JP3221179B2 - 硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材 - Google Patents
硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材Info
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- JP3221179B2 JP3221179B2 JP24598293A JP24598293A JP3221179B2 JP 3221179 B2 JP3221179 B2 JP 3221179B2 JP 24598293 A JP24598293 A JP 24598293A JP 24598293 A JP24598293 A JP 24598293A JP 3221179 B2 JP3221179 B2 JP 3221179B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、擦り傷や引掻き傷の
つきにくいビッカース硬さ(Hv)で100以上の高い
硬さを有し、かつ経時的にも、ろう付けなどの加熱後も
前記高硬度を保持する金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤ
ー材に関するものである。
つきにくいビッカース硬さ(Hv)で100以上の高い
硬さを有し、かつ経時的にも、ろう付けなどの加熱後も
前記高硬度を保持する金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤ
ー材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般にネックチェーンやブロー
チ、あるいは指環などの装飾品の製造に、99%以上の
純度を有する純金に、AgやCu、さらにNi,Pd、
およびZnなどの合金成分を25〜40重量%程度含有
させてK14合金やK18合金などのAu合金とし、そ
の硬さをHv:100以上に高めた高硬度伸線加工ワイ
ヤー材が広く用いられている。
チ、あるいは指環などの装飾品の製造に、99%以上の
純度を有する純金に、AgやCu、さらにNi,Pd、
およびZnなどの合金成分を25〜40重量%程度含有
させてK14合金やK18合金などのAu合金とし、そ
の硬さをHv:100以上に高めた高硬度伸線加工ワイ
ヤー材が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、上記の装飾品は
純金で構成されるのが色調および高級感から理想とされ
ているが、純金は、インゴット状態でHv:32程度、
伸線加工ワイヤーでHv:80程度の硬さしかなく、そ
の上加工硬化しても、その硬さが時間経過と共に低下す
るばかりでなく、ろう付けなどの加熱によっても硬さ低
下が避けられず、このように純金装飾品は常に軟質状態
にあることから、傷がつき易く、高い美的価値の長期に
亘る維持はきわめて困難であり、したがって、その適用
は著しく狭い範囲に限られてしまうのが現状である。
純金で構成されるのが色調および高級感から理想とされ
ているが、純金は、インゴット状態でHv:32程度、
伸線加工ワイヤーでHv:80程度の硬さしかなく、そ
の上加工硬化しても、その硬さが時間経過と共に低下す
るばかりでなく、ろう付けなどの加熱によっても硬さ低
下が避けられず、このように純金装飾品は常に軟質状態
にあることから、傷がつき易く、高い美的価値の長期に
亘る維持はきわめて困難であり、したがって、その適用
は著しく狭い範囲に限られてしまうのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、純金装飾品の製造に用いられて
いる伸線加工ワイヤー材に着目し、純金装飾品のもつ高
い美的価値を失うことなく、これに高硬度を付与すべく
研究を行なった結果、99%以上の純度を有する純金
に、合金成分として、全体に占める割合で、Mg,I
n,Sn,Sb,Pb、およびBiのうちの1種または
2種以上:200〜2000ppm 、を含有させてなるA
u合金で構成した伸線加工ワイヤー材は、Hv:100
以上の高硬度を有し、かつこの高硬度は経時的にも、ろ
う付けなどの加熱後も保持され、しかも上記合金成分の
含有量が少量なので、純金のもつ色調および高級感がそ
のまま維持され、したがってこの結果の硬質金で構成さ
れた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材は、純金装飾
品と同等の高い美的価値を長期に亘って維持するように
なるという研究結果を得たのである。
上述のような観点から、純金装飾品の製造に用いられて
いる伸線加工ワイヤー材に着目し、純金装飾品のもつ高
い美的価値を失うことなく、これに高硬度を付与すべく
研究を行なった結果、99%以上の純度を有する純金
に、合金成分として、全体に占める割合で、Mg,I
n,Sn,Sb,Pb、およびBiのうちの1種または
2種以上:200〜2000ppm 、を含有させてなるA
u合金で構成した伸線加工ワイヤー材は、Hv:100
以上の高硬度を有し、かつこの高硬度は経時的にも、ろ
う付けなどの加熱後も保持され、しかも上記合金成分の
含有量が少量なので、純金のもつ色調および高級感がそ
のまま維持され、したがってこの結果の硬質金で構成さ
れた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材は、純金装飾
品と同等の高い美的価値を長期に亘って維持するように
なるという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、99%以上の純度を有する純金
に、硬さ向上成分として、全体に占める割合で、Mg,
In,Sn,Sb,Pb、およびBiのうちの1種また
は2種以上:200〜2000ppm 、を含有させてなる
硬質金で構成され、かつHv:100以上の硬さを有す
る、硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワ
イヤー材に特徴を有するものである。
なされたものであって、99%以上の純度を有する純金
に、硬さ向上成分として、全体に占める割合で、Mg,
In,Sn,Sb,Pb、およびBiのうちの1種また
は2種以上:200〜2000ppm 、を含有させてなる
硬質金で構成され、かつHv:100以上の硬さを有す
る、硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワ
イヤー材に特徴を有するものである。
【0006】なお、この発明の高硬度伸線加工ワイヤー
材において、純金の純度を99%以上としたのは、その
純度が99%未満になると、純金のもつ黄金色の色調が
損なわれ、高級感が失われるようになるという理由によ
るものである。また、硬さ向上成分の含有量を200〜
2000ppm としたのは、その含有量が200ppm 未満
では、上記の通り硬さをHv:100以上に高めると共
に、高められた硬さの経時的低下と加熱による低下を抑
制する作用が得られず、一方その含有量が2000ppm
を越えると、色調および高級感が損われ、美的価値が低
下するようになるという理由にもとづくものである。
材において、純金の純度を99%以上としたのは、その
純度が99%未満になると、純金のもつ黄金色の色調が
損なわれ、高級感が失われるようになるという理由によ
るものである。また、硬さ向上成分の含有量を200〜
2000ppm としたのは、その含有量が200ppm 未満
では、上記の通り硬さをHv:100以上に高めると共
に、高められた硬さの経時的低下と加熱による低下を抑
制する作用が得られず、一方その含有量が2000ppm
を越えると、色調および高級感が損われ、美的価値が低
下するようになるという理由にもとづくものである。
【0007】
【実施例】つぎに、この発明の金装飾品用高硬度伸線加
工ワイヤー材を実施例により具体的に説明する。通常の
真空溶解炉にて、表1に示される純度の純金を溶解し、
これに同じく表1に示される含有量で硬さ向上成分をそ
れぞれ含有させ、ついで直径:20mm×長さ:100mm
の寸法をもった円柱状インゴットに鋳造し、インゴット
の端部より試片を切り出して硬さ(マイクロビッカース
硬さ、荷重:100gr)を測定した後、面削して単頭伸
線機に送り、ここで20パスの伸線加工を繰り返し施し
て、直径:0.5mmのワイヤーに加工することにより硬
質金で構成された本発明金装飾品用高硬度伸線加工ワイ
ヤー材(以下、本発明硬質金ワイヤー材という)1〜
7、および硬さ向上成分の含有を行なわない以外は同一
の条件で純金装飾品用伸線加工ワイヤー材(以下、純金
ワイヤー材という)材をそれぞれ製造した。
工ワイヤー材を実施例により具体的に説明する。通常の
真空溶解炉にて、表1に示される純度の純金を溶解し、
これに同じく表1に示される含有量で硬さ向上成分をそ
れぞれ含有させ、ついで直径:20mm×長さ:100mm
の寸法をもった円柱状インゴットに鋳造し、インゴット
の端部より試片を切り出して硬さ(マイクロビッカース
硬さ、荷重:100gr)を測定した後、面削して単頭伸
線機に送り、ここで20パスの伸線加工を繰り返し施し
て、直径:0.5mmのワイヤーに加工することにより硬
質金で構成された本発明金装飾品用高硬度伸線加工ワイ
ヤー材(以下、本発明硬質金ワイヤー材という)1〜
7、および硬さ向上成分の含有を行なわない以外は同一
の条件で純金装飾品用伸線加工ワイヤー材(以下、純金
ワイヤー材という)材をそれぞれ製造した。
【0008】ついで、この結果得られた各種のワイヤー
材について、伸線加工直後および6ヶ月経過後の硬さ
(マイクロビッカース硬さ、荷重:100gr)を測定
し、さらに伸線加工直後のワイヤー材に対して、通常の
ろう付け条件、すなわちろう材として、例えば融点:3
70℃のAu:3重量%Si合金ろう材や、融点:35
0℃のAu−12%Ge合金ろう材などを用い温度:4
50℃に30分間保持後冷却のろう付け条件に相当する
条件で加熱処理を行なった状態で同じく同一の条件で硬
さを測定した。これらの測定結果を表2に示した。
材について、伸線加工直後および6ヶ月経過後の硬さ
(マイクロビッカース硬さ、荷重:100gr)を測定
し、さらに伸線加工直後のワイヤー材に対して、通常の
ろう付け条件、すなわちろう材として、例えば融点:3
70℃のAu:3重量%Si合金ろう材や、融点:35
0℃のAu−12%Ge合金ろう材などを用い温度:4
50℃に30分間保持後冷却のろう付け条件に相当する
条件で加熱処理を行なった状態で同じく同一の条件で硬
さを測定した。これらの測定結果を表2に示した。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
【発明の効果】表1、2に示される結果から、本発明硬
質金ワイヤー材1〜7は、いずれも経時的にも、また加
熱によっても変らぬHv:100以上の高硬度を有し、
硬さがHv:100以下で、経時的硬さ低下および加熱
による硬さ低下が著しい純金ワイヤー材に比して著しく
すぐれた硬さ安定性をもつことが明らかである。上述の
ように、この発明の金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー
材は、傷のつきにくいHv:100以上の高硬度を有
し、かつこの高硬度は経時的にも加熱にも安定で、常に
Hv:100以上を維持し、さらに硬さ向上成分の含有
量も少量なので、純金のもつすぐれた美的価値と同等の
美的価値を有し、かつ前記高硬度を具備することと相ま
って、長期に亘って前記美的価値が維持されるなど有用
な特性を有するのである。
質金ワイヤー材1〜7は、いずれも経時的にも、また加
熱によっても変らぬHv:100以上の高硬度を有し、
硬さがHv:100以下で、経時的硬さ低下および加熱
による硬さ低下が著しい純金ワイヤー材に比して著しく
すぐれた硬さ安定性をもつことが明らかである。上述の
ように、この発明の金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー
材は、傷のつきにくいHv:100以上の高硬度を有
し、かつこの高硬度は経時的にも加熱にも安定で、常に
Hv:100以上を維持し、さらに硬さ向上成分の含有
量も少量なので、純金のもつすぐれた美的価値と同等の
美的価値を有し、かつ前記高硬度を具備することと相ま
って、長期に亘って前記美的価値が維持されるなど有用
な特性を有するのである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−25772(JP,A) 特開 平6−264163(JP,A) 特開 昭64−87734(JP,A) 特開 昭60−110868(JP,A) 特開 平7−70671(JP,A) 特開 平7−70670(JP,A) 田中貴金属工業株式会社編 ”貴金属 のおはなし”,P.44−45,財団法人日 本規格協会発行(1988年12月15日) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 5/02 A44C 27/00
Claims (1)
- 【請求項1】 99%以上の純度を有する純金に、硬さ
向上成分として、全体に占める割合で、 Mg,In,Sn,Sb,Pb、およびBiのうちの1
種または2種以上:200〜2000ppm 、 を含有させてなる硬質金で構成され、かつHv:100
以上の硬さを有することを特徴とする硬さ安定性のすぐ
れた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24598293A JP3221179B2 (ja) | 1993-09-06 | 1993-09-06 | 硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24598293A JP3221179B2 (ja) | 1993-09-06 | 1993-09-06 | 硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0770672A JPH0770672A (ja) | 1995-03-14 |
JP3221179B2 true JP3221179B2 (ja) | 2001-10-22 |
Family
ID=17141720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24598293A Expired - Fee Related JP3221179B2 (ja) | 1993-09-06 | 1993-09-06 | 硬さ安定性のすぐれた金装飾品用高硬度伸線加工ワイヤー材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3221179B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3328135B2 (ja) * | 1996-05-28 | 2002-09-24 | 田中電子工業株式会社 | バンプ形成用金合金線及びバンプ形成方法 |
FR2751640B1 (fr) * | 1996-07-23 | 1998-08-28 | Commissariat Energie Atomique | Composition et procede de brasage reactif de materiaux ceramiques contenant de l'alumine |
US7074350B2 (en) | 2001-03-23 | 2006-07-11 | Citizen Watch Co., Ltd. | Brazing filler metal |
SG120894A1 (en) * | 2002-10-25 | 2006-04-26 | Innomart Pte Ltd | An alloy composition for the manufacture of jewellery |
CN108677115A (zh) * | 2018-04-24 | 2018-10-19 | 王振涛 | 一种黄金超深冷硬金工艺 |
CN110157941A (zh) * | 2019-06-06 | 2019-08-23 | 深圳市铭冠珠宝首饰有限公司 | 一种高硬度足金及其制备方法 |
-
1993
- 1993-09-06 JP JP24598293A patent/JP3221179B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
田中貴金属工業株式会社編 "貴金属のおはなし",P.44−45,財団法人日本規格協会発行(1988年12月15日) |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0770672A (ja) | 1995-03-14 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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