JPH10274100A - 回転絞り弁式気化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料ノズルからの燃料流量を制御する計量針
のアイドル位置調整を容易にする。 【解決手段】 円柱形の絞り弁４を回転させる絞り弁軸
８のねじ孔１５に調節ねじ１７をねじ込むとともに調整
部片１９を調節ねじ１７にそのねじのピッチと異なるピ
ッチのねじで結合し、この調整部片１９を中心軸線方向
可動且つ回転不可として計量針７を一体に中心軸線方向
へ動かすようにした。調整ねじ１７を回すと調整部片１
９がピッチの差に相当する距離だけ変位し、大まかに回
しても計量針７の位置を微調整することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は主に汎用２サイクル
エンジンに燃料を供給するための回転絞り弁式気化器、
詳しくはアイドリング時の燃料を容易に適正流量に調整
することができる機能を具えた回転絞り弁式気化器に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】農業用、林業用の携帯作業機械、小形車
両などの動力源に用いられる汎用２サイクルエンジンに
燃料を供給する気化器の一つとして、特開昭５８−１０
１２３号公報などに記載されている回転絞り弁式気化器
が知られている。

【０００３】回転絞り弁式気化器は、気化器本体の吸気
通路に直交させて絞り通孔および計量針を有する円柱形
の絞り弁を配置し、この絞り弁をアクセル操作に応じて
回転させながら自身の中心軸線方向へ移動させることに
より、絞り通孔の吸気通路との重なり度合いを変えて空
気流量を制御するとともに、計量針の燃料ノズルへの挿
入深さを変えて燃料流量を制御するものである。

【０００４】そして、図２に示すように絞り弁５１は中
心軸線方向へ延び端部に絞り弁レバー５２を固定した絞
り弁軸５３を有しており、絞り弁軸５３に設けたねじ孔
５４に計量針５５の基端を取付けた調節ねじ５６をねじ
込むことにより、計量針５５は絞り通孔５７への突出長
さ、即ち燃料ノズル５８への挿入深さを調節可能として
絞り弁５１に保持されている。

【０００５】計量針５５の燃料ノズル５８に挿入される
先端部分は均一径とされたものと先細りテーパ状とされ
たものとがあり、前者形状としたものは前記特開昭５８
−１０１２５３号公報に示唆されているように、燃料ノ
ズル５８の周側面に三角溝状のノズル口を設け、計量針
５５の中心軸線方向移動に応じてノズル口の有効開口面
積を変えることによって燃料流量を制御する。また、後
者形状としたものは、図２に示されているように、燃料
ノズル５８の周側面に円状のノズル口５９を設け、計量
針５５の中心軸線方向移動に応じてそのテーパ部５５ａ
が燃料ノズル５８の有効面積を変えることによって燃料
流量を制御する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記の計量針５５と燃
料ノズル５８とからなる燃料流量制御手段において、ア
イドリング時の燃料流量は調節ねじ５６のねじ孔５４へ
のねじ込み位置を調節することによって調整している
が、計量針５５は調節ねじ５６を一回転させたときその
ピッチと等しい距離だけ変位する。この場合、汎用２サ
イクルエンジン向けの、従って小形の気化器にあっては
計量針５５の僅かな変位でもアイドリング時の燃料流量
が大きく変動するので、調節ねじ５６を僅かずつ回して
計量針５５を微小変位させながらアイドリング時の燃料
流量が適正となるように調整しなければならず、調整作
業が面倒であった。

【０００７】特に、計量針５５の先端部分を先細りテー
パ状としたものはテーパ部５５ａのノズル口５９に対す
る位置が燃料流量を決定するので、特にアイドリング時
の調整が厄介である。その対策として、テーパ角度を小
さくして位置の差異による燃料流量変化を小さくするこ
とが考えられるが、テーパ部５５ａが長くなるので絞り
弁全開時においても先端がノズル口５９の側方に位置し
て燃料流量を減少させる心配があり好ましくない。

【０００８】本発明は計量針のアイドル位置調整が主と
して調整ねじのピッチに依存するため、アイドリング時
の燃料流量を適正とするように調整することがきわめて
困難である、という前記課題の解決を計ったものであっ
て、調節ねじを僅かずつ回して計量針を微小変位させな
がら適正位置に調整する、という面倒な調整作業による
ことなくアイドリング時の燃料流量を容易に適正なもの
とすることができるようにすることを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は気化器本体の吸
気通路に直交させて配置され絞り通孔および計量針を有
する円柱形の絞り弁と、絞り弁の中心軸線上に配置され
絞り通孔内に開口して計量針が挿入された燃料ノズルと
を具えており、絞り弁の一端から延びる絞り弁軸をアク
セル操作に応じて回転させることにより絞り弁が一体に
回転しながら自身の中心軸線方向へ移動して空気流量と
燃料流量とを制御する構成である回転絞り弁式気化器に
おいて、アイドリング時の燃料流量調整を次のようにし
て容易なものとした。

【００１０】即ち、絞り弁軸に設けられたねじ孔に調整
部片を中心軸線方向可動且つ回転不可に内装し、ねじ孔
にねじ込んだ調節ねじと調整部片とを調節ねじのピッチ
と異なるピッチのねじにより結合するとともに、計量針
を調整部片と一体に中心軸線方向へ変位させる構成とし
た。

【００１１】調節ねじを回転させると調整部片はピッチ
の差の相当する距離だけ中心軸線方向へ変位し、従って
調整ねじを大まかに回転させても計量針は微小変位する
こととなってアイドリング時の燃料流量調整作業が容易
となる。

【００１２】尚、前記におけるねじ孔、調節ねじのピッ
チよりも調節ねじと調整部片とのねじ結合部のピッチを
小さくすると、調節ねじの回転による軸線方向移動方向
と計量針の軸線方向変位方向とが同一となり、調整作業
が更に容易且つ確実なものとなる。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１を参照して本発明の実施の形
態を説明すると、気化器本体１は前後に貫通した吸気通
路２およびこれと直交し一端が閉止された弁孔３を有し
ており、円柱形の絞り弁４が回転可能且つ自身の中心軸
線方向へ可動とされて弁孔３に嵌込まれている。

【００１４】絞り弁４はその中心軸線に直交して吸気通
路２とほぼ同一径の絞り通孔５を有しており、またその
中心軸線上に位置させてノズル挿通孔６，計量針７，絞
り弁軸８を有している。ノズル挿通孔６は弁孔３の閉止
端側に位置する端部に設けられ、絞り弁軸８は弁孔３の
開放端側に位置する端部において絞り弁４に固結され弁
孔３のカバー体９を貫通して気化器本体１の外部へ延び
ている。また、ノズル挿通孔６を貫通して燃料ノズル１
０が絞り通孔５に突出しており、反対側から突出してい
る計量針７が燃料ノズル１０に挿入されている。

【００１５】一方、絞り弁軸８の軸端部には運転者のア
クセル操作によって旋回する絞り弁レバー１２が固定さ
れているとともに、絞り弁４とカバー体９との間には圧
縮コイルばねからなる閉弁ばね１３が絞り弁軸８を囲ん
で装入されている。更に、絞り弁４の外側周面には図示
しない溝カムが設けられており、気化器本体１に弁孔３
へ向けて突設した図示しない支持ピンが溝カムに挿入係
合している。

【００１６】アクセル操作によって絞り弁レバー１２を
旋回させると、絞り弁軸８、絞り弁４が一体に回転して
絞り通孔５と吸気通路２との重なり度合いが変わること
によってエンジンの吸入空気流量が制御される。これと
同時に、前記の溝カムに従って絞り弁４が自身の中心軸
線方向へ移動し、計量針７の燃料ノズル１０への挿入深
さが変わることによってノズル口１１から吸出される燃
料流量が制御される。

【００１７】気化器本体１のカバー体９と反対側の側面
には、大気とダイヤフラムで区画した定燃料室が設けら
れていてここから燃料ノズル１０に燃料が送られる。ま
た、エンジンのクランクケースに発生する脈圧によって
燃料タンクの燃料を定燃料室に供給する燃料ポンプが定
燃料室に並べて設置されている。これらは従来から広く
知られている膜式気化器と同じであり、また前記特開昭
５８−１０１２５３号公報にも記載されているので図示
を省略した。

【００１８】次に、絞り弁軸８には絞り弁レバー１２を
固定している軸端に開放したねじ孔１５が絞り弁４に固
結されている先端近くまで設けられており、その軸端側
に形成されている雌ねじ部１６に調節ねじ１７がねじ込
まれ、軸端側外側部から工具を差し込んでねじ込み位置
が調節できるようになっている。

【００１９】調節ねじ１７には先端に開放した調整ねじ
孔１８が設けられており、断面非円形の調整部片１９の
基端に突設したねじ杆２０が調整ねじ孔１８にねじ込ま
れている。調整部片１９は図示形態では断面正六角形で
あり、ねじ孔１５の雌ねじ部１６よりも奥の部分に圧入
固定した案内部片２１の断面正六角形の案内孔２２に挿
通され回転不可とされている。

【００２０】計量針７は調整部片１９と一体品に作られ
またはこれらに固結されていてもよいが、図示形態では
分離自由な別体とし、押ばね２３を作用させて調整部片
１９に常に押付けられて中心軸線方向へ一体となって動
くようにした。

【００２１】そして、雌ねじ部１６およびそこへねじ込
まれた調節ねじ１７のねじのピッチと、調整ねじ孔１８
およびそこへねじ込まれたねじ杆２０のねじのピッチと
は異なる値、特に好ましくは前者よりも後者の方が小さ
い値とされている。

【００２２】このような構成とした図示形態の調節ねじ
１７を例えばねじ孔１５へ深くねじ込む方向へ回転させ
ると、この調節ねじ１７にねじ結合されて案内部片２１
により回転不可とされている調整部片１９は、調整ねじ
孔１８がねじ杆２０をねじ込む方向へ向かって変位す
る。しかし、前記のようにピッチを異なる値としたこと
により、一回転させたときに調節ねじ１７がねじ孔１５
の深い方へ変位する量よりも調整部片１９がねじ孔１５
の浅い方へ変位する量の方がピッチの差だけ小さく、従
って調整部片１９はピッチの差に相当する距離だけねじ
孔１５の深い方へ変位することとなる。

【００２３】調節ねじ１７をねじ孔１５から抜出す方向
へ回転させると、調整部片１９はピッチの差に相当する
距離だけねじ孔１５の浅い方へ変位することとなる。

【００２４】即ち、調節ねじ１７を回したとき、その回
転方向に応じた変位方向と同じ方向へ調整部片１９がピ
ッチの差に相当する距離だけ変位し、これと一体となっ
て動く計量針７が調整ねじ１７を大まかに回転させても
微小変位して適正なアイドル位置に容易に調整すること
ができる。

【００２５】尚、雌ねじ部１６および調節ねじ１７のピ
ッチよりも調節ねじ孔１８およびねじ杆２０のねじのピ
ッチの方を大きくすることもできるが、この場合調整部
片１９は調節ねじ１７の回転方向に応じた変位方向と反
対の方向へピッチの差に相当する距離だけ変位すること
となるので、調整作業に際して注意が必要である。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明によると調節ねじ
を回すという従来と同じ手法で、ねじのピッチ差を利用
した計量針の軸線方向変位量を縮小する構成によりきわ
めて容易に計量針のアイドル位置を微調整し、計量針の
先端部分が均一径、先細りテーバ状のいずれのものにお
いてもアイドリング時の燃料流量を適正なものとするこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す縦断面図。

【図２】従来例の縦断面図。

【符号の説明】

１気化器本体， ２吸気通路， ４絞り弁， ５通り通
孔， ７計量針， ８絞り弁軸， １０燃料ノズル，
１２絞り弁レバー， １５ねじ孔， １７調節ねじ，
１８調整ねじ孔， １９調整部片， ２０ねじ杆， ２
１案内部片，

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 気化器本体の吸気通路に直交させて配置
   され絞り通孔および計量針を有する円柱形の絞り弁と、
   前記絞り弁の中心軸線上に配置され前記絞り通孔内に開
   口して前記計量針が挿入された燃料ノズルとを具え、前
   記絞り弁の一端から延びる絞り弁軸をアクセル操作に応
   じて回転させることにより前記絞り弁が一体に回転しな
   がら自身の中心軸線方向へ移動して空気流量と燃料流量
   とを制御する回転絞り弁式気化器において；前記絞り弁
   軸に設けられたねじ孔に調整部片が中心軸線方向可動且
   つ回転不可に内装されており、前記ねじ孔にねじ込まれ
   た調節ねじと前記調整部片とが前記調節ねじのピッチと
   異なるピッチのねじにより結合されているとともに、前
   記計量針が前記調整部片と一体に中心軸線方向へ変位さ
   せられる構成とした；ことを特徴とする回転絞り弁式気
   化器。
2. 【請求項２】 前記ねじ孔および調節ねじのピッチより
   も前記調節ねじと調整部片とのねじ結合部のピッチが小
   さくされている請求項１に記載した回転絞り弁式気化
   器。