JPH10264295A - 耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法 - Google Patents
耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法Info
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- JPH10264295A JPH10264295A JP7505897A JP7505897A JPH10264295A JP H10264295 A JPH10264295 A JP H10264295A JP 7505897 A JP7505897 A JP 7505897A JP 7505897 A JP7505897 A JP 7505897A JP H10264295 A JPH10264295 A JP H10264295A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ２コート２ベーク方式で塗膜密着性，耐熱
性，耐熱非粘着性に優れた耐熱非粘着意匠鋼板を製造す
る。 【解決手段】 ポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニ
ルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
１種からなる耐熱性樹脂とポリテトラフルオロエチレン
樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体の少なくとも１種からなるフッ
素樹脂との混合物を主成分とする耐熱非粘着性着色塗料
を鋼板表面に塗布し焼き付け、次いで同じ塗料組成をも
つ耐熱非粘着性着色塗料を連続又は不連続な耐熱非粘着
印刷層としてフレキソ印刷する。
性，耐熱非粘着性に優れた耐熱非粘着意匠鋼板を製造す
る。 【解決手段】 ポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニ
ルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
１種からなる耐熱性樹脂とポリテトラフルオロエチレン
樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体の少なくとも１種からなるフッ
素樹脂との混合物を主成分とする耐熱非粘着性着色塗料
を鋼板表面に塗布し焼き付け、次いで同じ塗料組成をも
つ耐熱非粘着性着色塗料を連続又は不連続な耐熱非粘着
印刷層としてフレキソ印刷する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性，非粘着性が要
求される食品調理用器具，加熱調理用器具等として使用
される耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法に関する。
求される食品調理用器具，加熱調理用器具等として使用
される耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】食品調理用器具，加熱調理用器具等の耐
熱・非粘着性が要求される用途では、フッ素樹脂又はフ
ッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂を鋼板表面に塗布
し、高温焼成で耐熱非粘着皮膜を形成した塗装鋼板が使
用されている。しかし、フッ素樹脂塗装の普及に応じて
フッ素樹脂塗装製品の識別性が薄れ、他の塗装を施した
製品が望まれるようになってきている。なかでも、従来
のフッ素樹脂塗装製品では識別性，意匠性に欠ける単色
のものが多いことから、柄を含めてデザイン性に優れた
塗装製品が望まれ始めている。フッ素樹脂塗装に代わる
ものとして、透明フッ素樹脂フィルムに印刷を施し、印
刷面を鋼板側に配置してフッ素樹脂フィルムを積層し、
透明フッ素樹脂フィルムを介して印刷意匠が得られるラ
ミネート鋼板がガステーブル天板等に使用され始めてい
る。また、特開平７−１１２５１７号公報は、加熱容器
上にプライマー層を介して印刷表示層を設け、印刷表示
層の上に光輝性成分を含むポリテトラフルオロエチレン
層をスプレーコーティングした後、パーフルオロアルコ
キシエチレン共重合体を粉体塗装することにより、印刷
表示した加熱容器が得られることを紹介している。
熱・非粘着性が要求される用途では、フッ素樹脂又はフ
ッ素樹脂と耐熱性樹脂との混合樹脂を鋼板表面に塗布
し、高温焼成で耐熱非粘着皮膜を形成した塗装鋼板が使
用されている。しかし、フッ素樹脂塗装の普及に応じて
フッ素樹脂塗装製品の識別性が薄れ、他の塗装を施した
製品が望まれるようになってきている。なかでも、従来
のフッ素樹脂塗装製品では識別性，意匠性に欠ける単色
のものが多いことから、柄を含めてデザイン性に優れた
塗装製品が望まれ始めている。フッ素樹脂塗装に代わる
ものとして、透明フッ素樹脂フィルムに印刷を施し、印
刷面を鋼板側に配置してフッ素樹脂フィルムを積層し、
透明フッ素樹脂フィルムを介して印刷意匠が得られるラ
ミネート鋼板がガステーブル天板等に使用され始めてい
る。また、特開平７−１１２５１７号公報は、加熱容器
上にプライマー層を介して印刷表示層を設け、印刷表示
層の上に光輝性成分を含むポリテトラフルオロエチレン
層をスプレーコーティングした後、パーフルオロアルコ
キシエチレン共重合体を粉体塗装することにより、印刷
表示した加熱容器が得られることを紹介している。
【０００３】印刷を施した透明フッ素樹脂フィルムを貼
り付けたラミネート鋼板では、印刷の基材となるフッ素
樹脂フィルムが樹脂単価として高価である上、印刷性を
得るために４０μｍ前後の厚い樹脂フィルムが必要とさ
れることから、非常に高価になる。また、フッ素樹脂フ
ィルムを十分な接着性で鋼板に積層するため、加熱方
法，加熱時間等の条件設定に自由度が低いため処理が煩
雑になり、従来のプレコート鋼板である耐熱非粘着塗装
鋼板に比較して著しく高価な製品となる。他方、特開平
７−１１２５１７号公報では、成形後の加熱容器に目盛
り等の表示をタンポ印刷等の方法で施し、更にフッ素樹
脂塗料をスプレー及び粉体塗装している。しかし、使用
するフッ素樹脂塗料は、フッ素樹脂が溶剤に溶解しない
ことから、連続塗装設備に不向きなタンポ印刷を採用せ
ざるを得ず、プレコート鋼板で一般的なロールコート法
やカーテンフローコート法に適用できない。そこで、本
発明者等は、耐熱性樹脂塗膜を設けた鋼板表面に耐熱性
フッ素樹脂印刷インキをグラビアオフセット印刷し、次
いで耐熱性樹脂とフッ素樹脂との混合物からなる透明耐
熱非粘着塗膜を印刷インク層の上に形成する方法を開発
し、特開平８−２１２０５６号公報で紹介した。この方
法によるとき、通常のプレコート鋼板連続塗装設備を使
用した製造が可能になる。
り付けたラミネート鋼板では、印刷の基材となるフッ素
樹脂フィルムが樹脂単価として高価である上、印刷性を
得るために４０μｍ前後の厚い樹脂フィルムが必要とさ
れることから、非常に高価になる。また、フッ素樹脂フ
ィルムを十分な接着性で鋼板に積層するため、加熱方
法，加熱時間等の条件設定に自由度が低いため処理が煩
雑になり、従来のプレコート鋼板である耐熱非粘着塗装
鋼板に比較して著しく高価な製品となる。他方、特開平
７−１１２５１７号公報では、成形後の加熱容器に目盛
り等の表示をタンポ印刷等の方法で施し、更にフッ素樹
脂塗料をスプレー及び粉体塗装している。しかし、使用
するフッ素樹脂塗料は、フッ素樹脂が溶剤に溶解しない
ことから、連続塗装設備に不向きなタンポ印刷を採用せ
ざるを得ず、プレコート鋼板で一般的なロールコート法
やカーテンフローコート法に適用できない。そこで、本
発明者等は、耐熱性樹脂塗膜を設けた鋼板表面に耐熱性
フッ素樹脂印刷インキをグラビアオフセット印刷し、次
いで耐熱性樹脂とフッ素樹脂との混合物からなる透明耐
熱非粘着塗膜を印刷インク層の上に形成する方法を開発
し、特開平８−２１２０５６号公報で紹介した。この方
法によるとき、通常のプレコート鋼板連続塗装設備を使
用した製造が可能になる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、グラビアオフ
セット印刷を用いた方法では、通常のプレコート鋼板製
造ラインからみると印刷機が特別な設備であり、しかも
印刷再現性を確保するために相応の熟練度が必要にな
る。また、インキの耐熱性樹脂としてポリエーテルスル
ホン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイ
ミド樹脂等を使用すると、顔料の分散性に問題がある。
そのため、ポリテトラフルオロエチレン樹脂やテトラフ
ルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体系の高価なインキが必要になる。更に、ベース
コート，グラビアオフセット印刷の後にトップコートが
必要とされる。したがって、２コート−２ベーク方式が
一般的である通常の連続塗装設備で製造しようとする
と、連続塗装設備を２パスさせることが必要になり、単
色の耐熱非粘着鋼板に比較して製造コストが著しく上昇
する。本発明は、このような問題を解消すべく案出され
たものであり、耐熱性樹脂とフッ素樹脂との混合物から
なる耐熱非粘着塗膜の表面に耐熱非粘着塗料をフレキソ
印刷することにより、耐熱非粘着性及び意匠性に優れた
耐熱非粘着意匠鋼板を提供することを目的とする。
セット印刷を用いた方法では、通常のプレコート鋼板製
造ラインからみると印刷機が特別な設備であり、しかも
印刷再現性を確保するために相応の熟練度が必要にな
る。また、インキの耐熱性樹脂としてポリエーテルスル
ホン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイ
ミド樹脂等を使用すると、顔料の分散性に問題がある。
そのため、ポリテトラフルオロエチレン樹脂やテトラフ
ルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体系の高価なインキが必要になる。更に、ベース
コート，グラビアオフセット印刷の後にトップコートが
必要とされる。したがって、２コート−２ベーク方式が
一般的である通常の連続塗装設備で製造しようとする
と、連続塗装設備を２パスさせることが必要になり、単
色の耐熱非粘着鋼板に比較して製造コストが著しく上昇
する。本発明は、このような問題を解消すべく案出され
たものであり、耐熱性樹脂とフッ素樹脂との混合物から
なる耐熱非粘着塗膜の表面に耐熱非粘着塗料をフレキソ
印刷することにより、耐熱非粘着性及び意匠性に優れた
耐熱非粘着意匠鋼板を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明の耐熱非粘着意匠
鋼板は、その目的を達成するため、ポリエーテルスルホ
ン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミ
ド樹脂の少なくとも１種からなる耐熱性樹脂とポリテト
ラフルオロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくと
も１種からなるフッ素樹脂との混合物を主成分とする耐
熱非粘着性着色塗料からなる塗膜が鋼板表面に形成さ
れ、同じ塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料からなる
連続又は不連続な耐熱非粘着印刷層が耐熱非粘着性着色
塗膜の上にフレキソ印刷で設けられていることを特徴と
する。この耐熱非粘着意匠鋼板は、ポリエーテルスルホ
ン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミ
ド樹脂の少なくとも１種からなる耐熱性樹脂とポリテト
ラフルオロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくと
も１種からなるフッ素樹脂との混合物を主成分とする耐
熱非粘着性着色塗料を鋼板表面に塗布し焼き付け、次い
で同じ塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料を連続又は
不連続な耐熱非粘着印刷層としてフレキソ印刷すること
により製造される。
鋼板は、その目的を達成するため、ポリエーテルスルホ
ン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミ
ド樹脂の少なくとも１種からなる耐熱性樹脂とポリテト
ラフルオロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくと
も１種からなるフッ素樹脂との混合物を主成分とする耐
熱非粘着性着色塗料からなる塗膜が鋼板表面に形成さ
れ、同じ塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料からなる
連続又は不連続な耐熱非粘着印刷層が耐熱非粘着性着色
塗膜の上にフレキソ印刷で設けられていることを特徴と
する。この耐熱非粘着意匠鋼板は、ポリエーテルスルホ
ン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミ
ド樹脂の少なくとも１種からなる耐熱性樹脂とポリテト
ラフルオロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パ
ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくと
も１種からなるフッ素樹脂との混合物を主成分とする耐
熱非粘着性着色塗料を鋼板表面に塗布し焼き付け、次い
で同じ塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料を連続又は
不連続な耐熱非粘着印刷層としてフレキソ印刷すること
により製造される。
【０００６】
【実施の形態】本発明が対象とする耐熱非粘着意匠鋼板
では、普通鋼板，Ｚｎめっき鋼板，Ａｌめっき鋼板，Ｚ
ｎ−Ａｌめっき鋼板，ステンレス鋼板等が原板に使用さ
れる。原板には、必要に応じてリン酸塩処理，塗布型ク
ロメート処理等が施される。原板には、先ず耐熱非粘着
性樹脂からなる着色塗料が塗布・焼付けされる。耐熱非
粘着性の着色塗膜は、耐熱性樹脂及びフッ素樹脂を混合
した塗料で形成される。耐熱性樹脂としては、ポリエー
テルスルホン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリ
アミドイミド樹脂から選ばれた少なくとも１種以上の樹
脂が使用される。フッ素樹脂としては、ポリテトラフル
オロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも１種
以上の樹脂が使用される。耐熱性樹脂とフッ素樹脂と
は、重量比４０：６０〜７０：３０（好ましくは５０：
５０〜６０：４０）の割合で混合される。
では、普通鋼板，Ｚｎめっき鋼板，Ａｌめっき鋼板，Ｚ
ｎ−Ａｌめっき鋼板，ステンレス鋼板等が原板に使用さ
れる。原板には、必要に応じてリン酸塩処理，塗布型ク
ロメート処理等が施される。原板には、先ず耐熱非粘着
性樹脂からなる着色塗料が塗布・焼付けされる。耐熱非
粘着性の着色塗膜は、耐熱性樹脂及びフッ素樹脂を混合
した塗料で形成される。耐熱性樹脂としては、ポリエー
テルスルホン樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリ
アミドイミド樹脂から選ばれた少なくとも１種以上の樹
脂が使用される。フッ素樹脂としては、ポリテトラフル
オロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体の少なくとも１種
以上の樹脂が使用される。耐熱性樹脂とフッ素樹脂と
は、重量比４０：６０〜７０：３０（好ましくは５０：
５０〜６０：４０）の割合で混合される。
【０００７】耐熱非粘着性の着色塗膜は、下地鋼を隠蔽
すると共に印刷柄との組合せで印刷意匠を発現するベー
ス色になるため、耐熱性に優れた着色顔料を配合するこ
とが好ましい。使用される着色顔料には、酸化チタン，
カーボンブラック，酸化クロム，酸化鉄等がある。ま
た、必要に応じて防錆顔料，体質顔料等を添加しても良
い。耐熱非粘着性着色塗料は、乾燥厚みで２〜２０μｍ
の塗膜が形成されるように鋼板表面に塗布される。この
塗料は溶剤に可溶な耐熱性樹脂を含むのでロールコート
法で塗装できるが、溶剤に溶解しないフッ素樹脂を含む
ことからチキソトロピックな塗料となる。そこで、トッ
プフィードフルリバース法によるロールコート法を採用
することが好ましい。鋼板に塗布された塗料は、塗料に
含まれる耐熱性樹脂及びフッ素樹脂の中で最も融点が高
い樹脂の融点を超える温度で焼き付けられる。
すると共に印刷柄との組合せで印刷意匠を発現するベー
ス色になるため、耐熱性に優れた着色顔料を配合するこ
とが好ましい。使用される着色顔料には、酸化チタン，
カーボンブラック，酸化クロム，酸化鉄等がある。ま
た、必要に応じて防錆顔料，体質顔料等を添加しても良
い。耐熱非粘着性着色塗料は、乾燥厚みで２〜２０μｍ
の塗膜が形成されるように鋼板表面に塗布される。この
塗料は溶剤に可溶な耐熱性樹脂を含むのでロールコート
法で塗装できるが、溶剤に溶解しないフッ素樹脂を含む
ことからチキソトロピックな塗料となる。そこで、トッ
プフィードフルリバース法によるロールコート法を採用
することが好ましい。鋼板に塗布された塗料は、塗料に
含まれる耐熱性樹脂及びフッ素樹脂の中で最も融点が高
い樹脂の融点を超える温度で焼き付けられる。
【０００８】耐熱非粘着性着色塗膜が形成された鋼板に
対し、フレキソ印刷によって意匠柄を印刷する。フレキ
ソ印刷の導入は、２コート２ベーク方式で印刷意匠性及
び耐熱非粘着性を併せ持つ製品構成について本発明者等
による研究結果から見い出されたものである。意匠柄を
グラビアオフセット印刷する方法は、ベースコート，グ
ラビアオフセット印刷の後にトップコートが必要とし、
３コート３ベークになる。そのため、２コート２ベ−ク
が一般的な通常の連続塗装設備にグラビアオフセット印
刷を組み込むと、連続塗装設備を２パスさせる必要が生
じ、製造コストを上昇させる原因となる。また、印刷意
匠性に関しても、グラビアオフセット法で意匠柄を印刷
する方法では、顔料分散性の問題からポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体等の高価な耐熱イン
キが必要になるため、製品コストが上昇する。
対し、フレキソ印刷によって意匠柄を印刷する。フレキ
ソ印刷の導入は、２コート２ベーク方式で印刷意匠性及
び耐熱非粘着性を併せ持つ製品構成について本発明者等
による研究結果から見い出されたものである。意匠柄を
グラビアオフセット印刷する方法は、ベースコート，グ
ラビアオフセット印刷の後にトップコートが必要とし、
３コート３ベークになる。そのため、２コート２ベ−ク
が一般的な通常の連続塗装設備にグラビアオフセット印
刷を組み込むと、連続塗装設備を２パスさせる必要が生
じ、製造コストを上昇させる原因となる。また、印刷意
匠性に関しても、グラビアオフセット法で意匠柄を印刷
する方法では、顔料分散性の問題からポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体等の高価な耐熱イン
キが必要になるため、製品コストが上昇する。
【０００９】低い顔料分散性は、ポリエーテルスルホン
樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド
樹脂等の耐熱性樹脂が何れも溶剤に溶解し難いため、溶
液化する際に樹脂溶解濃度が２０重量％程度の低い値に
なり、顔料を分散させる能力に劣ることが原因である。
しかも、グラビアオフセット印刷用にインキをフォード
カップ＃４（２５℃）で４０秒前後又は以下に粘度調整
する必要がある。本発明者等は、グラビアオフセット印
刷に関するこれらの欠陥を克服するため、耐熱性樹脂を
用いたインキを調査検討した。しかし、顔料の分散安定
性に関する解決法が見い出されなかった。これは、印刷
インキの特性として薄膜での隠蔽性の発現が必須であ
り、隠蔽性の発現が顔料分散性と相反する特性であるこ
とに大きな問題があるものといえる。
樹脂，ポリフェニルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド
樹脂等の耐熱性樹脂が何れも溶剤に溶解し難いため、溶
液化する際に樹脂溶解濃度が２０重量％程度の低い値に
なり、顔料を分散させる能力に劣ることが原因である。
しかも、グラビアオフセット印刷用にインキをフォード
カップ＃４（２５℃）で４０秒前後又は以下に粘度調整
する必要がある。本発明者等は、グラビアオフセット印
刷に関するこれらの欠陥を克服するため、耐熱性樹脂を
用いたインキを調査検討した。しかし、顔料の分散安定
性に関する解決法が見い出されなかった。これは、印刷
インキの特性として薄膜での隠蔽性の発現が必須であ
り、隠蔽性の発現が顔料分散性と相反する特性であるこ
とに大きな問題があるものといえる。
【００１０】そこで、本発明者等は、鋼板表面に対する
印刷意匠の発現を再検討し、鋼板印刷には従来採用され
ていないフレキソ印刷により印刷意匠を発現させる方法
に至った。フレキソ印刷は、凸版方式であり、発色が良
く高速印刷が可能であることから、各種プラスチックの
印刷に利用されている。また、簡易に刷版できることか
ら、特に欧米でフィルム用に多用されている。フレキソ
印刷法は、グラビアオフセット印刷法に比較して印刷意
匠表現力が劣るものの、ガステーブル天板等に使用され
ている意匠については問題なく表現できる。また、高価
なインキの使用を必要とせず、使用可能なインキの粘度
の自由度が広く、フォードカップ＃４（２５℃）で１５
０秒前後の高い粘度のインキも使用できる。そのため、
通常のプレコート鋼板用に耐熱性樹脂系塗料として用い
られているポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニルス
ルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂等を使用できる。
しかも、プレコート鋼板製造用の連続塗装ラインにおい
て、ロールコータのアプリケーションロールをフレキソ
ロールに置き換えることを除き大幅な設備改造を必要と
せず、既存の設備を用いた１パスでの製造が可能にな
る。その結果、耐熱非粘着性意匠鋼板が安価に製造され
る。
印刷意匠の発現を再検討し、鋼板印刷には従来採用され
ていないフレキソ印刷により印刷意匠を発現させる方法
に至った。フレキソ印刷は、凸版方式であり、発色が良
く高速印刷が可能であることから、各種プラスチックの
印刷に利用されている。また、簡易に刷版できることか
ら、特に欧米でフィルム用に多用されている。フレキソ
印刷法は、グラビアオフセット印刷法に比較して印刷意
匠表現力が劣るものの、ガステーブル天板等に使用され
ている意匠については問題なく表現できる。また、高価
なインキの使用を必要とせず、使用可能なインキの粘度
の自由度が広く、フォードカップ＃４（２５℃）で１５
０秒前後の高い粘度のインキも使用できる。そのため、
通常のプレコート鋼板用に耐熱性樹脂系塗料として用い
られているポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニルス
ルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂等を使用できる。
しかも、プレコート鋼板製造用の連続塗装ラインにおい
て、ロールコータのアプリケーションロールをフレキソ
ロールに置き換えることを除き大幅な設備改造を必要と
せず、既存の設備を用いた１パスでの製造が可能にな
る。その結果、耐熱非粘着性意匠鋼板が安価に製造され
る。
【００１１】しかし、耐熱性樹脂塗料をフレキソ印刷し
ても、耐熱非粘着性は発現しない。そこで、本発明者等
は、鋼板表面に耐熱非粘着性着色塗膜を形成した上に、
この塗膜と同様の塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料
をフレキソ印刷し、塗料を焼き付けることを試みた。そ
の結果、耐熱非粘着着色塗膜表面に設けられたフレキソ
印刷層は、意外にも下地の塗膜に強固に密着しており、
且つ印刷部においても非印刷部と同様に優れた耐熱非粘
着性を発現することを確認した。印刷部における耐熱非
粘着性の発現は、印刷層を焼き付けるとき印刷層の下部
に存在していたフッ素樹脂が印刷層表面まで移行し、熱
力学的に安定な形態をとるように、表面エネルギーの小
さいフッ素樹脂が溶融状態の耐熱性樹脂（印刷部）中を
マイグレーションした結果であると推察される。印刷用
塗料は、印刷柄を発現するために耐熱性に優れた酸化チ
タン，カーボンブラック，酸化クロム，酸化鉄等の着色
顔料が配合される。耐熱非粘着性着色塗膜の上に形成さ
れる印刷層は、意匠性を考慮すると、好ましくは０．５
〜１０μｍの乾燥膜厚で連続又は不連続に塗料を塗布
し、４００℃付近の温度で焼き付けることにより形成さ
れる。
ても、耐熱非粘着性は発現しない。そこで、本発明者等
は、鋼板表面に耐熱非粘着性着色塗膜を形成した上に、
この塗膜と同様の塗料組成をもつ耐熱非粘着性着色塗料
をフレキソ印刷し、塗料を焼き付けることを試みた。そ
の結果、耐熱非粘着着色塗膜表面に設けられたフレキソ
印刷層は、意外にも下地の塗膜に強固に密着しており、
且つ印刷部においても非印刷部と同様に優れた耐熱非粘
着性を発現することを確認した。印刷部における耐熱非
粘着性の発現は、印刷層を焼き付けるとき印刷層の下部
に存在していたフッ素樹脂が印刷層表面まで移行し、熱
力学的に安定な形態をとるように、表面エネルギーの小
さいフッ素樹脂が溶融状態の耐熱性樹脂（印刷部）中を
マイグレーションした結果であると推察される。印刷用
塗料は、印刷柄を発現するために耐熱性に優れた酸化チ
タン，カーボンブラック，酸化クロム，酸化鉄等の着色
顔料が配合される。耐熱非粘着性着色塗膜の上に形成さ
れる印刷層は、意匠性を考慮すると、好ましくは０．５
〜１０μｍの乾燥膜厚で連続又は不連続に塗料を塗布
し、４００℃付近の温度で焼き付けることにより形成さ
れる。
【００１２】
【実施例】板厚０．４５ｍｍのＳＵＳ４３０ステンレス
鋼板を脱脂した後、塗布型クロメート処理を施し、酸化
チタンを配合した耐熱非粘着性塗料を乾燥膜厚１２μｍ
でロールコートし、４００℃で焼き付け、次いでカーボ
ンブラックを配合した耐熱非粘着性印刷塗料を水玉模様
にフレキソ印刷し、４００℃で焼き付けた。使用した耐
熱非粘着性塗料及び耐熱非粘着性印刷塗料をそれぞれ表
１に示す。形成された塗膜の外観，密着性，耐熱性及び
耐熱非粘着性を調査し、調査結果を表１に併せ示した。
外観は目視観察で判定し、鮮明な印刷模様が発現したも
のを○，印刷ができなかったものを×と評価した。塗膜
密着性は、試験片を１０×１０の碁盤目状に区分したテ
ープ剥離試験で判定し、剥離した目数で評価した。耐熱
性は、塗膜を３００℃に３００時間保持した後、同様な
テープ剥離試験で判定した。
鋼板を脱脂した後、塗布型クロメート処理を施し、酸化
チタンを配合した耐熱非粘着性塗料を乾燥膜厚１２μｍ
でロールコートし、４００℃で焼き付け、次いでカーボ
ンブラックを配合した耐熱非粘着性印刷塗料を水玉模様
にフレキソ印刷し、４００℃で焼き付けた。使用した耐
熱非粘着性塗料及び耐熱非粘着性印刷塗料をそれぞれ表
１に示す。形成された塗膜の外観，密着性，耐熱性及び
耐熱非粘着性を調査し、調査結果を表１に併せ示した。
外観は目視観察で判定し、鮮明な印刷模様が発現したも
のを○，印刷ができなかったものを×と評価した。塗膜
密着性は、試験片を１０×１０の碁盤目状に区分したテ
ープ剥離試験で判定し、剥離した目数で評価した。耐熱
性は、塗膜を３００℃に３００時間保持した後、同様な
テープ剥離試験で判定した。
【００１３】耐熱非粘着性は、醤油：卵：砂糖＝１：
１：１の混合液及び牛乳を塗膜表面に０．５ｍｌ滴下し
た試験片を２６０℃の加熱炉に１時間入れ、十分に冷却
した後で混合液及び牛乳の焦げ付きを調査し、焦げ付き
の有無によって判定した。混合液及び牛乳が塗膜表面に
焦げ付くことなく除去できる場合を耐熱非粘着性良好
（○），焦げ付いて除去できない場合を耐熱非粘着性不
良（×）と評価した。表１の調査結果にみられるよう
に、本発明に従った試験番号１〜６は、外観，塗膜密着
性，耐熱性及び耐熱非粘着性の何れにおいても優れた特
性を呈していた。これに対し、下地となる着色塗膜と印
刷層との塗料組成が異なる試験番号７，９〜１２では、
密着性及び耐熱性は良好であるものの、耐熱非粘着性が
劣っていた。また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂単
独を印刷塗料に使用した試験番号８では、印刷模様を施
すことができなかった。
１：１の混合液及び牛乳を塗膜表面に０．５ｍｌ滴下し
た試験片を２６０℃の加熱炉に１時間入れ、十分に冷却
した後で混合液及び牛乳の焦げ付きを調査し、焦げ付き
の有無によって判定した。混合液及び牛乳が塗膜表面に
焦げ付くことなく除去できる場合を耐熱非粘着性良好
（○），焦げ付いて除去できない場合を耐熱非粘着性不
良（×）と評価した。表１の調査結果にみられるよう
に、本発明に従った試験番号１〜６は、外観，塗膜密着
性，耐熱性及び耐熱非粘着性の何れにおいても優れた特
性を呈していた。これに対し、下地となる着色塗膜と印
刷層との塗料組成が異なる試験番号７，９〜１２では、
密着性及び耐熱性は良好であるものの、耐熱非粘着性が
劣っていた。また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂単
独を印刷塗料に使用した試験番号８では、印刷模様を施
すことができなかった。
【００１４】
【００１５】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、耐熱非粘着性着色塗膜を形成した鋼板表面に、耐熱
非粘着性着色塗膜と同じ組成をもつ耐熱非粘着性印刷塗
料を用いてフレキソ印刷することにより印刷層を形成し
ている。この方法によるとき、印刷層に十分な耐熱非粘
着性が付与され、しかもプレコート鋼板の製造に通常使
用されている連続塗装設備を用いた２コート２ベーク方
式で製造される。このようにして、本発明によるとき、
意匠性，塗膜密着性，耐熱性，耐熱非粘着性に優れ、食
品調理器具，加熱調理器具等として使用される耐熱非粘
着意匠鋼板が低コストで製造される。
は、耐熱非粘着性着色塗膜を形成した鋼板表面に、耐熱
非粘着性着色塗膜と同じ組成をもつ耐熱非粘着性印刷塗
料を用いてフレキソ印刷することにより印刷層を形成し
ている。この方法によるとき、印刷層に十分な耐熱非粘
着性が付与され、しかもプレコート鋼板の製造に通常使
用されている連続塗装設備を用いた２コート２ベーク方
式で製造される。このようにして、本発明によるとき、
意匠性，塗膜密着性，耐熱性，耐熱非粘着性に優れ、食
品調理器具，加熱調理器具等として使用される耐熱非粘
着意匠鋼板が低コストで製造される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿石 謙二 千葉県市川市高谷新町７番１号 日新製鋼 株式会社技術研究所内
Claims (2)
- 【請求項１】 ポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニ
ルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
１種からなる耐熱性樹脂とポリテトラフルオロエチレン
樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体の少なくとも１種からなるフッ
素樹脂との混合物を主成分とする耐熱非粘着性着色塗料
からなる塗膜が鋼板表面に形成され、同じ塗料組成をも
つ耐熱非粘着性着色塗料からなる連続又は不連続な耐熱
非粘着印刷層が耐熱非粘着性着色塗膜の上にフレキソ印
刷で設けられている特徴とする耐熱非粘着意匠鋼板。 - 【請求項２】 ポリエーテルスルホン樹脂，ポリフェニ
ルスルフィド樹脂，ポリアミドイミド樹脂の少なくとも
１種からなる耐熱性樹脂とポリテトラフルオロエチレン
樹脂，テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体の少なくとも１種からなるフッ
素樹脂との混合物を主成分とする耐熱非粘着性着色塗料
を鋼板表面に塗布し焼き付け、次いで同じ塗料組成をも
つ耐熱非粘着性着色塗料を連続又は不連続な耐熱非粘着
印刷層としてフレキソ印刷することを特徴とする耐熱非
粘着意匠鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7505897A JPH10264295A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7505897A JPH10264295A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10264295A true JPH10264295A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13565232
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7505897A Withdrawn JPH10264295A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐熱非粘着意匠鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10264295A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000218731A (ja) * | 1999-02-04 | 2000-08-08 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐熱非粘着プレコート鋼板 |
| FR3014014A1 (fr) * | 2013-12-03 | 2015-06-05 | Seb Sa | Procede de decoration par flexographie d'un article comprenant un revetement thermostable |
-
1997
- 1997-03-27 JP JP7505897A patent/JPH10264295A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000218731A (ja) * | 1999-02-04 | 2000-08-08 | Nisshin Steel Co Ltd | 耐熱非粘着プレコート鋼板 |
| FR3014014A1 (fr) * | 2013-12-03 | 2015-06-05 | Seb Sa | Procede de decoration par flexographie d'un article comprenant un revetement thermostable |
| WO2015082820A1 (fr) | 2013-12-03 | 2015-06-11 | Seb S.A. | Procédé de décoration par flexographie d'un article comprenant un revêtement thermostable |
| CN105793054A (zh) * | 2013-12-03 | 2016-07-20 | Seb公司 | 通过柔版印刷对包括耐热涂层的装置进行装饰的装饰方法 |
| KR20160094392A (ko) * | 2013-12-03 | 2016-08-09 | 세브 에스.아. | 플렉소그래피에 의해 열 안정성 코팅을 포함하는 물품을 장식하기 위한 방법 |
| US20160368261A1 (en) * | 2013-12-03 | 2016-12-22 | Seb S.A. | Method for Decorating an Item Including a Heat-Stable Coating by Flexography |
| JP2017501778A (ja) * | 2013-12-03 | 2017-01-19 | セブ ソシエテ アノニム | 熱安定性被覆を含むフレキソ印刷による物品装飾方法 |
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