JPH10252631A - 内燃機関の点火装置 - Google Patents

内燃機関の点火装置

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JPH10252631A
JPH10252631A JP5124697A JP5124697A JPH10252631A JP H10252631 A JPH10252631 A JP H10252631A JP 5124697 A JP5124697 A JP 5124697A JP 5124697 A JP5124697 A JP 5124697A JP H10252631 A JPH10252631 A JP H10252631A
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JP
Japan
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piston
dielectric
top surface
discharge
ignition electrode
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Application number
JP5124697A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Miura
裕行 三浦
Mitsuharu Imazeki
光晴 今関
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】取り付け上の制約等を受けにくい簡単な構成で
燃焼室内に広範囲に渡る火花放電を生ぜしめて、燃焼室
内の混合気の燃焼を短時間で迅速に行うことができ、ひ
いてはノッキング等を生じることなく内燃機関の性能の
向上を図ることができる内燃機関の点火装置を提供す
る。 【解決手段】点火電極5を第1の誘電体である電極保持
体6によりシリンダヘッド2に対して絶縁した状態で固
設すると共に、ピストン3の頂面に板状の第2の誘電体
9を固着し、点火電極5からピストン3の頂面に沿った
沿面放電を生ぜしめる。誘電体9は、例えばその誘電率
が電極保持体9よりも大きなものを使用することでピス
トン3の頂面に沿った沿面放電が円滑に生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の点火装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、内燃機関の点火装置としては、シ
リンダヘッドに固設した単一の点火プラグの先端部の一
対の電極(中心電極及びサイド電極)間で火花放電を生
ぜしめることにより、シリンダヘッドとピストンとの間
に形成された燃焼室内の混合気に点火するものが一般に
知られている。また、例えば米国特許4848287号
に見られるようにシリンダヘッドに固設した一つの電極
とピストンとの間で火花放電を生ぜしめることにより、
燃焼室内の混合気に点火するものも知られている。
【0003】しかしながら、これらの点火装置では、点
火時に前記火花放電により燃焼室内に生成される火炎核
は、その火花放電を生じた燃焼室内の一部分でしか発生
しないため、その火炎核が成長して、燃焼室内の各所に
火炎が伝播するまでに時間がかかり易く、その結果、内
燃機関の高負荷運転時等に、火炎伝播が完了する前に、
混合気が自然発火して所謂ノッキングが生じたり、混合
気の燃焼が終了する前にピストンが下降して燃焼室内の
温度や圧力が低下し、燃焼室内の火炎が消えてしまう等
の不都合を生じ易いものとなっていた。そして、このよ
うな不都合は特に、希薄燃焼型の内燃機関では、顕著に
現れやすい。
【0004】一方、このような不都合を解消するため、
例えば特開平6−213067号公報に見られるように
内燃機関の各気筒毎に複数の点火プラグを備え、各気筒
の燃焼室内の複数箇所で火花放電を生ぜしめるようにし
たものも知られている。
【0005】この場合、各気筒毎の点火プラグの個数を
多くすれば、上記のような不都合を解消し得る程度に、
燃焼室内の火炎伝播に要する時間を短縮することは可能
である。
【0006】しかるに、このように多数の点火プラグを
内燃機関の各気筒毎に備えることは、それらの点火プラ
グの取り付け上の制約を受ける。このため、実際には、
燃焼室内の火炎伝播に要する時間を充分に短縮すること
ができる程、多くの点火プラグを内燃機関に装着するこ
とは困難であり、従って、燃焼室内の火炎伝播に要する
時間を充分に短縮することが困難なものとなっていた。
尚、このような不都合は、シリンダヘッド側の電極とピ
ストンとの間で火花放電を生ぜしめる場合に、内燃機関
の各気筒毎に複数の電極を具備するようにしたときにも
同様に生じる不都合である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる背景に
鑑み、取り付け上の制約等を受けにくい簡単な構成で燃
焼室内に広範囲に渡る火花放電を生ぜしめて、燃焼室内
の混合気の燃焼を短時間で迅速に行うことができ、ひい
てはノッキング等を生じることなく内燃機関の性能の向
上を図ることができる内燃機関の点火装置を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の内燃機関の点火
装置はかかる目的を達成するために、シリンダヘッド側
に固設された点火電極から、該シリンダヘッドとピスト
ンとの間に形成された燃焼室内に火花放電を生ぜしめて
該燃焼室内の混合気に点火する内燃機関の点火装置にお
いて、前記点火電極が、前記シリンダヘッドに対して第
1の誘電体により絶縁した状態で該シリンダヘッドに固
設されると共に、前記ピストンの頂面は、前記点火電極
から前記シリンダヘッドへの前記第1の誘電体に沿った
放電を抑制しつつ、該点火電極から該ピストンの頂面に
沿った沿面放電を生ぜしめるように該ピストンの頂面の
少なくとも一部が第2の誘電体により被覆されているこ
とを特徴とする。
【0009】かかる本発明によれば、前記燃焼室内にお
ける前記点火電極からの放電は、前記第2の誘電体が電
荷を引きつけることで、該第2の誘電体により被覆した
前記ピストンの頂面に沿った沿面放電の形態をとる。こ
のため、該放電による火花は、ピストンの頂面沿いに燃
焼室内の広範囲にわたって作用することとなり、該燃焼
室内の多数の箇所に火炎核が形成される。そして、この
ように燃焼室内の多数の箇所に火炎核が形成されるた
め、該燃焼室内の混合気は短時間で迅速に燃焼する。こ
の場合、前記点火電極はシリンダヘッドに前記第1の誘
電体を介して固設されているため、該点火電極からの放
電が第1の誘電体沿いにシリンダヘッドに向かって行わ
れてしまう虞れがあるが、前記第2の誘電体は上記のよ
うな第1の誘電体に沿った放電を抑制するように設けら
れているため、確実にピストンの頂面に沿った前記沿面
放電が行われる。
【0010】尚、かかる本発明では、前記点火電極は単
一でよく、また、前記沿面放電を生ぜしめるためにピス
トンの頂面の少なくとも一部を前記第2の誘電体により
被覆するだけでよいため、点火装置の取り付け上等の制
約は受けにくい。
【0011】従って、本発明によれば、取り付け上の制
約等を受けにくい簡単な構成で燃焼室内に広範囲に渡る
火花放電を生ぜしめて、燃焼室内の混合気の燃焼を短時
間で迅速に行うことができる。そして、燃焼室内の混合
気の燃焼を短時間で迅速に行うことができるため、ノッ
キング等を防止しつつ混合気の圧縮比を高める等して、
内燃機関の熱効率等の性能を向上することができる。
【0012】かかる本発明では、前述のように前記点火
電極からシリンダヘッドへの第1の誘電体に沿った放電
を抑制するためには、例えば第1の誘電体の誘電率より
も第2の誘電体の誘電率を大きくすることが好ましい。
【0013】このようにすることで、ピストンの頂面に
固着された第2の誘電体は、第1の誘電体よりも電荷を
引きつけやすくなって、ピストンの頂面に沿った沿面放
電を確実に行うことができる。
【0014】この場合、点火電極をシリンダヘッドに対
して絶縁する前記第1の誘電体が例えばアルミナ(Al2O
3 )を主成分として構成したときには、該1の誘電体よ
りも誘電率の大きな第2の誘電体としては、ジルコニア
(ZrO2)やシリコンカーバイド(SiC )等があるが、特
に第2の誘電体としてジルコニアを主成分としたものを
用いることが好ましい。これは、該ジルコニアはシリコ
ンカーバイド等に比べて耐久性が高く、このようなジル
コニアを主成分として第2の誘電体を構成することで、
該第2の誘電体の良好な耐久性を確保することができる
からである。
【0015】尚、点火電極からシリンダヘッドへの第1
の誘電体に沿った放電を抑制するためには、上記のよう
に第2の誘電体の誘電率を第1の誘電体の誘電率を大き
くすること以外の手法も可能である。すなわち、本願発
明者等の知見によれば、例えば第1及び第2の誘電体の
両者の誘電率が同一であっても、前記沿面放電は第2の
誘電体の厚みが薄い程、生じやすく、また、第2の誘電
体の表面積が小さい程、生じやすい。さらには、第2の
誘電体の表面形状が平坦あるいは滑らかである程、前記
沿面放電が生じやすい。従って、第2の誘電体の誘電率
が第1の誘電体の誘電率よりも大きくなくとも、第2の
誘電体の厚みや大きさ、形状等を適切に設定しておけ
ば、点火電極からシリンダヘッドへの第1の誘電体に沿
った放電を抑制しつつ、ピストンの頂面に沿った沿面放
電を生ぜしめることが可能である。
【0016】また、本発明では、前記第2の誘電体は、
前記ピストンの頂面の前記点火電極に最も近接した部分
を含む領域で該ピストンの頂面を被覆することが好まし
い。すなわち、前記第2の誘電体による前記ピストンの
頂面に沿った沿面放電は、前記点火電極から前記ピスト
ンの頂面に向かう気体中放電を経由して行われ、このと
き、第2の誘電体が、ピストンの頂面の前記点火電極に
最も近接した部分を含む領域に存することで、点火電極
から前記ピストンの頂面に向かう気体中放電の放電火花
は、その経路が第2の誘電体の箇所で確実にピストンの
頂面沿いに曲げられ、前記沿面放電を円滑に行うことが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態(第1の実施
形態)を図1を参照して説明する。図1は本実施形態の
点火装置を具備した内燃機関の要部の模式的断面図であ
る。
【0018】図1を参照して、1は内燃機関のシリンダ
(シリンダブロック)、2はシリンダ1上に固定された
シリンダヘッドである。シリンダ1には、その内部を上
下に摺動するピストン3が収納され、このピストン3と
シリンダヘッド2との間に、混合気を燃焼させる燃焼室
4が形成されている。
【0019】シリンダヘッド2には、燃焼室4の上端箇
所で、中心部に点火電極5を保持した第1の誘電体であ
る電極保持体6が装着され、この電極保持体6を介して
点火電極5がシリンダヘッド2と電気的に絶縁された状
態で該ヘッド2に固設されている。この場合、電極保持
体6は、その先端部(下端部)が燃焼室4内に突出さ
れ、さらに該電極保持体6の先端部から点火電極5の先
端部が燃焼室4内に突出されている。また、電極保持体
6は、例えばアルミナを主成分として構成されている。
【0020】尚、シリンダヘッド2やシリンダ1は適宜
の外部接地部7に接地されており、点火電極5には、内
燃機関の運転時にピストン3が上死点に向かって摺動す
る際に、上記外部接地部7との間で高圧電源8から高電
圧が付与される。
【0021】一方、ピストン3の頂面(上端面)は、そ
の頂面に固着された薄い板状の誘電体9(第2の誘電
体)により被覆されている。本実施形態では、この誘電
体9は、ピストン3の頂面の点火電極5と対向する箇所
(点火電極5と最も近接した箇所)を含めて該頂面のほ
ぼ全面を被覆するように該頂面に固着されている。ま
た、誘電体9は、第1の誘電体である前記電極保持体6
の誘電率よりも大きな誘電率を有するものとされ、例え
ばジルコニアを主成分として構成されている(ジルコニ
アの誘電率はアルミナの誘電率の約3.45倍であ
る)。以下、誘電体9をピストン側誘電体9と称する。
【0022】かかる本実施形態の点火装置では、内燃機
関の運転時にピストン3が上死点に向かって摺動する際
に、高圧電源8から点火電極5に高電圧が印可され、こ
の時、該点火電極5から例えば図1に実線aで示すよう
な放電経路で火花放電が生じる。すなわち、該火花放電
は、点火電極5からピストン3の頂面の点火電極5に対
向する部位に向かって燃焼室4内を流れる気体中放電を
経て、ピストン側誘電体9上をピストン3の頂面に沿っ
て該ピストン3の径方向に流れる沿面放電の形態をと
り、最終的には、ピストン3の頂面の外周位置もしくは
その近傍箇所で、シリンダ1に吸収される。この場合、
ピストン3の頂面の点火電極5に対向する部位にはピス
トン側誘電体9が存するため、点火電極5からピストン
3の頂面に向かう気体中放電の放電火花は、その放電経
路aがピストン側誘電体9上でピストン3の頂面に沿っ
て円滑に曲げられ、前記沿面放電が円滑に生じる。
【0023】尚、このような沿面放電が生じることにつ
いては、本実施形態では、ピストン側誘電体9(第2の
誘電体)の誘電率が第1の誘電体である前記電極保持体
6の誘電率よりも大きいことが一つの要因として寄与し
ているのであるが、これについては後述する。
【0024】上記のような沿面放電が行われるため、そ
の放電経路a上で、ピストン3の頂面沿いに燃焼室4内
の広範囲にわたって多数の火炎核が形成され、これによ
り燃焼室4内の混合気の燃焼が円滑且つ迅速に行われ
る。
【0025】そして、このように混合気の燃焼が円滑且
つ迅速に行われるため、内燃機関の高負荷運転時等にお
いても、ノッキング等の不都合を生じることなく内燃機
関の円滑な運転を行うことができ、このことは内燃機関
が希薄燃焼型のものであっても同様である。また、混合
気の燃焼が円滑且つ迅速に行われることで、ノッキング
等の不都合を生じることなく混合気の圧縮比を高めるこ
とができ、それにより内燃機関の熱効率等の性能を向上
させることができる。
【0026】また、点火電極5は一つでよく、さらに、
前記沿面放電を生ぜしめるための誘電体9は単にピスト
ン3の頂面に固着して該頂面を被覆するだけでよいの
で、混合気の燃焼を前述のように迅速に行うことができ
る点火装置を、取り付け上の制限等を受けることなく、
簡単に構成することができる。
【0027】尚、上記実施形態では、ピストン側誘電体
9により、ピストン3の頂面のほぼ全面を被覆するよう
にしたが、例えば図2に模式的に示すように(第2の実
施形態)、ピストン3の頂面の周縁部を除いた領域(点
火電極5に対向する部位を含む)でピストン側誘電体9
によりピストン3の頂面を被覆するようにしてもよい。
この場合、同図2に示したものでは、ピストン3の頂面
の周縁部とピストン側誘電体9の表面(上面)とがほぼ
面一となるように、板状のピストン側誘電体9はピスト
ン3の頂面の中央部に形成された凹部3aに嵌合されて
固着されている。
【0028】あるいは、例えば図3に示すように(第3
の実施形態)、ピストン側誘電体9を、その表面(上
面)がピストン3の最上面から若干、ピストン3の内部
側に埋没するような形態でピストン3に装着するように
してもよい。この場合、図3に示したものでは、ピスト
ン3は、その上部周縁部を構成する略環状のピストンク
ラウン10に、その下方から略円板状のピストン側誘電
体9が内挿されている。そして、ピストン側誘電体9
は、その下端部外周に形成されたフランジ9aがピスト
ンクラウン10の上端部内周に形成されたフランジ10
aに薄い環状のガスケット11を介して当接されてい
る。この状態で、ピストン側誘電体9の上面は、ピスト
ンクラウン10の上面(ピストン3の頂面の周縁部)よ
りも若干、該ピストンクラウン10の内部側に埋没され
ている。
【0029】さらに、ピストン側誘電体9の下方から、
略凸形状の誘電体押さえ部材12がピストンクラウン1
0に内挿され、該誘電体押さえ部材12の上面がピスト
ン側誘電体9の下面に当接されている。この状態で、誘
電体押さえ部材12は、その下端部に形成されたフラン
ジ12aが複数のボルト13によりピストンクラウン1
0に固定され、該ピストンクラウン10のフランジ10
aとの間にピストン側誘電体9を挟持している。また、
このようにピストンクラウン10に固定された誘電体押
さえ部材12は、ピストン3の下部側の本体を構成する
ベースピストン14に複数のボルト15により固定され
ている。
【0030】このような構成により、ピストン側誘電体
9は、その表面(上面)がピストン3の最上面から若
干、ピストン3の内部側に埋没するような形態で、ピス
トン3の頂面の中央部を形成する誘電体押さえ部材12
の上面を被覆している。
【0031】尚、図3では仮想線で示すが、ピストン3
は、図1あるいは図2のものと同様に、シリンダ1内に
摺動自在に収納され、また、ピストン3の上方には、シ
リンダヘッド2側に固設された電極保持体6及び点火電
極5が配設される。
【0032】以上のような構成の図2あるいは図3の点
火装置では、点火電極5に高電圧を印可した時、点火電
極5から例えば図2及び図3にそれぞれ実線bで示すよ
うな放電経路で火花放電が生じる。すなわち、該火花放
電は、図1のものと同様に、点火電極5からピストン3
の頂面の点火電極5に対向する部位に向かって燃焼室4
内を流れる気体中放電を経て、ピストン側誘電体9上を
ピストン3の頂面に沿って該ピストン3の径方向に流れ
る沿面放電の形態をとる。そして、この場合は、火花放
電は、最終的には、ピストン側誘電体9の周縁位置で、
ピストン3に吸収される。
【0033】このような点火装置にあっても、上記の沿
面放電によって、燃焼室4内の広範囲にわたる多数の箇
所に火炎核を形成して、燃焼室4内の混合気の燃焼を短
時間で迅速に行うことができ、図1のものと同様の効果
を奏することができる。
【0034】ところで、本願発明者等の各種検討によれ
ば、図1あるいは図2、もしくは図3のような形態でピ
ストン側誘電体9によりピストン3の頂面を被覆した場
合に、電極保持体6の誘電率に対するピストン側誘電体
9の誘電率の大きさを変更する等、設定条件を変える
と、点火電極5からの火花放電が、図1乃至図3にそれ
ぞれ仮想線xで示すように、電極保持体6の外面に沿っ
てシリンダヘッド2に向かう放電経路xで行われること
がある。この現象は放電経路xでの火花放電に要する点
火電極5への印可電圧が、前記沿面放電を含む放電経路
a,bでの火花放電に要する点火電極5への印可電圧よ
りも低い場合に生じる。そして、このような放電経路x
での火花放電では、電極保持体6の近傍箇所にしか、燃
焼室4内に火炎核が形成されないため、燃焼室4内の混
合気を確実に迅速に燃焼させることができない。
【0035】従って、燃焼室4内の混合気を確実に迅速
に燃焼させるためには、点火電極5からシリンダヘッド
2への電極保持体6に沿った火花放電(放電経路x)を
抑制しつつ、ピストン3の頂面に沿った沿面放電(放電
経路a,b)を確実に生ぜしめる必要がある。
【0036】この場合、前述の図1乃至図3の各実施形
態の点火装置では、ピストン3の頂面に沿った沿面放電
が生じるのは、ピストン側誘電体9(第2の誘電体)の
誘電率が第1の誘電体である電極保持体6の誘電率より
も大きいことが一つの要因として寄与している。
【0037】このことを図4を参照して説明する。図4
は、電極保持体6をアルミナにより構成した上で、ピス
トン3の頂面を被覆するピストン側誘電体9を、窒化ホ
ウ素(BN)、アルミナ(Al2O3 )、ジルコニア(Zr
O2)、シリコンカーバイド(SiC)のそれぞれを主成分
として構成した場合に、ピストン3の頂面に沿った沿面
放電を生じる点火電極5への印可電圧(図4では要求電
圧と称している)を実測したデータを示すものである。
尚、図4の横軸(対数軸)は、各種類のピストン側誘電
体9の誘電率を、アルミナの誘電率に対する比(アルミ
ナの誘電率を基準とした相対値)により示している。ま
た、ピストン3の頂面を被覆した各種類のピストン側誘
電体9の形状、サイズ、ピストン3への取付形態等はい
ずれも同一である。
【0038】この図4に見られるように、電極保持体6
の主成分を構成するアルミナの誘電率よりも大きな誘電
率を有するジルコニア及びシリコンカーバイドをピスト
ン3に装着するピストン側誘電体9の主成分として使用
した場合には、電極保持体6よりも誘電率が高い窒化ホ
ウ素や電極保持体6と同じアルミナをピストン側誘電体
9の主成分として使用した場合に比べて前記沿面放電を
生じる点火電極5への印可電圧は、顕著に低くなる。こ
れは、電極保持体6(アルミナ)よりも誘電率の大きな
ジルコニアやシリコンカーバイドをピストン3の頂面の
ピストン側誘電体9の主成分として使用した場合、該ピ
ストン側誘電体9が火花放電時の電荷を引きつけ易くな
って、前記沿面放電に要する電圧が低下するためである
と考えられる。
【0039】このことから、電極保持体6よりも誘電率
の高いピストン側誘電体9をピストン3の頂面に装着す
ることで、点火電極5からシリンダヘッド2への電極保
持体6に沿った火花放電を抑制しつつ、ピストン3の頂
面に沿った沿面放電を円滑に生ぜしめることができるこ
とが判る。前述の実施形態は、このような観点から、電
極保持体6を構成するアルミナよりも誘電率の高いジル
コニアやシリコンカーバイドのうち、例えばジルコニア
を主成分としてピストン側誘電体9を構成して、該ピス
トン側誘電体9によりピストン3の頂面を被覆すること
で、前述の如く、混合気を迅速に燃焼させるための前記
沿面放電を円滑且つ確実に発生させるようにしたもので
ある。
【0040】この場合、電極保持体6を構成するアルミ
ナよりも誘電率の高いジルコニアとシリコンカーバイド
とを比較した場合、前記図3に見られるように、ジルコ
ニアよりも誘電率の高いシリコンカーバイドをピストン
側誘電体9の主成分として使用した方が、前記沿面放電
を発生させるための点火電極5への印可電圧は低い。従
って、前記沿面放電をを円滑且つ確実に発生させる上で
は、ジルコニアよりもシリコンカーバイドを用いた方が
有利である。しかるに、該シリコンカーバイドは一般に
耐久性が弱く、これに対してジルコニアは耐久性が高
い。
【0041】このため、前述の実施形態では、ピストン
側誘電体9の主成分としてジルコニアを使用し、これに
より該ピストン側誘電体9の耐久性が確保されている。
【0042】尚、前記図3に示したデータでは、いずれ
の種類のピストン側誘電体9についても、その形状等を
同一としているため、ピストン側誘電体9の主成分とし
てアルミナや窒化ホウ素を使用した場合には、ジルコニ
アやシリコンカーバイドを使用した場合に比して、前記
沿面放電を生じる点火電極5への印可電圧が比較的高い
ものとなっている。
【0043】しかるに、本願発明者等の各種検討によれ
ば、ピストン側誘電体9の主成分として電極保持体6よ
りも誘電率の高い誘電体を使用した場合はもちろん、電
極保持体6の誘電率と同じ、もしくはそれよりも若干高
い誘電率を有する誘電体を使用した場合であっても、ピ
ストン3の頂面を被覆するピストン側誘電体9の厚みや
サイズ、表面形状等を適切に設定することで、前記沿面
放電を生じる電圧を下げて、該沿面放電を円滑に生ぜし
めることが可能である。例えば、本願発明者等の各種検
討によれば、ピストン側誘電体9の表面積が小さい程、
前記沿面放電が生じ易くなり、また、ピストン側誘電体
9の厚さが小さい程、前記沿面放電が生じ易い。さらに
は、ピストン側誘電体9の表面が平坦で滑らかである
程、前記沿面放電が生じ易い。
【0044】従って、アルミナを主成分として構成した
電極保持体6と同じアルミナを主成分としてピストン3
の頂面のピストン側誘電体9を構成し、あるいは電極保
持体6よりも誘電率の高い窒化ホウ素を主成分としてピ
ストン側誘電体9を構成した場合であっても、該ピスト
ン側誘電体9の厚さを小さくしたり、その表面積を例え
ば前記図2に示したもののように小さめなものとした
り、あるいは、ピストン側誘電体9の表面を可能な限り
平坦で滑らかなものとしておくことで、前記沿面放電を
確実に生ぜしめることが可能である。
【0045】実際、ピストン側誘電体9を電極保持体6
と同じアルミナにより構成した場合であっても、ピスト
ン側誘電体9の厚み等を適切に設定しておくことで、図
5に示す実測データにより把握されるように、ピストン
3の頂面に沿った沿面放電を生ぜしめることができるこ
とが本願発明者等により確認された。図5はピストン側
誘電体9を電極保持体6と同じアルミナを主成分として
構成した場合に、点火の際の燃焼室4内の圧力の時間的
変化を測定したデータを実線rで示したものである。
尚、図5には、比較のために、通常の点火プラグ(中心
電極及びサイド電極間で放電を行うもの)を使用して点
火を行った場合における燃焼室内の圧力の時間的変化を
測定したデータを破線sで示している。
【0046】この図5に見られるように、ピストン3の
頂面を被覆するピストン側誘電体9を電極保持体6と同
じアルミナを主成分として構成した本発明の一形態の点
火装置では(実線r)、通常的な点火プラグを使用した
場合(破線s)に比べて、燃焼室4内の圧力は、点火開
始後、極めて迅速に上昇し、このことは、燃焼室4内の
混合気の燃焼が迅速に行われることを意味する。このこ
とから、ピストン3の頂面を被覆するピストン側誘電体
9を電極保持体6と同じアルミナにより構成した場合で
あっても、前記沿面放電を円滑に生ぜしめることができ
ることが判る。
【0047】尚、前述の各実施形態では、ピストン3の
頂面を被覆するピストン側誘電体9をピストン3の頂面
に固着し(図1及び図2のもの)、あるいは、該ピスト
ン3に組み付け固定して(図3のもの)、該ピストン3
の頂面をピストン側誘電体9により被覆するようにした
が、例えばピストン3の頂面にピストン側誘電体9を溶
射する等の手法によって、該ピストン3の頂面をピスト
ン側誘電体9により被覆するようにしてもよい。
【0048】また、前述の各実施形態では、ピストン側
誘電体9を平板状に形成したが、例えばピストンの頂面
の全体、もしくはその一部が湾曲しているような場合に
は、それに沿わせてピストン側誘電体9を湾曲させるよ
うにしてもよい。
【0049】さらに、図2あるいは図3に示したような
形態のものでは、ピストン側誘電体9の上面をピストン
3の上面から突出させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の点火装置を備えた内
燃機関の要部の模式的断面図。
【図2】本発明の第2の実施形態の点火装置を備えた内
燃機関の要部の模式的断面図。
【図3】本発明の第3の実施形態の点火装置を備えた内
燃機関の要部の断面図。
【図4】ピストンの頂面に沿った沿面放電を生じる点火
電極への印可電圧(要求電圧)と、ピストンの頂面に固
着した誘電体の誘電率との関係を示す図。
【図5】点火電極を保持する電極保持体と同じ誘電体を
ピストンの頂面に固着した場合における点火時の燃焼室
内の圧力の変化の様子を示す図。
【符号の説明】
2…シリンダヘッド、3…ピストン、4…燃焼室、5…
点火電極、6…電極保持体(第1の誘電体)、9…第2
の誘電体。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッド側に固設された点火電極か
    ら、該シリンダヘッドとピストンとの間に形成された燃
    焼室内に火花放電を生ぜしめて該燃焼室内の混合気に点
    火する内燃機関の点火装置において、 前記点火電極が、前記シリンダヘッドに対して第1の誘
    電体により絶縁した状態で該シリンダヘッドに固設され
    ると共に、 前記ピストンの頂面は、前記点火電極から前記シリンダ
    ヘッドへの前記第1の誘電体に沿った放電を抑制しつ
    つ、該点火電極から該ピストンの頂面に沿った沿面放電
    を生ぜしめるように該ピストンの頂面の少なくとも一部
    が第2の誘電体により被覆されていることを特徴とする
    内燃機関の点火装置。
  2. 【請求項2】前記第2の誘電体の誘電率は前記第1の誘
    電体の誘電率よりも大きいことを特徴とする請求項1記
    載の内燃機関の点火装置。
  3. 【請求項3】前記第1の誘電体はその主成分がアルミナ
    (Al2O3 )から成り、前記第2の誘電体はその主成分が
    ジルコニア(ZrO2)から成ることを特徴とする請求項2
    記載の内燃機関の点火装置。
  4. 【請求項4】前記第2の誘電体は、前記ピストンの頂面
    の前記点火電極に最も近接した部分を含む領域で該ピス
    トンの頂面を被覆していることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の内燃機関の点火装置。
  5. 【請求項5】前記第2の誘電体による前記ピストンの頂
    面に沿った沿面放電は、前記点火電極から前記ピストン
    の頂面に向かう気体中放電を経由して行われることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の内燃機関の
    点火装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6634331B2 (en) * 2001-07-12 2003-10-21 Rosario Truglio Piston with integrated spark electrode
JP2009036123A (ja) * 2007-08-02 2009-02-19 Nissan Motor Co Ltd 非平衡プラズマ放電式エンジン
JP2009036125A (ja) * 2007-08-02 2009-02-19 Nissan Motor Co Ltd 非平衡プラズマ放電式の点火装置及び点火制御装置
CN110073097A (zh) * 2016-12-15 2019-07-30 株式会社电装 点火控制系统及点火控制装置

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