JP2003289007A - 電子部品 - Google Patents

電子部品

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JP2003289007A
JP2003289007A JP2003011468A JP2003011468A JP2003289007A JP 2003289007 A JP2003289007 A JP 2003289007A JP 2003011468 A JP2003011468 A JP 2003011468A JP 2003011468 A JP2003011468 A JP 2003011468A JP 2003289007 A JP2003289007 A JP 2003289007A
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JP2003011468A
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Minoru Takatani
稔 高谷
Toshiichi Endo
敏一 遠藤
Toshiyuki Abe
敏之 阿部
Hisashi Kosara
恒 小更
Masashi Takahara
誠志 高原
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくとも高周波特性に優れた樹脂基板と、
高周波特性に優れた磁性基板と、高周波特性に優れた誘
電体基板とのいずれかを用いることで、高周波特性に優
れ、ひいては総合的な電気特性に優れた高周波用電子部
品を提供する。 【解決手段】 少なくともポリビニルベンジルエーテル
化合物を有する有機誘電体層、ポリビニルベンジルエー
テル化合物に磁性粉が分散されている複合磁性体層、ポ
リビニルベンジルエーテル化合物に誘電体粉末が分散さ
れている複合誘電体層のいずれかを有する構成の電子部
品とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリプレグおよび
基板を用いた電子部品や積層回路に関し、特に高周波数
領域(100MHz以上)での使用に好適であり、磁気特
性を利用した用途や磁気シールドを目的とする使用に適
したプリプレグおよび基板を用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における実装方法の小型化・高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより
優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性、成形性が要求さ
れつつある。
【0003】高周波用電子部品もしくは高周波用多層基
板としては、焼結フェライトや焼結セラミックを基板状
に多層化、成形したものが一般に知られている。これら
の材料を多層基板にすることは、小型化が図れるという
メリットがあることから従来より用いられてきた。
【0004】しかしながら、焼結フェライト材料では磁
気特性を示す透磁率μの周波数特性が500MHz程度ま
でしか延びないため、GHzの高周波帯域での使用は限ら
れてしまっていたり、材料の比誘電率が大きく浮遊容量
の影響を受け、高周波特性の低下という課題を有してい
た。
【0005】また、単に焼結セラミックを用いたのでは
比誘電率を4以下にすることが困難であり、高周波特性
を高めるためにはさらなる低誘電率かが望まれていた。
【0006】高周波特性を改善する方法としては、焼結
フェライト等のセラミック磁性材料、もしくはセラミッ
ク誘電材料と有機樹脂材料の複合材料による基板を提供
する試みがなされている(特開平9−76341号公
報、特開平11−192620号公報、特開平8−69
712号公報)。しかしながら、未だに所望の高周波特
性を得られていないというのが現状である。
【0007】さらに、焼結フェライトと焼結セラミック
といった異材質を同一積層基板内部に含有させ、多層化
させる場合においては、線膨張係数の違いによりクラッ
クが発生し易いといった問題も有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、少な
くとも高周波特性に優れた樹脂基板と、高周波特性に優
れた磁性基板と、高周波特性に優れた誘電体基板とのい
ずれかを用いることで、高周波特性に優れ、ひいては総
合的な電気特性に優れた高周波用電子部品を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記の本発
明によって達成される。 (1) 少なくともポリビニルベンジルエーテル化合物
に誘電体粉末が分散されている複合誘電体層を有し、1
00MHz以上の周波数で使用される電子部品。 (2) 前記ポリビニルベンジルエーテル化合物は、下
記一般式(1)で示されるものである電子部品。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、R3 は水素原子またはビニルベンジル基を示
し(但し、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は6
0:40〜0:100である)、nは2〜4の数を示
す) (3) インダクタである上記(1)の電子部品。 (4) キャパシタである上記(1)の電子部品。 (5) アンテナである上記(1)の電子部品。 (6) パワーアンプである上記(1)の電子部品。 (7) RFモジュールである上記(1)の電子部品。 (8) フィルタである上記(1)の電子部品。 (9) VCO(電圧制御発振器)である上記(1)の
電子部品。
【0012】
【作用】本発明は少なくともポリビニルベンジルエーテ
ル化合物、ポリビニルベンジルエーテル化合物と磁性粉
との複合材料、およびポリビニルベンジルエーテル化合
物と誘電体粉末との複合材料のいずれかを用いて多層基
板を構成することにより、比誘電率が小さく、高周波特
性に優れた磁性基板と、高周波特性に優れた誘電体基板
を可能としている。このことが、結果として総合的に高
周波特性に優れた多層基板、これを用いた電子部品を可
能としている。
【0013】なお、高周波用多層基板としては、フッ素
樹脂、ポリイミド樹脂等の材料により構成されたものも
検討されているが(特開平11−116672号公報、
特開平7−335440号公報)、多層化が困難である
といった課題を有している。このため、本発明のポリビ
ニルベンジルエーテル化合物を用いた基板、およびその
複合材では従来のガラスエポキシ基板と同等の工程で容
易に多層化でき、既存の製造設備を使って製造できるこ
とから製造コストの面でも極めて有用である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の電子部品は、少なくともポリビニルベン
ジルエーテル化合物を有する有機誘電体層、ポリビニル
ベンジルエーテル化合物に磁性粉が分散されている複合
磁性体層、ポリビニルベンジルエーテル化合物に誘電体
粉末が分散されている複合誘電体層のいずれかを有する
樹脂複合型の電子部品である。
【0015】このような構成とすることによって、誘電
率の調整が容易となり、低誘電率化も可能で、高周波数
領域(100MHz以上、特に100MHz以上10GHz以下
の領域)での使用に好適である。また、複合磁性体層は
優れた磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的と
した使用に適している。一方、複合誘電体層は高周波数
帯域で、比較的高いQやεを得ることも可能であり、こ
うした特性が要求される用途(例えばストリップライン
や、インピーダンスの整合回路、遅延回路、アンテナ等
の電子部品)に適した複合誘電体基板となり、しかも高
強度である。
【0016】また、このような複合磁性体層、あるいは
複合誘電体層を用いて基板、積層型電子部品を形成する
場合、接着剤等を用いることなく、銅箔との接着やパタ
ーニングが実現でき、かつ多層化を実現することができ
る。こうしたパターニングや多層化処理は、通常の基板
製造工程と同じ工程でできるので、コストダウンおよび
作業性の改善を図ることができる。また、このようにし
て得られる基板による電子部品は、高強度で、高周波特
性の向上したものである。
【0017】さらに、本発明を説明する。本発明の電子
部品に用いられるポリビニルベンジルエーテル化合物
は、下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
【0018】
【化3】
【0019】(式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、R3 は水素原子またはビニルベンジル基を示
し(但し、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は6
0:40〜0:100である)、nは2〜4の数を示
す)
【0020】また本発明は、下記一般式(2)
【0021】
【化4】
【0022】(式中、R1 はメチル基またはエチル基を
示し、R2 は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素
基を示し、nは2〜4の数を示す)で示されるポリフェ
ノールと、ビニルベンジルハライドとを、アルカリ金属
水酸化物の存在下で反応させて得られる、上記一般式
(1)で示されるポリビニルベンジルエーテル化合物を
用いてもよい。
【0023】上記一般式(1)で示される本発明のポリ
ビニルベンジルエーテル化合物において、R1 はメチル
基またはエチル基を示し、R2 は水素原子または炭素数
1〜10の炭化水素基、好ましくはベンジル基を表し、
3 は水素原子またはビニルベンジル基を表すものであ
る。ここで、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は
60:40〜0:100である。また、nは2〜4の値
を有する。本発明の一般式(1)のポリビニルベンジル
エーテル化合物は、例えば、特開平9−31006号公
報に記載されているように、上記一般式(2)に示され
るポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとを反応
させることにより合成することができる。
【0024】一般式(2)のポリフェノールは、市販さ
れているものを利用することができ、例えば日本石油化
学社製PP−700−300、PP−1000−180
等が挙げられる。
【0025】ビニルベンジルハライドとしては、p−ビ
ニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライ
ド、p−ビニルベンジルクロライドとm−ビニルベンジ
ルクロライドとの混合体、p−ビニルベンジルブロマイ
ド、m−ビニルベンジルブロマイドおよびp−ビニルベ
ンジルブロマイドとm−ビニルベンジルブロマイドとの
混合体等が挙げられる。中でも好ましくは、p−ビニル
ベンジルクロライド、およびp−ビニルベンジルクロラ
イドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体がよ
い。p−ビニルベンジルクロライドを使用すると、対称
性がよくなり、高融点、高軟化点のポリビニルベンジル
エーテル化合物が得られる。また、p−ビニルベンジル
クロライドとm−ビニルベンジルクロライドとの混合体
を使用すると、低融点、低軟化点のポリビニルベンジル
エーテル化合物が得られ、作業性が良好となる。
【0026】ポリフェノールとビニルベンジルハライド
との反応は、とくに制限されるものではないが、例えば
ポリフェノールとビニルベンジルハライドとを、極性中
性溶媒中、アルカリ金属水酸化物を脱塩酸剤として用い
反応させる方法が挙げられる。
【0027】ポリフェノールとビニルベンジルハライド
との配合割合は、適宜設計することができるが、例えば
モル比として、ポリフェノール:ビニルベンジルハライ
ド=100:40〜100:120であることができ
る。
【0028】極性中性溶媒としては、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、
N−メチルピロリドン、ジオキサン、アセトニトリル、
テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエー
テル、1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシ
プロパン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホス
ホアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、アセトンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウムおよびこれらの混合物等が挙
げられる。アルカリ金属水酸化物の配合割合は、例えば
フェノール性水酸基1モルに対して1.1〜2.0倍モル
程度がよい。
【0030】反応温度および反応時間は、それぞれ30
〜100℃で、0.5〜20時間であればよい。
【0031】これとは別の方法として、相間移動触媒、
例えば第4級アンモニウム塩の存在下で、上記ポリフェ
ノールとビニルベンジルハライドとを、水/有機溶剤混
合液中、アルカリ金属水酸化物を脱塩酸剤として100
℃までの温度で反応させることにより、本発明のポリビ
ニルベンジルエーテル化合物が得られる。
【0032】なお、上記方法で本発明のポリビニルベン
ジルエーテル化合物を製造した場合、ポリフェノールと
ビニルベンジルハライドの配合設計により、出発原料の
一つである一般式(2)のポリフェノールにおけるフェ
ノール性水酸基が、すべてビニルベンジル基に置換させ
ないものを作ることができる。この場合、上記反応によ
り得られるものは、本発明のポリビニルベンジルエーテ
ル化合物と一般式(2)のポリフェノールとの混合体で
ある。本発明においては、特定割合未満、すなわち両者
に対して60モル%未満であれば、このポリフェノール
は存在していてもよい。しかし、60モル%を超える
と、後に行う硬化反応が十分に達成されず、また良好な
誘電特性を示さなくなるので好ましくない。
【0033】一般式(2)のポリフェノール水酸基のビ
ニルベンジル基への置換率は、40〜100モル%、好
ましくは60〜100モル%である。この置換率は、当
然のことながら高ければ高いほど望ましい。この置換率
は、ポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとの配
合設計により適宜調整することができる。
【0034】ポリフェノールの存在が許されない場合
は、ポリフェノールとビニルベンジルハライドとの配合
設計および適当な手段、例えば溶媒/非溶媒系の組み合
わせによる再沈殿精製法により未反応原料等を除去すれ
ばよい。
【0035】本発明のポリビニルベンジルエーテル化合
物は、それ自体あるいは他の共重合可能な単量体と重合
および硬化させることにより、広い周波数領域で良好で
一定で、且つ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性を示
し、さらに耐熱性にも優れる樹脂として使用することが
できる。
【0036】共重合可能な単量体としては、例えばスチ
レン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルベ
ンジルエーテル、アリルフェノール、アリルオキシベン
ゼン、ジアリルフタレート、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル、ビニルピロリドン等が挙げられる。
これらの単量体の配合割合は、ポリビニルベンジルエー
テル化合物に対して、2〜50重量%程度である。
【0037】また、本発明のポリビニルベンジルエーテ
ル化合物は、既知の熱硬化性樹脂、例えばビニルエステ
ル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポ
リフェノールのポリシアナート樹脂、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ビニルベンジル化合物等や、既知の熱可
塑性樹脂、例えばポリエーテルイミド、ポリエーテルス
ルホン、ポリアセタール、ジシクロペンタジエン系樹脂
等と組み合わせて使用することも可能である。その配合
割合は、本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物に
対して5〜90重量%程度である。中でも好ましくは、
ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイ
ミド樹脂、ポリフェノールのポリシアナート樹脂、エポ
キシド樹脂およびこれらの混合物からなる群から選ばれ
る少なくとも1種である。
【0038】本発明のポリビニルベンジルエーテル化合
物自体、あるいはこの化合物と他の単量体または熱硬化
性樹脂とを含有してなる硬化性樹脂組成物の重合および
硬化は、公知の方法で行うことができる。硬化は、硬化
剤の存在下または不存在下のいずれでも可能である。硬
化剤を使用する場合は、例えば過酸化ベンゾイル、メチ
ルエチルケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、
t−ブチルパーベンゾエート等の公知のラジカル重合開
始剤を使用することができる。使用量は、ポリビニルベ
ンジルエーテル化合物100重量部に対して0〜10重
量部である。
【0039】硬化温度は、硬化剤の使用の有無および硬
化剤の種類によっても異なるため一概に規定できない
が、20〜250℃、好ましくは50〜250℃であ
る。温度が20℃未満では、十分な硬化が得られない。
【0040】また、硬化の調整のために、ハイドロキノ
ン、ベンゾキノン、銅塩等を配合できる。
【0041】本発明の電子部品は、上記ポリビニルベン
ジルエーテル化合物から形成され、比誘電率が2.6〜
3.5、誘電正接が0.0025〜0.005である有
機誘電体層を少なくとも1層有することが好ましい。こ
のような、有機誘電体層は、分布容量を少なくすること
ができるため、特にコイル等のインダクタ素子の形成に
適している。
【0042】本発明の電子部品は、ポリビニルベンジル
エーテル化合物中に誘電体粉末が分散されていて、前記
誘電体粉末の比誘電率が20〜10000、誘電正接が
0.01〜0.0001であり、全体の比誘電率が5〜
20、誘電正接が0.0025〜0.0075である第
1の複合誘電体層を少なくとも1層有することが好まし
い。このような構成とすることにより、適度な誘電率
と、高いQとを得ることができ、伝達ロスが少なくな
り、特にバルントランス、アンテナ、パワーアンプ等の
電子回路の形成に適している。
【0043】本発明の電子部品は、ポリビニルベンジル
エーテル化合物中に誘電体粉末が分散されていて、前記
誘電体粉末の比誘電率が20〜10000、誘電正接が
0.01〜0.0001、含有量が40〜65 vol%で
あり、全体の比誘電率が10〜40、誘電正接が0.0
075〜0.025である第2の複合誘電体層を少なく
とも1層有することが好ましい。このような構成とする
ことにより、適度なQ値と高い誘電率を得ることがで
き、特にコンデンサやパッチアンテナ、あるいはVCO
(電圧制御発振器)、パワーアンプ等の電子回路の形成
に適している。
【0044】本発明の電子部品は、ポリビニルベンジル
エーテル化合物中に磁性粉が分散されていて、この磁性
粉の含有量が25〜65体積%であり、全体の透磁率が
3〜20である複合磁性体層を少なくとも1層有するこ
とが好ましい。このような構成とすることにより、適度
な透磁率を確保しつつ低誘電率となり、高周波数領域
(100MHz以上、特に100MHz以上10GHz以下の領
域)での使用が可能となり、磁性粉の含有量を大きくで
きることから磁気特性を利用した電子部品や電子部品の
磁気シールドに適したものとなる。
【0045】これらの構成層は、少なくとも上記いずれ
かの層が一層以上含まれていればよく、目的とする電子
部品の構成、機能等により適宜組み合わせて用いればよ
い。
【0046】本発明に用いるセラミクス粉末、特に上記
第1の複合誘電体層に含有されるセラミック粉末は高い
Qとある程度の比誘電率を持つことを必要とする。特に
2GHzでの比誘電率が20〜10000、誘電正接が
0.01〜0.0001であることが好ましく、さらに
Qが250〜50000であることが好ましい。このよ
うな構成により高いQと比誘電率の複合誘電体を得るこ
とが可能である。
【0047】本発明に用いるセラミクス粉末は、高周波
数帯域において、分散媒となる樹脂よりも大きい比誘電
率とQを持つセラミクス粉末であればよく、2種類以上
用いてもよい。セラミック粉末は、第1の複合誘電体層
全体の比誘電率が5〜20、誘電正接が0.0025〜
0.0075となるように含有されていればよい。
【0048】セラミクス粉末はサファイヤなどの単結晶
粉末や多結晶のアルミナ粉末でもよく、これらも含め
て、セラミクス粉末の種類は例えば以下の組成を主成分
とする誘電体の粉末であることが好ましい。併せて2GH
zにおける比誘電率εおよびQ値を示す。
【0049】Mg2SiO4[ε=7、Q=20000]、Al2O3[ε=9.8、
Q=40000]、MgTiO3[ε=17、Q=22000]、ZnTiO3[ε=26、Q=
800]、Zn2TiO4[ε=15、Q=700]、TiO2[ε=104、Q=1500
0]、CaTiO3[ε=170、Q=1800]、SrTiO3[ε=255、Q=70
0]、SrZrO3[ε=30、Q=1200]、BaTi 2O5[ε=42、Q=570
0]、BaTi4O9[ε=38、Q=9000]、Ba2Ti9O20[ε=39、Q=900
0]、Ba 2(Ti,Sn)9O20[ε=37、Q=5000]、ZrTiO4[ε=39、Q
=7000]、(Zr,Sn)TiO4[ε=38、Q=7000]、BaNd2Ti5O14
=83、Q=2100]、BaSm2TiO14[ε=74、Q=2400]、Bi2O3-BaO
-Nd2O3-TiO2系[ε=88、Q=2000]、PbO-BaO-Nd2O3-TiO2
[ε=90、Q=5200]、(Bi2O 3、PbO)-BaO-Nd2O3-TiO2系[ε=
105、Q=2500]、La2Ti2O7[ε=44、Q=4000]、Nd2Ti 2O7
=37、Q=1100]、(Li,Sm)TiO3[ε=81、Q=2050]、Ba(Mg1/3
Ta2/3)O3[ε=25、Q=35000]、Ba(Zn1/3Ta2/3)O3[ε=30、
Q=14000]、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=41、Q=9200]、Sr(Zn
1/3Nb2/3)O3[ε=40、Q=4000]等。
【0050】より好ましくは、以下の組成を主成分とす
るものである。TiO2、CaTiO3、SrTiO3、BaO-Nd2O3-TiO2
系、Bi2O3-BaO-Nd2O3-TiO2系、BaTi4O 9、Ba2Ti9O20、Ba
2(Ti,Sn)9O20系、MgO-TiO2系、ZnO-TiO2系、MgO-SiO
2系、Al2O 3、等。
【0051】セラミクス粉末の粒径は、樹脂との混練性
等を考えると、平均粒径0.2〜100μm 程度が好ま
しく、粒径が小さくなると、樹脂との混練がしにくくな
る。また、粒径が大きくなると、不均一となり、均一な
分散を行うことができず、粉末の含有量が多い組成の成
形の際に、緻密な成型体を得られない。
【0052】本発明の第1の複合誘電体層は、ポリビニ
ルベンジルエーテル化合物から得られる樹脂と上記セラ
ミクスとを主成分とするものであるが、ポリビニルベン
ジルエーテル化合物とセラミクス粉末との合計量を10
0vol%としたとき、セラミクス粉末の含有量は10vol%
以上70vol%未満であり、好ましくは20vol%以上60
vol%以下の範囲である。
【0053】セラミクス粉末が70vol%以上であると緻
密な組成物が得られなくなる。また、セラミクス粉末を
添加しない場合に比べて、Qが大きく低下することもあ
る。一方、セラミクス粉末が10vol%未満であると、セ
ラミクス粉末を含有する効果があまりみられない。
【0054】本発明の第1の複合誘電体層は各成分を上
記の範囲内で適宜設定することにより、ポリビニルベン
ジルエーテル化合物から得られる樹脂よりも大きくする
ことができ、必要に応じた比誘電率と高いQを得ること
が可能となる。
【0055】本発明に用いるセラミクス粉末、特に上記
第2の複合誘電体層に含有されるセラミック粉末は特に
高い比誘電率を持つことを必要とする。
【0056】比誘電率が、好ましくは比誘電率が20〜
10000、誘電正接が0.01〜0.0001である
ことが好ましく、さらにQが250〜50000である
ことが好ましい。このようなセラミクス粉末をポリビニ
ルベンジルエーテル化合物から得られる樹脂中に分散さ
せることで、より高い比誘電率の複合誘電体を得ること
が可能である。
【0057】本発明に用いるセラミクス粉末は、高周波
数帯域、特に2GHzにおいて、第2の複合誘電体層全体
の比誘電率が10〜40、誘電正接が0.0075〜
0.025とできる粉末であればよく、2種類以上用い
てもよいが、以下の組成を主成分とする誘電体の粉末か
ら選択されるものが好ましい。併せて2GHzにおける比
誘電率εを示す。
【0058】BaTiO3[ε=1500]、(Ba,Pb)TiO3系[ε=600
0]、Ba(Ti,Zr)O3系[ε=9000](Ba,Sr)TiO3系[ε=7000]。
【0059】より好ましくは、以下の組成を主成分とす
る誘電体の粉末から選択される。BaTiO3、Ba(Ti,Zr)O3
系。
【0060】セラミクス粉末は単結晶や多結晶の粉末で
もよい。
【0061】セラミクス粉末の粒径は、樹脂との混練性
等を考えると、平均粒径0.2〜100μm 程度が好ま
しく、粒径が小さくなると、樹脂との混練がしにくくな
る。また、粒径が大きくなると、不均一となり、均一な
分散を行うことができず、粉末の含有量が多い組成の成
形の際に、緻密な成形体を得られない。
【0062】本発明の第2の複合誘電体層は、ポリビニ
ルベンジルエーテル化合物から得られる樹脂と上記のセ
ラミクスとを主成分とするものであるが、ポリビニルベ
ンジルエーテル化合物とセラミクス粉末との合計量を1
00vol%としたとき、セラミクス粉末の含有量は40vo
l%以上65vol%未満であり、好ましくは40vol%以上6
0vol%以下の範囲である。
【0063】フェライトとしては、Mn−Mg−Zn
系、Ni−Zn系、Mn−Zn系などであり、Mn−M
g−Zn系、Ni−Zn系などが好ましい。
【0064】強磁性金属としては、カーボニル鉄、鉄−
シリコン系合金、鉄−アルミ−珪素系合金(商標名:セ
ンダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロ
イ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)などが好ま
しい。
【0065】これらを粉末にするための手段は、粉砕、
造粒など公知の方法に従えばよい。
【0066】磁性粉の粒径は0.01〜100μm であ
ることが好ましく、平均粒径は1〜50μm であること
が好ましい。このような粒径とすることによって、磁性
粉の分散性が良好となり、本発明の効果が向上する。こ
れに対し、磁性粉の粒径が大きくなるとペースト化した
際に沈降し易くなり、均一に分散しにくい。また、肉薄
の基板、プリプレグを形成しようとした場合に、表面の
平滑性を得ることが困難になってくる。粒径をあまり小
さくすることは実際上困難であり、0.01μm 程度が
限度である。
【0067】磁性粉の粒度は均一であることが好まし
く、必要に応じ、ふるい分けなどにより粒度をそろえて
もよい。磁性分の形状は、球形、扁平、楕円形のいずれ
のものでも良く、その用途により使い分ければよい。ま
た、必要に応じて表面に酸化、カップリング、有機絶縁
材のコーティングなどの処理を施してもよい。
【0068】さらに、種類、粒度分布の異なる磁性粉を
2種以上用いてもよい。その際の混合比は任意であり、
用途により用いる材料、粒度分布、混合比を調整すれば
よい。
【0069】磁性粉の透磁率μは10〜1000000
であることが好ましい。また、バルクの絶縁性は高い方
が基板化した際の絶縁性が向上して好ましい。
【0070】本発明のポリビニルベンジルエーテル化合
物と磁性粉との混合比としては、形成される複合磁性体
層全体の透磁率が3〜20となるように添加されていれ
ばよい。特にガラスクロスなどに塗布するペースト段階
で、樹脂と磁性粉との比率で示した場合、磁性粉の含有
量は25〜65 vol%(50〜90wt% )であることが
好ましい。このような磁性粉の含有量とすることで、複
合磁性体層全体の透磁率が3〜20となり、本発明の効
果が向上する。これに対し、磁性粉の含有量が多くなる
とスラリー化して塗工することが困難になり、基板、プ
リプレグの作製が困難になる。一方、磁性粉の含有量が
少なくなると透磁率を確保できなくなる場合があり、磁
気特性が低下してしまう。
【0071】本発明の難燃剤としては、通常基板の難燃
化のために用いられている種々の難燃剤を用いることが
できる。具体的には、ハロゲン化リン酸エステル、ブロ
ム化エポキシ樹脂等のハロゲン化物、また、リン酸エス
テルアミド系等の有機化合物や、三酸化アンチモン、水
素化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。
これらのなかでも、ハロゲン化リン酸エステル、リン酸
エステルアミド系等が好ましく、特にハロゲン化リン酸
エステルが好ましい。
【0072】本発明のポリビニルベンジルエーテル化合
物と難燃剤との混合比としては、難燃剤にハロゲン化リ
ン酸エステルを用いる場合、ガラスクロスなどに塗布す
るペースト段階で、樹脂とハロゲン化リン酸エステルと
の比率で示した場合、次の関係を満たすことが好まし
い。
【0073】ポリビニルベンジルエーテル化合物:ハロ
ゲン化リン酸エステル=100:100〜100:90
【0074】すなわち、ハロゲン化リン酸エステルの含
有量は40〜60wt% であることが好ましい。このよう
な難燃剤の含有量とすることで、本発明の効果が向上す
る。これに対し、難燃剤の含有量が多くなると樹脂の有
する特性、特に電気的特性が劣化してくる。一方、難燃
剤の含有量が少なくなると難燃化が困難となり、特にU
L規格の94V0を満足することが困難になってくる。
【0075】本発明に用いられるガラスクロス等の強化
繊維は、目的・用途に応じて種々のものであってよく、
市販品をそのまま用いることができる。このときの強化
繊維は、電気的な特性に応じてEガラスクロス(ε=
7、tanδ=0.003、 1GHz)、Dガラスクロス
(ε=4、tanδ=0.0013、 1GHz)、Hガラ
スクロス(ε=11、tanδ=0.003、 1GHz)
等を使い分けてもよい。また、層間密着力向上のため、
カップリング処理などを行ってもよい。その厚さは10
0μm 以下、特に20〜60μm であることが好まし
い。布重量としては、120g/m2 以下、特に20〜7
0g/m2 が好ましい。
【0076】また、ポリビニルベンジルエーテル化合物
とガラスクロスとの配合比は、重量比で、ポリビニルベ
ンジルエーテル化合物/ガラスクロスが4/1〜1/1
であることが好ましい。このような配合比とすることに
よって本発明の効果が向上する。これに対し、この比が
小さくなって、エポキシ樹脂量が少なくなると銅箔との
密着力が低下し、基板の平滑性に問題が生じる。逆にこ
の比が大きくなって、エポキシ樹脂量が多くなると使用
できるガラスクロスの選択が困難となり、薄肉での強度
の確保が困難となる。
【0077】使用する金属箔としては、金、銀、銅、ア
ルミニウムなど導電率の良好な金属のなかから好適なも
のを用いればよい。これらのなかでも特に銅が好まし
い。
【0078】金属箔を作製する方法としては、電解、圧
延法等種々の公知の方法を用いることができるが、箔ピ
ール強度をとりたい場合には電解箔を、高周波特性を重
視したい場合には、表面凹凸による表皮効果の影響の少
ない圧延箔を使用するとよい。
【0079】金属箔の厚みとしては、8〜70μm が好
ましく、特に12〜35μm が好ましい。
【0080】本発明において、電子部品の基礎となるプ
リプレグを得るには、所定の配合比としたセラミック粉
末、磁性粉、必要により難燃剤とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物とを含み、溶剤に混練してスラリー化した
ペーストを塗布して、乾燥(Bステージ化)する工程に
従う。この場合に用いられる溶剤は揮発性溶剤が好まし
く、上記極性中性溶媒が特に好ましく、ペーストの粘度
を調整し塗工しやすくする目的で用いられる。混練はボ
ールミル、撹拌等により公知の方法によって行えばよ
い。ペーストを金属箔上に塗工、またはガラスクロス上
に含浸することにより、形成することができる。
【0081】プリプレグの乾燥(Bステージ化)は、含
有するセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤の含
有量などにより適宜調整すればよいが、通常、100〜
120℃、0.5〜3時間とすればよい。乾燥、Bステ
ージ化した後の厚みは50〜300μm 程度が好まし
く、その用途や要求される特性(パターン幅および精
度、直流抵抗)等により最適な膜厚に調整すればよい。
【0082】プリプレグは、図72または図73に示す
ような方法により製造することができる。この場合、図
72の方法は比較的量産に適しており、図73の方法
は、膜厚制御を行い易く、特性の調整が比較的容易に行
えるという特徴を有している。図72において、(a)
に示すように、ロール状に巻回されたガラスクロス10
1aは、このロール101aから繰り出され、ガイドロ
ーラ111を介して塗工槽110に搬送される。この塗
工槽110には、溶剤中に分散されているセラミック粉
末、磁性粉、必要により難燃剤とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物がスラリー状調整されており、この塗工槽
110をガラスクロスが通過すると、上記スラリー中に
浸漬され、ガラスクロスに塗工されるとともに、その中
のすきまが埋められることになる。
【0083】塗工槽110を通過したガラスクロスは、
ガイドローラー112a,112bを介して乾燥炉12
0に導入される。乾燥炉に導入された樹脂含浸ガラスク
ロスは、所定の温度と時間乾燥され、Bステージ化され
るとともに、ガイドローラー121により方向転換して
巻取ローラ130に巻回される。
【0084】そして、所定の大きさに切断されると、
(b)に示すように、ガラスクロス101の両面にセラ
ミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤を含有した樹脂
が配置されたプリプレグが得られる。
【0085】さらに、(c)に示すように、得られたプ
リプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔103を配置
し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すよう
な両面金属箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は10
0〜200℃の温度、9.8×105〜7.84×106
Pa(10〜80kgf/cm2)の圧力とすればよく、このよ
うな条件下で0.5〜20時間程度成形することが好ま
しい。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことが
できる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配
置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0086】次に、図73の製造方法について説明す
る。図73において、(a)に示すように、セラミック
粉末、磁性粉、必要により難燃剤とポリビニルベンジル
エーテル化合物を溶剤中に分散したスラリー102aを
ドクターブレード150等によってクリアランスを一定
に保ちながら銅箔などの金属箔上に塗工する。
【0087】そして、所定の大きさに切断されると、
(b)に示すように、金属箔103の上面にセラミック
粉末、磁性粉、必要により難燃剤を含有した樹脂が配置
されたプリプレグが得られる。
【0088】さらに、(c)に示すように、ガラスクロ
ス101の上下両面に得られたプリプレグ102,10
3をそれぞれ樹脂102側を内面にして配置し、これを
加熱・加圧プレスすると、(d)に示すような両面金属
箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は上記と同様でよ
い。
【0089】電子部品を構成する基板、およびプリプレ
グは、上記塗工法以外に材料を混練し、固体状とした混
練物を成型することによっても得ることができる。この
場合、原料が固体状であるため、厚みをとりやすく、比
較的厚みのある基板、プリプレグを形成する方法として
適している。
【0090】混練は、少なくともポリビニルベンジルエ
ーテル化合物の融点以上である必要がある。ポリビニル
ベンジルエーテル化合物の融点は、通常、50〜150
℃程度である。混練は、ボールミル、撹拌、混練機など
の公知の方法で行えばよい。その際、必要により溶媒を
用いてもよい。また、必要に応じてペレット化、粉末化
してもよい。
【0091】得られた、ペレット化、粉末化等された混
練物を金型を用いて加熱・加圧成型する。成型条件とし
ては、100〜200℃、0.5〜3時間、4.9×1
5〜7.84×106Pa(5〜80kgf/cm2)圧力とす
ればよい。
【0092】この場合に得られるプリプレグの厚みとし
ては、0.05〜5mm程度である。プリプレグの厚み
は、所望する板厚、誘電体粉や磁性粉の含有率に応じて
適宜調整すればよい。
【0093】さらに、上記同様に得られたプリプレグの
上下両面上に銅箔などの金属箔を配置し、これを加熱・
加圧プレスすると両面金属箔付き基板が得られる。加熱
加圧条件は100〜200℃の温度、9.8×105
7.84×106Pa(10〜80kgf/cm2)の圧力とすれ
ばよく、このような条件下で0.5〜20時間程度成形
することが好ましい。成形は条件をかえて複数段階に分
けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合に
は、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすれば
よい。
【0094】このようにして得られる成形材料としての
基板(有機複合材料)は、透磁率および誘電率の高周波
数特性に優れる。また絶縁材として耐えうる絶縁特性に
優れる。さらには、後述のように銅箔付基板とした場
合、銅箔との接着強度が大きい。また半田耐熱性等の耐
熱性に優れる。
【0095】本発明のプリプレグは銅箔と重ねて加熱加
圧して成形することにより銅箔付基板を形成することが
できる。この場合の銅箔の厚さは12〜35μm 程度で
ある。
【0096】このような銅箔付基板には、両面パターン
ニング基板や多層基板などがある。
【0097】図74、図75には両面パターンニング基
板形成例の工程図を示す。図74、図75に示されるよ
うに、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)
箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程A)。次に
スルーホールをドリリングにより形成する(工程B)。
形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッ
キ膜4を形成する(工程C)。さらに両面の銅箔2にパ
ターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程
D)。その後、図74に示されるように、外部端子等の
接続のためのメッキを施す(工程E)。この場合のメッ
キはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Ni
メッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解
または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法によ
り行われる。
【0098】図76、図77には多層基板形成例の工程
図であり、4層積層する例が示されている。図76、図
77に示されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定
厚さの銅(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する
(工程a)。次に両面の銅箔2にパターニングを施し、
導体パターン21を形成する(工程b)。このようにし
て得られた両面パターンニング基板の両面に、さらに所
定厚さのプリプレグ1と銅箔2とを重ねて、同時に加圧
加熱して成形する(工程c)。次にスルーホールをドリ
リングにより形成する(工程d)。形成したスルーホー
ルに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する
(工程e)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施
し、導体パターン21を形成する(工程f)。その後図
76に示されるように、外部端子との接続のためのメッ
キを施す(工程g)。この場合のメッキはNiメッキ後
にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらに
Auメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッ
キ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0099】上記の加熱加圧の成形条件は、100〜2
00℃の温度、9.8×105〜7.84×106Pa(1
0〜80kgf/cm2)の圧力で、0.5〜20時間とする
ことが好ましい。
【0100】本発明では、前記例に限らず、種々の基板
を形成することができる。例えば、成形材料としての基
板や、銅箔付基板とプリプレグとを用い、プリプレグを
接着層として多層化することも可能である。
【0101】また、プリプレグや成形材料としての基板
と銅箔とを接着する態様において、前述のセラミック粉
末、磁性粉、必要により難燃剤とポリビニルベンジルエ
ーテル化合物とブチルカルビトールアセテート等の高沸
点溶剤とを混練して得られた複合誘電体材料や複合磁性
材料ペーストをパターニングした基板の上にスクリーン
印刷等にて形成してもよく、これにより特性の向上を図
ることができる。。
【0102】このようなプリプレグ、銅箔付き基板、積
層基板等と素子構成パターン、構成材料を組み合わせる
ことにより、電子部品を得ることができる。
【0103】本発明の電子部品は、上記のようなコンデ
ンサ(キャパシタ)、コイル(インダクタ)、フィルタ
ー等の他、これらと、あるいはそれ以外に配線パター
ン、増幅素子、機能素子を組み合わせ、アンテナや、R
Fモジュール(RF増幅段)、VCO(電圧制御発振回
路)、パワーアンプ(電力増幅段)等の高周波電子回
路、光ピックアップなどに用いられる重畳モジュール等
の高周波用電子部品を得ることができる。
【0104】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1>図1、図2は、本発明の第1の実施態様で
あるインダクタを示した図であり、図1は透視斜視図、
図2は断面図を表している。
【0105】図において、インダクタ10は本発明の樹
脂を有する構成層(プリプレグないし基板)10a〜1
0eと、この構成層10b〜10e上に形成されている
内部導体(コイルパターン)13と、この内部導体13
を電気的に接続するためのビアホール14とを有する。
このビアホール14はドリル、レーザー加工、エッチン
グ等により形成することができる。また、形成されたコ
イルの終端部は、それぞれインダクタ10の端面に形成
された貫通ビア12とそれから僅かに上下面方向に形成
されたランドパターン11と接続されている。貫通ビア
12は、ダイシング、Vカット等により、半分に切断さ
れた構造となっている。これは、集合基板で複数の素子
を形成し、最終的に個片に切断する際に貫通ビア12の
中心から切断するためである。
【0106】このインダクタ10の構成層10a〜10
eには、高周波用のチップインダクタとしての用途を考
えたとき、分布容量をできるだけ減らす必要があること
から比誘電率を2.6〜3.5とすることが好ましく、
上記の有機誘電体層を用いることが好ましい。また、共
振回路を構成するインダクタにおいては、積極的に分布
容量を用いる場合があり、このような用途では比誘電率
を5〜40とすることが好ましく、上記の第1、第2の
複合誘電体層を用いることが好ましい。このようにする
ことで、素子の小型化、容量素子の省略を図ることがで
きる。また、これらのインダクタにおいては、材料の損
失をできるだけ抑える必要がある。このため、誘電正接
( tanδ)を0.0025〜0.0075とすることに
より、材料損失の極めて少ない、Qの高いインダクタを
得ることができる。さらに、ノイズ除去のための用途を
考えた場合、除去したいノイズの周波数でインピーダン
スをできるだけ大きくする必要がある。このような場合
には透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合
磁性体層を用いることが好ましい。これにより、高周波
ノイズの除去効果を飛躍的に向上させることができる。
また、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な
組み合わせを選択すればよい。
【0107】なお、その等価回路を図10(a)に示
す。図10(a)に示されるように、等価回路ではコイ
ル31を有する電子部品(インダクタ)となっている。
【0108】<実施例2>図3、図4は、本発明の第2
の実施態様であるインダクタを示した図であり、図3は
透視斜視図、図4は断面図を表している。
【0109】この例では、実施例1において上下方向に
巻回されていたコイルパターンを、横方向に巻回したヘ
リカル巻とした構成態様を表している。その他の構成要
素は実施例1と同様であり、同一構成要素には同一符号
を付して説明を省略する。
【0110】<実施例3>図5、図6は、本発明の第3
の実施態様であるインダクタを示した図であり、図5は
透視斜視図、図6は断面図を表している。
【0111】この例では、実施例1において上下方向に
巻回されていたコイルパターンを、上下面でのスパイラ
ルを連結した構成態様としたものを表している。その他
の構成要素は実施例1と同様であり、同一構成要素には
同一符号を付して説明を省略する。
【0112】<実施例4>図7、図8は、本発明の第4
の実施態様であるインダクタを示した図であり、図7は
透視斜視図、図8は断面図を表している。
【0113】この例では、実施例1において上下方向に
巻回されていたコイルパターンを、内部に形成されたミ
アンダー状のパターンとして構成したものを表してい
る。その他の構成要素は実施例1と同様であり、同一構
成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0114】<実施例5>図9は本発明の第5の実施態
様であるインダクタを示した透視斜視図である。
【0115】この例では、実施例1において単独で構成
されていたコイルを、4連とした態様を表している。こ
のような構成とすることにより、省スペース化を図るこ
とができる。その他の構成要素は実施例1と同様であ
り、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略す
る。なお、その等価回路を図10(b)に示す。図10
(b)に示されるように、等価回路ではコイル31a〜
31dが4連装された電子部品(インダクタ)となって
いる。
【0116】<実施例6>図11、図12は、本発明の
第6の実施態様であるキャパシタ(コンデンサ)を示し
た図であり、図11は透視斜視図、図12は断面図を表
している。
【0117】図において、キャパシタ20は本発明の樹
脂を有する構成層(プリプレグないし基板)20a〜2
0gと、この構成層20b〜20g上に形成されている
内部導体(内部電極パターン)23と、この内部導体2
3とそれぞれ交互に接続されるキャパシタの端面に形成
された貫通ビア22とそれから僅かに上下面方向に形成
されたランドパターン21ととから構成されている。
【0118】このキャパシタ20の構成層20a〜20
gには、得られる容量の多様性や精度の点を考慮すると
比誘電率2.6〜40、誘電正接0.0025〜0.0
075であることが好ましく、上記の有機誘電体層ない
し第1または第2の複合誘電体層のなかから好適なもの
を用いることが好ましい。これにより、得られる容量の
範囲が広がり、低い容量値でも高精度に形成できる。ま
た、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。このた
め、誘電正接( tanδ)を0.0075〜0.025と
することにより、材料損失の極めて少ないキャパシタと
することができる。また、各構成層は同一でも異なって
いてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0119】なお、その等価回路を図14(a)に示
す。図14(a)に示されるように、等価回路ではキャ
パシタ32を有する電子部品(コンデンサ)となってい
る。
【0120】<実施例7>図13は本発明の第7の実施
態様であるキャパシタを示した透視斜視図である。
【0121】この例では、実施例6において単独で構成
されていたキャパシタを、複数アレイ状に並べて4連と
した態様を表している。また、キャパシタをアレイ状に
形成する場合、様々な容量を精度よく形成する場合があ
る。このため、上記誘電率、誘電正接の範囲が好ましい
といえる。その他の構成要素は実施例6と同様であり、
同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。な
お、その等価回路を図14(b)に示す。図14(b)
に示されるように、等価回路ではキャパシタ32a〜3
2dが4連装された電子部品(コンデンサ)となってい
る。
【0122】<実施例8>図15〜図18は、本発明の
第8の実施態様を示したバルントランスを示している。
ここで図15は透過斜視図、図16は断面図、図17は
各構成層の分解平面図、図18は等価回路図である。
【0123】図15〜17において、バルントランス4
0は、構成層40a〜40oが積層された積層体の上下
および中間に配置された内部GND導体45と、この内
部GND導体45間に形成されている内部導体43を有
する。この内部導体43は、λg /4長のスパイラル状
導体43を、図17の等価回路に示される結合ライン5
3a〜53dを構成するようにビアホール44等で連結
している。
【0124】このバルントランス40の構成層40a〜
40oは、比誘電率を2.6〜40とし、誘電正接( t
anδ)を0.0075〜0.025とすることが好まし
く、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合
誘電体層を用いることが好ましい。また、用途によって
は透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁
性体層を用いることが好ましい。なお、各構成層は同一
でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すれ
ばよい。
【0125】<実施例9>図19〜図22は、本発明の
第9の実施態様を示した積層フィルターを示している。
ここで図19は斜視図、図20は分解斜視図、図21は
等価回路図、図22は伝達特性図である。なお、この積
層フィルターは2ポールとして構成されている。
【0126】図19〜21において、積層フィルター6
0は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ
中央に一対のストリップ線路68と、一対のコンデンサ
導体67とを有する。コンデンサ導体67は下部構成層
群60d上に形成され、ストリップ線路68はその上の
構成層60c上に形成されている。構成層60a〜60
eの上下端部にはGND導体65が形成されていて、前
記ストリップ線路68とコンデンサ導体67とを挟み込
むようになっている。ストリップ線路68と、コンデン
サ導体67と、GND導体65とはそれぞれ端面に形成
された端部電極(外部端子)12とそれから僅かに上下
面方向に形成されたランドパターン11と接続されてい
る。また、その両側面およびそこから僅かに上下面方向
に形成されたGNDパターン66はGND導体65と接
続されている。
【0127】ストリップ線路68は、図21の等価回路
図に示されるλg /4長またはそれ以下の長さを有する
ストリップ線路74a、74bであり、コンデンサ導体
67は入出力結合容量Ciを構成する。また、それぞれ
のストリップ線路74a、74b間は、結合容量Cmお
よび結合係数Mにより結合されている。このような等価
回路により、図22に示すような2ポール型の伝達特性
を有する積層フィルタを得ることができる。
【0128】この積層フィルタ60の構成層60a〜6
0eは、比誘電率を2.6〜40とすることにより、数
100MHzから数GHzの帯域において、所望の伝達特性
が得られるようになる。また、ストリップライン共振器
の材料損失はできるだけ抑えることが望ましく、誘電正
接( tanδ)を0.0025〜0.0075とすること
が好ましい。従って、上記の有機誘電体層、または第1
または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。な
お、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組
み合わせを選択すればよい。
【0129】<実施例10>図23〜図26は、本発明
の第10の実施態様を示した積層フィルターを示してい
る。ここで図23は斜視図、図24は分解斜視図、図2
5は等価回路図、図26は伝達特性図である。なお、こ
の積層フィルターは4ポールとして構成されている。
【0130】図23〜26において、積層フィルター6
0は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ
中央に4つのストリップ線路68と、一対のコンデンサ
導体67とを有する。その他の構成要素は実施例9と同
様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省
略する。
【0131】<実施例11>図27〜図32は、本発明
の第11の実施態様を示したブロックフィルターを示し
ている。ここで図27は透過斜視図、図28は正面図、
図29は側面断面図、図30は平面断面図、図31は等
価回路図、図32は金型の構造を示した透過側面図であ
る。なお、このブロックフィルターは2ポールとして構
成されている。
【0132】図27〜図32において、ブロックフィル
ター80は、構成ブロック80aに形成された一対の同
軸導体81とコンデンサ同軸導体82とを有する。この
同軸導体81とコンデンサ同軸導体82とは、構成ブロ
ック80aをくりぬくように中空状に形成された導電体
で構成されている。また、構成ブロック80aの周囲に
は、これを覆うように表面GND導体87が形成されて
いる。そしてコンデンサ同軸導体82に対応する部分に
コンデンサ導体83が形成されている。また、コンデン
サ導体83と表面GND導体87は、入出力端子、およ
び部品固着用端子としても使用される。なお、同軸導体
81とコンデンサ同軸導体82とは、構成ブロック80
aをくりぬくように形成された中空状の孔の内部に、導
電材料を無電解メッキ、蒸着などで付着させ伝送路を形
成する。
【0133】同軸導体81は、図31の等価回路図に示
されるλg /4長またはそれ以下の長さを有する同軸線
路94a、94bであり、それらを囲むようにGND導
体87が形成されている。また、コンデンサ同軸導体8
2とコンデンサ導体83は入出力結合容量Ciを構成す
る。また、それぞれの同軸導体81間は、結合容量Cm
および結合係数Mにより結合されている。このような構
成により、図31に示すような等価回路となり、2ポー
ル型の伝達特性を有するブロックフィルターを得ること
ができる。
【0134】図32はブロックフィルター80の構成ブ
ロック80aを形成するための金型の一例を示した概略
断面図である。図において、金型は鉄などの金属ベース
103に、樹脂注入口104および注入孔106が形成
され、これと連結して部品形成部105a,105bが
形成されている。構成ブロック80aを形成するための
複合樹脂材料は、液体の状態で樹脂注入口104から注
入され、注入孔106を通って部品形成部105a,1
05bに達する。そして、この金型の内部に複合樹脂が
満たされた状態で、冷却または加熱処理を行い複合樹脂
を固化して金型から取り出し、注入口などで硬化した不
要な部分を切断する。こうして、図27〜図30に示さ
れる構成ブロック80aが形成される。
【0135】このようにして形成された構成ブロック8
0aに、メッキ、エッチング、印刷、スパッタ、蒸着等
の処理を行い、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウ
ム等により形成された表面GND導体87、同軸導体8
1とコンデンサ同軸導体82等を形成する。
【0136】このブロックフィルタ80の構成ブロック
80aは、比誘電率を2.6〜40とすることにより、
数100MHzから数GHzの帯域において、所望の伝達特
性が得られるようになる。また、同軸共振器の材料損失
はできるだけ抑えることが望ましく、誘電正接( tan
δ)を0.0025〜0.0075とすることが好まし
い。従って、上記の有機誘電体層、または第1または第
2の複合誘電体層を用いることが好ましい。
【0137】<実施例12>図33〜図37は、本発明
の第12の実施態様を示したカプラを示している。ここ
で図33は透過斜視図、図34は断面図、図35は各構
成層の分解平面図、図36は内部結線図、図37は等価
回路図である。
【0138】図33〜37において、カプラ110は、
構成層110a〜110cが積層された積層体の上下に
形成、配置された内部GND導体115と、この内部G
ND導体115間に形成されている内部導体113を有
する。この内部導体113は、2つのコイルによりトラ
ンスが構成されるようにスパイラル状にビアホール11
4等で連結している。また。形成されたコイルの終端
と、内部GND導体115とは、図36に示すように、
それぞれ端面に形成された貫通ビア112とそれから僅
かに上下面方向に形成されたランドパターン111と接
続されている。このように構成することにより、図37
の等価回路図で示すように、2つのコイル125a,1
25bが結合したカプラ110が得られる。
【0139】このカプラ110の構成層110a〜11
0cは、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電率は
できるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考える
と比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用途
や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電率
の材料を用いればよい。通常、比誘電率を2.6〜40
とすることにより、数100MHzから数GHzの帯域にお
いて、所望の伝達特性が得られるようになる。また、内
部インダクタのQ値を上げるために、誘電正接(tan
δ)を0.0025〜0.0075とすることが好まし
い。これにより、材料損失が極めて少なく、Q値の高い
インダクタを形成でき、高性能のカプラーを得ることが
できる。従って、上記の有機誘電体層、または第1また
は第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。なお、
各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合
わせを選択すればよい。
【0140】<実施例13>図38〜図40は、本発明
の第13の実施態様であるアンテナを示した図であり、
図38は透視斜視図、図39(a)は平面図、(b)は
側面断面図、(c)は正面断面図、図40は各構成層の
分解斜視図を表している。
【0141】図において、アンテナ130は本発明の樹
脂を有する構成層(プリプレグないし基板)130a〜
130cと、この構成層130bと130c上にそれぞ
れ形成されている内部導体(アンテナパターン)133
を有する。また、この内部導体133の終端部は、アン
テナの端面に形成された貫通ビア132およびそれから
僅かに上下面方向に形成されたランドパターン131と
接続されている。この例では内部導体133は、使用周
波数に対し、約λg /4長となるようなリアクタンス素
子として構成され、ミアンダ状に形成されている。
【0142】このアンテナ130の構成層130a〜1
30cには、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電
率はできるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考
えると比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用
途や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電
率の材料を用いればよい。通常、比誘電率2.6〜4
0、誘電正接0.0075〜0.025であることが好
ましく、上記の有機誘電体層ないし第1または第2の複
合誘電体層のなかから好適なものを用いることが好まし
い。これにより、周波数の範囲が広がり、高精度に形成
できる。また、材料の損失をできるだけ抑える必要があ
る。このため、誘電正接( tanδ)を0.0025〜
0.0075とすることにより、材料損失の極めて少な
いアンテナとすることができる。また、用途によっては
透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁性
体層を用いることが好ましい。また、各構成層は同一で
も異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すれば
よい。
【0143】<実施例14>図41、図42は、本発明
の第14の実施態様を示したアンテナを示している。こ
こで図41は透過斜視図、図42は分解斜視図である。
なお、この例のアンテナはヘリカル状の内部電極を有す
るアンテナとして構成されている。
【0144】図41、42において、アンテナ140
は、本発明の樹脂を有する構成層(プリプレグないし基
板)140a〜140cと、この構成層140bと14
0c上にそれぞれ形成されている内部導体(アンテナパ
ターン)143aを有する。そして、上下の内部導体1
43aはビアホール144にて接続され、ヘリカル状の
インダクタンス素子を形成するようになっている。その
他の構成要素は実施例13と同様であり、同一構成要素
には同一符号を付して説明を省略する。
【0145】<実施例15>図43、図44は、本発明
の第15の実施態様であるパッチアンテナを示した図で
あり、図43は透視斜視図、図44は断面図を表してい
る。
【0146】図において、パッチアンテナ150は本発
明の複合樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)
150aと、この構成層150a上に形成されているパ
ッチ導体159(アンテナパターン)と、このパッチ導
体159に対向するように構成層150aの底面に形成
されたGND導体155とを有する。また、パッチ導体
159には給電用のスルー導体154が給電部153で
接続され、このスルー導体154はGND導体155と
は接続されないようにGND導体155との間にギャッ
プ156が設けられている。このため、GND導体15
5の下部からスルー導体154を通って給電が行われる
ようになっている。
【0147】このパッチアンテナ150の構成層150
aには、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電率は
できるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考える
と比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用途
や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電率
の材料を用いればよい。通常、比誘電率2.6〜40、
誘電正接0.0075〜0.025であることが好まし
く、上記の有機誘電体層ないし第1または第2の複合誘
電体層のなかから好適なものを用いることが好ましい。
これにより、周波数の範囲が広がり、高精度に形成でき
る。また、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。
このため、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.0
075とすることにより、材料損失の極めて少ない放射
効率の高いアンテナとすることができる。
【0148】また、数100MHz以下の周波数帯域にお
いては、磁性体も誘電体と同様の波長短縮効果が得ら
れ、さらに、放射素子のインダクタンス値を上げること
ができる。また、Qの周波数ピークを合わせることによ
り、比較的低い周波数においても高いQが得られる。こ
のため、用途によっては透磁率を3〜20とすることが
好ましく、上記複合磁性体層を用いることが好ましい。
これにより、数100MHz以下の周波数帯域において高
特性化、小型化を実現できる。また、各構成層は同一で
も異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すれば
よい。
【0149】<実施例16>図45、図46は、本発明
の第16の実施態様であるパッチアンテナを示した図で
あり、図45は透視斜視図、図46は断面図を表してい
る。
【0150】図において、パッチアンテナ160は本発
明の複合樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)
160aと、この構成層160a上に形成されているパ
ッチ導体169(アンテナパターン)と、このパッチ導
体169に対向するように構成層160aの底面に形成
されたGND導体165とを有する。また、パッチ導体
169の近傍にこれと接触しないように給電用の給電導
体161が配置され、給電端子162を介してこれから
給電が行われるようになっている。給電端子162は、
メッキ、ターミネート、印刷、スパッタ、蒸着等の処理
を行い、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウム等に
より形成することができる。その他の構成要素は実施例
15と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して
説明を省略する。
【0151】<実施例17>図47、図48は、本発明
の第17の実施態様である多層型のパッチアンテナを示
した図であり、図47は透視斜視図、図48は断面図を
表している。
【0152】図において、パッチアンテナ170は本発
明の複合樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)
150a、150bと、この構成層150a、150b
上に形成されているパッチ導体159a,159eと、
このパッチ導体159a,159eに対向するように構
成層150bの底面に形成されたGND導体155とを
有する。また、パッチ導体159aには給電用のスルー
導体154が給電部153aで接続され、このスルー導
体154はGND導体155およびパッチ導体159e
とは接続されないようにGND導体155およびパッチ
導体159eとの間にギャップ156が設けられてい
る。このため、GND導体155の下部からスルー導体
154を通ってパッチ導体159aに給電が行われるよ
うになっている。このときパッチ導体159eにはパッ
チ導体159aとの容量結合およびスルー導体154と
のギャップによって形成される容量により給電される。
その他の構成要素は実施例15と同様であり、同一構成
要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0153】<実施例18>図49、図50は本発明の
第18の実施態様である多連型のパッチアンテナを示し
たであり、図49は透視斜視図、図50は断面図を表し
ている。
【0154】この例では、実施例17において単独で構
成されていたパッチアンテナを、複数アレイ状に並べて
4連とした態様を表している。図において、本発明の複
合樹脂を有する構成層150a、150bと、この構成
層150a上に形成されているパッチ導体159a、1
59b、159c、159dと、構成層150b上に形
成されているパッチ導体159e、159f、159
g、159hと、このパッチ導体159a,159eに
対向するように構成層150bの底面に形成されたGN
D導体155とを有する。その他の構成要素は実施例1
8と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説
明を省略する。
【0155】このようにアレイ状に形成することによ
り、セットの小型化と部品点数の削減が可能となる。
【0156】<実施例19>図51〜図53は、本発明
の第19の実施態様を示したVCO(電圧制御発振器)
を示している。ここで図51は透過斜視図、図52は断
面図、図53は等価回路図である。
【0157】図51〜53において、VCOは、構成層
210a〜210gが積層された積層体の上に形成、配
置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等
の電子部品261と、この構成層210a〜210g中
およびその上下面に形成されている導体パターン26
2,263,264を有する。このVCOは図53に示
すような等価回路により構成されているため、ストリッ
プライン263、コンデンサ、信号線、半導体、電源ラ
インなどを有する。このため、それぞれの機能に適した
材料で構成層を形成するのが効果的である。
【0158】この例では、共振器を構成する構成層21
0f,210gには誘電正接が0.0025〜0.00
75の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電
体層を用いることが好ましい。コンデンサ構成層210
c〜210eには、誘電正接が0.0075〜0.02
5、比誘電率が5〜40となるような第1または第2の
複合誘電体層を用いることが好ましい。配線、およびイ
ンダクタ構成層210a,210bには、誘電正接が
0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜3.
5の有機誘電体層を用いることが好ましい。
【0159】そして、上記構成層210a〜210gの
表面には、内部導体であるストリップライン263、G
ND導体262、コンデンサ導体264,配線インダク
タ導体265、および端子導体266を構成する。ま
た、それぞれの内部導体はビアホール214により上下
に接続され、表面にはマウントされた電子部品261が
搭載されて図53の等価回路に示すようなVCOが形成
される。
【0160】このように構成することにより、それぞれ
の機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることがで
き、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0161】<実施例20>図54〜図56は、本発明
の第20の実施態様を示したパワーアンプ(電力増幅
部)を示している。ここで図54は各構成層の分解平面
図、図55は断面図、図56は等価回路図である。
【0162】図54〜56において、パワーアンプは、
構成層300a〜300eが積層された積層体の上に形
成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジ
スタ等の電子部品361と、この構成層300a〜30
0e中およびその上下面に形成されている導体パターン
313,315を有する。このパワーアンプは図56に
示すような等価回路により構成されているため、ストリ
ップラインL11〜L17、コンデンサC11〜C2
0、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。この
ため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成する
のが効果的である。
【0163】この例では、ストリップラインを構成する
構成層300d,300eには誘電正接が0.0075
〜0.025、比誘電率が2.6〜40の有機誘電体
層、または第1または第2の複合誘電体層を用いること
が好ましい。コンデンサ構成層300a〜300cに
は、誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が
5〜40となるような第1または第2の複合誘電体層を
用いることが好ましい。
【0164】そして、これらの構成層300a〜300
eの表面には、内部導体313、GND導体315等が
形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホー
ル314により上下に接続され、表面にはマウントされ
た電子部品361が搭載されて図56の等価回路に示す
ようなパワーアンプが形成される。
【0165】このように構成することにより、それぞれ
の機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることがで
き、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0166】<実施例21>図57〜図59は、本発明
の第21の実施態様を示した光ピックアップなどに使用
される重畳モジュールを示している。ここで図57は各
構成層の分解平面図、図58は断面図、図59は等価回
路図である。
【0167】図57〜59において、重畳モジュール
は、構成層400a〜400kが積層された積層体の上
に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、
レジスタ等の電子部品461と、この構成層400a〜
400k中およびその上下面に形成されている導体パタ
ーン413,415を有する。この重畳モジュールは図
59に示すような等価回路により構成されているため、
インダクタL211、L23、コンデンサC21〜C2
7、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。この
ため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成する
のが効果的である。
【0168】この例では、コンデンサ構成層400d〜
400hには、誘電正接が0.0075〜0.025、
比誘電率が10〜40となるような第2の複合誘電体層
を用いることが好ましい。インダクタを構成する構成層
400a〜400c,400j〜400kには誘電正接
が0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜
3.5の有機誘電体層を用いることが好ましい。
【0169】そして、これらの構成層400a〜400
kの表面には、内部導体413、GND導体415等が
形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホー
ル414により上下に接続され、表面にはマウントされ
た電子部品461が搭載されて図59の等価回路に示す
ような重畳モジュールが形成される。
【0170】このように構成することにより、それぞれ
の機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることがで
き、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0171】<実施例22>図60〜図63は、本発明
の第22の実施態様を示したRFモジュールを示してい
る。ここで図60は斜視図、図61は外装部材を外した
状態での斜視図、図62は各構成層の分解斜視図、図6
3は断面図である。
【0172】図60〜63において、RFモジュール
は、構成層500a〜500iが積層された積層体の上
に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、
レジスタ等の電子部品561と、この構成層500a〜
500i中およびその上下面に形成されている導体パタ
ーン513,515、572と、アンテナパターン57
3を有する。このRFモジュールは、上記のようにイン
ダクタ、コンデンサ、信号線、半導体への電源ラインな
どを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で
構成層を形成するのが効果的である。
【0173】この例では、アンテナ構成、ストリップラ
イン構成および配線層500a〜500d、500gに
は、0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜
3.5の有機誘電体層を用いることが好ましい。コンデ
ンサ構成層500e〜500fには、誘電正接が0.0
075〜0.025、比誘電率が10〜40となるよう
な第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。電源ラ
イン層500h〜500iには、透磁率が3〜20の上
記複合磁性体層を用いることが好ましい。
【0174】そして、これらの構成層500a〜500
iの表面には、内部導体513、GND導体515、ア
ンテナ導体573等が形成されている。また、それぞれ
の内部導体はビアホール514により上下に接続され、
表面にはマウントされた電子部品561が搭載されてR
Fモジュールが形成される。
【0175】このように構成することにより、それぞれ
の機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることがで
き、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0176】<実施例23>図64、図65は、本発明
の第23の実施態様を示した共振器を示している。ここ
で図64は透過斜視図、図65は断面図である。
【0177】図64、65において、共振器は、ベース
材610に貫通孔状の同軸型導電体641が形成されて
いる。その形成方法は、実施例11のブロックフィルタ
と同様である。すなわち、金型成形されたベース材61
0に、メッキ、エッチング、印刷、スパッタ、蒸着等の
処理を行い、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウム
等により形成された表面GND導体647、およびこの
表面GND導体647と端部電極682で接続された同
軸導体641と、同軸導体641と接続されている共振
器用HOT端子681等を形成する。そして、同軸導体
641は、ある特性インピーダンスを有する同軸型線路
であり、これらを囲むように表面GND導体647が形
成されている。
【0178】この共振器のベース材610は、比誘電率
を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数
GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるように
なる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑えること
が望ましく、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.
0075とすることが好ましい。従って、上記の有機誘
電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いる
ことが好ましい。
【0179】<実施例24>図66、図67は、本発明
の第24の実施態様を示したストリップ共振器を示して
いる。ここで図66は透過斜視図、図67は断面図であ
る。
【0180】図66、67において、ストリップ共振器
は、長方形のストリップ導体784と、これを構成層7
10を介して上下面より挟み込むようにして配置された
矩形状のGND導体783とを有する。また、ストリッ
プ導体784両端には共振器用共振器用HOT端子78
1、およびGND端子782が形成され接続されてい
る。その他の形成方法は、実施例1のインダクタと同様
である。
【0181】この共振器の構成層710の材料は、比誘
電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzか
ら数GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるよ
うになる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑える
ことが望ましく、誘電正接(tanδ)を0.0025〜
0.0075とすることが好ましい。従って、上記の有
機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用
いることが好ましい。
【0182】<実施例25>図68は、本発明の第25
の実施態様を示した共振器を示す透過斜視図である。
【0183】図68において、共振器は実施例23同様
に、ベース材810に2つの貫通孔状の同軸型導電体8
41,842が形成されている。そして、表面GND導
体847、およびこの表面GND導体847と端部電極
882で接続された同軸導体842と、同軸導体842
と接続用電極885を介して接続されている同軸導体8
41と、この同軸導体841と接続されている共振器用
HOT端子881等を形成する。そして、同軸導体84
1、842は、ある特性インピーダンスを有する同軸型
線路であり、これらを囲むように表面GND導体847
が形成されている。
【0184】この共振器のベース材810は、比誘電率
を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数
GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるように
なる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑えること
が望ましく、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.
0075とすることが好ましい。従って、上記の有機誘
電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いる
ことが好ましい。
【0185】<実施例26>図69は、本発明の第26
の実施態様を示したストリップ共振器を示す透過斜視図
である。
【0186】図69において、ストリップ共振器は実施
例24と同様に、コ字状のストリップ導体884と、こ
れを構成層810を介して上下面より挟み込むようにし
て配置された矩形状のGND導体883とを有する。ま
た、ストリップ導体884の両端には共振器用共振器用
HOT端子881、およびGND端子882が形成され
接続されている。その他の形成方法は、実施例1のイン
ダクタと同様である。
【0187】この共振器の構成層810の材料は、比誘
電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzか
ら数GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるよ
うになる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑える
ことが望ましく、誘電正接(tanδ)を0.0025〜
0.0075とすることが好ましい。従って、上記の有
機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用
いることが好ましい。
【0188】図70は、上記実施例23〜26の共振器
の等価回路図を示している。図において、共振器用HO
T端子981は同軸路、またはストリップラインから構
成される共振器984,941の一端に接続され、その
他端にはGND端子982が接続されている。
【0189】<実施例27>図71は、本発明の第27
の実施態様である携帯端末機器の高周波部を示したブロ
ック構成図である。
【0190】図において、ベースバンドユニット101
0から送出された送信信号は、ミキサー1001により
混成回路1021からのRF信号と混合される。この混
成回路1021には電圧制御発信回路(VCO)102
0が接続されていて、フェーズロックループ回路101
9と共にシンセサイザー回路を構成し、所定の周波数の
RF信号が供給されるようになっている。
【0191】ミキサー1001によりRF変調が行われ
た送信信号は、バンドパスフィルタ(BPF)1002
を経て、パワーアンプ1003により増幅される。この
パワーアンプ1003の出力の一部は、カップラー10
04から取り出され、減衰器1005で所定のレベルに
調整された後、再びパワーアンプ1003に入力され、
パワーアンプの利得が一定になるように調整される。カ
ップラー1004から送出された送信信号は、逆流防止
用のアイソレータ1006、ローパスフィルタ1007
を経てデュプレクサ1008に入力され、これと接続さ
れているアンテナ1009から送信される。
【0192】アンテナ1009に入力された受信信号
は、デュプレクサ1008からアンプ1011に入力さ
れ、所定のレベルに増幅される。アンプ1011から出
力された受信信号は、バンドパスフィルタ1012を経
てミキサー1013に入力される。このミキサー101
3には、前記混成回路1021からのRF信号が入力さ
れ、RF信号成分が除去され、復調される。ミキサー1
013から出力された受信信号は、SAWフィルタ10
14を経てアンプ1015で増幅された後、ミキサー1
016に入力される。ミキサー1016には局部発信回
路1018から所定の周波数の局部発信信号が入力さ
れ、前記受信信号は所望の周波数に変換され、アンプ1
017で所定のレベルに増幅された後、ベースバンドユ
ニットへ送出される。
【0193】本発明では、上記アンテナ1009,デュ
プレクサ1008,ローパスフィルタ1007を含むア
ンテナフロントエンドモジュール1200や、アイソレ
ータ1006、カップラー1004,減衰器1005,
パワーアンプ1003を含むアイソレータパワーアンプ
モジュール1100等を上記と同様の手法によりハイブ
リッドモジュールとして構成することができる。また、
これら以外の構成要素を含むものをRFユニットとして
構成できることは既に実施例22で示した通りであり、
BPF、VCO等も実施例9〜12および19に示した
手法に倣って構成することができる。
【0194】本発明は、上記に例示した電子部品以外
に、上記同様の手法で、コイルコア、トロイダルコア、
円盤コンデンサ、貫通コンデンサ、クランプフィルタ、
コモンモードフィルタ、EMCフィルタ、電源用フィル
タ、パルストランス、偏向コイル、チョークコイル、D
C−DCコンバータ、ディレイライン、電波吸収シー
ト、薄型電波吸収体、電磁シールド、ダイプレクサ、デ
ュプレクサ、アンテナスイッチモジュール、アンテナフ
ロントエンドモジュール、アイソレータ・パワーアンプ
モジュール、PLLモジュール、フロントエンドモジュ
ール、チューナーユニット、方向性結合器、ダブルバラ
ンスドミキサー(DBM)、電力合成器、電力分配器、
トナーセンサ、電流センサ、アクチュエータ、サウンダ
(圧電型音声発生器)、マイク、レシーバ、ブザー、P
TCサーミスタ、温度ヒューズ、フェライト磁石等に応
用することができる。
【0195】以上の各実施例において、必要によりハロ
ゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等のハロ
ゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機化合
物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の無機
材料等の難燃剤を各構成層中に添加してもよい。
【0196】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、少なくと
も高周波特性に優れた樹脂基板と、高周波特性に優れた
磁性基板と、高周波特性に優れた誘電体基板とのいずれ
かを用いることで、高周波特性に優れ、ひいては総合的
な電気特性に優れた高周波用電子部品を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図2】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図3】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図4】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図5】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図6】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図7】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図8】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図9】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを
示す図である。
【図10】本発明の電子部品の構成例であるインダクタ
を示す等価回路図である。
【図11】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタ
を示す図である。
【図12】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタ
を示す図である。
【図13】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタ
を示す図である。
【図14】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタ
を示す等価回路図である。
【図15】本発明の電子部品の構成例であるバルントラ
ンスを示す図である。
【図16】本発明の電子部品の構成例であるバルントラ
ンスを示す図である。
【図17】本発明の電子部品の構成例であるバルントラ
ンスを示す図である。
【図18】本発明の電子部品の構成例であるバルントラ
ンスを示す等価回路図である。
【図19】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す図である。
【図20】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す図である。
【図21】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す等価回路図である。
【図22】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タの伝達特性を示す図である。
【図23】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す図である。
【図24】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す図である。
【図25】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タを示す等価回路図である。
【図26】本発明の電子部品の構成例である積層フィル
タの伝達特性を示す図である。
【図27】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタを示す図である。
【図28】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタを示す図である。
【図29】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタを示す図である。
【図30】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタを示す図である。
【図31】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタの等価回路を示す図である。
【図32】本発明の電子部品の構成例であるブロックフ
ィルタの金型を示す図である。
【図33】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示
す図である。
【図34】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示
す図である。
【図35】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示
す図である。
【図36】本発明の電子部品の構成例であるカプラの内
部結線を示す図である。
【図37】本発明の電子部品の構成例であるカプラの等
価回路を示す図である。
【図38】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを
示す図である。
【図39】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを
示す図である。
【図40】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを
示す図である。
【図41】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを
示す図である。
【図42】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを
示す図である。
【図43】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図44】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図45】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図46】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図47】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図48】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図49】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図50】本発明の電子部品の構成例であるパッチアン
テナを示す図である。
【図51】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示
す図である。
【図52】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示
す図である。
【図53】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示
す等価回路図である。
【図54】本発明の電子部品の構成例であるパワーアン
プを示す図である。
【図55】本発明の電子部品の構成例であるパワーアン
プを示す図である。
【図56】本発明の電子部品の構成例であるパワーアン
プを示す等価回路図である。
【図57】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュ
ールを示す図である。
【図58】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュ
ールを示す図である。
【図59】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュ
ールを示す等価回路図である。
【図60】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュ
ールを示す図である。
【図61】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュ
ールを示す図である。
【図62】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュ
ールを示す図である。
【図63】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュ
ールを示す図である。
【図64】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図65】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図66】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図67】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図68】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図69】本発明の電子部品の構成例である共振器を示
す図である。
【図70】本発明の電子部品の構成例である共振器の等
価回路を示す図である。
【図71】本発明の電子部品の構成例である携帯機器の
高周波部を示すブロック図である。
【図72】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す工
程図である。
【図73】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す他
の工程図である。
【図74】銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図75】銅箔付基板の形成例を示す他の工程図であ
る。
【図76】多層基板の形成例を示す工程図である。
【図77】多層基板の形成例を示す工程図である。
【符号の説明】
10 インダクタ 10a〜10e 構成層 11 ランドパターン 12 貫通ビア 13 内部導体(コイルパターン) 14 ビアホール 20 キャパシタ 20a〜20g 構成層 21 ランドパターン 22 貫通ビア 23 内部導体(内部電極パターン) 40 バルントランス40 40a〜40o構成層 45 GND導体 43 内部導体43 60 積層フィルター 80 ブロックフィルター 110 カプラ 130、140 アンテナ 150、160、170 パッチアンテナ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01P 5/10 H01P 5/10 C 7/04 7/04 7/08 7/08 H01Q 1/38 H01Q 1/38 13/08 13/08 (72)発明者 阿部 敏之 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 小更 恒 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 高原 誠志 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5E070 AA01 AB07 BA01 CB13 5E082 AB03 BC14 FF14 FG26 FG34 FG37 5J006 HA04 HA15 HA18 HA19 HA26 HB05 HB13 JA01 NA04 NC03 5J045 DA10 EA07 JA02 5J046 AA04 AB13 PA01 PA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともポリビニルベンジルエーテル
    化合物に誘電体粉末が分散されている複合誘電体層を有
    し、 100MHz以上の周波数で使用される電子部品。
  2. 【請求項2】 前記ポリビニルベンジルエーテル化合物
    は、下記一般式(1)で示されるものである電子部品。 【化1】 (式中、R1 はメチル基またはエチル基を示し、R2
    水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R
    3 は水素原子またはビニルベンジル基を示し(但し、水
    素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜
    0:100である)、nは2〜4の数を示す)
  3. 【請求項3】 インダクタである請求項1の電子部品。
  4. 【請求項4】 キャパシタである請求項1の電子部品。
  5. 【請求項5】 アンテナである請求項1の電子部品。
  6. 【請求項6】 パワーアンプである請求項1の電子部
    品。
  7. 【請求項7】 RFモジュールである請求項1の電子部
    品。
  8. 【請求項8】 フィルタである請求項1の電子部品。
  9. 【請求項9】 VCO(電圧制御発振器)である請求項
    1の電子部品。
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