JPH10256661A - 窒化物半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子及びその製造方法

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JPH10256661A
JPH10256661A JP5604697A JP5604697A JPH10256661A JP H10256661 A JPH10256661 A JP H10256661A JP 5604697 A JP5604697 A JP 5604697A JP 5604697 A JP5604697 A JP 5604697A JP H10256661 A JPH10256661 A JP H10256661A
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孝夫 山田
Shuji Nakamura
修二 中村
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウエーハの基板を薄くしたときに生じる反り
及び反りに伴うウェーハの不規則な位置での割れを防止
し、反りのない薄板化された基板を作製することによ
り、放熱性を良好にし、しきい値の上昇を抑え、寿命特
性が良好となる窒化物半導体素子及びその製造方法を提
供することである。 【構成】 膜厚0.5μm以下のバッファ層2を介して
総膜厚6μm以上の複数の窒化物半導体層を有する窒化
物半導体を成長させ,成長させた窒化物半導体の一部を
絶縁性基板まで取り除いた後、絶縁性基板の厚さを60
μm以下に調整してウェーハをチップ状に分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はLED(発光ダイオ
ード)、LD(レーザダイオード)等の発光素子、ある
いは太陽電池、光センサー等の受光素子に使用される窒
化物半導体(In XAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X
+Y≦1)よりなる素子及びその製造方法に関し、特に
放熱性の良好な窒化物半導体素子及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体は高輝度青色LED、純緑
色LEDの材料として、フルカラーLEDディスプレ
イ、交通信号等で最近実用化されたばかりである。これ
らのLEDは、例えばサファイアよりなる絶縁性基板の
上にn型窒化物半導体層と、p型窒化物半導体層とを有
し、それらのp、n半導体層の間にInGaNよりなる
単一量子井戸構造(SQW:Single-Quantum- Well)の
活性層が挟まれたダブルへテロ構造を有している。青
色、緑色等の波長はInGaN活性層のIn組成比を増
減することで決定されている。また、本出願人は、最近
この材料を用いてパルス電流において、室温での410
nmのレーザ発振を発表した(例えば、Jpn.J.Appl.Phy
s. Vol.35 (1996) pp.L217-L220、Appl.Phys.Lett.69(1
0),2 Sep.1996pp.1477-1479等)。このレーザ素子も同
様に、p、n半導体層の間にInGaNを含む多重量子
井戸構造(MQW:Multi-Quantum- Well)よりなる活
性層が挟まれたダブルへテロ構造を有している。
【0003】半導体素子は、熱によってその特性及び信
頼性が著しく影響を受けるため、半導体素子を用いた半
導体レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LE
D)等の駆動には高電流密度によるジュール熱を放散す
ることが、実用上、非常に大切であり、熱が良好に放散
されれば素子寿命が長くなる。熱の放散は、まずLED
では熱伝導性のよい金属材料よりなるリードフレーム上
に素子がマウントされて放熱を行っている。一方、LD
はLEDに比べて高電力が負荷されるため発熱量が桁違
いに大きく、LEDと同様の方法では熱による素子の劣
化が速い。そのため、LDでの熱の放散はダイヤモンド
ヒートシンクのような熱伝導性のよい材料の上にマウン
トされて熱を放散させている。
【0004】LEDやLD等の窒化物半導体素子をヒー
トシンク、サブマウント、メタルポスト、リードフレー
ムのような支持体にマウントする方法は、フェースダウ
ン及びフェースアップの2種類の方法がある。フェース
ダウンでは窒化物半導体側と支持体とが対向するように
マウントされ、フェースアップでは絶縁性基板と支持体
とが対向するようにマウントされる。そして窒化物半導
体または絶縁性基板が支持体に接触することで熱が支持
体に伝導し放散される。この場合それらの接触が良好で
あれば放熱性が向上する。また、絶縁性基板が支持体に
接触している場合はもちろんのこと、接触していない場
合でも、窒化物半導体に発生する熱は窒化物半導体及び
基板を介して外部に放散される。つまり、窒化物半導体
及び絶縁性基板が支持体に直接接触している場合には支
持体に熱を伝導し、支持体に接触していない場合には窒
化物半導体及び絶縁性基板の各々の表面から外部に熱を
放散する。
【0005】このように熱を放散する窒化物半導体の基
板はサファイアやスピネル等よりなる絶縁性基板であ
る。このため、絶縁性基板の放熱性が導電性のものに比
べてあまり良くない。このことを是正し熱を外部に効率
よく放散するには、基板を薄くするか、又は基板を除去
することが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基板を
薄くする過程において、半導体レーザ素子作製では、研
磨等で基板を薄板化したとき窒化物半導体層と基板との
格子定数差によりウエーハが反り、この反りにより基板
の厚みが80μmより薄くなるとウエーハが割れ易くな
る。例えば、特開平5−343742号公報には、p型
層の一部をn型層までエッチングした後、更にn型層を
サファイア基板までエッチングまたはダイシングしてな
る窒化ガリウム系化合物半導体チップの製造方法が記載
されているが、この技術はサファイア基板のウエーハを
チップ状にカットする際、切断面、界面のクラック、チ
ッピングの発生を防止するものであって、この公報の技
術では基板の厚みを80μmより薄くなるとウエーハが
反ってしまう傾向がある。このようにウエーハが基板を
薄くすることで反ってしまうと、フェイスアップ及びフ
ェイスダウンでダイボンドした場合、絶縁性基板及び窒
化物半導体がヒートシンク等の支持体と良好に接触でき
ず、放熱性が不十分となり、しきい値が上昇し、その結
果寿命特性が劣化してしまう。更に基板の反りによりウ
エーハが割れてしまうので、基板を薄くして放熱性の効
果を向上させることができない。
【0007】そこで、本発明の目的は、窒化物半導体ウ
エーハの基板を薄くしたときに生じる反り及び反りに伴
うウェーハの不規則な位置での割れを防止し、反りのな
い薄板化された基板を作製することにより、放熱性を良
好にし、しきい値の上昇を抑え、寿命特性が良好となる
窒化物半導体素子及びその製造方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の目的は、
下記(1)〜(4)の構成によって達成することができ
る。 (1) 厚さ60μm以下の絶縁性基板上に、少なくと
も膜厚0.5μm以下のバッファ層と、総膜厚6μm以
上の窒化物半導体層とからなる窒化物半導体を有し、該
窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで取り除いてなるこ
とを特徴とする窒化物半導体素子。 (2) 前記総膜厚6μm以上の複数の窒化物半導体層
のうち、前記バッファ層の上部にn型不純物の含有され
ていない窒化物半導体層とn型不純物の含有されている
窒化物半導体層とを合計6μm以上の膜厚で成長させて
なることを特徴とする前記(1)に記載の窒化物半導体
素子。 (3) 窒化物半導体素子の製造方法において、絶縁性
基板上に、少なくとも膜厚0.5μm以下のバッファ層
を介して、総膜厚6μm以上の複数の窒化物半導体層を
有する窒化物半導体を成長させる工程と、成長させた窒
化物半導体の一部を絶縁性基板まで取り除く工程と、窒
化物半導体の一部を絶縁性基板まで除去した後ウエーハ
の絶縁性基板の厚さを60μm以下に調整する工程と、
基板の厚さ調整後ウエーハをチップ状に分離する工程と
を備えることを特徴とする窒化物半導体素子の製造方
法。 (4) 前記総膜厚6μm以上の複数の窒化物半導体層
のうち、前記バッファ層の上部にn型不純物の含有され
ていない窒化物半導体層とn型不純物の含有されている
窒化物半導体層とを合計6μm以上の膜厚で成長させて
なることを特徴とする前記(3)に記載の窒化物半導体
素子の製造方法。
【0009】更に本発明の目的は、下記構成(5)〜
(9)のその他の好ましい態様によって達成することが
できる。 (5) 前記チップ状に分離する工程が、絶縁性基板表
面をスクライブした後、ウェーハをブレイクする工程で
あることを特徴とする前記(3)または(4)に記載の
窒化物半導体素子の製造方法。 (6) 前記ブレイクする工程が、レーザ素子の共振面
を形成する工程であることを特徴とする前記(5)に記
載の窒化物半導体素子の製造方法。 (7) 前記共振面が窒化物半導体の
【0010】
【外1】
【0011】(以下M面とする)であることを特徴とす
る前記(6)に記載の窒化物半導体素子の製造方法。 (8) 前記バッファ層に接して最初に成長させる層
が、膜厚6μm以上の不純物の含まれていない窒化物半
導体層であることを特徴とする前記(1)〜(7)のい
ずれかに記載の窒化物半導体素子及びその製造方法。 (9) 前記窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで取り
除いた後窒化物半導体端面及び絶縁性基板上に絶縁性の
保護膜を形成してなることを特徴とする前記(1)〜
(8)のいずれかに記載の窒化物半導体素子及びその製
造方法。
【0012】つまり、本発明は、絶縁性基板上に膜厚
0.5μm以下の薄層のバッファ層を介して、不純物の
含まれてない(アンドープ)、n型不純物の含有されて
いる(n型)、及び/又は、p型不純物の含有されてい
る(p型)窒化物半導体層などの複数層からなる総膜厚
6μm以上の厚い膜の層構成を有する窒化物半導体層を
形成して、窒化物半導体の格子定数と絶縁性基板の格子
定数とが異なるために生じる応力を調整し、且つ、ウエ
ーハの基板上の窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで取
り除き、ウエーハの絶縁性基板上で連続している窒化物
半導体の応力をウエーハ上で各チップごとに分断し、こ
の結果基板を薄くしても窒化物半導体の応力による反り
を防止でき、反りのない非常に良好な窒化物半導体を得
ることができる。
【0013】応力の係ったサファイア基板を薄くしてい
く過程において、最初はほぼ水平であったウエーハが応
力によって反り始め、反りが大きくなることにより窒化
物半導体が不規則な位置で割れてしまう。このため基板
を薄板化することが難しい。これに対し、本発明者等は
種種検討の結果、従来公知の窒化物半導体素子の作製及
び素子では、ウエーハの絶縁性基板を研磨して薄くする
際、n型窒化物半導体層が絶縁性基板上で分離される前
の各チップ同士が窒化物半導体を通じて連続しているた
め、基板が薄くなるにつれて窒化物半導体の応力が絶縁
性基板の応力より勝ってしまうために、反りが発生する
のではないかと考えた。
【0014】そこで、本発明者等は、基板上に薄いバッ
ファ層を積層後、アンドープ窒化物半導体層(アンドー
プ層)、n型窒化物半導体層(n型層)及び/又はp型
窒化物半導体層(p型層)等からなる複数の窒化物半導
体層を成長させ、且つ、基板を研磨して薄板化する前
に、電極を形成するためにエッチングされたウエーハの
基板上で連続している窒化物半導体層(例えばアンドー
プ層及び/又はn型層)を基板まで除去し、ウエーハの
チップ単位ごとに不連続とすることで、応力の調整及び
補正をしウエーハの反りを抑制するものである。これに
よって基板を薄板化する過程でウエーハが反ることなく
良好に基板を薄くすることができ、更に分離後のチップ
の反りも防止され、得られる窒化物半導体素子はヒート
シンクなどの支持体に良好に接触でき放熱性が改善され
ると共に薄板化された絶縁性基板からの放熱性も向上す
る。
【0015】更に、本発明において、バッファ層に接し
て最初に成長させる層が、アンドープ層及びn型層から
なる膜厚6μm以上の窒化物半導体層であることによ
り、反りをより良好に防止することができる。 更に、
本発明において、窒化物半導体の一部が除去され露出し
ている絶縁性基板上及び窒化物半導体端面に絶縁性の保
護膜を形成すると、フェイスダウンでダイレクトボンデ
ィングするときのショートを防止する作用に加えて、上
記構成と共にウエーハの反り防止の効果に寄与する傾向
があり、本発明の目的を達成するのに好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる絶縁性基板
は、例えばC面を主面とするサファイアの他、R面、A
面を主面とするサファイア、その他、スピネル(MgA
24)のような窒化物半導体と熱膨張係数が異なり窒
化物半導体が成長できる従来提案されている絶縁性の基
板を用いることができる。このように絶縁性基板を用い
ると、フェースアップの状態で素子をマウントでき、基
板を介して直接ヒートシンク等の支持体に熱が伝わるの
で、窒化物半導体層と支持体が直接接触するフェースダ
ウンに比べて、フェースアップの状態で行うと基板を薄
くした効果が顕著に現れる。又、フェースダウンにおい
ても、本発明の構成により基板を薄くすることが可能で
あるので、基板からの熱の放散が良好となる。
【0017】バッファ層は基板と窒化物半導体との格子
不整合を緩和する作用があり、GaN、AlGaN、A
lN、InGaN等の窒化物半導体を10オングストロ
ーム以上、0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μ
m以下、最も好ましくは0.1μm以下の膜厚で成長さ
せる。具体的には、例えば特開平4−297023号に
示されるような方法を用いて、AlXGa1-XN(0≦X
<1)よりなるバッファ層を成長させると、窒化物半導
体の結晶性が非常に良くなる。このバッファ層の膜厚が
0.5μmよりも厚いと、次に成長させる窒化物半導体
層の結晶性が悪くなり、複数の窒化物半導体の総膜厚、
及び、バッファ層上に最初に形成される窒化物半導体層
の膜厚を6μm以上の膜厚で成長させることが困難とな
る傾向にある。またバッファ層の膜厚が10オングスト
ロームより薄いとバッファ層の効果がなくなり結晶表面
に凹凸ができる。
【0018】バッファ層上のアンドープ層、n型層及び
/又はp型層等の複数の窒化物半導体層の総膜厚は、6
μm以上であれば良く、好ましくは8μm以上、特に好
ましくは10μm以上であり、好ましくは100μm以
下である。総膜厚が6μm未満であると絶縁性基板を6
0μm以下に薄くすることが難しくなり、また総膜厚が
100μmを越えると放熱性が悪化するので好ましくな
い。本発明のバッファ層の上に成長されるアンドープ
層、n型層及び/又はp型層からなる窒化物半導体層
は、種種の積層順及び種種の層構成をとることができ、
層構成等は特に限定されない。例えば、n型コンタクト
層、n型クラッド層、ガイド層、活性層、ガイド層、p
型クラッド層、p型コンタクト層等の各層を組み合わせ
てなる層構成をとることが可能である。
【0019】本発明において、総膜厚6μm以上の窒化
物半導体層を積層するには、各層の膜厚を調整して行わ
れるが、好ましくはアンドープ層及び/又はn型層の膜
厚を調整し、より好ましくはアンドープ層の膜厚を調整
後n型層の膜厚を調整して総膜厚を6μm以上とする。
アンドープ層は結晶性が良いため、アンドープ層を成長
させた後その層上にn型不純物であるSiあるいはGe
をドープした窒化物半導体層を成長させると総膜厚を6
μm以上に調整し易い。更にこれらの層上にp型不純物
をドープした窒化物半導体層を成長させると良好にp型
層が形成でき好ましい。ここで、p型はアニーリングに
よって窒化物半導体層に含まれている水素をp型不純物
と切り離して半導体層中から一部除去しなければp型が
得られないと考えられている。このためp型不純物を含
む窒化物半導体層を厚膜で成長させると、内部に含まれ
ている水素が窒化物半導体から離脱しにくくなり、p型
が得られにくい。このような理由から、窒化物半導体を
厚膜で成長させるためにはアンドープ層及び/又はn型
層を厚く成長させることが望ましい。
【0020】上記各窒化物半導体層は、有機気相成長法
等により膜厚等を調整しながら形成される。また本発明
においてn型層又はp型層とは、窒化物半導体層中にn
型不純物(n型ドーパント)あるいはp型不純物(p型
ドーパント)を含んでいる層を示す。またアンドープ層
は不純物を含んでいない層を示し、アンドープの窒化物
半導体層は場合によってはn型を示すこともある。
【0021】更に、本発明において、バッファ層の上に
最初に形成させる膜厚6μm以上の窒化物半導体層は、
アンドープ層、又はSiやGe等をドープしたn型層、
あるいはこれらの組み合わせであり、好ましくはアンド
ープ層及びn型層の組み合わせである。またアンドープ
層を最初に成長させると結晶性が良くなる。最初に形成
される層の膜厚は、6μm以上、好ましくは7μm以
上、100μm以下であることが好ましい。またバッフ
ァ層の上に最初に形成される層の膜厚が6μm以上であ
る時、窒化物半導体の総膜厚は6μmよりも厚く調整さ
れる。バッファ層上の最初に形成されるアンドープ層及
びn型層の組成は、AlXGa1-XN(0≦X<1)を成
長させることが好ましく、最も好ましくは、Al組成比
(X値)が0.5以下のAlGaN、GaNを成長させ
る。Al組成比が0.5を超えると窒化物半導体層自体
にクラックが入りやすくなり、6μm以上の膜厚で成長
させることが困難となる傾向にある。また、窒化物半導
体層は、アンドープの状態でもn型となる性質がある
が、バッファ層上の最初に形成されるn型層は、この層
の成長中にSi、Ge、Sn、S等のn型ドーパントを
ドープして、n電極を形成するための、n型コンタクト
層とすると非常に好ましい。Si、Ge、Sn、S等の
n型ドーパントをドープする場合、n型ドーパントの濃
度は1×1016cm3〜1×1021cm3、好ましくは1
×1017cm3〜1×1020cm3、より好ましくは1×
1018cm3〜1×1019cm3である。
【0022】又、このバッファ層上のアンドープ層ある
いはn型層の膜厚が6μm以上であると、基板を60μ
m以下に薄くするのにより効果的である。上限は特に限
定しないが通常は100μm以下の膜厚で成長させるこ
とにより、結晶性の良いアンドープ層及びn型層が得ら
れる。100μmより厚く成長させると放熱性が悪くな
る。なお、これらのアンドープ層及びn型層成長中に、
他組成を有するn型不純物を含有する窒化物半導体層を
間に挿入しても良いが、最も好ましくは単一の組成で連
続して6μm以上の膜厚で成長させることが最も好まし
い。但し、バッファ層上に最初に成長させるアンドープ
層あるいはn型層の中には、これらと異なる他の組成あ
るいは異なる不純物含有の窒化物半導体層を挟んでも、
本発明の範囲の中に含まれる。
【0023】次に、バッファ層の上に最初に形成される
アンドープ層又はn型層の上に、更にアンドープ層、n
型層及び/又はp型層が形成される。これらの層として
は、窒化物半導体素子の構成によって種種の層構成を適
宜選択することができ、前記のアンドープ層及びn型層
で示した組成の層も用いることができる。例えば、バッ
ファ層の上に最初に形成されるn型窒化物半導体層をコ
ンタクト層とする場合には、直接InGaNよりなる活
性層、p型窒化物半導体よりなるp型クラッド層、p型
コンタクト層等を積層してLED素子となるようなウェ
ーハを作製しても良いし、また、n型クラッド層、ガイ
ド層、活性層、ガイド層、p型クラッド層、p型コンタ
クト層等を積層してレーザ素子となるようなウェーハを
作製しても良い。また、本発明においては、基板上に成
長されるバッファ層は、成長方法、成長装置によっては
省略されることもできる。
【0024】また、バッファ層に最初に形成されるアン
ドープ層及び/又はn型層が、複数のn型層及びp型層
等からなる窒化物半導体層の総膜厚の90%以上となる
ように成長させると、結晶性の良い窒化物半導体層を成
長させることができ好ましい。この場合、n型層及びp
型層等からなる窒化物半導体層の総膜厚は、バッファ層
の上に最初に成長させるアンドープ層及び/又はn型層
の膜厚が6μm以上であり且つ窒化物半導体層の総膜厚
の90%以上になるように調整されることが好ましい。
【0025】以上のような層構成を有する総膜厚6μm
以上の窒化物半導体の一部は、絶縁性基板を薄板化する
前に絶縁性基板まで取り除かれる。取り除く方法として
は、最上層のp型層上の取り除く部分以外に保護膜を設
けリッジ形成後、露出しているp型層の平面に保護膜を
設けた後、図1の様にn型層あるいはアンドープ層まで
エッチングしてp型層の一部を取り除く。保護膜はp型
層がエッチングにより侵食されるのを防ぐと共に、パタ
ーンエッチングを行うために設けるものであって、プラ
ズマCVD法でSiO2成膜後、フォトレジストでパタ
ーニングしてSiO2をエッチングし、SiO2マスクパ
ターンを形成する。そして、保護膜が設けられたp型層
をアンドープ層又はn型層までエッチングする。エッチ
ング方法はドライ、ウエットいずれの方法でもよい。エ
ッチング終了後、酸により保護膜を除去する。
【0026】次に、一部のp型層を取り除いたことによ
って露出したアンドープ層及び/又はn型層を絶縁性基
板(例えばサファイア基板)まで取り除く。取り除く方
法としては、例えば図1に示すように、n型コンタクト
層3の表面にn型電極を設けられるスペースを残して、
n型コンタクト層3及びバッファ層2をサファイア基板
1までエッチング、またはダイシングする。窒化物半導
体層とサファイア基板1の界面にできるだけストレスを
かけないようにするには、エッチングが好ましい。エッ
チングする場合には、前述したように保護膜をエッチン
グ面以外(p型層とn型層の電極形成部分)に形成する
必要がある。
【0027】以上のようにして、絶縁性基板上に窒化物
半導体層を積層し、p型層にパターンエッチングしてリ
ッジを形成後p型層の一部をアンドープ層又はn型層ま
で取り除き、更にアンドープ層又はn型層の一部を絶縁
性基板まで取り除いた後、ウェーハの絶縁性基板の膜厚
を60μm以下、さらに好ましくは50μm以下に調整
する。60μmよりも厚いと、放熱性が十分ではなく、
例えばレーザ素子を作製した場合、連続発振の元では、
素子が1時間以内でダメになる。下限は、最初に成長さ
せる窒化物半導体層の膜厚によっても異なるが、10μ
m以上あることが望ましい。絶縁性基板の膜厚が10μ
mより薄いと、ダイボンドやワイヤーボンド時の物理的
チップ強度の点で好ましくない。絶縁性基板の膜厚を調
整するには、研磨、エッチング等の方法がある。研磨は
周知のように研磨剤を用いてラッピングする。ラッピン
グ後、研磨面を鏡面状とするために、ポリシングしても
良い。エッチングには、ウェットエッチング、ドライエ
ッチングの方法があるがいずれを用いても良い。ウェッ
トエッチングでは、例えばリン酸と硫酸の混酸を用いる
方法がある。ドライエッチングには、例えば反応性イオ
ンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチン
グ(RIBE)、電子サイクロトロンエッチング(EC
R)、イオンビームエッチング等の装置があり、いずれ
も絶縁性基板の材料に応じて、エッチングガスを適宜選
択することによりエッチングできる。
【0028】次に、絶縁性基板の厚さを60μm以下と
した後、ウェーハをチップ状に分離する。チップ状に分
離するには、例えばスクライブ、ダイシング等の方法が
あるが、好ましくはスクライブにより基板をブレークし
てチップ状に分離する。しかも、窒化物半導体を成長し
ていない側の基板面をスクライブすることにより、正確
な位置でチップ状に分離できる。一方、ダイシングでは
切断面にクラックが入ったりする傾向にあり、しかもレ
ーザ素子を作製する場合にはダイシングで共振面となる
ような平滑な面を得ることは難しい。
【0029】さらに、本発明において、レーザ素子を製
造する場合、基板を薄くして基板側をスクライブしてブ
レイク(brake)すると、そのブレークした面にレーザ
素子の共振面を形成することができる。窒化物半導体を
成長できる絶縁性基板は、例えばサファイアのように劈
開性のないものが多い。しかしながら、劈開性のない基
板の上に成長された窒化物半導体でも、基板を極限まで
薄くすることにより、成長した窒化物半導体の面方位に
よっては、窒化物半導体が劈開されて、その劈開面を共
振面とすることができる。
【0030】さらに、劈開面は窒化物半導体層のM面で
あることが望ましい。M面とは窒化物半導体を六角柱状
の六方晶系で近似した場合に、その側面に相当する4角
形の面であり、それぞれ6種類の面方位で示すことがで
きるが前記(外1)面(図2の斜線部分)が全ての面方
位を示しているものとする。窒化物半導体のM面で劈開
すると、非常に歩留良く、また、鏡面に近い劈開面を得
ることができる。M面の面方位については図2に示して
いる。
【0031】
【実施例】図1は本発明の一実施例によるレーザ素子の
模式的な断面図であり、以下この図を元に本発明の製造
方法について詳説する。なお、本発明において用いる一
般式InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦
1)単に窒化物半導体の組成を示すものであり、異なる
層が同一の一般式で示されていても、それらの層のX
値、Y値等が同一の値を示すものではない。
【0032】[実施例1] 1) 厚さ300μm、2インチφのサファイア(C面)
よりなる基板1の上に 2) GaNよりなるバッファ層2を200オングストロ
ーム 3) Siドープn型GaNよりなるコンタクト層3を6
μm 4) Siドープn型In0.1Ga0.9Nよりなるクラック
防止層4を500オングストローム 5) Siドープn型Al0.2Ga0.8Nよりなるn型クラ
ッド層5を0.5μm 6) SiドープGaNよりなる光ガイド層6を0.2μ
m 7) アンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を25
オングストロームと、アンドープIn0.01Ga0.95Nよ
りなる障壁層を50オングストロームと3ペア積層して
最後に井戸層を積層した活性層7(活性層総厚、250
オングストローム) 8) Mgドープp型Al0.1Ga0.9Nよりなるp型キャ
ップ層8を300オングストローム、 9) MgドープGaNよりなる光ガイド層9を0.2μ
m 10) Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nよりなるp型ク
ラッド層10を0.5μm 11) Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層
11を0.2μm の膜厚で順に積層する。(窒化物半導体層総膜厚7.7
25μm、バッファ層を含む)
【0033】1) 基板1は前記したように、サファイ
アC面の他、R面、A面を主面とするサファイア、その
他、スピネル(MgA124)のような絶縁性の基板を
用いることができる。
【0034】2) バッファ層2も前記したようにAl
N、GaN、AlGaN等を900℃以下の温度で成長
させ、膜厚10オングストローム〜0.5μm以下、さ
らに好ましくは20オングストローム〜0.2μm以下
の膜厚で成長できる。
【0035】3) n型コンタクト層3は、バッファ層
の次に成長させるn型窒化物半導体層に相当する。この
n型コンタクト層はInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0
≦Y、X+Y≦1)、さらに好ましくはY値が0.5以下の
AlYGa1-YNで構成することが好ましく、その中でも
Si若しくはGeをドープしたGaNで構成することに
より、キャリア濃度の高いn型層が得られ、またn電極
と好ましいオーミック接触が得られる。この層は前記し
たように6μm以上で成長させ、さらに好ましくは7μ
m以上の膜厚が望ましく、例えば20μm以下の膜厚で
成長させる。
【0036】4) クラック防止層4はInを含むn型
の窒化物半導体、好ましくはInGaNで成長させるこ
とにより、次に成長させるAlを含むn型クラッド層を
厚膜で成長させることが可能となり、非常に好ましい。
LDの場合は、光閉じ込め層となる層を、好ましくは
0.1μm以上の膜厚で成長させる必要がある。従来で
はGaN、AlGaN層の上に直接、厚膜のAlGaN
を成長させると、後から成長させたAlGaNにクラッ
クが入るので素子作製が困難であったが、このクラック
防止層が、次に成長させるAlを含むn型クラッド層に
クラックが入るのを防止することができる。クラック防
止層は100オングストローム以上、0.5μm以下の
膜厚で成長させることが好ましい。100オングストロ
ームよりも薄いと前記のようにクラック防止として作用
しにくく、0.5μmよりも厚いと、結晶自体が黒変す
る傾向にある。なお、このクラック防止層は成長方法、
成長装置等の条件によっては省略することもできるがL
Dを作製する場合には成長させる方が望ましい。このク
ラック防止層はn型コンタクト層内に成長させても良
い。
【0037】5) n型クラッド層5はキャリア閉じ込
め層、及び光閉じ込め層として作用し、Alを含む窒化
物半導体、好ましくはAlGaNを成長させることが望
ましく、100オングストローム以上、2μm以下、さ
らに好ましくは500オングストローム以上、1μm以
下で成長させることにより、結晶性の良いキャリア閉じ
込め層が形成できる。
【0038】6) 光ガイド層6は、活性層の光ガイド
層として作用し、GaN、InGaNを成長させること
が望ましく、通常100オングストローム〜5μm、さ
らに好ましくは200オングストローム〜1μmの膜厚
で成長させることが望ましい。また実施例1ではSiを
ドープしたが、この光ガイド層はアンドープでも良い。
【0039】7) 活性層7は膜厚70オングストロー
ム以下のInを含む窒化物半導体よりなる井戸層と、膜
厚150オングストローム以下の井戸層よりもバンドギ
ャップエネルギーが大きい窒化物半導体よりなる障壁層
とを積層した多重量子井戸構造とするとレーザ発振しや
すい。
【0040】8) キャップ層8はp型不純物をドープ
したが、膜厚が薄いため、n型不純物をドープしてキャ
リアが補償されたi型としても良く、最も好ましくはp
型又はアンドープである。キャップ層の膜厚は0.1μ
m以下、さらに好ましくは500オングストローム以
下、最も好ましくは300オングストローム以下に調整
する。0.1μmより厚い膜厚で成長させると、キャッ
プ層中にクラックが入りやすくなり、結晶性の良い窒化
物半導体層が成長しにくいからである。またキャリアが
このエネルギーバリアをトンネル効果により通過できな
くなる。Alの組成比が大きいAlGaN程薄く形成す
るとLD素子は発振しやすくなる。例えば、Y値が0.
2以上のAlYGa1-YNであれば500オングストロー
ム以下に調整することが望ましい。キャップ層8の膜厚
の下限は特に限定しないが、10オングストローム以上
の膜厚で形成することが望ましい。
【0041】9) 光ガイド層9は、前記6)の光ガイ
ド層と同じくGaN、InGaNで成長させることが望
ましい。また、この層はp型クラッド層を成長させる際
のバッファ層としても作用し、100オングストローム
〜5μm、さらに好ましくは200オングストローム〜
1μmの膜厚で成長させることにより、好ましい光ガイ
ド層として作用する。またこの光ガイド層はアンドープ
でもよい。
【0042】10) p型クラッド層10はn型クラッ
ド層と同じく、キャリア閉じ込め層、及び光閉じ込め層
として作用し、Alを含む窒化物半導体、好ましくはA
lGaNを成長させることが望ましく、100オングス
トローム以上、2μm以下、さらに好ましくは500オ
ングストローム以上、1μm以下で成長させることによ
り、結晶性の良いキャリア閉じ込め層が形成できる。さ
らに前記のようにこの層をAlを含む窒化物半導体層と
することにより、p型コンタクト層と、p電極との接触
抵抗差ができるので好ましい。
【0043】本実施例のようにInGaNよりなる井戸
層を有する量子構造の活性層の場合、その活性層に接し
て、膜厚0.1μm以下のAlを含むp型キャップ層を
設け、そのp型キャップ層よりも活性層から離れた位置
に、p型キャップ層よりもバッドギャップエネルギーが
小さい光ガイド層を設け、その光ガイド層よりも活性層
から離れた位置に、光ガイド層よりもバンドギャップが
大きいAlを含む窒化物半導体よりなるp型クラッド層
を設けることは非常に好ましい。しかもp型キャップ層
の膜厚を0.1μm以下と薄く設定してあるため、キャ
リアのバリアとして作用することはなく、p層から注入
された正孔が、トンネル効果によりp型キャップ層を通
り抜けることができて、活性層で効率よく再結合し、L
Dの出力が向上する。つまり、注入されたキャリアは、
p型キャップ層のバンドギャップエネルギーが大きいた
め、半導体素子の温度が上昇しても、あるいは注入電流
密度が増えても、キャリアは活性層をオーバーフローせ
ず、p型キャップ層で阻止されるため、キャリアが活性
層に貯まり、効率よく発光することが可能となる。従っ
て、半導体素子が温度上昇しても発光効率が低下するこ
とが少ないので、閾値電流の低いLDを実現することが
できる。
【0044】11) p型コンタクト層11はp型のI
XAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構
成することができ、好ましくはMgをドープしたGaN
とすれば、p電極20と最も好ましいオーミック接触が
得られる。
【0045】以上の構成で基板1の上に活性層7を含む
窒化物半導体層を積層後、窒素雰囲気中、ウェーハを反
応容器内において、アニーリングを行い、p型層中に含
まれる水素の一部を除去し、p型層をさらに低抵抗化す
る。
【0046】次に、最上層のp型コンタクト層の表面に
所定の形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエ
ッチング)装置で、図1に示すように、最上層のp型コ
ンタクト層11と、p型クラッド層10とをメサエッチ
ングして、4μmのストライプ幅を有するリッジ形状と
する。
【0047】リッジ形成後、露出しているp型層の平面
にマスクを形成し、図1に示すようにストライプ状のリ
ッジに対して左右対称にして、n型コンタクト層3の平
面を露出させる。このようにn電極22を形成すべきn
型コンタクト層3をリッジストライプに対して左右対称
に設けることにより、n層からの電流も活性層に対して
均一に係るようになり、閾値が低下する。
【0048】n型コンタクト層3の平面を露出させた
後、n型コンタクト層3の表面にn型電極22を設ける
スペースを残して、更にn型コンタクト層3及びバッフ
ァ層2をサファイア基板までエッチングする。こうする
ことにより、ウエーハ上でn型層が各チップ単位で分断
されn型層の応力を補正することができ、基板を薄くす
る工程でウエーハの反りが防止される。
【0049】次に、リッジ最上部のp型コンタクト層1
1に、NiとAuよりなるオーミック用のp電極20を
ほぼ全面に形成する。一方、TiとAlよりなるオーミ
ック用のn電極22をストライプ状のn型コンタクト層
のほぼ全面に形成する。なお、ほぼ全面とは80%以上
の面積をいう。このようにn電極も全面に形成し、さら
にリッジに対して左右対称に形成することにより閾値が
低下する。
【0050】次に、電極形成後、露出している絶縁性基
板1、電極側の窒化物半導体層、及びp電極20、n電
極22全面に渡って、SiO2よりなる絶縁膜30を形
成した後、p電極20、n電極22が形成された上部に
相当する絶縁膜30にエッチングにより開口部を設け
る。次いで、図1に示すように、この絶縁膜30を介し
てp電極20、及びn電極22と電気的に接続したpパ
ッド電極21、nパッド電極23を形成する。pパッド
電極21は実質的なp電極20の表面積を広げて、p電
極側をワイヤーボンディングできるようにする作用があ
る。nパッド電極23もn電極のはがれを少なくして、
n電極より注入できる電流を大きくできる作用がある。
【0051】以上のようにして、両電極を形成したウェ
ーハを研磨装置に移送し、ダイヤモンド研磨剤を用い
て、窒化物半導体を形成していない側のサファイア基板
1をラッピングし、基板の厚さを20μmとする。ラッ
ピング後、さらに細かい研磨剤で1μmポリシングして
基板表面を鏡面状とする。
【0052】基板研磨後、ストライプ状の電極に垂直な
方向に相当するサファイア基板の研磨面側をスクライブ
した後、バー状に劈開し、劈開面に共振器を作製する。
なお劈開面はサファイア基板の上に成長した窒化物半導
体面のM面とする。この他、RIE等のドライエッチン
グ手段により端面をエッチングして共振器を作製するこ
ともできる。またこの他、劈開面を鏡面研磨して作成す
ることも可能である。但し、本実施例のように、窒化物
半導体のM面を劈開面を共振面とすることが最も望まし
い。
【0053】劈開後、共振器面にSiO2とTiO2より
なる誘電体多層膜を形成し、最後にp電極に平行な方向
で、バーを切断してレーザチップとした。この切断によ
り、1枚のウェーハから有効なレーザ素子として取り出
せる素子の実質的な歩留は90%以上であった。次にチ
ップをフェースアップ(基板とヒートシンクとが対向し
た状態)でヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワ
イヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたと
ころ、閾値電流密度3.5kA/cm2で、発振波長40
5nmの連続発振が確認され、およそ6日間の連続発振
を確認した。
【0054】[実施例2]n型コンタクト層3を7μm
の膜厚で成長させる他は実施例1と同様にしてレーザ素
子を作製したところ、同じく閾値電流密度3.5A/cm
2で、発振波長405nmの連続発振が確認され、同じ
く6日間の連続発振を確認した。なおレーザ素子の実質
的な歩留は90%以上であった。
【0055】[実施例3]サファイア基板を40μmま
で研磨する他は実施例1と同様にしてレーザ素子を作製
したところ、同じく閾値電流密度3.7kA/cm2で、
発振波長405nmの連続発振が確認され、5日間の連
続発振を確認した。なおレーザ素子の実質的な歩留は同
じく90%以上であった。
【0056】[実施例4] 1) 厚さ300μm、2インチφのサファイア(C面)
よりなる基板1の上に 2) GaNよりなるバッファ層2を200オングストロ
ーム 3) アンドープGaNよりなる層を6μm 4) Siドープn型GaNよりなる第1のn型層を2μ
m 5) Siドープn型In0.1Ga0.9Nよりなるクラック
防止層を500オングストローム 4')クラック防止層の上に同じくSiドープn型GaN
よりなる第2のn型層を2μm成長させる。(窒化物半
導体層総膜厚11.725μm、バッファ層を含む)
【0057】次に第2のn型層の上に、直接n型クラッ
ド層5を成長させ、後は実施例1と同様にして、n型ク
ラッド層5から上の層を成長させることにより窒化物半
導体ウェーハを作製し、同様にアニーリングを行い、p
型層をさらに低抵抗にする。
【0058】アニーリング後、p型クラッド層10とを
メサエッチングして、4μmのストライプ幅を有するリ
ッジ形状とした後、第2のn型層の表面が露出するまで
エッチングを行う。なお実施例4の場合、第2のn型層
がコンタクト層に相当する。
【0059】後は実施例1と同様にしてレーザ素子を作
製して、発振させたところ、同じく閾値電流密度3.2
kA/cm2で、発振波長405nmの連続発振が確認さ
れ、同じく7日間の連続発振を確認した。なおレーザ素
子の実質的な歩留は同じく90%以上であった。
【0060】[実施例5]サファイア基板を50μmま
で研磨する他は実施例4と同様にしてレーザ素子を作製
したところ、同じく閾値電流密度3.3kA/cm2で、
発振波長405nmの連続発振が確認され、6日間の連
続発振を確認した。なおレーザ素子の実質的な歩留は同
じく90%以上であった。
【0061】[比較例1]実施例1において、n型コン
タクト層の膜厚を4μmとする他は実施例1と同様にし
てレーザ素子を作製したところ、基板は80μmまでし
か研磨できず、それ以上研磨するとウェーハが不規則な
位置で割れてしまった。なお、80μmまで研磨したウ
ェーハでは共振面を劈開で形成することが難しいため、
RIEによるエッチングで形成して、レーザ素子とした
ところ、閾値電流密度4.5kA/cm2で連続発振はし
たが、わずか60分で素子が切れてしまった。
【0062】[比較例2]実施例1において、n型コン
タクト層の膜厚を3μmとする他は実施例1と同様にし
てレーザ素子を作製したところ、基板は100μmまで
しか研磨できず、それ以上研磨するとウェーハが不規則
な位置で割れてしまった。なお、100μmまで研磨し
たウェーハでは共振面を劈開で形成することが難しいた
め、RIEによるエッチングで形成して、同様にレーザ
素子としたところ、閾値電流密度5.0kA/cm2で連
続発振はしたが、極わずかの時間で素子が切れてしまっ
た。
【0063】[比較例3]実施例1において、基板を7
0μmまで研磨して、共振面をRIEによるエッチング
で形成する他は、同様にしてレーザ素子を作製したとこ
ろ、閾値電流密度4.3kA/cm2で連続発振はした
が、3時間で素子が切れてしまった。
【0064】[比較例4]実施例1においてn型コンタ
クト層3及びバッファ層2を基板1まで除去せず、図3
のようにウエーハの絶縁性基板上でn型窒化物半導体層
が連続している状態にした他は、同様にしてレーザ素子
を作製したところ、絶縁性基板を薄板化するとウエーハ
が反り、フェースアップボンディングでヒートシンク等
の支持体と基板が十分良好に接触できず放熱性が劣り、
閾値電流密度4.0kA/cm2で連続発振はしたが、5
時間で素子が切れてしまった。
【0065】
【発明の効果】本発明は、窒化物半導体ウエーハの基板
を薄くしたときに生じる反り及び反りに伴うウェーハの
不規則な位置での割れを防止し、放熱性を良好にし、し
きい値の上昇を抑え、寿命特性が良好となる窒化物半導
体素子及びその製造方法を提供することができる。特に
レーザ素子では連続発振時間をより長くすることができ
る。さらに、基板を薄くしてあるため、容易に窒化物半
導体の劈開面を共振面とすることができる。なお、本発
明ではレーザ素子について説明したが、LED、受光素
子等、窒化物半導体素子を用いた他のデバイスにも適用
可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を示
す概略断面図である。
【図2】窒化物半導体の結晶構造を模式的に示すユニッ
トセル図である。
【図3】本発明の比較例4で用いたレーザ素子の構造を
示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・サファイア基板 2・・・バッファ層 3・・・n型コンタクト層 4・・・クラック防止層 5・・・n型クラッド層 6・・・n型光ガイド層 7・・・活性層 8・・・p型キャップ層 9・・・p型光ガイド層 10・・・p型クラッド層 11・・・p型コンタクト層 20・・・p電極 21・・・pパッド電極 22・・・n電極 23・・・nパッド電極 30・・・絶縁膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さ60μm以下の絶縁性基板上に、少
    なくとも膜厚0.5μm以下のバッファ層と、総膜厚6
    μm以上の窒化物半導体層とからなる窒化物半導体を有
    し、該窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで取り除いて
    なることを特徴とする窒化物半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記総膜厚6μm以上の複数の窒化物半
    導体層のうち、前記バッファ層の上部にn型不純物の含
    有されていない窒化物半導体層とn型不純物の含有され
    ている窒化物半導体層とを合計6μm以上の膜厚で成長
    させてなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半
    導体素子。
  3. 【請求項3】 窒化物半導体素子の製造方法において、
    絶縁性基板上に、少なくとも膜厚0.5μm以下のバッ
    ファ層を介して、総膜厚6μm以上の複数の窒化物半導
    体層を有する窒化物半導体を成長させる工程と、成長さ
    せた窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで取り除く工程
    と、窒化物半導体の一部を絶縁性基板まで除去した後ウ
    エーハの絶縁性基板の厚さを60μm以下に調整する工
    程と、基板の厚さ調整後ウエーハをチップ状に分離する
    工程とを備えることを特徴とする窒化物半導体素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記総膜厚6μm以上の複数の窒化物半
    導体層のうち、前記バッファ層の上部にn型不純物の含
    有されていない窒化物半導体層とn型不純物の含有され
    ている窒化物半導体層とを合計6μm以上の膜厚で成長
    させてなることを特徴とする請求項3に記載の窒化物半
    導体素子の製造方法。
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