】また、クロスを含む構造の基板において、
安価なEガラスクロスを用いると、そのQが低いため
に、高いQを持つ樹脂などを用いても基板ではQ特性が
低下してしまう。
【0008】特開平2−43357号公報では開繊処理
を施した多層用プリント配線基板が提案されている。こ
れが解決しようとしている問題点は、高い表面平滑性、
板厚精度、寸法精度および耐熱性の維持であり、湿中放
置試験における電気特性の変動や電気特性への影響は記
載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少な
くともガラスクロスとポリビニルペンジルエーテル樹脂
からなる基板において、高温高湿度下での電気特性の変
化を抑制し、安定した電気特性を長期間維持可能な基板
およびプリプレグを提供することである。
【0010】また、Qの低いガラスクロスを用いても全
体として良好なQ特性を得ることが可能な基板およびプ
リプレグを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明によって達成される。 (1) 少なくとも開繊処理が施されたガラスクロス
と、樹脂とを有し、前記樹脂がポリビニルベンジルエー
テル化合物であり、前記ガラスクロスにはカップリング
剤による表面処理が施されており、前記カップリング剤
は、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランま
たはγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンであるプリプレグを硬化させた基板。 (2) 前記ポリビニルベンジルエーテル化合物は、下
記一般式(1)で示される上記(1)の基板。
【0012】
【化2】
【0013】{式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、R3 は水素原子またはビニルベンジル基を示
し(但し、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は6
0:40〜0:100である)、nは2〜4の数を示
す。} (3) ポリビニルベンジルエーテル化合物中に誘電体
粉末が分散されていて、前記誘電体粉末の比誘電率が
2.5〜10000、Qが100〜50000である上
記(1)または(2)のいずれかの基板。 (4) 少なくとも1種または2種以上の難燃剤を含有
する上記(1)〜(3)のいずれかの基板。
【0014】
【作用】ガラスクロスは一本一本細いガラス糸が密に束
となったヤンが縦と横に編まれた構造になっており、樹
脂をこのようなクロスに含浸した場合、樹脂が十分にク
ロスに濡れない状態になり、この部分に、水の侵入を許
すことになる。しかし、ガラスクロスに表面処理をし
て、更に、このヤンを粗にする開繊処理をすることによ
り、樹脂が表面処理を施されたクロスに濡れた状態にな
り、Qの低下を抑制することが可能となった。また、ガ
ラスクロスに処理する表面処理剤の種類についてはどん
なものでも良いわけではなく、いくつか検討した結果、
特にメタクリル系シラン化合物が効果があった。
【0015】更に、このような構造にすることで、樹脂
よりも低いQを持つガラスクロスの影響を小きくでき、
初期特性が向上した。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の基板、およびプリプレグは、少なくとも
開繊処理が施されたガラスクロスと、樹脂とを有し、前
記樹脂がポリビニルベンジルエーテル化合物であり、前
記ガラスクロスにはカップリング剤による表面処理が施
されているものである。
【0017】本発明のガラスクロスは、開繊処理が施さ
れている。開繊処理は、例えば柱状流、あるいは高周波
振動法による水流で加工することが可能である。
【0018】ガラスクロスとしては特に制限はなく、例
えば、縦糸や緯糸の単位長さ当たりの本数、厚さおよび
単位面積当たりの重さが、日本工業規格R−3414ま
たはアメリカ軍用規格(MIL規格)に該当するものが
挙げられる。またこれらの規格に該当しない範囲のガラ
スクロスを用いてもよく、またガラス繊維と炭素繊維ま
たはセラミック繊維などのガラス繊維以外の繊維との混
合織物であってもよい。このガラス繊維としてはEガラ
ス(ε=7、tanδ=0.003、 1GHz)、Dガラ
スクロス(ε=4、tanδ=0.0013、 1GH
z)、Hガラスクロス(ε=11、tanδ=0.003、
1GHz)、Cガラスクロス、Sガラスクロス等各種の
ガラス成分組成を持つものが用いられる。
【0019】また、織り密度は10〜200本/25m
m、好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は
5〜400g/m2 、好ましくは10〜300g/m2
らには、10〜120g/m2 、特に20〜70g/m2
好ましい。織りかたは平織り、朱子織り、綾織り、なな
こ織り等が使用できる。また、双方または一方がテクス
チャード加工を施されたガラス繊維で製織されたガラス
クロスであってもよい。
【0020】ガラスクロスの通気率としては、50μm
クロスの場合、100mm3/mm2/sec以下、特に40〜9
0mm3/mm2/sec程度が好ましい。
【0021】またガラスクロスとしては、製織に必要な
集束剤が付着している段階のガラスクロスや集束剤を除
去した段階のガラスクロス(以下、ヒートクロスと略
す)、または上記した公知の表面処理法でシランカップ
リング剤などが既に処理されているガラスクロスのいず
れでもよいが、ブリスター性能やミーズリング性能を高
めるために、ヒートクロスの使用が好ましい。
【0022】ガラスクロスの厚みとしては、特に限定さ
れるものではなく、必要に応じて10〜300μm 、特
に50〜200μm 、さらには50、100、150、
180μm のものを用いることができる。
【0023】また、ポリビニルベンジルエーテル化合物
とガラスクロスとの配合比は、重量比で、ポリビニルベ
ンジルエーテル化合物/ガラスクロスが4/1〜1/1
であることが好ましい。このような配合比とすることに
よって本発明の効果が向上する。これに対し、この比が
小さくなって、樹脂量が少なくなると銅箔との密着力が
低下し、基板の平滑性に問題が生じる。逆にこの比が大
きくなって、樹脂量が多くなると使用できるガラスクロ
スの選択が困難となり、薄肉での強度の確保が困難とな
る。
【0024】また、糸束内部に含浸させる樹脂とガラス
との接着性を向上させ、樹脂とガラスクロスとの間の隙
間を極力少なくするために、樹脂を糸束内部に含浸させ
る前にガラスクロスに予め表面処理を施す必要がある。
【0025】表面処理剤としては、特にメタクリル系シ
ラン化合物である。
【0026】メタクリル系シラン化合物は、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシランである。
【0027】ガラスクロスの表面処理に用いるカップリ
ング剤の種類や調合条件およびカップリング剤によるガ
ラスクロスの表面処理方法としては、公知の方法により
行うことができる。処理方法としては一般的な浸漬法や
噴霧法を使用することができ、超音波を併用した浸漬法
(特開昭63−165441号公報)、ローラジェット
脱水機を用いた浸漬法(特開昭63−175165号公
報)などを用いることも可能である。
【0028】これらのカップリング剤は、水またはアル
コール類、ケトン類、グリコールエーテル類などの有機
溶剤に、0.01〜10重量%の濃度に溶解して使用す
ることができる。またカップリング剤は単独でまたは2
種類以上を組合わせて使用してもよく、さらにこれに蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、アンモニア水などのpH
調節剤や、顔料、充填剤、界面活性剤、増粘剤などを添
加することもできる。
【0029】さらに、本発明を説明する。本発明の電子
部品に用いられるポリビニルベンジルエーテル化合物
は、下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
【0030】
【化3】
【0031】(式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、R3 は水素原子またはビニルベンジル基を示
し(但し、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は6
0:40〜0:100である)、nは2〜4の数を示
す)
【0032】また本発明は、下記一般式(2)
【0033】
【化4】
【0034】(式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、nは2〜4の数を示す)で示されるポリフェ
ノールと、ビニルベンジルハライドとを、アルカリ金属
水酸化物の存在下で反応させて得られる、上記一般式
(1)で示されるポリビニルベンジルエーテル化合物を
用いてもよい。
【0035】上記一般式(1)で示される本発明のポリ
ビニルベンジルエーテル化合物において、R1 はメチル
基またはエチル基を示し、R2 は水素原子または炭素数
1〜10の炭化水素基、好ましくはベンジル基を表し、
3 は水素原子またはビニルベンジル基を表すものであ
る。ここで、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は
60:40〜0:100である。また、nは2〜4の値
を有する。本発明の一般式(1)のポリビニルベンジル
エーテル化合物は、例えば、特開平9−31006号公
報に記載されているように、上記一般式(2)に示され
るポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとを反応
させることにより合成することができる。
【0036】一般式(2)のポリフェノールは、市販さ
れているものを利用することができ、例えば日本石油化
学社製PP−700−300、PP−1000−180
等が挙げられる。
【0037】ビニルベンジルハライドとしては、p−ビ
ニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライ
ド、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジ
ルクロライドとの混合体、p−ビニルベンジルブロマイ
ド、m−ビニルベンジルブロマイドおよびp−ビニルベ
ンジルブロマイドとm−ビニルベンジルブロマイドとの
混合体等が挙げられる。中でも好ましくは、p−ビニル
ベンジルクロライド、およびp−ビニルベンジルクロラ
イドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体がよ
い。p−ビニルベンジルクロライドを使用すると、対称
性がよくなり、高融点、高軟化点のポリビニルベンジル
エーテル化合物が得られる。また、p−ビニルベンジル
クロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体
を使用すると、低融点、低軟化点のポリビニルベンジル
エーテル化合物が得られ、作業性が良好となる。
【0038】ポリフェノールとビニルベンジルハライド
との反応は、とくに制限されるものではないが、例えば
ポリフェノールとビニルベンジルハライドとを、極性中
性溶媒中、アルカリ金属水酸化物を脱塩酸剤として用い
反応させる方法が挙げられる。
【0039】ポリフェノールとビニルベンジルハライド
との配合割合は、適宜設計することができるが、例えば
モル比として、ポリフェノール:ビニルベンジルハライ
ド=100:40〜100:120であることができ
る。
【0040】極性中性溶媒としては、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、ジオキサン、アセトニトリル、
テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエー
テル、1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシ
プロパン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホス
ホアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、アセトンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0041】アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウムおよびこれらの混合物等が挙
げられる。アルカリ金属水酸化物の配合割合は、例えば
フェノール性水酸基1モルに対して1.1〜2.0倍モル
程度がよい。
【0042】反応温度および反応時間は、それぞれ30
〜100℃で、0.5〜20時間であればよい。
【0043】これとは別の方法として、相間移動触媒、
例えば第4級アンモニウム塩の存在下で、上記ポリフェ
ノールとビニルベンジルハライドとを、水/有機溶剤混
合液中、アルカリ金属水酸化物を脱塩酸剤として100
℃までの温度で反応させることにより、本発明のポリビ
ニルベンジルエーテル化合物が得られる。
【0044】なお、上記方法で本発明のポリビニルベン
ジルエーテル化合物を製造した場合、ポリフェノールと
ビニルベンジルハライドの配合設計により、出発原料の
一つである一般式(2)のポリフェノールにおけるフェ
ノール性水酸基が、すべてビニルベンジル基に置換させ
ないものを作ることができる。この場合、上記反応によ
り得られるものは、本発明のポリビニルベンジルエーテ
ル化合物と一般式(2)のポリフェノールとの混合体で
ある。本発明においては、特定割合未満、すなわち両者
に対して60モル%未満であれば、このポリフェノール
は存在していてもよい。しかし、60モル%を超える
と、後に行う硬化反応が十分に達成されず、また良好な
誘電特性を示さなくなるので好ましくない。
【0045】一般式(2)のポリフェノール水酸基のビ
ニルベンジル基への置換率は、40〜100モル%、好
ましくは60〜100モル%である。この置換率は、当
然のことながら高ければ高いほど望ましい。この置換率
は、ポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとの配
合設計により適宜調整することができる。
【0046】ポリフェノールの存在が許されない場合
は、ポリフェノールとビニルベンジルハライドとの配合
設計および適当な手段、例えば溶媒/非溶媒系の組み合
わせによる再沈殿精製法により未反応原料等を除去すれ
ばよい。
【0047】ポリビニルベンジルエーテル化合物は、そ
れ自体あるいは他の共重合可能な単量体と重合および硬
化させることにより、広い周波数領域で良好で一定で、
且つ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性を示し、さら
に耐熱性にも優れる樹脂として使用することができる。
【0048】共重合可能な単量体としては、例えばスチ
レン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルベ
ンジルエーテル、アリルフェノール、アリルオキシベン
ゼン、ジアリルフタレート、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
これらの単量体の配合割合は、ポリビニルベンジルエー
テル化合物に対して、2〜50重量%程度である。
【0049】また、ポリビニルベンジルエーテル化合物
は、既知の熱硬化性樹脂、例えばビニルエステル樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリフェノ
ールのポリシアナート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂、ビニルベンジル化合物等や、既知の熱可塑性樹
脂、例えばポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホ
ン、ポリアセタール、ジシクロペンタジエン系樹脂等と
組み合わせて使用することも可能である。その配合割合
は、本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物に対し
て5〜90重量%程度である。中でも好ましくは、ビニ
ルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド
樹脂、ポリフェノールのポリシアナート樹脂、エポキシ
ド樹脂およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少
なくとも1種である。
【0050】ポリビニルベンジルエーテル化合物自体、
あるいはこの化合物と他の単量体または熱硬化性樹脂と
を含有してなる硬化性樹脂組成物の重合および硬化は、
公知の方法で行うことができる。硬化は、硬化剤の存在
下または不存在下のいずれでも可能である。硬化剤を使
用する場合は、例えば過酸化ベンゾイル、メチルエチル
ケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチ
ルパーベンゾエート等の公知のラジカル重合開始剤を使
用することができる。使用量は、ポリビニルベンジルエ
ーテル化合物100重量部に対して0〜10重量部であ
る。
【0051】硬化温度は、硬化剤の使用の有無および硬
化剤の種類によっても異なるため一概に規定できない
が、20〜250℃、好ましくは50〜250℃であ
る。温度が20℃未満では、十分な硬化が得られない。
【0052】また、硬化の調整のために、ハイドロキノ
ン、ベンゾキノン、銅塩等を配合できる。
【0053】本発明に用いる誘電体粉末はセラミクス粉
末であることが好ましい。このセラミック粉末は、高い
Qとある程度の比誘電率を持つことを必要とする。特に
2GHzでの比誘電率が2.5〜10,000、Qが50
0,000以下であることが好ましい。このような構成
により高いQと比誘電率の複合誘電体を得ることが可能
である。
【0054】本発明に用いるセラミクス粉末は、高周波
数帯域において、分散媒となる樹脂よりも大きい比誘電
率とQを持つセラミクス粉末であればよく、2種類以上
用いてもよい。
【0055】セラミクス粉末はサファイヤなどの単結晶
粉末や多結晶のアルミナ粉末でもよく、これらも含め
て、セラミクス粉末の種類は例えば以下の組成を主成分
とする誘電体の粉末であることが好ましい。比誘電率ε
およびQ値を示す。
【0056】Mg2SiO4[ε=7、Q=20000]、Al2O3[ε=9.8、
Q=40000]、MgTiO3[ε=17、Q=22000]、ZnTiO3[ε=26、Q=
800]、Zn2TiO4[ε=15、Q=700]、TiO2[ε=104、Q=1500
0]、CaTiO3[ε=170、Q=1800]、SrTiO3[ε=255、Q=70
0]、SrZrO3[ε=30、Q=1200]、BaTi 2O5[ε=42、Q=570
0]、BaTi4O9[ε=38、Q=9000]、Ba2Ti9O20[ε=39、Q=900
0]、Ba 2(Ti,Sn)9O20[ε=37、Q=5000]、ZrTiO4[ε=39、Q
=7000]、(Zr,Sn)TiO4[ε=38、Q=7000]、BaNd2Ti5O14
=83、Q=2100]、BaSm2TiO14[ε=74、Q=2400]、Bi2O3-BaO
-Nd2O3-TiO2系[ε=88、Q=2000]、PbO-BaO-Nd2O3-TiO2
[ε=90、Q=5200]、(Bi2O 3、PbO)-BaO-Nd2O3-TiO2系[ε=
105、Q=2500]、La2Ti2O7[ε=44、Q=4000]、Nd2Ti 2O7
=37、Q=1100]、(Li,Sm)TiO3[ε=81、Q=2050]、Ba(Mg1/3
Ta2/3)O3[ε=25、Q=35000]、Ba(Zn1/3Ta2/3)O3[ε=30、
Q=14000]、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=41、Q=9200]、Sr(Zn
1/3Nb2/3)O3[ε=40、Q=4000]、BaTiO3[ε=1500]、(Ba,P
b)TiO3系[ε=6000]、Ba(Ti,Zr)O3系[ε=9000]、(Ba,Sr)
TiO3系[ε=7000]等。
【0057】より好ましくは、以下の組成を主成分とす
るものである。TiO2、CaTiO3、SrTiO3、BaO-Nd2O3-TiO2
系、Bi2O3-BaO-Nd2O3-TiO2系、BaTi4O 9、Ba2Ti9O20、Ba
2(Ti,Sn)9O20系、MgO-TiO2系、ZnO-TiO2系、MgO-SiO
2系、Al2O 3、BaTiO3、Ba(Ti,Zr)O3系等。
【0058】セラミクス粉末の粒径は、樹脂との混練性
等を考えると、平均粒径0.2〜100μm 程度が好ま
しく、粒径が小さくなると、樹脂との混練がしにくくな
る。また、粒径が大きくなると、不均一となり、均一な
分散を行うことができず、粉末の含有量が多い組成の成
形の際に、緻密な成型体を得られない。
【0059】セラミック粉末は、ポリビニルベンジルエ
ーテル化合物とセラミクス粉末との合計量を100vol%
としたとき、セラミクス粉末の含有量は10vol%以上7
0vol%未満であり、好ましくは20vol%以上60vol%以
下の範囲である。
【0060】セラミクス粉末が70vol%以上であると緻
密な組成物が得られなくなる。また、セラミクス粉末を
添加しない場合に比べて、Qが大きく低下することもあ
る。一方、セラミクス粉末が10vol%未満であると、セ
ラミクス粉末を含有する効果があまりみられない。
【0061】セラミクス粉末は単結晶や多結晶の粉末で
もよい。
【0062】本発明のポリビニルベンジルエーテル化合
物と共に用いられる磁性粉としては、フェライト粉、強
磁性金属粉などを挙げることができる。
【0063】フェライトとしては、Mn−Mg−Zn
系、Ni−Zn系、Mn−Zn系などであり、Mn−M
g−Zn系、Ni−Zn系などが好ましい。
【0064】強磁性金属としては、カーボニル鉄、鉄−
シリコン系合金、鉄−アルミ−珪素系合金(商標名:セ
ンダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロ
イ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)などが好ま
しい。
【0065】これらを粉末にするための手段は、粉砕、
造粒など公知の方法に従えばよい。
【0066】磁性粉の粒径は0.01〜100μm であ
ることが好ましく、平均粒径は1〜50μm であること
が好ましい。このような粒径とすることによって、磁性
粉の分散性が良好となり、本発明の効果が向上する。こ
れに対し、磁性粉の粒径が大きくなるとペースト化した
際に沈降し易くなり、均一に分散しにくい。また、肉薄
の基板、プリプレグを形成しようとした場合に、表面の
平滑性を得ることが困難になってくる。粒径をあまり小
さくすることは実際上困難であり、0.01μm 程度が
限度である。
【0067】磁性粉の粒度は均一であることが好まし
く、必要に応じ、ふるい分けなどにより粒度をそろえて
もよい。磁性分の形状は、球形、扁平、楕円形のいずれ
のものでも良く、その用途により使い分ければよい。ま
た、必要に応じて表面に酸化、カップリング、有機絶縁
材のコーティングなどの処理を施してもよい。
【0068】さらに、種類、粒度分布の異なる磁性粉を
2種以上用いてもよい。その際の混合比は任意であり、
用途により用いる材料、粒度分布、混合比を調整すれば
よい。
【0069】磁性粉の透磁率μは10〜1,000,0
00であることが好ましい。また、バルクの絶縁性は高
い方が基板化した際の絶縁性が向上して好ましい。
【0070】 ポリビニルベンジルエーテル化合物と磁
性粉との混合比としては、形成される複合磁性体層全体
の透磁率が3〜20となるように添加されていればよ
い。特にガラスクロスなどに塗布するペースト段階で、
樹脂と磁性粉との比率で示した場合、磁性粉の含有量は
25〜65 vol%(50〜90質量% )であることが好
ましい。このような磁性粉の含有量とすることで、複合
磁性体層全体の透磁率が3〜20となり、本発明の効果
が向上する。これに対し、磁性粉の含有量が多くなると
スラリー化して塗工することが困難になり、基板、プリ
プレグの作製が困難になる。一方、磁性粉の含有量が少
なくなると透磁率を確保できなくなる場合があり、磁気
特性が低下してしまう。
【0071】ポリビニルベンジルエーテル化合物に添加
される難燃剤としては、通常基板の難燃化のために用い
られている種々の難燃剤を用いることができる。具体的
には、ハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹
脂等のハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等
の有機化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウ
ム等の無機材料を用いることができる。特にこれらのな
かでも臭素化芳香族系化合物が好ましい。
【0072】臭素化芳香族系化合物としては、デカブロ
モジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキ
サイド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、テトラ
ブロモビスフェノールAエポキシオリゴマー、エチレン
ビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモフェ
ノキシ)トエリアジン、テトラブロモフェニレンエーテ
ル、臭素化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、オク
タブロモトリエチルフェニルインダン、臭素化ポリフェ
ニレンオキサイド、ジブロモフェノール、トリブロモフ
ェノール、ペンタブロモフェノール、テトラブロモカテ
コール、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモ
ビスフェノールA、臭素化ノボラック等のハロゲン化フ
ェノールのビニルベンジル化合物等を挙げることができ
る。
【0073】ポリビニルベンジルエーテル化合物と難燃
剤との混合比としては、難燃剤に臭素化芳香族系化合物
を用いる場合、ガラスクロスなどに塗布するペースト段
階で、樹脂と臭素化芳香族系化合物との質量比で示した
場合、次の関係を満たすことが好ましい。
【0074】臭素化芳香族系化合物:ポリビニルベンジ
ルエーテル化合物 =5:95〜70:30
【0075】使用する金属箔としては、金、銀、銅、ア
ルミニウムなど導電率の良好な金属のなかから好適なも
のを用いればよい。これらのなかでも特に銅が好まし
い。
【0076】金属箔を作製する方法としては、電解、圧
延法等種々の公知の方法を用いることができるが、箔ピ
ール強度をとりたい場合には電解箔を、高周波特性を重
視したい場合には、表面凹凸による表皮効果の影響の少
ない圧延箔を使用するとよい。
【0077】金属箔の厚みとしては、8〜70μm が好
ましく、特に12〜35μm が好ましい。
【0078】本発明において、電子部品の基礎となるプ
リプレグを得るには、所定の配合比としたセラミック粉
末、必要により磁性粉、難燃剤とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物とを含み、溶剤に混練してスラリー化した
ペーストを塗布して、乾燥(Bステージ化)する工程に
従う。この場合に用いられる溶剤は揮発性溶剤が好まし
く、上記極性中性溶媒が特に好ましく、ペーストの粘度
を調整し塗工しやすくする目的で用いられる。混練はボ
ールミル、撹拌等により公知の方法によって行えばよ
い。ペーストを金属箔上に塗工、またはガラスクロス上
に含浸することにより、形成することができる。
【0079】プリプレグの乾燥(Bステージ化)は、含
有するセラミック粉末、必要により磁性粉、難燃剤の含
有量などにより適宜調整すればよいが、通常、100〜
120℃、0.5〜3時間とすればよい。乾燥、Bステ
ージ化した後の厚みは50〜300μm 程度が好まし
く、その用途や要求される特性(パターン幅および精
度、直流抵抗)等により最適な膜厚に調整すればよい。
【0080】プリプレグは、図4または図5に示すよう
な方法により製造することができる。この場合、図4の
方法は比較的量産に適しており、図5の方法は、膜厚制
御を行い易く、特性の調整が比較的容易に行えるという
特徴を有している。図4において、(a)に示すよう
に、ロール状に巻回されたガラスクロス101aは、こ
のロール101aから繰り出され、ガイドローラ111
を介して塗工槽110に搬送される。この塗工槽110
には、溶剤中に分散されているセラミック粉末、必要に
より磁性粉、難燃剤とポリビニルベンジルエーテル化合
物がスラリー状調整されており、この塗工槽110をガ
ラスクロスが通過すると、上記スラリー中に浸漬され、
ガラスクロスに塗工されるとともに、その中のすきまが
埋められることになる。
【0081】塗工槽110を通過したガラスクロスは、
ガイドローラー112a,112bを介して乾燥炉12
0に導入される。乾燥炉に導入された樹脂含浸ガラスク
ロスは、所定の温度と時間乾燥され、Bステージ化され
るとともに、ガイドローラー121により方向転換して
巻取ローラ130に巻回される。
【0082】そして、所定の大きさに切断されると、
(b)に示すように、ガラスクロス101の両面にセラ
ミック粉末、必要により磁性粉、難燃剤を含有した樹脂
102が配置されたプリプレグが得られる。
【0083】さらに、(c)に示すように、得られたプ
リプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔103を配置
し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すよう
な両面金属箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は10
0〜200℃の温度、9.8×105〜7.84×106
Pa(10〜80kgf/cm2)の圧力とすればよく、このよ
うな条件下で0.5〜20時間程度成形することが好ま
しい。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことが
できる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配
置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0084】次に、図5の製造方法について説明する。
図5において、(a)に示すように、セラミック粉末、
必要により磁性粉、難燃剤とポリビニルベンジルエーテ
ル化合物を溶剤中に分散したスラリー102aをドクタ
ーブレード150等によってクリアランスを一定に保ち
ながら銅箔などの金属箔上に塗工する。
【0085】そして、所定の大きさに切断されると、
(b)に示すように、金属箔103の上面にセラミック
粉末、必要により磁性粉、難燃剤を含有した樹脂102
が配置されたプリプレグが得られる。
【0086】さらに、(c)に示すように、ガラスクロ
ス101の上下両面に得られたプリプレグ102をそれ
ぞれ樹脂102側を内面にして配置し、これを加熱・加
圧プレスすると、(d)に示すような両面金属箔付き基
板が得られる。加熱加圧条件は上記と同様でよい。
【0087】この場合に得られるプリプレグの厚みとし
ては、0.05〜5mm程度である。プリプレグの厚み
は、所望する板厚、誘電体粉や磁性粉の含有率に応じて
適宜調整すればよい。
【0088】さらに、上記同様に得られたプリプレグの
上下両面上に銅箔などの金属箔を配置し、これを加熱・
加圧プレスすると両面金属箔付き基板が得られる。加熱
加圧条件は100〜200℃の温度、9.8×105
7.84×106Pa(10〜80kgf/cm2)の圧力とすれ
ばよく、このような条件下で0.5〜20時間程度成形
することが好ましい。成形は条件をかえて複数段階に分
けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合に
は、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすれば
よい。
【0089】このようにして得られる成形材料としての
基板(有機複合材料)は、透磁率および誘電率の高周波
数特性に優れる。また絶縁材として耐えうる絶縁特性に
優れる。さらには、後述のように銅箔付基板とした場
合、銅箔との接着強度が大きい。また半田耐熱性等の耐
熱性に優れる。
【0090】本発明のプリプレグは銅箔と重ねて加熱加
圧して成形することにより銅箔付基板を形成することが
できる。この場合の銅箔の厚さは12〜35μm 程度で
ある。
【0091】このような銅箔付基板には、両面パターン
ニング基板や多層基板などがある。
【0092】図6、図7には両面パターンニング基板形
成例の工程図を示す。図6、図7に示されるように、所
定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)箔2とを
重ねて加圧加熱して成形する(工程A)。次にスルーホ
ールをドリリングにより形成する(工程B)。形成した
スルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を
形成する(工程C)。さらに両面の銅箔2にパターニン
グを施し、導体パターン21を形成する(工程D)。そ
の後、図6に示されるように、外部端子等の接続のため
のメッキを施す(工程E)。この場合のメッキはNiメ
ッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後に
さらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電
解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われ
る。
【0093】図8、図9には多層基板形成例の工程図で
あり、4層積層する例が示されている。図8、図9に示
されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅
(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程
a)。次に両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パ
ターン21を形成する(工程b)。このようにして得ら
れた両面パターンニング基板の両面に、さらに所定厚さ
のプリプレグ1と銅箔2とを重ねて、同時に加圧加熱し
て成形する(工程c)。次にスルーホールをドリリング
により形成する(工程d)。形成したスルーホールに銅
(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する(工程
e)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施し、導体
パターン21を形成する(工程f)。その後図8に示さ
れるように、外部端子との接続のためのメッキを施す
(工程g)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらに
Pdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッ
キを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半
田レベラーを用いる方法により行われる。
【0094】上記の加熱加圧の成形条件は、100〜2
00℃の温度、9.8×105〜7.84×106Pa(1
0〜80kgf/cm2)の圧力で、0.5〜20時間とする
ことが好ましい。
【0095】本発明では、前記例に限らず、種々の基板
を形成することができる。例えば、成形材料としての基
板や、銅箔付基板とプリプレグとを用い、プリプレグを
接着層として多層化することも可能である。
【0096】また、プリプレグや成形材料としての基板
と銅箔とを接着する態様において、前述のセラミック粉
末、磁性粉、必要により難燃剤とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物とブチルカルビトールアセテート等の高沸
点溶剤とを混練して得られた複合誘電体材料や複合磁性
材料ペーストをパターニングした基板の上にスクリーン
印刷等にて形成してもよく、これにより特性の向上を図
ることができる。。
【0097】このようなプリプレグ、銅箔付き基板、積
層基板等と素子構成パターン、構成材料を組み合わせる
ことにより、電子部品を得ることができる。
【0098】本発明の電子部品は、コンデンサ(キャパ
シタ)、コイル(インダクタ)、フィルター、共振器等
や、これらと、あるいはそれ以外に配線パターン、増幅
素子、機能素子を組み合わせ、アンテナや、RFモジュ
ール(RF増幅段)、VCO(電圧制御発振回路)、パ
ワーアンプ(電力増幅段)等の高周波電子回路、光ピッ
クアップなどに用いられる重畳モジュール等の高周波用
電子部品を得ることができる。
【0099】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1> 先ず、比較例1〜4としてアミノ系シラン化合物、ビニ
ル系シラン化合物、スチレン系シラン化合物、メタクリ
ル系シラン化合物で処理した厚さ50μm の従来のガラ
スクロス(旭シュエーベル(株)Eガラス)を用いた。
また、実施例としてメタクリル系シラン化合物で処理
し、さらに開繊処理したガラスクロスを用いた。これら
のガラスクロスのそれぞれに、トルエンに溶解したポリ
ビニルベンジルエーテル樹脂を、塗工機にて塗工した
後、110℃で2時間乾燥し、これをプリプレグとし
た。乾燥後の膜厚は120μm であった。
【0100】また、比較例5としてスチレン系シラン化
合物で処理したガラスクロスに、トルエンで溶解したフ
マレート樹脂を同様に塗工し、プリプレグとした。
【0101】次に、このプリプレグを8層積層し、熱プ
レス機で、150℃、180℃、200℃それぞれ30
分の条件でステップキュアし、積層板を得た。次に、こ
の積層板を、幅1.2mm長さ100mmに切断し、これを
試験用サンプルとした。得られたサンプルの試験前及び
試験後の電気特性(Q)は、所定の大きさの共振箱中に
配置したときの共振点の変動からQを求める摂動法によ
り求めた。高温高湿度放置試験は、85℃85%RHで
100時間行い、1時間大気雰囲気で放置した後、電気
特性(測定周波数1.9GHz)の測定を行った。Qの
変化率は、以下の式で求めた。 Qの変化率=(100時間後のQ−初期のQ)/初期の
Q×lOO
【0102】結果を表1に示す。また、従来のガラスク
ロス(旭シュエーベル(株)Eガラス)と開繊処理を行
ったガラスクロスの繊維を撮影した写真をそれぞれ図
1,2に示す。
【0103】
【表1】
【0104】比較例1〜4よりガラスクロスに処理する
表面処理剤は、メタクリル系シラン化合物を用いると最
もQの変化率が小さい。また、フマレート樹脂とスチレ
ン系シラン化合物の表面処理剤では、Qの変化率がポリ
ビニルベンジルエーテル樹脂と比較して、小さくなって
いることから、どんな樹脂に対してもメタクリル系シラ
ン化合物の表面処理剤が良いわけではないのがわかる。
【0105】また、比較例4と実施例1から開繊処理の
効果は明白である。
【0106】<実施例2> 先ず、比較例6としてメタクリル系シラン化合物の表面
処理剤で処理した厚さ50μm の従来のガラスクロス
(旭シュエーベル(株)Eガラス)を用意した。また、
実施例として開繊処理し、メタクリル系シラン化合物の
表面処理剤で処理したガラスクロスを用意した。次い
で、これらのガラスクロスに、BaO−Nd23 ・T
iO2 系誘電体粉末と臭素化芳香族系化合物とポリビニ
ルベンジルエーテル化合物をトルエン溶媒で塗料にした
スラリーをに塗工機にて塗工した後、110℃で2時間
乾燥し、これをプリプレグとした。乾燥後の膜厚は12
0μmであった。次に、このプリプレグを8層積層し、
熱プレス機で、150℃、180℃、200℃それぞれ
30分の条件でステップキュアし、積層板を得た。次
に、この積層板を、幅1.2mm、長さ100mmに切断
し、これを試験用サンプルとした。
【0107】得られたサンプルのQ変化率を実施例1と
同様にして求めた。
【0108】比較例6と実施例2より、ポリビニルベン
ジル樹脂に粉末を加えた複合系でも同様の効果が得られ
ていることがわかる。
【0109】<実施例3> 先ず、比較例7としてメタクリル系シラン化合物の表面
処理剤で処理した厚さ50μm の従来のガラスクロス
(旭シュエーベル(株)Eガラス)と、実施例3として
前記ガラスクロスを開繊処理したものを用意した。これ
らのガラスクロスに、トルエンに溶解したポリビニルベ
ンジルエーテル樹脂を、図3に示すような含有量に塗工
機にて塗工した後、110℃で2時間乾燥し、これをプ
リプレグとした。乾燥後の膜厚は80〜130μm であ
った。次に、このプリプレグを8層積層し、熱プレス機
で、150℃、180℃、200℃それぞれ30分の条
件でステップキュアし積層板を得た。次に、この積層板
を、幅1.2mm長さ100mmに切断し、これを試験用サ
ンプルとした。
【0110】得られたサンプルの電気特性(Q)は摂動
法により求めた。基板中の樹脂の含有量は、TG(熱重
量測定)により求めた。得られた樹脂の含有量とQの関
係を図3に示す。図3から、開繊処理を行ったサンプル
は、開繊処理を行っていないサンプルより高いQが得ら
れることがわかる。
【0111】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、少なくと
もガラスクロスとポリビニルペンジルエーテル樹脂から
なる基板において、高温高湿度下での電気特性の変化を
抑制し、安定した電気特性を長期間維持可能な基板およ
びプリプレグを提供することができる。
【0112】また、Qの低いガラスクロスを用いても全
体として良好なQ特性を得ることが可能な基板およびプ
リプレグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のガラスクロスの繊維の状態を示す図面代
用写真である。
【図2】開繊処理を行ったガラスクロスの繊維の状態を
示す図面代用写真である。
【図3】本発明の実施例3と比較例3の樹脂含有量とQ
の関係を示したグラフである。
【図4】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す工程
図である。
【図5】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す他の
工程図である。
【図6】銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図7】銅箔付基板の形成例を示す他の工程図である。
【図8】多層基板の形成例を示す工程図である。
【図9】多層基板の形成例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 プリプレグ 2 銅箔塗工物 3 スルーホール 4 メッキ膜 10 両面銅箔付基板(両面銅張基板) 21 銅箔 23 銅メッキ膜 21 導体パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−280275(JP,A) 特開 平9−302580(JP,A) 特開 平8−2946(JP,A) 特開 平9−31006(JP,A) 特開 平3−92343(JP,A) 特開 平3−93840(JP,A) 特表 平3−504025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/24 H05K 1/03 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも開繊処理が施されたガラスク
    ロスと、樹脂とを有し、 前記樹脂がポリビニルベンジルエーテル化合物であり、 前記ガラスクロスにはカップリング剤による表面処理が
    施されており、 前記カップリング剤は、γ−メタクリロキシプロピルト
    リメトキシシランまたはγ−メタクリロキシプロピルメ
    チルジメトキシシランであるプリプレグを硬化させた基
    板。
  2. 【請求項2】 前記ポリビニルベンジルエーテル化合物
    は、下記一般式(1)で示される請求項1の基板。 【化1】 {式中、R1 はメチル基またはエチル基を示し、R2
    水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R
    3 は水素原子またはビニルベンジル基を示し(但し、水
    素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜
    0:100である)、nは2〜4の数を示す。}
  3. 【請求項3】 ポリビニルベンジルエーテル化合物中に
    誘電体粉末が分散されていて、 前記誘電体粉末の比誘電率が2.5〜10000、Qが
    100〜50000である請求項1または2のいずれか
    の基板。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種または2種以上の難燃剤
    を含有する請求項1〜3のいずれかの基板。
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