JPH10256588A - 赤外線センサ - Google Patents

赤外線センサ

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JPH10256588A
JPH10256588A JP9051221A JP5122197A JPH10256588A JP H10256588 A JPH10256588 A JP H10256588A JP 9051221 A JP9051221 A JP 9051221A JP 5122197 A JP5122197 A JP 5122197A JP H10256588 A JPH10256588 A JP H10256588A
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quantum dot
infrared sensor
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infrared
barrier layer
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JP9051221A
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Inventor
Toshiro Futaki
俊郎 二木
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体の量子準位からの電子放出を利用して
赤外線を検出する赤外線センサに関し、選択則による赤
外線の照射方向依存性が無く、且つ赤外線を効率よく吸
収することが可能な赤外線センサを提供する。 【解決手段】 障壁層14と、障壁層14よりバンドギ
ャップが狭い複数の量子ドットを有する量子ドット層1
6とが交互に積層されてなる積層体18を有し、積層体
18に赤外線を照射した際に量子ドット内の電子又は正
孔の励起によって生じる光電流を検出することにより赤
外線を検出する赤外線センサを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線センサに係
り、特に、半導体の量子準位からの電子放出を利用して
赤外線を検出する赤外線センサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、赤外線撮像デバイスの画素数を増
加する要求が高まっている。かかる目的達成のため、赤
外線撮像デバイスに用いられる赤外線センサには、高感
度であると同時にシリコン基板上の信号読み出し回路と
の整合性がよく、且つ大面積化が可能なことが要求され
ている。
【0003】従来より、赤外線センサの材料としては主
としてHgCdTeが用いられている。HgCdTeを
赤外線センサに用いることにより、現在、256×25
6画素の赤外線撮像デバイスを実現するに至っている
が、HgCdTeの結晶成長技術の制約により、更なる
大面積化が困難となっている。このため、如何にして画
素数を増加して大面積化に対応するかが今後の重要な技
術課題であり、HgCdTeに代わる新しい材料系の検
討が重要な研究テーマとなっている。
【0004】化合物半導体の量子井戸構造を利用した赤
外線センサ(Quantum-Well Infrared Photodetector:
以下、QWIPと呼ぶ)は、HgCdTeを用いた赤外
線センサに代わるものとして研究が活発に行われている
ものの一つである。QWIPとは、量子井戸構造を複数
回繰り返し積層した構造を有しており、赤外線の照射に
よって励起された井戸中の電子の寄与による電気伝導の
変化を利用する光伝導型の赤外線センサである。QWI
Pの最近の発展を記述した論文としては、B. F. Levin
e, J. Appl. Phys. 74 (8), R1 (1993)がある。
【0005】図4に、従来の典型的なQWIPの構造を
示す。GaAs基板50上には、膜厚0.5〜1μm程
度のn−GaAs層(電子濃度:1017〜1018cmー3
程度)よりなるコンタクト層52が形成されている。コ
ンタクト層52上には、膜厚約50nmのアンドープA
0.3Ga0.7As層よりなるバリア層と、膜厚約5nm
のn−GaAs層(電子濃度:1017〜1018cmー3
よりなる井戸層とが50回程度繰り返して積層された多
重量子井戸層54が形成されている。多重量子井戸層5
4上には、膜厚0.5〜1μm程度のn−GaAs層
(電子濃度:1017〜1018cmー3程度)よりなるコン
タクト層56が形成されている。コンタクト層56の表
面には、多重量子井戸層54に対してほぼ垂直に入射し
た赤外光を散乱して斜め方向に照射するグレーティング
層58が設けられている。
【0006】QWIPでは、GaAs基板50側から赤
外線を入射し、これによって励起された多重量子井戸層
54中の電子の寄与によるコンタクト層56、52間の
電気伝導の変化を検出する。QWIPでは、QWIP表
面に垂直入射してくる赤外線は選択則により吸収され
ず、感度がゼロになるという問題がある。そこで、コン
タクト層56の表面にグレーティング層58を設け、垂
直に入射した赤外線をQWIP表面に対して斜めの方向
に散乱し、多重量子井戸層54によって検出が可能とな
るようにしている。
【0007】QWIPの代表的な材料は、上記のような
AlGaAs/GaAs系であるが、AlGaAs/G
aAs系の多重量子井戸構造はHgCdTe結晶に比べ
て大面積化が容易であり、画素数を増大することができ
る。一方、V. Ryzhii等は、一層の量子井戸からなるフ
ォトトランジスタを検討しており、最近では、量子井戸
の代わりに量子ドットを用いるフォトトランジスタ(Qu
antum-Dot Infrared Phototransistor:以下、QDIP
と呼ぶ)を提案している(Semicond. Sci. Technol. 1
1, p.759 (1996))。
【0008】QDIPは、図5のエネルギーバンド図に
示すように、量子ドット層60を障壁層62により挟
み、障壁層62を更にコンタクト層64、66によって
挟んで構成される。歪みヘテロ結晶の成長初期に出現す
る成長島は良好なフォトルミネッセンス特性を示すた
め、このような成長島を量子ドットとして利用すること
ができる。
【0009】電子(図中、●印)が量子ドット層60の
基底準位にある場合には量子ドット層60の準位が高く
なり、結果として障壁層62の高さも高くなる(図中、
実線)。一方、赤外線を吸収して量子ドット60中の電
子が励起されると、量子ドット層60の準位が低くな
り、結果として障壁層62の高さも低くなる(図中、点
線)。この結果、コンタクト層64、66間に所定のバ
イアスを印加しておくと、赤外線の照射によって流れる
電流が変化することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のQWIPを用いた赤外線センサでは、上記選択則の
問題を回避すべくグレーティング層を設ける必要があ
り、構造が複雑にならざるを得なかった。また、量子ド
ットを利用したレーザ等の研究が活発になっているた
め、それらを赤外線センサへ適用することも考えられ
る。また、量子ドットを用いることによって垂直入射の
赤外線をも効率よく吸収することができる。
【0011】しかし、V. Ryzhii等が提案しているフォ
トトランジスタの構造は、量子ドット層60が一層であ
るため、赤外線の吸収は弱く、赤外線センサとしては十
分な特性を得ることはできなかった。本発明の目的は、
選択則による赤外線の照射方向依存性が無く、且つ赤外
線を効率よく吸収することが可能な大面積の赤外線セン
サを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、障壁層と、
前記障壁層よりバンドギャップが狭い複数の量子ドット
を有する量子ドット層とが交互に積層されてなる積層体
を有し、前記積層体に赤外線を照射した際に前記量子ド
ット内の電子又は正孔の励起によって生じる光電流を検
出することにより赤外線を検出することを特徴とする赤
外線センサによって達成される。障壁層と量子ドット層
とが積層されてなる赤外線センサを構成することによ
り、赤外線センサに対して垂直方向に入射する赤外線を
も吸収することができるので、従来の多重量子井戸構造
を用いた赤外線センサのような赤外線の照射方向依存性
のない赤外線センサを構成することができる。これによ
り、グレーティング層のような複雑な構造を設ける必要
はなく、製造工程をも簡略にすることができる。また、
量子ドット層を障壁層を介して複数積層するので、赤外
線の検出感度を大幅に向上することが可能となる。
【0013】また、上記の赤外線センサにおいて、前記
量子ドットの基底準位は、赤外線を照射しない状態で電
子又は正孔によって占められていることが望ましい。こ
うすることにより、赤外線照射によって量子ドットの基
底準位から励起した電子又は正孔を光電流として利用す
る赤外線センサを構成することができる。また、上記の
赤外線センサにおいて、基底準位を占める前記電子又は
正孔は、前記障壁層より供給されることが望ましい。障
壁層に所定のドーピングを行えば、障壁層から電子又は
正孔を量子ドットに落ち込ませることができるので、量
子ドットの基底準位を電子又は正孔により占めることが
できる。なお、量子ドット層に直接ドーピングを行うこ
とによっても量子ドットの基底準位を電子又は正孔で占
めることができる。
【0014】また、上記の赤外線センサにおいて、前記
量子ドットの基底準位から前記障壁層に電子又は正孔を
励起するのに必要なエネルギーが、検出しようとする赤
外線の波長をλ、プランク定数をh、光速をcとして、
hc/λにほぼ等しいことが望ましい。検出しようとす
る赤外線の波長とエネルギーとが上記の関係を満たせ
ば、量子ドットの基底準位から障壁層に励起した電子又
は正孔を光電流として用いることができる。これによ
り、赤外線センサとして機能することができる。
【0015】或いは、上記の赤外線センサにおいて、前
記量子ドットの基底準位から前記量子ドットの励起準位
に電子又は正孔を励起するのに必要なエネルギーが、検
出しようとする赤外線の波長をλ、プランク定数をh、
光速をcとして、hc/λにほぼ等しいことが望まし
い。検出しようとする赤外線の波長とエネルギーとが上
記の関係を満たせば、量子ドットの基底準位から励起準
位に励起した電子又は正孔を光電流として用いることが
できる。これにより、赤外線センサとして機能すること
ができる。励起準位からの熱励起等によって励起した電
子又は正孔が自由キャリアとして寄与しうる場合には必
ずしも障壁層まで励起する必要はなく、量子ドットの励
起準位までの励起によっても赤外線センサを構成するこ
とができる。
【0016】また、上記の赤外線センサにおいて、前記
量子ドット層の前記量子ドットは、InAs、InGa
As、InAlAs、InP、InGaP、InSb、
GaSb又はInGaSbで形成され、前記障壁層は、
GaAs又はAlGaAsで形成されていることが望ま
しい。或いは、上記の赤外線センサにおいて、前記量子
ドット層の前記量子ドットは、SiGe又はGeで形成
され、前記障壁層は、Siで形成されていることが望ま
しい。
【0017】
【発明の実施の形態】始めに、本発明の原理について図
1を用いて説明する。図1は本発明の原理を説明するエ
ネルギーバンド図である。本発明に係る赤外線センサ
は、障壁層14と量子ドット層16とを交互に積層して
構成される(図1)。ここに、本明細書における量子ド
ット層16とは、障壁層14間に形成された複数の量子
ドットを有する層をいうものとする。量子ドット層16
は複数の量子ドットが設けられた層であり、実際には量
子ドットが形成されていない領域が存在する。したがっ
て、障壁層14と量子ドット層16とからなる積層体の
一断面におけるエネルギーバンド図を描いた場合、量子
ドットが存在しない場所も存在しうるが、本明細書で
は、便宜上、すべての量子ドット層16において量子ド
ットを通るエネルギーバンド図を用いることとする。
【0018】電圧を印加せず、且つ赤外線を照射しない
場合、量子ドット層16の基底準位は電子(図中、●
印)が占めている。障壁層14に浅い準位を形成する不
純物をドーピングすることにより、熱励起した電子を量
子ドットに落ち込ませておくことができる(図1
(a))。障壁層14と量子ドット層16とを積層して
なる積層体の両端に電圧を印加すると、印加電圧に応じ
た電位勾配が生じ、バンドが傾斜する。このとき、この
積層体に赤外線を照射すると、量子ドットにおける赤外
線の吸収によって基底準位を占めていた電子が励起され
る。励起された電子が電位障壁を越えて自由キャリアに
なると、電気伝導に寄与することとなり、いわゆる光電
流となる。このように発生した光電流を検出することに
より、この積層構造を赤外線センサとして用いることが
できる(図1(b))。
【0019】量子ドットは、赤外線センサに対して垂直
方向に入射する赤外線をも吸収することが可能であるた
め、従来の多重量子井戸構造を用いた赤外線センサのよ
うな赤外線の照射方向依存性のない赤外線センサを構成
することができる。これにより、グレーティング層のよ
うな複雑な構造を設ける必要はなく、製造工程をも簡略
にすることができる。また、量子ドット層を複数層設け
るので、赤外線の検出感度を大幅に向上することが可能
となる。
【0020】次に、本発明の一実施形態による赤外線セ
ンサについて図2及び図3を用いて説明する。図2は本
実施形態による赤外線センサの構造を示す概略断面図、
図3は本実施形態による赤外線センサの構造を示すエネ
ルギーバンド図である。半絶縁性GaAs基板10上に
は、n+−GaAs層よりなるオーミックコンタクト層
12(電子濃度:1×1018cm-3)が形成されてい
る。オーミックコンタクト層12上には、n-−GaA
s層よりなる障壁層14と、InAsよりなる量子ドッ
ト層16とが交互に繰り返し積層されている。例えば、
15層の量子ドット層16が障壁層14の間に形成され
るように、16層の障壁層14と15層の量子ドット層
16とにより積層体18を構成することができる。障壁
層14及び量子ドット層16よりなる積層体18上に
は、n+−GaAs層よりなるオーミックコンタクト層
20(電子濃度:1×1018cm-3)が形成されてい
る。オーミックコンタクト層12、20上には、AuG
e/Auよりなるオーミック電極22、24がそれぞれ
設けられている(図2)。
【0021】なお、図2に示す赤外線センサは、GaA
s基板10上に積層体18を一つ設けた基本構造を示し
ているが、複数の画素を有する赤外線センサを構成する
場合には、オーミックコンタクト層12上に、画素数に
応じた複数の積層体18を設ければよい。ここで、量子
ドット層16におけるInAsドットの密度は1×10
11cm-2であり、InAsドットの形状は直径約20n
m、高さ約5nmの円盤型である。このようなInAs
量子ドット層は、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分
子線エピタキシー)結晶成長法により形成することがで
きる。例えば、成長温度を510℃でn-−GaAs層
よりなる障壁層14上にInAsを約2原子層成長する
と、結晶の歪みを緩和するために上記のようなInAs
ドットが形成される。歪みヘテロ結晶の成長初期に出現
する成長島は良好なフォトルミネッセンス特性を示すた
め、このような成長島を量子ドットとして利用すること
ができる。
【0022】n-−GaAs層よりなる障壁層14に
は、例えば3×1016cm-3の密度でSi(ドナー不純
物)をドーピングしておき、赤外線が照射されていない
状態でInAsドットの基底準位が電子で占められるよ
うにする。障壁層14中の電子は、熱励起によって容易
に量子ドットの基底準位に落ち込むことができる(図
3)。
【0023】なお、障壁層14と量子ドット層16との
繰り返し回数が多いほどに赤外線の吸収率が増加するた
め、より感度の高い赤外線センサを構成するには繰り返
し回数を多くすることが望ましい。一方、格子不整合の
ある材料を繰り返し積層するので、積層回数を増加する
ほどに結晶性が劣化し、ひいては赤外線センサの特性を
も劣化することがある。したがって、繰り返し回数は、
赤外線センサに要求される特性と、結晶成長技術の進歩
に応じて適宜設定することが好ましい。
【0024】現状の結晶成長技術では、良好な結晶性を
維持するためには、障壁層14と量子ドット層16の繰
り返し周期を約30nmとして、10〜20回の繰り返
しが可能である。現状における結晶成長技術において
も、従来のHgCdTe結晶よりも容易に大面積化する
ことが可能である。このように形成した積層体18で
は、InAsドットの基底準位からn-−GaAs障壁
層に電子を励起するのに必要なエネルギーは約100〜
200meVであり、波長10μm近傍の赤外線に対し
て感度をもつことになる。
【0025】次に、本実施形態による赤外線センサの動
作について説明する。まず、オーミック電極22、24
間に所定の電圧を印加する。図2に示す赤外線センサで
は、例えば、オーミック電極22を接地し、オーミック
電極24に負の電圧を印加する。これにより、印加電圧
に応じた電位勾配が生じ、バンドが傾斜する。図1
(b)のエネルギーバンド図でいえば、図面左側がオー
ミックコンタクト層20側に、右側がオーミックコンタ
クト層12側に相当することになる。
【0026】次いで、GaAs基板10側より赤外線を
入射する。赤外線は垂直方向に入射してもよいし、所定
の角度をもって入射してもよい。いずれによっても良好
な感度を得ることができる。入射した赤外線はInAs
ドットにより吸収され、基底準位の電子が励起されて伝
導電子として寄与することになる。こうして、このよう
に発生した光電流成分を検出することにより、赤外線の
照射量を算出することができる。
【0027】このように、本実施形態によれば、障壁層
と量子ドット層とが積層されてなる赤外線センサを構成
することにより、赤外線センサに対して垂直方向に入射
する赤外線をも吸収することができるので、従来の多重
量子井戸構造を用いた赤外線センサのような赤外線の照
射方向依存性のない赤外線センサを構成することができ
る。これにより、グレーティング層のような複雑な構造
を設ける必要はなく、製造工程をも簡略にすることがで
きる。また、量子ドット層を障壁層を介して複数積層す
るので、赤外線の検出感度を大幅に向上することが可能
となる。
【0028】本発明は、上記実施形態に限らず種々の変
形が可能である。上記実施形態では、量子ドットの基底
準位から障壁層の伝導帯までの励起を利用しているが、
光電流に寄与する電子は、必ずしも障壁層の伝導帯まで
励起する必要はない。例えば、量子ドットの基底準位か
ら量子ドットの励起準位へ遷移した電子を利用すること
もできる。励起準位の電子が、熱励起により、又はトン
ネリングによって障壁層の伝導帯へ速やかに遷移しうる
状態であれば、このような励起準位の電子が光電流に寄
与することができる。
【0029】すなわち、量子ドットの基底準位から障壁
層の伝導帯に励起するに必要なエネルギー又は量子ドッ
トの基底準位から励起準位に励起するに必要なエネルギ
ーが、赤外線の波長をλ、プランク定数をh、光速をc
として、hc/λの関係にほぼ等しければ、励起した電
子が光電流としてに寄与しうる。また、上記実施形態で
はn型半導体における電子の励起を利用しているが、p
型半導体における正孔の励起を利用することもできる。
【0030】また、上記実施形態では、障壁層に一様に
ドーピングした構造を示したが、量子ドットにキャリア
を落ち込ませることができればこのようなドーピング方
法に限られるものではない。例えば、障壁層に変調ドー
ピングした構造や量子ドット層のみにドーピングした構
造を適用することもできる。これらの構造は、結晶成長
条件を変えることにより容易に形成することができる。
【0031】また、上記実施形態では、量子ドット層と
してInAs層を、障壁層としてGaAs層を用いた
が、他の材料であっても赤外線センサを構成することが
できる。III−V族系化合物半導体であれば、量子ドッ
トとして例えばInAs、InGaAs、InAlA
s、InP、InGaP、InSb、GaSb又はIn
GaSbを、障壁層として例えばGaAs又はAlGa
Asを用いた任意の組み合わせを適用することができ
る。
【0032】また、IV族系の半導体であれば、量子ドッ
ト層として例えばGe又はSiGeを、障壁層として例
えばSiを用いた任意の組み合わせを適用することがで
きる。IV族系半導体を用いれば、読み出し回路を有する
シリコン基板に赤外線センサを張り合わせることなく形
成できる可能性があり、通常のQWIPに必要とされる
赤外線センサと読み出し回路を有するシリコン基板とを
張り合わせる工程を省略することができる。これによ
り、製造コストをも低減することができる。
【0033】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、障壁層
と、障壁層よりバンドギャップが狭い複数の量子ドット
を有する量子ドット層とが交互に積層されてなる積層体
を有し、積層体に赤外線を照射した際に量子ドット内の
電子又は正孔の励起によって生じる光電流を検出するこ
とにより赤外線を検出する赤外線センサを構成するの
で、赤外線センサに対して垂直方向に入射する赤外線を
も吸収することができる。これにより、従来の多重量子
井戸構造を用いた赤外線センサのような赤外線の照射方
向依存性のない赤外線センサを構成することができる。
また、グレーティング層のような複雑な構造を設ける必
要はなく、製造工程をも簡略にすることができる。ま
た、量子ドット層を障壁層を介して複数積層するので、
赤外線の検出感度を大幅に向上することが可能となる。
【0034】また、量子ドットの基底準位が、赤外線を
照射しない状態で電子又は正孔によって占められている
ので、赤外線照射によって励起した電子又は正孔を光電
流として利用する赤外線センサを構成することができ
る。また、上記の赤外線センサにおいて、障壁層に所定
のドーピングを行えば、基底準位を占める電子又は正孔
を障壁層から供給することができる。
【0035】また、量子ドットの基底準位から障壁層に
電子又は正孔を励起するのに必要なエネルギーが、検出
しようとする赤外線の波長をλ、プランク定数をh、光
速をcとして、hc/λにほぼ等しいくなるように赤外
線センサを構成すれば、量子ドットの基底準位から障壁
層に励起した電子又は正孔を光電流として用いることが
できる。これにより、赤外線センサとして機能すること
ができる。
【0036】また、量子ドットの基底準位から量子ドッ
トの励起準位に電子又は正孔を励起するのに必要なエネ
ルギーが、検出しようとする赤外線の波長をλ、プラン
ク定数をh、光速をcとして、hc/λにほぼ等しくな
るように赤外線センサを構成すれば、量子ドットの基底
準位から励起準位に励起した電子又は正孔を光電流とし
て用いることができる。これにより、赤外線センサとし
て機能することができる。
【0037】また、上記の赤外線センサは、量子ドット
をInAs、InGaAs、InAlAs、InP、I
nGaP、InSb、GaSb又はInGaSbで形成
し、障壁層をGaAs又はAlGaAsで形成すること
ができる。また、上記の赤外線センサは、量子ドットを
SiGe又はGe層で形成し、障壁層をSiで形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するエネルギーバンド図で
ある。
【図2】本発明の一実施形態による赤外線センサの構造
を示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による赤外線センサの構造
を示すエネルギーバンド図である。
【図4】従来の赤外線センサの構造を示す概略断面図で
ある。
【図5】従来の他の赤外線センサの構造を示すエネルギ
ーバンド図である。
【符号の説明】
10…GaAs基板 12…オーミックコンタクト層 14…障壁層 16…量子ドット層 18…積層体 20…オーミックコンタクト層 22…オーミック電極 24…オーミック電極 50…GaAs基板 52…コンタクト層 54…多重量子井戸層 56…コンタクト層 58…グレーティング層 60…量子ドット層 62…障壁層 64…コンタクト層 66…コンタクト層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 障壁層と、前記障壁層よりバンドギャッ
    プが狭い複数の量子ドットを有する量子ドット層とが交
    互に積層されてなる積層体を有し、 前記積層体に赤外線を照射した際に前記量子ドット内の
    電子又は正孔の励起によって生じる光電流を検出するこ
    とにより赤外線を検出することを特徴とする赤外線セン
    サ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の赤外線センサにおいて、 前記量子ドットの基底準位は、赤外線を照射しない状態
    で電子又は正孔によって占められていることを特徴とす
    る赤外線センサ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の赤外線センサにおいて、 基底準位を占める前記電子又は正孔は、前記障壁層より
    供給されることを特徴とする赤外線センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    赤外線センサにおいて、 前記量子ドットの基底準位から前記障壁層に電子又は正
    孔を励起するのに必要なエネルギーが、検出しようとす
    る赤外線の波長をλ、プランク定数をh、光速をcとし
    て、hc/λにほぼ等しいことを特徴とする赤外線セン
    サ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    赤外線センサにおいて、 前記量子ドットの基底準位から前記量子ドットの励起準
    位に電子又は正孔を励起するのに必要なエネルギーが、
    検出しようとする赤外線の波長をλ、プランク定数を
    h、光速をcとして、hc/λにほぼ等しいことを特徴
    とする赤外線センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    赤外線センサにおいて、 前記量子ドット層の前記量子ドットは、InAs、In
    GaAs、InAlAs、InP、InGaP、InS
    b、GaSb又はInGaSbで形成され、 前記障壁層は、GaAs又はAlGaAsで形成されて
    いることを特徴とする赤外線センサ。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    赤外線センサにおいて、 前記量子ドット層の前記量子ドットは、SiGe又はG
    eで形成され、 前記障壁層は、Siで形成されていることを特徴とする
    赤外線センサ。
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