JPH10256557A - 薄膜トランジスタおよび液晶表示装置 - Google Patents

薄膜トランジスタおよび液晶表示装置

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Publication number
JPH10256557A
JPH10256557A JP6146497A JP6146497A JPH10256557A JP H10256557 A JPH10256557 A JP H10256557A JP 6146497 A JP6146497 A JP 6146497A JP 6146497 A JP6146497 A JP 6146497A JP H10256557 A JPH10256557 A JP H10256557A
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JP
Japan
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region
impurity
insulating film
semiconductor film
film
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP6146497A
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English (en)
Inventor
Yasumasa Goto
康正 後藤
Yoshiki Ishizuka
芳樹 石塚
Yasuto Kawahisa
慶人 川久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 600℃以下の低温で活性化が可能で、低リ
ーク電流で高いオン電流を有する特性の優れた薄膜トラ
ンジスタを提供する。 【解決手段】 チャネル領域13aと、低不純物濃度領
域であるLDD領域13bと、高不純物濃度領域である
ソース領域13s、ドレイン13d領域を有する非単結
晶に結晶質シリコンからなる半導体膜13と、この半導
体膜13の各領域上で膜厚が近似的に等しくなるように
形成された絶縁性膜を有するLDD型薄膜トランジスタ
において、ソース領域13s、ドレイン13d領域中の
不純物濃度の最も高い場所が、LDD領域13b中の不
純物濃度の最も高い場所より、絶縁性基板11から離れ
た位置にあり、ソース領域13s、ドレイン13d領域
中の不純物濃度の最も高い場所は、絶縁性膜14内にあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非単結晶の結晶質シ
リコン(poly−Si)をそのチャネル部に用いた薄
膜トランジスタに関する。また本発明は非単結晶の結晶
質シリコンをスイッチング素子に用いた液晶表示装置に
関し、特に画素部、駆動部ともに絶縁性基板上に形成し
た液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜トランジスタを、キャリア走行層
(活性層)の構成材料から分類すると、非晶質シリコン
(アモルファスシリコン:a−Si)を用いたものと非
単結晶の結晶質シリコン(多結晶(ポリ)シリコン:p
−Si、または微結晶シリコン:μc−Si)を用いた
ものとに分類することができる。
【0003】非単結晶の結晶質シリコンからなる半導体
膜は、アモルファスシリコンからなる半導体膜と比較し
てキャリアの移動度が10倍から100倍程度大きいと
いう特徴があり、スイッチング素子の構成材料として非
常に優れた特性を有する。
【0004】また非単結晶の結晶質シリコンを活性層に
用いた薄膜トランジスタは高速動作が可能なことから、
近年では、各種論理回路(例えばドミノ論理、CMOS
トランスミッションゲート回路)やこれらを用いたマル
チプレクサ、EPROM、EEPROM、CCD、RA
M、さらに液晶表示装置の駆動回路などを構成するスイ
ッチング素子としても注目されている。液晶表示装置を
はじめとする平面型表示装置は、表示部の薄型化か可能
で、消費電力が小さいことから、事務機器やコンピュー
タ等の表示装置あるいは家電製品の表示装置として幅広
く用いられている。
【0005】特に、液晶表示装置においては、画素部
(画素アレイ)と、走査線信号回路や信号線駆動回路な
どの周辺駆動回路とを同一の基板上に形成する、いわゆ
る画素部・駆動回路部一体型の液晶表示装置の研究・開
発も精力的に行われている。
【0006】このようにp−SiΤFΤは優れた特性を
有するが、このp−SiΤFΤにより、例えば液晶表示
装置のアレイ基板などの薄膜トランジスタアレイなどを
作製するには解決しなければならない問題点が残されて
いる。
【0007】poly−SiTFTは、a−SiTFT
に比べ移動度は高いが、他方リーク電流(TFTがOF
Fのとき流れてしまう電流)がa−SiTFTに比べ高
いという問題を有する。このリーク電流は駆動回路部を
構成する場合には特に問題にならないが、画素スイッチ
ングに用いた場合に画質劣化の原因となる。
【0008】そのため、画素に用いるpoly−SiT
FTには、構造の工夫をさまざまにこらしたものがあ
る。その例としては、複数のゲート電極を備えたマルチ
ゲートTFT、あるいは微量に不純物をドープしたドレ
イン領域をもつLDD(Lightly Doped
Drain)構造のTFT、あるいは部分的に不純物が
注入されていないドレイン領域をもつオフセット構造の
TFT等があり、LCDの開口率の高さ、オン電流の高
さという点でLDD構造のTFTが比較的優れている。
LDDを形成する場合、通常はゲート絶縁膜等の保護膜
を介してpoly−Si層からなる活性層へ例えばB
(ボロン)、P(リン)などの不純物を注入する。この
とき、保護膜の微妙な膜厚分布のために、活性層中に注
入される不純物濃度に分布が生じるという問題がある。
【0009】特にLDD領域に導入される不純物濃度は
TFTの特性に大きく影響するため(図12参照)、不
純物の注入量の制御を高精度で行う必要がある。そのた
めには、活性層上の絶縁膜膜厚が分布をもっていても活
性層に注入される不純物量の分布が小さくなるような大
きな加速電圧で不純物を注入することが必要となる。
【0010】一方、poly−SiTFTのもう一つの
問題は製造プロセスでの温度条件の制約である。生産性
を向上するためには、安価なガラス基板が使える600
℃以下の低温で高不純物濃度領域を形成したいという要
求が大きい。さらにプラスティックなどの樹脂材料から
なる基板を用いることができればさらに生産性を向上す
ることができる。
【0011】例えば、透過型液晶表示装置をポリシリコ
ン薄膜トランジスタにより構成しようとすると、透明基
板上ヘポリシリコン薄膜トランジスタを形成することが
必要になる。このような透明基板としては、例えば石英
基板やガラス基板(例えば、Corning社製の17
37や7059等がその代表例)などがある。石英基板
を用いる場合には、例えばプロセスの到達温度が800
℃程度の高温であっても特に問題はなく、プロセス温度
の制約を受けないという利点がある。しかしながら石英
基板のコストは高く、この石英基板コストが液晶表示装
置のコストにも大きく影響してしまう。
【0012】通常、同種のイオンを注入する場合には同
じ加速電圧で注入することが一般的である。しかしなが
らLDD領域を形成する程度の加速電圧で高不純物注入
領域を形成しようとすると、活性層の最下層まで結晶が
破壊されてしまうために、600℃程度の熱アニールで
は結晶が回復されにくいという問題がある。また、高不
純物濃度領域を低温で活性化するために、ドーズ量を減
少させる方法がとられるが、その場合にはチャネル領域
と電気的に接続されているソース・ドレイン(領域S/
D)の抵抗が高くなることがあり、高いオン電流をとる
ことが難しいという問題があった。
【0013】このように従来の薄膜トランジスタでは、
活性層中に不純物を注入する場合、絶縁膜等の膜厚分布
により活性層中に注入される不純物量に分布を生じてし
まうという問題があった。そして、このような分布を小
さくするために比較的高い加速電圧で不純物を注入しよ
うとすると、活性層の最下層まで結晶が破壊されてしま
うために、600℃程度の熱アニールでは結晶が回復さ
れにくいという問題がある。したがって、約600℃以
下の低温で活性化を行った場合、シート抵抗が2koh
m/sq.以下(但し、poly−Si半導体膜の膜厚
50nmの場合)にできるだけの不純物を注入し、かつ
ソース・ドレイン領域を十分に活性化できないという問
題があった。また例えばVds=が約10V程度のとき
に1×10-10 A以上と、リーク電流が大きくなるとい
う問題があった。さらに、薄膜トランジスタのオン電流
が小さくなるという問題があった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解決するためになされたものである。すなわち本
発明はより低い温度で半導体層に注入された不純物を活
性化することができる薄膜トランジスタを提供すること
を目的とする。また本発明はリーク電流が小さく、オン
電流の大きな、特性の優れた薄膜トランジスタを提供す
ることを目的とする。また本発明は、例えばガラス基板
やプラスティック基板など、プロセス温度に制限のある
基板上に形成することができる薄膜トランジスタを提供
することを目的とする。さらに、不良品率が低い、生産
性の高い構造を有する薄膜トランジスタを提供すること
を目的とする。
【0015】また本発明は表示品質の優れ、生産性の高
い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明は以下のような構成を備えている。
【0017】本発明の薄膜トランジスタは、チャネル領
域と、このチャネル領域を挟むように形成され第1の平
均濃度で不純物が導入された第1の領域と、前記第1の
領域の外側から前記チャネル領域を挟むように形成され
前記第1の平均濃度よりも大きな第2の平均濃度で前記
不純物が導入された第2の領域とを有する非単結晶の結
晶質シリコンからなる半導体膜と、前記半導体膜上に形
成され、前記半導体膜の前記第1の領域および前記第2
の領域に対応する領域に前記不純物が導入された絶縁性
膜と、前記絶縁性膜を介して前記チャネル領域と対向し
て形成されたゲート電極とを具備し、前記第2の領域の
前記半導体膜と前記絶縁性膜との界面の前記絶縁性膜側
に導入された前記不純物の濃度は、前記界面の前記半導
体膜側に導入された不純物の濃度よりも大きいことを特
徴とする。
【0018】例えば、前記絶縁性膜の第2の領域に導入
された前記不純物の濃度は、前記絶縁性膜の膜厚をdと
したとき前記絶縁性膜の前記ゲート電極側の表面から
0.85dより浅い位置にピークを有するように前記ゲ
ート絶縁膜の膜厚方向に分布したものがある。
【0019】非単結晶の結晶質シリコン膜をチャネル領
域に有し、高不純物濃度領域上の絶縁膜膜厚と低不純物
濃度領域上の絶縁膜膜厚が近似的に等しいLDD構造を
有する薄膜トランジスタにおいて、高濃度不純物注入領
域中の該不純物濃度の最も高い場所が、低濃度不純物注
入領域中の該不純物濃度の最も高い場所より絶縁性基板
から離れた位置にあることを特徴とする。
【0020】また、非単結晶の結晶質シリコン膜をチャ
ネル領域に有し、チャネル領域からソース・ドレイン領
域にわたって絶縁性膜が形成された薄膜トランジスタに
おいて、前記ソース・ドレイン領域に前記絶縁性膜を介
して不純物を注入する際、この不純物の濃度プロファイ
ルが前記絶縁性膜中にピークをもち、かつそのピーク位
置が前記絶縁性膜の表面から85%以内にあることを特
徴とする。
【0021】また、前記非単結晶の結晶質シリコンから
なる半導体膜の膜厚は約250nm〜約800nm程度
に設定することが好適である。半導体膜の膜厚が約80
0nmよりも大きいとリーク電流が大きくなり、例えば
液晶表示装置の画素TFTに適用した場合には表示品質
に悪影響を及ぼすことになる。半導体膜の膜厚を約80
0nm以下に抑制することにより、リーク電流を十分小
さくし、液晶表示装置の画素領域に適用した場合でも画
素データの保持特性が良好で、表示品質を向上すること
ができる。
【0022】このような薄膜トランジスタを形成する方
法の例として、前記絶縁性膜を介して不純物を注入する
ときに、高濃度の不純物注入するときの加速電圧を、低
濃度の不純物を注入するときの加速電圧に比べて低く設
定することにより、上述のような薄膜トランジスタを形
成することができる。
【0023】本発明の液晶表示装置は、少なくとも表面
が絶縁性を呈する第1の絶縁性基板上にマトリクス状に
配列された画素電極と、前記第1の絶縁性基板上に形成
され、チャネル領域と、このチャネル領域を挟むように
形成され第1の平均濃度で不純物が導入された第1の領
域と、前記第1の領域の外側から前記チャネル領域を挟
むように形成され第1の平均濃度よりも大きな第2の平
均濃度で前記不純物が導入された第2の領域とを有する
非単結晶の結晶質シリコンからなる半導体膜と、前記半
導体膜上に形成され、前記半導体膜の前記第1の領域お
よび前記第2の領域に対応する領域に前記不純物が導入
された絶縁性膜と、前記絶縁性膜を介して前記チャネル
領域と対向して形成されたゲート電極と、前記半導体膜
の前記第2の領域の一方とオーミック接合し、前記画素
電極と接続したソース電極と、前記半導体膜の前記第2
の領域の他方とオーミック接合したドレイン電極とを具
備し、前記第2の領域の前記半導体膜と前記絶縁性膜と
の界面の前記絶縁性膜側に導入された前記不純物の濃度
が、前記界面の前記半導体膜側に導入された不純物の濃
度よりも大きな薄膜トランジスタと、前記第1の絶縁性
基板上に前記画素電極の行方向に沿って形成され、前記
薄膜トランジスタの前記ゲート電極に走査信号を供給す
る走査線と、前記第1の絶縁性基板上に前記画素電極の
列方向に沿って形成され、前記薄膜トランジスタの前記
ドレイン電極に表示信号を供給する信号線と、透明導電
性膜からなる対向電極が形成され、前記第1の絶縁性基
板との間に液晶層を挟持する第2の絶縁性基板とを具備
したことを特徴とする。
【0024】すなわち、本発明の薄膜トランジスタはチ
ャネル領域を挟むように形成されたLDD領域(第1の
領域)、ソース・ドレイン領域(第2の領域)に、シリ
コン酸化膜、シリコン窒化膜などの絶縁性膜を介して、
例えばイオンドーピング法、イオン注入法などにより導
入された不純物の膜厚方向の濃度プロファイルを制御し
た薄膜トランジスタである。ここで膜厚方向とは非単結
晶の結晶質シリコンからなる半導体膜の表面の法線方向
と平行な方向のプロファイルのことである。
【0025】本発明の薄膜トランジスタはLDD構造の
薄膜トランジスタであるから、半導体膜のLDD領域
(第1の領域)に導入された不純物の平均濃度は、ソー
ス・ドレイン領域(第2の領域)に導入された不純物の
平均濃度よりも低い濃度である。 そして本発明の薄膜
トランジスタでは、LDD領域に導入された不純物の膜
厚方向の濃度プロファイルと、ソース・ドレイン領域に
導入された不純物の膜厚方向の濃度プロファイルとが異
なっている。とくにソース・ドレイン領域に導入された
不純物の膜厚方向のプロファイルはそのピークが半導体
膜上に形成された絶縁性膜内にある。したがって、ソー
ス・ドレイン領域における半導体膜と絶縁性膜の界面の
絶縁性膜側の不純物濃度は、界面の半導体膜側の不純物
濃度よりも大きくなっている。例えば、絶縁性膜のソー
ス・ドレイン領域に導入された不純物の濃度は、絶縁性
膜の膜厚をdとしたとき絶縁性膜の、半導体膜と反対側
の表面から0.85dより浅い位置にピークを有するよ
うなプロファイルを持たせるようにすればよい。
【0026】一方、半導体膜の第1の領域であるLDD
領域に導入された不純物の膜厚方向の濃度プロファイル
は、ソース・ドレインの膜厚方向の濃度プロファイルよ
りもなだらかであり、例えばそのピークは半導体膜内に
存在していてもよい。 このようなLDD領域とソース
・ドレイン領域とに導入される不純物の膜厚方向の濃度
プロファイルの制御は、例えばイオンをドーピングする
際の加速電圧を制御することにより行うことができる。
具体的には例えば、絶縁性膜を介してソース・ドレイン
領域に不純物をドーピングするときの加速電圧を、絶縁
性膜を介してLDD領域に不純物をドーピングするとき
の加速電圧よりも小さく抑制することにより、上述のよ
うな構造を実現することができる。
【0027】低濃度不純物領域であるLDD領域を形成
する場合、不純物の濃度が低すぎるとオン電流が減少
し、濃度が高すぎるとリーク電流が増加する。したがっ
て、絶縁性膜の膜厚の微妙な不均一などかかわらず注入
濃度を一定に保つために、絶縁膜等の膜厚分布に対する
プロセスマージンが広い加速電圧を用いることが好適で
ある。またソース・ドレイン領域では、半導体膜(活性
層)の最下層部までシリコン結晶が破壊されないよう
に、LDD領域に注入するときの加速電圧より低い加速
電圧で注入することが好適である。このような方法によ
り、上述のような低リーク電流かつ高オン電流の薄膜ト
ランジスタを形成することができる。
【0028】まず、LDD領域の注入について述べれ
ば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、さらにこれらの
積層膜などの絶縁性膜等の膜厚分布に対する活性層中に
注入される不純物のプロセスマージンを大きくとる必要
がある。これは、LDD領域に導入される不純物濃度が
薄膜トランジスタの特性に大きく影響するため、LDD
領域に導入される不純物濃度を高精度かつ均一に制御す
る必要があるためである。図12は薄膜トランジスタの
ゲート電圧Vg [V]−ソース・ドレイン電流Ids
[A]特性のLDD領域の不純物濃度に対する依存性を
示すグラフである。ここでは(チャネル幅W/チャネル
長L)=(7/10)、Vds=10[V]のときについ
て示している。図12から分かるように、不純物濃度の
変化によって、薄膜トランジスタの特性が変動してしま
うことがわかる。
【0029】図1は半導体膜厚50nmのときの絶縁性
膜の膜厚と、(poly−Si半導体膜中のP濃度)/
(ドーズ量)の関係を示すグラフである。この際、絶縁
性膜膜厚を80nmと想定すれば、加速電圧を80kV
に設定したときに最も安定したドーズ量を得ることがで
きることがわかる。
【0030】一方、ソース・ドレイン領域のように多量
のP、PHx等の不純物を注入する場合には別の注意が
必要である。例えばイオンドーピング法により加速電圧
80kVで、3×1015cm-2(正味のP量は1×10
15cm-2)だけ不純物を注入する場合、絶縁性膜膜80
nm、半導体膜厚50nmとしてシミュレーションによ
り算出される半導体膜最下層部のヴェーカンシィ濃度は
7×1021cm-3程度である。ところが、絶縁性膜の膜
厚が60nmに減少すると、シミュレーションにより算
出される半導体膜最下層部のヴェーカンシィ濃度は1×
1022cm-3を越えてしまう。
【0031】このヴェーカンシィ濃度は結晶の破壊の程
度を示す指標であり、その値が大きくなると結晶がより
破壊されてしまうと考えることができる。この場合、絶
縁性膜の膜厚が60nmになると、例えば約600℃、
3時間程度の活性化では結晶回復が行われず、シート抵
抗が10kΩ/sq.を越えてしまう。そこで本発明の
薄膜トランジスタでは、ソース・ドレイン領域に不純物
を注入するときの加速電圧を抑制することにより、半導
体膜の最下層部に結晶回復の際の核を残しておくため、
ヴェーカンシィ濃度を1×1022cm-3未満になるよう
に不純物を導入する。
【0032】例えば、P(リン)を加速電圧を65kV
に設定して注入することにより、シート抵抗を3koh
m/sq以下に抑制することができる。すなわち、高濃
度の不純物を注入する加速電圧を、低濃度の不純物を注
入する加速電圧に比べて小さくすることにより、LDD
領域の注入濃度の面内分布(半導体膜の2次元方向の分
布)を小さくしてリーク電流を低減しかつ、例えば約6
00℃以下の低温で高不純物濃度領域を活性化すること
ができる。
【0033】図2は、上述のような不純物を注入する際
の加速電圧の高低によって、半導体膜のソース・ドレイ
ン領域の活性化ができる場合とできない場合とを模式的
に示す図である。図2(a)は、半導体膜の厚さ、ゲー
ト絶縁膜の阻止能に対して加速電圧が大きすぎて半導体
膜の結晶が下層部まで破壊され、活性化ができない場合
を示しており、図2(b)は下層部に結晶が残ってお
り、活性化ができる場合を示している。
【0034】なお、本発明の薄膜トランジスタは、コプ
ラナ型、逆スタガ型、正スタガ型など、必要に応じてど
のような構成の薄膜トランジスタに適用してもよい。例
えば逆スタガ型の薄膜トランジスタに適用する場合、半
導体膜とオーミック接合のためのコンタクト層と間に、
シリコン酸化膜あるいはシリコン窒化膜などの絶縁性膜
を形成するようにすればよい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0036】(実施形態1)図3は本発明の薄膜トラン
ジスタの構造の例を概略的に示す断面図である。
【0037】この薄膜トランジスタはLDD構造を有す
るコプラナ型であり、非単結晶の結晶質シリコンからな
る半導体膜を活性層として備えている。透明絶緑性基板
11上にはシリコン窒化膜からなるバッファ層12が形
成されており、このバッファ層12上に非単結晶の結晶
質シリコンからなる厚さ50nmの半導体膜13が形成
されている。
【0038】この半導体膜13はチャネル領域13a
と、チャネル領域を挟むように形成された第1の領域で
あるLDD領域(Lightly Doped Dra
ne領域)13bと、LDD領域13bの外側からチャ
ネル領域13aを挟むように形成されたソース領域13
s、ドレイン領域13dを備えている。
【0039】この半導体膜13はシリコン酸化膜からな
る厚さ約400nmのゲート絶縁膜14により覆われて
いる。そして、ゲート絶縁膜14上のチャネル領域13
aに対応する領域にはゲート電極15が形成されてい
る。このゲート電極15により形成される電界により半
導体膜13にキャリアが誘起されて、ソース・ドレイン
領域が導通状態になる。
【0040】また、ゲート電極15を覆うようにゲート
絶縁膜14上には例えばSiOx 膜からなる層間絶縁膜
16が形成されている。層間絶縁膜16、ゲート絶縁膜
14のソース領域13s、ドレイン領域13dにはコン
タクトホールが形成されている。層間絶縁膜16の上側
からこのコンタクトホールを介してソース電極17s、
ドレイン電極17dがそれぞれ半導体膜13のソース電
極13s、ドレイン電極13dと接合している。
【0041】図4はこの薄膜トランジスタの半導体膜1
3とゲート絶縁膜14との、低濃度不純物領域であるL
DD領域13bと、高濃度不純物領域であるソース領域
13s、ドレイン領域13dの膜厚方向の不純物濃度の
プロファイルを示す図である。 低濃度不純物領域であ
るLDD領域13b、およびこの領域上に形成されたゲ
ート絶縁膜14に導入された不純物濃度のプロファイル
は比較的なだらかであり、そのピークは半導体膜13内
に存在している。
【0042】一方、高低濃度不純物領域であるソース領
域13s、ドレイン領域13d、およびこれらの領域上
に形成されたゲート絶縁膜14に導入された不純物濃度
のプロファイルは、LDD領域のそれと比較して変位が
大きく、そのピークはゲート絶縁膜14内に存在してい
る。本発明の薄膜トランジスタでは、ゲート絶縁膜14
の膜厚をdとしたとき、ゲート絶縁膜14のゲート電極
15側表面から0.85dより浅い位置にピークがくる
ようにしている。ピーク位置がこれよりも半導体膜13
側にある場合には、半導体膜13の下層(絶縁性基板1
1側)まで結晶核が破壊されてしまい、低温での活性化
を行うことはできなかった。また活性層である半導体膜
13のゲート絶縁膜14側の不純物濃度と、絶縁性基板
11側の不純物濃度を比べると、ゲート絶縁膜14側で
濃度が大きく、絶縁性基板11側で濃度が小さい。すな
わち本発明では不純物の注入時に、半導体膜のソース領
域13s、ドレイン領域13dの下層(絶縁性基板11
側)の結晶核が残るようにしている。
【0043】また、LDD領域13bの不純物濃度プロ
ファイルと、ソース領域13s、ドレイン領域13dの
不純物濃度プロファイルとを比べると、ソース領域13
s、ドレイン領域13dの不純物濃度の最も高い位置よ
り、LDD領域13b中の不純物濃度の最も高い位置が
場所が、絶縁性基板11から絶縁性膜14側に離れた位
置に存在していることがわかる(図3で、黒丸の部分の
濃度が白丸で示した部分の濃度よりも高い)。
【0044】このようなプロファイルは、わずかになま
ったものの、約150℃で約1時間行ったアニーリング
処理の後にも保たれていた。アニール後のプロファイル
については図4中に点線で示している。
【0045】本発明の薄膜トランジスタにおいては、活
性層である半導体膜の膜厚方向における不純物濃度を制
御することにより、低温での活性化が容易になり、かつ
低いリーク電流と高いオン電流という優れた特性得るこ
とができた。
【0046】(実施形態2)つぎに本発明の薄膜トラン
ジスタの製造方法の例について説明する。図5、図6は
本発明の薄膜トランジスタの製造方法の1例を説明する
ための図である。ここでは本発明を、nチャネルコプラ
ナ型薄膜トランジスタに適用した場合の製造工程につい
て説明する。
【0047】最初にガラス基板、石英基板、あるいはプ
ラスティック基板等の透光性を有する絶縁性基板101
上に、CVD法などによりバッファ層となるSiOx 膜
102を厚さ400nm程度被着する。
【0048】ついで、CVD法等によりa−Si:H膜
(水素を含んだa−Si膜)103を厚さ50nm程度
被着し、約500度で約1時間、炉アニールを行う。そ
の後、例えばXeClエキシマレーザアニールによりa
−Si:H膜103を溶融再結晶化させて非単結晶の結
晶質シリコン膜(poly−Si膜)103に形成す
る。
【0049】そして、フォトリソグラフィ等によりpo
ly−Si半導体膜103をパターニング、エッチング
を行う(図5(a))。
【0050】つぎに、例えばCVD法などにより、ゲー
ト絶縁膜104としてSiOx 膜を厚さ約80nmにわ
たって被着した後、ゲート電極108として例えばΜo
W合金を例えばスパッタ法などにより厚さ約250nm
にわたって形成する(図5(b))。ゲート電極108
はここではシリコン酸化膜により形成したが、シリコン
窒化膜により形成するようにしてもよいし、シリコン酸
化膜とシリコン窒化膜との積層膜により形成するように
してもよい。
【0051】フォトリソグラフィ・エッチングにより、
ゲート電極108をパターニングした後、このゲート電
極108をマスクとして例えばイオン注入法、イオンド
ーピング法などにより半導体膜103へP(リン)を注
入する。ここではイオンドーピング法を用い、加速電圧
は約65keV、ドーズ量は3×1015cm-2に設定し
た。このとき、必ずLDD領域への不純物打ち込みの加
速電圧より低い加速電圧に設定し、図2に示したように
活性層の最下層部に結晶を一部残しておくことが重要で
ある。
【0052】特に、SiOx 上のΜoWのエッチングの
ような選択比の高くない工程の後に不純物の注入を行う
場合などにはSiOx の一部がエッチングされてしま
い、SiOx の膜厚分布がさらに強調されることにな
る。SiOx の膜厚分布は半導体膜へ導入される不純物
濃度のばらつきとして反映される。このような場合にお
いては、この手法は特に有効である。上部にゲート電極
108が存在しない半導体膜103のソース領域103
s、ドレイン領域103dにはPイオンがヘービドープ
される。(図5(c))ゲート電極108上にさらにM
oW合金108bをスパッタ法などで厚さ約150nm
形成した後、ホトリソグラフィ・エッチングにより、ゲ
ート電極108をさらに小さく、LDD領域103bと
なる領域上のゲート絶縁膜が露出するように加工する。
【0053】そして、ソース・ドレイン領域103s、
103dに不純物を打ち込んだときよりも高い高加速で
Pイオンを打ち込むことにより低濃度不純物領域である
LDD領域103bを形成する(図6(d))。このと
きの条件は、ゲート絶縁膜104の膜厚の分布、変動に
対するドーズ量の変動が少ない加速電圧、ドーズ量を設
定するようにすればよい。
【0054】ここでは、ゲート絶縁膜104の膜厚80
nmに対して、加速電圧をゲート絶縁膜104の膜厚分
布、変動に対してドーズ量変化の依存性が少ない約80
kVに設定し、ドーズ量は3×1013cm-2に設定し
た。このとき、図4に例示したような半導体膜のLDD
領域およびこの領域のゲート絶縁膜の膜厚方向の不純物
濃度プロファイルが得られた。
【0055】半導体膜に不純物を導入したなら、さら
に、APCVD法によりSiOx 膜からなる層間絶縁性
膜111を厚さ約400nm程度被着する。
【0056】そして、例えば、約600℃、約3時問の
アニーリングにより半導体膜のソース領域、ドレイン領
域の活性化を行う(図6(e))。
【0057】さらに、半導体膜13のソース・ドレイン
領域に対応する位置に、フォトリソグラフィによりコン
タクトホールを形成し、ソース電極、ドレイン電極とし
て例えばAlSi膜をスパッタリング法により成膜す
る。堆積したAlSi膜をさらにフォトリソグラフイ等
により所定形状にパターニングしてソース電極109
s、ドレイン電極109dに形成する。(図6(f))
ここに例示したような工程によってnチャネルのコプラ
ナ型薄膜トランジスタが完成する。
【0058】本発明の薄膜トランジスタにおいては、高
濃度不純物領域を形成する際、加速電圧を低濃度不純物
領域を形成するときより約15kV程度抑制することに
より、半導体膜最下層の結晶のダメージを少なくして結
晶を残しておくことによって、低温での活性化を可能と
することができる。
【0059】なお、ここではn−chの薄膜トランジス
タについて説明したが、本発明はn−chに限られたこ
とではなく、p−chの薄膜トランジスタにも全く同様
に適用することができる。また、ここではコプラナ型の
薄膜トランジスタを例にとりあげて説明したが、本発明
はコプラナ型に限ることなく逆スタガ型など他のタイプ
の薄膜トランジスタに適用することができる。また、本
発明の主旨を逸脱しない範囲において、様々に変形して
実施することができる。
【0060】(実施形態3)図7、図8は本発明の液晶
表示装置の構成を概略的に示す図であり、図9は単位画
素の断面構造を概略的に示す図である。
【0061】この液晶表示装置は透過型液晶表示装置で
あり、画素電極21とこの画素電極21と接続された薄
膜トランジスタ22が形成されたアレイ基板23と、対
向電極24が形成された対向基板25との間に液晶層2
6が挟持されたものである。また薄膜トランジスタ22
の構成は、図3に例示した本発明の薄膜トランジスタと
同様に構成である。アレイ基板23上には画素電極21
と、薄膜トランジスタ22とがマトリクス上に配列した
表示を行う画素領域33と、この画素領域33に配設さ
れた薄膜トランジスタ22を駆動する走査線駆動回路3
1、信号線駆動回路32とが形成されている。
【0062】アレイ基板23は、透光性を有する絶縁性
基板11を基材として形成されている。絶緑性基板11
上には、シリコン窒化膜からなるバッファ層12と、こ
のバッファ層12上に形成された非単結晶の結晶質シリ
コンからなる厚さ50nmの半導体膜13が形成されて
いる。この半導体膜13はチャネル領域13aと、チャ
ネル領域を挟むように形成された第1の領域であるLD
D領域13bと、LDD領域13bの外側からチャネル
領域13aを挟むように形成されたソース領域13s、
ドレイン領域13dを備えている。
【0063】そして半導体膜13を覆うように、シリコ
ン酸化膜からなる厚さ約400nmのゲート絶縁膜14
が形成され、ゲート絶縁膜14上のチャネル領域13a
に対応する領域にはゲート電極15が形成されている。
このゲート電極15により形成される電界により半導体
膜13にキャリアが誘起されて、ソース・ドレイン領域
が導通状態になる。また、ゲート絶縁膜14上には、C
s線27(補助容量線)が形成されている。
【0064】また、ゲート電極15、Cs線27を覆う
ようにゲート絶縁膜14上には例えばSiOx 膜からな
る層間絶縁膜16が形成されている。層間絶縁膜16、
ゲート絶縁膜14のソース領域13s、ドレイン領域1
3dにはコンタクトホールが形成されている。層間絶縁
膜16の上側からこのコンタクトホールを介してソース
電極17s、ドレイン電極17dがそれぞれ半導体膜1
3のソース電極13s、ドレイン電極13dと接合して
いる。
【0065】さらに、ソース・ドレイン電極の上側から
はパッシベーション膜28が形成されている。パッシベ
ーション膜28のドレイン電極17dに対応する位置に
はコンタクトホールが形成されており、このコンタクト
ホールを通じて画素電極23とドレイン電極17dが接
続される。画素電極23はITO(Indium Ti
n Oxide)かなどの透明導電性膜から形成されて
いる。 薄膜トランジスタ22のゲート電極15は走査
線37と接続され、ドレイン電極は信号線38と接続さ
れている。走査線駆動回路31から走査線37に印加さ
れる走査信号により薄膜トランジスタ22がオン状態に
なると、このとき信号線駆動回路32から信号線37に
供給される表示信号が、薄膜トランジスタ22のソース
・ドレインを通じて画素電極21に印加される。このと
き画素電極21と対向電極24とのあいだには表示信号
に応じた電界が形成されて液晶層26は光の変調状態を
制御される。
【0066】この液晶表示装置は絶縁性基板上に画素電
極21、薄膜トランジスタ22がマトリクス状に配列し
た画素領域と、この薄膜トランジスタを駆動するための
走査線駆動回路31、信号線駆動回路32が一体的に作
りこまれている(図9参照)。 例えば走査線駆動回路
31は、1対のp−ch薄膜トランジスタ34とn−c
h薄膜トランジスタ35とからなるCMOSTFT36
(Complementaly MOS TFT)を有
しているが、このCMOSTFT36も画素領域33に
形成された画素駆動用の薄膜トランジスタ22と同様に
非単結晶の結晶質シリコンからなる半導体膜を活性層と
して用いている。前述したように、非単結晶の結晶質シ
リコンからなる半導体膜は、アモルファスシリコンから
なる半導体膜と比較してキャリアの移動度が10倍から
100倍程度大きいという特徴があり、周辺駆動回路を
構成するスイッチング素子の構成材料として非常に優れ
た特性を有している。
【0067】この液晶表示装置のアレイ基板23に形成
された薄膜トランジスタは、前述のように、活性層であ
る半導体膜の膜厚方向における不純物濃度を制御するこ
とにより、低温での活性化が容易になり、低いリーク電
流と高いオン電流という優れた特性を有するものであ
る。したがって、表示信号の保持特性が良好で表示品質
を向上することができる。また活性化温度が低くなるか
らプロセス上の自由度が大きくとれ、生産性が向上す
る。例えば基板材料などの選択の幅が広がり、ガラス基
板、樹脂基板などより安価な、また可撓性を有する基板
を用いることが可能になる。
【0068】(実施形態4)実施形態3ではコプラナ型
の薄膜トランジスタを有する液晶表示装置について説明
したが、逆スタガ型薄膜トランジスタなど他の薄膜トラ
ンジスタを用いるようにしてもよい。図10は本発明を
適用した逆スタガ型の薄膜トランジスタを用いた液晶表
示装置の単位画素の断面構造を概略的に示す図である。
【0069】このように本発明を逆スタガ型の薄膜トラ
ンジスタに適用して液晶表示装置を構成しても、全く同
様の効果を得ることができた。
【0070】(実施形態5)図11は本発明の薄膜トラ
ンジスタの構造の別の例を概略的に示す断面図である。
【0071】この薄膜トランジスタは本発明を適用した
LDD構造の逆スタガ型の薄膜トランジスタである。絶
縁性基板11上にバッファ層が形成され、このバッファ
層12上にゲート電極15が形成されている。ゲート電
極上にはゲート絶縁膜14が形成されており、このゲー
ト絶縁膜14上に、非単結晶の結晶質シリコンからなる
半導体膜13が形成されている。この半導体膜13は図
3に例示した本発明の薄膜トランジスタと同様に、チャ
ネル領域13aと、チャネル領域を挟むように形成され
た第1の領域であるLDD領域(Lightly Do
ped Drane 領域)13bと、LDD領域13
bの外側からチャネル領域13aを挟むように形成され
たソース領域13s、ドレイン領域13dを備えてい
る。
【0072】この薄膜トランジスタは、半導体膜13上
に不純物注入の際に必要となる絶縁性膜51が形成さ
れ、また不純物注入時のマスクともなるエッチングスト
ッパ52を有している。この絶縁性膜51は、不純物注
入時には、実施形態1の薄膜トランジスタのゲート絶縁
膜14と同様に機能するもので、ここではシリコン窒化
膜から構成した。一般にシリコン窒化膜はシリコン酸化
膜より注入される不純物の阻止能が多少高いので、図4
に示したような膜厚方向のプロファイルをLDD領域1
3bとソース・ドレイン領域13s、13dとで制御す
るためには好適である。
【0073】エッチングストッパ52についても、イオ
ン注入時には図3の薄膜トランジスタのゲート電極15
と同様の機能を有する(ソース・ドレイン領域に不純物
を注入した後にパターニングし直してLDD領域に注入
する)。
【0074】また、エッチングストッパ52を覆うよう
に絶縁性膜51上には例えばSiOx 膜からなる層間絶
縁膜16が形成されている。層間絶縁膜16、ゲート絶
縁膜14のソース領域13s、ドレイン領域13dには
コンタクトホールが形成されている。層間絶縁膜16の
上側からこのコンタクトホールを介してソース電極17
s、ドレイン電極17dがそれぞれ半導体膜13のソー
ス電極13s、ドレイン電極13dと接合している。
【0075】この薄膜トランジスタについても、半導体
膜13と絶縁性膜51との、低濃度不純物領域であるL
DD領域13bと、高濃度不純物領域であるソース領域
13s、ドレイン領域13dの膜厚方向の不純物濃度の
プロファイルは図4と同様のプロファイルを有してい
る。すなわち、LDD領域13bの不純物濃度プロファ
イルと、ソース領域13s、ドレイン領域13dの不純
物濃度プロファイルとを比べると、ソース領域13s、
ドレイン領域13dの不純物濃度の最も高い位置より、
LDD領域13b中の不純物濃度の最も高い位置が場所
が、絶縁性基板11から絶縁性膜51側に離れた位置に
存在していることがわかる。
【0076】このようなプロファイルは、わずかになま
ったものの、アニーリング処理の後にも保たれていた。
【0077】このように本発明の薄膜トランジスタにお
いては、活性層である半導体膜の膜厚方向における不純
物濃度を制御することにより、低温での活性化が容易に
なり、かつ低いリーク電流と高いオン電流という優れた
特性得ることができた。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜トラ
ンジスタによれば、リーク電流を低減し、かつ高いオン
電流を得ることができる。また、例えば600℃以下の
ような低温での活性化が可能となり、薄膜トランジスタ
を製造する際の生産性が向上するとともに、基板材料な
どの選択の自由度を向上することができる。
【0079】また本発明の液晶表示装置は、備える薄膜
トランジスタのオン電流が高くかついリーク電流が小さ
いため、表示品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体膜厚50nmのときの絶縁性膜の膜厚
と、{(poly−Si半導体膜中のP濃度)/(ドー
ズ量)}の関係を示すグラフ。
【図2】不純物を注入する際の加速電圧の高低によっ
て、半導体膜のソース・ドレイン領域の活性化ができる
場合とできない場合とを模式的に示す図。
【図3】本発明の薄膜トランジスタの構造の例を概略的
に示す断面図。
【図4】本発明の薄膜トランジスタの半導体膜とゲート
絶縁膜とのLDD領域と、ソース・ドレイン領域での膜
厚方向の不純物濃度のプロファイルを示す図。
【図5】本発明の薄膜トランジスタの製造方法の1例を
説明するための図。
【図6】本発明の薄膜トランジスタの製造方法の1例を
説明するための図。
【図7】本発明の液晶表示装置の構成を概略的に示す
図。
【図8】本発明の液晶表示装置の構成を概略的に示す
図。
【図9】本発明の液晶表示装置の単位画素の断面構造を
概略的に示す図。
【図10】本発明を適用した逆スタガ型の薄膜トランジ
スタを用いた液晶表示装置の単位画素の断面構造を概略
的に示す図。
【図11】本発明の薄膜トランジスタの構造の別の例を
概略的に示す断面図。
【図12】薄膜トランジスタのゲート電圧−ソース・ド
レイン電流特性のLDD領域の不純物濃度に対する依存
性を示すグラフ。
【符号の説明】
11………基板 12………バッファ層 13………半導体膜(多結晶シリコン) 13a……チャネル領域 13b……LDD領域 13s……ソース領域 13d……ドレイン領域 14………ゲート絶縁膜 15………ゲート電極 16………層間絶縁膜 17s……ソース電極 17d……ドレイン電極 21………画素電極 22………薄膜トランジスタ 23………アレイ基板 24………対向電極 25………対向基板 26………液晶層 27………Cs線 28………パッシベーション膜 31………走査線駆動回路 32………信号線駆動回路 33………画素領域 34………薄膜トランジスタ(p−ch) 35………薄膜トランジスタ(n−ch) 36………CMOS 37………走査線 38………信号線 51………絶縁性膜 52………パッシベーション膜 101………基板 102………バッファ層 103………半導体膜 104………ゲート絶縁膜 108………ゲート電極 109………ソース電極 110………ドレイン電極 111………層間絶縁膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャネル領域と、このチャネル領域を挟
    むように形成され第1の平均濃度で不純物が導入された
    第1の領域と、前記第1の領域の外側から前記チャネル
    領域を挟むように形成され前記第1の平均濃度よりも大
    きな第2の平均濃度で前記不純物が導入された第2の領
    域とを有する非単結晶の結晶質シリコンからなる半導体
    膜と、 前記半導体膜上に形成され、前記半導体膜の前記第1の
    領域および前記第2の領域に対応する領域に前記不純物
    が導入された絶縁性膜と、 前記絶縁性膜を介して前記チャネル領域と対向して形成
    されたゲート電極とを具備し、 前記第2の領域の前記半導体膜と前記絶縁性膜との界面
    の前記絶縁性膜側に導入された前記不純物の濃度は、前
    記界面の前記半導体膜側に導入された不純物の濃度より
    も大きいことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 【請求項2】 前記絶縁性膜の前記第2の領域に導入さ
    れた前記不純物の濃度は、前記絶縁性膜の膜厚をdとし
    たとき前記絶縁性膜の前記ゲート電極側の表面から0.
    85dより浅い位置にピークを有するように前記ゲート
    絶縁膜の膜厚方向に分布したことを特徴とする請求項1
    に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 【請求項3】 少なくとも表面が絶縁性を呈する第1の
    絶縁性基板上にマトリクス状に配列された画素電極と、 前記第1の絶縁性基板上に形成され、チャネル領域と、
    このチャネル領域を挟むように形成され第1の平均濃度
    で不純物が導入された第1の領域と、前記第1の領域の
    外側から前記チャネル領域を挟むように形成され第1の
    平均濃度よりも大きな第2の平均濃度で前記不純物が導
    入された第2の領域とを有する非単結晶の結晶質シリコ
    ンからなる半導体膜と、前記半導体膜上に形成され、前
    記半導体膜の前記第1の領域および前記第2の領域に対
    応する領域に前記不純物が導入された絶縁性膜と、前記
    絶縁性膜を介して前記チャネル領域と対向して形成され
    たゲート電極と、前記半導体膜の前記第2の領域の一方
    とオーミック接合し、前記画素電極と接続したソース電
    極と、前記半導体膜の前記第2の領域の他方とオーミッ
    ク接合したドレイン電極とを具備し、前記第2の領域の
    前記半導体膜と前記絶縁性膜との界面の前記絶縁性膜側
    に導入された前記不純物の濃度が、前記界面の前記半導
    体膜側に導入された不純物の濃度よりも大きな薄膜トラ
    ンジスタと、 前記第1の絶縁性基板上に前記画素電極の行方向に沿っ
    て形成され、前記薄膜トランジスタの前記ゲート電極に
    走査信号を供給する走査線と、 前記第1の絶縁性基板上に前記画素電極の列方向に沿っ
    て形成され、前記薄膜トランジスタの前記ドレイン電極
    に表示信号を供給する信号線と、 透明導電性膜からなる対向電極が形成され、前記第1の
    絶縁性基板との間に液晶層を挟持する第2の絶縁性基板
    とを具備したことを特徴とする液晶表示装置。
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