JP5794216B2 - ノンハロゲン難燃樹脂組成物及びその製造方法、これを用いた絶縁電線並びにケーブル - Google Patents

ノンハロゲン難燃樹脂組成物及びその製造方法、これを用いた絶縁電線並びにケーブル Download PDF

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本発明は、ノンハロゲン難燃樹脂組成物及びその製造方法、これを用いた絶縁電線並びにケーブルに関する。
環境問題に対する意識は世界的に高まりつつある。これに対応して絶縁電線などの絶縁被覆(絶縁層)には、燃焼時にハロゲンガスを発生させないノンハロゲン難燃樹脂組成物が用いられるようになっている。
ノンハロゲン難燃樹脂組成物は、ベースポリマに例えば金属水酸化物などのノンハロゲン難燃剤を含有させた樹脂組成物である。このベースポリマには、ポリオレフィン系樹脂や熱可塑性エラストマー(TPE:Thermoplastic−Elastomer)などが用いられる。特に可撓性が要求される絶縁電線などにおいては、ベースポリマとして、TPEが用いられる。
TPEは、高温では熱可塑性樹脂のような熱可塑性を示し、常温ではエラストマーのようにゴム弾性を示す高分子材料である。TPEには、熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドするものがあり、一般に、熱可塑性樹脂の連続相(海相)内に、分散相(島相)としてエラストマーが分散した海島構造を有している。このTPEには、動的架橋により形成される動的架橋型のTPEがある。動的架橋は、熱可塑性樹脂の海相中に架橋可能なエラストマー成分を混合し、混練状態でエラストマー成分を架橋させることで、微細な海島構造とする方法である。
TPEにおいて、熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分とは任意に組み合わせることが可能である。例えば、特許文献1では、樹脂成分としてのポリオレフィンと、エラストマー成分としてのエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAともいう)とを組み合わせたTPEを含むノンハロゲン難燃樹脂組成物が提案されている。特許文献1によれば、極性基を有するポリマとしてEVAを用いることにより難燃性を向上することができる。
上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物の難燃性をさらに向上させる方法として、例えば、特許文献2では、ノンハロゲン難燃剤である金属水酸化物の含有量を増加し、樹脂組成物に高密度で充填する方法が開示されている。
特開2008−31354号公報 特開2010−97881号公報
ところで、絶縁電線やケーブルは鉄道車両、自動車、電気機器などの配線として用いられるため、その絶縁層には使用される環境に応じて高い絶縁性能が要求される。例えば、雨や海水などの水分が付着する環境や高温高湿環境下においても高い絶縁性能を有することが要求される。
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物を絶縁電線やケーブルに用いると、高い難燃性が得られるものの、時間経過による絶縁性能の低下が大きく、電気特性の低下が大きいといった問題があった。特許文献1の樹脂組成物においては、島相として分散するEVAにまで金属水酸化物が混入しており、金属水酸化物は、酸性の系であるEVA内において溶失し、ボイド(空洞)を発生させる。このボイドにより、部分放電が発生し、絶縁性能を低下させる。特に、浸水課電時には水分の浸透が顕著で、絶縁性能をより低下させる傾向にある。難燃性を向上するために金属水酸化物を高密度で充填する場合においては、その電気特性の低下が大きい。一方、ボイドの要因となる金属水酸化物の含有量を低下することも考えられるが、所定の高い難燃性を得ることが困難となる。
本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、その目的は、高い難燃性を有するとともに絶縁性能の低下が抑制されたノンハロゲン難燃樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。また、高い難燃性を有し、電気特性が良好な絶縁電線及びケーブルを提供することにある。
本発明の第1の態様によれば、
非極性ポリオレフィン(A)と、
シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、
金属水酸化物(C)と、を含有し、
前記非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相が分散している海島構造を有しており、
前記金属水酸化物(C)が、前記海相のみに分散しているノンハロゲン難燃樹脂組成物であって、
前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)は、酢酸ビニルの含有量が20質量%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体がシラン架橋されたノンハロゲン難燃樹脂組成物が提供される。
本発明の第の態様によれば、
前記非極性ポリオレフィン(A)と前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)とを質量比(A:B)で70:30〜30:70の範囲内の割合で含有し、前記(A)と前記(B)との合計100質量部に対して、前記金属水酸化物(C)を50質量部以上300質量部以下含有する、第1の態様のノンハロゲン難燃樹脂組成物が提供される。
本発明の第の態様によれば、
非極性ポリオレフィン(A)と、シラン架橋され、酢酸ビニルの含有量が20質量%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、金属水酸化物(C)と、を含有するノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法であって、
前記非極性ポリオレフィン(A)及びエチレン酢酸ビニル共重合体を混練するとともに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体をシラン架橋することで、前記非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相を分散させる工程と、
前記海相中に前記金属水酸化物(C)を添加し、分散させる工程と、を有する、ノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法が提供される。
本発明の第の態様によれば、
第1又は第2の態様のいずれかのノンハロゲン難燃樹脂組成物から構成される絶縁層を導体の外周上に備える、絶縁電線が提供される。
本発明の第の態様によれば、
第1又は第2の態様のいずれかのノンハロゲン難燃樹脂組成物から構成されるシースを、導体の外周上に絶縁層を有する絶縁電線又は前記絶縁電線を複数撚り合わせてなるコア上に備える、ケーブルが提供される。
本発明によれば、高い難燃性を有するとともに電気特性の低下が抑制されたノンハロゲン難燃樹脂組成物が得られる。また、高い難燃性を有し、電気特性の低下が抑制された絶縁電線及びケーブルが得られる。
本発明の一実施形態に係るノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。 本発明の一実施形態に係るケーブルの断面を示す図である。
上述したように、従来のノンハロゲン難燃樹脂組成物は、ポリオレフィン(海相)と、架橋EVA(島相)と、金属水酸化物とを含有しており、金属水酸化物がポリオレフィン(海相)と架橋EVA(島相)のそれぞれに分散していた。そして、酸性の系である架橋EVA(島相)内に存在する金属水酸化物が溶失し、ボイドが発生することとなっていた。
架橋EVA(島相)への金属水酸化物の分散は、樹脂組成物を動的架橋により製造する際に生じる。動的架橋による製造は、従来ではポリオレフィンと、未架橋のEVAと、金属水酸化物とを混練するとともに動的架橋を行っていた。動的架橋の際に、未架橋のEVA内に金属水酸化物が分散できるため、結果的に架橋EVA(島相)内に金属水酸化物が分散することとなっていた。
この点、本発明者らは鋭意検討を行い、金属水酸化物を添加するタイミングを変更することで、架橋EVA(島相)内への金属水酸化物の分散を抑制できることを見出した。すなわち、ポリオレフィンと未架橋のEVAとを予め動的架橋して、その後金属水酸化物を添加することで、金属水酸化物をポリオレフィン(海相)へ分散させる一方、架橋EVA(島相)への分散を抑制できることを見出した。本発明は、以上の知見に基づきなされたものである。
[本発明の一実施形態]
以下に、本発明の一実施形態について説明をする。
(1)ノンハロゲン難燃樹脂組成物
本発明の一実施形態に係るノンハロゲン難燃樹脂組成物は、動的架橋型の樹脂組成物であって、樹脂成分として非極性ポリオレフィン(A)と、エラストマー成分として架橋可能な構造を有するエチレン酢酸ビニル共重合体と、金属水酸化物(C)とを含む組成物を動的架橋させてなるノンハロゲン難燃樹脂組成物である。そして、金属水酸化物(C)は、非極性ポリオレフィン(A)のみに存在している。
すなわち、本実施形態に係るノンハロゲン難燃樹脂組成物は、非極性ポリオレフィン(A)と、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、金属水酸化物(C)と、を含有し、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相が分散している海島構造を有しており、金属水酸化物(C)が、海相のみに分散している。
〈非極性ポリオレフィン〉
非極性ポリオレフィン(A)は、樹脂成分であって、ノンハロゲン難燃樹脂組成物において海相を構成している。この海相には、シラン架橋されたEVA(B)を含む島相と、金属水酸化物(C)とが分散している。非極性ポリオレフィン(A)は、極性基を有さず、主にノンハロゲン難燃樹脂組成物の絶縁性及び耐水性を向上させる。非極性ポリオレフィン(A)としては、シラン架橋されたEVA(B)及び金属水酸化物(C)を分散できる樹脂であれば特に限定されないが、金属水酸化物(C)を高密度に充填した場合であっても好適に分散できる樹脂であることが好ましい。金属水酸化物(C)の分散性に優れる非極性ポリオレフィン(A)としては、比較的融点が低いことが好ましく、例えば融点が140℃以下であることが好ましい。具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体などが挙げられる。この非極性ポリオレフィン(A)には、金属水酸化物(C)との密着性を向上させることを目的として、酸変性したポリオレフィンなどを少量添加してもよい。酸変性したポリオレフィンとしては、ポリオレフィンの一部にマレイン酸、無水マレイン酸又はフマル酸などを共重合させたものが挙げられる。
〈シラン架橋されたEVA〉
シラン架橋されたEVA(B)は、エラストマー成分であって、ノンハロゲン難燃樹脂組成物において島相を構成する。この島相は、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に分散している。シラン架橋されたEVA(B)は、EVAに由来する酢酸ビニルを含有しており、主にノンハロゲン難燃樹脂組成物の難燃性を向上させる。EVAは、炎で加熱された際に脱酢酸して吸熱反応を起すことにより燃焼を抑制して、難燃性を発現する。
シラン架橋されたEVA(B)は、シラングラフト化EVAが架橋したものである。シラングラフト化EVAは、EVAにシラン化合物がグラフト化されたものであって、シラン架橋が可能な構造を有している。
EVAは、酢酸基を含有しており、酢酸基によりシラン化合物とグラフト共重合される。EVAの酢酸ビニル含有量(以下、VA量ともいう)は、シラングラフト化EVAにおけるグラフト化されるシラン化合物の量に対応する傾向にあり、シラン架橋されたEVA(B)の架橋度に対応する。EVAのVA量が低く、シラン架橋されたEVA(B)の架橋度が低くなる場合では、金属水酸化物(C)のシラン架橋されたEVA(B)への分散が生じやすくなる。このため、EVAのVA量は20質量%以上であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
EVAにグラフト共重合されるシラン化合物としては、EVAにシラン架橋構造を導入できるものであれば特に限定されない。シラン化合物としては、例えば、EVAと反応可能な基と、シラノール縮合によりシラン架橋を形成するアルコキシ基と、を有するものが挙げられる。
シラン架橋されたEVA(B)の含有量は、上記非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との質量比で80:20〜20:80となることが好ましく、70:30〜30:70となることがより好ましい。つまり、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との合計を100質量部としたときに、シラン架橋されたEVA(B)の含有量は、20質量部以上80質量部以下であることが好ましく、30質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。20質量部未満だと十分な難燃性を得ることが困難であり、80質量部を超えると、粘度が高く押出成形が困難となる。
〈金属水酸化物〉
金属水酸化物(C)は、難燃剤であって、ノンハロゲン難燃樹脂組成物に難燃性を付与する。金属水酸化物(C)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどがある。それぞれの分解時の吸熱量は、水酸化カルシウムが約1000J/g、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが1500〜1600J/gとなっている。このため、金属水酸化物(C)の中でも水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは、難燃効果が高く好ましい。
金属水酸化物(C)の含有量は、(A)及び(B)の合計100質量部に対して50質量部以上300質量部以下であることが好ましい。含有量が50質量部未満だと十分な難燃性を得ることが困難であり、300質量部を超えると、機械特性や成形性(押出加工性)の確保が困難となる。
また、金属水酸化物(C)は、非極性ポリオレフィン(A)への分散性を考慮して、表面処理されることが好ましい。表面処理としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ステアリン酸などの脂肪酸などによって表面処理されることが好ましい。
(2)ノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法
上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法について、図1を用いて説明をする。図1は、本発明の一実施形態に係るノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法を示す工程図である。
本実施形態のノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法は、非極性ポリオレフィン(A)と、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、金属水酸化物(C)と、を含有するノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法であって、非極性ポリオレフィン(A)及びエチレン酢酸ビニル共重合体を混練するとともに、エチレン酢酸ビニル共重合体をシラン架橋することで、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相を分散させる工程と、海相中に金属水酸化物(C)を添加し、分散させる工程と、を有する。すなわち、本実施形態の製造方法は、非極性ポリオレフィン(A)中に、シラン架橋されたEVA(B)を分散させる動的架橋工程と、金属水酸化物(C)を分散させる工程と、を別工程としている。
(グラフト共重合工程S10)
まず、動的架橋に先立ち、シラン架橋が可能な構造を有するEVAを準備する。本実施形態では、シラングラフト化EVAを準備する。図1のS10に示すように、EVAに対してシラン化合物を混合し、グラフト共重合させることによってシラングラフト化EVAを調整する。具体的には、所定の酢酸ビニル含有量を有するEVAと、シラン化合物と、フリーラジカル発生剤とを混合し、100℃〜200℃の温度で溶融混練することでグラフト共重合する。グラフト共重合においては、加熱によりフリーラジカル発生剤が熱分解してラジカルを発生させ、そのラジカルによってEVAにシラン化合物がグラフト共重合されることになる。調整されたシラングラフト化EVAはシラン架橋が可能な構造を有しており、後述する動的架橋工程においてシラン架橋されることになる。
用いるEVAのVA量は特に限定されないが、20質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。VA量が比較的大きなEVAを用いることで、シラングラフト化EVAにおけるシラン化合物のグラフト化率を大きくすることができる。そして、シラングラフト化EVAを架橋した際に、シラン架橋されたEVA(B)の架橋度を向上して、金属水酸化物(C)の混入を抑制することができる。
シラン化合物の添加量は特に限定されないが、EVA100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。0.5質量部未満とすると、EVAへのシラン架橋構造の導入が少なくなり、シラン架橋の十分な効果を得ることが困難となる。一方、10質量部を超えると、加工性が低下する傾向になる。
シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシラン化合物、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フエニルーγ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン化合物、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシラン化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン化合物等が挙げることができる。
フリーラジカル発生剤としては、例えばジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物を用いることができる。フリーラジカル発生剤の添加量は、EVA100質量部に対して、0.001質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。0.001質量部未満とすると、EVAに対してシラン化合物をグラフト共重合することが困難となり、シラン架橋の十分な効果を得ることが困難となる。3.0質量部を超えると、後の混練の際にEVAのスコーチが生じやすくなる。
(動的架橋工程S20)
次に、図1のS20に示すように、上記で得られた未架橋のシラングラフト化EVAと、非極性ポリオレフィン(A)と、シラノール縮合触媒とを含む樹脂混合物を混練して動的架橋を行う。この工程では、未架橋のシラングラフト化EVAに対して金属水酸化物(C)が混入するおそれがあるため、金属水酸化物(C)を添加しない。
具体的には、樹脂混合物を混練することで非極性ポリオレフィン(A)中に未架橋のシラングラフト化EVAを分散させて、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、シラングラフト化EVAを含む島相が分散している海島構造を有する樹脂混合物とする。この混練と同時にシラン架橋が進行することで、未架橋のシラングラフト化EVAは、架橋されたEVA(B)となる。シラン架橋においては、未架橋のシラングラフト化EVAがシラノール縮合反応を行うことにより架橋が進行する。一方、非極性ポリオレフィン(A)は架橋可能な構造を有さないため、未架橋のまま存在することになる。
動的架橋工程S20において、混練条件や温度条件は特に限定されないが、充分な架橋と分散が進行していればよい。例えば、高いせん断場を設けることが可能な2軸押出機を用いて、架橋が速やかに進行し、且つ分子の劣化のない温度として180℃前後で動的架橋を行うことが好ましい。
非極性ポリオレフィン(A)と、未架橋のシラングラフト化EVAとの混合比率は、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との質量比が所定の割合となるように調整する。
シラノール縮合触媒としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクタエート、酢酸第1錫、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルトなどを用いる。シラノール縮合触媒の添加量は特に限定されないが、未架橋のシラングラフト化EVA100質量部に対して0.001質量部以上0.1質量部以下とすることが好ましい。
(金属水酸化物の混練工程S30)
次に、図1のS30に示すように、S20で得られた樹脂混合物中に金属水酸化物(C)を添加して混練することで、金属水酸化物(C)を分散させて、ノンハロゲン難燃樹脂組成物を製造する。S20で得られた樹脂混合物のうち、非極性ポリオレフィン(A)は未架橋であって流動成分となっているが、シラン架橋されたEVA(B)は架橋されて固形成分となっている。このため、金属水酸化物(C)は、非極性ポリオレフィン(A)中に分散されるが、シラン架橋されたEVA(B)中には分散されない。
以上の工程により、非極性ポリオレフィン(A)と、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、金属水酸化物(C)と、を含有し、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相が分散している海島構造を有しており、金属水酸化物(C)が、海相のみに分散しているノンハロゲン難燃樹脂組成物を得られる。
なお、動的架橋工程S20又は金属水酸化物の混練工程S30においては、必要に応じてその他添加剤を加えてもよい。その他添加剤としては、架橋剤、架橋助剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、滑剤、着色剤、補強剤、界面活性剤、無機充てん剤、可塑剤、金属キレート剤、発泡剤、相溶化剤、加工助剤、安定剤などが挙げられる。
(3)絶縁電線
次に、上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなる絶縁層を導体の外周上に備える絶縁電線について図2を参照しながら説明をする。図2は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の断面を示す図である。
本実施形態の絶縁電線1は、導体10と、導体10の外周上に形成された絶縁層11と、を有しており、絶縁層11が上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなっている。
導体10としては、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線の他、銀等の他の金属線等が用いられる。図2において、導体10の断面形状は円形状となっているが、本発明はこれに限定されず、例えば四角形状(4隅が湾曲したものも含む)とすることもできる。また、導体10の導体径は特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
絶縁層11は、上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなっている。絶縁層11は、導体10の外周上に所定の厚さとなるようにノンハロゲン難燃樹脂組成物を押出被覆して形成される。絶縁層11の厚さは特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
(4)ケーブル
次に、上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなるシースを、導体の外周上に絶縁層を備える絶縁電線又は絶縁電線を複数本撚り合わせてなるコア上に備えるケーブルについて図3を参照しながら説明をする。
本実施形態のケーブル2は、図3に示すように、導体10の外周上に絶縁層11を有する絶縁電線1と、シース12と、を有しており、シースが上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなっている。シースは、コアの外周上に所定の厚さとなるようにノンハロゲン難燃樹脂組成物を押出被覆して形成される。シースの厚さは特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。
なお、図3は、1本の絶縁電線をコアとしたケーブルを示すが、コアを構成する絶縁電線の本数は特に限定されない。また、ケーブルのコアを構成する絶縁電線としては、特に限定されず、上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物からなる絶縁層を備える絶縁電線、または公知のゴム組成物からなる絶縁層を備える絶縁電線を用いることができる。
なお、図2に示す絶縁電線、又は図3に示すケーブルは単層構造となっているが、絶縁層11又はシース12上に最外層を設けて多層構造とすることも可能である。最外層に用いられる材料は特に限定されない。また、絶縁電線又はケーブルには、必要に応じてセパレータ、編組などを施しても良い。
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態のノンハロゲン難燃樹脂組成物によれば、金属水酸化物(C)が、非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中にのみ分散しており、シラン架橋されたEVA(B)を含む島相中には存在していない。これにより、酸性の系である、シラン架橋されたEVA(B)において、金属水酸化物(C)の溶失によるボイドの発生が抑制される。そして、ボイドの発生が抑制されているため、高い絶縁性を保持する。
また、本実施形態のノンハロゲン難燃樹脂組成物によれば、金属水酸化物(C)がシラン架橋されたEVA(B)中に存在していないため、金属水酸化物(C)を高密度に充填することが可能であり、難燃性を向上することができる。
また、本実施形態においては、シラン架橋されたEVA(B)は、酢酸ビニル含有量が20質量%のEVAがシラン架橋されたものであることが好ましい。これにより、シラン架橋されたEVA(B)の架橋度が高くなり、シラン架橋されたEVA(B)への金属水酸化物(C)の分散がさらに抑制される。
また、本実施形態においては、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)とを質量比(A:B)で70:30〜30:70の範囲内の割合で含有し、(A)と(B)との合計100質量部に対して、金属水酸化物(C)を50質量部以上300質量部以下含有することが好ましい。これにより、難燃性の向上及び絶縁性能の低下の抑制とともに、機械特性や押出加工性を向上することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、非極性ポリオレフィン(A)中に、シラン架橋されたEVA(B)を分散させる動的架橋工程と、金属水酸化物(C)を分散させる工程と、を別工程としている。これにより、シラン架橋されたEVA(B)への金属水酸化物(C)の分散を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、絶縁電線の絶縁層、又はケーブルのシースが上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物から構成されている。これにより、高い難燃性を有し、時間経過による電気特性の低下が抑制された絶縁電線及びケーブルを得ることができる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、非極性ポリオレフィン(A)及びシラン架橋されたEVA(B)の他に別のポリマ成分を含んでもよい。
また、上記実施形態では、非極性ポリオレフィン(A)が未架橋であり、部分的に架橋されたノンハロゲン難燃樹脂組成物の場合について説明をしたが、本発明はこれに限定されない。さらに高い耐熱性を得るため、非極性ポリオレフィン(A)を架橋させて、上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物を完全に架橋させてもよい。この際の架橋方式は特に限定されず、有機過酸化物架橋、電子線照射、UV照射などにより架橋することができる。
また、上記実施形態では、ノンハロゲン難燃樹脂組成物を絶縁電線の絶縁層やケーブルのシースに用いる場合について説明をしたが、本発明はこれに限定されない。ノンハロゲン難燃樹脂組成物を、例えばチューブ、ホース、フィルム、シート、ローラー、容器、バッグ、パッキン、電線、コード、光ファイバー、光コード、膜、フィルタ、テープ、ベルト等に適用することができる。
次に、本発明の実施例について説明をする。本実施例ではノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整し、それを用いてケーブルを製造した。そして、製造されたケーブルを評価することによってノンハロゲン難燃樹脂組成物を評価した。これらの実施例は、本発明に係るノンハロゲン難燃樹脂組成物及びケーブルの一例であって、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1〜9)
以下に示す方法によって、ノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整し、ケーブルを製造した。
〈シラングラフト化EVAの調整〉
まず、本実施例で用いるシラングラフト化EVAを調整した。EVAとして、酢酸ビニルの含有量が20質量%のEVA(VF120S、宇部丸善ポリエチレン製)100質量部に対して、シラン化合物としてのビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210、チッソ製)を3質量部、フリーラジカル発生剤としてのジクミルパーオキサイド(日本油脂製)を0.01質量部添加し混合して、これらの混合物を、シリンダー温度が200℃に設定された40mm単軸押出機(L/D=24)でグラフト反応させて、シラングラフト化EVAを調整した。
〈ノンハロゲン難燃樹脂組成物の調整〉
次に、上記で調整されたシラングラフト化EVA、非極性ポリオレフィン(A)としてのエチレンα−オレフィン共重合体(タフマA1070S、三井化学製)、及びシラノール縮合触媒としてのジブチル錫ラウリレート(TN−12、堺化学工業製)を、所定の配合比で混合し、その混合物をスクリュー直径41mmの2軸押出機(L/D=60)により混練した。混練により、シラングラフト化EVAを動的架橋によりシラン架橋させて、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との海島構造を有するペレット化された混合物を得た。なお、混練条件としては、シリンダー温度を180℃、スクリュー回転数を300rpmに設定した。
続いて、上記で得られた混練物及び金属水酸化物(C)を所定の配合比で混合し、その混合物を、50℃に設定された3Lニーダで混練して、混合物の自己発熱により150℃まで昇温させた後、落下させて本実施例のノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整した。金属水酸化物(C)としては、水酸化マグネシウム(キスマ5L、協和化学製)、又は水酸化アルミニウム(BF013STV、日本軽金属製)を用いた。
実施例1〜9のノンハロゲン難燃樹脂組成物の調整条件を以下の表1に示す。
Figure 0005794216
実施例1〜4では、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との添加量比(質量比A:B)を適宜変更して、ノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整した。具体的には、質量比A:Bを、実施例1では20:80に、実施例2では30:70に、実施例3では70:30に、実施例4では80:20にそれぞれ変更した。なお、実施例1〜4では、シラノール縮合触媒の添加量がシラングラフト化EVA100質量部に対して0.05質量部となるように適宜変更している。
実施例5〜8では、非極性ポリオレフィン(A)とシラン架橋されたEVA(B)との添加量比(質量比A:B)を30:70に固定して、金属水酸化物(C)としての水酸化マグネシウムの添加量を適宜変更した。具体的には、金属水酸化物(C)の添加量を、実施例5では40質量部、実施例6では50質量部、実施例7では300質量部、実施例8では310質量部にそれぞれ変更した。また、実施例9では、金属水酸化物(C)の種類を水酸化アルミニウムに変更した以外は実施例2と同様の条件で調整した。
〈ケーブルの製造〉
次に、上記で調整された実施例1〜9のノンハロゲン難燃樹脂組成物を用いて、実施例1〜9のケーブルを製造した。具体的には、シリンダー温度が180℃に設定されたスクリュー直径40mmの単軸押出機(L/D=24)を用いて、ケーブルコアに上記ノンハロゲン難燃樹脂組成物を厚さ0.45mmで押出被覆し、被覆層(シース)を形成してケーブルを製造した。なお、ケーブルコアとしては、外径0.40mmの錫めっき導体を80本撚り合わせたものを使用した。
〈ケーブルの評価〉
次に、上記で製造された実施例1〜9のケーブルについて、以下に示される試験方法によりケーブルのシースの各種特性を評価した。以下、それぞれについて説明をする。
(相構造の評価)
シースから切削された薄膜切片(0.45mm×2.0mm×2.0mm)を四酸化ルテニウムで染色して、薄膜切片の切削面にFIB(集束イオンヒビーム)法によりスパッタリングを行った。その後、薄膜切片のスパッタリングした面をSEM(示差走査型電子顕微鏡)により断面観察した。この際、EVA相は四酸化ルテニウムに染色されるため明るい像が観察される一方、非極性ポリオレフィン相は暗い像が観察される。断面観察により、シラン架橋されたEVA相への金属水酸化物の混入の有無を確認した。以下の基準により評価を行った。
○:金属水酸化物のEVA相への混入が確認されない
×:金属水酸化物のEVA相への混入が確認される
実施例1〜9のケーブルのシースについて、その相構造を評価したところ、いずれのシースにおいてもEVA相中への金属水酸化物(C)の混入は確認されず、「○」であった。
(電気特性の評価)
EN50264−3−1(7.7項)に準拠して、ケーブルを85℃の3%濃度塩水に浸漬し、1.5kVマイナス課電する直流安定性試験により行った。以下の基準により評価を行った。
○:10日で短絡しない
×:10日未満で短絡する
実施例1〜9のケーブルのシースについて、その電気特性を評価したところ、いずれのケーブルにおいても10日で短絡しないことが確認され、電気特性に優れることが確認された。
(押出加工性の評価)
ノンハロゲン難燃樹脂組成物をスクリュー直径40mmの単軸押出機で押出を実施したときの最高引取り速度により行った。以下の基準により評価を行った。
◎:最高引取り速度が20m/min以上
○:最高引取り速度が1m/min以上20m/min未満
×:全く引取れない
実施例1〜9のノンハロゲン難燃樹脂組成物について、その押出加工性を評価したところ、実施例1が「○」であり、実施例2〜8が「◎」であった。
(難燃性の評価)
ケーブルにEN60332−1−2に準拠した垂直難燃試験を実施し、自己消火したものを「◎◎」とした。垂直難燃試験で不合格であったケーブルにJISC3005に準拠した60度傾斜燃焼試験を実施し、自己消火したものを「◎」とした。60度傾斜燃焼試験で不合格であったケーブルにJISC3005に準拠した水平燃焼試験を実施し、自己消化したものを「○」とした。すべての燃焼試験に不合格のものを「×」とした。
実施例1〜9のケーブルについて、そのシースの難燃性を評価したところ、実施例1、2、7〜9が「◎◎」であり、実施例3、6が「◎」であり、実施例4、5が「○」であった。
(伸び率の評価)
ケーブルのシースから薄膜切片を切削し、6号ダンベル試験片に打ち抜いた後に、引張速度200mm/min、評線間距離20mmで実施した。以下の基準により評価を行った。
◎:伸び率が200%以上
○:伸び率が150%以上200%未満
×:伸び率が150%未満
実施例1〜9のケーブルについて、その伸び率を評価したところ、実施例8が150%以上200%未満であって「○」である以外は、200%以上であって「◎」であった。
(総合評価)
上記評価方法による結果に基づいて、総合評価を行った。以下の基準により評価を行った。
◎:全ての評価において、特に良好
○:全ての評価において、×を含まない
×:いずれかの評価において、×を含む
実施例1〜9のケーブルの総合評価は◎又は○であり、良好な特性を有することが確認された。以上の評価結果を以下の表2に示す。
Figure 0005794216
(比較例1)
比較例1では、シラングラフト化EVAの種類を変更して、酢酸ビニル含有量が19質量%のEVA(EV460、三井デュポンケミカル社製)にシラン化合物をグラフト反応させたシラングラフト化EVAを用いた以外は、実施例2と同様の製造条件でノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整し、ケーブルを製造した。比較例1の調整条件を以下の表3に示す。
Figure 0005794216
比較例1のケーブルについて、実施例と同様に評価を行った。その結果、相構造の評価において、断面観察で暗く観察される非極性ポリオレフィン相(海相)だけでなく、明るく観察されるEVA相(島相)にも、水酸化マグネシウムの粒子が混入していることが確認された。また、電気特性の評価において、直流安定性試験の結果、1日で短絡することが確認された。比較例1の評価結果を以下の表4に示す。
Figure 0005794216
(比較例2)
比較例2では、金属水酸化物(C)の添加するタイミングを変更した以外は、実施例2と同様の条件でノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整した。
具体的には、調整されたシラングラフトEVAを70質量部、非極性ポリオレフィン(A)を30質量部、シラノール縮合触媒を0.035質量部、そして金属水酸化物(C)としての水酸化マグネシウムを200質量部添加して混練するとともに、EVAをシラン架橋することで、ノンハロゲン難燃樹脂組成物を調整した。
比較例2のケーブルについて、実施例と同様に評価を行った。その結果、相構造の評価において、断面観察で暗く観察される非極性ポリオレフィン相(海相)だけでなく、明るく観察されるEVA相(島相)にも、水酸化マグネシウムの粒子が混入していることが確認された。また、電気特性の評価において、直流安定性試験の結果、1日で短絡することが確認された。
1 絶縁電線
2 ケーブル
10 導体
11 絶縁層
12 シース



Claims (5)

  1. 非極性ポリオレフィン(A)と、
    シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、
    金属水酸化物(C)と、を含有し、
    前記非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相が分散している海島構造を有しており、
    前記金属水酸化物(C)が、前記海相のみに分散しているノンハロゲン難燃樹脂組成物であって、
    前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)は、酢酸ビニルの含有量が20質量%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体がシラン架橋されたことを特徴とするノンハロゲン難燃樹脂組成物。
  2. 前記非極性ポリオレフィン(A)と前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)とを質量比(A:B)で70:30〜30:70の範囲内の割合で含有し、
    前記(A)と前記(B)との合計100質量部に対して、前記金属水酸化物(C)を50質量部以上300質量部以下含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のノンハロゲン難燃樹脂組成物。
  3. 非極性ポリオレフィン(A)と、シラン架橋され、酢酸ビニルの含有量が20質量%以上のエチレン酢酸ビニル共重合体(B)と、金属水酸化物(C)と、を含有するノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法であって、
    前記非極性ポリオレフィン(A)及びエチレン酢酸ビニル共重合体を混練するとともに、前記エチレン酢酸ビニル共重合体をシラン架橋することで、前記非極性ポリオレフィン(A)を含む海相中に、前記シラン架橋されたエチレン酢酸ビニル共重合体(B)を含む島相を分散させる工程と、
    前記海相中に前記金属水酸化物(C)を添加し、分散させる工程と、
    を有することを特徴とするノンハロゲン難燃樹脂組成物の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のノンハロゲン難燃樹脂組成物から構成される絶縁層を導体の外周上に備える
    ことを特徴とする絶縁電線。
  5. 請求項1又は2に記載のノンハロゲン難燃樹脂組成物から構成されるシースを、導体の外周上に絶縁層を有する絶縁電線又は前記絶縁電線を複数撚り合わせてなるコア上に備える
    ことを特徴とするケーブル。
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