JPH10273891A - バクテリアセルロース含有紙の製造方法 - Google Patents

バクテリアセルロース含有紙の製造方法

Info

Publication number
JPH10273891A
JPH10273891A JP8090297A JP8090297A JPH10273891A JP H10273891 A JPH10273891 A JP H10273891A JP 8090297 A JP8090297 A JP 8090297A JP 8090297 A JP8090297 A JP 8090297A JP H10273891 A JPH10273891 A JP H10273891A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bacterial cellulose
dispersion
paper
filler
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8090297A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihiko Hibino
良彦 日比野
Tatsuya Sato
佐藤  達也
Hiroo Kaji
裕夫 鍛冶
Hiroshi Ogiya
浩 扇谷
Otohiko Watabe
乙比古 渡部
Shinya Hioki
信也 火置
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bio Polymer Research Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Bio Polymer Research Co Ltd
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bio Polymer Research Co Ltd, Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Bio Polymer Research Co Ltd
Priority to JP8090297A priority Critical patent/JPH10273891A/ja
Publication of JPH10273891A publication Critical patent/JPH10273891A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 木材パルプ中に、特定の条件で分散処理をし
たバクテリアセルロースを含有させることにより、高填
料配合においても填料歩留まり率の高いシートの製造方
法を提供する。 【解決手段】 バクテリアセルロースを木材パルプに規
定した量を含有させ、該バクテリアセルロースの分散液
を、その分散の程度をある特定条件下での分散液のブル
ックフィールド粘度を規定したソノレーターによる超音
波分散処理を行って製造することにより、上記の課題を
解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バクテリアセルロ
ースを含有した填料歩留まり性の高い紙の製造法に関す
るものであり、さらに詳しくは、高填料配合において、
填料保持力と操業性に優れたバクテリアセルロースを含
有した紙の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】バクテリアセルロースは可食性であり無
味無臭であるため、食品分野で利用されるほか、水系分
散性に優れているので、食品、化粧品又は塗料などの粒
度の保持、食品原料生地の強化、水分の保持、食品安定
性向上、低カロリー添加物又は乳化安定化助剤として産
業上に利用価値がある。また、上記以外の分野として
は、特開昭59−120159号公報に開示されている
ような、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xyl
inum)ATCC 23769が産生するゲルを、医療用のパッドと
して利用することも知られている。一方、バクテリアセ
ルロースのシートでの利用に関しては、特開昭63−1
99201号公報に開示されているように、ゲルをアル
カリ溶液または漂白剤で処理することによりα−セルロ
ースの含有率を向上させ、弾性率の高いシートを得るこ
とや特開平7−53602号公報に開示されているよう
なゲル中に水に不溶性或いは難溶性の無機物質を含有さ
せて不透明度の高い紙を得ることなどが知られている。
【0003】ここでバクテリアセルロースを紙に抄き込
んで特性を発揮させるには分散処理が必要である。バク
テリアセルロースの分散現象は、機械的外力などによっ
て、セルロース内部に発生した応力が、これを変形・破
壊することによる現象と考えられる。従って、バクテリ
アセルロースの分散処理は、バクテリアセルロースに機
械的外力を与えることにより行われる。ここで言う機械
的外力とは、例えば引っ張り、曲げ、圧縮、ねじり、衝
撃及びせん断などの応力が挙げられるが、一般的には圧
縮、衝撃及びせん断応力が主体である。
【0004】従って、従来、これら機械的外力をバクテ
リアセルロースに与える分散処理は、例えば、ミキサ
−、ポリトロン又は電気振動式超音波発振機などを使用
して行われており、特開平8−291201号公報にも
各種の分散方式が開示されている。
【0005】しかしながら、特開平8−291201号
公報に記載されているバクテリアセルロース離解物は増
粘剤としての効果に主眼が置かれたものであり、製紙用
の填料歩留まり向上効果には全く触れられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、印刷用紙及び
筆記用紙などの用途に用いられる上質紙は、紙の不透明
度向上、平滑性の向上及び白色度の向上などを目的にし
て填料を配合している。これらの填料はその粒径が小さ
いほど目的の特性が向上するため、できるだけ微細な粒
子を使いたいが、実際の抄紙条件ではワイヤー上で脱水
する際に、粒径が小さい填料は水と一緒に流失しやすい
という問題があった。このため、実際にはアクリルアミ
ドポリマーなどの歩留まり向上剤を添加して填料を凝集
させて紙中に歩留まらせる方法が用いられているが、歩
留まりを向上させると地合の悪化をもたらすと言う問題
があった。一方、木材パルプの細胞に填料を入れる方法
も提案されているが、高填料を含有させることはできな
かった。
【0007】本発明の目的は、バクテリアセルロースを
使用して、従来の問題点を改良することにある。特に、
本発明では特定の条件でバクテリアセルロースを分散す
る事により、直接、バクテリアセルロースの填料保持能
力を高め、これを木材パルプに配合することにより、高
填料配合においても填料歩留まり性を向上させた紙の製
造をすることに成功したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために種々の検討を行った結果、バクテリア
セルロースに対しソノレーターによる超音波分散処理を
行い、その分散の程度をある特定条件下での分散液のブ
ルックフィールド粘度として規定することにより、高填
料配合においてもバクテリアセルロースの填料保持効果
が高まることを見出した。このバクテリアセルロース分
散液を木材パルプに一定量配合することにより、填料歩
留まりと操業性に優れたバクテリアセルロース含有紙が
得られることから、本発明のバクテリアセルロース含有
紙の製造方法を発明するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、重量濃度0.1%を
基準とするバクテリアセルロースの分散に当たって、分
散液温度35℃、BLローターを回転数60rpmとす
る条件で測定したブルックフィールド粘度が35cps
以上であるように、ソノレーターによる超音波分散処理
した該バクテリアセルロースの分散液を用い、全パルプ
量の5重量%以下に該バクテリアセルロースを含有させ
て製造する事を特徴とするバクテリアセルロース含有紙
の製造方法である。
【0010】また、上記の発明において、バクテリアセ
ルロースが、通気攪拌培養にて製造される事が好まし
い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のバクテリアセルロ
ース含有紙の製造方法について、詳細に説明する。
【0012】本発明のバクテリアセルロース含有紙の製
造方法の特徴は、全パルプ量の5重量%以下のバクテリ
アセルロースを含有する紙において、配合するバクテリ
アセルロースを、重量濃度0.1%基準で分散した時の
BLローターを使用した回転数60rpm、分散液温度
35℃の条件で測定したブルックフィールド粘度が35
cps以上であるようにソノレーターによる超音波分散
処理を行って製造する事にある。
【0013】本発明においては、バクテリアセルロース
含有量は、全パルプ量の5重量%以下であることが好ま
しい。バクテリアセルロースは木材パルプなどから製造
されるセルロースに比べ、フィブリルの断片幅が2桁程
度も小さいことから、バクテリアセルロース分散物は高
い水和性を持っており、バクテリアセルロース分散物を
5重量%以上配合した原料は、抄紙工程における濾水性
が劣り、生産性が大きく悪化する。
【0014】本発明に用いられるバクテリアセルロース
とは、微生物により産生された、セルロース、セルロー
スを主鎖としたヘテロ多糖、β−1,3、β−1,2等
のグルカン、のいずれか或はそれらの混合物である。な
お、ヘテロ多糖の場合のセルロース以外の構成成分は、
マンノース、フラクトース、ガラクトース、キシロー
ス、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸等の6炭
糖、5炭糖及び有機酸等である。
【0015】なお、本発明で用いるバクテリアセルロー
スを産生するセルロース生産菌は、例えば、BPR2001
株に代表されるアセトバクター・キシリナム・サプスピ
ーシーズ・シュクロファーメンタンス(Acetobacter xyl
lnum subsp.sucrofermentans)、アセトバクター・キシ
リナム(Acetobacter xyllnum)ATCC23768、アセトバ
クター・キシリナムATCC23769、アセトバクター・
パアスツリアヌス(A.pasteurlanus)ATCC10245、ア
セトバクター・キシリナムATCC14851、アセトバク
ター・キシリナムATCC11142及びアセトバクター・
キシリナムATCC10821等の酢酸菌(アセトバクター
属)、その他に、アグロバクテリウム属、リゾビウム
属、サルシナ属、シュードモナス属、アクロモバクター
属、アルカリゲネス属、アエロバクター属、アゾトバク
ター属、アゾトバクター属及びズーグレア属並びにそれ
らをNTG(ニトロソグアニジン)等を用いる公知の方
法によって変異処理することにより創製される各種変異
株である。なお、BPR2001株は、平成5年2月24日に通
商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所特許微生物
寄託センターに寄託され(受託番号FERM P−1346
6)、その後1994年2月7日付で特許手続上の寄託の国際
的承認に関するブタペスト条約に基づく寄託(受託番号
FERM BP−4545)に移管されている。
【0016】本発明においては、配合するバクテリアセ
ルロースはソノレーターによる自励式超音波分散処理を
行うことが好ましい。自励式超音波分散処理の特徴は、
連続処理が可能であり、再現性が良く、運転操作が極め
て簡単なことから工業的大量処理に向いている。また、
自励式超音波発振機によるバクテリアセルロースの分散
については、超音波発振部の発振により媒体中にキャビ
テーション(空洞現象)が連続的に発生し、局部的に生
じる著しいせん断力が主体となるものと推定される。
【0017】バクテリアセルロースは分散条件により、
填料歩留まり効果が大きく影響を受ける。分散は軽微で
も過剰でも填料歩留まり効果を十分発揮できないが、本
発明においては、重量濃度0.1%基準で分散した時の
バクテリアセルロース分散液のBLローターを使用した
回転数60rpm、分散液温度35℃の条件で測定した
ブルックフィールド粘度として35cps以上である
事、好ましくは37cps以上であることが好ましい。
同条件で測定したブルックフィールド粘度が35cps
未満ではバクテリアセルロースの分散が十分に出来てい
ないか、又は分散が過剰のため填料歩留まり率は低下し
てしまう。
【0018】本発明において用いられるバクテリアセル
ロースは、従来より、微生物を培養する培養形式、すな
わち、静置、振盪もしくは通気攪拌培養など、また、培
養操作法として公知の、いわゆる回分発酵法、流加回分
発酵法、反復回分発酵法及び連続発酵法などによって製
造できる。この中でも、通気攪拌培養にて製造されたも
のであることが好ましい。
【0019】なお、攪拌培養とは、培養液を攪拌しなが
ら行う培養法であり、当該攪拌培養中に受ける攪拌作用
によって、バクテリアセルロースの構造が、例えば、結
晶化指数が低下して非晶部が増すように変化する。攪拌
手段としては、例えばインペラー、エアーリフト発酵
槽、発酵ブロスのポンプ駆動循環、及びこれらの手段の
組合せ等を使用することができる。
【0020】本発明のバクテリアセルロース含有紙に用
いられる填料の種類としては、白色顔料として従来公知
の顔料を使用することができる。例えば、軽質炭酸カル
シウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸
化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸ア
ルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネ
シウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、
リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチッ
クピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポ
リエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹
脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0021】本発明のバクテリアセルロース含有紙に用
いられる木材パルプは、NBKP、LBKP、NBS
P、LBSP、GP、TMPなどの他に、古紙パルプが
挙げられ、必要に応じて単独あるいは併用して用いられ
る。
【0022】なお、本発明で言う古紙パルプの原料とし
ては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格
表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、
特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、
別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例と
しては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、
感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用
紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マ
ット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノー
ト、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞
用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、
ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙
で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用さ
れるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定さ
れるものではない。
【0023】本発明において、紙料中には、その他の添
加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡
剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色
顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐
剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増
強剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適
宜配合することもできる。
【0024】本発明のバクテリアセルロース含有紙の抄
紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤ
ー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤン
キー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用でき
る。
【0025】
【実施例】以下では、本発明を実施例により詳細に説明
する。なお、本発明は実施例に限定されるものではな
い。以下における「部」、「%」は特に明示しない限り
重量部、重量%である。
【0026】〔攪拌培養バクテリアセルロースの調製
例〕 (1)シード菌の調製(菌体の増殖) セルロース生産菌をフラスコ培養法によって菌体を増殖
させた。フラクトース40g/L、リン酸−カリウム
1.0g/L、硫酸マグネシウム0.3g/L、硫酸ア
ンモニウム3g/L、バクト−ペプトン5g/L、乳酸
1.4ml/L、初発pH5.0の基本培地100ml
を張り込んだ750ml容Rouxフラスコに、BPR
2001株(FERM BP−4545)の凍結保存菌1mlを
植菌し、前期Rouxフラスコを良く振盪した後、無菌
条件下で内容物をガーゼ濾過し、シード菌液を得た。 (2)攪拌培養によるバクテリアセルロースの製造 上記シード菌液60mlを滅菌済みの後述する攪拌培養
用の培地540mlを張り込んだ小型ジャーファーメン
ター(全容量1000ml)に無菌的に植菌し、30℃
で20時間又は30時間、pHをアンモニアガスまたは
1N H2SO4で5.0にコントロールしながら、ま
た、攪拌回転数を初発400rpmで、溶存酸素量(D
O)が3.0〜21.0%内に入るように回転数を自動
制御しながらジャーファーメンターで攪拌培養を行っ
た。攪拌培養には、以下の組成の培地を用いた。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】培養終了後、ジャーファーメンター内の固
形物を集積し、水洗して培地成分を除去した後、1%N
aOH水溶液中で80℃、一晩処理して菌体を除去し
た。更に、硫酸で中和した後、洗浄液が中性付近になる
まで生成セルロースを水洗して精製バクテリアセルロー
スを得た。得られたバクテリアセルロースは粒状のペレ
ットであった。
【0031】〔攪拌培養バクテリアセルロースの分散例
1〕上記の粒状ペレットに対し濃度が0.2%になるよ
うに水をいれ、ソノレーター(SONIC社製)を用い
て流量6L/分、加圧100kg/cm2、オリフィス
開孔面積0.001inch2、音圧が最大となるよう
に、背圧バルブとブレード位置を調整した条件にて通し
回数1回の分散処理を行い、バクテリアセルロースの分
散液1を得た。この分散液の重量濃度0.1%、BLロ
ーターを使用した回転数60rpm、分散液温度35℃
の条件で測定したブルックフィールド粘度は39cps
であった。
【0032】〔攪拌培養バクテリアセルロースの分散例
2〕上記の粒状ペレットに対し濃度が0.2%になるよ
うに水をいれ、ソノレーターを用いて流量6L/分、加
圧70kg/cm2、オリフィス開孔面積0.001i
nch2、音圧が最大となるように、背圧バルブとブレ
ード位置を調整した条件にて通し回数1回の分散処理を
行い、バクテリアセルロースの分散液2を得た。この分
散液の重量濃度0.1%、BLローターを使用した回転
数60rpm、分散液温度35℃の条件で測定したブル
ックフィールド粘度は37cpsであった。
【0033】〔攪拌培養バクテリアセルロースの分散例
3〕上記の粒状ペレットに対し濃度が0.5%になるよ
うに水をいれ、ミキサー(オースター社製)を用いて最
高回転の条件にて10分間分散処理を行い、バクテリア
セルロースの分散液3を得た。この分散液の重量濃度
0.1%、BLローターを使用した回転数60rpm、
分散液温度35℃の条件で測定したブルックフィールド
粘度は33cpsであった。
【0034】〔静置培養バクテリアセルロースの調製例
1〕上記と同様の組成の試験管斜面寒天培地(pH6.
0)で30℃、3日間生育させたBPR2001株を上記と
同様の培地に1白金耳ずつ接種し、30℃で培養した。
【0035】上記条件で15日間培養したところ、培養
液の上層に白色のバクテリアセルロース性多糖類を0.
5%含む厚さ5mmのゲル状の膜が形成された。このゲ
ル状の膜を水洗後、未乾燥の状態で試料とした。
【0036】〔静置培養バクテリアセルロースの分散例
1〕上記のゲル状膜を、市販の刃付きのブレンダーで粗
粉砕してから、濃度が0.2%になるように水をいれ、
ソノレーターを用いて流量6L/分、加圧100kg/
cm2、オリフィス開孔面積0.001inch2、音圧
が最大となるように、背圧バルブとブレード位置を調整
した条件にて通し回数1回の分散処理を行い、静置培養
バクテリアセルロースの分散液1を得た。この分散液の
重量濃度0.1%、BLローターを使用した回転数60
rpm、分散液温度35℃の条件で測定したブルックフ
ィールド粘度は35cpsであった。
【0037】実施例1 分散例1の攪拌培養バクテリアセルロース分散液のバク
テリアセルロースと未叩解LBKP(濾水度450c
c)を重量比で2:98に混合し、これに軽質炭酸カル
シウム(奥多摩工業社製:TP−121)100部、陽
性澱粉(ナショナルスターチ&ケミカル社製:Cato
3210)1部を添加し、このスラリーを用いて、填料
歩留まりを求めた。なお、填料分の定量は、500℃、
4時間で灰化して行った。
【0038】実施例2 実施例1で、バクテリアセルロースと未叩解LBKP
(濾水度450cc)を重量比で5:95とした以外は
同様にし、実施例2とした。
【0039】実施例3 実施例1で、バクテリアセルロースと未叩解LBKP
(濾水度450cc)を重量比で3:97とした以外は
同様にし、実施例3とした。
【0040】実施例4 実施例3で、分散例1の攪拌培養バクテリアセルロース
分散液のバクテリアセルロースの代わりに分散例2のバ
クテリアセルロースを用いた以外は同様にし、実施例4
とした。
【0041】実施例5 実施例3で、分散例1の攪拌培養バクテリアセルロース
分散液のバクテリアセルロースの代わりに分散例1の静
置培養バクテリアセルロースを用いた以外は同様にし、
実施例5とした。
【0042】比較例1 実施例3で、分散例1の攪拌培養バクテリアセルロース
分散液のバクテリアセルロースの代わりに分散例3のバ
クテリアセルロースを用いた以外は同様にし、比較例1
とした。
【0043】比較例2 実施例1で、バクテリアセルロースを配合しないで未叩
解LBKP(濾水度450cc)と軽質炭酸カルシウム
100部、陽性澱粉1部を添加し、更にアクルルアミド
系の歩留まり向上剤(ハイモ社製:NR−11LS)を
対パルプ250ppm添加した。このスラリーを用いた
以外は同様にし、比較例2とした。
【0044】比較例3 実施例3で、分散例1の攪拌培養バクテリアセルロース
分散液のバクテリアセルロースの代わりにミクロフィブ
リルセルロース(ダイセル社製:セリッシュFD−10
E)を用いた以外は同様にし、比較例3とした。
【0045】実施例1〜5、及び比較例1および2の試
料についての濾水度、填料歩留まり率及び粘度の測定
は、以下に示す方法により行い、結果の評価結果をまと
めて下表1に示す。
【0046】1)濾水度:填料、抄紙用薬品とバクテリ
アセルロース分散物を混合したパルプスラリー(比較例
2はバクテリアセルロース分散物を含まない)をJIS
P−8121に準拠して、カナダ式標準型濾水度
(C.S.F)を測定した。実機での安定抄造には濾水
度は200cc以上、好ましくは250cc以上が必要
である。
【0047】2)填料歩留まり:填料、抄紙用薬品とバ
クテリアセルロース分散物を混合したパルプスラリー
(比較例2はバクテリアセルロース分散物を含まない)
をTAPPI標準法T−261に準拠して、スクリーン
通過分より填料歩留まりを算出した。なお、炭酸カルシ
ウムの定量は燃焼温度と時間を500℃、4時間とした
以外はJIS P−8128に準拠し、算出した。本配
合のような高填料配合では、填料歩留まりは40%以上
であることが望ましい。
【0048】3)粘度:バクテリアセルロース分散液の
粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製:DVL−B
II)を用いて重量濃度0.1%、BLローターを使用し
た回転数60rpm、分散液温度35℃の条件でブルッ
クフィールド粘度を測定した。
【0049】
【表4】
【0050】上記の表4から明らかなように、パルプス
ラリー中にバクテリアセルロ−スを含有させたものは、
その含有量が増加するに伴って、填料歩留まり率が向上
することが判る(実施例1〜3)。また、静置培養バク
テリアセルロースを含有させたものは、濾水度的には優
れるが、填料歩留まり効果は攪拌培養よりも劣ることが
判る(実施例5)。
【0051】これに反して、パルプスラリー中にバクテ
リアセルロ−スを含有させないものは、填料歩留まり率
が大きく低下する(比較例2)。また、分散処理がソノ
レーターの代わりにミキサーで行ったものについても、
填料歩留まり率に問題がある(比較例1)。さらにバク
テリアセルロースの代わりに、ミクロフィブリルセルロ
ースを含有させた場合には、比較例1と同様に填料歩留
まり率が大きく低下する事が判る(比較例3)。
【0052】
【発明の効果】本発明ではバクテリアセルロースを木材
パルプに規定した量を含有させることにより、高填料配
合でも填料歩留まりに優れたバクテリアセルロース含有
紙の製造方法を得ることができる。該バクテリアセルロ
ースの分散液は、その分散の程度をある特定条件下での
分散液のブルックフィールド粘度で規定したソノレータ
ーによる超音波分散処理を行うことにより、バクテリア
セルロースの填料保持効果を高めることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鍛冶 裕夫 東京都千代田区丸の内3丁目4番2号 三 菱製紙株式会社内 (72)発明者 扇谷 浩 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内 (72)発明者 渡部 乙比古 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内 (72)発明者 火置 信也 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 株式会社バイオポリマー・リサーチ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量濃度0.1%を基準とするバクテリ
    アセルロースの分散に当たって、分散液温度35℃、B
    Lローターを回転数60rpmとする条件で測定したブ
    ルックフィールド粘度が35cps以上であるように、
    ソノレーターによる超音波分散処理した該バクテリアセ
    ルロースの分散液を用い、全パルプ量の5重量%以下に
    該バクテリアセルロースを含有させて製造する事を特徴
    とするバクテリアセルロース含有紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 バクテリアセルロースが、通気攪拌培養
    にて製造される事を特徴とする請求項1記載のバクテリ
    アセルロース含有紙の製造方法。
JP8090297A 1997-03-31 1997-03-31 バクテリアセルロース含有紙の製造方法 Pending JPH10273891A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8090297A JPH10273891A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 バクテリアセルロース含有紙の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8090297A JPH10273891A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 バクテリアセルロース含有紙の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10273891A true JPH10273891A (ja) 1998-10-13

Family

ID=13731310

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8090297A Pending JPH10273891A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 バクテリアセルロース含有紙の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10273891A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011012934A2 (en) 2009-07-31 2011-02-03 Universidade De Aveiro Aqueous coating compositions for use in surface treatment of cellulosic substrates
JP2013527876A (ja) * 2010-05-12 2013-07-04 ストラ エンソ オーワイジェイ ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物及び組成物の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011012934A2 (en) 2009-07-31 2011-02-03 Universidade De Aveiro Aqueous coating compositions for use in surface treatment of cellulosic substrates
JP2013527876A (ja) * 2010-05-12 2013-07-04 ストラ エンソ オーワイジェイ ミクロフィブリル化セルロースを含む組成物及び組成物の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4892590A (en) Precipitated calcium carbonate-cationic starch binder as retention aid system for papermaking
TWI525235B (zh) 製備自黏合顏料粒子之方法,由此獲得之自黏合顏料粒子懸浮液,包含自黏合顏料粒子之紙製品及自黏合顏料粒子懸浮液之用途
EP2931970B1 (en) Cellulose-derived compositions
CN104746388B (zh) 一种提高高分子乳化剂乳化的asa 乳液的施胶效果的方法
DE69938565T2 (de) Herstellungsverfahren von stabilen kieselsol mit hoher oberfläche und verbesserter aktivität
JPH09132601A (ja) 多孔性セルロース粒子の製造方法
JPH1095803A (ja) セルロース被膜及びその形成方法
JP4796282B2 (ja) 低密度印刷用紙
JPH10273891A (ja) バクテリアセルロース含有紙の製造方法
JPH06287887A (ja) バクテリアセルロース含有紙
US11326307B2 (en) Process for the preparation of flocculated filler particles
JPH083892A (ja) 填料含有シート及びその製造方法、並びにそれを用いた記録媒体
JP3274529B2 (ja) バクテリアセルロース含有紙
JP2874824B2 (ja) バクテリアセルロース含有填料内添紙及びその製造方法
JPH1161678A (ja) 薄葉印刷紙
JP2874825B2 (ja) 微生物セルロース含有填料内添紙及びその製造方法
JP2763853B2 (ja) バクテリアセルロース含有紙及びその製造方法
JP2981837B2 (ja) バクテリアセルロース離解物の製造方法
JPH01156600A (ja) 高機能性シートの製造方法
JP2004059393A (ja) 親水性有機化合物により物理/化学修飾された変成二酸化チタンおよびその製造方法、ならびにそれを用いた新規の材料
JPH08127601A (ja) 濾水度調整剤
JP3823505B2 (ja) バクテリアセルロースより成る填料歩留まり向上剤
JPH07305295A (ja) 填料歩留まり向上剤
JP2926210B2 (ja) バクテリアセルロース離解物
JPH09158081A (ja) 新聞用紙