JPH10255551A - 薄肉絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

薄肉絶縁電線及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10255551A
JPH10255551A JP5508097A JP5508097A JPH10255551A JP H10255551 A JPH10255551 A JP H10255551A JP 5508097 A JP5508097 A JP 5508097A JP 5508097 A JP5508097 A JP 5508097A JP H10255551 A JPH10255551 A JP H10255551A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
parts
insulated wire
decabromodiphenyl ether
thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5508097A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3362629B2 (ja
Inventor
Kazufumi Kimura
一史 木村
Ikuo Seki
育雄 関
Masahiko Hataya
昌彦 幡谷
Masato Ishikawa
正人 石川
Shigeru Kashiwazaki
茂 柏崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP05508097A priority Critical patent/JP3362629B2/ja
Publication of JPH10255551A publication Critical patent/JPH10255551A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3362629B2 publication Critical patent/JP3362629B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)
  • Processes Specially Adapted For Manufacturing Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁体被膜の厚さが薄肉であっても難燃性お
よび水中における破壊電圧に優れた薄肉絶縁電線及びそ
の製造方法を提供するものである。 【解決手段】 ポリエチレン100重量部に対してデカ
ブロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合・混練
した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形
成すると共に、照射架橋してなる絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉絶縁電線及び
その製造方法に係り、特に、絶縁体被膜の厚さが0.3
mm以下の車両用薄肉絶縁電線及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用絶縁電線には、難燃ポリエ
チレン、難燃架橋ポリエチレン、およびPVC等を、導
体の周囲に絶縁厚さ0.8〜1.0mmに被覆したもの
が使われてきた。
【0003】一般に、難燃架橋ポリエチレンのベースポ
リマには、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等
を用いており、これらのポリエチレンの難燃化のために
は、ハロゲン系難燃剤と無機系難燃助剤を一緒に添加す
る方法がこれまでにも知られている。
【0004】また、架橋技術に関しては、ポリエチレン
の架橋度および機械的特性等の向上に有効な手段とし
て、電子線照射時に架橋助剤を添加する方法が知られて
いる。
【0005】近年、車両用絶縁電線の軽量化・省スペー
ス化のニーズが高まってきており、電線の絶縁体被膜の
薄肉化要求が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、絶縁体被膜の厚さが0.8mmの従来の絶縁電線に
使用されている難燃架橋ポリエチレンを用いて、絶縁体
被膜の厚さが0.2mmの薄肉絶縁電線を作製すると、
この薄肉絶縁電線の破壊電圧は大幅に低下してしまい、
例えば、300m以上の長尺の薄肉絶縁電線電線の場
合、水中における耐電圧は3kVを下回ってしまう。
【0007】そこで本発明は、上記課題を解決し、絶縁
体被膜の厚さが薄肉であっても難燃性および水中におけ
る破壊電圧に優れた薄肉絶縁電線及びその製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、ポリエチレン100重量部に対し
てデカブロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合
・混練した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出
被覆形成すると共に、照射架橋してなる絶縁体被膜の厚
さが0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV
以上のものである。
【0009】請求項2の発明は、上記デカブロモジフェ
ニルエーテルは、その凝集体の平均粒径が7μm以下
で、かつ、上記絶縁体被膜中に分散している請求項1記
載の薄肉絶縁電線である。
【0010】請求項3の発明は、上記デカブロモジフェ
ニルエーテルの配合量が3〜30重量部である請求項1
および請求項2記載の薄肉絶縁電線である。
【0011】請求項4の発明は、上記架橋助剤の配合量
が、上記デカブロモジフェニルエーテル全重量の30重
量%以上である請求項1乃至請求項3記載の薄肉絶縁電
線である。
【0012】請求項5の発明は、上記組成物が難燃助剤
を含有している請求項1記載の薄肉絶縁電線である。
【0013】請求項6の発明は、ポリエチレン100重
量部に対して3〜30重量部のデカブロモジフェニルエ
ーテル、そのデカブロモジフェニルエーテル全重量の3
0重量%以上の架橋助剤、および難燃助剤を配合・混練
した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形
成すると共に、照射架橋してなる絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
のものである。
【0014】請求項7の発明は、絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
となるべく、ポリエチレン100重量部に対してデカブ
ロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合・混練し
た組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形成
し、その後、照射架橋を施すものである。
【0015】請求項8の発明は、上記混練温度または上
記押出被覆時における押出温度が260℃以上である請
求項7記載の薄肉絶縁電線の製造方法である。
【0016】請求項9の発明は、上記混練または上記押
出被覆により、凝集体の平均粒径が7μm以下となるよ
うに上記デカブロモジフェニルエーテルを上記絶縁体被
膜中に分散させる請求項7および請求項8記載の薄肉絶
縁電線の製造方法である。
【0017】上記数値範囲を限定した理由を以下に説明
する。
【0018】絶縁体被膜中に分散しているデカブロモジ
フェニルエーテルの凝集体の平均粒径が7μm以下と限
定したのは、デカブロモジフェニルエーテルの凝集体の
平均粒径が7μmよりも大きいと破壊電圧が低下するた
めである。
【0019】デカブロモジフェニルエーテルの配合量
が、ポリエチレン100重量部に対して3〜30重量部
であると限定したのは、デカブロモジフェニルエーテル
の配合量が3重量部よりも少ないと、十分な難燃性が得
られず、30重量部よりも多いと、破壊電圧が低下する
ためである。
【0020】架橋助剤の配合量が、デカブロモジフェニ
ルエーテル全重量の30重量%以上と限定したのは、デ
カブロモジフェニルエーテル全重量の30重量%よりも
架橋助剤の配合量が少ないと、組成物の混練時にデカブ
ロモジフェニルエーテルの融点降下が十分に起こらなく
なり、デカブロモジフェニルエーテルが十分に溶融でき
なくなると共に、分散性が悪化し、破壊電圧が低下する
ためである。
【0021】混練温度または押出被覆時における押出温
度を260℃以上と限定したのは、混練温度または押出
温度が260℃よりも低いと、平均粒径が7μmよりも
大きな凝集体としてデカブロモジフェニルエーテルが分
散するためである。
【0022】以上の構成によれば、絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
となるべく、ポリエチレン100重量部に対してデカブ
ロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合・混練し
た組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形成
し、その後、照射架橋を施すため、絶縁体被膜の厚さが
薄肉であっても難燃性および水中における破壊電圧に優
れた薄肉絶縁電線を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0024】上述したように、従来技術においては、絶
縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、水中における破壊
電圧が6kV以上である絶縁電線の作製は極めて困難で
あったが、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリエチレ
ン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテル
の配合量を3〜30重量部に低減しても、絶縁体被膜の
厚さが0.3mm以下の薄肉絶縁電線にあっては難燃性
を確保でき、また、このデカブロモジフェニルエーテル
を絶縁体被膜中に平均粒径が7μm以下の凝集体として
微分散させることによって、難燃性を確保したまま水中
における破壊電圧を向上させることができるということ
を見出した。
【0025】本発明の薄肉絶縁電線は、ポリエチレン1
00重量部に対して3〜30重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、そのデカブロモジフェニルエーテル全重
量の30重量%以上の架橋助剤、および難燃助剤を配合
・混練した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出
被覆形成すると共に、照射架橋してなるものである。
【0026】架橋助剤としては、ある程度デカブロモジ
フェニルエーテル中に溶解し、かつ、デカブロモジフェ
ニルエーテルの融点を降下させるものが好ましく、特
に、ポリエチレンとの混練性に優れた3官能以上のモノ
マが望ましく、例えば、トリアリルイソシアヌレート、
トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート等が挙げられる。
【0027】架橋助剤の配合量上限は、特に限定するも
のではないが、組成物中に架橋助剤を多量に配合すると
ブリード等が生じる場合があるので、その場合は、絶縁
体被膜の周囲に新たに外層を設けてもよい。
【0028】難燃助剤としては、特に限定するものでは
ないが、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、三塩化アンチモン等のアンチモン化合物が挙げられ
る。
【0029】ポリエチレンの重合法、密度、メルトイン
デックス等については、特に限定するものではない。
【0030】尚、組成物中には、適宜、酸化防止剤、加
工助剤、滑材、着色剤、充填剤等を配合しても良いこと
は言うまでもない。
【0031】次に、本発明の方法を説明する。
【0032】先ず、ポリエチレン100重量部に対して
3〜30重量部のデカブロモジフェニルエーテル、その
デカブロモジフェニルエーテル全重量の30重量%以上
の架橋助剤、および難燃助剤を配合・混練してなる組成
物を作製する。その後、この組成物を絶縁体として、導
体の周囲に押出被覆形成する。
【0033】この時、破壊電圧を向上させるべく、難燃
剤であるデカブロモジフェニルエーテルを組成物(また
は絶縁体)中に微分散する必要があり、特に、平均粒径
が7μmの凝集体として分散することが重要となる。こ
のため、デカブロモジフェニルエーテルの融点が310
℃であることを考慮して、この温度付近で混練または押
出被覆成形を行う必要がある。本発明者らが鋭意検討し
た結果、特に、260℃以上の温度で混練または押出被
覆成形を行うことで、デカブロモジフェニルエーテル
は、組成物(または絶縁体)中に平均粒径が7μmの凝
集体として分散することを見出した。
【0034】すなわち、組成物を混練することにより架
橋助剤がデカブロモジフェニルエーテル中に溶解し、こ
れによって、デカブロモジフェニルエーテルの融点が約
270℃まで低下する。このため、260℃以上の混練
または押出被覆成形で、組成物(または絶縁体)中に平
均粒径が7μmのデカブロモジフェニルエーテル凝集体
を分散させることができるようになる。
【0035】混練または押出被覆成形温度の上限は、特
に限定するものではないが、あまり温度が高すぎると架
橋助剤の反応による押出性の低下等が予想されるため、
300℃程度とすることが望ましい。
【0036】その後、導体の周囲に押出被覆形成された
絶縁体被膜に照射架橋を施して、絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
の薄肉絶縁電線を得る。
【0037】すなわち、本発明の薄肉絶縁電線の製造方
法によれば、難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテ
ルを用い、かつ、ポリエチレン100重量部に対するデ
カブロモジフェニルエーテルの配合量、デカブロモジフ
ェニルエーテル全重量に対する架橋助剤の配合量、およ
び混練温度を規定範囲内に制御しているため、絶縁体被
膜の厚さが0.3mm以下と薄肉であっても、水中にお
ける破壊電圧が6kV以上である薄肉絶縁電線を得るこ
とができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)ポリエチレン(三井ポリケミカル(株)製
のミラソン3530、密度:0.92、MI:0.2
5)100重量部に対して、5重量部のデカブロモジフ
ェニルエーテル(マナック(株)製のEB−10、融
点:285℃、Br含有量:81〜83%)、3重量部
の架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)、10重量
部の難燃助剤(三酸化アンチモン)、4重量部の酸化防
止剤(メルカプトベンズイミダゾール)、および1重量
部のカーボンブラックを配合する。
【0039】その後、この配合物を260℃で混練して
なる組成物を絶縁体として、外径0.32mmの銅線を
7本撚合わせてなる導体の周囲に押出被覆形成すると共
に、その絶縁体被膜に照射量が20Mradの電子線を
照射して電子線架橋を施し、薄肉絶縁電線を得る。
【0040】(実施例2)ポリエチレン(三井石油化学
工業(株)製のネオゼックス3510F、密度:0.9
35、MI:1.6)100重量部に対して、7重量部
のデカブロモジフェニルエーテル、5重量部の架橋助
剤、5重量部の難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、およ
び1重量部のカーボンブラックを配合する。
【0041】その後、この配合物を270℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0042】(実施例3)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、5重量部の架橋助剤、2重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0043】その後、この配合物を280℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0044】(実施例4)ポリエチレン(三井石油化学
工業(株)製のハイゼックス5305E、密度:0.9
58、MI:0.4)100重量部に対して、15重量
部のデカブロモジフェニルエーテル、10重量部の架橋
助剤、2重量部の難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、お
よび1重量部のカーボンブラックを配合する。
【0045】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0046】(実施例5)実施例4と同じポリエチレン
100重量部に対して、25重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、15重量部の架橋助剤、4重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0047】その後、この配合物を290℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0048】(比較例1)実施例1と同じポリエチレン
100重量部に対して、2重量部のデカブロモジフェニ
ルエーテル、2重量部の架橋助剤、5重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0049】その後は、実施例2と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0050】(比較例2)実施例1と同じポリエチレン
100重量部に対して、40重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、15重量部の架橋助剤、5重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0051】その後は、実施例2と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0052】(比較例3)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、10重量部の架橋助剤、2重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0053】その後、この配合物を250℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0054】(比較例4)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、15重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、1重量部の架橋助剤、2重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0055】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0056】(比較例5)実施例4と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部の難燃剤(エチレン
ビス−テトラブロモフタルイミド、融点:446℃、B
r含有量:66%)、5重量部の架橋助剤、5重量部の
難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカ
ーボンブラックを配合する。
【0057】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0058】次に、これらの実施例1〜5および比較例
1〜5の各薄肉絶縁電線に、破壊電圧測定試験および難
燃性試験を施す。各試験の詳細を以下に説明する。
【0059】(破壊電圧測定試験)破壊電圧測定試験は
JISC−3005の水中耐電圧試験に準じて行い、条
長300mmの各薄肉絶縁電線に1kVで1min間課
電した後、0.5kV/minの速度で昇圧してゆくこ
とによって、破壊電圧(kV)を測定した。
【0060】(難燃性試験)難燃性試験はJISC−3
005の傾斜試験に準じて行い、鉛直方向に対して60
°傾斜した各薄肉絶縁電線に所定時間炎を当て、その
後、炎を取り去って60秒以内で自己消火したものを合
格(○)、炎を取り去った後60秒たっても自己消火し
ないものを不合格(×)とした。
【0061】実施例1〜5および比較例1〜5の各薄肉
絶縁電線の諸元および試験結果(評価)を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1に示すように、本発明に係る実施例1
〜5の各薄肉絶縁電線は、難燃剤としてデカブロモジフ
ェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチレン100重量
部に対するデカブロモジフェニルエーテルの配合量、デ
カブロモジフェニルエーテル全重量に対する架橋助剤の
配合量、および混練温度を規定範囲内に制御しているた
め、いずれも破壊電圧が6kVを超えていると共に、難
燃性も合格であった。
【0064】これに対して、比較例1の薄肉絶縁電線
は、難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテルを用い
ており、破壊電圧は6kVを超えているものの、ポリエ
チレン100重量部に対するデカブロモジフェニルエー
テルの配合量が規定範囲(3〜30重量部)よりも少な
い2重量部であるため、難燃性が不合格である。逆に、
比較例2の薄肉絶縁電線は、ポリエチレン100重量部
に対するデカブロモジフェニルエーテルの配合量が規定
範囲(3〜30重量部)よりも多い40重量部であるた
め、難燃性は合格であるものの、破壊電圧が6kVを下
回っている。
【0065】比較例3の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
デカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチ
レン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテ
ルの配合量およびデカブロモジフェニルエーテル全重量
に対する架橋助剤の配合量を規定範囲内に制御している
ものの、混練温度が規定範囲(260℃以上)よりも低
い250℃であるため、破壊電圧が6kVを下回ってい
る。
【0066】これは、比較例3の薄肉絶縁電線の絶縁被
膜体の横断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、平均粒
径が約20μmのデカブロモジフェニルエーテルの2次
凝集体と思われる巨大粒子が観察されることからも自明
である。
【0067】比較例4の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
デカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチ
レン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテ
ルの配合量および混練温度を規定範囲内に制御している
ものの、デカブロモジフェニルエーテル全重量に対する
架橋助剤の配合量が規定範囲(30重量%以上)よりも
少ない6.7重量%であるため、破壊電圧が6kVを下
回っている。
【0068】これは、デカブロモジフェニルエーテル全
重量に対する架橋助剤の配合量が規定範囲(30重量%
以上)よりも少ないことにより、デカブロモジフェニル
エーテルの融点降下が十分に起こらなくなり、デカブロ
モジフェニルエーテルが十分に溶融できなくなると共
に、分散性が悪化することに起因する。
【0069】比較例5の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
エチレンビス−テトラブロモフタルイミドを用いている
ため、破壊電圧が6kVを下回っている。
【0070】これは、エチレンビス−テトラブロモフタ
ルイミドの融点が高すぎて(446℃)、本実施例にお
ける280℃の混練温度では溶融できないため、絶縁体
被膜中へのエチレンビス−テトラブロモフタルイミドの
分散が不十分となることに起因する。
【0071】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、難燃剤と
してデカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリ
エチレン100重量部に対するデカブロモジフェニルエ
ーテルの配合量、デカブロモジフェニルエーテル全重量
に対する架橋助剤の配合量、および混練温度を規定範囲
内に制御することで、絶縁体被膜の厚さが0.3mm以
下と薄肉であっても、水中における破壊電圧が6kV以
上である薄肉絶縁電線を得ることができるという優れた
効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 正人 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社日高工場内 (72)発明者 柏崎 茂 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン100重量部に対してデカ
    ブロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合・混練
    した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形
    成すると共に、照射架橋してなる絶縁体被膜の厚さが
    0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
    であることを特徴とする薄肉絶縁電線。
  2. 【請求項2】 上記デカブロモジフェニルエーテルは、
    その凝集体の平均粒径が7μm以下で、かつ、上記絶縁
    体被膜中に分散している請求項1記載の薄肉絶縁電線。
  3. 【請求項3】 上記デカブロモジフェニルエーテルの配
    合量が3〜30重量部である請求項1および請求項2記
    載の薄肉絶縁電線。
  4. 【請求項4】 上記架橋助剤の配合量が、上記デカブロ
    モジフェニルエーテル全重量の30重量%以上である請
    求項1乃至請求項3記載の薄肉絶縁電線。
  5. 【請求項5】 上記組成物が難燃助剤を含有している請
    求項1記載の薄肉絶縁電線。
  6. 【請求項6】 ポリエチレン100重量部に対して3〜
    30重量部のデカブロモジフェニルエーテル、そのデカ
    ブロモジフェニルエーテル全重量の30重量%以上の架
    橋助剤、および難燃助剤を配合・混練した組成物からな
    る絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形成すると共に、照
    射架橋してなる絶縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、
    水中における破壊電圧が6kV以上であることを特徴と
    する薄肉絶縁電線。
  7. 【請求項7】 絶縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、
    水中における破壊電圧が6kV以上となるべく、ポリエ
    チレン100重量部に対してデカブロモジフェニルエー
    テルおよび架橋助剤を配合・混練した組成物からなる絶
    縁体を、導体の周囲に押出被覆形成し、その後、照射架
    橋を施すことを特徴とする薄肉絶縁電線の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記混練温度または上記押出被覆時にお
    ける押出温度が260℃以上である請求項7記載の薄肉
    絶縁電線の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記混練または上記押出被覆により、凝
    集体の平均粒径が7μm以下となるように上記デカブロ
    モジフェニルエーテルを上記絶縁体被膜中に分散させる
    請求項7および請求項8記載の薄肉絶縁電線の製造方
    法。
JP05508097A 1997-03-10 1997-03-10 薄肉絶縁電線及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3362629B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05508097A JP3362629B2 (ja) 1997-03-10 1997-03-10 薄肉絶縁電線及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05508097A JP3362629B2 (ja) 1997-03-10 1997-03-10 薄肉絶縁電線及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10255551A true JPH10255551A (ja) 1998-09-25
JP3362629B2 JP3362629B2 (ja) 2003-01-07

Family

ID=12988737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05508097A Expired - Fee Related JP3362629B2 (ja) 1997-03-10 1997-03-10 薄肉絶縁電線及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3362629B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9520209B2 (en) 2012-12-17 2016-12-13 3M Innovative Properties Company Flame retardant twin axial cable

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9520209B2 (en) 2012-12-17 2016-12-13 3M Innovative Properties Company Flame retardant twin axial cable

Also Published As

Publication number Publication date
JP3362629B2 (ja) 2003-01-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101097003B1 (ko) 논할로겐 전선, 전선다발 및 자동차용 와이어하네스
JP2013177610A (ja) ノンハロゲン難燃樹脂組成物及びノンハロゲン難燃電線・ケーブル
WO2015159788A1 (ja) 絶縁性樹脂組成物及び絶縁電線
DE112019001430T5 (de) Zusammensetzung für Drahtbeschichtungsmaterial, isolierter Draht und Kabelbaum
JPH10255551A (ja) 薄肉絶縁電線及びその製造方法
JP2002146118A (ja) 難燃性樹脂組成物及びこれを被覆材として用いた難燃性絶縁電線
JP2006244894A (ja) ノンハロゲン難燃電線・ケーブル
JP2017069130A (ja) 絶縁電線
JP2927058B2 (ja) 耐熱難燃絶縁電線およびその製造方法
JP5794216B2 (ja) ノンハロゲン難燃樹脂組成物及びその製造方法、これを用いた絶縁電線並びにケーブル
JP2009298831A (ja) ノンハロゲン難燃性熱可塑性エラストマ樹脂組成物及びその製造方法並びにこれを用いた電線・ケーブル
JP2020152817A (ja) 樹脂組成物、被覆電線及びワイヤーハーネス
JP4277357B2 (ja) ノンハロゲン難燃性樹脂組成物とその応用製品の製造方法
JPH10334738A (ja) 含ふっ素エラストマ被覆電線・ケーブル
JP2020050728A (ja) 難燃性樹脂組成物、電線、ケーブル、難燃性樹脂組成物の製造方法、電線の製造方法およびケーブルの製造方法
JPH11213769A (ja) 絶縁電線及びその製造方法
JP2001052535A (ja) 耐トラッキング性絶縁電線、及び耐トラッキング性絶縁ケーブル
JPH03297011A (ja) 薄肉絶縁電線
JP2012230847A (ja) 絶縁電線
JP3829647B2 (ja) ワイヤストリップ性に優れたノンハロゲン難燃絶縁電線
JPH06290650A (ja) 薄肉絶縁電線
GB2093043A (en) Electric cables having flexible polyolefin insulation
JPH11219625A (ja) 絶縁電線及びその製造方法
JP3674113B2 (ja) 直流用高圧電線
JPH06283055A (ja) 耐熱・耐放射線性電線・ケーブル

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081025

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081025

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091025

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101025

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111025

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121025

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131025

Year of fee payment: 11

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees