JPH10251154A - 肝炎抑制組成物 - Google Patents

肝炎抑制組成物

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JPH10251154A
JPH10251154A JP9058852A JP5885297A JPH10251154A JP H10251154 A JPH10251154 A JP H10251154A JP 9058852 A JP9058852 A JP 9058852A JP 5885297 A JP5885297 A JP 5885297A JP H10251154 A JPH10251154 A JP H10251154A
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chrysanthemum
alkaloid
liver
lps
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Nozomi Otake
望 大岳
Takaharu Tanaka
隆治 田中
Shihaku You
志博 楊
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Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性が高く、かつウイルス性肝炎、薬物中
毒性肝炎、アルコール性肝炎、うっ血性肝炎、胆汁うっ
帯による肝障害、脂肪肝、黄疸、肝硬変およびその他に
起因する肝炎を予防または治療するための医薬を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 キク三七草から抽出したアルカロイド、
特にセネシオニン、セネシフィリンまたはこれらの混合
物からなるアルカロイドを有効成分とする肝炎を予防ま
たは治療するための医薬である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きく科植物に属す
るキク三七草から抽出したアルカロイドを有効成分とす
る肝炎および肝障害の予防または治療に使用する医薬に
関する。より詳細には、キク三七草由来アルカロイドを
有効成分とするウイルス性肝炎、アルコール性肝障害お
よびその他に起因する種々の肝障害を予防または治療す
るための医薬組成物、ならびに肝炎および肝障害に起因
する臨床的症状を予防または治療するための医薬組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は人体では最大の実質臓器の一つで
あり、解毒作用、糖質代謝、タンパク質代謝、胆汁の生
成分泌、血液凝固因子の生成、ホルモン調節作用、およ
び脂肪、グリコーゲン、タンパク質、ビタミン等の各種
生体構成要素の貯蔵など種々の機能を有している。しか
し、これらの機能もウイルス、薬物、毒物、アルコール
の過剰摂取などの原因により急性的あるいは慢性的障害
を受けて肝臓機能の恒常性の保持が崩され、肝炎を引き
起こすと、種々の健康障害が現われる。
【0003】肝炎は医療ニーズの高い疾患として位置づ
けされており、肝保護薬をはじめ原因療法薬としての抗
ウイルス薬や免疫調整薬にいたるまで治療薬の研究開発
は活発に行われている。しかし、少なくとも現存する治
療薬剤はその有用性において満足度はまだ不十分といわ
ざるを得ず、肝炎および肝障害の新たな予防または治療
薬の開発が望まれている。
【0004】こうした背景から新しい肝炎治療薬の探索
研究および開発が進められており、肝炎各病型に対応す
る様々な病態モデルを用いて薬効評価が行われている
が、利用される病態モデルは今のところ中毒性肝障害に
よるものが主である。しかし、ウイルス性肝炎における
肝細胞壊死がウイルス抗原排除に向けた宿主側の細胞性
免疫反応により惹起されることには現在異論はなく、ま
たアルコール性肝炎においても、免疫学的な肝細胞障害
機序の関与を示唆する成績が多く得られていることか
ら、免疫学的機序を介した実験的肝障害の作出と薬効評
価への応用も試みられている。
【0005】こうした実験的肝障害の例として、例えば
D−ガラクトサミン(D−galactosamine
(GalN))−リポポリサッカライド(lipopo
lysaccharides(LPS))(エンドトキ
シン)による肝障害では、病理組織学的にヒトのウイル
ス肝炎と類似した病像を呈し、投与量を増すと劇症肝炎
様の病態を起こすことが知られている。GalN−LP
Sで惹起した急性肝障害は、GalNの代謝物質である
ウリジン 二リン酸−ガラクトサミン(UDP−Gal
N)の肝細胞への直接障害だけではなく、エンドトキシ
ンとの相乗作用により惹起する過剰免疫反応のことが考
えられる。すなわち、エンドトキシンで活性化されたマ
クロファージ(肝臓クッパー細胞)から産生された腫瘍
壊死因子(TNF)、インターロイキン−1(IL−
1)などさまざまな肝障害因子がこれに関与している。
これらのことから、GalN−LPSによる肝障害はヒ
トの肝炎の肝細胞障害発現機序解明の一つのモデルと考
えられるようになってきている(医学の歩み、146
巻;179ページ、1988年)。
【0006】また、グラム陽性嫌気性菌であるプロピオ
ニバクテリウム・アクネス(Propionibact
erium acnes(Corinebacteri
umpurvum))の加熱死菌を前処理した動物に、
エンドトキシンを静脈内投与すると劇症型肝障害(肝不
全)が発生し(Gastroenterology、8
9巻;1114ページ、1985年)、中毒性肝障害と
は異なる範疇に属する病態であることから、最近では抗
肝炎剤の薬効評価に応用される頻度が高くなっている。
その病態および肝障害発現機序は、P.acnes投与
により、脾臓は著明に肥大し、肝組織内にはマクロファ
ージを主体とする細胞集簇巣(小肉芽腫;granul
oma)が多数形成される。P.acnes処理4〜6
日後にエンドトキシンを追加静注すると、肝内に集積し
たマクロファージが活性化され、活性酸素、ロイコトリ
エンおよびさまざまな肝細胞を障害する化学物質を放出
し、数時間のうちに細胞集簇巣を中心に広範囲な肝実質
細胞の変性壊死が発生、血清のトランスアミナーゼ活性
が上昇し、24時間以内に80%以上の動物が死亡す
る。
【0007】一方、キク三七草(Gynura seg
etum(Lour.)Merr.)はきく科土三七属
植物で、異名としては三七草、または紫三七などもあ
る。従来、中国の揚子江以南の各地域に多く分布し、慶
長年間(1596〜1614年)に日本に渡来し、庭園
でも栽培されている。漢方医薬に、キク三七草は生薬と
して腫れを消す、外傷を治すとされており、種々の原因
により引き起こされる炎症に対して使用されている。ま
た、止血、抗真菌作用があることが古くから知られてお
り、止血、消炎、解毒薬として用いられている。さら
に、近年中国の研究により、キク三七草は動物の冠状動
脈の血流量を増加させ、心筋の酸素消費量を減少させて
心臓の負担を軽減し、血液中のリポイドおよびコレステ
ロールを減少させることが認められたため、冠状動脈疾
患、狭心症、心筋梗塞、高血圧などの治療に用いられて
いる(原色牧野和漢薬草大図鑑、561ページ、198
8年)。
【0008】また、キク三七草の成分についてはこれま
でに幾つかの研究が行われており、キク三七草由来アル
カロイドについても、例えばLiang, X.T. らはセネシオ
ニン(Senecionine)を単離し(Senecionin
e from gynura segetum. Planta Med., 50巻;4ペー
ジ、1984年)、また、Alan, J.J.らはセネシフィリ
ン(Seneciphylline)の構造を決定した
(Pyrrolizidine alkaloids A Carbon-13 NMR study.
Aust J Chem.,35巻;1173ページ、1982
年)。
【0009】そして、これらのアルカロイドには肝毒性
があることが古くから報告されているが (J. Chem. So
c.,743ページ、1936年およびBer., 68
巻;650ページ、1935年)、現在までにこれらの
アルカロイドが抗肝炎効果を有することは知られていな
かった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術に
鑑み、本発明は、安全性が高く、かつウイルス性肝炎、
薬物中毒性肝炎、アルコール性肝炎、うっ血性肝炎、胆
汁うっ帯による肝障害、脂肪肝、黄疸、肝硬変およびそ
の他に起因する肝炎を予防または治療することを目的と
する抗肝炎組成物およびこれを添加してなる抗肝炎薬を
提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、D−ガラクトサミン−リポポリサッカ
ライドおよびプロピオニバクテリウム・アクネス−リポ
ポリサッカライド投与により生じる肝障害の臨床的症状
の抑制、即ち、実験マウスの血清由来酵素であるグルタ
ミン酸オキザロ酢酸アミノ基転移酵素(GOT)および
グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素(GPT)の
各活性の上昇の抑制ならびに肝障害による実験マウスの
死亡率の上昇の抑制を指標にして、広い範囲にわたり抗
肝炎剤および肝機能改善剤を鋭意探索した結果、キク三
七草のエタノール−水混液による抽出物が、D−ガラク
トサミン−LPSおよびP.acnes−LPSの投与
により生じる肝障害の臨床的症状に対し予防または改善
効果を有することを究明した。さらに、本発明者らは、
キク三七草のエタノール−水混液による抽出物の高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)による分離およびマ
ススペクトロメトリー(MS)と核磁気共鳴(NMR)
による分析により、抗肝炎作用を示す有効成分がピロリ
チジンアルカロイド(pyrrolizidine a
lkaloides)であるセネシオニンおよびセネシ
フィリンならびにこれらの混合物であることを明らかに
して本発明を完成した。すなわち本発明によれば、キク
三七草由来アルカロイドを有効成分とする、肝炎抑制組
成物およびこれを添加してなる肝炎に起因する種々の臨
床的症状を予防または治療するための医薬を提供するこ
とができる。
【0012】キク三七草由来のアルカロイドは、通常の
漢方薬としての使用方法、すなわちキク三七草の根を水
で煎じることによっても得られるが、より好ましくはキ
ク三七草の根を少量の水を含有するアルコールで加熱抽
出した後、溶媒転溶、順相および逆相カラムクロマトグ
ラフィー、結晶化などの精製手段を組み合わせることに
より得ることができる。アルコールに含有される水の量
は10容量%以下が好ましく、より好ましくは4〜6容
量%である。また、使用するアルコールとしては低級ア
ルコールであればいずれも使用できるが、好ましくはエ
タノールまたはメタノールであり、その使用量はキク三
七草の根の粉末の重量の5倍から10倍量が望ましい。
加熱抽出する際の温度は室温以上であれば良いが、抽出
の効率を高めるために50℃以上が好ましく、より好ま
しくはアルコール−水混液の沸点で還流させることが望
ましい。
【0013】得られたキク三七草アルカロイドは、抽出
液、これを濃縮した物、抽出物から溶媒を除去した乾燥
物等、いかなる状態のものでも使用することができる
が、保存性、有機溶媒の安全性の点で乾燥物の状態にす
るのが望ましい。
【0014】本発明のキク三七草アルカロイドは、マウ
スでのD−ガラクトサミン−LPSおよびP.acne
s−LPS肝障害モデルを用いた評価系では、治療効果
に有効な投与量(12.5mg/kg〜25.0mg/kg)で
は全く肝障害を生じず、投与量を133.3mg/kg以上
に増加させると肝障害が発生しはじめ、さらに投与量を
増加させると肝障害による死亡例もみられるようになっ
た。マウスでの急性毒性(LD50)は166.6mg/kg
であった。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、キク三七草ア
ルカロイドは上記の方法による抽出物、またはその成分
であるセネシオニンやセネシフィリンを単独でもしくは
その混合物として肝炎および肝障害の予防または治療薬
として用いられる。これらは、種々の投与形態に合わせ
て公知の医薬品用担体とともに製剤化すれば良い。これ
らの医薬製剤は、胃腸内、すなわち経口または直腸投与
用医薬製剤もしくは非経口投与用医薬製剤であり、およ
そ0.1%〜99%(重量%基準)、好ましくはおよそ
5%〜およそ50%の有効成分を含む。
【0016】胃腸内または非経口投与用医薬製剤は、例
えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤またはアンプル
である。それらは、それ自体公知の方法で、例えば通常
の混合、顆粒化、充填、打錠、コーティング、溶解など
の手段によって調製される。例えば、経口投与用の医薬
製剤は、キク三七草アルカロイドを抽出物のまま、また
はその成分であるセネシオニンやセネシフィリンを単独
もしくはその混合物として固体キャリヤーと混合させ、
ここで得られた混合物を適当に顆粒化し、所望ならばま
たは必要ならば、適当な補助剤を添加した後に、混合物
または顆粒を処理することによって得ることができる。
【0017】前記固体キャリヤーとしては、充填剤とし
て、例えばラクトース、サッカロース、マンニトール、
ソルビトール、セルロース製剤、および/またはリン酸
水素カルシウムなどを例示することができ、結合剤とし
て、とうもろこし、小麦、米またはポテトスターチを用
いた澱粉糊、ゼラチン、メチルセルロースおよび/また
はポリビニルピロリドンなどを例示することができる。
また、崩壊剤としては、前記澱粉、カルボキシメチルス
ターチ、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアル
ギン酸ナトリウムなどを例示できる。補助剤としては、
流れ調整剤および滑沢剤として、ケイ酸、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、および/またはポリエチレング
リコールなどを例示することができる。錠剤コアは、耐
胃液性であり得る適当なコーティング、例えばアラビア
ゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレング
リコールおよび/または二酸化チタンを含む濃糖溶液、
または適当な有機溶剤もしくは溶剤混合物中のラッカー
溶液によるコーティングを行うこともできる。
【0018】他の経口投与医薬製剤は、ゼラチンから製
造された乾燥充填カプセル、またはゼラチンおよび可塑
剤から製造された軟密封カプセルである。乾燥充填カプ
セルは、顆粒の形態の、例えばラクトースなどの充填
剤、例えば澱粉などの結合剤、および/または例えばタ
ルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、
所望により安定剤と混合した有効成分を含むことができ
る。軟カプセルにおいては、有効成分は好ましくは適当
な液体、例えば脂肪油、パラフィン油、または液体ポリ
エチレングリコール中に溶解または懸濁し、これは安定
剤を添加することもできる。
【0019】適当な直腸投与医薬製剤は、例えば有効成
分と坐剤基剤物質の組み合わせからなる坐剤である。適
当な坐剤基剤物質は、例えば、天然もしくは合成トリグ
リセリド、パラフィン系炭化水素、ポリエチレングリコ
ール、または高級アルカノールである。有効成分と基剤
物質の組み合わせを含むゼラチン直腸用カプセルを用い
ることも可能である。適当な基剤物質は、例えば、液体
トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラ
フィン系炭化水素である。
【0020】非経口投与に対しては特に水溶性の形態、
例えば、水溶性塩の形態の有効成分の水溶液が適当であ
る。また、有効成分の懸濁液、例えば適当な脂肪親和性
溶剤もしくはビヒクル、例えばゴマ油、合成脂肪酸エス
テルなどの脂肪油またはトリグリセリドなどを用いる相
当する油性注入懸濁液、あるいは粘度上昇物質、例えば
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール
および/またはデキストラン、そして所望により安定剤
を含む水性注入懸濁液が適当である。
【0021】本発明はまた、漢方薬としての通常の方法
によって実施することもできる。この場合、本発明は、
キク三七草の根を、水またはお湯に浸漬し、必要により
加熱した後に、その浸漬液を直接または所望により不溶
物を漉して飲用することで実施される。
【0022】有効成分の投薬は、種々の要因、例えば有
効成分の作用の効率および期間、処理すべき病気の重篤
度およびその症状、投与形態、温血種および/または性
別、年齢、体重ならびに温血動物の個々の条件に依存す
る。およそ75kgの体重の温血動物に勧められる通常の
おおよその1日の投薬量は、セネシオニンもしくはセネ
シフィリンまたはそれらの混合物としておよそ10mg〜
およそ3000mgであり、これは所望により数回に分け
て、所望により等しい部分的な投薬量で摂る。
【0023】
【実施例】以下、好適な実施例により、この発明に係る
化合物の薬学作用を説明するが、この発明の範囲を限定
するものではなく、当業者であれば、いずれも各種の変
更及び修正が行えるものである。
【0024】参考例1:キク三七草からのアルカロイド
の抽出 文献 (Acta Pharmaceutica Sin
ica,25巻;191ページ、1990年)に従い、
キク三七草の根5kgを95%エタノールで4回加熱抽出
した後、減圧濃縮し、これに1N HClを添加して溶
解し、濾過した後、NaOHを添加して沈殿させ、クロ
ロホルムを加えて抽出した。クロロホルム層を減圧濃縮
し、アセトンを加えて結晶化させた。クロロホルム−ア
セトンから再結晶を行い、キク三七草アルカロイドの白
色結晶を得た。以下の実施例1,2および参考例2,3
ではこうして得た白色結晶を使用した。
【0025】参考例2:キク三七草アルカロイドの成分
の分離、構造決定 参考例1の白色結晶を塩化メチレンに溶解し、室温条件
でHPLCの逆相系のカラム(Develosil H
G−5:20mmΦ×250mm)によってアルカロイドの
成分を分離した。MSとNMRの分析により、それらは
ピロリチジンアルカロイドのセネシオニンおよびセネシ
フィリンであることを同定した(Acta Pharm
aceutica Sinica,25巻;191ペー
ジ、1990年)。参考例1の白色結晶中のそれぞれの
含有量はセネシオニンが48%、セネシフィリンが22
%(いずれも重量%)であった。
【0026】実施例1:D−ガラクトサミン−LPSに
よる急性肝障害の誘発とキク三七草アルカロイドによる
抑制効果 7週齢のICR雌性マウスを日本クレア(株)より購入
し、SPF(specific pathogen f
ree)の環境下で一週間予備飼育後、8週齢で実験に
供した。
【0027】D−ガラクトサミン塩酸塩(GalN:D
−galactosamine・HCl,pfanstiehl l
aboratories, INC. USA)を生理食塩水に溶解した後、1
NNaOHを用いてpH7.0に調製し、投与量700mg
/kgを10μg/kgのリポポリサッカライド(LPS,
Sigma)と同時にマウスの静脈内に投与した。対照
群は同量の生理食塩水をマウスの静脈内に投与した。D
−ガラクトサミン−LPS投与6時間後および24時間
後にこれらの動物より採血を行なった。マウスの血清由
来酵素であるグルタミン酸オキザロ酢酸アミノ基転移酵
素(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵
素(GPT)の活性は、市販測定キット(国際試薬)を
用いて日立7050自動分析装置で測定した。これらの
血清中のトランスアミナーゼ活性はIU/Lで示した。ま
た、急性肝障害による実験マウスの死亡率を観察した。
【0028】キク三七草アルカロイドを極少量の1N
HClで溶解した後、生理食塩水で使用濃度に調製し
た。D−ガラクトサミン−LPS処理一時間前に一回、
キク三七草アルカロイドをマウス静脈内に投与した。
【0029】表1に示すように、正常マウスの血清GO
TおよびGPT活性に対して、D−ガラクトサミン−L
PS静脈内投与によって6時間後にそれぞれの活性は有
意に増加したが、キク三七草アルカロイドを25mg/kg
投与することにより、その上昇を低下させることができ
た。 表1 D-ガラクトサミン-LPS投与6時間後の血清 GOTおよび GPT活性 動物数 GOT(IU/L) GPT(IU/L) ─────────────────────────────────── 正常マウス 10 39.2±9.6 15.6±6.0 D-ガラクトサミン-LPS投与群 10 247.8±54.5 336.3±46.7 D-ガラクトサミン-LPS +キク三七草アルカロイド 10 111.0±37.7 198.7±30.5 (25mg/kg) ───────────────────────────────────
【0030】また、キク三七草アルカロイドのマウスG
OTおよびGPT低下効果の用量依存性を検討したとこ
ろ、12.5mg/kgのキク三七草アルカロイドを投与し
た群ではマウス血清のGOTおよびGPT活性をそれぞ
れ低下させる傾向を示したが、6.25mg/kg投与群で
は効果がなかった。結果を表2に示す。 表2 D-ガラクトサミン-LPS投与6時間後の血清 GOTおよび GPT活性 動物数 GOT(IU/L) GPT(IU/L) ─────────────────────────────────── 正常マウス 10 69.3±3.4 16.0±1.2 D-ガラクトサミン-LPS投与群 10 451.2±122.6 419.2±137.5 D-ガラクトサミン-LPS +キク三七草アルカロイド 10 380.3±76.8 354.8±93.9 (12.5mg/kg) D-ガラクトサミン-LPS +キク三七草アルカロイド 10 469.9±94.7 438.8±126.3 (6.25mg/kg) ───────────────────────────────────
【0031】D−ガラクトサミン−LPS投与24時間
後の血清GOTおよびGPT活性は、D−ガラクトサミ
ン−LPS投与群ではマウス血清のGOTおよびGPT
活性が著明に増加し、これに対してキク三七草アルカロ
イド(25mg/kg)投与によりそれぞれの上昇を58.
6%および44.1%抑制する効果を示した。また、キ
ク三七草アルカロイド(25mg/kg)単独処理群はマウ
ス血清GOTおよびGPT活性に対して何ら影響を与え
なかった。結果を表3に示す。 表3 D-ガラクトサミン-LPS投与24時間後の血清 GOTおよび GPT活性 動物数 GOT(IU/L) GPT(IU/L) ─────────────────────────────────── 正常マウス 10 83.3±1.9 22.8±2.5 D-ガラクトサミン-LPS投与群 10 5143.1±1438.4 4068.8±1225.0 D-ガラクトサミン-LPS +キク三七草アルカロイド 10 2131.0±800.5 2275.9±837.7 (25mg/kg) キク三七草アルカロイド (25mg/kg) 10 107.0±7.1 28.2±3.3 ───────────────────────────────────
【0032】一方、表4に示すように、D−ガラクトサ
ミン−LPS投与24時間後のマウスの死亡率は33.
3%を示したが、キク三七草アルカロイド(25mg/k
g)の一回投与により死亡率は20%に減少した。ま
た、キク三七草アルカロイドのみを25mg/kg投与した
群では死亡例はなく、肝炎抑制効果を示す用量での安全
性が確認された。 表4 D-ガラクトサミン-LPS投与24時間後のマウス死亡率 動物数 死亡数 死亡率(%) ─────────────────────────────────── D−ガラクトサミン-LPS投与群 15 5 33.3 D−ガラクトサミン-LPS +キク三七草アルカロイド (25mg/kg) 15 2 13.3 キク三七草アルカロイド(25mg/kg) 15 0 0.0 ───────────────────────────────────
【0033】実施例2:P.acnes−LPSによる
急性肝障害の誘発とキク三七草アルカロイドによる抑制
効果 7週齢のICR雌性マウスを日本クレア(株)より購入
し、SPFの環境下で一週間予備飼育後、8週齢で実験
に供した。
【0034】生理食塩水に懸濁したP.acnes死菌
1mg/マウス を静脈内に投与した。4日後に1μg/
kgのリポポリサッカライド(LPS,Sigma)をマ
ウス静脈内に投与し、急性肝障害を惹起させた。対照群
は同量の生理食塩水をマウス静脈内に投与した。LPS
投与24時間後にこれらの動物より採血を行なった。マ
ウスの血清由来酵素であるグルタミン酸オキザロ酢酸ア
ミノ基転移酵素(GOT)、グルタミン酸ピルビン酸ア
ミノ基転移酵素(GPT)の活性は、市販測定キット
(国際試薬)を用いて日立7050自動分析装置で測定
した。これらの血清中のトランスアミナーゼ活性はIU/
Lで示した。また、LPS投与3時間後および24時間
後に急性肝障害によるマウスの死亡率を観察した。
【0035】キク三七草アルカロイドを極少量の1N
HClで溶解した後、生理食塩水で使用濃度に調製し、
LPS投与の前日とLPS投与の一時間前の二回、これ
をマウス静脈内に投与した。
【0036】キク三七草アルカロイドのマウスGOTお
よびGPT低下効果の用量依存性を検討した。26.3
mg/kgおよび17.5mg/kgのキク三七草アルカロイド
を投与した群ではマウス血清のGOTおよびGPT活性
を低下させ、肝障害の抑制効果が認められ、11.7mg
/kgの投与群ではマウス血清のGOTおよびGPT活性
をそれぞれ低下させる傾向を示したが、7.8mg/kg投
与群では効果がなかった。結果を表5に示す。 表5 P.acnes-LPS 投与24時間後の血清 GOTおよび GPT活性 動物数 GOT(IU/L) GPT(IU/L) ─────────────────────────────────── 正常マウス 10 77.4±6.3 23.6±4.7 P.acnes-LPS 投与群 10 317.8±95.7 164.0±79.0 P.acnes-LPS +キク三七草アルカロイド 10 167.7±46.9 65.5±20.7 (26.3mg/kg) P.acnes-LPS +キク三七草アルカロイド 10 138.8±29.3 71.0±20.6 (17.5mg/kg) P.acnes-LPS +キク三七草アルカロイド 10 195.1±47.8 109.1±30.6 (11.7mg/kg) P.acnes-LPS +キク三七草アルカロイド 10 345.1±54.1 157.3±57.4 (7.8mg /kg) ───────────────────────────────────
【0037】一方、表6に示すように、P.acnes
−LPS投与マウスの死亡率は3時間後に40%、24
時間後に80%を示したが、これに対してキク三七草ア
ルカロイド(25mg/kg)の投与はP.acnes−L
PS肝障害に起因する死亡率を低下させた。また、キク
三七草アルカロイドのみを25mg/kg投与した群では死
亡例はなく、肝炎抑制効果を示す用量での安全性が確認
された。 表6 P.acnes-LPS 投与3時間後および24時間後のマウス死亡率 動物数 死亡数 死亡数 (3時間)(24時間) ─────────────────────────────────── P.acnes-LPS 投与群 10 4 8 P.acnes-LPS +キク三七草アルカロイド (25mg/kg) 10 0 5 キク三七草アルカロイド(25mg/kg) 10 0 0 ───────────────────────────────────
【0038】参考例3:キク三七草アルカロイドによる
肝臓毒性の誘発および急性毒性 7週齢のICR雌性マウスを日本クレア(株)より購入
し、SPFの環境下で一週間予備飼育後、8週齢で実験
に供した。
【0039】キク三七草アルカロイドを極少量の1N
HClで溶解した後、生理食塩水で使用濃度に調製し、
静脈内に一回投与した。投与24時間後にこれらの動物
より採血を行ない、マウスの血清由来酵素であるグルタ
ミン酸オキザロ酢酸アミノ基転移酵素(GOT)、グル
タミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素(GPT)の活性
を、市販測定キット(国際試薬)を用いて日立7050
自動分析装置で測定した。これらの血清中のトランスア
ミナーゼ活性はIU/Lで示した。88.8mg/kg以下の
投与量では肝臓障害作用の発現は認められなかった。結
果を表7に示す。 表7 キク三七草アルカロイド投与24時間後の血清 GOTおよび GPT活性 動物数 GOT(IU/L) GPT(IU/L) ─────────────────────────────────── 正常マウス 10 77.4±6.3 23.6±4.7 キク三七草アルカロイド (200.0mg/kg) 10 (全数死亡で測定できず) キク三七草アルカロイド (133.3mg/kg) 10 1346.4±193.6 1514.6±208.4 キク三七草アルカロイド (88.8 mg/kg) 10 87.3±4.8 21.2±0.94 キク三七草アルカロイド (59.3 mg/kg) 10 82.0±7.9 17.2±0.6 キク三七草アルカロイド (39.5 mg/kg) 10 79.0±6.8 18.8±3.7 キク三七草アルカロイド (7.8mg/kg) 10 76.3±7.4 25.6±1.9 ───────────────────────────────────
【0040】キク三七草アルカロイドを極少量の1N
HClで溶解した後、生理食塩水で使用濃度に調製し、
静脈内に一回投与した。投与24時間後の死亡率から、
プロビット法によりキク三七草アルカロイドの急性毒性
を計算した結果、LD50は166.6mg/kgであった。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の医薬組
成物に係るキク三七草から抽出した有効成分であるセネ
シオニンおよびセネシフィリンを含むキク三七草アルカ
ロイドは、肝炎および肝障害の予防または治療に使用で
きる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キク三七草から抽出したアルカロイドを
    有効成分とする、肝炎および肝障害の予防または治療に
    使用する医薬。
  2. 【請求項2】 アルカロイドがセネシオニン、セネシフ
    ィリンまたはこれらの混合物からなるアルカロイドであ
    る、請求項1記載の肝炎および肝障害の予防または治療
    に使用する医薬。
  3. 【請求項3】 肝炎および肝障害が、ウイルス性肝炎、
    アルコール性肝障害、各種薬物性肝障害およびその他に
    起因する肝障害ならびに肝炎および肝障害に起因する臨
    床的症状である、請求項1記載の肝炎および肝障害の予
    防または治療に使用する医薬。
  4. 【請求項4】 キク三七草から抽出したアルカロイドの
    有効量と、薬学的に許容しうる担体、希釈剤またはこれ
    らの混合物とからなる、肝炎および肝障害の予防または
    治療に使用する医薬組成物。
  5. 【請求項5】 アルカロイドがセネシオニン、セネシフ
    ィリンまたはこれらの混合物からなるアルカロイドであ
    る、請求項4記載の肝炎および肝障害の予防または治療
    に使用する医薬組成物。
  6. 【請求項6】 肝炎および肝障害が、ウイルス性肝炎、
    アルコール性肝障害、各種薬物性肝障害およびその他に
    起因する肝障害ならびに肝炎および肝障害に起因する臨
    床的症状である、請求項4記載の肝炎および肝障害の予
    防または治療に使用する医薬組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101670060A (zh) * 2009-10-15 2010-03-17 王峰 一种治疗肝气郁滞、胸痹痞满病症的中药组合物及制备方法
CN104547930A (zh) * 2015-01-12 2015-04-29 白忠可 脾虚湿热甲型黄疸肝炎清热利湿药剂及制备方法
JP2015524813A (ja) * 2013-05-15 2015-08-27 李▲偉▼▲権▼Weiquan LI タカサゴサンシチソウの肝炎を治療する薬物又は保健用食品の製造への応用

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