JP2004006897A - 積層電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂中に磁性粉が分散されたハイブリッド材により形成されている少なくとも2種以上の構成層と、前記ハイブリッド材の少なくとも1層に形成されている導電体層とを有し、前記導電体層により所定の電気回路が構成されている積層電子部品とした。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグおよび基板を用いた電子部品や積層回路に関し、特に高周波数領域(100MHz以上)での使用に好適であり、磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とする使用に適したプリプレグおよび基板を用いた電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化・高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性、成形性が要求されつつある。
【0003】
高周波用電子部品もしくは高周波用多層基板としては、焼結フェライトや焼結セラミックを基板状に多層化、成形したものが一般に知られている。これらの材料を多層基板にすることは、小型化が図れるというメリットがあることから従来より用いられてきた。
【0004】
しかしながら、これら焼結フェライトや焼結セラミックを用いた場合、焼成工程や厚膜印刷工程数が多く、また、焼成時のクラックや反り等、焼結材料特有の問題が多いことと、プリント基板との熱膨張係数の違い等によるクラックの発生等といった問題が多いことから、樹脂系材料への要求が年々高まっている。
【0005】
しかしながら、樹脂系の材料ではそれ自体で十分な誘電率を得ることが極めて困難であり、透磁率の向上を図ることも困難である。このため、単に樹脂材料を利用した電子部品では、十分な特性を得ることができず、形状的にも大きなものとなり、小型、薄型化を図ることが困難である。
【0006】
また、樹脂材料にセラミック粉末をコンポジットする手法も、例えば特開平8−69712号公報、同11−192620号公報に開示されているが、いずれも十分な高周波特性や磁気特性を得られてはいない。
【0007】
また、特公平6−14600号公報には、シート法による複数材料を多層化する例が示されているが、工程数が多いなどの問題を有し、しかも個々で検討されている周波数は高々数MHz程度であり、100MHz以上の高周波領域における性能については何ら検討されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、少なくとも誘電率が十分に高いか、十分に低いハイブリッド樹脂基板と、透磁率が十分に高いハイブリッド樹脂基板と、Qの十分に高いハイブリッド樹脂基板層を複数層用いることで、小型で高性能の、ひいては総合的な電気的特性に優れた積層電子部品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成される。
(1)樹脂中に磁性粉が分散されたハイブリッド材により形成されている少なくとも2種以上の構成層を有する積層電子部品からなり、
前記ハイブリッド材の少なくとも1層には導電体層が形成され、
この導電体層により所定の電気回路が構成されている積層電子部品。
(2)100MHz以上の周波数帯域で使用される上記(1)の積層電子部品。(3)前記構成層のうち少なくとも強化繊維を包含する層を1層有する上記(1)または(2)の積層電子部品。
(4)前記ハイブリッド材の磁性粉の含有量が10〜65体積%であり、
全体の透磁率が3〜20である複合磁性体層を少なくとも1層有する上記(1)〜(3)のいずれかの積層電子部品。
(5)少なくともいずれかの層に1種または2種以上の難燃剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかの積層電子部品。
【0010】
【作用】
本発明は少なくとも樹脂と磁性粉との複合材料を用いて多層基板を構成することにより、比誘電率が小さく、高周波特性に優れた磁性基板を可能としている。このことが、結果として総合的に高周波特性に優れた積層電子部品を可能としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の積層電子部品は、樹脂中に磁性粉が分散されたハイブリッド材により形成されている少なくとも2種以上の構成層と、前記ハイブリッド材の少なくとも1層に形成されている導電体層とを有し、前記導電体層により所定の電気回路が構成されているものである。
【0013】
このような構成とすることによって、誘電率の調整が容易となり、低誘電率化も可能で、高周波数領域(100MHz以上、特に100MHz以上10GHz以下の領域)での使用に好適である。また、複合磁性体層は優れた磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とした使用に適している。一方、複合誘電体層は高周波数帯域で、比較的高いQやεを得ることも可能であり、こうした特性が要求される用途(例えばストリップラインや、インピーダンスの整合回路、遅延回路、アンテナ等の電子部品)に適した複合誘電体基板となり、しかも高強度である。
【0014】
また、このような複合磁性体層、あるいは複合誘電体層を用いて基板、積層型電子部品を形成する場合、接着剤等を用いることなく、銅箔との接着やパターニングが実現でき、かつ多層化を実現することができる。こうしたパターニングや多層化処理は、通常の基板製造工程と同じ工程でできるので、コストダウンおよび作業性の改善を図ることができる。また、このようにして得られる基板による電子部品は、高強度で、高周波特性の向上したものである。
【0015】
さらに、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の積層電子部品に用いられる樹脂は特に限定されるものではなく、成形性、加工性、積層時の接着性、電気的特性に優れた樹脂材料の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が好ましい。
【0017】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル(オキサイド)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂、フマレート樹脂、ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、グラフト樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、特にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、低誘電率エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、BTレジン等が、ベースレジンとして好ましい。
【0018】
これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合の混合比は任意である。
【0019】
本発明の積層電子部品は、上記樹脂から形成され、比誘電率が2.4〜4.5、誘電正接が0.002〜0.03である有機誘電体層を少なくとも1層有することが好ましい。このような、有機誘電体層は、分布容量を少なくすることができるため、特にコイル等のインダクタ素子の形成に適している。
【0020】
本発明の積層電子部品は、上記樹脂中に誘電体粉末が分散されていて、前記誘電体粉末の比誘電率が5〜10000、誘電正接が0.01〜0.00002であり、含有量が10〜65体積%であり、全体の比誘電率が5〜20、誘電正接が0.0025〜0.0075である第1の複合誘電体層を少なくとも1層有することが好ましい。このような構成とすることにより、適度な誘電率と、高いQとを得ることができ、伝達ロスが少なくなり、特にバルントランス、アンテナ、パワーアンプ等の電子回路の形成に適している。
【0021】
本発明の積層電子部品は、上記樹脂中に誘電体粉末が分散されていて、前記誘電体粉末の比誘電率が20〜20000、誘電正接が0.05〜0.0001、含有量が10〜65体積%であり、全体の比誘電率が10〜40、誘電正接が0.0075〜0.025である第2の複合誘電体層を少なくとも1層有することが好ましい。このような構成とすることにより、適度なQ値と高い誘電率を得ることができ、特にコンデンサやパッチアンテナ、あるいはVCO(電圧制御発振器)、パワーアンプ等の電子回路の形成に適している。
【0022】
本発明の積層電子部品は、上記樹脂中に磁性粉が分散されていて、この磁性粉の含有量が10〜65体積%であり、全体の透磁率が3〜20である複合磁性体層を少なくとも1層有することが好ましい。このような構成とすることにより、適度な透磁率を確保しつつ低誘電率となり、高周波数領域(100MHz以上、特に100MHz以上10GHz以下の領域)での使用が可能となり、磁性粉の含有量を大きくできることから磁気特性を利用した電子部品や電子部品の磁気シールドに適したものとなる。
【0023】
これらの構成層は、少なくとも誘電率、Q、透磁率のいずれかが異なる、特に上記いずれかの層が2種以上含まれていればよく、目的とする電子部品の構成、機能等により適宜組み合わせて用いればよい。
【0024】
本発明に用いるセラミクス粉末は、高周波数帯域において、分散媒となる樹脂よりも大きい比誘電率とQを持つセラミクス粉末であればよく、2種類以上用いてもよい。
【0025】
特に本発明に用いるセラミクス粉末は、比誘電率が10〜20000、誘電正接が0.05以下のものを使用することが好ましい。
【0026】
比較的高い誘電率を得るためには、特に以下の材料を用いることが好ましい。チタン−バリウム−ネオジウム系セラミックス、チタン−バリウム−スズ系セラミックス、鉛−カルシウム系セラミックス、二酸化チタン系セラミックス、チタン酸バリウム系セラミックス、チタン酸鉛系セラミックス、チタン酸ストロンチウム系セラミックス、チタン酸カルシウム系セラミックス、チタン酸ビスマス系セラミックス、チタン酸マグネシウム系セラミックス、CaWO4系セラミックス、Ba(Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Mg,Ta)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Nb)O3系セラミックス、Ba(Co,Mg,Ta)O3系セラミックス。なお、二酸化チタン系セラミックスとは、二酸化チタンのみを含有するもののほか、他の少量の添加物を含有するものも含み、二酸化チタンの結晶構造が保持されているものをいう。また、他のセラミックスも同様である。特に、二酸化チタン系セラミックスは、ルチル構造を有するものが好ましい。
【0027】
誘電率をあまり高くせずに、高いQを得るためには以下の材料を用いることが好ましい。
【0028】
シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸カルシウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラスチョップ、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)。
【0029】
これらは単独で用いてもよいし2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、その混合比は任意である。
【0030】
セラミクス粉末の粒径は、樹脂との混練性等を考えると、平均粒径0.1〜100μm、特に0.2〜100μm程度が好ましい。粒径が小さくなると、粉末の表面積が増大し、分散、混合時の粘度、チクソ性が上昇し、高充填率化が困難となり、樹脂との混練がし難くなる。また、粒径が大きくなると、均一な分散・混合を行うことが困難となり、沈降が激しくなって不均一となり、粉末の含有量が多い組成の成形の際に、緻密な成型体を得られない。
【0031】
一般に、上記セラミックの含有量は、樹脂とセラミクス粉末との合計量を100体積%としたとき、セラミクス粉末10体積%以上65体積%未満であり、好ましくは20体積%以上60体積%以下の範囲である。
【0032】
上記第1の複合誘電体層に含有されるセラミック粉末は高いQとある程度の比誘電率を持つことを必要とする。特に2GHzでの比誘電率が5〜10000、誘電正接が0.01〜0.00002であることが好ましく、さらにQが250〜50000であることが好ましい。このような構成により高いQと比誘電率の複合誘電体を得ることが可能である。
【0033】
第1の複合誘電体層に用いるセラミック粉末は、第1の複合誘電体層全体の比誘電率が5〜20、誘電正接が0.0025〜0.0075となるように含有されていればよい。
【0034】
セラミクス粉末はサファイヤなどの単結晶粉末や多結晶のアルミナ粉末でもよく、これらも含めて、セラミクス粉末の種類は例えば以下の組成を主成分とする誘電体の粉末であることが好ましい。併せて2GHzにおける比誘電率εおよびQ値を示す。
【0035】
Mg2SiO4[ε=7、Q=20000]、Al2O3[ε=9.8、Q=40000]、MgTiO3[ε=17、Q=22000]、ZnTiO3[ε=26、Q=800]、Zn2TiO4[ε=15、Q=700]、TiO2[ε=104、Q=15000]、CaTiO3[ε=170、Q=1800]、SrTiO3[ε=255、Q=700]、SrZrO3[ε=30、Q=1200]、BaTi2O5[ε=42、Q=5700]、BaTi4O9[ε=38、Q=9000]、Ba2Ti9O20[ε=39、Q=9000]、Ba2(Ti,Sn)9O20[ε=37、Q=5000]、ZrTiO4[ε=39、Q=7000]、(Zr,Sn)TiO4[ε=38、Q=7000]、BaNd2Ti5O14[ε=83、Q=2100]、BaSm2TiO14[ε=74、Q=2400]、Bi2O3−BaO−Nd2O3−TiO2系[ε=88、Q=2000]、PbO−BaO−Nd2O3−TiO2系[ε=90、Q=5200]、(Bi2O3、PbO)−BaO−Nd2O3−TiO2系[ε=105、Q=2500]、La2Ti2O7[ε=44、Q=4000]、Nd2Ti2O7[ε=37、Q=1100]、(Li,Sm)TiO3[ε=81、Q=2050]、Ba(Mg1/3Ta2/3)O3[ε=25、Q=35000]、Ba(Zn1/3Ta2/3)O3[ε=30、Q=14000]、Ba(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=41、Q=9200]、Sr(Zn1/3Nb2/3)O3[ε=40、Q=4000]等。
【0036】
より好ましくは、以下の組成を主成分とするものである。
TiO2、CaTiO3、SrTiO3、BaO−Nd2O3−TiO2系、Bi2O3−BaO−Nd2O3−TiO2系、BaTi4O9、Ba2Ti9O20、Ba2(Ti,Sn)9O20系、MgO−TiO2系、ZnO−TiO2系、MgO−SiO2系、Al2O3等。
【0037】
本発明の第1の複合誘電体層は、上記樹脂と上記セラミクスとを主成分とするものであるが、樹脂とセラミクス粉末との合計量を100体積%としたとき、セラミクス粉末の含有量は10体積%以上65体積%未満であり、好ましくは20体積%以上60体積%以下の範囲である。
【0038】
セラミクス粉末が65体積%以上であると緻密な組成物が得られなくなる。また、セラミクス粉末を添加しない場合に比べて、Qが大きく低下することもある。一方、セラミクス粉末が10体積%未満であると、セラミクス粉末を含有する効果があまりみられない。
【0039】
本発明の第1の複合誘電体層は、各成分を上記の範囲内で適宜設定することにより、樹脂単体から得られる誘電率よりも大きくすることができ、必要に応じた比誘電率と高いQを得ることが可能となる。
【0040】
第2の複合誘電体層に含有されるセラミック粉末は特に高い比誘電率を持つことを必要とする。
【0041】
好ましくは比誘電率が20〜20000、誘電正接が0.05〜0.0001であることが好ましい。このようなセラミクス粉末を樹脂中に分散させることで、より高い比誘電率の複合誘電体を得ることが可能である。
【0042】
第2の複合誘電体層に用いられるセラミクス粉末は、高周波数帯域、特に2GHzにおいて、第2の複合誘電体層全体の比誘電率が10〜40、誘電正接が0.0075〜0.025とできる粉末であればよく、2種類以上用いてもよいが、以下の組成を主成分とする誘電体の粉末から選択されるものが好ましい。併せて2GHzにおける比誘電率εを示す。
【0043】
BaTiO3[ε=1500]、(Ba,Pb)TiO3系[ε=6000]、Ba(Ti,Zr)O3系[ε=9000](Ba,Sr)TiO3系[ε=7000]。
【0044】
より好ましくは、以下の組成を主成分とする誘電体の粉末から選択される。
BaTiO3、Ba(Ti,Zr)O3系。
【0045】
セラミクス粉末は単結晶や多結晶の粉末でもよい。
【0046】
セラミクス粉末の粒径は、樹脂との混練性等を考えると、平均粒径0.2〜100μm程度が好ましく、粒径が小さくなると、樹脂との混練がしにくくなる。また、粒径が大きくなると、不均一となり、均一な分散を行うことができず、粉末の含有量が多い組成の成形の際に、緻密な成形体を得られない。
【0047】
本発明の第2の複合誘電体層は、上記樹脂と上記のセラミクスとを主成分とするものであるが、樹脂とセラミクス粉末との合計量を100体積%としたとき、セラミクス粉末の含有量は10体積%以上65体積%未満であり、好ましくは20体積%以上60体積%以下の範囲である。
【0048】
フェライトとしては、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系などであり、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系などが好ましい。
【0049】
強磁性金属としては、カーボニル鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−アルミ−珪素系合金(商標名:センダスト)、鉄−ニッケル系合金(商標名:パーマロイ)、アモルファス系(鉄系、コバルト系)などが好ましい。
【0050】
これらを粉末にするための手段は、粉砕、造粒など公知の方法に従えばよい。
【0051】
磁性粉の粒径は0.01〜100μm、特に0.01〜50μmであることが好ましく、平均粒径は1〜50μmであることが好ましい。このような粒径とすることによって、磁性粉の分散性が良好となり、本発明の効果が向上する。これに対し、磁性粉の粒径がこれより小さいと、比表面積が大きくなり、高充填率化が困難になってくる。一方、これより大きくなるとペースト化した際に沈降し易くなり、均一に分散しにくくなってくる。また、肉薄の基板、プリプレグを形成しようとした場合に、表面の平滑性を得ることが困難になってくる。粒径をあまり小さくすることは実際上困難であり、0.01μm程度が限度である。
【0052】
磁性粉の粒度は均一であることが好ましく、必要に応じ、ふるい分けなどにより粒度をそろえてもよい。磁性粉の形状は、球形、扁平、楕円形のいずれのものでも良く、その用途により使い分ければよい。また、必要に応じて表面に酸化、カップリング、有機絶縁材のコーティングなどの処理を施してもよい。
【0053】
さらに、種類、粒度分布の異なる磁性粉を2種以上用いてもよい。その際の混合比は任意であり、用途により用いる材料、粒度分布、混合比を調整すればよい。
【0054】
磁性粉の透磁率μは10〜1000000であることが好ましい。また、バルクの絶縁性は高い方が基板化した際の絶縁性が向上して好ましい。
【0055】
本発明の樹脂と磁性粉との混合比としては、形成される複合磁性体層全体の透磁率が3〜20となるように添加されていればよい。特にガラスクロスなどに塗布するペースト段階で、樹脂と磁性粉との比率で示した場合、磁性粉の含有量は10〜65体積%、特に20〜60体積%であることが好ましい。このような磁性粉の含有量とすることで、複合磁性体層全体の透磁率が3〜20となり、本発明の効果が向上する。これに対し、磁性粉の含有量が多くなるとスラリー化して塗工することが困難になり、基板、プリプレグの作製が困難になる。一方、磁性粉の含有量が少なくなると透磁率を確保できなくなる場合があり、磁気特性が低下してしまう。
【0056】
本発明に用いられる難燃剤としては、通常基板の難燃化のために用いられている種々の難燃剤を用いることができる。具体的には、ハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等のハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の無機材料を用いることができる。
【0057】
本発明に用いられるガラスクロス等の強化繊維は、目的・用途に応じて種々のものであってよく、市販品をそのまま用いることができる。このときの強化繊維は、電気的な特性に応じてEガラスクロス(ε=7、tanδ=0.003、 1GHz)、Dガラスクロス(ε=4、tanδ=0.0013、 1GHz)、Hガラスクロス(ε=11、tanδ=0.003、 1GHz)等を使い分けてもよい。また、層間密着力向上のため、カップリング処理などを行ってもよい。その厚さは100μm以下、特に20〜60μmであることが好ましい。布重量としては、120g/m2以下、特に20〜70g/m2が好ましい。
【0058】
また、樹脂とガラスクロスとの配合比は、重量比で、樹脂/ガラスクロスが4/1〜1/1であることが好ましい。このような配合比とすることによって本発明の効果が向上する。これに対し、この比が小さくなって、エポキシ樹脂量が少なくなると銅箔との密着力が低下し、基板の平滑性に問題が生じる。逆にこの比が大きくなって、エポキシ樹脂量が多くなると使用できるガラスクロスの選択が困難となり、薄肉での強度の確保が困難となる。
【0059】
使用する金属箔としては、金、銀、銅、アルミニウムなど導電率の良好な金属のなかから好適なものを用いればよい。これらのなかでも特に銅が好ましい。
【0060】
金属箔を作製する方法としては、電解、圧延法等種々の公知の方法を用いることができるが、箔ピール強度をとりたい場合には電解箔を、高周波特性を重視したい場合には、表面凹凸による表皮効果の影響の少ない圧延箔を使用するとよい。
【0061】
金属箔の厚みとしては、8〜70μmが好ましく、特に12〜35μmが好ましい。
【0062】
本発明において、電子部品の基礎となるプリプレグを得るには、所定の配合比としたセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤と樹脂とを含み、溶剤に混練してスラリー化したペーストを塗布して、乾燥(Bステージ化)する工程に従う。この場合に用いられる溶剤は揮発性溶剤が好ましく、上記極性中性溶媒が特に好ましく、ペーストの粘度を調整し塗工しやすくする目的で用いられる。混練はボールミル、撹拌等により公知の方法によって行えばよい。ペーストを金属箔上に塗工、またはガラスクロス上に含浸することにより、形成することができる。
【0063】
プリプレグの乾燥(Bステージ化)は、含有するセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤の含有量などにより適宜調整すればよい。乾燥、Bステージ化した後の厚みは50〜300μm程度が好ましく、その用途や要求される特性(パターン幅および精度、直流抵抗)等により最適な膜厚に調整すればよい。
【0064】
プリプレグは、図63または図64に示すような方法により製造することができる。この場合、図63の方法は比較的量産に適しており、図64の方法は、膜厚制御を行い易く、特性の調整が比較的容易に行えるという特徴を有している。図63において、(a)に示すように、ロール状に巻回されたガラスクロス101aは、このロール101aから繰り出され、ガイドローラ111を介して塗工槽110に搬送される。この塗工槽110には、溶剤中に分散されているセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤と樹脂がスラリー状調整されており、この塗工槽110をガラスクロスが通過すると、上記スラリー中に浸漬され、ガラスクロスに塗工されるとともに、その中のすきまが埋められることになる。
【0065】
塗工槽110を通過したガラスクロスは、ガイドローラー112a,112bを介して乾燥炉120に導入される。乾燥炉に導入された樹脂含浸ガラスクロスは、所定の温度と時間乾燥され、Bステージ化されるとともに、ガイドローラー121により方向転換して巻取ローラ130に巻回される。
【0066】
そして、所定の大きさに切断されると、(b)に示すように、ガラスクロス101の両面にセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤を含有した樹脂が配置されたプリプレグが得られる。
【0067】
さらに、(c)に示すように、得られたプリプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔103を配置し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すような両面金属箔付き基板が得られる。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0068】
次に、図64の製造方法について説明する。図64において、(a)に示すように、セラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤と樹脂を溶剤中に分散したスラリー102aをドクターブレード150等によってクリアランスを一定に保ちながら銅箔などの金属箔上に塗工する。
【0069】
そして、所定の大きさに切断されると、(b)に示すように、金属箔103の上面にセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤を含有した樹脂が配置されたプリプレグが得られる。
【0070】
さらに、(c)に示すように、ガラスクロス101の上下両面に得られたプリプレグ102,103をそれぞれ樹脂102側を内面にして配置し、これを加熱・加圧プレスすると、(d)に示すような両面金属箔付き基板が得られる。加熱加圧条件は上記と同様でよい。
【0071】
電子部品を構成する基板、およびプリプレグは、上記塗工法以外に材料を混練し、固体状とした混練物を成型することによっても得ることができる。この場合、原料が固体状であるため、厚みをとりやすく、比較的厚みのある基板、プリプレグを形成する方法として適している。
【0072】
混練は、ボールミル、撹拌、混練機などの公知の方法で行えばよい。その際、必要により溶媒を用いてもよい。また、必要に応じてペレット化、粉末化してもよい。
【0073】
この場合に得られるプリプレグの厚みとしては、0.05〜5mm程度である。プリプレグの厚みは、所望する板厚、誘電体粉や磁性粉の含有率に応じて適宜調整すればよい。
【0074】
さらに、上記同様に得られたプリプレグの上下両面上に銅箔などの金属箔を配置し、これを加熱・加圧プレスすると両面金属箔付き基板が得られる。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことができる。なお、金属箔を設けない場合には、金属箔を配置することなく加熱・加圧プレスすればよい。
【0075】
このようにして得られる成形材料としての基板(有機複合材料)は、透磁率および誘電率の高周波数特性に優れる。また絶縁材として耐えうる絶縁特性に優れる。さらには、後述のように銅箔付基板とした場合、銅箔との接着強度が大きい。また半田耐熱性等の耐熱性に優れる。
【0076】
本発明のプリプレグは銅箔と重ねて加熱加圧して成形することにより銅箔付基板を形成することができる。この場合の銅箔の厚さは12〜35μm程度である。
【0077】
このような銅箔付基板には、両面パターンニング基板や多層基板などがある。
【0078】
図65、図66には両面パターンニング基板形成例の工程図を示す。図65、図66に示されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程A)。次にスルーホールをドリリングにより形成する(工程B)。形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する(工程C)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程D)。その後、図65に示されるように、外部端子等の接続のためのメッキを施す(工程E)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0079】
図67、図68には多層基板形成例の工程図であり、4層積層する例が示されている。図67、図68に示されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程a)。次に両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程b)。このようにして得られた両面パターンニング基板の両面に、さらに所定厚さのプリプレグ1と銅箔2とを重ねて、同時に加圧加熱して成形する(工程c)。次にスルーホールをドリリングにより形成する(工程d)。形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する(工程e)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程f)。その後図67に示されるように、外部端子との接続のためのメッキを施す(工程g)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0080】
本発明では、前記例に限らず、種々の基板を形成することができる。例えば、成形材料としての基板や、銅箔付基板とプリプレグとを用い、プリプレグを接着層として多層化することも可能である。
【0081】
また、プリプレグや成形材料としての基板と銅箔とを接着する態様において、前述のセラミック粉末、磁性粉、必要により難燃剤と樹脂とブチルカルビトールアセテート等の高沸点溶剤とを混練して得られた複合誘電体材料や複合磁性材料ペーストをパターニングした基板の上にスクリーン印刷等にて形成してもよく、これにより特性の向上を図ることができる。
【0082】
このようなプリプレグ、銅箔付き基板、積層基板等と素子構成パターン、構成材料を組み合わせることにより、電子部品を得ることができる。
【0083】
本発明の電子部品は、上記のようなコンデンサ(キャパシタ)、コイル(インダクタ)、フィルター等の他、これらと、あるいはそれ以外に配線パターン、増幅素子、機能素子を組み合わせ、アンテナや、RFモジュール(RF増幅段)、VCO(電圧制御発振回路)、パワーアンプ(電力増幅段)等の高周波電子回路、光ピックアップなどに用いられる重畳モジュール等の高周波用電子部品を得ることができる。
【0084】
【実施例】
以下、本発明の具体的実験例、実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0085】
<実験例1>
表1に示す樹脂を用意し、これに表1に示すセラミック粉を所定の割合で混合して得られたハイブリッド材の誘電率ε、Qをそれぞれ測定した。また、原材料として用いた誘電粉と樹脂の誘電率ε、Qも測定した。結果を表1に示す。また、このときのプレス条件を表2に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【表2】
【0088】
表1から明らかなように、用いる樹脂と、これに含有される誘電粉の種類、含有量により、誘電率、Qを所定の値に調整できることがわかる。
【0089】
<実験例2>
表3に示す樹脂を用意し、これに表3に示す磁性粉を所定の割合で混合して得られたハイブリッド材の誘電率ε、透磁率をそれぞれ測定した。また、原材料として用いた誘電粉と樹脂の誘電率ε、透磁率も測定した。結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
表3から明らかなように、用いる樹脂と、これに含有される磁性粉の種類、含有量により、誘電率、透磁率を所定の値に調整できることがわかる。
【0092】
<実施例1>
図1、図2は、本発明の第1の実施態様であるインダクタを示した図であり、図1は透視斜視図、図2は断面図を表している。
【0093】
図において、インダクタ10は本発明のハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)10a〜10eと、この構成層10b〜10e上に形成されている内部導体(コイルパターン)13と、この内部導体13を電気的に接続するためのビアホール14とを有する。このビアホール14はドリル、レーザー加工、エッチング等により形成することができる。また、形成されたコイルの終端部は、それぞれインダクタ10の端面に形成された貫通ビア12とそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン11と接続されている。貫通ビア12は、ダイシング、Vカット等により、半分に切断された構造となっている。これは、集合基板で複数の素子を形成し、最終的に個片に切断する際に貫通ビア12の中心から切断するためである。
【0094】
このインダクタ10の構成層10a〜10eには、高周波用のチップインダクタとしての用途を考えたとき、分布容量をできるだけ減らす必要があることから比誘電率を2.6〜3.5とすることが好ましく、上記の有機誘電体層を用いることが好ましい。また、共振回路を構成するインダクタにおいては、積極的に分布容量を用いる場合があり、このような用途では比誘電率を5〜40とすることが好ましく、上記の第1、第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。このようにすることで、素子の小型化、容量素子の省略を図ることができる。また、これらのインダクタにおいては、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。このため、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.0075とすることにより、材料損失の極めて少ない、Qの高いインダクタを得ることができる。さらに、ノイズ除去のための用途を考えた場合、除去したいノイズの周波数でインピーダンスをできるだけ大きくする必要がある。このような場合には透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁性体層を用いることが好ましい。これにより、高周波ノイズの除去効果を飛躍的に向上させることができる。また、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0095】
なお、その等価回路を図10(a)に示す。図10(a)に示されるように、等価回路ではコイル31を有する電子部品(インダクタ)となっている。
【0096】
<実施例2>
図3、図4は、本発明の第2の実施態様であるインダクタを示した図であり、図3は透視斜視図、図4は断面図を表している。
【0097】
この例では、実施例1において上下方向に巻回されていたコイルパターンを、横方向に巻回したヘリカル巻とした構成態様を表している。その他の構成要素は実施例1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
<実施例3>
図5、図6は、本発明の第3の実施態様であるインダクタを示した図であり、図5は透視斜視図、図6は断面図を表している。
【0099】
この例では、実施例1において上下方向に巻回されていたコイルパターンを、上下面でのスパイラルを連結した構成態様としたものを表している。その他の構成要素は実施例1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
<実施例4>
図7、図8は、本発明の第4の実施態様であるインダクタを示した図であり、図7は透視斜視図、図8は断面図を表している。
【0101】
この例では、実施例1において上下方向に巻回されていたコイルパターンを、内部に形成されたミアンダー状のパターンとして構成したものを表している。その他の構成要素は実施例1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
<実施例5>
図9は本発明の第5の実施態様であるインダクタを示した透視斜視図である。
【0103】
この例では、実施例1において単独で構成されていたコイルを、4連とした態様を表している。このような構成とすることにより、省スペース化を図ることができる。その他の構成要素は実施例1と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。なお、その等価回路を図10(b)に示す。図10(b)に示されるように、等価回路ではコイル31a〜31dが4連装された電子部品(インダクタアレイ)となっている。
【0104】
<実施例6>
図11、図12は、本発明の第6の実施態様であるキャパシタ(コンデンサ)を示した図であり、図11は透視斜視図、図12は断面図を表している。
【0105】
図において、キャパシタ20は本発明のハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)20a〜20gと、この構成層20b〜20g上に形成されている内部導体(内部電極パターン)23と、この内部導体23とそれぞれ交互に接続されるキャパシタの端面に形成された貫通ビア22とそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン21ととから構成されている。
【0106】
このキャパシタ20の構成層20a〜20gには、得られる容量の多様性や精度の点を考慮すると比誘電率2.6〜40、誘電正接0.0025〜0.0075であることが好ましく、上記の有機誘電体層ないし第1または第2の複合誘電体層のなかから好適なものを用いることが好ましい。これにより、得られる容量の範囲が広がり、低い容量値でも高精度に形成できる。また、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。このため、誘電正接( tanδ)を0.0075〜0.025とすることにより、材料損失の極めて少ないキャパシタとすることができる。また、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0107】
なお、その等価回路を図14(a)に示す。図14(a)に示されるように、等価回路ではキャパシタ32を有する電子部品(コンデンサ)となっている。
【0108】
<実施例7>
図13は本発明の第7の実施態様であるキャパシタを示した透視斜視図である。
【0109】
この例では、実施例6において単独で構成されていたキャパシタを、複数アレイ状に並べて4連とした態様を表している。また、キャパシタをアレイ状に形成する場合、様々な容量を精度よく形成する場合がある。このため、上記誘電率、誘電正接の範囲が好ましいといえる。その他の構成要素は実施例6と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。なお、その等価回路を図14(b)に示す。図14(b)に示されるように、等価回路ではキャパシタ32a〜32dが4連装された電子部品(コンデンサアレイ)となっている。
【0110】
<実施例8>
図15〜図18は、本発明の第8の実施態様を示したバルントランスを示している。ここで図15は透過斜視図、図16は断面図、図17は各構成層の分解平面図、図18は等価回路図である。
【0111】
図15〜17において、バルントランス40は、ハイブリッド樹脂を有する構成層40a〜40oが積層された積層体の上下および中間に配置された内部GND導体45と、この内部GND導体45間に形成されている内部導体43を有する。この内部導体43は、λg/4長のスパイラル状導体43を、図18の等価回路に示される結合ライン53a〜53dを構成するようにビアホール44等で連結している。
【0112】
このバルントランス40の構成層40a〜40oは、比誘電率を2.6〜40とし、誘電正接( tanδ)を0.0075〜0.025とすることが好ましく、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。また、用途によっては透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁性体層を用いることが好ましい。なお、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0113】
<実施例9>
図19〜図22は、本発明の第9の実施態様を示した積層フィルターを示している。ここで図19は斜視図、図20は分解斜視図、図21は等価回路図、図22は伝達特性図である。なお、この積層フィルターは2ポールとして構成されている。
【0114】
図19〜21において、積層フィルター60は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ中央に一対のストリップ線路68と、一対のコンデンサ導体67とを有する。コンデンサ導体67は下部構成層群60d上に形成され、ストリップ線路68はその上の構成層60c上に形成されている。構成層60a〜60eの上下端部にはGND導体65が形成されていて、前記ストリップ線路68とコンデンサ導体67とを挟み込むようになっている。ストリップ線路68と、コンデンサ導体67と、GND導体65とはそれぞれ端面に形成された端部電極(外部端子)72とそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン61と接続されている。また、その両側面およびそこから僅かに上下面方向に形成されたGNDパターン66はGND導体65と接続されている。
【0115】
ストリップ線路68は、図21の等価回路図に示されるλg/4長またはそれ以下の長さを有するストリップ線路74a、74bであり、コンデンサ導体67は入出力結合容量Ciを構成する。また、それぞれのストリップ線路74a、74b間は、結合容量Cmおよび結合係数Mにより結合されている。このような等価回路により、図22に示すような2ポール型の伝達特性を有する積層フィルタを得ることができる。
【0116】
この積層フィルタ60の構成層60a〜60eは、比誘電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数GHzの帯域において、所望の伝達特性が得られるようになる。また、ストリップライン共振器の材料損失はできるだけ抑えることが望ましく、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.0075とすることが好ましい。従って、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。なお、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0117】
<実施例10>
図23〜図26は、本発明の第10の実施態様を示した積層フィルターを示している。ここで図23は斜視図、図24は分解斜視図、図25は等価回路図、図26は伝達特性図である。なお、この積層フィルターは4ポールとして構成されている。
【0118】
図23〜26において、積層フィルター60は、構成層60a〜60eが積層された積層体のほぼ中央に4つのストリップ線路68と、一対のコンデンサ導体67とを有する。このような4ポールの構成とすることにより、図26に示されるような、より急峻な伝達特性を得ることができる。その他の構成要素は実施例9と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0119】
<実施例11>
図27〜図31は、本発明の第11の実施態様を示したカプラを示している。ここで図27は透過斜視図、図28は断面図、図29は各構成層の分解平面図、図30は内部結線図、図31は等価回路図である。
【0120】
図27〜31において、カプラ110は、ハイブリッド樹脂を有する構成層110a〜110cが積層された積層体の上下に形成、配置された内部GND導体115と、この内部GND導体115間に形成されている内部導体113を有する。この内部導体113は、2つのコイルによりトランスが構成されるようにスパイラル状にビアホール114等で連結している。また。形成されたコイルの終端と、内部GND導体115とは、図30に示すように、それぞれ端面に形成された貫通ビア112とそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン111と接続されている。このように構成することにより、図31の等価回路図で示すように、2つのコイル125a,125bが結合したカプラ110が得られる。
【0121】
このカプラ110の構成層110a〜110cは、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電率はできるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考えると比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用途や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電率の材料を用いればよい。通常、比誘電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数GHzの帯域において、所望の伝達特性が得られるようになる。また、内部インダクタのQ値を上げるために、誘電正接(tanδ)を0.0025〜0.0075とすることが好ましい。これにより、材料損失が極めて少なく、Q値の高いインダクタを形成でき、高性能のカプラーを得ることができる。従って、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。なお、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0122】
<実施例12>
図32〜図34は、本発明の第12の実施態様であるアンテナを示した図であり、図32は透視斜視図、図33(a)は平面図、(b)は側面断面図、(c)は正面断面図、図34は各構成層の分解斜視図を表している。
【0123】
図において、アンテナ130は本発明のハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)130a〜130cと、この構成層130bと130c上にそれぞれ形成されている内部導体(アンテナパターン)133を有する。また、この内部導体133の終端部は、アンテナの端面に形成された貫通ビア132およびそれから僅かに上下面方向に形成されたランドパターン131と接続されている。この例では内部導体133は、使用周波数に対し、約λg/4長となるようなリアクタンス素子として構成され、ミアンダ状に形成されている。
【0124】
このアンテナ130の構成層130a〜130cには、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電率はできるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考えると比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用途や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電率の材料を用いればよい。通常、比誘電率2.6〜40、誘電正接0.0075〜0.025であることが好ましく、上記の有機誘電体層ないし第1または第2の複合誘電体層のなかから好適なものを用いることが好ましい。これにより、周波数の範囲が広がり、高精度に形成できる。また、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。このため、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.0075とすることにより、材料損失の極めて少ないアンテナとすることができる。また、用途によっては透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁性体層を用いることが好ましい。また、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0125】
<実施例13>
図35、図36は、本発明の第13の実施態様を示したアンテナを示している。ここで図35は透過斜視図、図36は分解斜視図である。なお、この例のアンテナはヘリカル状の内部電極を有するアンテナとして構成されている。
【0126】
図35、36において、アンテナ140は、本発明のハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)140a〜140cと、この構成層140bと140c上にそれぞれ形成されている内部導体(アンテナパターン)143a,143bを有する。そして、上下の内部導体143a,143bはビアホール144にて接続され、ヘリカル状のインダクタンス素子を形成するようになっている。その他の構成要素は実施例12と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0127】
<実施例14>
図37、図38は、本発明の第14の実施態様であるパッチアンテナを示した図であり、図37は透視斜視図、図38は断面図を表している。
【0128】
図において、パッチアンテナ150はハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)150aと、この構成層150a上に形成されているパッチ導体159(アンテナパターン)と、このパッチ導体159に対向するように構成層150aの底面に形成されたGND導体155とを有する。また、パッチ導体159には給電用のスルー導体154が給電部153で接続され、このスルー導体154はGND導体155とは接続されないようにGND導体155との間にギャップ156が設けられている。このため、GND導体155の下部からスルー導体154を通って給電が行われるようになっている。
【0129】
このパッチアンテナ150の構成層150aには、広帯域化を実現しようとした場合、比誘電率はできるだけ小さい方が好ましい。また、小型化を考えると比誘電率はできるだけ高い方がよい。従って、用途や、要求される性能、仕様等によりそれに適した誘電率の材料を用いればよい。通常、比誘電率2.6〜40、誘電正接0.0075〜0.025であることが好ましく、上記の有機誘電体層ないし第1または第2の複合誘電体層のなかから好適なものを用いることが好ましい。これにより、周波数の範囲が広がり、高精度に形成できる。また、材料の損失をできるだけ抑える必要がある。このため、誘電正接( tanδ)を0.0025〜0.0075とすることにより、材料損失の極めて少ない放射効率の高いアンテナとすることができる。
【0130】
また、数100MHz以下の周波数帯域においては、磁性体も誘電体と同様の波長短縮効果が得られ、さらに、放射素子のインダクタンス値を上げることができる。また、Qの周波数ピークを合わせることにより、比較的低い周波数においても高いQが得られる。このため、用途によっては透磁率を3〜20とすることが好ましく、上記複合磁性体層を用いることが好ましい。これにより、数100MHz以下の周波数帯域において高特性化、小型化を実現できる。また、各構成層は同一でも異なっていてもよく、最適な組み合わせを選択すればよい。
【0131】
このパッチアンテナは、ベース基板の誘電率を微調できると設計が容易になる。しかしながら、多くの誘電率の材料を有することは管理上の問題が大きい。そこで、数種類の誘電率の材料を組み合わせる(多層化する)ことで、全体の誘電率を調整するようにするとよい。これにより、誘電率の微調が可能となり、設計の自由度が増大して、設計が容易となり、小型、高性能のアンテナを得ることができる。
【0132】
<実施例15>
図39、図40は、本発明の第15の実施態様であるパッチアンテナを示した図であり、図39は透視斜視図、図40は断面図を表している。
【0133】
図において、パッチアンテナ160は本発明の複合樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)160aと、この構成層160a上に形成されているパッチ導体169(アンテナパターン)と、このパッチ導体169に対向するように構成層160aの底面に形成されたGND導体165とを有する。また、パッチ導体169の近傍にこれと接触しないように給電用の給電導体161が配置され、給電端子162を介してこれから給電が行われるようになっている。給電端子162は、メッキ、ターミネート、印刷、スパッタ、蒸着等の処理を行い、銅、金、パラジウム、白金、アルミニウム等により形成することができる。その他の構成要素は実施例14と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0134】
<実施例16>
図41、図42は、本発明の第16の実施態様である多層型のパッチアンテナを示した図であり、図41は透視斜視図、図42は断面図を表している。
【0135】
図において、パッチアンテナ170は、ハイブリッド樹脂を有する構成層(プリプレグないし基板)150a、150bと、この構成層150a、150b上に形成されているパッチ導体159a,159eと、このパッチ導体159a,159eに対向するように構成層150bの底面に形成されたGND導体155とを有する。また、パッチ導体159aには給電用のスルー導体154が給電部153aで接続され、このスルー導体154はGND導体155およびパッチ導体159eとは接続されないようにGND導体155およびパッチ導体159eとの間にギャップ156が設けられている。このため、GND導体155の下部からスルー導体154を通ってパッチ導体159aに給電が行われるようになっている。このときパッチ導体159eにはパッチ導体159aとの容量結合およびスルー導体154とのギャップによって形成される容量により給電される。その他の構成要素は実施例15と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0136】
<実施例17>
図43、図44は本発明の第17の実施態様である多連型のパッチアンテナを示したであり、図43は透視斜視図、図44は断面図を表している。
【0137】
この例では、実施例16において単独で構成されていたパッチアンテナを、複数アレイ状に並べて4連とした態様を表している。図において、ハイブリッド樹脂を有する構成層150a、150bと、この構成層150a上に形成されているパッチ導体159a、159b、159c、159dと、構成層150b上に形成されているパッチ導体159e、159f、159g、159hと、このパッチ導体159a,159eに対向するように構成層150bの底面に形成されたGND導体155とを有する。その他の構成要素は実施例16と同様であり、同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0138】
このようにアレイ状に形成することにより、セットの小型化と部品点数の削減が可能となる。
【0139】
<実施例18>
図45〜図47は、本発明の第18の実施態様を示したVCO(電圧制御発振器)を示している。ここで図45は透過斜視図、図46は断面図、図47は等価回路図である。
【0140】
図45〜47において、VCOは、構成層210a〜210gが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品261と、この構成層210a〜210g中およびその上下面に形成されている導体パターン262,263,264を有する。このVCOは図47に示すような等価回路により構成されているため、ストリップライン263、コンデンサ、信号線、半導体、電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効果的である。
【0141】
この例では、共振器を構成する構成層210f,210gには誘電正接が0.0025〜0.0075の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。コンデンサ構成層210c〜210eには、誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が5〜40となるような第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。配線、およびインダクタ構成層210a,210bには、誘電正接が0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜3.5の有機誘電体層を用いることが好ましい。
【0142】
そして、上記構成層210a〜210gの表面には、内部導体であるストリップライン263、GND導体262、コンデンサ導体264,配線インダクタ導体265、および端子導体266を構成する。また、それぞれの内部導体はビアホール214により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品261が搭載されて図47の等価回路に示すようなVCOが形成される。
【0143】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることができ、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0144】
<実施例19>
図48〜図50は、本発明の第19の実施態様を示したパワーアンプ(電力増幅部)を示している。ここで図48は各構成層の分解平面図、図49は断面図、図50は等価回路図である。
【0145】
図48〜50において、パワーアンプは、構成層300a〜300eが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品361と、この構成層300a〜300e中およびその上下面に形成されている導体パターン313,315を有する。このパワーアンプは図50に示すような等価回路により構成されているため、ストリップラインL11〜L17、コンデンサC11〜C20、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効果的である。
【0146】
この例では、ストリップラインを構成する構成層300d,300eには誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が2.6〜40の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。コンデンサ構成層300a〜300cには、誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が5〜40となるような第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。
【0147】
そして、これらの構成層300a〜300eの表面には、内部導体313、GND導体315等が形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホール314により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品361が搭載されて図50の等価回路に示すようなパワーアンプが形成される。
【0148】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることができ、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0149】
<実施例20>
図51〜図53は、本発明の第20の実施態様を示した光ピックアップなどに使用される重畳モジュールを示している。ここで図51は各構成層の分解平面図、図52は断面図、図53は等価回路図である。
【0150】
図51〜53において、重畳モジュールは、構成層400a〜400kが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品461と、この構成層400a〜400k中およびその上下面に形成されている導体パターン413,415を有する。この重畳モジュールは図53に示すような等価回路により構成されているため、インダクタL211、L23、コンデンサC21〜C27、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効果的である。
【0151】
この例では、コンデンサ構成層400d〜400hには、誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が10〜40となるような第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。インダクタを構成する構成層400a〜400c,400j〜400kには誘電正接が0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜3.5の有機誘電体層を用いることが好ましい。
【0152】
そして、これらの構成層400a〜400kの表面には、内部導体413、GND導体415等が形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホール414により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品461が搭載されて図53の等価回路に示すような重畳モジュールが形成される。
【0153】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることができ、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0154】
<実施例21>
図54〜図57は、本発明の第21の実施態様を示したRFモジュールを示している。ここで図54は斜視図、図55は外装部材を外した状態での斜視図、図56は各構成層の分解斜視図、図57は断面図である。
【0155】
図54〜57において、RFモジュールは、構成層500a〜500iが積層された積層体の上に形成、配置されたコンデンサ、インダクタ、半導体、レジスタ等の電子部品561と、この構成層500a〜500i中およびその上下面に形成されている導体パターン513,515、572と、アンテナパターン573を有する。このRFモジュールは、上記のようにインダクタ、コンデンサ、信号線、半導体への電源ラインなどを有する。このため、それぞれの機能に適した材料で構成層を形成するのが効果的である。
【0156】
この例では、アンテナ構成、ストリップライン構成および配線層500a〜500d、500gには、0.0025〜0.0075、比誘電率が2.6〜3.5の有機誘電体層を用いることが好ましい。コンデンサ構成層500e〜500fには、誘電正接が0.0075〜0.025、比誘電率が10〜40となるような第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。電源ライン層500h〜500iには、透磁率が3〜20の上記複合磁性体層を用いることが好ましい。
【0157】
そして、これらの構成層500a〜500iの表面には、内部導体513、GND導体515、アンテナ導体573等が形成されている。また、それぞれの内部導体はビアホール514により上下に接続され、表面にはマウントされた電子部品561が搭載されてRFモジュールが形成される。
【0158】
このように構成することにより、それぞれの機能に適した誘電率、Q、誘電正接とすることができ、高性能化、小型、薄型化が可能となる。
【0159】
<実施例22>
図58、図59は、本発明の第22の実施態様を示したストリップ共振器を示している。ここで図58は透過斜視図、図59は断面図である。
【0160】
図58、59において、ストリップ共振器は、長方形のストリップ導体784と、これを構成層710を介して上下面より挟み込むようにして配置された矩形状のGND導体783とを有する。また、ストリップ導体784両端には共振器用共振器用HOT端子781、およびGND端子782が形成され接続されている。その他の形成方法は、実施例1のインダクタと同様である。
【0161】
この共振器の構成層710の材料は、比誘電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるようになる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑えることが望ましく、誘電正接(tanδ)を0.0025〜0.0075とすることが好ましい。従って、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。
【0162】
<実施例23>
図60は、本発明の第23の実施態様を示したストリップ共振器を示す透過斜視図である。
【0163】
図60において、ストリップ共振器は実施例22と同様に、コ字状のストリップ導体884と、これを構成層810を介して上下面より挟み込むようにして配置された矩形状のGND導体883とを有する。また、ストリップ導体884の両端には共振器用共振器用HOT端子881、およびGND端子882が形成され接続されている。その他の形成方法は、実施例1のインダクタと同様である。
【0164】
この共振器の構成層810の材料は、比誘電率を2.6〜40とすることにより、数100MHzから数GHzの帯域において、所望の共振特性が得られるようになる。また、共振器の材料損失はできるだけ抑えることが望ましく、誘電正接(tanδ)を0.0025〜0.0075とすることが好ましい。従って、上記の有機誘電体層、または第1または第2の複合誘電体層を用いることが好ましい。
【0165】
図61は、上記実施例22,23の共振器の等価回路図を示している。図において、共振器用HOT端子981は同軸路、またはストリップラインから構成される共振器984,941の一端に接続され、その他端にはGND端子982が接続されている。
【0166】
<実施例24>
図62は、本発明の第24の実施態様である携帯端末機器の高周波部を示したブロック構成図である。
【0167】
図において、ベースバンドユニット1010から送出された送信信号は、ミキサー1001により混成回路1021からのRF信号と混合される。この混成回路1021には電圧制御発信回路(VCO)1020が接続されていて、フェーズロックループ回路1019と共にシンセサイザー回路を構成し、所定の周波数のRF信号が供給されるようになっている。
【0168】
ミキサー1001によりRF変調が行われた送信信号は、バンドパスフィルタ(BPF)1002を経て、パワーアンプ1003により増幅される。このパワーアンプ1003の出力の一部は、カップラー1004から取り出され、減衰器1005で所定のレベルに調整された後、再びパワーアンプ1003に入力され、パワーアンプの利得が一定になるように調整される。カップラー1004から送出された送信信号は、逆流防止用のアイソレータ1006、ローパスフィルタ1007を経てデュプレクサ1008に入力され、これと接続されているアンテナ1009から送信される。
【0169】
アンテナ1009に入力された受信信号は、デュプレクサ1008からアンプ1011に入力され、所定のレベルに増幅される。アンプ1011から出力された受信信号は、バンドパスフィルタ1012を経てミキサー1013に入力される。このミキサー1013には、前記混成回路1021からのRF信号が入力され、RF信号成分が除去され、復調される。ミキサー1013から出力された受信信号は、SAWフィルタ1014を経てアンプ1015で増幅された後、ミキサー1016に入力される。ミキサー1016には局部発信回路1018から所定の周波数の局部発信信号が入力され、前記受信信号は所望の周波数に変換され、アンプ1017で所定のレベルに増幅された後、ベースバンドユニットへ送出される。
【0170】
本発明では、上記アンテナ1009,デュプレクサ1008,ローパスフィルタ1007を含むアンテナフロントエンドモジュール1200や、アイソレータ1006、カップラー1004,減衰器1005,パワーアンプ1003を含むアイソレータパワーアンプモジュール1100等を上記と同様の手法によりハイブリッドモジュールとして構成することができる。また、これら以外の構成要素を含むものをRFユニットとして構成できることは既に実施例21で示した通りであり、BPF、VCO等も実施例9〜11および18に示した手法に倣って構成することができる。
【0171】
本発明は、上記に例示した電子部品以外に、上記同様の手法で、コイルコア、トロイダルコア、円盤コンデンサ、貫通コンデンサ、クランプフィルタ、コモンモードフィルタ、EMCフィルタ、電源用フィルタ、パルストランス、偏向コイル、チョークコイル、DC−DCコンバータ、ディレイライン、ダイプレクサ、デュプレクサ、アンテナスイッチモジュール、アンテナフロントエンドモジュール、アイソレータ・パワーアンプモジュール、PLLモジュール、フロントエンドモジュール、チューナーユニット、方向性結合器、ダブルバランスドミキサー(DBM)、電力合成器、電力分配器、トナーセンサ、電流センサ、アクチュエータ、サウンダ(圧電型音声発生器)、マイク、レシーバ、ブザー、PTCサーミスタ、温度ヒューズ、フェライト磁石等に応用することができる。
【0172】
以上の各実施例において、必要によりハロゲン化リン酸エステル、ブロム化エポキシ樹脂等のハロゲン化物、また、リン酸エステルアミド系等の有機化合物や、三酸化アンチモン、水素化アルミニウム等の無機材料等の難燃剤を各構成層中に添加してもよい。
【0173】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、少なくとも高周波特性に優れた樹脂基板と、高周波特性に優れた磁性基板を用いることで、高周波特性に優れ、ひいては総合的な電気特性に優れた高周波用電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図2】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図3】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図4】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図5】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図6】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図7】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図8】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図9】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す図である。
【図10】本発明の電子部品の構成例であるインダクタを示す等価回路図である。
【図11】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図12】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図13】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタを示す図である。
【図14】本発明の電子部品の構成例であるキャパシタを示す等価回路図である。
【図15】本発明の電子部品の構成例であるバルントランスを示す図である。
【図16】本発明の電子部品の構成例であるバルントランスを示す図である。
【図17】本発明の電子部品の構成例であるバルントランスを示す図である。
【図18】本発明の電子部品の構成例であるバルントランスを示す等価回路図である。
【図19】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図20】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図21】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す等価回路図である。
【図22】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタの伝達特性を示す図である。
【図23】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図24】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す図である。
【図25】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタを示す等価回路図である。
【図26】本発明の電子部品の構成例である積層フィルタの伝達特性を示す図である。
【図27】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示す図である。
【図28】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示す図である。
【図29】本発明の電子部品の構成例であるカプラを示す図である。
【図30】本発明の電子部品の構成例であるカプラの内部結線を示す図である。
【図31】本発明の電子部品の構成例であるカプラの等価回路を示す図である。
【図32】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを示す図である。
【図33】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを示す図である。
【図34】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを示す図である。
【図35】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを示す図である。
【図36】本発明の電子部品の構成例であるアンテナを示す図である。
【図37】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図38】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図39】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図40】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図41】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図42】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図43】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図44】本発明の電子部品の構成例であるパッチアンテナを示す図である。
【図45】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示す図である。
【図46】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示す図である。
【図47】本発明の電子部品の構成例であるVCOを示す等価回路図である。
【図48】本発明の電子部品の構成例であるパワーアンプを示す図である。
【図49】本発明の電子部品の構成例であるパワーアンプを示す図である。
【図50】本発明の電子部品の構成例であるパワーアンプを示す等価回路図である。
【図51】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュールを示す図である。
【図52】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュールを示す図である。
【図53】本発明の電子部品の構成例である重畳モジュールを示す等価回路図である。
【図54】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュールを示す図である。
【図55】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュールを示す図である。
【図56】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュールを示す図である。
【図57】本発明の電子部品の構成例であるRFモジュールを示す図である。
【図58】本発明の電子部品の構成例である共振器を示す図である。
【図59】本発明の電子部品の構成例である共振器を示す図である。
【図60】本発明の電子部品の構成例である共振器を示す図である。
【図61】本発明の電子部品の構成例である共振器の等価回路を示す図である。
【図62】本発明の電子部品の構成例である携帯機器の高周波部を示すブロック図である。
【図63】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図64】本発明に用いる銅箔付基板の形成例を示す他の工程図である。
【図65】銅箔付基板の形成例を示す工程図である。
【図66】銅箔付基板の形成例を示す他の工程図である。
【図67】多層基板の形成例を示す工程図である。
【図68】多層基板の形成例を示す工程図である。
【符号の説明】
10 インダクタ
10a〜10e 構成層
11 ランドパターン
12 貫通ビア
13 内部導体(コイルパターン)
14 ビアホール
20 キャパシタ
20a〜20g 構成層
21 ランドパターン
22 貫通ビア
23 内部導体(内部電極パターン)
40 バルントランス40
40a〜40o構成層
45 GND導体
43 内部導体43
60 積層フィルター
80 ブロックフィルター
110 カプラ
130、140 アンテナ
150、160、170 パッチアンテナ
Claims (5)
- 樹脂中に磁性粉が分散されたハイブリッド材により形成されている少なくとも2種以上の構成層を有する積層電子部品からなり、
前記ハイブリッド材の少なくとも1層には導電体層が形成され、
この導電体層により所定の電気回路が構成されている積層電子部品。 - 100MHz以上の周波数帯域で使用される請求項1の積層電子部品。
- 前記構成層のうち少なくとも強化繊維を包含する層を1層有する請求項1または2の積層電子部品。
- 前記ハイブリッド材の磁性粉の含有量が10〜65体積%であり、
全体の透磁率が3〜20である複合磁性体層を少なくとも1層有する請求項1〜3のいずれかの積層電子部品。 - 少なくともいずれかの層に1種または2種以上の難燃剤を含有する請求項1〜4のいずれかの積層電子部品。
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