JPH10251784A - 低水素過電圧陰極およびその製造方法 - Google Patents

低水素過電圧陰極およびその製造方法

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JPH10251784A
JPH10251784A JP9054712A JP5471297A JPH10251784A JP H10251784 A JPH10251784 A JP H10251784A JP 9054712 A JP9054712 A JP 9054712A JP 5471297 A JP5471297 A JP 5471297A JP H10251784 A JPH10251784 A JP H10251784A
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JP
Japan
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cathode
low hydrogen
hydrogen overvoltage
alloy layer
film
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JP9054712A
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Hideharu Horikoshi
秀春 堀越
Toshiki Shimizu
要樹 清水
Takashi Sakaki
孝 榊
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、水の電気分解または食塩など
のアルカリ金属塩化物の水溶液電気分解に使用する場
合、水素過電圧が十分に低い陰極およびその製造方法を
提供することにある。 【解決の手段】NiとTi、V、Cr、Fe、Zr及び
Nbの少なくとも一元素を含む合金層を被覆した低水素
過電圧陰極であって、Niを35〜95原子%、Ti、
V、Cr、Fe、Zr及びNbの少なくとも一元素を6
5〜5原子%含み、かつCuKα線によるX線回折にお
いて、角度42〜45度の間に主ピークがあり、その半
値幅が0.4〜7度である合金層からなる低水素過電圧
陰極、およびNi35〜95原子%、Ti、V、Cr、
Fe、Zr及びNbの少なくとも一元素を65〜5原子
%含むターゲットを使用し、かつ導電性基材の電位を−
100〜50Vとし、反応ガスとして水素、炭素、窒
素、酸素の少なくとも一種を含むガスを導入し、アーク
放電型イオンプレーティング法にて製造することを特徴
とする当該低水素過電圧陰極の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水の電気分解または
食塩などのアルカリ金属塩化物の水溶液電気分解に使用
する低水素過電圧陰極とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水またはアルカリ金属塩化物水溶液電解
工業は多電力消費型産業であり、省エネルギーのための
様々な技術開発が進められている。省エネルギーの手段
とは、理論分解電圧、溶液抵抗、隔膜抵抗、陽極過電
圧、陰極過電圧などで構成される電解電圧を実質的に低
減することであり、特に過電圧に関してはその特性が電
極の材料や表面形態に著しく左右されることから、多く
の研究者の興味を引き、開発がなされてきた。イオン交
換膜法食塩電解においては、とりわけ陽極過電圧の低減
にその注目が集まり、精力的な研究開発が行われてきた
結果、耐久性に優れ、ほとんど陽極過電圧の問題となら
ない電極が完成し、既に工業的に広く利用されてきてい
る。
【0003】一方、陰極過電圧を低減するための低水素
過電圧電極、いわゆる活性陰極に関してもこれまで多く
の提案がなされている。水素過電圧400mVという鉄
陰極に対して、200〜250mVの電圧低減が可能な
電極、例えば特開昭59−25940号あるいは特開平
6−146046号明細書に示されるように電極基材表
面に水素吸蔵合金や白金族酸化物を付着させたもの、特
公昭40−9130号に示されるように電極基材表面に
鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属とタングステン、
モリブデンとの合金層を被覆したものなどが開示されて
いる。
【0004】このようにこれまで開示されている多くの
活性陰極は、電極基材とその上に被覆された低水素過電
圧を示す特定組成の触媒物質層とで構成されたものであ
り、その被覆方法も様々である。例えば、上記特許の例
のように活性物質を分散させた浴や金属塩を溶解させた
浴等から触媒物質を電析させる湿式メッキによる方法、
例えば特開昭61−41786号に示されるように、溶
融状態の触媒物質金属を基材に直接溶射する方法、また
は特開昭61−295386号に開示されているよう
に、金属塩溶液を基材上に塗布し、乾燥、還元処理等を
施して触媒物質層を得る方法等がある。しかし、前者の
湿式メッキ法では、電析電位の差等により被覆出来る合
金組成が限定される。また、メッキ浴中の活性物質や金
属成分等の組成がメッキ時間と共に変化し易く、均質な
合金層を常に安定に得るためには十分な浴管理が必要で
ある等の問題点がある。一方後者の2つの方法では、被
覆時に高温熱処理を行うので蒸気圧の差が大きい元素間
の合金化は困難である。また、高温での熱処理により結
晶化が促進されるので、性能が優れているアモルファス
もしくは微結晶の構造が得にくい等の問題点がある。こ
の内、結晶化を避ける方法として、例えば特開平7−2
68676号に記載されているスパッター法等が試みら
れているが、製膜速度が遅い等、依然として問題点を抱
えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水の
電気分解または食塩等のアルカリ金属塩化物の水溶液電
気分解に使用する場合、水素過電圧が十分に低い陰極お
よびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記問題点
を解決するため鋭意検討した結果、ターゲット構成原子
をアーク放電により蒸発、イオン化し、基材上に触媒物
質を被覆するアーク放電型イオンプレーティング法で作
製した陰極が優れた低水素過電圧を示すことを見いだし
た。
【0007】すなわち、本発明は、NiとTi、V、C
r、Fe、Zr及びNbの少なくとも一元素とからなる
合金層がアーク放電型イオンプレーティング法により導
電性基材表面に被覆された電極であって、合金層中のN
i含有量が35〜95原子%、実質残部がTi、V、C
r、Fe、Zr及びNbの少なくとも一元素であり、か
つCuKα線によるX線回折において、角度42〜45
度の間に主ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度で
ある合金層からなる低水素過電圧陰極およびその製造方
法である。
【0008】合金層を被覆する導電性基材は、例えば、
ニッケル、鉄、銅、チタンやステンレス合金鋼等で、特
に苛性アルカリに対して耐食性の優れたものであれば使
用できる。導電性基材の形状は、特に限定されるもので
はなく、一般に電解槽の陰極に合わせた形状のもの、例
えば平板状、曲板状、エキスパンドメタル状、パンチメ
タル状、網状、多孔板状などが使用される。このような
導電性基材表面に合金層を被覆する前に、予め、脱脂、
真空加熱、イオンボンバードメント等の一般的な前処理
を行うことが好ましい。また、導電性基材に適当なニッ
ケル合金メッキを行ったり、カーボンや白金族金属など
の導電性微粒子等を付着させることにより、基材表面の
凹凸度を高め、基材と合金層の密着性を強固にすること
も有効である。
【0009】本発明に使用するターゲットは、一般的に
イオンプレーティング法で使用するターゲットと同様の
方法で作製される。すなわち、ターゲット構成元素を、
ボールミル等で物理混合した後、CIP(冷間静水圧プ
レス)、HIP(熱間静水圧プレス)等により加圧成形
して作製するが、特にその方法は限定されるものではな
く、ターゲット構成元素が均一に混合されており緻密な
ものを使用する。また、ターゲット作製時において、必
ずしも合金化されている必要はない。
【0010】湿式メッキ法では、均一な皮膜を得るため
には、絶えずメッキ浴の組成、pH、温度等を管理する
必要があるため作業が煩雑であると共に再現性の点に問
題がある。しかし、本発明の方法によれば、原理的にそ
のような管理の必要性がないので作業が簡略化出来ると
共に再現性も良い。
【0011】湿式メッキ法で製膜する場合、電析電位の
違い等の制約によりメッキ可能な合金組成が制限される
が、本発明の方法によれば、原理的に皮膜合金の組成は
ほぼターゲットの組成と等しくなるので、ターゲットの
組成を制御することで、容易に任意の組成の皮膜を得る
ことが出来る。また、蒸気圧の差が大きい金属の場合、
高温処理を必要とする溶射法等では製膜が困難である
が、本発明の方法によれば、ターゲット原子をアーク放
電を用いて比較的低温で蒸発させるので、蒸気圧の差が
大きく溶射法等では作製が困難な元素間の合金化も容易
である。
【0012】膜厚は、5〜500μmが適当であるが、
成膜時間により容易に制御出来る。請求項記載の合金の
場合、製膜速度は数μm/10分程度だが、複数のター
ゲットを同時に使用することで製膜速度を上げることが
可能であり、他のイオンプレーティング法あるいはスパ
ッタリング法等では困難な厚膜化も容易である。
【0013】本発明における組成と構造の合金層は、タ
ーゲット組成および製膜条件を制御することにより得ら
れる。すなわち、Ni35〜95原子%で、実質残部が
Ti、V、Cr、Fe、Zr及びNbの少なくとも一元
素からなるターゲットを使用し、基材に−100〜50
Vの電位をかけて製膜を行う。また、反応ガスとして、
水素、炭素、窒素、酸素の少なくとも一種を含むガスを
導入して製膜を実施する。水素含有ガスとは、例えばH
2 、H2 Oの様に、ガス成分中に水素原子を含むガスの
ことである。炭素含有ガスとしては、例えばCH4 、C
2 6 等が、窒素含有ガスとしては、例えばN2 、NH
3 等が、酸素含有ガスとしては、例えばO2 、CO等が
あるが、反応ガスはここに例示したガスに限定されるも
のではない。上記条件でアーク放電型イオンプレーティ
ングを行うことにより、合金層中のNi含有量が35〜
95原子%で、実質残部がTi、V、Cr、Fe、Zr
及びNbの少なくとも一元素であり、かつCuKα線に
よるX線回折において、角度42〜45度の間に主ピー
クがあり、その半値幅が0.4〜7度である合金層から
なる低水素過電圧陰極が得られる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例により何等限定されるものではない。
【0015】実施例1〜5 Niを60at%含み、残部がV、Cr、Fe、Zr及
びNbからなるターゲットを使用してアーク放電型イオ
ンプレーティングを行い、実施例1〜5の試料を得た。
基材は、脱脂等を施して表面を清浄にしたニッケル板
(40×50mm2 )を用いた。アーク放電型イオンプ
レーティングは(株)昭和真空製SIA−400Tを用
いて行った。1×10-3Torrの真空下、アーク電流
100Aで50分間製膜を行い、基材上に合金層が約2
0〜30μm厚さ被覆された電極を作製した。皮膜の製
膜条件を表1に、得られた皮膜の特性を表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】皮膜の合金組成はX線マイクロアナライザ
ーで分析し、全金属濃度=100として換算した値を示
す。主ピークの位置および半値幅は、CuKα線による
X線回折図形から求めた。また、水素過電圧は90℃、
32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A/dm2 の電
流密度でカレントインタラプター法により測定した。 実施例6〜8 60at%Ni−40at%Tiの組成で作製したター
ゲットを使用して、1×10-3Torrの真空下、アー
ク電流100Aで50分間、表3に示す条件で製膜を行
い実施例6〜8の試料を得た。得られた皮膜の特性を表
4に示す。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】比較例1〜2 基材の電位を−300Vとする以外は実施例6と同様の
条件で製膜を実施した。製膜の条件および得られた皮膜
の性能をそれぞれ表3および表4に示す。得られた皮膜
の半値幅が請求範囲からはずれており、過電圧は300
mV程度の高い値を示す。
【0022】実施例9〜11 残部はNiでTi濃度が5〜65at%の間の4種類の
組成のターゲットを使用し、1×10-3Torrの真空
下、アーク電流100Aで50分間、表5に示す条件で
製膜を行った。得られた皮膜の性能を表6に示す。
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】比較例3〜4 比較例3および4は、それぞれ組成比98at%Ni−
2at%Tiおよび25at%Ni−75at%Tiの
ターゲットを使用し、実施例9と同様の条件で製膜を実
施した。製膜条件および得られた皮膜の特性をそれぞれ
表5および表6に示す。比較例3ではNiおよびTi含
有量が、比較例4ではNiおよびTi含有量とピーク位
置が請求範囲からはずれており、過電圧は高い。
【0026】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られる活性陰
極を90℃、32.5%の苛性ソーダ液中にて、40A
/dm2 の電流密度で電解すると、水素過電圧が120
〜150mVと低く、本発明により得られる陰極は、非
常に優れた陰極性能を有することが明らかとなった。
【0027】この陰極をアルカリ金属塩化物水溶液電解
に適用すると、消費電力のセービングが可能となり、ク
ロルアルカリ工業における省エネルギーに対する寄与は
大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基材上に、NiとTi、V、Cr、
    Fe、Zr及びNbの少なくとも一元素とからなる合金
    層を被覆した低水素過電圧陰極であって、Ni含有量が
    35〜95原子%で、実質残部がTi、V、Cr、F
    e、Zr及びNbの少なくとも一元素であり、かつCu
    Kα線によるX線回折において、角度42〜45度の間
    に主ピークがあり、その半値幅が0.4〜7度である合
    金層からなる低水素過電圧陰極。
  2. 【請求項2】Ni含有量が35〜95原子%で、実質残
    部がTi、V、Cr、Fe、Zr及びNbの少なくとも
    一元素とからなるターゲットを使用し、かつ導電性基材
    の電位を−100〜50Vとし、反応ガスとして水素、
    炭素、窒素、酸素の少なくとも一種を含むガスを導入
    し、アーク放電型イオンプレーティング法にて製造する
    ことを特徴とする請求項1記載の低水素過電圧陰極の製
    造方法。
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