JP2566815B2 - 回転絞弁型気化器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は小型エンジンに多く使用される回転絞弁型気
化器に関する。

＜従来の技術と問題点＞ 従来この種気化器は、気化器本体を貫通する吸気路に
直交して、該吸気路に対応する貫通孔を設けたスロット
ル弁が回動自在に配置され、さらに該スロットル弁の回
動に伴い該スロットル弁を軸方向に移動させて、該スロ
ットル弁に取り付けられるジェットニードルを吸気路に
突出して配置された燃料ノズル内で移動させ燃料噴出量
を制御するようにしている。（実公昭61−21562号公報
参照） ところが、前記スロットル弁は全開時に該スロットル
弁の貫通孔が吸気路に合致するようになっているため、
燃料噴出量を絞るアイドリング開度時にはスロットル弁
が下方に下がり、スロットル弁の貫通孔が吸気路の下方
に陥没する。また、アイドリング開度では前記スロット
ル弁の貫通孔内の容積がスロットル弁の開度に比べ大容
量となり、圧力低下が生じるので、燃料ノズルから流出
した燃料が完全に霧化されず前記スロットル弁の貫通孔
底部に溜まり、エンジンの運転上好ましくない。

本発明は低速運転性を向上させると共に、長期間安定
した性能を保つようにした回転絞弁型気化器を提供する
ことを目的とする。

＜上記問題点を解決するための手段＞ 本発明の回転絞弁型気化器は、吸気路と直交して設け
られ、その底を吸気路底部とほぼ同一位置に形成すると
共に開口端側に肩部が形成されるスロットル弁室と、該
スロットル弁室に周方向および軸方向に摺動可能に収容
されるスロットル弁と、前記スロットル弁の周壁上部か
ら突出する少なくとも二つ以上の突起と、前記肩部に形
成され、前記突起に当接して前記スロットル弁を上下移
動させるための二つ以上のカム部と、前記スロットル弁
の下端に形成され該スロットル弁の全開時にベンチュリ
に合致するリセス部と、前記スロットル弁の中心軸線上
に配置され、一端が該スロットル弁に結合され他端が気
化器本体に配置されるメインノズル内に挿入され、前記
スロットル弁の軸線方向の移動により前記メインノズル
からの燃料噴出量を調節するためのジェットニードル
と、前記気化器本体のスロットル弁の回転中心軸線上に
回動自在に装着されると共に前記スロットル弁と軸方向
に摺動可能で、かつ回転方向には一体的に結合するスロ
ットルレバーと、該スロットルレバーと前記スロットル
弁の間に配置され、前記カム部へ向けて前記突起を押圧
する圧縮スプリングと、一端を前記スロットルレバーに
結合し他端を気化器本体に結合して該スロットルレバー
にアイドリング開度位置へ向けて周方向への偏倚力を付
与するコイルスプリングとで構成される。

＜作用＞ 上記構成によれば、スロットル弁がアイドリング開度
時では、スロットル弁のリセス部と吸気路との間隙で形
成される開度に比べスロットル弁のリセス部内室の室容
積が大容量となり圧力低下が生じ、燃料ノズルより流出
した燃料の一部が霧化されずにスロットル弁室の底に溜
まるが、このアイドリング開度時では前記カム部の作用
により吸気路底部側も若干開かれ、この燃料は吸気路の
底壁を導わって速やかにエンジンに供給される。

従って、スロットル弁室の底に燃料が溜まることがな
いので、この種気化器のアイドリング時の運転性能を高
めることができる。

また、前記スロットル弁を軸方向に移動させるため
の、カム部および突起が気化器本体内に設けられ外部か
ら遮断されるため、前記カム部または突起へのゴミ等の
付着が少なく、長期間に亘り安定した燃料の計量性能を
得ることができる。

＜実施例＞ 以下本発明の一実施例を図に基づいて説明する。

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２図は第
１図のカバーを取外した状態の上部平面図である。

１は気化器本体であり、吸気路２が貫通して設けら
れ、該吸気路２の中間部にはスロットル弁室３が直交し
て設けられている。前記スロットル弁室３は前記吸気路
２の底部とほぼ同一面上にその底が形成されるとともに
開口端側に肩部５が形成されている。前記気化器本体１
には、一端を前記スロットル弁室３の底より吸気路２内
に突出して開口し、他端をメインジェット６を介して燃
料室７に連通させる燃料ノズル８が配置されている。

前記スロットル弁室３内には、周壁上部に突起９を有
し、下端に該スロットル弁の全開時にベンチュリ部11に
合致するリセス部12を有するスロットル弁10が回転自在
に配置され、前記突起９は前記肩部５に設けられるカム
部14に当接し、前記スロットル弁10の回動に伴い該スロ
ットル弁10を上下移動させる。また前記スロットル弁10
には、その中心軸線上にジェットニードル15が取り付け
られ、該ジェットニードル15の先端は前記燃料ノズル８
内に挿入されている。従って、前記スロットル弁10の軸
線方向の移動により前記燃料ノズル８からの燃料噴出量
を調節することができる。

20は前記スロットル弁室３を塞ぐカバーであり、該カ
バー20には前記スロットル弁10の回転軸線上にスロット
ルレバー22が回転可能に装着され、該スロットルレバー
22は前記スロットル弁10と軸方向に摺動自在で、かつ回
転方向には一体的に結合される。前記スロットルレバー
22とスロットル弁10の間には前記カム部14に向けて前記
突起９を押圧する圧縮スプリング23が配設され、前記ス
ロットルレバー22と気化器本体１の間には、該スロット
ルレバー22にアイドリング開度位置へ向けて周方向への
偏倚力を付与するコイルスプリング24が配置され、該コ
イルスプリング22は、一端が前記スロットルレバー22に
結合されて他端が気化器本体１またはカバー20に結合さ
れている。

従って、前記スロットルレバー22の回動によりスロッ
トル弁10だけが上下移動されるので、前記スロットルレ
バー22に取り付けられる操作ワイヤーの配置位置が上下
方向にずれても、前記スロットル弁10がワイヤーで引き
上げられたり、またこのワイヤーによりスロットル弁10
の上動が妨げられ、作動不良を招くことがない。

25は気化器本体１に螺着配置され、先端を前記突起９
に当接させてスロットル弁10のアイドリング開度を調節
するアイドルスクリューである。

次に、この実施例の作用を説明する。

スロットルレバー22がアイドリング位置にある時は、
前記スロットル弁10の突起９がカム部14の最下位置に当
接し、該スロットル弁10は最小開度に保持される。この
時燃料ノズル８にはジェットニードル15が深く挿入さ
れ、この燃料ノズル８の開口を小さくして該燃料ノズル
８からの燃料供給量をアイドリング運転に適合させる。
またアイドリング運転時は、アイドリング開度に比べス
ロットル弁10のリセス部内室16の容積が極端に大きくな
るため、このリセス部内室16での流速が遅くなり燃料ノ
ズル８より流出した燃料の一部が霧化されずにスロット
ル弁室３の底に溜まり易くなるが、このアイドリング開
度時には前記カム部14の作用により吸気路２の底部側も
若干開かれるため、この燃料は前記底から吸気路２底部
をつたわって速やかにエンジンに供給される。

次いで、スロットル弁10を開くべくスロットルレバー
22を徐々に回動すると、スロットル弁底部のリセス部11
が徐々に吸気路２方向に向き空気量が増加されると共
に、前記カム部14によりスロットル弁10が上側に移動さ
れ、ジェットニードル15が燃料ノズル８より引き上げら
れ、前記スロットル弁10の空気の増加にあいまって燃料
ノズル８からの燃料量も増加される。

そして、スロットル弁10が全開になると、前記突起９
の先端がカム部14の最上位置に当接するので、該スロッ
トル弁10が最上部に引き上げられ、リセス部12がベンチ
ュリー部11と合致するとともに燃料ノズル８が最も開口
した状態に保持され最大の空気量に見合った燃料を供給
する。

また、第３図に示すように、吸気路２及び該吸気路２
に合致するスロットル弁10のリセス部12の形状を種々変
化させれば、スロットル弁10の回転量及び上動量に対す
る吸入空気量を変化されることができ、種々のエンジン
特性に対応させることができる。

＜発明の効果＞ 以上詳述したように本発明によれば、スロットル弁室
の底が吸気路底部とほぼ同一面上に形成されるともに、
スロットル弁の底部にベンチュリ部形状と合致するリセ
ス部を形成し、スロツトル弁の回転と若干の上動により
吸気路の開度を調整するようにしたので、アイドリング
運転時にスロットル弁内室が吸気路より陥没せず、前記
スロットル弁収容孔の底に溜った燃料が速やかに吸気路
をつたわってエンジンへ供給され、アイドリング運転を
円滑に行なうことができる。

また、スロットルレバーの回動時には、スロットル弁
だけが上下移動し、スロットルレバーは上下移動しない
ので、従来のスロットル弁とレバーとが一体に上下移動
する回転絞弁型気化器に比べ操作ワイヤーの取り付け位
置の制限が大幅に緩和されるとともに、作動性が良好と
なる。

また、前記カム部が外部と遮断されたスロットル弁室
内に配置されるので、カム部へのゴミ等の付着によるス
ロットル弁の摺動不良や移動量の変化が少なくなり、長
期にわたり安定したスロットル弁の作動性能が得られる
と共に、安定した燃料の計量をおこなうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２図は第１
図のカバーを取外した状態の上部平面図、第３図は本発
明の他の実施例を示す要部縦断面図である。 １……気化器本体、３……スロットル弁室、10……スロ
ットル弁、14……カム部、15……ジェットニードル、22
……スロットルレバー、23……圧縮スプリング、24……
コイルスプリング。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸気路と直交して設けられ、その底を吸気
   路底部とほぼ同一位置に形成すると共に開口端側に肩部
   が形成されるスロットル弁室と、該スロットル弁室に周
   方向および軸方向に摺動可能に収容されるスロットル弁
   と、前記スロットル弁の周壁上部から突出する少なくと
   も二つ以上の突起と、前記肩部に形成され、前記突起に
   当接して前記スロットル弁を上下移動させるための二つ
   以上のカム部と、前記スロットル弁の下端に形成され該
   スロットル弁の全開時にベンチュリに合致するリセス部
   と、前記スロットル弁の中心軸線上に配置され、一端が
   該スロットル弁に結合され他端が気化器本体に配置され
   るメインノズル内に挿入され、前記スロットル弁の軸線
   方向の移動により前記メインノズルからの燃料噴出量を
   調節するためのジェットニードルと、前記気化器本体の
   スロットル弁の回転中心軸線上に回動自在に装着される
   と共に前記スロットル弁と軸方向に摺動可能で、かつ回
   転方向には一体的に結合するスロットルレバーと、該ス
   ロットルレバーと前記スロットル弁の間に配置され、前
   記カム部へ向けて前記突起を押圧する圧縮スプリング
   と、一端を前記スロットルレバーに結合し他端を気化器
   本体に結合して該スロットルレバーにアイドリング開度
   位置へ向けて周方向への偏倚力を付与するコイルスプリ
   ングとを含む回転絞弁型気化器。