JP3674113B2 - 直流用高圧電線 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、テレビジョン受信機の高圧リード線や電子機器類の高圧配線などに使用する直流用高圧電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョン受信機の高圧リード線などに用いられる直流用高圧電線としては、特公昭51−8465号公報、実公昭56−55859号公報、特公昭60−38805号公報などに示されたものが知られている。
特公昭51−8465号公報には、導体上にポリエチレン絶縁層を設け、その外周にエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルの三元共重合体を主体とする樹脂組成物からなるシース層を設けた難燃性と高温電気特性に優れた絶縁電線が示されている。
また、実公昭56−55859号公報には、導体上にポリエチレン絶縁体、その外周に電子線照射ポリ塩化ビニルの難燃樹脂層,さらにその外周に架橋ポリエチレンのシース層を順次設けた三層構造のテレビジョン受信機の高圧リード線が示されている。
さらに,特公昭60−38805号公報には、導体上にポリエチレンを主体とする樹脂組成物からなる絶縁層を設け、その外周に難燃性シース層を設けた構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記直流用高圧電線は、いずれもその用途上、300kV以上の高い破壊電圧を必要とする。しかし、電子線等の電離放射線の照射により絶縁層の樹脂組成物を架橋すると、照射条件によっては破壊電圧が低下するケースがある。一般に、高圧電線の破壊電圧は、長期使用中に初期の破壊電圧に比べて低下する傾向があるので、初期の破壊電圧が低いと、破壊に至るまでの時間、すなわち、寿命が短くなってしまう。
つまり、本用途で使用する直流用高圧電線は、300kV以上の高い初期破壊電圧を有し、長期使用に対する高い信頼性を持つことが必要となる。
絶縁体を電子線等の電離性放射線の照射によって架橋した直流用高圧電線には、絶縁材料の配合組成によって初期破壊電圧が低下する場合がある。これは、電子線照射後に絶縁材料中に電荷が残留することが要因の一つであると考えられ、これの低減が必要であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
ポリエチレンに有極性分子をグラフトしたポリオレフィンを添加してなる樹脂組成物を導体上に被覆して絶縁層を形成し、その外周に難燃性樹脂組成物を被覆してシース層を形成し、前記絶縁層が電子線照射されてなる直流用高圧電線である。
【0005】
絶縁材料の配合組成を変更することで、電荷蓄積の低減を検討したところ、有極性分子をグラフトしたポリオレフィンを絶縁材料に添加することで、電子線照射による電荷の蓄積を低減し、高い破壊電圧を維持できる直流用高圧電線を得た。
すなわち、本発明は、導体上にポリエチレンを主体とする樹脂組成物からなる絶縁層が設けられ、その外周にポリ塩化ビニルをグラフトしたポリオレフィンを主体とする難燃性樹脂組成物からなるシース層を設けられた構造を有し、絶縁層のポリエチレン中に、特定の構造の配合剤を必須の成分として含み、電子線照射を用いる直流用高圧電線にある。
【0006】
【実施の態様】
以下、本発明を詳細に説明する。図1は,本発明の直流用高圧電線の横断面の一例である。図1において、1は導体、2はポリエチレンを主体とする樹脂組成物による絶縁層、3は難燃性樹脂組成物からなるシース層である。
絶縁層2は、ポリエチレンに有極性分子をグラフトしたポリオレフィンを必須の成分として添加してなる樹脂組成物を使用する。
添加材料の有極性分子とは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシメチレン、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテル/ポリエステル/ポリアミドブロック共重合体などがあり、また、それをグラフトするポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリレート共重合体などがある。また、その添加量は、少な過ぎると、その効果が小さく、多すぎると体積固有抵抗を大きく低下させ、破壊電圧を低下させてしまうので、ポリエチレン100重量部に対して0.01重量部以上2.0重量部以下が望ましく、さらに、0.02重量部以上1.0重量部以下であることが好ましい。
【0007】
ベース樹脂のポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどから、電線としての必要特性に応じて選定することができる。
シース層3には、ポリ塩化ビニルをグラフトしたポリオレフィン樹脂を主体とする樹脂組成物を使用する。
導体1は、軟銅、硬銅などの銅線、または、その外層に錫などをメッキしたメッキ線の単線、撚線を使用する。
電子線照射すると、破壊電圧が低下するケースがある。これは、照射によって絶縁層に電荷が蓄積することが要因の一つであると考えられるが、本発明による直流用高圧電線では、有極性分子をグラフトしたポリオレフィンが、この電荷の蓄積を低減し、照射による破壊電圧低下を低減することができる。
【0008】
ただし、有極性分子、もしくは、ポリオレフィンをそれぞれ単体で絶縁層の樹脂組成物に添加しても、照射による破壊電圧低下を低減することはできず、有極性分子をグラフトしたポリオレフィンを添加した場合にのみ、照射しても破壊電圧が低下することなく、長期使用に対する高い信頼性を得ることができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明するが、これらは、本発明の範囲を限定しない。
【0009】
導体として、外径0.26mmφ錫メッキ軟銅線(錫メッキ厚み:約0.5μm)の7本撚り導体(外径0.78mmφ)を使用し、高密度ポリエチレン(密度:0.95g/cm3、メルトフローレート 0.8、ASTM D1238)100重量部に、酸化防止剤を0.1〜5.0重量部添加した材料を溶融押出法で導体上に外径2.98mmφとなるように押出して絶縁層を形成した。
【0010】
絶縁材料には、酸化防止剤として,4,4’−チオビス−(6−第三ブチル−3メチルフェノール)を0.5重量部、分子量約400程度のポリエチレングリコールをグラフトしたエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を0.02〜1.0重量部添加した高密度ポリエチレンを用いた。
シース層用の樹脂組成物は次のようにして作製した。ポリ塩化ビニルをグラフトしたエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA含量55%、ポリ塩化ビニル重合度1400、住友化学工業(株)製)100重量部に対し、ステアリン酸を0.5重量部、デクロランプラス25を25重量部、三酸化アンチモンを15重量部、クレーを25重量部、4,4'-チオビス(6-第三ブチル-3-メチルフェノール)を0.5重量部,三塩基性硫酸鉛を10重量部の割合で140℃に加熱したオープンロールミキサーで混練混合してペレット化した。上記の材料を先の絶縁層上に外径が5.20mmφとなるように溶融押出した後、加速電圧が2MVの電子線を250kGy照射して直流用高圧電線を得た。
【0011】
この電線を試料として、水中での破壊電圧を測定した。水中での破壊電圧値は、水槽中で電線試料の水中部分が約10mとなるようにセットし、水側をアースとして導体側に正電圧を10kV/秒で昇圧課電し、破壊電圧をn=5で測定し、300kVに達しても破壊しない場合は、さらに1分間課電し、それでも破壊に至らない場合は300kV以上の破壊電圧であると判定した。同一試料を5点用意し、それぞれについて破壊試験を実施し、5点がすべて300kV以上の場合を優(合格)、4点が300kV以上で、残りの1点が270kV以上の場合を良(合格)、3点が300kV以上で、残りの2点が270kV以上の場合を可(合格)、それ以外の場合を不合格とした。
【0012】
表1中実施例1に示すように、高密度ポリエチレンにポリエチレングリコール(分子量約400)をグラフトしたEVAを0.02重量添加すると、破壊電圧は全数300kV以上となる。
実施例2〜4に示すように、添加量を0.1重量部、0.2重量部、1.0重量部と変量しても、この範囲では、破壊電圧はいずれも全数300kV以上となる。
【0013】
【表1】
【0014】
表2中実施例6〜8に示すように、本発明で定義した添加剤をそれぞれ0.01重量部、1.5重量部、2.0重量部添加すると、5点中1点は300kV未満となるが、その1点は270kV以上の値となり、良となる。
また、実施例5、9に示すように、0.005重量、3.0重量部添加すると、5点中2点が300kV未満となるが、その2点はいずれも270kV以上となり、可となる。
【0015】
【表2】
【0016】
表3中比較例1に示すように、本発明に記載した添加剤を加えない場合、5点中2点が300kV未満となり、かつ、その2点がともに270kV以上とはならず、不合格となる。
比較例2、3に示すように、有極性分子、ポリエチレングリコール(分子量約400)を単体で0.2重量部、0.5重量部添加しても、5点中2点が300kV未満となり、かつ、その2点がともに270kV以上とはならず、不合格となる。
比較例4、5に示すように、同じく有極性分子、ポリオキシエチレンジアミン(分子量約600)を単独で添加しても、5点中2点が300kV未満となり、かつ、その2点がともに270kV以上とはならず、不合格となる。
また、比較例6、7に示すように、EVAを単独で添加しても、5点中2点が300kV未満となり、かつ、その2点がともに270kV以上とはならず、不合格となる。
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は有極性分子をグラフトしたポリオレフィンをポリエチレンに添加して絶縁層とし、電子線照射架橋することで、初期破壊電圧を低下させることなく、かつ、耐熱老化特性の点でも優れた高圧電線を得ることができるので、テレビジョン受信機の高圧リード線や電子機器類の高圧配線などに使用する直流用高圧電線として利用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1:導体
2:絶縁層
3:シース層
Claims (3)
- ポリエチレンにポリエチレングリコールをグラフトしたポリオレフィンを添加してなる樹脂組成物を導体上に被覆して絶縁層を形成し、その外周に難燃性樹脂組成物を被覆してシース層を形成し、前記絶縁層が電子線照射されてなることを特徴とする直流用高圧電線。
- 前記ポリオレフィンがエチレン酢酸ビニル共重合体である請求項1に記載の直流用高圧電線。
- 前記ポリエチレングリコールをグラフトしたポリオレフィンの前記ポリエチレンへの添加量が、ポリエチレン100重量部に対して0.01重量部以上2.0重量部以下である請求項1又は請求項2に記載の直流用高圧電線。
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