JPH10261517A - 酸化鉄磁性粉末及びその製造方法、これを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

酸化鉄磁性粉末及びその製造方法、これを用いた磁気記録媒体

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JPH10261517A
JPH10261517A JP9064819A JP6481997A JPH10261517A JP H10261517 A JPH10261517 A JP H10261517A JP 9064819 A JP9064819 A JP 9064819A JP 6481997 A JP6481997 A JP 6481997A JP H10261517 A JPH10261517 A JP H10261517A
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iron
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magnetic
weight
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Makoto Inoue
誠 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Co被着や表面処理等を施すことなく、多く
の2価鉄を含有させることができ、化学的に安定で、磁
化量等の磁気特性に優れた酸化鉄磁性粉末を提供し、電
磁変換特性に優れ、転写、電気抵抗等の点で、長期に亘
り安定した特性を持つ磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 Fe34粒子を部分酸化することによっ
て表層が酸化されγ−酸化鉄層が形成されるとともに、
内部に2価鉄を残した酸化物磁性粉末が開示される。2
価鉄(Fe2+)の含有量は磁性粉末重量に対して3.0
重量%〜8.0重量%である。上記酸化鉄磁性粉末は、
含水酸化鉄を乾燥、脱水し、さらに還元してFe34
子とした後、これを部分酸化することによって表層を酸
化してγ−酸化鉄層を形成し、内部に磁性粉末重量に対
して3.0重量%〜8.0重量%の2価鉄(Fe2+)を
残すことにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にオーディオテ
ープに用いられて好適な録音再生特性と経時安定性を発
揮する酸化鉄磁性粉末に関するものであり、さらにはそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンパクトカセットテープ等
に使用されるオーディオテープ用の磁性粉としては、γ
−酸化鉄粉末、あるいはこれにCoを被着したCo−γ
酸化鉄粉末が使用されてきた。
【0003】近年、その普及に伴い量産化が進み、より
安価で生産性の高い材料が望まれている。
【0004】このような状況の中、普及型テープには、
その歴史が長く、設備、技術がほぼ確立しているγ酸化
鉄粉末が一般に使用されている。
【0005】また、その磁化量を向上させ、出力を上げ
る為に、γ酸化鉄を再還元、あるいはFe34をブレン
ドして2価鉄を入れることが行われている。2価鉄は、
電気伝導性があるために、テープの電気抵抗を下げるた
めにも有効である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2価鉄
は3価に酸化されやすく、Fe34あるいは2価鉄を多
く含むγ酸化鉄は不安定で、経時変化で、磁気特性(σ
s,Hc)が変化したり、電気抵抗が上昇する等の問題
がある。
【0007】また、部分的な2価鉄の導入は、結晶格子
が乱れ、保磁力(Hc)の分布(以下、SFDと呼
ぶ。)が広くなって、転写特性が悪化する。
【0008】このような問題を回避するために、通常は
極力2価鉄量の少ない純粋なγ−Fe23を使用してカ
ーボンブラック等を添加して電気抵抗を下げる。
【0009】しかしながら、2価鉄量の少ない純粋なγ
−Fe23は磁化量が低く、しかもカーボンブラックを
大量に添加するためにテープの磁束密度は更に低下し、
高出力は期待できない。
【0010】一方、酸化鉄磁性粉末の化学的な安定性を
向上させるためには、AlやSi等で表面処理したり、
Coを2価鉄と共に被着してフェライト化し、安定な酸
化物層を形成することが行われている。
【0011】Co被着は、その結晶異方性により保磁力
Hcの向上が果たせることから、磁性粉としてはより好
ましく、上級グレードのテープ等において実施されてい
るが、Coは高価であり、また被着のためにγ酸化鉄粉
末を分散、スラリー化する必要があるなど、コストがか
かる。
【0012】Al,Si等の表面処理においても同じで
あり、コストアップになると共に、非磁性分が増えるこ
とで磁化量の低下を招く。
【0013】そこで本発明は、このような従来の実情に
鑑みて提案されたものであって、Co被着や表面処理等
を施すことなく、多くの2価鉄を含有させることがで
き、化学的に安定で、磁化量等の磁気特性に優れた酸化
鉄磁性粉末を提供することを目的とし、さらにはその製
造方法を提供することを目的とする。
【0014】また、本発明は、電磁変換特性に優れ、転
写、電気抵抗等の点で、長期に亘り安定した特性を持つ
磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の酸化鉄磁性粉末は、Fe34粒子を部分
酸化することによって表層が酸化されγ−酸化鉄層が形
成されるとともに、内部に2価鉄を残してなり、その2
価鉄(Fe2+)の含有量が磁性粉末重量に対して3.0
重量%〜8.0重量%であることを特徴とするものであ
る。
【0016】また、本発明の製造方法は、含水酸化鉄を
乾燥、脱水し、さらに還元してFe34粒子とした後、
これを部分酸化することによって表層を酸化してγ−酸
化鉄層を形成し、内部に磁性粉末重量に対して3.0重
量%〜8.0重量%の2価鉄(Fe2+)を残すことを特
徴とするものである。
【0017】さらに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性
支持体上に酸化鉄磁性粉末と結合剤とを主体とした磁性
層を設けてなる磁気記録媒体において、上記酸化鉄磁性
粉末は、Fe34粒子を部分酸化することによって表層
が酸化されγ−酸化鉄層が形成されるとともに、内部に
2価鉄を残してなり、2価鉄(Fe2+)の含有量が磁性
粉末重量に対して3.0重量%〜8.0重量%である酸
化鉄磁性粉末であることを特徴とするものである。
【0018】本発明の酸化鉄磁性粉末においては、表面
がγ酸化鉄層で覆われることから、化学的、磁気的な安
定性が高い。また、内部に多量の2価鉄を含有すること
から、磁化量(σs)が高い。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明者は、鋭意検討した結果、
含水酸化鉄を乾燥・脱水後、還元してFe34とした
後、部分酸化によって表層を酸化して内部に2価鉄を残
したγ−酸化鉄であって、2価鉄(Fe2+)含有量が磁
性粉末重量に対して、3.0〜8.0重量%(あるいは
Fe2+/Fe3+比率が0.045〜0.125)である
ことを特徴とする酸化鉄磁性粉末において、磁化量(以
下σs)が高く、磁気的に安定であり、またこれを用い
て、高出力で転写特性、電気抵抗及びその経時変化を満
足する磁気テープが得られることを見いだした。
【0020】2価鉄量がこれより少ないと電気抵抗が高
くなり、またこれより多いと録音済みのテープをリール
に巻いて保存した際の転写が悪くなり、音質を劣化させ
る。
【0021】音質上は上記範囲で使用可能であるが、実
際の生産時のばらつき、その他の余裕を考えると、2価
鉄量は4.6〜6.5重量%(あるいはFe2+/Fe3+
比率が0.070〜0.100)であることが望まし
い。
【0022】上述の酸化鉄磁性粉末は、図1に示すよう
に、含水酸化鉄を脱水、還元して得られたFe34粒子
を酸化工程Aにより条件をコントロールした酸化法によ
って粉体表面を部分酸化することにより形成される。
【0023】通常、Fe34粒子よりγ−Fe23粒子
を作成する場合、酸化工程BによりFe34粒子を完全
に酸化してγ−Fe23粒子とした後、再還元工程Cに
より表面を還元してFe34層を形成している。しかし
ながら、この場合には、不安定なFe34層が表面に出
てしまい、磁気特性(σs,Hc)が変化したり、電気
抵抗が上昇する虞れが生ずる。
【0024】これに対して、Fe34粒子を酸化工程A
により直接酸化すれば、表面に安定なγ−Fe23層が
臨み、内部に2価鉄(Fe34)が残存する。したがっ
て、磁気的に安定なものになり、同時に2価鉄による利
点が引き出される。
【0025】次に、本発明の酸化鉄磁性粉末の製造にあ
たっての諸条件について説明する。
【0026】先ず、原料となるオキシ水酸化鉄について
は、常法に従って合成したものを使用する。例えば、硫
酸鉄を約70℃にて溶解した第1鉄塩水溶液に炭酸ナト
リウムを加えて、弱酸性(約pH4)にコントロールし
ながら空気をバブリングして酸化することで、α−Fe
OOHの針状晶が得られる。
【0027】この水溶液スラリーをフィルタープレスで
脱水、洗浄した後、含水率約50%に圧縮・脱水したケ
ーキを得る。これを押し出し成形して直径約6mm、長
さ約1cmのフレークとして後処理を行う。
【0028】このとき、含水率が多すぎると、乾燥時に
フレークが崩れて微粉末が多くなり、この後の還元、及
び酸化時に反応が急速に進行して磁性粉特性が不均一に
なる。逆に含水率が少なすぎると、粒子間の凝集が強く
なり、気流が粒子間を十分に流れなくなるため、粒子表
面と反応性ガスとの接触が不十分となり、やはり磁性粉
特性が不均一になる。したがって、フレークの含水率は
重要である。
【0029】次に、得られた含水酸化鉄を空気中で加熱
脱水してα−Fe23とする。このとき、好ましい条件
は、約200℃〜390℃である。これを水素ガスで還
元してFe34を得る。このとき、好ましい条件は約3
30℃〜420℃である。
【0030】さらに、酸素濃度をコントロールした雰囲
気中で部分酸化して、表層γ−Fe23で中心部に2価
鉄を残した磁性粉を得る。このときの好ましい条件は、
約130℃〜150℃である。また、内部に2価鉄を残
して粉体表面を酸化するためには、酸化反応を抑制する
必要がある。このための手法としては、約1000Pa
以下に減圧した空気雰囲気中で反応させる方法が挙げら
れる。
【0031】以上の方法を実施するに際し、上記一連の
反応は、酸素との反応、水の吸着等を防ぐため、連続槽
内で行うことが望ましい。連続反応槽としては、回転型
焼成炉、流動型焼成炉等があり、いずれも焼成雰囲気を
均一混合状態にできるという利点があるが、原料が転動
あるいは流動する間に粒子間や反応容器壁との衝突によ
って形状が崩れ易く、粒子の反応速度、したがって磁性
粉特性が不均一になるという欠点を持つ。このような問
題を防ぐためには、ベルトコンベア型の反応槽が望まし
い。このベルトコンベア型の反応槽は、原料をセラミッ
ク製の容器に薄く敷いた状態で各反応槽を逐次移送する
方式のもので、フレークの形状を保ったまま反応が進行
するため、均一な反応が可能となる。ただし、容器中の
原料の堆積厚さは10cm以下とすることが好ましい。
【0032】以上により製造された酸化鉄磁性粉末は、
結合剤等とともに分散、混練され、磁性塗料とされた
後、非磁性支持体上に塗布される。これによって磁性層
が形成され、磁気記録媒体が作製される。
【0033】このとき、使用される結合剤としては、ポ
リウタレン樹脂,塩化ビニル樹脂,ニトロセルロース,
ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,フェノキシ樹脂,ア
クリル樹脂,アセタール樹脂,ブチラール樹脂,及びそ
の誘導体等、従来公知のものが使用可能である。また、
結合剤には極性基が導入されていてもよく、このときの
極性基としては、スルホン酸基,硫酸エステル基,カル
ボン酸基及びその塩、3級アミノ基,4級アンモニウム
塩基、りん酸基,りん酸エステル基等が使用可能である
が、特にスルホン酸基,硫酸エステル基のアルカリ金属
塩基等が効果的である。
【0034】磁性塗料には、上記酸化鉄磁性粉末、結合
剤の他、各種添加剤、例えば研磨剤が添加されてもよ
く、この場合、研磨剤としては、酸化クロム,α−アル
ミナの他、α−Fe23,酸化チタン,SiC等を用い
ることができる。
【0035】非磁性支持体としてはポリエチレンテレフ
タレート,ポリエチレンナフタレート,ポリアミド,紙
等が使用される。
【0036】
【実施例】以下、さらに本発明を実施例によって具体的
に説明する。なお原料その他の製法はここに記載した方
法に限らず、従来より一般的な手法が使用可能である。
【0037】実施例1 (磁性粉末の生成)原料のオキシ水酸化鉄α−FeOO
Hは常法に従って硫酸鉄(II)を溶解した第一鉄塩水溶
液を弱酸性(約pH4)下にコントロールしながら空気
酸化して得た。これを空気中370℃で脱水して、α−
Fe23としたのち、400℃で還元してFe34
得、これを酸素濃度をコントロールした連続炉中で部分
酸化して、表層γ−Fe23で中心部に2価鉄を残した
磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比で4.5%で
あった。
【0038】(サンプルテープの作成)上記磁性粉を使
用して以下の組成・手法でテープ化した。以下の例にお
いて部は全て重量部を示す。
【0039】 磁性粉末 100部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製 商品名UR−8200) 12部 塩ビ系共重合体(ユニオンカーバイド社製 商品名VAGH) 8部 研磨材(α−Al23、平均粒径400nm) 5部 カーボンブラック( Columbian社製 商品名ケッチェン−EC) 2部 ステアリン酸 1部 ステアリン酸ブチル 1部 メチルエチルケトン−トルエン−メチルイソブチルケトン(2:2:1) 200部 以上をニーダー及びサンドミルを用いて5時間混合分散
し、磁性塗料を調製した。次にポリイソシアネート4部
を加え、フィルターを通して厚さ14μmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムに乾燥厚みが6μmとなるよ
うに塗布し、配向,乾燥,カレンダー,硬化を行った
後、1/4インチ幅に裁断して磁気テープを得た。
【0040】実施例2 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比
で5.2%であった。
【0041】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0042】実施例3 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比
で6.2%であった。
【0043】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0044】実施例4 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比
で6.4%であった。
【0045】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0046】実施例5 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比
で3.0%であった。
【0047】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0048】実施例6 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄値は重量比
で8.0%であった。
【0049】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0050】比較例1 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄は重量比で
1.5%であった。
【0051】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0052】比較例2 実施例1と同様にして、表層γ−Fe23で中心部に2
価鉄を残した磁性粉を得た。この時の2価鉄は重量比で
10.1%であった。
【0053】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0054】比較例3 実施例1と同様にしてFe34を作製し、さらにこれを
完全に酸化してγ−Fe23とした。このγ−Fe23
に微量のFe34をブレンドして、試料磁性粉とした。
この時の2価鉄は重量比で1.5%であった。
【0055】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0056】比較例4 比較例3と同様にしてFe34をブレンドしたγ−Fe
23を作製した。この時の2価鉄は重量比で5.0%で
あった。
【0057】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0058】比較例5 比較例3で作製したγ−Fe23を再び還元して、表層
に2価鉄を含むFe34層を形成した。この時の2価鉄
は重量比で3.4%であった。
【0059】この磁性粉を使用して実施例1と同様にし
てテープ化を行った。
【0060】比較例6 比較例3で作製したγ−Fe23をそのまま使用して実
施例1と同様にしてテープ化を行った。
【0061】比較例7 比較例6と同様にγ−Fe23をそのまま使用して、カ
ーボン添加量を2倍の4重量部とした以外は、実施例1
と同様にしてテープ化を行った。
【0062】得られた磁性分の磁化量(σs)、2価鉄
量を表1にまとめて示した。
【0063】なお、磁化量は振動試料型磁力計にて測定
した。2価鉄量は過マンガン酸カリウムによる滴定法で
測定し、これによりFe2+/Fe3+比を計算して求め
た。
【0064】
【表1】
【0065】次に、得られた磁気テープについて以下の
評価を行った。なお評価方法は下記に依った。
【0066】(1)表面電気抵抗 2極型表面電気抵抗測定器にて測定した。次にこのテー
プを40℃/80%RH環境下にて1週間保存し、経時
変化後の表面電気抵抗を測定した。電気抵抗が1×10
11 を越えるものは走行時に放電ノイズの発生する可能
性があることから、不可(悪い)と判定した。
【0067】(2)電磁変換特性(MOL−315,M
OL−10k) テープをオーディオコンパクトカセットに組み込み、消
磁した後、市販のカセットプレーヤーを改造した電磁変
換特性評価機にて、それぞれ315Hz、10kHzの
信号を一定レベルで記録した際の再生出力信号を測定し
た。これを実施例1のテープに対する相対値(dB)で
示した。
【0068】(3)転写 同様に、オーディオコンパクトカセットに組み込んだテ
ープに1kHzの信号を一定レベルで1分間記録し、4
5℃/80%RH環境下に24時間保管した後、信号記
録部分の一巻き手前の未記録部分への転写を測定した。
これを実施例1のテープに対する相対値(dB)で示し
た。6dB以上では聴感上で無視出来ず不可(悪い)と
した。
【0069】以上の評価結果についても、表1に併せて
示す。
【0070】表1より明らかなように、本発明に従って
作成された実施例の磁性粉、及びこれを使用した磁気テ
ープは、磁化量が大きく電磁変換特性に優れる。また2
価鉄量の経時変化が小さいために保存後の電気抵抗も低
い。さらに磁性粉の分布が均一な為、テープの保磁力分
布(SFD)が良く、転写特性も満足することがわか
る。従って、音質が優れ、長期にわたって安定した磁気
記録媒体を得ることができる。
【0071】一方、比較例1は、2価鉄量が少なくσs
が小さいため、電磁変換特性MOL−315が低めであ
り、また経時変化後の電気抵抗が高い。比較例2は、2
価鉄量が多く電気抵抗,電磁変換特性MOL−315に
は優れるが、保磁力が低下しその分布も悪くなったた
め、電磁変換特性MOL−10kで劣り、転写が悪い。
【0072】比較例3,比較例4のマグネタイトをブレ
ンドしたものについては、保存安定性に劣り、経時変化
後の電気抵抗が高い。比較例5の再還元品は、さらに安
定性で劣り、また形状等の分布が劣化するため高域特
性,転写が悪い。比較例6のγ−Fe23単体では電磁
変換特性が低く電気抵抗も高い。また、比較例7のよう
にこれにカーボン添加量を増やすことで、さらに低域出
力が低下してしまう。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明においては、含水酸化鉄を乾燥、脱水後、還元してF
34とした後、部分酸化によって内部に2価鉄を磁性
粉重量に対して3.0〜8.0%残したγ−酸化鉄を使
用しているので、電磁変換性に優れ、かつ転写、電気抵
抗等、長期にわたって安定した品質を持った磁気記録媒
体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造プロセスの相違による2価鉄含有γ−Fe
23粉末の相違を示す模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe34粒子を部分酸化することによっ
    て表層が酸化されγ−酸化鉄層が形成されるとともに、
    内部に2価鉄を残してなり、 その2価鉄(Fe2+)の含有量が磁性粉末重量に対して
    3.0重量%〜8.0重量%であることを特徴とする酸
    化鉄磁性粉末。
  2. 【請求項2】 2価鉄と3価鉄の比率Fe2+/Fe3+
    0.045〜0.125であることを特徴とする請求項
    1記載の酸化鉄磁性粉末。
  3. 【請求項3】 含水酸化鉄を乾燥、脱水し、さらに還元
    してFe34粒子とした後、 これを部分酸化することによって表層を酸化してγ−酸
    化鉄層を形成し、内部に磁性粉末重量に対して3.0重
    量%〜8.0重量%の2価鉄(Fe2+)を残すことを特
    徴とする酸化鉄磁性粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に酸化鉄磁性粉末と結合
    剤とを主体とした磁性層を設けてなる磁気記録媒体にお
    いて、 上記酸化鉄磁性粉末は、Fe34粒子を部分酸化するこ
    とによって表層が酸化されγ−酸化鉄層が形成されると
    ともに、内部に2価鉄を残してなり、2価鉄(Fe2+
    の含有量が磁性粉末重量に対して3.0重量%〜8.0
    重量%である酸化鉄磁性粉末であることを特徴とする磁
    気記録媒体。
JP9064819A 1997-03-18 1997-03-18 酸化鉄磁性粉末及びその製造方法、これを用いた磁気記録媒体 Withdrawn JPH10261517A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009234839A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Powdertech Co Ltd フェライト粒子及びその製造方法

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JP2009234839A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Powdertech Co Ltd フェライト粒子及びその製造方法

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