JPH10263880A - 白金及び白金合金用ろう材 - Google Patents

白金及び白金合金用ろう材

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JPH10263880A
JPH10263880A JP8997497A JP8997497A JPH10263880A JP H10263880 A JPH10263880 A JP H10263880A JP 8997497 A JP8997497 A JP 8997497A JP 8997497 A JP8997497 A JP 8997497A JP H10263880 A JPH10263880 A JP H10263880A
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信雄 石井
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孝志 堀川
Keisuke Sawada
圭祐 澤田
Koichi Hasegawa
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】時計バンド等の装身具,精密機械器具構成材等
の白金,白金合金のろう付のろう材について作業性が良
く、母材の白金,白金合金との濡れ性が良く、良接合性
を介して充分な機械的強度を有し、表面粗さが小さく、
ろう付後の酸洗処理でも変色せず、色調的に母材とのな
じみ性が良いようにする。 【解決手段】重量配合比がホウ素0.5〜5.0%であ
って、残部白金と不純物より成る白金、及び、白金合金
用ろう材であって、更に、重量配合比がインジウム0.
05〜2.0%,スズ0.05〜2.0%,ガリウム
0.05〜2.0%,ゲルマニウム0.05〜2.0
%,ジルコニウム0.05〜1.0%,イットリウム
0.05〜1.0%の少くとも一種を添加されている白
金、及び、白金合金用ろう材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】開示技術は、白金、及び、白金合
金製の時計バンドや指輪,ネックレス等の装身具、或い
は、各種構造物材料等の接合に用いられるろう材の技術
分野に属する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、白金、及び、白金合金製の
装身具、或いは、各種の機械器具や装置類の構造材料は
その審美的観点、或いは、利用目的、更には構造的要因
等により素材自体を相互に接合する態様が多い。
【0003】又、かかる接合方法には従来よりろう材を
用いるろう付手段を用いていることが一般的であり、よ
り具体的には高周波誘導加熱によるろう付、或いは、電
気炉加熱によるろう付手段が広く用いられ、更に用いら
れるろう材の融点は作業性等の観点から母材金属と10
0℃以上の融点差のあることが好ましいとされている。
【0004】又、かかる接合に用いられるろう材の材
質、特に、白金、及び、白金合金用としては一般に金合
金、或いは、パラジウム合金が用いられている。
【0005】これらの技術については出願人の先願発明
の特開平8−25081号公報や特開平8−33783
0号公報においても開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】該種接合に用いられて
いるろう材である金合金は比較的低融点であるために、
ろう付の作業性が比較的良好ではあるものの、亜鉛,カ
ドミウム等が多量に含まれていることから、ろう付作業
時にこれら添加元素と白金が反応し、ろう付境界部に脆
い拡散層を形成し機械的強度が弱くなる欠点を有し、
又、白金との濡れ性も悪く、接合性に乏しく、更に、ろ
う付部の表面粗さが大きいという難点があり、加えてろ
う付後必要となる酸洗処理によりろう材が変色する欠点
があり、又、母材である白金、及び、白金合金と色調的
に異なるために審美的に劣る不具合があった。
【0007】又、一方のろう材であるパラジウム合金
は、ニッケル,銅,銀等を含む合金であるが、白金との
濡れ性が不良で接合性に乏しく、更にはろう付部の表面
粗さが大きい不都合さがあり、加えて上述金合金同様母
材である白金、及び、白金合金と色調的に異なるマイナ
ス点があった。
【0008】又、前述ろう材は周知の通り白金、及び、
白金合金用ろう材とはいうものの、白金を全く含まない
ろう材であり、母材の白金合金と同白金部位のろう材の
現出が広く産業界より要望されていたにもかかわらず、
供給側にあってはこれに応えられないというネックがあ
った。
【0009】
【発明の目的】この出願の発明の目的は上述従来技術に
基づく母材の白金,白金合金に対するろう材の問題点を
解決すべき技術的課題とし、ろう付作業性が良く、又、
白金との濡れ性が良く、接合性に優れ、したがって、充
分な機械的強度を有し、しかも、ろう付部の表面粗さが
小さく、加えて、ろう付後必要となる酸洗処理作業でも
変色することがなく、更には色調的に、及び、白金品位
的にも母材の白金、及び、白金合金と同様になじみ性が
良いようにして装身具,機械製造産業における接合技術
利用分野に益する優れた白金、及び、白金合金用ろう材
を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述目的に沿い先述特許
請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成は、前述
課題を解決するために、重量配合比でホウ素0.5〜
5.0%であって、残部白金と不純物より成る白金、及
び、白金合金用ろう材を基幹とし、更に、パラジウム
5.0〜15.0%、ホウ素0.5〜5.0%であっ
て、残部白金と不純物より成る白金、及び、白金用合金
用ろう材ともし、更に、上述ろう材の基合金に重量配合
比がインジウム0.05〜2.0%,スズ0.05〜
2.0%,ガリウム0.05〜2.0%,ゲルマニウム
0.05〜2.0%,ジルコニウム0.05〜1.0
%,イットリウム0.05〜1.0%の少くとも一種を
添加した白金合金用ろう材とした技術的手段を講じたも
のである。
【0011】
【作用】上述の如くして白金、及び、白金合金用ろう材
としたことにより、白金との濡れ性が良く、接合性に優
れ、充分な機械的強度を有し、しかも、ろう付部の表面
粗さが小さく、又、色調的にも白金、及び、白金合金と
同様であり、加えて、白金品位も現用されている白金、
及び、白金合金と等しく、更に、ろう付後必要となる酸
洗処理作業でも変色することがなく、融点の低下,ろう
付作業性の向上、白金との濡れ性改善,接合強度向上,
表面粗さ低減等の効果が選択的に助長改善することが出
来るようにしたものである。
【0012】
【発明の背景】次に、この出願の発明の定性的,定量的
背景を述べると、ホウ素の重量配合比を0.5%以上〜
5.0%以下の範囲としたのは0.5%未満であると、
融点が高く、理想的なろう材温度である母材金属との融
点差100℃以上を確保出来ず、作業が困難となること
が実験により確認され、一方、5.0%をこえると再び
融点が高くなることと、脆化が著しくなり、加工性を損
ねるため、該ホウ素については重量比を0.5%以上〜
5.0%以下を最適範囲と限定したものである。
【0013】又、パラジウムについては白金への固溶硬
化を目的として添加しているものであり、その重量配合
比については5.0%未満では効果が薄く、又,15.
0%をこえると濡れ性が悪くなるため15.0%以下に
限定したものである。
【0014】又、重量配合比でインジウムについては
0.05〜2.0%.スズについては0.05〜2.0
%,ガリウムについては0.05〜2.0%,ゲルマニ
ウムについては0.05〜2.0%,ジルコニウムにつ
いては0.05〜1.0%,イットリウムについては
0.05〜1.0%の少くとも一種を添加することとし
た技術的根拠は当該金属の少くとも一種を添加すること
により融点を低下し、ろう付作業性の向上を図り、又、
白金との濡れ性を改善し、更に、接合強度を向上し、加
えてろう付部表面粗さを低減するそれぞれの効果を選択
的に助長改善する作用のあることを実験により確認した
ことによるものである。
【0015】又、それぞれの添加重量範囲限定理由はイ
ンジウムについては0.05%未満では充分な効果が確
認されず、一方、2.0%を越えると白金との濡れ性が
低下するばかりか、脆化を招き充分なろう付接合強度が
得られないことが実験により確認され、したがって、該
インジウムについては0.05〜2.0%を最適範囲と
決定したものである。
【0016】又、スズについてはその重量配合比が0.
05%未満では融点の低下の効果が充分に期待出来ず、
一方、2.0%を越えると接合強度の低下が生じるばか
りか、ろう付部の表面粗さが大きくなり、更に、色調的
に白金、及び、白金合金と異なることが実験的に確認さ
れ、したがって、スズについては0.05〜2.0%を
最適範囲として決めたものである。
【0017】又、ガリウムについてはその重量配合比に
おいて他の添加元素と同様実験により0.05%未満の
添加では融点の低下抑制効果が認められず、一方、2.
0%を越えると白金との濡れ性が低下し、ろう付接合強
度が低下するばかりか、ろう付部の表面粗さが大きくな
ることが実験により確認されたことにより、該ガリウム
については0.05〜2.0%を最適範囲と限定したも
のである。
【0018】又、ゲルマニウムについてはその重量配合
比が0.05%未満では期待する効果が確認出来ず、一
方、2.0%を越えると上記ガリウム同様白金の濡れ性
が低下し、ろう付接合強度が不充分となることが実験に
より判明し、したがって、該ゲルマニウムについてはそ
の重量配合比が0.05〜2.0%を最適範囲として決
定したものである。
【0019】又、ジルコニウムについてはその重量配合
比が0.05%未満では期待する効果が確認出来ず、一
方、1.0%を越えると硬化が著しく、脆化を促進させ
ることが実験により判明したために、該ジルコニウムに
ついては重量配合比を0.05〜1.0%を最適範囲と
して決定したものである。
【0020】最後に、イットリウムについてはその重量
配合比が0.05%未満では同様に期待する効果が確認
出来ず、一方、1.0%を越えるとジルコニウム同様硬
化が著しく、脆化を促進させるためろう付接合強度が不
充分となり、又、ろう付部の表面粗さが大きくなること
が実験により判明したことにより、該イットリウムにつ
いてはその重量配合比を0.05〜1.0%を最適範囲
として決定したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、この出願の発明の実施しよ
うとする形態を実施例の態様として従来品と対比して示
すと表1の通りである。
【0022】
【表1】 尚、当該表1において各々の試料は各素材を周知の高周
波加熱溶解炉にて溶解し、直径2mm、長さ50mmの
所定形状のろう材を作製した。一方、同様にして作製さ
れたろう材をこれまた周知の方法により微粉化し、粉末
ろう材を作製した。
【0023】それぞれ作製されたろう材は次のろう付試
験方法により試験し、次の表2に示す結果を得た。
【0024】
【表2】 (1)ろう材の広がり試験 縦横30mm、厚さ1mmの白金母材を使用し、JIS Z
3191の硬ろうの広がり試験方法に準じた方法により試験
し、ろうの広がり状態、及び、表面粗さを観察した。
【0025】(2)ろう付強度試験 白金母材を使用し、JIS Z 3192ろう付継手の引張、及
び、せん断試験方法に準じた方法により試験片を作製
し、JIS Z 2241に準じた引張試験方法を用い試験した。
【0026】(3)変色試験 (1)のろう材の広がり試験片を50°の10%希塩酸
溶液中に全浸漬し変色度合を観察した。
【0027】
【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、重量配
合比でホウ素0.5〜5.0%であって、残部白金と不
純物より成るろう材、及び、重量配合比がパラジウム
5.0〜15.0%、ホウ素0.5〜5.0%であっ
て、残部白金と不純物より成る白金、及び、白金合金用
ろう材としたことによりろう付作業性が良く、又、白金
との濡れ性が良く、接合性に優れ、したがって、充分な
機械的強度を有し、しかも、ろう付部の表面粗さが小さ
く、加えて、ろう付後必要となる酸洗処理作業でも変色
することがなく、更には、白金、及び、白金合金と同白
金品位で、更に、同様な色調に出来、又、上述基合金に
重量配合比がインジウム0.05〜2.0%,スズ0.
05〜2.0%,ガリウム0.05〜2.0%,ゲルマ
ニウム0.05〜2.0%,ジルコニウム0.05〜
1.0%,イットリウム0.05〜1.0%の少くとも
一種を添加することにより、融点の低下,ろう付作業性
の向上,白金との濡れ性改善,接合強度向上,表面粗さ
低減等の効果を選択的に助長改善する優れた利点があ
る。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 浩一 埼玉県草加市青柳2丁目12番30号 石福金 属興業株式会社草加第一工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量配合比がホウ素0.5〜5.0%であ
    って、残部白金と不純物より成ることを特徴とする白金
    及び白金合金用ろう材。
  2. 【請求項2】重量配合比がインジウム0.05〜2.0
    %,スズ0.05〜2.0%,ガリウム0.05〜2.
    0%,ゲルマニウム0.05〜2.0%,ジルコニウム
    0.05〜1.0%,イットリウム0.05〜1.0%
    の少くとも一種を添加されていることを特徴とする請求
    項1記載の白金及び白金合金用ろう材。
  3. 【請求項3】重量配合比がパラジウム5.0〜15.0
    %、ホウ素0.5〜5.0%であって、残部白金と不純
    物より成ることを特徴とする白金及び白金合金用ろう
    材。
  4. 【請求項4】重量配合比がインジウム0.05〜2.0
    %,スズ0.05〜2.0%,ガリウム0.05〜2.
    0%,ゲルマニウム0.05〜2.0%,ジルコニウム
    0.05〜1.0%,イットリウム0.05〜1.0%
    の少くとも一種を添加されていることを特徴とする請求
    項3記載の白金及び白金合金用ろう材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009221536A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Citizen Holdings Co Ltd 装飾部品およびその製造方法

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