JPH10261206A - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 部品点数が少なく、少ない工数、短い製造期
間で安価に製造可能な磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 磁気コアを所定位置に保持するためのコ
アホルダーと、巻線コイル２を巻回する巻線ボビンとを
一体に構成してなるボビンホルダー７を有する。磁気コ
アを構成するコア半体１ａ，１ａ′のバック部が挿入さ
れるコア挿入穴７３の内側面に形成された凸部７４と、
コア半体１ａ，１ａ′のフロント部を挟持するように対
向して配置された凸部７７，７７′，７８，７８′の押
圧によって、コア半体どうしが互いに押し付けられて固
定され、コア半体からなる磁気コアがホルダー７に固定
される。コア半体１ａ′がホルダー７に形成された位置
出し溝７５に嵌合され、その基準面ａ，ｂに押し付けら
れることにより、磁気コアの媒体摺動方向とトラック幅
方向の位置が決定される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、巻線コイルを巻回
した磁気コアを磁気記録媒体に対し摺動接触させて情報
の磁気記録または再生を行う磁気ヘッドに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の磁気ヘッドは、図３に示
すように、磁気回路を形成する為の一対のコア半体１
ａ，１ａ′からなる磁気コア１、電磁変換を行う為の巻
線コイル２を巻回した巻線ボビン９、磁気ギャップを形
成するための非磁性スペーサー３、外部からのノイズを
低減するための磁気シールドケース５、このケース５内
で磁気コア１を所定の位置に位置出しして保持するため
のコアホルダー４から構成されている。

【０００３】また、磁気ヘッドの製造工程は図３の
（ａ）から（ｆ）に順に示す様に行われ、先ず（ａ）の
ように、巻線コイル２を巻回されたコイルボビン９に対
し、それぞれ概略コ字形の一対のコア半体１ａ，１ａ′
のバック側を挿入し、スペーサー３をコア半体１ａ，１
ａ′間に挟み込み、（ｂ）のように不図示のバネ等の外
力Ｆでコア半体１ａ，１ａ′を仮固定する。そしてトラ
ックのズレを確認して調整し、接着剤をコア半体１ａ，
１ａ′の接合部に塗布し、熱硬化をおこない、コア半体
１ａ，１ａ′を固定する。

【０００４】その後、（ｃ）のように、コア半体１ａ，
１ａ′からなる磁気コア１をコアホルダー４に対して位
置出しして接合部に接着剤を塗布し熱硬化を行い、固定
する。

【０００５】さらに（ｄ），（ｅ），（ｆ）に示すよう
に、磁気コア１を固定したコアホルダー４を磁気シール
ドケース５に挿入した後、ネジ６や不図示のバネにて位
置出しし、仮固定した後、ケース５の後部から充填樹脂
１０を流し込み、熱硬化を行い、磁気コア１とコアホル
ダー４を固定する。そして、所定の精度にて磁気記録媒
体摺動面を仕上げて磁気ヘッドが完成する。

【０００６】このような磁気ヘッドで磁気記録媒体に磁
気記録を行う場合、巻線コイル２に信号電流を通電する
ことにより磁束を発生させ、これを磁気コア１を経由し
てスペーサー３による磁気ギャップ部まで導き、磁気ギ
ャップ上に漏れ磁界を発生させ、これにより磁気記録媒
体に磁気記録を行う。

【０００７】また、磁気再生を行う場合、磁気コア１の
磁気ギャップにて磁気記録媒体上の磁束変化を捕らえ、
磁気コア１を経由して巻線コイル２の中を通し、磁束変
化を再生信号電流に変換し、所定のアンプや変換器、フ
ィルター等を通して再生信号電流をデータに変換してい
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、以下のような欠点があった。

【０００９】１．部品点数が多く、部品費でコストアッ
プとなってしまう。

【００１０】２．製造工程で接着剤の熱硬化回数が多い
ため、工数増でコストアップとなる。

【００１１】３．熱硬化回数が多いため部品投入から完
成までの日数（手番）が長くなり仕掛りが増える。

【００１２】４．工程数が多いためコストアップとな
る。

【００１３】そこで本発明の課題は、部品点数が少な
く、少ない工数、短い製造期間で安価に製造可能な磁気
ヘッドを提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明によれば、磁気ヘッドにおいて、磁気コアを
所定位置に保持するためのコアホルダーと、巻線コイル
を巻回する巻線ボビンとを一体に構成してなるボビンホ
ルダーを有し、該ボビンホルダーに形成された押圧部の
押圧によって前記磁気コアがボビンホルダーに固定され
るようにした構成を採用し、さらに、前記磁気コアは一
対のコア半体からなり、前記ボビンホルダーの押圧部の
押圧によって前記一対のコア半体が互いに押し付けられ
て固定されるようにした構成を採用した。

【００１５】ボビンホルダーの押圧部としては、例え
ば、磁気コアのバック部を挿入するコア挿入穴の内側面
に形成された凸部と、磁気コアのフロント部を挟持する
ように対向して配置された複数の凸部とを設ける。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、図１及び図２を参照して本
発明の実施の形態を説明する。図１は本実施形態の磁気
ヘッドの要部の構造を示し、図２は同ヘッドの製造にお
ける組立工程を示している。

【００１７】まず本実施形態の磁気ヘッドの構造を説明
する。磁気ヘッドは以下の各部材からなる。

【００１８】図１において、１ａ，１ａ′は、磁気回路
を形成する磁気コアを構成する一対のコア半体であり、
それぞれ高透磁率磁性材から略コの字形に形成される。
このコア半体１ａ，１ａ′の略コ字形の側面どうしを磁
気ギャップ形成用の非磁性スペーサー３を介し接合して
後述の図２（ｃ），（ｄ）に示す略ロ字形の磁気コア１
が構成される。コア半体１ａ，１ａ′の略コ字形の横の
２辺部分どうしが図１中矢印Ｘで示す磁気記録媒体（以
下、媒体と略す）摺動方向に重なり、前記２辺の一方の
辺部分どうしの間にスペーサー３により磁気ギャップが
形成される。

【００１９】また、図１において、７は、磁気コアを所
定位置に位置出しして保持するためのコアホルダーと、
巻線コイルを巻回する巻線ボビンとを一体に構成してな
るボビンホルダーであり、樹脂成形やダイキャスト等の
型成形で全体が一体に形成される。ボビンホルダー７は
図１中上下に厚さの異なるフランジ部７１，７２を有
し、このフランジ部７１，７２間に巻線コイル２が巻回
される。

【００２０】フランジ部７１，７２の略中央部でボビン
ホルダー７全体を貫通してコア挿入穴７３が形成されて
おり、この穴７３にコア半体１ａ，１ａ′のバック部
（媒体摺動面と反対側の端部）すなわち磁気コアのバッ
ク部が挿入される。コア挿入穴７３の媒体摺動方向に対
向する内側面の一方には凸部７４が形成されている。こ
の凸部７４は穴７３の全長に渡る突条としてもよいし、
それより短いものとしてもよく、複数設けてもよい。

【００２１】ここで、コア半体１ａ，１ａ′の媒体摺動
方向の厚さｔ1，ｔ2と、コア挿入穴７３において凸部７
４の頂点から反対側の内側面までの幅寸法ｗ1との寸法
関係は、ｔ1＋t2＞ｗ1の関係とする。これにより、後述
の製造工程でコア挿入穴７３に挿入されたコア半体１
ａ，１ａ′のバック部が凸部７４により押圧され、コア
半体１ａ′のバック部が穴７３の凸部７４と反対側の内
側面に押し付けられ、コア半体１ａ′，１ａが互いに押
し付けられて密着し固定されるようになっている。

【００２２】また、フランジ部７２の図１中左側面と下
面は、それぞれ後述の磁気シールドケース５（図２参
照）内でボビンホルダー７を位置出しして固定する際の
媒体摺動方向（矢印Ｘ方向）の基準面Ａ、トラック幅方
向（矢印Ｙ方向）の基準面Ｂとされている。

【００２３】また、フランジ部７１の外側面には、磁気
コアの位置出しのための位置出し溝７５がコア挿入穴７
３に連通して形成されている。この溝７５の図１中左奥
側の面は、フランジ部７２の基準面Ａから所定距離Ｈで
あって、磁気コアの媒体摺動方向の位置出しのための基
準面ａとされている。なお、コア挿入穴７３の凸部７４
と対向する内側面は基準面ａと同一面である。また、位
置出し溝７５の底面（図中下面）は、フランジ部７２の
基準面Ｂから所定距離Ｉであって、磁気コアのトラック
幅方向の位置出しのための基準面ｂとされている。後述
のように、溝７５に一方のコア半体１ａ′が嵌合され、
基準面ａ，ｂに押し付けられ、コア半体１ａ′にコア半
体１ａが押し付けられることにより、ボビンホルダー７
に対する磁気コアの媒体摺動方向とトラック幅方向の位
置が決定されるようになっている。

【００２４】また、フランジ部７２の基準面Ｂとなる図
中下面には、コア半体１ａを嵌合するための溝７６がコ
ア挿入穴７３に連通して形成されている。

【００２５】さらに、フランジ部７１，７２の媒体摺動
面側の端部には、それぞれ媒体摺動方向に対向するよう
に配置された２対の凸部７７，７７′および７８，７
８′が形成されている。この凸部７７，７７′及び７
８，７８′はコア半体１ａ，１ａ′のフロント部（媒体
摺動面側の端部）すなわち磁気コアのフロント部を挟持
し弾性的に押圧するものである。凸部７７，７８と凸部
７７′，７８′の間隔ｗ2と、コア半体１ａ，１ａ′の
媒体摺動方向の厚さｔ1，ｔ2及び非磁性スペーサー３の
厚さｔgとの関係は、ｔ1＋ｔ2＋ｔg＞ｗ2の関係とす
る。これにより、後述のように互いの間に非磁性スペー
サー３を挟んで凸部７７，７８と凸部７７′，７８′の
間に嵌合されるコア半体１ａ，１ａ′のフロント部は、
互いに押し付けられて密着するようにして挟持される。

【００２６】なお、凸部７７，７８の凸部７７′，７
８′と対向する面は基準面ａと同一面ないしその延長面
となっている。媒体摺動方向における凸部７７，７８の
太さｄ1は凸部７７′，７８′の同方向の太さｄ2より大
きくなっており、これにより凸部７７，７８の方が凸部
７７′，７８′より剛性が高くなっている。これは、凸
部７７，７７′及び７８，７８′でコア半体１ａ，１
ａ′のフロント部を挟持した場合に、基準面ａ側の凸部
７７，７８が反ることを防ぎ、磁気コアの位置精度を向
上するためである。

【００２７】また、ボビンホルダー７の厚い方のフラン
ジ部７２の後端部には、巻線コイル２の両端のそれぞれ
に接続された端子導体８，８′が植設されている。

【００２８】次に、図２（ｄ），（ｅ）において、５は
磁気シールドケースであり、パーマロイ等の強磁性体か
つ良導体からなり、コア半体１ａ，１ａ′からなる磁気
コア１を組み込んだボビンホルダー７を収容し、外部か
らのノイズを低減する。磁気シールドケース５の媒体摺
動面となる正面には、収容した磁気コア１の先端面を露
出させるための開口部５１が形成されている。

【００２９】また、６は、磁気コア１とボビンホルダー
７を磁気シールドケース５内の一定位置に固定し、か
つ、磁気コア１と磁気シールドケース５との電気的導通
を確保する為の良導体の金属からなるネジである。この
ネジ６は磁気シールドケース５に形成されたネジ穴に締
め付けられている。

【００３０】次に、本実施形態の磁気ヘッドの製造工程
を図２（ａ）〜（ｅ）により説明する。

【００３１】製造工程では、まず図２の（ａ）から
（ｂ）に示すように、コア半体１ａ，１ａ′のバック部
をボビンホルダー７のコア挿入穴７３、フロント部を凸
部７７，７７′間および７８，７８′間に挿入（圧入）
し、コア半体１ａ，１ａ′のそれぞれを溝７６，７５の
それぞれに嵌合する。

【００３２】次に、不図示の治具によりコア半体１ａ，
１ａ′同士の間を開き、（ｂ）に示す非磁性スペーサー
を（ｃ）のようにコア半体１ａ，１ａ′間に挿入し、治
具を外してコア半体１ａ，１ａ′間を閉じる。

【００３３】ここで前述のように凸部７４による押圧と
凸部７７，７７′及び７８，７８′による挟持、押圧に
よってコア半体１ａ，１ａ′どうしが押し付けられ互い
に密着して固定されるとともに、コア半体１ａ′が位置
出し溝７５の基準面ａに押し付けられ、コア半体１ａ，
１ａ′からなる磁気コア１のボビンホルダー７に対する
媒体摺動方向の位置が決定され、磁気コア１がボビンホ
ルダー７に固定される。なおコア半体１ａ′を位置出し
溝７５に嵌合するときに、その基準面ｂに押し付けるこ
とにより、磁気コア１のボビンホルダー７に対するトラ
ック幅方向の位置が決定される。

【００３４】続いて、非磁性スペーサー３や磁気コア１
の位置を確認、調整した後、（ｄ）から（ｅ）に示すよ
うに、磁気コア１を組み込んだボビンホルダー７をネジ
６の付いた磁気シールドケース５に挿入してネジ６を締
める。ネジ６は磁気コア１のコア半体１ａ′に当接し、
ネジ６の締め付けによりコア半体１ａ′がさらに位置出
し溝７５の基準面ｂに押し付けられ、ボビンホルダー７
が押下され、その基準面Ｂが磁気シールドケース５の内
側面に押し付けられる。これによりケース５に対する磁
気コア１のトラック幅方向の位置が決められ、ボビンホ
ルダー７が磁気コア１とともにケース５内で固定され
る。磁気コア１の先端面はケース５の開口部５１に臨ま
せられる。ネジ６の接触により磁気コア１とケース５間
の電気的導通が得られる。

【００３５】なお、ボビンホルダー７の左右の幅寸法と
ケース５内の左右の幅寸法を一致させておくことによ
り、ボビンホルダー７の基準面Ａがケース５の内側面に
密着し、ケース５に対する磁気コア１の媒体摺動方向の
位置が決定される。ここで、ボビンホルダー７の幅寸法
をケース５内の幅寸法より僅かに小さくし、ボビンホル
ダー７の基準面Ａと反対側の側面に不図示の凸部を設
け、この凸部をつぶしながらボビンホルダー７をケース
５に圧入するようにしてもよい。

【００３６】次に、ケース５の背面側の開口部より不図
示の充填接着剤を流し込み、硬化させる。そして、ケー
ス５の正面と磁気コア１の先端面を媒体摺動面として所
定の精度に仕上げる加工を行なって磁気ヘッドが完成す
る。

【００３７】このような本実施形態によれば、コアホル
ダーと巻線ボビンを一体に構成してなるボビンホルダー
７を用いているので、従来より部品点数を減らすことが
でき、コストダウンが図れる。また、組立工程でコア半
体１ａ，１ａ′どうしの固定、及び磁気コア１のホルダ
ー７に対する固定をホルダーの凸部７４，７７，７
７′，７８，７８′の押圧により行ない、従来例のよう
に接着によらないので、組立の工数を減らし、製造期間
を大幅に短縮でき、コストダウンが図れる。

【００３８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、磁気ヘッドにおいて、磁気コアを所定位置に
保持するためのコアホルダーと、巻線コイルを巻回する
巻線ボビンとを一体に構成してなるボビンホルダーを有
し、該ボビンホルダーに形成された押圧部の押圧によっ
て前記磁気コアがボビンホルダーに固定される構成を採
用したので、部品点数が少なく、少ない工数、短い製造
期間で安価に製造可能な磁気ヘッドを提供することがで
きるという優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による磁気ヘッドの実施形態の要部の構
造を示す分解斜視図である。

【図２】同磁気ヘッドの製造工程を示す説明図である。

【図３】従来の磁気ヘッドの製造工程を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 磁気コア １ａ，１ａ′ コア半体 ２ 巻線コイル ３ 非磁性スペーサー ５ 磁気シールドケース ６ ネジ ７ ボビンホルダー ８，８′ 端子導体 ７１，７２ フランジ部 ７３ コア挿入穴 ７４ 凸部 ７５ 位置出し溝 ７６ 溝 ７７，７７′，７８，７８′ 凸部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気コアを所定位置に保持するためのコ
   アホルダーと、巻線コイルを巻回する巻線ボビンとを一
   体に構成してなるボビンホルダーを有し、 該ボビンホルダーに形成された押圧部の押圧によって前
   記磁気コアがボビンホルダーに固定されるようにしたこ
   とを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 前記磁気コアは一対のコア半体からな
   り、前記ボビンホルダーの押圧部の押圧によって前記一
   対のコア半体が互いに押し付けられて固定されるように
   したことを特徴とする請求項１に記載の磁気ヘッド。
3. 【請求項３】 前記ボビンホルダーの一方の外側面に、
   前記磁気コアの位置出しのための溝が設けられ、該溝に
   前記磁気コアの一部が嵌合され、該溝の内側面の磁気記
   録媒体摺動方向とトラック幅方向それぞれの基準面とさ
   れた２面に押し付けられることにより、ボビンホルダー
   に対する磁気コアの磁気記録媒体摺動方向とトラック幅
   方向の位置が決定されるようにしたことを特徴とする請
   求項１または２に記載の磁気ヘッド。
4. 【請求項４】 前記ボビンホルダーの押圧部として、前
   記磁気コアのバック部を挿入するコア挿入穴の内側面に
   形成された凸部と、前記磁気コアのフロント部を挟持す
   るように対向して配置された複数の凸部とが設けられた
   ことを特徴とする請求項１から３までのいずれか１項に
   記載の磁気ヘッド。
5. 【請求項５】 前記磁気コアのフロント部を挟持する前
   記ボビンホルダーの複数の凸部は磁気記録媒体摺動方向
   に対向して配置され、該複数の凸部の内で磁気コアの磁
   気記録媒体摺動方向の位置出しの基準面側となる一方の
   凸部は他方の凸部より剛性が高くなるように形成された
   ことを特徴とする請求項４に記載の磁気ヘッド。
6. 【請求項６】 前記ボビンホルダーには、前記巻線コイ
   ルに接続された複数の端子導体が植設されていることを
   特徴とする請求項１から５までのいずれか１項に記載の
   磁気ヘッド。