JP3362629B2 - 薄肉絶縁電線及びその製造方法 - Google Patents

薄肉絶縁電線及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉絶縁電線及び
その製造方法に係り、特に、絶縁体被膜の厚さが0.3
mm以下の車両用薄肉絶縁電線及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用絶縁電線には、難燃ポリエ
チレン、難燃架橋ポリエチレン、およびPVC等を、導
体の周囲に絶縁厚さ0.8〜1.0mmに被覆したもの
が使われてきた。
【0003】一般に、難燃架橋ポリエチレンのベースポ
リマには、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等
を用いており、これらのポリエチレンの難燃化のために
は、ハロゲン系難燃剤と無機系難燃助剤を一緒に添加す
る方法がこれまでにも知られている。
【0004】また、架橋技術に関しては、ポリエチレン
の架橋度および機械的特性等の向上に有効な手段とし
て、電子線照射時に架橋助剤を添加する方法が知られて
いる。
【0005】近年、車両用絶縁電線の軽量化・省スペー
ス化のニーズが高まってきており、電線の絶縁体被膜の
薄肉化要求が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、絶縁体被膜の厚さが0.8mmの従来の絶縁電線に
使用されている難燃架橋ポリエチレンを用いて、絶縁体
被膜の厚さが0.2mmの薄肉絶縁電線を作製すると、
この薄肉絶縁電線の破壊電圧は大幅に低下してしまい、
例えば、300m以上の長尺の薄肉絶縁電線電線の場
合、水中における耐電圧は3kVを下回ってしまう。
【0007】そこで本発明は、上記課題を解決し、絶縁
体被膜の厚さが薄肉であっても難燃性および水中におけ
る破壊電圧に優れた薄肉絶縁電線及びその製造方法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に請求項1の発明は、ポリエチレン100重量部に対し
てデカブロモジフェニルエーテルを3〜30重量部およ
び架橋助剤をデカブロモジフェニルエーテル全量の30
重量%以上配合・混練した組成物からなる絶縁体を、導
体の周囲に押出被覆形成すると共に、照射架橋してなる
絶縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、水中における破
壊電圧が6kV以上としたものである。
【0009】請求項2の発明は、ポリエチレン100重
量部に対してデカブロモジフェニルエーテルを3〜30
重量部および架橋助剤をデカブロモジフェニルエーテル
全量の30重量%以上配合・混練した組成物からなる絶
縁体を、導体の周囲に押出被覆形成すると共に、照射架
橋してなる絶縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、水中
における破壊電圧が6kV以上である薄肉絶縁電線の製
造に際して、上記混練温度または上記押出被覆時におけ
る押出温度が260℃以上としたものである。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】上記数値範囲を限定した理由を以下に説明
する。
【0018】絶縁体被膜中に分散しているデカブロモジ
フェニルエーテルの凝集体の平均粒径が7μm以下と限
定したのは、デカブロモジフェニルエーテルの凝集体の
平均粒径が7μmよりも大きいと破壊電圧が低下するた
めである。
【0019】デカブロモジフェニルエーテルの配合量
が、ポリエチレン100重量部に対して3〜30重量部
であると限定したのは、デカブロモジフェニルエーテル
の配合量が3重量部よりも少ないと、十分な難燃性が得
られず、30重量部よりも多いと、破壊電圧が低下する
ためである。
【0020】架橋助剤の配合量が、デカブロモジフェニ
ルエーテル全重量の30重量%以上と限定したのは、デ
カブロモジフェニルエーテル全重量の30重量%よりも
架橋助剤の配合量が少ないと、組成物の混練時にデカブ
ロモジフェニルエーテルの融点降下が十分に起こらなく
なり、デカブロモジフェニルエーテルが十分に溶融でき
なくなると共に、分散性が悪化し、破壊電圧が低下する
ためである。
【0021】混練温度または押出被覆時における押出温
度を260℃以上と限定したのは、混練温度または押出
温度が260℃よりも低いと、平均粒径が7μmよりも
大きな凝集体としてデカブロモジフェニルエーテルが分
散するためである。
【0022】以上の構成によれば、絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
となるべく、ポリエチレン100重量部に対してデカブ
ロモジフェニルエーテルおよび架橋助剤を配合・混練し
た組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出被覆形成
し、その後、照射架橋を施すため、絶縁体被膜の厚さが
薄肉であっても難燃性および水中における破壊電圧に優
れた薄肉絶縁電線を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0024】上述したように、従来技術においては、絶
縁体被膜の厚さが0.3mm以下で、水中における破壊
電圧が6kV以上である絶縁電線の作製は極めて困難で
あったが、本発明者らが鋭意検討した結果、ポリエチレ
ン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテル
の配合量を3〜30重量部に低減しても、絶縁体被膜の
厚さが0.3mm以下の薄肉絶縁電線にあっては難燃性
を確保でき、また、このデカブロモジフェニルエーテル
を絶縁体被膜中に平均粒径が7μm以下の凝集体として
微分散させることによって、難燃性を確保したまま水中
における破壊電圧を向上させることができるということ
を見出した。
【0025】本発明の薄肉絶縁電線は、ポリエチレン1
00重量部に対して3〜30重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、そのデカブロモジフェニルエーテル全重
量の30重量%以上の架橋助剤、および難燃助剤を配合
・混練した組成物からなる絶縁体を、導体の周囲に押出
被覆形成すると共に、照射架橋してなるものである。
【0026】架橋助剤としては、ある程度デカブロモジ
フェニルエーテル中に溶解し、かつ、デカブロモジフェ
ニルエーテルの融点を降下させるものが好ましく、特
に、ポリエチレンとの混練性に優れた3官能以上のモノ
マが望ましく、例えば、トリアリルイソシアヌレート、
トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート等が挙げられる。
【0027】架橋助剤の配合量上限は、特に限定するも
のではないが、組成物中に架橋助剤を多量に配合すると
ブリード等が生じる場合があるので、その場合は、絶縁
体被膜の周囲に新たに外層を設けてもよい。
【0028】難燃助剤としては、特に限定するものでは
ないが、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモ
ン、三塩化アンチモン等のアンチモン化合物が挙げられ
る。
【0029】ポリエチレンの重合法、密度、メルトイン
デックス等については、特に限定するものではない。
【0030】尚、組成物中には、適宜、酸化防止剤、加
工助剤、滑材、着色剤、充填剤等を配合しても良いこと
は言うまでもない。
【0031】次に、本発明の方法を説明する。
【0032】先ず、ポリエチレン100重量部に対して
3〜30重量部のデカブロモジフェニルエーテル、その
デカブロモジフェニルエーテル全重量の30重量%以上
の架橋助剤、および難燃助剤を配合・混練してなる組成
物を作製する。その後、この組成物を絶縁体として、導
体の周囲に押出被覆形成する。
【0033】この時、破壊電圧を向上させるべく、難燃
剤であるデカブロモジフェニルエーテルを組成物(また
は絶縁体)中に微分散する必要があり、特に、平均粒径
が7μmの凝集体として分散することが重要となる。こ
のため、デカブロモジフェニルエーテルの融点が310
℃であることを考慮して、この温度付近で混練または押
出被覆成形を行う必要がある。本発明者らが鋭意検討し
た結果、特に、260℃以上の温度で混練または押出被
覆成形を行うことで、デカブロモジフェニルエーテル
は、組成物(または絶縁体)中に平均粒径が7μmの凝
集体として分散することを見出した。
【0034】すなわち、組成物を混練することにより架
橋助剤がデカブロモジフェニルエーテル中に溶解し、こ
れによって、デカブロモジフェニルエーテルの融点が約
270℃まで低下する。このため、260℃以上の混練
または押出被覆成形で、組成物(または絶縁体)中に平
均粒径が7μmのデカブロモジフェニルエーテル凝集体
を分散させることができるようになる。
【0035】混練または押出被覆成形温度の上限は、特
に限定するものではないが、あまり温度が高すぎると架
橋助剤の反応による押出性の低下等が予想されるため、
300℃程度とすることが望ましい。
【0036】その後、導体の周囲に押出被覆形成された
絶縁体被膜に照射架橋を施して、絶縁体被膜の厚さが
0.3mm以下で、水中における破壊電圧が6kV以上
の薄肉絶縁電線を得る。
【0037】すなわち、本発明の薄肉絶縁電線の製造方
法によれば、難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテ
ルを用い、かつ、ポリエチレン100重量部に対するデ
カブロモジフェニルエーテルの配合量、デカブロモジフ
ェニルエーテル全重量に対する架橋助剤の配合量、およ
び混練温度を規定範囲内に制御しているため、絶縁体被
膜の厚さが0.3mm以下と薄肉であっても、水中にお
ける破壊電圧が6kV以上である薄肉絶縁電線を得るこ
とができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)ポリエチレン(三井ポリケミカル(株)製
のミラソン3530、密度:0.92、MI:0.2
5)100重量部に対して、5重量部のデカブロモジフ
ェニルエーテル(マナック(株)製のEB−10、融
点:285℃、Br含有量:81〜83%)、3重量部
の架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)、10重量
部の難燃助剤(三酸化アンチモン)、4重量部の酸化防
止剤(メルカプトベンズイミダゾール)、および1重量
部のカーボンブラックを配合する。
【0039】その後、この配合物を260℃で混練して
なる組成物を絶縁体として、外径0.32mmの銅線を
7本撚合わせてなる導体の周囲に押出被覆形成すると共
に、その絶縁体被膜に照射量が20Mradの電子線を
照射して電子線架橋を施し、薄肉絶縁電線を得る。
【0040】(実施例2)ポリエチレン(三井石油化学
工業(株)製のネオゼックス3510F、密度:0.9
35、MI:1.6)100重量部に対して、7重量部
のデカブロモジフェニルエーテル、5重量部の架橋助
剤、5重量部の難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、およ
び1重量部のカーボンブラックを配合する。
【0041】その後、この配合物を270℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0042】(実施例3)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、5重量部の架橋助剤、2重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0043】その後、この配合物を280℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0044】(実施例4)ポリエチレン(三井石油化学
工業(株)製のハイゼックス5305E、密度:0.9
58、MI:0.4)100重量部に対して、15重量
部のデカブロモジフェニルエーテル、10重量部の架橋
助剤、2重量部の難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、お
よび1重量部のカーボンブラックを配合する。
【0045】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0046】(実施例5)実施例4と同じポリエチレン
100重量部に対して、25重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、15重量部の架橋助剤、4重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0047】その後、この配合物を290℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0048】(比較例1)実施例1と同じポリエチレン
100重量部に対して、2重量部のデカブロモジフェニ
ルエーテル、2重量部の架橋助剤、5重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0049】その後は、実施例2と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0050】(比較例2)実施例1と同じポリエチレン
100重量部に対して、40重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、15重量部の架橋助剤、5重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0051】その後は、実施例2と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0052】(比較例3)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、10重量部の架橋助剤、2重量部の難燃
助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボ
ンブラックを配合する。
【0053】その後、この配合物を250℃で混練して
なる組成物を絶縁体とし、後は、実施例1と同様にして
薄肉絶縁電線を得る。
【0054】(比較例4)実施例2と同じポリエチレン
100重量部に対して、15重量部のデカブロモジフェ
ニルエーテル、1重量部の架橋助剤、2重量部の難燃助
剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカーボン
ブラックを配合する。
【0055】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0056】(比較例5)実施例4と同じポリエチレン
100重量部に対して、10重量部の難燃剤(エチレン
ビス−テトラブロモフタルイミド、融点:446℃、B
r含有量:66%)、5重量部の架橋助剤、5重量部の
難燃助剤、4重量部の酸化防止剤、および1重量部のカ
ーボンブラックを配合する。
【0057】その後は、実施例3と同様にして薄肉絶縁
電線を得る。
【0058】次に、これらの実施例1〜5および比較例
1〜5の各薄肉絶縁電線に、破壊電圧測定試験および難
燃性試験を施す。各試験の詳細を以下に説明する。
【0059】(破壊電圧測定試験)破壊電圧測定試験は
JISC−3005の水中耐電圧試験に準じて行い、条
長300mmの各薄肉絶縁電線に1kVで1min間課
電した後、0.5kV/minの速度で昇圧してゆくこ
とによって、破壊電圧(kV)を測定した。
【0060】(難燃性試験)難燃性試験はJISC−3
005の傾斜試験に準じて行い、鉛直方向に対して60
°傾斜した各薄肉絶縁電線に所定時間炎を当て、その
後、炎を取り去って60秒以内で自己消火したものを合
格(○)、炎を取り去った後60秒たっても自己消火し
ないものを不合格(×)とした。
【0061】実施例1〜5および比較例1〜5の各薄肉
絶縁電線の諸元および試験結果(評価)を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1に示すように、本発明に係る実施例1
〜5の各薄肉絶縁電線は、難燃剤としてデカブロモジフ
ェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチレン100重量
部に対するデカブロモジフェニルエーテルの配合量、デ
カブロモジフェニルエーテル全重量に対する架橋助剤の
配合量、および混練温度を規定範囲内に制御しているた
め、いずれも破壊電圧が6kVを超えていると共に、難
燃性も合格であった。
【0064】これに対して、比較例1の薄肉絶縁電線
は、難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテルを用い
ており、破壊電圧は6kVを超えているものの、ポリエ
チレン100重量部に対するデカブロモジフェニルエー
テルの配合量が規定範囲(3〜30重量部)よりも少な
い2重量部であるため、難燃性が不合格である。逆に、
比較例2の薄肉絶縁電線は、ポリエチレン100重量部
に対するデカブロモジフェニルエーテルの配合量が規定
範囲(3〜30重量部)よりも多い40重量部であるた
め、難燃性は合格であるものの、破壊電圧が6kVを下
回っている。
【0065】比較例3の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
デカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチ
レン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテ
ルの配合量およびデカブロモジフェニルエーテル全重量
に対する架橋助剤の配合量を規定範囲内に制御している
ものの、混練温度が規定範囲(260℃以上)よりも低
い250℃であるため、破壊電圧が6kVを下回ってい
る。
【0066】これは、比較例3の薄肉絶縁電線の絶縁被
膜体の横断面を走査型電子顕微鏡で観察すると、平均粒
径が約20μmのデカブロモジフェニルエーテルの2次
凝集体と思われる巨大粒子が観察されることからも自明
である。
【0067】比較例4の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
デカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリエチ
レン100重量部に対するデカブロモジフェニルエーテ
ルの配合量および混練温度を規定範囲内に制御している
ものの、デカブロモジフェニルエーテル全重量に対する
架橋助剤の配合量が規定範囲(30重量%以上)よりも
少ない6.7重量%であるため、破壊電圧が6kVを下
回っている。
【0068】これは、デカブロモジフェニルエーテル全
重量に対する架橋助剤の配合量が規定範囲(30重量%
以上)よりも少ないことにより、デカブロモジフェニル
エーテルの融点降下が十分に起こらなくなり、デカブロ
モジフェニルエーテルが十分に溶融できなくなると共
に、分散性が悪化することに起因する。
【0069】比較例5の薄肉絶縁電線は、難燃剤として
エチレンビス−テトラブロモフタルイミドを用いている
ため、破壊電圧が6kVを下回っている。
【0070】これは、エチレンビス−テトラブロモフタ
ルイミドの融点が高すぎて(446℃)、本実施例にお
ける280℃の混練温度では溶融できないため、絶縁体
被膜中へのエチレンビス−テトラブロモフタルイミドの
分散が不十分となることに起因する。
【0071】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、難燃剤と
してデカブロモジフェニルエーテルを用い、かつ、ポリ
エチレン100重量部に対するデカブロモジフェニルエ
ーテルの配合量、デカブロモジフェニルエーテル全重量
に対する架橋助剤の配合量、および混練温度を規定範囲
内に制御することで、絶縁体被膜の厚さが0.3mm以
下と薄肉であっても、水中における破壊電圧が6kV以
上である薄肉絶縁電線を得ることができるという優れた
効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C08K 5/03 C08K 5/03 C08L 23/06 C08L 23/06 (72)発明者 幡谷 昌彦 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社 日高工場内 (72)発明者 石川 正人 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社 日高工場内 (72)発明者 柏崎 茂 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日 立電線株式会社 パワーシステム研究所 内 (56)参考文献 特開 平6−168627(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/16 - 3/56 C08K C08L

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン100重量部に対してデカ
    ブロモジフェニルエーテルを3〜30重量部および架橋
    助剤をデカブロモジフェニルエーテル全量の30重量%
    以上配合・混練した組成物からなる絶縁体を、導体の周
    囲に押出被覆形成すると共に、照射架橋してなる絶縁体
    被膜の厚さが0.3mm以下で、水中における破壊電圧
    が6kV以上であることを特徴とする薄肉絶縁電線。
  2. 【請求項2】 ポリエチレン100重量部に対してデカ
    ブロモジフェニルエーテルを3〜30重量部および架橋
    助剤をデカブロモジフェニルエーテル全量の30重量%
    以上配合・混練した組成物からなる絶縁体を、導体の周
    囲に押出被覆形成すると共に、照射架橋してなる絶縁体
    被膜の厚さが0.3mm以下で、水中における破壊電圧
    が6kV以上である薄肉絶縁電線の製造に際して、上記
    混練温度または上記押出被覆時における押出温度が26
    0℃以上であることを特徴とする薄肉絶縁電線の製造方
    法。
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