JPH1025441A - インキ・塗料用分散ゲル化剤 - Google Patents

インキ・塗料用分散ゲル化剤

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JPH1025441A
JPH1025441A JP18312696A JP18312696A JPH1025441A JP H1025441 A JPH1025441 A JP H1025441A JP 18312696 A JP18312696 A JP 18312696A JP 18312696 A JP18312696 A JP 18312696A JP H1025441 A JPH1025441 A JP H1025441A
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正大 矢坂
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度の経時的な変化が少なく、高速、自動印
刷に適する印刷インキの製造を可能とするゲル化剤で、
これ自身がインキ、塗料用顔料分散剤として有用である
新規なマグネシウム金属キレート誘導体を提供する。 【解決手段】 一般式(1) Mg(R1O)(CH3COCHCOOR2) (1) (但し、式中において、R1は炭素数1〜18の直鎖ま
たは分岐のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素
数3〜18の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケ
ニル基を示す。)で示されるマグネシウム金属キレート
誘導体であることを特徴とするインキ・塗料用分散ゲル
化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ・塗料分野
においてゲル化剤あるいは分散剤として使用される、新
規な化合物であるマグネシウム金属キレート誘導体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、印刷インキのゲル化剤としては一
般的にアルミニウムキレート、アルミニウムオリゴマー
のような3価の有機金属化合物やチタン、ジルコニウム
などのアルコキシド化合物やキレート化合物等の4価の
金属有機化合物が使用されていた。これらの3価もしく
は4価の有機金属化合物は増粘効果は大きいが、調製さ
れたインキゲルワニス等において用いられる樹脂や溶剤
などの種類によっては、経時的に反応が進行して、希望
する粘度以上となる場合があった。
【0003】インキゲルワニスを調製するには、インキ
用樹脂,溶剤およびゲル化剤を混合したものを150〜
200℃程度の温度で数時間加熱処理を行うのが一般的
である。先にあげた3価ないし4価の有機金属化合物を
インキワニスのゲル化剤として用いた場合、この程度の
加熱処理では、多くの場合ゲル化に寄与する反応性基の
一部が未反応のまま残ってしまう。このように残った未
反応性基が樹脂と経時的に徐々に反応するため、インキ
の粘度が経時的に増加するという現象が起き、印刷イン
キとして使用する際に問題となっている。
【0004】また、一部のアルミニウムキレートおよび
チタンキレートはインキ・塗料用の顔料分散剤として使
用されるものがあるが、これらの化合物に関しても使用
される樹脂の種類によっては増粘またはゲル化する場合
がある。
【0005】さらに近年の印刷技術の進歩は目覚まし
く、印刷速度の高速化、印刷の自動化を達成するために
印刷インキの高機能化が必要になっている。印刷を高速
化するとスカミング、ミスチング、ガイドローラー汚れ
が問題になるが、これらの欠点を改良するために印刷イ
ンキの粘弾性を適正化する必要があり、樹脂の改良、乾
燥方法の改良、ゲル化剤の改良が行われているが、既存
の3価、4価のキレート化合物では要求される性能、機
能を付与することはできなかった。
【0006】このような要望を満足するためには、ゲル
ワニス調製時に適度なゲル化反応を行わせる必要があ
る。ゲルワニス調製時に適度なゲル化反応を行わせるゲ
ル化剤として、マグネシウムキレート化合物に代表され
る2価の有機金属化合物が考えられる。作用機構として
は、2価の有機金属化合物は、3価ないし4価の有機金
属化合物と比較して、樹脂と反応する反応基の数が少な
いので、短時間の加熱処理で、ゲル化剤と樹脂との反応
が完結し、上記のような経時的なゲル化現象が起こりに
くいと考えられ、既存のゲル化剤には無かった機能を発
揮するものと考えられる。
【0007】しかし、これまでインキ用ゲル化剤として
知られていた2価の有機金属化合物としては、例えばマ
グネシウムビスアセチルアセトナート、カルシウムビス
アセチルアセトナートおよびマグネシウムビスエチルア
セトアセテートなどが挙げられるが、これらの2価の有
機金属化合物は、全て固体(結晶性固体)であり有機溶
媒に対する溶解性が乏しいことと、顔料等の分散能力は
ないことから、インキ・塗料用分散ゲル化剤として使用
可能な範囲が限られていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
課題であった粘度の経時的な変化が少なく、高速、自動
印刷に適する印刷インキの製造を可能とするゲル化剤
で、これ自身がインキ、塗料用顔料分散剤として有用で
ある新規なマグネシウム金属キレート誘導体を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者等は鋭意検討した結果、溶剤に対しての溶
解度が高く、経時安定性および高機能印刷インキ用ゲル
化剤としての性能が良好であり、且つ顔料分散効果を有
するマグネシウム金属キレート化合物を見出し、発明を
完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、一般式(1) Mg(R1O)(CH3COCHCOOR2) (1) (但し、式中において、R1は炭素数1〜18の直鎖ま
たは分岐のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素
数3〜18の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケ
ニル基を示す。)で示されるマグネシウム金属キレート
誘導体であることを特徴とする、インキ・塗料用分散ゲ
ル化剤に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のインキ・塗料用分散ゲル
化剤は、インキや塗料の顔料の分散剤やゲル化剤として
好適な化合物であり、前記一般式(1)で表されるマグ
ネシウム金属キレートであるが、R1のアルキル基また
はアルケニル基の好ましい具体例としては、メチル基、
エチル基、n−プロピル基およびアリル基等を挙げるこ
とができ、またR2のアルキル基またはアルケニル基の
好ましい具体例としては、n−ブチル基、ヘキシル基、
オクチル基、ラウリル基、ステアリル基およびオレイル
基等を挙げることができる。
【0012】本発明におけるマグネシウム金属キレート
化合物は、それ自体が液体であってほとんどの有機溶媒
と任意の割合で溶解するものであるか、あるいは固体で
あってもインキ・塗料用の分散ゲル化剤として十分使用
可能な溶解度を持つものである。
【0013】上記一般式(1)で示す範囲内であれば、
液状または高い溶解性を持つ固体の化合物を得ることが
できる。しかし、これらの化合物をインキ・塗料用のゲ
ル化剤として使用する場合、ゲル化能に関しては化合物
中の金属含有量(%)が大きく影響するため、適当なア
ルキル基の炭素数を選択する必要がある。印刷に適した
粘度等の性能を得るためにはゲル化剤中の金属含有量を
概ね3〜10%程度になるようにR1およびR2の炭素数
を調整した化合物が望ましい。この目的に適合する化合
物のアルキル基の炭素数は、R1が1〜4,R2が8〜1
8であることが望ましい。
【0014】本発明の一般式(1)における、R1およ
びR2において、直鎖または分岐のアルキル基またはア
ルケニル基は、2−エチルヘキシル基やオレイル基など
のような単一組成のものでもよいが、ヤシ油脂肪酸アル
キル基や牛脂脂肪酸アルキル基などのような天然物由来
の混合組成のものであってもよい。従って、当該化合物
を工業的に製造する場合、コスト的に有利な組成物(例
えば、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ナフテン酸、トール
油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸などのア
ルキル組成を持つもの)を使用することが可能である。
これらの混合組成を持つ化合物は、高純度の単一組成物
と比較して何ら変わらない効果が得られ、コスト的にも
有利である。
【0015】上記一般式(1)で示される化合物のう
ち、インキ・塗料用分散ゲル化剤として、特に好ましい
ものとして、具体的には、2−エチルヘキシルアセトア
セテートマグネシウムメチレート、2−エチルヘキシル
アセトアセテートマグネシウム−n−プロピレート、ラ
ルリルアセトアセテートマグネシウムメチレート、ステ
アリルアセトアセテートマグネシウムメチレートおよび
オレイルアセトアセテートマグネシウムメチレート等を
挙げることができる。
【0016】本発明のマグネシウム金属キレート誘導体
が粘度の経時的変化が少ないのは、インキ・塗料用の樹
脂と反応する反応性基の数が2と少ないため、インキゲ
ルワニス調製時に樹脂との反応が充分進行し、インキ、
塗料の粘度の経時的変化が少ないためである。
【0017】一般式(1)で示されるマグネシウム金属
キレート誘導体は、インキ、塗料用顔料の分散剤もしく
はゲル化剤として使用することができるが、本発明のイ
ンキ・塗料用分散ゲル化剤を用いて、インキ、塗料を調
製するには常法に従えばよい。
【0018】例えば、インキの調製は以下のような方法
で行えばよい。まず、樹脂(ロジン変性フェノール樹脂
または石油樹脂)、乾性油(アマニ油等)、石油系溶剤
を200℃で1時間程度攪拌し、本発明のマグネシウム
金属キレート誘導体を0.1〜10%添加し、180℃
で1時間攪拌したものをインキ用ワニスとする。これに
顔料(任意の有機または無機顔料)、石油系溶剤を加
え、3本ロールミルで練肉混合して印刷用インキとす
る。
【0019】また、塗料を調製するには、塗料用樹脂
(アルキッド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂および
シリコン樹脂など)、溶剤、顔料(任意の有機または無
機顔料)、その他の添加剤および本発明のマグネシウム
金属キレート誘導体を0.1〜10%添加して、サンド
ミル、ビーズミル等にて混合すればよい。
【0020】本発明の一般式(1)で示されるマグネシ
ウム金属キレートは、例えば以下のような方法により製
造することができる。マグネシウムメチレートを適当な
溶媒(メタノールまたはトルエン等)に溶解し、この溶
液にアセト酢酸アルキルエステルを加え、加熱還流す
る。その後、反応液から溶媒と副生したメタノールを留
去すると目的とするアルキルアセトアセテートマグネシ
ウムメチレートを製造することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。
【0022】製造例1 容量500mlのガラス製反応器に、マグネシウムメト
キシド8.63g(0.1mol)およびメタノール1
00gを投入し、撹拌しながら加熱溶解させた。この溶
液にアセト酢酸2−エチルヘキシル21.4g(0.1
mol)を加え、2時間加熱還流した。
【0023】反応液からメタノールを留去して黄褐色固
体26.8gの2−エチルヘキシルアセトアセテートマ
グネシウムメチレートを得た。このもののマグネシウム
含有量は、9.06%,比重は、0.9390(4/2
5℃)であった。またこの化合物は、トルエン,キシレ
ンおよび7号ソルベント(日本石油(株)製溶剤)等の
溶剤に可溶であった。
【0024】製造例2 容量500mlのガラス製反応器に、マグネシウムメト
キシド8.63g(0.1mol)およびメタノール1
00gを投入し、撹拌しながら加熱溶解させる。この溶
液にアセト酢酸オレイル35.2g(0.1mol)を
加え、2時間加熱還流した。
【0025】反応液からメタノールを留去して黄褐色
粘稠液体のオレイルアセトアセテートマグネシウムメチ
レートを40.6g得た。このもののマグネシウム含有
量は、5.95%,比重は0.9792(4/25℃)
であった。また、この化合物は、トルエン,キシレンお
よび7号ソルベント(日本石油(株)製溶剤)等の溶剤
に任意の割合で溶解した。
【0026】実施例1 [ワニスAの調製]ロジン変性フェノール樹脂40.0
部、アマニ油15.0部および5号ソルベント(日本石
油(株)製溶剤)45.0部を240℃で50分間加熱
攪拌した。このワニスAの粘度は、25℃で450〜5
00PSであった。
【0027】[ワニスBの調製]ロジン変性フェノール
樹脂、石油樹脂混合物35.0部、アマニ油15.0
部、5号ソルベント(日本石油(株)製溶剤)50.0
部およびオクテン酸アルミニウム1.1部を220℃で
30分間加熱。このワニスBの粘度は、25℃で200
0〜2500PSであった。
【0028】[オフセット用インキの製造]ワニスA5
0.0部、ワニスB25.0部、ラーベン1035(コ
ロンビアカーボン日本(株)製酸性カーボン)および製
造例2記載のオレイルアセトアセテートマグネシウムメ
チレート1.0部を3本ロールミルにて練肉混合した
後、皮張り防止剤0.3部、コンパウンド3.0部およ
び5号ソルベント2.5部を加えて混合した。
【0029】このオフセット用インキのタック値は9.
0(30℃、400rpm、60秒時)であった。
【0030】比較例1 実施例1記載のワニスA50.0部、ワニスB25.0
部およびラーベン1035(コロンビアカーボン日本
(株)製酸性カーボン)を3本ロールミルにて練肉混合
した後、皮張り防止剤0.3部、乾燥剤1.2部、コン
パウンド3.0部および5号ソルベント2.5部を加え
て混合した。このオフセット用インキのタック値は7.
7(30℃、400prm、60秒時)であった。
【0031】実施例2 [ワニスCの調製]ロジン変性フェノール樹脂(大日本
インキ工業(株)製、ベッカサイト1126−HV)4
0部およびアマニ油30部を250℃で1時間攪拌し
た。80℃程度まで冷却後7号ソルベント30部を加え
攪拌混合したものをワニスCとする。 [性能試験試料の調製]先に述べた方法で調製したワニ
スC100部に製造例1,2のゲル化剤および比較例2
としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレートを7号ソルベントで50%に希釈したものを各
々添加した。添加量を等しくした場合、エチルアセトア
セテートアルミニウムジイソプロピレートのみワニスが
ゲル化して粘度測定ができないため、添加量を低く抑え
た。
【0032】これらのものを170℃,1時間加熱処理
してゲル化反応を行った後、冷却してブルックフィール
ド型粘度計(東京計器(株)製)を用いて25℃での粘
度を測定した。また、測定用試料を室温下で保存して粘
度の経時変化を調べた。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示した結果から明らかなように、本
発明の製造例1〜2のマグネシウム金属キレート誘導体
を用いた樹脂ワニスは、経時的な粘度の上昇が少なく抑
えられている。僅かに見られる粘度上昇のほとんどは、
元来の樹脂ワニス自体の増粘に起因するものと考えられ
る。一方、従来から知られているアルミニウムキレート
であるエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロ
ピレートを添加した比較例の樹脂ワニスは、経時的に粘
度が増加した。
【0035】
【発明の効果】本発明のインキ・塗料用分散ゲル化剤
は、各種のインキ・塗料用溶剤への溶解度に優れ、印刷
適性(タック値)を改善し、経時的な粘度の変化が少な
いので、印刷の高機能化に対応することができる。
フロントページの続き (72)発明者 山本 政治 埼玉県川越市今福2835 川研ファインケミ カル株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) Mg(R1O)(CH3COCHCOOR2) (1) (但し、式中において、R1は炭素数1〜18の直鎖ま
    たは分岐のアルキル基またはアルケニル基、R2は炭素
    数3〜18の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケ
    ニル基を示す。)で示されるマグネシウム金属キレート
    誘導体であることを特徴とするインキ・塗料用分散ゲル
    化剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、R1が炭素数1
    〜4の直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基
    であり、R2が炭素数8〜18の直鎖または分岐のアル
    キル基またはアルケニル基であることを特徴とする請求
    項1記載のインキ・塗料用分散ゲル化剤。
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