JPH10249873A - 圧縮成形用金型構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は原料樹脂シートを圧縮成形と同時に
穴加工して穴開き成形品を成形することができる圧縮成
形用金型構造を提供する。 【解決手段】 押込みピンを下面に突設してなる上型
と、該上型と対向して設けられ、押込みピンと対応する
位置に押込みピンを略隙間無く出入可能な逃げ孔を有
し、押込みピンの横断面に合致する横断面を有する可動
ピンを逃げ孔に沿って弾性的に上下動自在に上面に突設
してなる下型とを設けてなり、圧縮成形時に上型の押込
みピンを下型の逃げ孔に少なくとも一部挿入させること
により圧縮成形と同時に穴を穿設させることを特徴とす
る。 【効果】 単一工程で穴開き成形品を圧縮成形すること
ができ、原料樹脂シートの充填も穴加工部分を含めて一
様にセットすることができ、かつ、穴加工部のバリカッ
ト工程も必要とせず、穴加工部のスクラップ発生量も少
ない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、原料樹脂シートを
圧縮成形と同時に形成させるための圧縮成形用金型構造
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、ガラス繊維強化熱可塑性
樹脂シート（スタンパブルシート）を用いた成形品の穴
加工方法は、圧縮成形されたスタンパブルシートをドリ
ル加工あるいは打抜き加工することが一般的であり、圧
縮成形と穴加工の２工程を必要とするため生産効率を低
下させるなどの問題があった。そのため、圧縮成形と同
時に穴加工を行う方法が提案されている。その方法の１
つは、下型上で、穴加工する個所を除いたその近傍に原
料樹脂シートをチャージし、上型を下降させる。この際
に穴加工する個所には穴に相当する大きさのピンを立設
し、上型の下降により軟化している原料樹脂シートを圧
縮し、それにより流動した原料樹脂シートで前記ピンの
周囲を取り囲ませる。その状態で冷却し、上型と共にピ
ンを引き上げれば、ピンの外周に対応する穴の成形を圧
縮成形と同時にすることができる。しかし、上記方法で
は原料樹脂シートのチャージが穴開け個所を除く部分に
限られ、そのため穴開け個所または原料チャージ個所に
制約が生じてしまう欠点がある。

【０００３】そこで、原料樹脂シートのチャージ部分に
穴加工する方法として、図６ないし図１０に示す方法
が、提案されている。すなわち、図６で示すように上型
１として押込みピン２を下面に突設してなるものを用
い、他方、下型３として上記押込みピン２と対応する位
置に対応する横断面形状の逃げ穴４を穿設したものを用
い、下型３の上面に原料樹脂シート５を一様に載置し、
その状態で上型１を降下させ成形品６を圧縮成形すると
ともに押込みピン２を下型３の逃げ穴４に挿入させてバ
リ部分７を押出すとともに穴部分８を成形し（図７）、
ついで成形品６を冷却させたのち、これを取出し（図
８）、さらにバリ部分７をカットし（図９）、最後に図
１０に示すようにカット部分の仕上げを行うというもの
である。しかし、この方法も複数の工程を必要とするば
かりか、スクラップ量が多く、生産コストを増大させる
という問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであって、その主たる課題は、下型へ
原料樹脂シートをチャージして圧縮成形と同時に穴加工
を行うことができる穴開き成形品の圧縮成形用金型構造
を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の圧縮成形
の問題点を解決する手段として、上型の下面に押込みピ
ンを突設するとともに、逃げ孔内に下型の上面で押込み
ピンに対応する可動ピンを出没自在に突設させるという
手段を講じた。

【０００６】即ち、上記課題を解決するために、請求項
１の発明では、原料樹脂シートを圧縮成形する際に成形
品の穴加工も行う圧縮成形用金型構造において、押込み
ピンを下向きに突設してなる上型と、該上型に対向して
設けられ、上記押込みピンを挿入可能な逃げ孔を有する
下型と、上記逃げ孔に内蔵され、先端が、前記押込みピ
ンの下降により押し下げられて逃げ孔内へ没入し、押込
みピンの上昇により下型より上方に突出する可動ピンと
からなっており、上型が下降する際の中途位置で可動ピ
ンの上面と押込みピンの下面とで樹脂シートを局部的に
圧縮し、上型の下降終点位置で押込みピンの下端を逃げ
孔内に突入させて前記樹脂シートの圧縮部分を抜き取っ
て穴部を形成し、上型の上昇時に押込みピンを穴部から
引き抜くと共に可動ピンを上昇させて該穴部に突入させ
てなる、という技術的手段を講じている。

【０００７】また、請求項２の発明では、可動ピンを昇
降させる手段として、可動ピンを上向きに付勢する付勢
手段を用い、また、可動ピンと押込みピンとが同一横断
面からなっており、同一軸線上に配置してなる、という
技術的手段を講じている。また、請求項４の発明では、
原料樹脂シートを圧縮成形する際に成形品の穴加工も行
う圧縮成形用金型構造において、押込みピンを下向きに
突設してなる上型と、該上型に対向して設けられ、上記
押込みピンを挿入可能な逃げ孔を有する下型と、上記逃
げ孔に内蔵され、先端が、前記押込みピンの下降により
押し下げられて逃げ孔内へ没入し、押込みピンの上昇に
より下型より上方に突出する可動ピンとを有する金型を
用い、上型が下降する際の中途位置で可動ピンの上面と
押込みピンの下面とで樹脂シートを衝合部分で圧縮さ
せ、更に上型を下降させて押込みピンが可動ピンを付勢
力に抗して押し下げ上型の下降終点位置で押込みピンの
下端を逃げ孔内に突入させて前記樹脂シートの圧縮部分
を抜き取って穴部を形成し、樹脂シートを冷却させた後
に上型を上昇させ、押込みピンを穴部から引き抜くと共
に可動ピンを付勢力で上昇させて該穴部に突入させてな
る、という技術的手段を講じている。そして、原料樹脂
シートとしては、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂材シート
等が挙げられる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の圧縮成形用金型
構造の好適実施例を図１ないし図５を参照しつつ説明す
る。ここで、図１ないし図５は本発明の圧縮成形用金型
を用いて穴開き成形品を成形する工程を示す要部断面図
である。

【０００９】まず、本発明の圧縮成形用金型は、図１に
示すように、上型１０と、これと上下に対向して設けら
れた下型１１とからなり、上型１０の下面には押込みピ
ン１２が所定の高さを以て突設されている。なお、図示
の場合、この押込みピン１２は円柱状からなっておりベ
ース１３を介して上型１０に固定されている。この上型
１０の押込みピン１２と対応しその同軸線上で、下型１
１の上面に可動ピン１４が出没自在に突設されている。

【００１０】すなわち、下型１１の上面には、押込みピ
ン１２と対応する位置に押込みピン１２を出没させるこ
とができる逃げ孔１５が穿設されている。この逃げ孔１
５は、図示例の場合、その横断面が押込みピン１２の横
断面より僅かに大きく設定されており、押込みピン１２
を上下に摺動可能とするものである。また、この逃げ孔
１５内には、軸線方向に沿って上下動自在に略円柱状の
可動ピン１４が嵌挿されている。ここで、この可動ピン
１４は押込みピン１２と略同一断面からなっており、成
形する穴の形状を規定している。そして、可動ピン１４
の上面は押込みピン１２の下面と整合するように対峙さ
れる。図示例で可動ピン１４と押込みピン１２とはそれ
ぞれの同一径の円柱形状からなって同一軸線上に配置さ
れているので、円形の穴部を形成することができる。し
かし、可動ピン１４と押込みピン１２とを円形以外の楕
円形状や多角形状その他任意形状の断面形状とし、両者
を同一軸線上に配置すれば、円形以外の異形の穴部を形
成することができる。

【００１１】また、図示例では、逃げ孔１５の下部に連
通して大径に形成されたスプリング収納部１６が下型１
１に設けられている。このスプリング収納部１６にはコ
イルスプリング１７が設置されており、可動ピン１４の
下端に形成された逃げ孔１５より大径のストッパー部１
４ａを介して可動ピン１４が上向きに付勢されて支持さ
れている。従って、可動ピン１４は、逃げ孔１５に沿っ
て弾性的に上下動し、上型１０の下降時に押込みピン１
２に押されて押込みピン１２とともに逃げ孔１５内部に
押込まれるようになっている。

【００１２】この可動ピン１４は、押込みピン１２から
の負荷がかからない状態においては下型１１の上面から
一部突出した状態に保持される。本実施例では可動ピン
１４の突出高さは、上型１０が下降した際の下型１１と
の隙間の長さ、換言すると圧縮後の原料樹脂シートの厚
み以上の長さ（例えば成形品の厚みより０〜１０ｍｍ位
突出する長さ）に設定されている。

【００１３】次に、前記圧縮成形用金型を用いて穴開き
成形品を圧縮成形する工程を説明する。まず、図１に示
すように、加熱されて軟化している原料樹脂シート（ス
タンパブルシート）Ｒが下型１１の上にチャージされ
る。この場合、原料樹脂シートＲは、可動ピン１４が下
型１１の上面から突出したままの状態で、それを覆うよ
うにチャージされる。

【００１４】次に、上型１０を図２に示すように降下さ
せると、その中途位置で押込みピン１２の下面と可動ピ
ン１４の上面との間に位置する部位の原料樹脂シートＲ
の部分は上下両面から押圧されるため、大部分が押し退
けられ、一部Ｒ１のみが押込みピン１２と可動ピン１４
との間に挟まれた状態となる。即ち、上型１０の下降中
途位置である押込みピン１２のストローク下死点より前
にＲ１部分は局部的に圧縮され極端に薄くなる。

【００１５】次に、図３に示すように、上型１０がさら
に降下され原料樹脂シートＲを所定の肉厚まで圧縮成形
される工程（すなわち、上型の下降終点位置である押込
みピン１２のストローク下死点）においては、押込みピ
ン１２がコイルスプリング１７の弾性力に抗して可動ピ
ン１４を逃げ孔１５内部に押込み、同時に押込みピン１
２の先端部も原料樹脂シートＲの一部Ｒ１を剪断力によ
りカットし、カットされた一部Ｒ１を可動ピン１４との
間に挟んだまま逃げ孔１５内部に押込まれる。

【００１６】次に、圧縮成形された原料樹脂シートｒが
十分に冷却されるまで図３の状態が保たれ、この冷却工
程が終わると、図４に示すように上型１０が上昇し、元
の位置に戻される。このとき、押込みピン１２は上方へ
引き抜かれるが、負荷のかからなくなった可動ピン１４
はコイルスプリング１７の反発力により上昇して、前記
押込みピン１２による開孔個所に下から突入し、これと
同時に切取られた一部Ｒ１が排出されて穴の成形が完成
する。最後に、図５に示すように成形品ｒを下型１１の
上面から取出すことにより穴１８が穿設された穴開き成
形品ｒが得られる。

【００１７】なお、本発明は上記実施例に限らず、例え
ば、上記実施例では下型１１に出没自在に埋設した可動
ピン１４をコイルスプリング１７により上向きに付勢さ
せたが、コイルスプリング以外の弾性材料を用いて同様
に上向きに付勢させてもよいし、また弾性材料以外に他
の機械的手段により可動ピン１４を上下動させてもよ
い。図示しないが、例えば上型の昇降と連動するリンク
機構やカム機構その他の連動機構を可動ピンに設けてお
き、押込みピンの上下と同期して可動ピンが上下に連動
するようにしてもよい。また、穴の形状、大きさについ
ても特に制限はなく、丸穴の他、異形穴などあらゆる形
状の穴を形成することができる。更に、本発明の圧縮成
形用金型によって圧縮成形される樹脂については、本実
施例のようにガラス繊維強化熱可塑性樹脂に限定されな
くてもよく、広く熱可塑性合成樹脂シートに対して適用
することができる。また成形品の用途は限定されるもの
ではなく、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で
種々設計変更しうること勿論である。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明の圧縮成形用金型
構造によれば、単一工程で穴開き成形品を精度よく圧縮
成形することができる。また、原料樹脂シートの金型内
へのチャージも穴加工部分を含めて行うことができ、か
つ、従来のように穴加工部のバリカット工程も必要とし
ないので、穴加工部のスクラップ発生量も少ないなど、
工程的に簡単であり、生産コストの低減を図ることがで
きて極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の圧縮成形用金型の構成および原料樹脂
シートを用いた成形品の成形過程を説明する断面図であ
る。

【図２】図１に続く成形品の成形過程を説明する断面図
である。

【図３】図２に続く成形品の成形過程を説明する断面図
である。

【図４】図３に続く成形品の成形過程を説明する断面図
である。

【図５】図４に続く成形品の成形過程を説明する断面図
である。

【図６】従来の圧縮成形用金型を用いて穴開き成形品を
成形する過程を説明する断面図である。

【図７】図６に続く穴開き成形品の成形過程を説明する
断面図である。

【図８】図７に続く穴開き成形品の成形過程を説明する
断面図である。

【図９】図８に続く穴開き成形品の成形過程を説明する
断面図である。

【図１０】図９に続く穴開き成形品の成形過程を説明す
る断面図である。

【符号の説明】

１…上型 ２…押込みピン ３…下型 ４…逃げ穴 ６…成形 ７…バリ部分 ８…穴部分 １０…上型 １１…下型 １２…押込みピン １３…ベース １４…可動ピン １５…逃げ孔 １６…スプリング収納部 １７…コイルスプリング １８…穴

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原料樹脂シートを圧縮成形する際に成形
   品の穴加工も行う圧縮成形用金型構造において、 押込みピンを下向きに突設してなる上型と、 該上型に対向して設けられ、上記押込みピンを挿入可能
   な逃げ孔を有する下型と、 上記逃げ孔に内蔵され、先端が、前記押込みピンの下降
   により押し下げられて逃げ孔内へ没入し、押込みピンの
   上昇により下型から上方に突出する可動ピンとからなっ
   ており、 上型が下降する際の中途位置で可動ピンの上面と押込み
   ピンの下面とで原料樹脂シートを局部的に圧縮し、上型
   の下降終点位置で押込みピンの下端を逃げ孔内に突入さ
   せて前記原料樹脂シートの圧縮部分を抜き取って穴部を
   形成し、上型の上昇時に押込みピンを穴部から引き抜く
   と共に可動ピンを上昇させて該穴部に突入させてなるこ
   とを特徴とする圧縮成形用金型構造。
2. 【請求項２】 可動ピンが上向きに付勢されると共に、
   可動ピンと押込みピンとが同一横断面からなっており、
   同一軸線上に配置されてなることを特徴とする請求項１
   に記載の圧縮成形用金型構造。
3. 【請求項３】 原料樹脂シートが、ガラス繊維強化熱可
   塑性樹脂材からなっていることを特徴とする請求項１に
   記載の圧縮成形用金型構造。
4. 【請求項４】 原料樹脂シートを圧縮成形する際に成形
   品の穴加工も行う圧縮成形用金型構造において、 押込みピンを下向きに突設してなる上型と、該上型に対
   向して設けられ上記押込みピンを挿入可能な逃げ孔を有
   する下型と、上記逃げ孔に内蔵され、先端が、前記押込
   みピンの下降により押し下げられて逃げ孔内へ没入し、
   押込みピンの上昇により下型より上方に突出する可動ピ
   ンとを有する金型を用い、 上型が下降する際の中途位置で可動ピンの上面と押込み
   ピンの下面とで原料樹脂シートを衝合部分で圧縮させ、
   更に上型を下降させて押込みピンが可動ピンを付勢力に
   抗して押し下げ上型の下降終点位置で押込みピンの下端
   を逃げ孔内に突入させて前記樹脂シートの圧縮部分を抜
   き取って穴部を形成し、樹脂シートを冷却させた後に上
   型を上昇させ、押込みピンを穴部から引き抜くと共に可
   動ピンを付勢力で上昇させて該穴部に突入させてなるこ
   とを特徴とする請求項１に記載の圧縮成形用金型構造。