JPH10273818A - ポリテトラフルオロエチレン系繊維の製造法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン系繊維の製造法

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JPH10273818A
JPH10273818A JP7740097A JP7740097A JPH10273818A JP H10273818 A JPH10273818 A JP H10273818A JP 7740097 A JP7740097 A JP 7740097A JP 7740097 A JP7740097 A JP 7740097A JP H10273818 A JPH10273818 A JP H10273818A
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polytetrafluoroethylene
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polymer
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Shoichi Sugimura
祥一 杉村
Mototada Fukuhara
基忠 福原
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成工程での伝熱ムラや焼成ムラを解消する
ことによりポリテトラフルオロエチレン系ポリマ粒子の
融着強化を施し、さらに後工程での高倍率延伸が可能と
なる高強度のポリテトラフルオロエチレン系繊維の製造
法を提供する。 【解決手段】 エマルジョン紡糸により成形されたポリ
テトラフルオロエチレン系ポリマを主体とする成形体
を、100℃以上該ポリマの融点以下の加熱雰囲気中
で、弛緩率1%以上25%以下で乾燥処理したものを、
焼成、熱延伸するポリテトラフルオロエチレン系繊維の
製造法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐アルカ
リ性、耐酸性、耐溶剤性、耐薬品性、電気絶縁性、摩擦
特性、耐候性などに優れたポリテトラフルオロエチレン
(以下PTFEと略記する)系繊維の製造法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来よりPTFE系繊維は耐熱性、耐ア
ルカリ性、耐酸性、耐溶剤性、耐薬品性、電気絶縁性、
摩擦特性、耐候性などに優れるといった特徴があり、産
業資材用途において広く利用されている。
【0003】しかしながら、PTFE系ポリマは、該ポ
リマの加熱溶融体の粘度が著しく高いため溶融成形に適
さず、また適当な溶媒が無いため湿式紡糸も困難であっ
た。そこで特公昭52−25453号公報、特開平1−
139840号公報には、ビスコース、ポリビニルアル
コール、アルギン酸ナトリウムなどのマトリックスポリ
マと、粒子状態のPTFE系ポリマを水に分散させた水
ディスパージョン・エマルジョンの混合液を湿式紡糸、
あるいは湿式成形する、いわゆるエマルジョン紡糸法が
開示されている。
【0004】この方法においては、混合液を口金から吐
出し繊維状に成形され、凝固、精練後、熱処理工程とし
て、「焼成」が行われる。そして焼成を、マトリックス
ポリマ中に粒子状態で存在しているPTFE系ポリマの
融点以上の温度で行うことにより、精練後の糸条に含ま
れる水分とマトリックスポリマの大部分を飛散させると
同時に、PTFE系ポリマ粒子を溶融・融着させ、この
溶融・融着により繊維に延伸性が付与され、要求される
強度が発現されるのである。
【0005】しかし、この方法においては、糸条の水分
の除去と、PTFE系ポリマ粒子間の融着が同時に行わ
れており、しかも焼成を加熱ローラや加熱ドラムなどの
接触方式で行っているため、糸条と加熱体の接触面側と
非接触面側で伝熱ムラが生じ、水分の除去ムラ、焼成ム
ラが生じてしまう。さらに、焼成が定長または緊張状態
で行われているため、糸条に大きな張力が働きPTFE
系ポリマ粒子間の融着が十分に行われず、しかも異物と
なる炭素成分が繊維中に残り、これが後の延伸工程で欠
陥となってしまう。このため、延伸倍率は高々10倍程
度であり、得られる繊維の引張強度も1.8g/d
(0.37GPa)程度と低いものとなる。
【0006】一方、特公昭51−18991号公報、特
開平2−286220号公報、特開平8−49112号
公報には、マトリックスポリマを用いず、PTFE系ポ
リマに低沸点のミネラルスピリットなど可塑化助剤を添
加しペースト状物として押出し、(1)圧延ロールによ
ってフィルム状とするものや、(2)円筒状の容器中に
入れて丸棒(ロッド)状に圧縮加工したものを、PTF
E系ポリマの融点以上の温度で焼結し得られた丸棒(プ
リカーサ)を切削しフィルム状とするペースト押出し法
と、得られたフイルム状物を刃物により細かく切り裂い
て繊維状物とする割繊技術とを組み合わせた成形法が提
案されている。
【0007】しかしながら、特公昭51−18991号
公報、特開平2−286220号公報、特開平8−49
112号公報に記載の製法で得られる繊維状物は、低沸
点の可塑化助剤を用いるため、異物となる炭素成分が繊
維中に残らないものの、製法上、プリカーサに空気もし
くは不活性ガスの混入が避けられず、プリカーサ内部に
無数の空洞あるいは微細なボイドの生成される。このた
め、該プリカーサを切削して得られるフィルム状物は微
細なボイドを含む場合があり、これが欠陥となり最終的
に得られる繊維状物の強度のバラツキが大きくなってし
まう。さらにフィルム状物を細かく切り裂いて繊維状物
を製造するため、繊維状物の断面形状が矩形となり、し
かもランダムで均一性に劣るといった欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の問題点を解決し、焼成工程での伝熱ムラや焼成ム
ラを解消しPTFE系ポリマ粒子の融着強化を図り、後
工程での高倍率延伸が可能な高強度のPTFE系繊維の
製造法を提供することをその目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本発明は次の構成を有する。すなわち、エマルジョ
ン紡糸により成形されたポリテトラフルオロエチレン系
ポリマを主体とする成形体を、100℃以上該ポリマの
融点以下の加熱雰囲気中で、弛緩率を1%以上25%以
下として乾燥処理したものを、焼成、熱延伸することを
特徴とするポリテトラフルオロエチレン系繊維の製造法
である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のPTFE系繊維の
製造法について詳細に説明する。
【0011】本発明においてPTFE系ポリマとして
は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフル
オロエチレンなどホモポリマ、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロ
エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などテ
トラフルオロエチレンを主体とした共重合体単独あるい
はこれらの混合物などが挙げられる。
【0012】またPTFE系ポリマを主体とする成形体
は、ビスコース、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナ
トリウムなどのマトリックスポリマとPTFE系ポリマ
のエマルジョンの混合物を成形用口金より凝固浴液中に
吐出し、次いで洗浄、精練するエマルジョン紡糸法によ
って得られた成形体である必要がある。成形法がエマル
ジョン紡糸法であるため、得られる繊維の単繊維断面形
状を均一な円形とすることが容易であるなど、実用上の
商品設計が容易となる。
【0013】ここで、エマルジョン紡糸法について、マ
トリックスポリマとしてビスコースを用いた例を挙げて
さらに説明する。なお、本発明においては、濃度は特記
しない限り重量%を意味するものとする。
【0014】予め、ビスコースとPTFE系ポリマの水
ディスパージョンの混合液を成形用エマルジョンとして
用意する。ビスコース組成は一般にセルロース濃度3〜
10%、アルカリ濃度2〜12%、二硫化炭素27〜3
2%(セルロースに対し)の範囲であるが、ここでは特
に、通常レーヨンの製造に用いられる、セルロース濃度
6〜9%、アルカリ濃度5〜9%、二硫化炭素28〜3
0%(セルロースに対し)の組成のビスコースが好まし
く用いられる。
【0015】PTFE系ポリマの水ディスパージョンと
しては、PTFE系ポリマの粒子を水に分散させ、PT
FE系ポリマ濃度20〜75%としたものが好ましく、
さらに安定剤として非イオン活性剤またはアニオン活性
剤をPTFE系ポリマ量に対して3〜10%含有するも
のが好都合に用いられる。PTFE系ポリマは、高重合
度である程、分子鎖末端といった欠陥部が減少し、より
高強度化のポテンシャルを有することから、その分子量
が200万〜2000万程度のものが好ましい。またP
TFE系ポリマの粒子の大きさは0.05〜1ミクロン
のものが操作性の点から好ましく、さらには0.2〜
0.6ミクロンとするのがより好ましい。
【0016】ビスコースとPTFE系ポリマの水ディス
パージョン混合液の組成は、混合高分子物中PTFE系
ポリマが60〜96%が好ましく、特に70〜95%が
好ましい。混合液の粘度はビスコースとPTFE系ポリ
マの混合比、使用するビスコースの熟成度及びセルロー
ル濃度によって異なるが、吐出成形を安定に行う観点か
らは30℃で50〜200ポイズとするのが好ましい。
【0017】かかる成形用エマルジョンは、モノホール
または複数のホールを有する成形用口金よりビスコース
凝固浴液中に吐出する、いわゆる湿式成形法により繊維
状物に成形される。
【0018】この時、凝固浴としては、無機鉱酸及び/
または無機塩の水溶液が挙げられ、飽和塩類水溶液中に
吐出されたあと、無機酸中で再生する2浴成形法なども
挙げられる。硫酸−硫酸ナトリウムの混合水溶液が好ま
しく挙げられる。
【0019】成形用口金から吐出されたあと、水により
洗浄された繊維状物は次に精練される。精練浴としては
アルカリ金属の水酸化物、水に溶けてアルカリ性を示す
有機化合物、例えばパラベンゼンスルホン酸ソーダなど
を溶解した水溶液が好ましいが、一般には苛性ソーダ水
溶液が使われる。
【0020】このようなエマルジョン紡糸法によって成
形される繊維の単糸断面形状は均一な円形となり、実用
上の商品設計において非常に重要な効果を現すのであ
る。
【0021】本発明においては、前記したエマルジョン
紡糸法によって得られた成形体を、100℃以上PTF
E系ポリマの融点以下の加熱雰囲気中で、弛緩率を1%
以上25%以下、好ましくは5%以上20%以下として
乾燥処理し、さらに焼成、熱延伸する必要がある。
【0022】この乾燥処理は、水分を除去できるもので
あれば、真空中、空気中、窒素中、酸素中、ヘリウムガ
ス中などの種々の雰囲気下で実施できるが、高温下の処
理であり、温度分布の均一性、作業の操作性、作業環境
の安全性、製造コストなどの点および最終製品の品質の
点から空気中で行うことが好ましい。
【0023】この乾燥処理工程において、精練後の水分
を含んだ繊維状の成形体を熱ローラなどを用いた接触方
式またはPTFE系ポリマの融点以上の温度で乾燥処理
すると、加熱体の接触面側と非接触面側とで伝熱ムラが
生じ、繊維の熱処理ムラが生じてしまう。
【0024】また雰囲気温度は100℃以上PTFE系
ポリマの融点以下である必要があり、100℃未満であ
ると、水分除去が十分行われず熱処理ムラが生じ、また
PTFE系ポリマの融点を超えると、水分除去とPTF
E系ポリマ粒子の融着が同時に行われ、延伸倍率、強度
の低いものとなる。
【0025】また弛緩率とは、乾燥処理前後で成形体を
長手方向に収縮させる比率を意味し、本発明において、
1%以上25%以下である必要がある。弛緩率が1%未
満では、成形体の収縮が十分ではなく、後の焼成処理に
おいてPTFE系ポリマ粒子間の融着が十分行われない
ため後述する熱延伸で、高倍率の延伸ができなくなる。
また、弛緩率が25%を超えると糸条がたるみ、隣接糸
条と交錯してしまうなどして、糸条の安定走行、安定乾
燥処理ができなくなる。
【0026】本発明においては、成形体をその長手方向
に連続的に走行せしめ乾燥処理を行う場合に、成形体の
乾燥処理からの引き取り速度を、乾燥処理への供給速度
に対して1%以上25%以下、好ましくは5%以上20
%以下小さくすることにより容易に弛緩率を調節でき
る。
【0027】このようにして得られる乾燥体は、ムラが
無く均一に乾燥処理されているため、以後の焼成により
PTFE系ポリマの粒子が溶融・融着され、熱延伸によ
り延伸倍率を12倍以上、好ましくは14倍以上とする
高倍率の延伸が可能となり、この延伸によって引張強度
が2.2g/d(0.45GPa)以上、好ましくは
2.4g/d(0.49GPa)以上、さらに好ましく
は2.6g/d(0.53GPa)以上といったPTF
E系繊維の高強度化が達成できるのである。
【0028】焼成はPTFE系ポリマの融点以上の温
度、例えば330〜400℃の温度で行うことが好まし
く、熱延伸も通常の行われる、例えば300〜400℃
の温度で熱延伸することが好ましい。
【0029】
【実施例】以下、実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の各特性値は次の方法にして測定さ
れたものである。
【0030】A.強度、伸度 繊維サンプルを18℃、65%RHに温湿度調整された
部屋で24時間放置後、10cmあたり8ターンの撚り
を掛けたものを“テンシロン”UTM−3L型引張試験
機(東洋MEASURING INSTRUMENTS(株)製)を使用し
て、試長25cm、引張速度30cm/分で測定した。
チャックはコード用エアージョーを使用した。B.繊維
中の炭素成分含有率 繊維サンプルを300℃の加熱空気中で24時間連続熱
処理した前後の質量変化率を算出して炭素成分含有率と
した。
【0031】実施例1〜2 ビスコース熟成度(塩点)5.0、セルロース濃度9.
0%、アルカリ濃度5.9%、二硫化炭素29%(セル
ロースに対し)のビスコース49%と、分子量約300
万であるPTFEポリマの濃度が60%の水ディスパー
ジョン51%を混合した後、10トールの減圧下で脱泡
して重合体濃度35.0%の成形用原液を得た。原液中
のPTFEポリマ含有量は87.4%であり、30℃で
測定した原液粘度は125ポイズであった。この原液を
孔径0.12mm、孔数180の成形用口金に導き、凝
固浴液中に吐出した。凝固液は硫酸濃度10%、硫酸ナ
トリウム濃度21.0%の混合水溶液であり、温度は1
0℃であった。凝固糸条を速度25m/分で引き取り、
次いで温度70℃の温水で洗浄して大部分の硫酸及び硫
酸ナトリウムを除いた後、濃度0.2%の苛性ソーダ水
溶液中に導いて精練し、酸成分を完全に除去した。精練
後の糸条をニップローラーに導き、含水率50%のPT
FEポリマを主体とする繊維状成形体を得た。このとき
PTFEポリマの融点は327℃であった。
【0032】次いで、得られた成形体を温度260℃に
加熱した空気中で、弛緩率を1%(実施例1)、5%
(実施例2)として、乾燥処理して乾燥体を得た。
【0033】これらの乾燥体を温度380℃の加熱空気
中で焼成熱処理を行い、焼成体を得た。さらに焼成体を
温度350℃に加熱したローラに接触させながら熱延伸
を行いPTFE系繊維を得た。表1に示すようにいずれ
も均一に熱処理が行われているため、13倍以上といっ
た高倍率の安定延伸が可能で、かかる延伸倍率で延伸し
て得られたPTFE系繊維は、従来のものに比べ高強度
のものであった。また得られた繊維の断面は均一な円形
をしていた。
【0034】実施例3〜4 実施例1と同様に実施して得られた精練後の成形体を、
温度290℃に加熱した空気中で、弛緩率を12%(実
施例3)、20%(実施例4)として乾燥処理して乾燥
体を得た。これらの乾燥体を温度380℃の加熱空気中
で焼成熱処理を行い、焼成体を得た。さらに焼成体を温
度350℃に加熱したローラに接触させながら熱延伸を
行いPTFE系繊維を得た。表1に示すようにいずれも
延伸倍率が14倍以上といった高倍率の安定延伸が可能
で、かかる延伸倍率で延伸して得られたPTFE系繊維
は、従来のものに比べ高強度のものであった。また得ら
れた繊維の断面は均一な円形をしていた。
【0035】実施例5 実施例1と同様に実施して得られた精練後の成形体を、
温度320℃に加熱した空気中で弛緩率を25%として
乾燥処理して乾燥体を得た。この乾燥体を温度380℃
の加熱空気中で焼成熱処理を行い、さらに温度350℃
に加熱したローラに接触させながら熱延伸を行ってPT
FE繊維を得た。延伸倍率が13倍以上といった高倍率
の安定延伸が可能で、得られた繊維の物性は、引張強度
2.72g/d(0.55GPa)、伸度15%、繊維
中の炭素成分含有率1.9%であ利十分満足できるもの
であった。
【0036】実施例6 実施例1と同様に実施して得られた精練後の成形体を、
温度100℃に加熱した空気中で弛緩率を5%として乾
燥処理し、さらに温度380℃に加熱した空気中で焼成
熱処理を行い焼成体を得た。この焼成体を温度350℃
に加熱したローラに接触させながら熱延伸を行い、PT
FE系繊維を得た。表1に示すように延伸倍率は12.
3倍と若干低めであったが、得られた繊維の物性は引張
強度2.23g/d(0.45GPa)、伸度19%、
繊維中の炭素成分含有率2.8%であり、実用上十分な
ものであった。
【0037】比較例1 乾燥処理条件を、定長(0%の弛緩状態)で乾燥処理し
た以外は、実施例1と同様に実施して得られた乾燥体
は、その粒子間距離の収縮が不十分であり、後の焼成処
理においてPTFE系ポリマ粒子間の融着が十分行われ
ないため、表1に示すように延伸倍率が10.2倍であ
った。そして、かかる延伸倍率で延伸して得られたPT
FE繊維の物性は、引張強度1.78g/d(0.36
GPa)、伸度24%、炭素成分含有率が3.4%と劣
るものであった。
【0038】比較例2 実施例1と同様にして得られた成形体を、温度260℃
に加熱した空気中で30%の弛緩状態で乾燥処理して乾
燥体を得ようとしたが、糸状がたるみ隣接糸状と交錯し
てしまい糸状の安定走行、安定乾燥処理ができなかっ
た。
【0039】比較例3 実施例1と同様にして得られた成形体を、温度90℃に
加熱した空気中で乾燥処理して乾燥体を得ようとした
が、水分の除去および成形体の収縮が不十分なため、後
の焼成処理においてPTFE系ポリマ粒子間の融着が十
分行われず、表1に示すように延伸倍率が8.6倍であ
った。そして、かかる延伸倍率で延伸して得られたPT
FE繊維の物性は、繊度1452D、引張強度1.63
g/d(0.33GPa)、伸度24%、炭素含有率が
3.6%であり十分なものは得られなかった。
【0040】比較例4 実施例1と同様にして得られた成形体を、温度350℃
に加熱した空気中で乾燥処理して乾燥体を得ようとした
が、温度がPTFE系ポリマの融点以上であるため水分
の除去とPTFE系ポリマ粒子間の融着が同時に行われ
ており、水分の除去ムラのため後の焼成処理においてP
TFE系ポリマ粒子間の融着が十分行われず、表1に示
すように延伸倍率が9.7倍と低く、かかる延伸倍率で
延伸して得られたPTFE繊維の物性は、繊度1283
D、引張強度1.82g/d(0.37GPa)、伸度
23%、炭素含有率が3.2%であり、十分なものは得
られなかった。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、エマルジョン紡糸法に
より成形されたPTFE系ポリマを主体とする成形体
を、100℃以上PTFE系ポリマの融点以下の加熱雰
囲気下で特定の弛緩率を付与しながら乾燥することによ
り、熱処理ムラが発生せず、PTFE系ポリマの融着が
均一で強固であり、高倍率延伸が可能となるため、PT
FE系ポリマの有する優れた諸特性、すなわち、耐熱
性、耐アルカリ性、耐酸性、耐溶剤性、耐薬品性、電気
絶縁性、摩擦特性、耐候性などを有する高強度の繊維を
製造できる。また、得られる繊維の単繊維断面形状も均
一な円形となり、商品設計も容易である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エマルジョン紡糸により成形されたポリテ
    トラフルオロエチレン系ポリマを主体とする成形体を、
    100℃以上該ポリマの融点以下の加熱雰囲気中で、弛
    緩率を1%以上25%以下として乾燥処理したものを、
    焼成、熱延伸することを特徴とするポリテトラフルオロ
    エチレン系繊維の製造法。
JP7740097A 1997-03-28 1997-03-28 ポリテトラフルオロエチレン系繊維の製造法 Pending JPH10273818A (ja)

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