JPH10269553A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH10269553A
JPH10269553A JP8589597A JP8589597A JPH10269553A JP H10269553 A JPH10269553 A JP H10269553A JP 8589597 A JP8589597 A JP 8589597A JP 8589597 A JP8589597 A JP 8589597A JP H10269553 A JPH10269553 A JP H10269553A
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JP
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magnetic
particles
particle powder
magnetic recording
aluminum
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JP8589597A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Hayashi
一之 林
Keisuke Iwasaki
敬介 岩崎
Hiroko Morii
弘子 森井
Yasuyuki Tanaka
泰幸 田中
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Toda Kogyo Corp
Original Assignee
Toda Kogyo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過率が小さく、強度が大きいとともによ
り表面平滑であって、且つ、より耐久性に優れており、
しかも、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制
された非磁性下地層を有する磁気記録媒体を工業的に得
る。 【解決手段】 非磁性下地層中の非磁性粒子粉末として
粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニ
ウムを含有している針状粒子からなる平均長軸径が0.
3μm以下であって、粉体pH値が8以上であって、且
つ、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で300p
pm以下、可溶性硫酸塩の含有量がSO4換算で150
ppm以下である針状ヘマタイト粒子粉末を用いるとと
もに、磁気記録層中の磁性粒子粉末としてAl換算で
0.05〜10重量%のアルミニウムが存在している鉄
を主成分とする針状金属磁性粒子粉末を用いた磁気記録
媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光透過率が小さく、強
度が大きいとともにより表面平滑であって、且つ、より
耐久性に優れており、しかも、磁気記録層中に分散され
ている鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う
磁気特性の劣化が抑制された非磁性下地層を有する磁気
記録媒体を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周
波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まってい
る。
【0003】磁気記録媒体のこれら諸特性を向上させる
ために、磁性粒子粉末の高性能化及び磁気記録層の薄層
化の両面から、種々の試みがなされている。
【0004】先ず、磁性粒子粉末の高性能化について述
べる。
【0005】磁気記録媒体に対する上記のような要求を
満足させる為に適した磁性粒子粉末の特性は、高い保磁
力と大きな飽和磁化とを有することである。
【0006】近年、高出力並びに高密度記録に適する磁
性粒子粉末として針状ゲータイト粒子又は針状ヘマタイ
ト粒子を還元性ガス中で加熱還元することにより得られ
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末が広く使用さ
れている。
【0007】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
は、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有するものである
が、磁気記録媒体用に使用される鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末は、1μm以下、殊に、0.01〜
0.3μm程度の非常に微細な粒子である為、腐蝕しや
すく、磁気特性が劣化し、殊に、飽和磁化及び保磁力の
減少をきたすという欠点がある。
【0008】従って、磁性粒子粉末として鉄を主成分と
する金属磁性粒子粉末を使用している磁気記録媒体の特
性を長期に亘って維持するためには、鉄を主成分とする
針状金属磁性粒子の腐蝕を極力抑制することが強く要求
される。
【0009】次に、磁気記録層の薄層化について述べ
る。
【0010】近時におけるビデオテープの高画像高画質
化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテー
プに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高
くなっている。即ち、短波長領域に移行しており、その
結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くな
っている。
【0011】短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出
力特性、殊に、S/N比を向上させる為には、磁気記録
層の薄層化が強く要求されている。この事実は、例え
ば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と
磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥
‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短
波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できる
ことであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが
‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必
要である。‥‥」なる記載の通りである。
【0012】磁気記録層の薄層化が進む中で、いくつか
の問題が生じている。第一に、磁気記録層の平滑化と厚
みむらの問題であり、周知の通り、磁気記録層を平滑で
厚みむらがないものとするためには、ベースフィルムの
表面もまた平滑でなければならない。この事実は、例え
ば、工学情報センター出版部発行「磁気テープ−ヘッド
走行系の摩擦摩耗発生要因とトラブル対策−総合技術資
料集(−以下、総合技術資料集という−)」(昭和62
年)第180及び181頁の「‥‥硬化後の磁性層表面
粗さは、ベースの表面粗さ(バック面粗さ)に強く依存
し両者はほぼ比例関係にあり、‥‥磁性層はベースの上
に塗布されているからベースの表面を平滑にすればする
ほど均一で大きなヘッド出力が得られS/Nが向上す
る。‥‥」なる記載の通りである。
【0013】第二に、ベースフィルム等の非磁性支持体
もまた磁性層と同様に薄層化が進んでおり、その結果、
ベースフィルムの強度が問題となってきている。この事
実は、例えば、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化
技術」第77頁の「‥‥高密度記録化が今の磁気テープ
に課せられた大きなテーマであるが、このことは、テー
プの長さを短くしてカセットを小型化していく上でも、
また長時間記録に対しても重要となってくる。このため
にはフィルムベースの厚さを減らすことが必要な訳であ
る。‥‥このように薄くなるにつれてテープのスティフ
ネスが急激に減少してしまうためレコーダーでのスムー
ズな走行がむずかしくなる。ビデオテープの薄型化にと
もない長手方向、幅方向両方向に渡ってのこのスティフ
ネスの向上が大いに望まれている。‥‥」なる記載の通
りである。
【0014】ところで、現在、ビデオテープ等の磁気記
録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の光透
過率の大きい部分をビデオデッキによって検知すること
により行われている。磁気記録層の薄層化や磁気記録層
中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に伴って
磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオデッキ
による検知が困難となる為、磁気記録層にカーボンブラ
ック等を添加して光透過率を小さくすることが行われて
いる。そのため、現行のビデオテープにおいては磁気記
録層へのカーボンブラック等の添加は必須となってい
る。
【0015】しかし、非磁性のカーボンブラック等を多
量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりで
なく、磁気記録層の薄層化をも阻害する原因となる。磁
気記録層の表面からの磁化深度を浅くして、磁気記録層
の薄層化をより進めるためには、磁気記録層に添加する
カーボンブラック等の非磁性粒子粉末をできるだけ少な
くすることが強く要求されている。
【0016】そこで、磁気記録層に添加するカーボンブ
ラック量を少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体
が強く要求されており、この点からも磁気記録層を形成
するための基体の改良が強く要求されている。
【0017】更に、近時における磁気記録媒体の高性能
化の要求はとどまるところがなく、上述した磁気記録層
の薄層化や非磁性支持体の薄層化に伴って、磁気記録層
表面や磁気記録媒体自体の耐久性が低下することとなる
ため、磁気記録層表面や磁気記録媒体自体の耐久性を向
上させることが強く要求されている。
【0018】この事実は、特開平5−298679号公
報の「‥‥近年、磁気記録の発展と共に高画質、高音質
の要求がますます高まっており、電磁変換特性の改良、
特に強磁性粉末の微粒子化、高密度化が進められ、更に
磁気テープの表面を平滑化することでノイズを下げ、C
/Nを上げることが要求されている。‥‥しかしなが
ら、磁気テープの走行中において磁性層と装置系との接
触の摩擦係数が増大する結果、短時間の使用で磁気記録
媒体の磁性層が損傷を受け、あるいは磁性層が剥離する
傾向がある。特にビデオテープではビデオヘッドと磁気
記録媒体が高速で接触しながら走行するため、磁性層か
ら強磁性粉末が脱落しやすく、磁気ヘッドの目詰まりの
原因ともなる。従って、磁気記録媒体の磁性層の走行耐
久性の向上が望まれている。‥‥」なる記載から明らか
である。
【0019】磁気記録層の薄層化や非磁性支持体の薄層
化に伴って、磁気記録層を形成するための基体を改良す
る試みが種々行われており、ベースフィルム等の非磁性
支持体上にヘマタイト粒子等の鉄を主成分とする非磁性
粒子粉末を結合剤中に分散させてなる下地層(以下、非
磁性下地層という。)を少なくとも1層設けることが行
われており、既に、実用化されている。(特公平6−9
3297号公報、特開昭62−159338号公報、特
開昭63−187418号公報、特開平4−16722
5号公報、特開平4−325915公報、特開平5−7
3882号公報、特開平5−182177号公報、特開
平5−347017号公報、特開平6−60362号公
報、特開平9−22524号公報等)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録層の薄層化は
もちろん、非磁性支持体の薄層化に伴って、光透過率が
小さく、強度が大きいとともにより表面平滑であって、
且つ、より耐久性が優れており、しかも、磁気記録層中
に分散されている鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の
腐蝕を抑制された磁気記録媒体は、現在最も要求されて
いるところであるが、このような諸特性を十分満たす磁
気記録媒体は未だ得られていない。
【0021】即ち、非磁性支持体上に非磁性粉末を結合
剤樹脂中に分散させた非磁性下地層を形成した基体を用
いて製造した前記公知の磁気記録媒体は、光透過率が小
さく、表面が平滑で、強度が大きいものではあるが、耐
久性が悪いという問題があった。
【0022】この事実は、特開平5−182177号公
報の「‥‥支持体表面の非磁性の厚い下塗層を設けてか
ら磁性層を上層として設けるようにすれば前記の支持体
の表面粗さの影響は解消することができるが、ヘッド磨
耗や耐久性が改善されないという問題があった。これ
は、従来、非磁性下層として熱硬化系樹脂を結合剤とし
て用いているので、下層が硬化し、磁性層とヘッドとの
摩擦や他の部材との接触が無緩衝状態で行われること
や、このような下層を有する磁気記録媒体がやや可撓性
に乏しい等のことに起因していると考えられる。‥‥」
なる記載の通りである。
【0023】また、前記公知の磁気記録媒体は、磁気記
録層中に分散されている鉄を主成分とする金属磁性粒子
粉末が製造後、腐蝕が生起し、大幅な磁気特性の減少を
きたすという問題も指摘されている。
【0024】更に、前記公知の磁気記録媒体における表
面平滑化の要求はとどまるところがなく、磁気記録層の
薄層化に伴って、磁気記録層の表面をより平滑化するこ
とが、益々強く要求されている。
【0025】そこで、本発明は、光透過率が小さく、強
度が大きいとともにより表面平滑であって、且つ、より
耐久性が優れており、しかも、磁気記録層中に分散され
ている鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う
磁気特性の劣化が抑制された磁気記録媒体を得ることを
技術的課題とする。
【0026】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0027】即ち、本発明は、非磁性支持体と該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを
含む非磁性下地層と該非磁性下地層の上に形成される磁
性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層とからなる
磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末は粒子内部
にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含
有している平均長軸径が0.3μm以下の針状粒子から
なる粉体pH値が8以上であって、且つ、可溶性ナトリ
ウム塩の含有量がNa換算で300ppm以下、可溶性
硫酸塩の含有量がSO4 換算で150ppm以下である
針状ヘマタイト粒子粉末であり、前記磁性粒子粉末はA
l換算で0.05〜10重量%のアルミニウムが存在し
ている鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末であるこ
とを特徴とする磁気記録媒体である。
【0028】また、本発明は、非磁性支持体と該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを
含む非磁性下地層と該非磁性下地層の上に形成される磁
性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層とからなる
磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末は粒子内部
にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを粒
子内部に含有し、且つ、アルミニウムの水酸化物、アル
ミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化
物の少なくとも1種で粒子表面が被覆されている平均長
軸径が0.3μm以下の針状粒子からなる粉体pH値が
8以上であって、且つ、可溶性ナトリウム塩の含有量が
Na換算で300ppm以下、可溶性硫酸塩の含有量が
SO4 換算で150ppm以下である針状ヘマタイト粒
子粉末であり、前記磁性粒子粉末はAl換算で0.05
〜10重量%のアルミニウムが存在している鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末であることを特徴とする磁
気記録媒体である。
【0029】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0030】先ず、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0031】本発明における針状ヘマタイト粒子は、A
l換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを粒子内
部にほぼ均一に含有している。
【0032】粒子内部にアルミニウムをほぼ均一に含有
している針状ヘマタイト粒子は、後に詳述する通り、第
一鉄塩と、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ又は水酸化ア
ルカリ・炭酸アルカリのいずれかとを用いて反応して得
られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等の鉄含有沈澱物を含む懸
濁液に空気等の酸素含有ガスを通気して針状ゲータイト
粒子を生成させるにあたり、空気等の酸素含有ガスを通
気する前にアルミニウム化合物を存在させておくことに
より、粒子の中心部から粒子表面に至るまでアルミニウ
ムが実質的に均一に含有されている針状ゲータイト粒子
を生成し、該ゲータイト粒子を加熱脱水することにより
得ることができる。
【0033】このようにして得られる針状ヘマタイト粒
子は、粒子の中心部から粒子表面に至るまでアルミニウ
ムが実質的に均一に含有されている粒子である。
【0034】粒子内部に含有されているアルミニウム量
が針状ヘマタイト粒子に対しAl換算で0.05重量%
未満の場合には、得られる非磁性下地層を有する磁気記
録媒体は十分な耐久性を有しない。50重量%を越える
場合には、得られる非磁性下地層を有する磁気記録媒体
は十分な耐久性を有しているが、効果が飽和するため必
要以上に含有させる意味がない。磁気記録媒体の耐久性
を考慮すると0.5〜50重量%が好ましい。より好ま
しくは1.0〜50重量%である。
【0035】本発明における針状ヘマタイト粒子は、軸
比(平均長軸径:平均短軸径、以下、単に「軸比」とい
う。)が2:1以上、好ましくは3:1以上の粒子が好
ましい。ビヒクル中での分散性を考慮すれば、その上限
値は、20:1以下、好ましくは10:1以下の粒子が
好ましい。ここで、針状粒子とは、針状はもちろん、紡
錘状、米粒状等を含む意味である。
【0036】軸比が2未満の場合には、所望の塗膜強度
が得られ難くなる。
【0037】本発明における針状ヘマタイト粒子の平均
長軸径は0.3μm以下である。平均長軸径が0.3μ
mを越える場合には、粒子サイズが大きすぎる為、塗膜
の表面平滑性を害するので好ましくない。針状ヘマタイ
ト粒子の平均長軸径が0.005μm未満の場合には、
ビヒクル中における分散が困難となる。ビヒクル中にお
ける分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば0.02
〜0.2μmが好ましい。
【0038】本発明における針状ヘマタイト粒子は、平
均短軸径が0.0025〜0.15μmが好ましい。
0.0025μm未満の場合には、ビヒクル中における
分散が困難となる為に好ましくない。平均短軸径が0.
15μmを越える場合には、粒子サイズが大きすぎる
為、塗膜の表面平滑性を害するので好ましくない。ビヒ
クル中における分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれ
ば0.01〜0.10μmが好ましい。
【0039】本発明における針状ヘマタイト粒子粉末の
粉体pH値は8以上である。粉体pH値が8未満の場合
には、非磁性下地層の上に形成されている磁気記録層中
に含まれる鉄を主体とする金属磁性粒子粉末を徐々に腐
蝕させ、磁気特性の劣化を引き起こす。鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、粉体
pH値は8.5以上が好ましく、より好ましくは粉体p
H値が9.0以上である。その上限値は粉体pH値が1
2、好ましくは粉体pH値11、より好ましくは粉体p
H値10.5である。
【0040】本発明における針状ヘマタイト粒子の可溶
性ナトリウム塩の含有量はNa換算で300ppm以下
である。300ppmを越える場合には、非磁性下地層
の上に形成されている磁気記録層中に含まれる鉄を主体
とする金属磁性粒子粉末を徐々に腐蝕させ、磁気特性の
劣化を引き起こす。また、ビヒクル中における針状ヘマ
タイト粒子の分散特性が害されやすくなったり、磁気記
録媒体の保存状態、特に湿度の高い環境下においては白
華現象を生じる場合がある。鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、好ましくは25
0ppm以下、より好ましくは200ppm以下、更に
より好ましくは150ppm以下である。生産性等の工
業性を考慮すれば、その下限値は0.01ppm程度で
ある。
【0041】本発明における針状ヘマタイト粒子の可溶
性硫酸塩の含有量はSO4 換算で150ppm以下であ
る。150ppmを越える場合には、非磁性下地層の上
に形成されている磁気記録層中に含まれる鉄を主体とす
る金属磁性粒子粉末を徐々に腐蝕させ、磁気特性の劣化
を引き起こす。また、ビヒクル中における針状ヘマタイ
ト粒子の分散特性が害されやすくなったり、磁気記録媒
体の保存状態、特に湿度の高い環境下においては白華現
象を生じる場合がある。鉄を主成分とする金属磁性粒子
粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、好ましくは70pp
m以下、より好ましくは50ppm以下である。生産性
等の工業性を考慮すれば、その下限値は0.01ppm
程度である。
【0042】本発明における針状ヘマタイト粒子は、B
ET比表面積値が35m2 /g以上であることが好まし
い。35m2 /g未満の場合には、針状ヘマタイト粒子
が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた
粒子となっており、塗膜の表面平滑性に悪影響を与え
る。好ましくは40m2 /g以上、より好ましくは45
2 /g以上であり、その上限値は300m2 /gであ
る。ビヒクル中における分散性を考慮すると好ましくは
100m2 /g以下、より好ましくは80m2 /g以下
である。
【0043】本発明における針状ヘマタイト粒子は、長
軸径の粒度分布が幾何標準偏差値で1.50以下である
ことが好ましい。1.50を越える場合には、存在する
粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与える為に好ま
しくない。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、好ましくは
1.40以下、より好ましくは1.35以下である。工
業的な生産性を考慮すれば得られる針状ヘマタイト粒子
の長軸径の粒度分布の下限値は、幾何標準偏差値で1.
01である。
【0044】本発明における針状ヘマタイト粒子は、密
度化の程度が高いものである。密度化の程度をBET法
により測定した比表面積SBET 値と電子顕微鏡写真に示
されている粒子から計測された長軸径及び短軸径から算
出した比表面積STEM 値との比で示した場合、0.5〜
2.5を有している。
【0045】SBET /STEM の値が0.5未満の場合に
は、針状ヘマタイト粒子の高密度化が達成されてはいる
が、粒子及び粒子相互間の焼結により癒着し、粒子径が
増大しており、塗膜の表面平滑性が十分ではない。S
BET /STEM の値が2.5を越える場合には、高密度化
が十分ではなく、粒子表面に多数のポアが存在し、ビヒ
クル中における分散性が不十分となる。塗膜の表面平滑
性及びビヒクル中における分散性を考慮するとSBET
TEM の値は0.7〜2.0が好ましく、より好ましく
は0.8〜1.6である。
【0046】尚、SBET /STEM の値が小さくなるほ
ど、針状ヘマタイト粒子の高密度化が達成されてはいる
が、粒子及び粒子相互間の焼結により癒着し、粒子径が
増大しており、塗膜の表面平滑性が不十分となりやすく
なる。SBET /STEM の値が大きくなると、高密度化が
十分とは言い難く、粒子表面に多数のポアが存在し、ビ
ヒクル中における分散性が不十分となりやすくなる。
【0047】本発明における針状ヘマタイト粒子は、樹
脂吸着強度が70%以上であり、好ましくは75%以上
であり、より好ましくは80%以上である。
【0048】本発明における針状ヘマタイト粒子の表面
に存在する焼結防止剤の量は、焼結防止剤の種類や量、
アルカリ水溶液中におけるpH値や加熱処理温度等の諸
条件により異なるが、粒子の全重量に対し0.05〜1
0重量%程度である。
【0049】本発明における針状ヘマタイト粒子は、必
要により、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸
化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物の少なくと
も1種で粒子表面が被覆されていてもよい。粒子表面が
被覆物で被覆されている針状ヘマタイト粒子は、ビヒク
ル中に分散させる場合に、結合剤樹脂とのなじみがよ
く、容易に所望の分散性が得られ易い。
【0050】上記被覆物の量は、アルミニウムの水酸化
物やアルミニウムの酸化物の場合はAl換算で、ケイ素
の水酸化物やケイ素の酸化物の場合はSiO2 換算で粒
子の全重量に対し0.01〜50重量%が好ましい。
0.01重量%未満である場合には、被覆による分散性
向上効果が殆どなく、50.00重量%を越える場合に
は、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味
がない。ビヒクル中の分散性と生産性を考慮すれば、
0.05〜20重量%がより好ましい。
【0051】本発明における粒子表面が被覆物で被覆さ
れている針状ヘマタイト粒子やこれら粒子からなる粒子
粉末は、粒子表面が被覆物で被覆されていない本発明に
おける前記針状ヘマタイト粒子やこれら粒子からなる粒
子粉末と軸比、長軸径、短軸径、粉体pH、可溶性ナト
リウム塩の含有量、可溶性硫酸塩の含有量、BET比表
面積、長軸径の粒度分布、密度化の程度、樹脂吸着度及
び焼結防止剤の量等の諸特性においてほぼ同等の値を有
している。
【0053】本発明における非磁性下地層は、非磁性支
持体上に針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤と
を含む非磁性塗料を塗布し塗膜を形成した後、乾燥する
ことにより得られる。
【0054】非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒
体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステ
ンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用することが
でき、その厚みは、その材質により種々異なるが、通常
好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0
〜200μmである。磁気ディスクの場合、非磁性支持
体としてはポリエチレンテレフタレートが通常用いら
れ、その厚みは、通常50〜300μm、好ましくは6
0〜200μmである。磁気テープの場合は、ポリエチ
レンテレフタレートの場合、その厚みは、通常3〜10
0μm、好ましくは4〜20μm、ポリエチレンナフタ
レートの場合、その厚みは、通常3〜50μm、好まし
くは4〜20μm、ポリアミドの場合、その厚みは、通
常2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
【0055】本発明における非磁性支持体上に塗膜組成
物を塗布して乾燥させた後の下地層の塗膜厚さは、0.
2〜10.0μmの範囲である。0.2μm未満の場合
には、非磁性支持体の表面粗さを改善することができな
いばかりか、強度も不十分である。薄層の磁気記録媒体
を得るためには上限値は10.0μm程度が好ましく、
より好ましくは0.5〜5.0μmの範囲である。
【0056】結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体
の製造にあたって汎用されている塩化ビニル酢酸ビニル
共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルマレイ
ン酸ウレタンエラストマー、ブタジエンアクリロニトリ
ル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース
等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエ
ン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイソシアネートポリマー、電子線硬化型アクリ
ルウレタン樹脂等とその混合物を使用することができ
る。また、各結合剤樹脂には−OH、−COOH、−S
3 M、−OPO22 、−NH2 等の極性基(但し、
MはH、Na、Kである。)が含まれていてもよい。粒
子の分散性を考慮すれば、極性基−COOH、−SO3
Naが含まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0057】非磁性下地層における針状ヘマタイト粒子
粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重
量部に対し、針状ヘマタイト粒子が5〜2000重量
部、好ましくは100〜1000重量部である。
【0058】尚、非磁性下地層中に、通常の磁気記録媒
体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等
を、必要により、添加してもよい。
【0059】本発明における針状ヘマタイト粒子を含有
する非磁性下地層は、塗膜の光沢度が180〜280
%、好ましくは190〜280%、より好ましくは20
0〜280%、塗膜表面粗度Raが1.0〜12.0n
m、好ましくは1.0〜10.0nm、より好ましくは
1.0〜8.0nm、ヤング率が125〜150、好ま
しくは127〜150、より好ましくは130〜150
である。
【0060】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に形成された非磁性下地層の上に、鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む塗膜組
成物を塗布し塗布膜を形成した後、乾燥して磁気記録層
を形成することにより得られる。
【0061】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子は、Al換算で0.05〜10重量%のアルミ
ニウムが存在している。
【0062】アルミニウムの存在位置は、鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子の粒子の中央部分のみに含有され
ている場合、表層部分のみに含有されている場合、中心
部から表面に至るまでほぼ均一に含有されている場合の
いずれの場合でもよく、また、粒子の表面に被覆層を形
成したものであってもよく、更に、これら各種存在位置
を組み合わせたものでもよい。磁気記録層の表面や磁気
記録媒体の耐久性を考慮すれば、アルミニウムが中心部
から表面に至るまでほぼ均一に含有されているととも
に、粒子表面に被覆層が形成されている鉄を主成分とす
る針状金属磁性粒子が好ましい。
【0063】粒子内部にアルミニウムを含有している鉄
を主成分とする針状金属磁性粒子粉末は、周知の通り、
前述した針状ゲータイト粒子の生成反応工程において、
アルミニウム化合物の添加時期を種々変化させることに
より、粒子内部の所望の位置にアルミニウムを含有して
いる針状ゲータイト粒子を得、該ゲータイト粒子又は該
ゲータイト粒子を加熱脱水して得られる粒子内部の所望
の位置にアルミニウムを含有している針状ヘマタイト粒
子を300〜500℃の温度範囲で加熱還元することに
より得られる。
【0064】粒子表面がアルミニウムで被覆されている
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末は、粒子表面が
アルミニウムの酸化物や水酸化物等のアルミニウム化合
物で被覆されている針状ゲータイト粒子や該針状ゲータ
イト粒子を加熱脱水して得られる粒子表面がアルミニウ
ムの酸化物や水酸化物等のアルミニウム化合物で被覆さ
れている針状ヘマタイト粒子を300〜500℃の温度
範囲で加熱還元することにより得られる。
【0065】アルミニウムの存在量がAl換算で0.0
5重量%未満の場合には、鉄を主成分とする針状金属磁
性粒子のビヒクル中における樹脂吸着が十分ではなく、
分散が困難となり、本発明の目的とする耐久性に優れた
磁気記録層や磁気記録媒体をえることができない。10
重量%を越える場合にも、磁気記録層や磁気記録媒体の
耐久性向上効果が認められるが、効果は飽和しており必
要以上に存在させる意味がない。また、非磁性成分であ
るアルミニウムの増大により鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子の磁気特性が損なわれる。
【0066】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末は、鉄を50〜99重量%、好ましくは6
0〜95重量%含有している粒子であり、必要により、
鉄及びAl以外のCo、Ni、P、Si、B、Nd、L
a、Y等を含有していてもよい。AlとNd、La、Y
等の希土類金属とが存在している鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末を使用して、本発明に係る磁気記録媒
体を製造した場合には、耐久性に優れた磁気記録層や磁
気記録媒体が得られやすく好ましい。殊に、AlとNd
とが存在している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉
末が最も好ましい。
【0067】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.01〜0.50μ
m、好ましくは0.03〜0.30μmであって、平均
短軸径が0.0007〜0.17μm、好ましくは0.
003〜0.10μmであって、軸比が3:1以上、好
ましくは5:1以上の粒子であり、ビヒクル中での分散
性を考慮すれば、軸比の上限値は、15:1以下、好ま
しくは10:1以下である。粒子の形状は、針状はもち
ろん、紡錘状、米粒状等であってもよい。
【0068】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の
磁気特性は、高密度記録化等の特性を考慮すれば、保磁
力は1200〜3200Oeが好ましく、より好ましく
は1500〜2500Oeであり、飽和磁化は100〜
170emu/gが好ましく、より好ましくは130〜
150emu/gである。
【0069】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子は、樹脂吸着強度が70%以上であり、好まし
くは75%以上であり、より好ましくは80%以上であ
る。
【0070】磁気記録層における結合剤樹脂としては、
非磁性下地層を形成するのに用いた前記結合剤樹脂と同
じものを使用することができる。
【0071】非磁性下地層上に塗膜組成物を塗布して乾
燥させた後の磁気記録層の塗膜厚さは、0.01〜5.
0μmの範囲である。0.01μm未満の場合には、均
一な塗布が困難で塗りむら等の生じやすくなるため好ま
しくない。5.0μmを越える場合には、反磁界の影響
のため、所望の電磁変換特性が得られにくくなる。好ま
しくは0.05〜1.0μmの範囲である。
【0072】磁気記録層における鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤
樹脂100重量部に対し、鉄を主成分とする針状金属磁
性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは30
0〜1500重量部である。
【0073】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0074】本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力が9
00〜3500Oe、好ましくは1000〜3500O
e、より好ましくは1500〜3500Oe、角形比
(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.85〜
0.95、好ましくは0.87〜0.95、塗膜の光沢
度が190〜300%、好ましくは210〜300%、
塗膜表面粗度Raが12.0nm以下、好ましくは1.
0〜10.0nm、より好ましくは1.0〜8.0n
m、ヤング率は130以上、好ましくは132以上、塗
膜の線吸収係数が1.10〜2.00μm-1好ましくは
1.20〜2.00μm-1、耐久性のうち走行耐久性は
18分以上、好ましくは20分以上、さらに好ましくは
22分以上であり、すり傷特性はB以上、好ましくはA
である。
【0075】そして、保磁力の変化率(%)で示す腐蝕
性が10.0%以下、好ましくは8.0%以下、Bmの
変化率(%)で示す腐蝕性が10.0%以下、好ましく
は8.0%以下である。
【0076】本発明における針状ヘマタイト粒子粉末の
製造法について述べる。
【0077】本発明における針状ヘマタイト粒子粉末を
得るための出発原料である粒子内部にアルミニウムを含
有している針状ゲータイト粒子は、第一鉄塩水溶液に
当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸
化第一鉄コロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80
℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う
ことにより針状ゲータイト粒子を生成させる方法、第
一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得ら
れるFeCO3 を含む懸濁液を、必要により熟成した
後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより
紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、第
一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭
酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロ
イドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸
化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成さ
せ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水
溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の
水酸化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通
気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法及び
第一鉄水溶液と当量未満の水酸化アルカリ又は炭酸ア
ルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイド
を含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、
次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータイト核粒子
を成長させる方法等のゲータイト粒子を得る通常の方法
おいて空気等の酸素含有ガスを通気するにあたり、アル
ミニウム化合物を存在させておくことにより得られる。
【0078】アルミニウム化合物を添加は、ゲータイト
粒子を得る通常の方法において空気等の酸素含有ガスを
通気する前に存在させておくことが肝要であり、具体的
には、第一鉄塩水溶液、、水酸化アルカリや炭酸アルカ
リ水溶液、鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれの溶液に
添加してもよく、最も好ましくは第一鉄塩水溶液であ
る。
【0079】尚、ゲータイト粒子の生成反応中に、粒子
の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性向上の為に通常添加
されているNi、Zn、P、Si等の異種元素が添加さ
れていても支障はない。得られる針状ゲータイト粒子粉
末は、通常、平均長軸径が0.005〜0.4μm、平
均短軸径が0.0025〜0.20μmであって、BE
T比表面積値が50〜250m2 /g程度であり、可溶
性ナトリウム塩をNa換算で300〜1500ppm、
可溶性硫酸塩をSO4 換算で100〜3000ppm含
有している。
【0080】次いで、上記粒子内部にアルミニウムを含
有している針状ゲータイト粒子粉末を550℃以上で高
温加熱処理することにより、粒子内部にアルミニウムを
含有している高密度針状ヘマタイト粒子を得る。針状ゲ
ータイト粒子の粒子形態を保持継承した高密度針状ヘマ
タイト粒子を得るためには、針状ゲータイト粒子を低温
加熱処理して粒子内部にアルミニウムを含有している低
密度針状ヘマタイト粒子を得、次いで、該低密度針状ヘ
マタイト粒子を高温加熱処理することが好ましい。
【0081】針状ゲータイト粒子の粒子形態を保持継承
するためには、低温加熱処理又は高温加熱処理に先立っ
て、あらかじめ焼結防止剤で被覆処理しておくことが肝
要である。粒子表面が焼結防止剤で被覆されている針状
ゲータイト粒子粉末は、通常、可溶性ナトリウム塩をN
a換算で500〜2000ppm、可溶性硫酸塩をSO
4 換算で300〜3000ppm含有しており、BET
比表面積値は50〜250m2 /g程度である。焼結防
止剤による被覆処理は、針状ゲータイト粒子を含む水懸
濁液中に焼結防止剤を添加し、混合攪拌した後、濾別、
水洗、乾燥すればよい。
【0082】焼結防止剤としては、通常使用されるヘキ
サメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン酸等
のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウ
ム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケイ
素化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ソーダ等のア
ルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル等のアルミニウム化
合物、硫酸チタニル等のチタン化合物を使用することが
できる。
【0083】粒子表面に焼結防止剤が被覆されている針
状ゲータイト粒子を250〜400℃の温度範囲で低温
加熱して得られる低密度ヘマタイト粒子粉末は、通常、
平均長軸径が0.005〜0.30μm、平均短軸径が
0.0025〜0.15μmであって、BET比表面積
値が70〜350m2 /g程度であり、可溶性ナトリウ
ム塩をNa換算で500〜2000ppm、可溶性硫酸
塩をSO4 換算で300〜4000ppm含有してい
る。加熱温度が250℃未満の場合には、脱水反応に長
時間を要する。加熱温度が400℃を越える場合には、
脱水反応が急激に生起し、粒子の形状が崩れやすくなっ
たり、粒子相互間の焼結を引き起こすことになり好まし
くない。低温加熱処理して得られる低密度針状ヘマタイ
ト粒子は、ゲータイト粒子からH2 Oが脱水され、脱水
孔を多数有する低密度粒子であり、BET比表面積値が
出発原料である針状ゲータイト粒子の1.2〜2倍程度
となる。
【0084】低密度ヘマタイト粒子粉末は、次いで、5
50℃以上で高温加熱して高密度針状ヘマタイト粒子と
する。加熱温度の上限値は好ましくは850℃である。
高密度ヘマタイト粒子粉末は、通常、可溶性ナトリウム
塩をNa換算で500〜4000ppm、可溶性硫酸塩
をSO4 換算で300〜5000ppm含有しており、
BET比表面積値は35〜150m2 /g程度である。
加熱温度が550℃未満の場合には、高密度化が不十分
であるためヘマタイト粒子の粒子内部及び粒子表面に脱
水孔が多数存在しており、その結果、ビヒクル中におけ
る分散性が不十分であり、非磁性下地層を形成した時、
表面平滑な塗膜が得られにくい。加熱温度が850℃を
越える場合には、ヘマタイト粒子の高密度化は十分であ
るが、粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子径
が増大し、同様に表面平滑な塗膜は得られにくい。
【0085】高密度針状ヘマタイト粒子は、次いで、乾
式で粗粉砕をして粗粒をほぐした後、スラリー化し、次
いで、湿式粉砕することにより更に粗粒をほぐす。湿式
粉砕は、少なくとも44μm以上の粗粒が無くなるよう
にボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、コ
ロイドミル等を用いて行えばよい。湿式粉砕の程度は4
4μm以上の粗粒が10%以下、好ましくは5%以下、
より好ましくは0%である。44μm以上の粗粒が10
%を越えて残存していると、次工程におけるアルカリ水
溶液中の処理効果が得られ難い。
【0086】粗粒を除去した高密度針状ヘマタイト粒子
を含むスラリーは、該スラリーに水酸化ナトリウム等の
アルカリ水溶液を添加してpH値を13以上に調整した
後、80℃以上の温度で加熱処理する。
【0087】高密度針状ヘマタイト粒子粉末を含むpH
値が13以上のアルカリ性懸濁液の濃度は、50〜25
0g/lが好ましい。
【0088】高密度針状ヘマタイト粒子粉末を含むアル
カリ性懸濁液中のpH値が13未満の場合には、ヘマタ
イト粒子の粒子表面に存在する焼結防止剤に起因する固
体架橋を効果的に取りはずすことができず、粒子内部及
び粒子表面に存在する可溶性ナトリウム塩、可溶性硫酸
塩等の洗い出しができない。その上限は、pH値が14
程度である。ヘマタイト粒子表面に存在する焼結防止剤
に起因する固体架橋の取りはずしや可溶性ナトリウム
塩、可溶性硫酸塩等の洗い出しの効果、更には、アルカ
リ性水溶液処理中にヘマタイト粒子表面に付着したナト
リウム等のアルカリを除去するための洗浄効果を考慮す
れば、pH値は13.1〜13.8の範囲が好ましい。
【0089】針状ヘマタイト粒子粉末を含むpH値が1
3以上のアルカリ性水溶液の加熱温度は、80℃以上が
好ましく、より好ましくは90℃以上ある。80℃未満
の場合には、ヘマタイト粒子表面に存在する焼結防止剤
に起因する固体架橋を効果的に取りはずすことが困難と
なる。加熱温度の上限値は103℃が好ましく、より好
ましくは100℃である。103℃を越える場合には、
固体架橋は効果的に取りはずすことはできるが、オート
クレーブ等が必要となったり、常圧下おいては、被処理
液が沸騰するなど工業的に有利でなくなる。
【0090】アルカリ水溶液中で加熱処理した高密度針
状ヘマタイト粒子は、常法により、濾別、水洗すること
により、粒子内部及び粒子表面から洗い出した可溶性ナ
トリウム塩や可溶性硫酸塩やアルカリ水溶液処理中にヘ
マタイト粒子表面に付着したナトリウム等のアルカリを
除去し、次いで、乾燥する。
【0091】上述した方法により、本発明における粒子
内部にアルミニウムを含有している針状ヘマタイト粒子
を得ることができる。
【0092】水洗法としては、デカンテーションによっ
て洗浄する方法、フィルターシックナーを使用して希釈
法で洗浄する方法、フィルタープレスに通水して洗浄す
る方法等の工業的に通常使用されている方法を使用すれ
ばよい。
【0093】尚、高密度針状ヘマタイト粒子の粒子内部
に含有されている可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩を
水洗して洗い出しておけば、それ以降の工程、例えば、
後出する被覆処理工程においてヘマタイト粒子の粒子表
面に可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩が付着しても水
洗により容易に除去することができる。
【0094】本発明における針状ヘマタイト粒子は、必
要により、アルカリ水溶液中で加熱処理した後、常法に
より濾別、水洗し、次いで、アルミニウムの水酸化物、
アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の
酸化物の少なくとも1種により被覆されていてもよい。
【0095】被覆処理は、針状ヘマタイト粒子のケー
キ、スラリー、乾燥粉末を水溶液中に分散して得られる
水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当
該両化合物を添加して混合攪拌することにより、また
は、必要により、pH値を調整することにより、前記針
状ヘマタイト粒子の粒子表面に、アルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物を被着すればよく、次いで、濾別、水洗、乾
燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を
施してもよい。
【0096】被覆処理において添加するアルミニウム化
合物としては、前出焼結防止剤と同じものが使用でき
る。
【0097】アルミニウム化合物の添加量は、針状ヘマ
タイト粒子粉末に対しAl換算で0.01〜50.00
重量%である。0.01重量%未満である場合には、ビ
ヒクル中における分散が不十分であり、50.00重量
%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以
上に添加する意味がない。
【0098】被覆処理において添加するケイ素化合物と
しては、前出焼結防止剤と同じものが使用できる。
【0099】ケイ素化合物の添加量は、針状ヘマタイト
粒子粉末に対しSiO2 換算で0.01〜50.00重
量%である。0.01重量%未満である場合には、ビヒ
クル中における分散が不十分であり、50.00重量%
を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上
に添加する意味がない。
【0100】アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併
せて使用する場合には、針状ヘマタイト粒子粉末に対
し、Al換算量とSiO2 換算量との総和で0.01〜
50.00重量%が好ましい。
【0101】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0102】湿式分散後のフルイ残量は、湿式粉砕後の
スラリー濃度を別途に求めておき、ヘマタイト固形分1
00gに相当する量のスラリーを325メッシュ(目開
き44μm)のフルイに通し、フルイに残った固形分の
量を定量することによって求めた。
【0103】粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕
微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞ
れ4倍に拡大した写真(×120000)に示される粒
子約350個について長軸径、短軸径をそれぞれ測定
し、その平均値で示した。軸比は、平均長軸径と平均短
軸径との比である。
【0104】粒子の長軸径の幾何標準偏差値(σg)
は、下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡
大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測
定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から
統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子の
長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する
粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットす
る。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び8
4.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みと
り、幾何標準偏差値(σg)=積算フルイ下84.13
%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径
(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準
偏差値が小さい程、粒子の長軸径の粒度分布が優れてい
ることを意味する。
【0105】比表面積はBET法により測定した値で示
した。
【0106】ヘマタイト粒子の密度化の程度は、前述し
た通り、SBET /STEM で示した。ここで、SBET は、
上記BET法により測定した比表面積の値である。S
TEM は、前記電子顕微鏡写真から測定した粒子の平均長
軸径lcm、平均短軸径wcmを用いて粒子を直方体と
仮定して下記式に従って算出した値である。
【0107】STEM (m2 /g)=〔(4lw+2
2 )/(lw2 ・ρp )〕×10-4 (但し、ρp はヘマタイトの真比重であり、5.2g/
cm3 を用いた。) STEM は、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が全くなく表
面が平滑な粒子の比表面積であるから、SBET /STEM
の値が1に近いと、ヘマタイト粒子の内部及び表面に脱
水孔が少なく表面が平滑な粒子、換言すれば、高密度な
粒子であることを意味する。
【0108】針状ヘマタイト粒子の内部や表面に存在す
るAl、Si、P、B、Ti及びNdのそれぞれの量は
蛍光X線分析により測定した。
【0109】粉体pH値は、試料5gを300mlの三
角フラスコに秤り取り、煮沸した純水100mlを加
え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓をして
常温まで放冷した後、栓を開き減量に相当する純水を加
えて再び栓をして1分間振り混ぜ、5分間静置した後、
得られた上澄み液のpHをJIS Z 8802−7に
従って測定し、得られた値を粉体pH値とした。
【0110】可溶性ナトリウム塩の含有量及び可溶性硫
酸塩の含有量は、上記粉体pH値の測定用に作製した上
澄み液をNo.5Cの濾紙を用いて濾過し、濾液中のN
+及びSO4 2-を誘導結合プラズマ発光分光分析装置
(セイコー電子工業株式会社製)を用いて測定した。
【0111】塗料粘度は、得られた塗料の25℃におけ
る塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計
器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92sec-1
における値で示した。
【0112】樹脂吸着強度は、樹脂が粒子に吸着される
程度を示すものであり、下記の方法により求めた値が1
00に近い程、樹脂がヘマタイト粒子に強く吸着され、
良好であることを示す。
【0113】先ず、樹脂吸着量Waを求める。粒子20
gとスルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂2gを溶解させた混合溶剤(メチルエ
チルケトン27.0g、トルエン16.2g、シクロヘ
キサノン10.8g)56gとを3mmφスチールビー
ズ120gとともに100mlポリビンに入れ、60分
間ペイントシェーカーで混合分散する。
【0114】次に、この塗料組成物50gを取り出し5
0mlの沈降管に入れ回転数10000rpmで15分
間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。
そして、溶剤部分に含まれる樹脂固形分濃度を重量法に
よって定量し、仕込みの樹脂量との差し引きにより、固
形部分に存在する樹脂量を求め、これを粒子に対する樹
脂吸着量Wa(mg/g)とする。
【0115】次に、先に分離した固形部分のみを100
mlトールビーカーに全量取り出し、これに混合溶剤
(メチルエチルケトン25.0g、トルエン15.0
g、シクロヘキサノン10.0g)50gを加え、15
分間超音波分散を行って懸濁状態にした後、50ml沈
降管に入れ回転数10000rpmで15分間遠心分離
を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。そして、溶
剤部分の樹脂固形分濃度を測定することによって、粒子
表面に吸着していた樹脂のうち溶剤相に抽出された樹脂
量を定量する。
【0116】さらに、上記固形部分のみの100mlト
ールビーカーへの全量取り出しから溶剤相に溶け出した
樹脂量の定量までの操作を2回繰り返し、合計3回の溶
剤相中における樹脂の抽出量の総和We(mg/g)を
求め、下記の式に従って求めた値を樹脂吸着強度T
(%)とした。
【0117】 T(%)=〔(Wa−We)/Wa〕×100 Tが高いほど、ビヒクル中での粉体表面への樹脂吸着が
強固であり、良好であることを示す。
【0118】非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の
光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験
機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して
求めた。
【0119】表面粗度Raは、「Surfcom−57
5A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線
平均粗さを測定した。
【0120】磁気記録媒体の耐久性については、次の走
行耐久性とすり傷特性を評価した。
【0121】走行耐久性は、「Media Durab
ility Tester MDT−3000」(St
einberg Associates社製)を用い
て、負荷200gw、ヘッドとテープとの相対速度16
m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長
い程走行耐久性が良いことを示す。
【0122】すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕
微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4
段階の評価を行った。 A:すり傷なし B:すり傷若干有り C:すり傷有り D:ひどいすり傷有り
【0123】塗膜強度は、「オートグラフ」(株式会社
島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求め
た。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120
(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表した。相
対値が高いほど良好であることを示す。
【0124】磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−
3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁
場10KOeまでかけて測定した。
【0125】光透過の程度は、「自記光電分光光度計U
V−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気
記録媒体について測定した光透過率の値を下記式に挿入
して算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その
値が大きい程、光を透しにくいことを示す。
【0126】尚、光透過率の値を測定するにあたって
は、上記磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と同一の非
磁性支持体をブランクとして用いた。
【0127】 線吸収係数(μm-1)=ln(1/t)/FT t:λ=900nmにおける光透過率(−) FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の
膜厚と磁気記録層の膜厚との総和)の厚み(μm)
【0128】磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非
磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のよう
にして測定した。
【0129】デジタル電子マイクロメーターK351C
(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体
の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁
性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)
(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)
を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記
録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み
(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁
気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そし
て、非磁性下地層の厚みはB−Aで示し、磁気記録層の
厚みはC−Bで示した。
【0130】<針状ヘマタイト粒子の製造>硫酸第一鉄
水溶液と硫酸アルミニウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶
液とを用いて、前記ゲータイト粒子の製造法により得
られたAl換算で0.83重量%のアルミニウムを粒子
内部に均一に含有している紡錘状ゲータイト粒子粉末
(平均長軸径0.178μm、平均短軸径0.0225
μm、軸比7.91、BET比表面積値160.3m2
/g、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で123
2ppm、可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で621
ppm、粉体pH値6.7及び幾何標準偏差値1.3
3)1200gを水中に懸濁させてスラリーとし、固形
分濃度を8g/lに調整した。このスラリー150lを
加熱し、温度を60℃とし、0.1NのNaOH水溶液
を加えてスラリーのpH値を9.0に調整した。
【0131】次に、上記アルカリ性スラリー中に、焼結
防止剤として3号水ガラス36.0gを徐々に加え、添
加が終わった後、60分間熟成を行った。次に、このス
ラリーに0.5Nの酢酸溶液を加え、スラリーのpH値
を6.0に調整した。その後、常法により、濾別、水
洗、乾燥、粉砕を行い、ケイ素の酸化物が粒子表面に被
覆されており、且つ、粒子内部にアルミニウムを均一に
含有している紡錘状ゲータイト粒子粉末を得た。SiO
2 量は0.86wt%であった。
【0132】上記紡錘状ゲータイト粒子粉末1000g
を、ステンレス製回転炉に投入し、回転駆動させながら
空気中で350℃で30分間熱処理を行って脱水し、粒
子内部にアルミニウムを均一に含有している低密度紡錘
状ヘマタイト粒子を得た。この低密度紡錘状ヘマタイト
粒子は、平均長軸径0.134μm、平均短軸径0.0
194μm、軸比6.91、BET比表面積値
(SBET )168.3m2 /g、密度の程度SBET /S
TEM は3.96、可溶性ナトリウム塩の含有量はNa換
算で1123ppm、可溶性硫酸塩の含有量はSO4
算で465ppm、Al含有量は、0.91重量%、粉
体pH値6.3及び幾何標準偏差値1.34であった。
【0133】次に、上記低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉
末900gをセラミック製の回転炉に投入し、回転駆動
させながら空気中630℃で30分間熱処理を行い、脱
水孔の封孔処理を行った。得られた粒子内部にアルミニ
ウムを均一に含有している高密度紡錘状ヘマタイト粒子
は、平均長軸径が0.129μm、平均短軸径が0.0
206μm、軸比が6.26、BET比表面積値(S
BET )が46.6m2 /g、密度化の程度SBET /S
TEM が1.16、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換
算で2864ppm、可溶性硫酸塩の含有量がSO4
算で2956ppm、粉体pH値が5.4及び幾何標準
偏差値が1.36であった。SiO2 量は0.94wt
%であった。また、樹脂吸着強度は21.6%であっ
た。
【0134】上記高密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末80
0gをあらかじめ奈良式粉砕機で粗粉砕した後、純水
4.7lに投入し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会
社製)を用いて60分間解膠した。
【0135】次に、得られた高密度紡錘状ヘマタイト粒
子のスラリーを横型SGM(ディスパマットSL:エス
シー・アディケム株式会社製)で循環しながら、軸回転
数2000rpmのもとで3時間混合・分散した。得ら
れたスラリー中の紡錘状ヘマタイト粒子の325mes
h(目開き44μm)における篩残分は0%であった。
【0136】得られた高密度紡錘状ヘマタイト粒子のス
ラリーの濃度を100g/lとし、スラリーを7lを採
取した。このスラリーを攪拌しながら、6NのNaOH
水溶液を加えてスラリーのpH値を13.3に調整し
た。次に、このスラリーを攪拌しながら加熱して95℃
まで昇温し、その温度で3時間保持した。
【0137】次に、このスラリーをデカンテーション法
により水洗し、pH値が10.5のスラリーとした。正
確を期すため、この時点でのスラリー濃度を確認したと
ころ96g/lであった。
【0138】次に、得られた水洗スラリー2lをブフナ
ーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度
が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によっ
て乾燥させた後、粉砕して、紡錘状ヘマタイト粒子粉末
を得た。得られたAl換算で0.91重量%のアルミニ
ウムを粒子内部に均一に含有している針状ヘマタイト粒
子粉末は、長軸径が0.128μm、短軸径が0.02
06μm、軸比が6.21、粒子サイズ(長軸径)の幾
何標準偏差値σgが1.35、BET比表面積値(S
BET )が47.1m2 /g、密度化の程度(SBET /S
TEM )が1.17、粉体pH値が9.1、可溶性ナトリ
ウム塩の含有量がNa換算で112ppm、可溶性硫酸
塩の含有量がSO4 換算で41ppmであった。また、
樹脂吸着強度は86.3%であった。
【0139】<非磁性下地層の製造>上記で得られたA
l換算で0.91重量%のアルミニウムを粒子内部に均
一に含有している紡錘状ヘマタイト粒子粉末12gと結
合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサ
ノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混
合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラス
トミルで30分間混練して混練物を得た。
【0140】この混練物を140mlガラス瓶に1.5
mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン
酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、
溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重
量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びト
ルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行って塗料組成物を得た。
【0141】得られた紡錘状ヘマタイト粒子を含む塗料
の組成は、下記の通りであった。 粒子内部にアルミニウムを均一に含有している 紡錘状ヘマタイト粒子粉末 100.0重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部 シクロヘキサノン 44.6重量部 メチルエチルケトン 111.4重量部 トルエン 66.9重量部
【0142】得られた紡錘状ヘマタイト粒子を含む塗料
の塗料粘度は435cpであった。この塗料を厚さ12
μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリ
ケーターを用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾
燥させることにより非磁性下地層を形成した。非磁性下
地層の厚みは3.4μmであった。
【0143】得られた非磁性下地層は、光沢が211
%、表面粗度Raが6.2nmであり、基体のヤング率
(相対値)は131であった。
【0144】<磁気記録層の製造>粒子中央部にAl換
算で1.12重量%、表層部にAl換算で2.55重量
%及び表面被覆部にAl換算で0.48重量%のアルミ
ニウムが存在しているとともに、Ndが0.36重量%
存在している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
(平均長軸径0.104μm、平均短軸径0.0158
μm、軸比6.58、保磁力1905Oe、飽和磁化値
138emu/g、幾何標準偏差1.35、樹脂吸着強
度80.1%)12g、研磨剤(商品名:AKP−3
0、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック
(商品名:#3250B、三菱化成(株)製)0.36
g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロ
ヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合
して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更に
プラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0145】この混練物を140mlガラス瓶に1.5
mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン
酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、
溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重
量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びト
ルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び
硬化剤を加え、さらに、ペイントシェーカーで15分間
混合・分散した。
【0146】得られた磁性塗料の組成は下記の通りであ
った。 鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末 100.0重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部 研磨剤(AKP−50) 10.0重量部 カーボンブラック(#3250B) 3.0重量部 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部 硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部 シクロヘキサノン 65.8重量部 メチルエチルケトン 164.5重量部 トルエン 98.7重量部
【0147】磁性塗料を前記非磁性下地層の上にアプリ
ケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁場中
において配向・乾燥し、次いで、カレンダー処理を行っ
た後、60℃で24時間硬化反応を行い0.5インチ幅
にスリットして磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは
1.1μmであった。
【0148】非磁性下地層の上に磁気記録層を形成させ
て得られた磁気テープは、Hcが1981Oe、角型比
(Br/Bm)が0.88、光沢度が228%、表面粗
度Raが6.0nm、ヤング率(相対値)が132、線
吸収係数が1.23、走行耐久性が30.0分、すり傷
特性がAであった。
【0149】磁気テープの磁気特性の経時変化は、保磁
力については3.4%、飽和磁束密度Bmについては
4.5%であった。
【0150】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、粒子内
部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを
含有している平均長軸径が0.3μm以下の針状粒子か
らなる粉体pH値が8以上であって、且つ、可溶性ナト
リウム塩の含有量がNa換算で300ppm以下、可溶
性硫酸塩の含有量がSO4 換算で150ppm以下であ
る高密度針状ヘマタイト粒子粉末を非磁性下地層用非磁
性粒子粉末として使用した場合には、基体の強度を向上
させることができるとともに、非磁性下地層の表面をよ
り平滑化することができ、当該非磁性下地層を用いて磁
気記録媒体とした場合において、光透過率が小さく、強
度が大きいとともに、磁気記録層の表面をより平滑化す
ることができるという事実である。
【0151】基体の強度を向上させ、非磁性下地層の表
面をより平滑化することができた理由について、本発明
者は、後出実施例に示す通り、粒子内部にアルミニウム
が含有されている針状ヘマタイト粒子のビヒクル中にお
ける結合剤樹脂との樹脂吸着強度が高まったことに起因
して、非磁性下地層における針状ヘマタイト粒子や非磁
性下地層自体の非磁性支持体への密着度が高まったこと
と、高密度針状ヘマタイト粒子相互を強固に架橋して凝
集させる原因となっている可溶性ナトリウム塩や可溶性
硫酸塩を十分水洗除去することができたことに起因し
て、凝集物が解きほぐされて、実質的に独立している粒
子とすることができ、その結果、ビヒクル中における針
状ヘマタイト粒子の分散性がより優れたものになったこ
とによるものと考えている。
【0152】この事実について、以下に説明する。
【0153】出発原料である針状ゲータイト粒子粉末
は、前述した通り、各種製造法により製造される。
【0154】いずれの方法においても針状ゲータイト粒
子を製造する主な原料が硫酸第一鉄である場合には当然
反応母液中に硫酸塩〔SO4 --〕が多量に存在するので
ある。
【0155】特に、酸性溶液中からゲータイト粒子を生
成する場合には、同時に、Na2 SO4 等水可溶性硫酸
塩を生じるとともに、反応母液にはK+ 、NH4 + 、N
+等アルカリ金属を含んでいるので、アルカリ金属や
硫酸塩を含む沈澱を生じ易く、この沈澱はRFe3 (S
4 )(OH)6 (R=K+ 、NH4 + 、Na+ )で示
される。これら沈澱物は難溶性の含硫酸塩で常法による
水洗によっては除去することができない。この難溶性塩
はその後の加熱処理工程において可溶性ナトリウム塩や
可溶性硫酸塩になるが、この可溶性ナトリウム塩や可溶
性硫酸塩は、高密度化のための高温加熱処理工程におい
て針状ヘマタイト粒子の形状の変形、粒子相互間の焼結
を防止するために必須である焼結防止剤によって、針状
ヘマタイト粒子相互を架橋しながら粒子内部及び粒子表
面に強固に結合されることにより、針状ヘマタイト粒子
相互間の凝集が一層強まる。その結果、殊に、粒子内部
や凝集物内部に閉じ込められた可溶性硫酸塩や可溶性ナ
トリウム塩は、常法による水洗によって除去することが
極めて困難となる。
【0156】硫酸第一鉄と水酸化ナトリウムとを用いて
アルカリ性水溶液中で針状ゲータイト粒子を生成する場
合には、同時に生成される硫酸塩はNa2 SO4 であ
り、また、母液中にNaOHが存在し、これらは共に可
溶性であるため針状ゲータイト粒子を十分水洗すれば本
質的にはNa2 SO4 およびNaOHを除去できるはず
である。しかし、一般には針状ゲータイト粒子の結晶性
が小さい為、水洗効率が悪く、常法により水洗した場
合、なお、粒子中に可溶性硫酸塩〔SO4 --〕、可溶性
ナトリウム塩〔Na+ 〕等水可溶性分を含んでいる。そ
して、この水可溶性分は、前述した通り、焼結防止剤に
よって針状ヘマタイト粒子相互を架橋しながら粒子内部
及び粒子表面に強固に結合されることにより、針状ヘマ
タイト粒子相互間の凝集が一層強まる。その結果、殊
に、粒子内部や凝集物内部に閉じ込められた可溶性硫酸
塩や可溶性ナトリウム塩は、常法による水洗によって除
去することが極めて困難となる。
【0157】上述した通り、可溶性ナトリウム塩や可溶
性硫酸塩が焼結防止剤を介在して粒子内部や粒子表面及
び凝集物内部に強く結合されている高密度ヘマタイト粒
子は、湿式粉砕して粗粒をほぐした後、スラリーのpH
値を13以上に調整し、80℃以上の温度で加熱処理す
ると、アルカリ性水溶液が高密度ヘマタイト粒子の粒子
内部まで十分浸透し、その結果、粒子内部や粒子表面及
び凝集物内部に強く結合している焼結防止剤の結合力が
徐々に弱まり、粒子内部や粒子表面及び凝集物内部から
解離され、同時に水可溶性ナトリウム塩や水可溶性硫酸
塩も水洗除去しやすくなるものと考えられる。
【0158】次に、本発明において重要なことは、粉体
pH値が8以上であって、且つ、可溶性ナトリウム塩の
含有量がNa換算で300ppm以下、可溶性硫酸塩の
含有量がSO4 換算で150ppm以下である粒子を非
磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いたことに起因し
て、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分とする金
属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化を抑制する
ことができるという事実である。
【0159】磁気記録層中に分散されている鉄を主成分
とする金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が
抑制される理由について、本発明者は、金属の腐蝕を促
進する可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩等の可溶性分
が高密度針状ヘマタイト粒子中に少ないこと及びヘマタ
イト粒子自体の粉体pH値が8以上と高いことに起因し
て鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の腐蝕の進行が抑
制できたものと考えている。
【0160】事実、本発明者は、後出の実施例及び比較
例に示す通り、湿式粉砕後の高密度化されたヘマタイト
粒子粉末を含むスラリーのpH値が13未満に調整した
後、80℃以上の温度で加熱処理した場合、湿式粉砕後
の高密度化されたヘマタイト粒子粉末を含むスラリーの
pH値を13以上に調整した後、80℃未満の温度で加
熱処理した場合、湿式粉砕をすることなく粗粒を含んだ
ままの高密度ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーのpH
値を13以上に調整した後、80℃以上の温度で加熱処
理した場合のいずれの場合にも、鉄を主成分とする金属
磁性粒子粉末の腐蝕の進行が抑制できないことから、可
溶性分が少ないことと、粉体pH値が8以上であること
の相乗効果により鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の
腐蝕の進行が抑制できるという現象を確認している。
【0161】更に、本発明において重要なことは、本発
明に係る磁気記録層表面や磁気記録媒体は耐久性に優れ
ているという事実である。
【0162】磁気記録層表面や磁気記録媒体の耐久性が
向上した理由については未だ明らかではないが、後出実
施例に示す通り、本発明者は、粒子内部にアルミニウム
を均一に含有しており、粉体pH値が8以上であって、
且つ、可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩の含有量が少
ない針状ヘマタイト粒子を非磁性粒子として用いたこと
と、アルミニウムが存在している鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末を磁性粒子として用いたこととの相乗
効果に起因して、上記針状ヘマタイト粒子および上記磁
性粒子双方のビヒクル中における結合剤樹脂との樹脂吸
着強度が高まり、その結果、非磁性下地層中における針
状ヘマタイト粒子や非磁性下地層自体の非磁性支持体に
対する密着度が高まったこと、磁気記録層中における磁
性粒子や磁気記録層自体の非磁性下地層に対する密着度
が高まったこと等の相乗効果によるものと考えている。
【0163】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0164】<針状ゲータイト粒子粉末の種類>針状ヘ
マタイト粒子を製造するための前駆体として下記の出発
原料A乃至Eを準備した。
【0165】
【表1】
【0166】<低密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造> 実施例1〜9及び比較例1〜14 出発原料である針状ゲータイト粒子粉末の種類、焼結防
止剤の種類及び量、低密度加熱処理温度及び時間を種々
変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にし
て低密度針状ヘマタイト粒子を得た。尚、比較例4で得
られた粒子は、ゲータイト粒子である。
【0167】この時の主要製造条件及び諸特性を表2乃
至表5に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】<高密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造> 実施例10〜18及び比較例15〜27 低密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、高密度化加熱処
理の温度及び時間を種々変化させた以外は、前記本発明
の実施の形態と同様にして高密度針状ヘマタイト粒子を
得た。
【0173】この時の主要製造条件及び諸特性を表6及
び表7に示す。
【0174】
【表6】
【0175】
【表7】
【0176】<高密度針状ヘマタイト粒子のアルカリ水
溶液中における処理> 実施例19〜27及び比較例28〜35 高密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、湿式粉砕の有無
及び篩残量、アルカリ水溶液中における加熱処理の有
無、スラリーのpH値、加熱温度及び加熱時間を種々変
化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして
針状ヘマタイト粒子を得た。
【0177】この時の主要製造条件及び諸特性を表8乃
至表11に示す。
【0178】
【表8】
【0179】
【表9】
【0180】
【表10】
【0181】
【表11】
【0182】<針状ヘマタイト粒子の表面被覆処理> 実施例28 アルカリ性水溶液中における加熱処理後にデカンテーシ
ョン法により水洗して得られた実施例19のpH値が1
0.5のスラリーは、スラリー濃度が96g/lであっ
た。このスラリー5lを再度加熱して60℃とし、この
スラリー中に1.0NのNaAlO2 溶液534ml
(針状ヘマタイト粒子に対しAl換算で3.0wt%に
相当する。)を加え、60分間保持した後、酢酸を用い
てpH値を8.2に調整した。次いで、前記本発明の実
施の形態と同様にして濾別、水洗、乾燥、粉砕して粒子
表面が被覆物により被覆されている針状ヘマタイト粒子
粉末を得た。
【0183】この時の主要製造条件及び諸特性を表12
及び表13に示す。
【0184】実施例29〜36 針状ヘマタイト粒子粉末の種類、表面処理物の種類及び
量を種々変化させた以外は、実施例28と同様にして表
面被覆針状ヘマタイト粒子を得た。
【0185】この時の主要製造条件及び諸特性を表12
及び表13に示す。
【0186】
【表12】
【0187】
【表13】
【0188】<非磁性下地層の製造> 実施例37〜54及び比較例36〜50 実施例19〜36で得られた針状ヘマタイト粒子、出発
原料Eの針状ゲータイト粒子及び比較例3、15〜1
8、23、28〜35で得られた針状ヘマタイト粒子を
用いて前記本発明の実施の形態と同様にして非磁性下地
層を得た。
【0189】この時の主要製造条件及び諸特性を表14
及び表15に示す。
【0190】
【表14】
【0191】
【表15】
【0192】<磁気記録媒体の製造> 実施例55〜72及び比較例51〜65 先ず、表16に示す4種類の鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末(a)乃至(d)を準備した。
【0193】
【表16】
【0194】非磁性下地層の種類、鉄を主成分とする針
状金属磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前
記本発明の実施の形態と同様にして鉄を主成分とする金
属磁性粉末を使用している磁気記録媒体を製造した。
【0195】この時の主要製造条件及び諸特性を表17
及び表18に示す。
【0196】
【表17】
【0197】
【表18】
【0198】
【発明の効果】本発明に係る磁気記録媒体は、前出実施
例に示した通り、非磁性下地層用非磁性粉末として、粒
子内部にアルミニウムをほぼ均一に含有している針状粒
子であって、特定の粉体pH値を有するとともに可溶性
塩、殊に、可溶性硫酸塩の少ない針状ヘマタイト粒子粉
末を用いたことに起因して、基体としての強度とより表
面性に優れている非磁性下地層を得ることができ、該非
磁性下地層を用いて磁気記録媒体とした場合において光
透過率が小さく、強度が大きいとともに、より表面平滑
である磁気記録媒体を得ることができ、しかも、非磁性
下地層用非磁性粉末として特定の粉体pH値を有すると
ともに可溶性塩、殊に、可溶性硫酸塩の少ない針状ヘマ
タイト粒子粉末を用いたことに起因して、磁気記録層中
の鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う
磁気特性の劣化を抑制することができる。
【0199】そして、本発明に係る磁気記録媒体は、非
磁性下地層用非磁性粒子粉末として粒子内部にアルミニ
ウムを均一に含有している針状ヘマタイト粒子粉末を用
いたこと及び磁気記録層用磁性粒子粉末としてアルミニ
ウムが存在している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子
粉末を用いたことに起因してより耐久性に優れたもので
あるので、高密度記録用磁気記録媒体として好ましいも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 泰幸 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号戸 田工業株式会社創造センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層と該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結
    合剤樹脂とを含む磁気記録層とからなる磁気記録媒体に
    おいて、前記非磁性粒子粉末は粒子内部にAl換算で
    0.05〜50重量%のアルミニウムを含有している平
    均長軸径が0.3μm以下の針状粒子からなる粉体pH
    値が8以上であって、且つ、可溶性ナトリウム塩の含有
    量がNa換算で300ppm以下、可溶性硫酸塩の含有
    量がSO4 換算で150ppm以下である針状ヘマタイ
    ト粒子粉末であり、前記磁性粒子粉末はAl換算で0.
    05〜10重量%のアルミニウムが存在している鉄を主
    成分とする針状金属磁性粒子粉末であることを特徴とす
    る磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地
    層と該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結
    合剤樹脂とを含む磁気記録層とからなる磁気記録媒体に
    おいて、前記非磁性粒子粉末は粒子内部にAl換算で
    0.05〜50重量%のアルミニウムを含有し、且つ、
    アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ
    素の水酸化物及びケイ素の酸化物の少なくとも1種で粒
    子表面が被覆されている平均長軸径が0.3μm以下の
    針状粒子からなる粉体pH値が8以上であって、且つ、
    可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で300ppm
    以下、可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で150pp
    m以下である針状ヘマタイト粒子粉末であり、前記磁性
    粒子粉末はAl換算で0.05〜10重量%のアルミニ
    ウムが存在している鉄を主成分とする針状金属磁性粒子
    粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
JP8589597A 1997-01-08 1997-03-19 磁気記録媒体 Pending JPH10269553A (ja)

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US09/004,720 US6120898A (en) 1997-01-08 1998-01-08 Hematite particles and magnetic recording medium using hematite particles as non-magnetic particles for a non-magnetic undercoat layer
DE69800332T DE69800332T2 (de) 1997-01-08 1998-01-08 Hematitteilchen und magnetischer Aufzeichnungsträger welcher die Hematitteilchen als nicht-magnitische Teilchen in einer nicht-magnetischen Unterschicht verwendet
US09/577,334 US6248437B1 (en) 1997-01-08 2000-05-23 Magnetic recording medium containing non-magnetic hematite particles as an undercoat layer

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