JPH10246268A - 回転ダンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転ダンパのより小型化を図ると共に、構造
が簡単で部品点数も少なくすることで製造に際してのコ
スト低減をも図る。 【解決手段】 内接型トロコイドポンプのポンプケース
をダンパケース２として一方の取付部とし、このダンパ
ケース２内に回転自在に納めたアウタロータ１０と噛み
合うインナロータ１１から伸びるインプットシャフト１
７をダンパケース２から外部へと突出させて他方への取
付部とすると共に、ダンパケース２に設けた二つのキド
ニポート１２，１３を油路１９で相互に連通し、この油
路１９に絞り抵抗要素２０である外部調整可能の絞りバ
ルブ２１を介装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、リクライニング
シートの背凭れや足載せ台或いは車両用サスペンション
装置のダンパおよびダンパ機能付きのドアヒンジ等、減
衰作用を必要とする各種の装置および機器に使用される
回転ダンパに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の回転ダンパは、取付スペースの
関係上およびコスト面での理由から可能な限り小型でか
つ低コストに構成することが望ましい。

【０００３】そこで、特許出願人は、先に、平成６年特
許願第１３１２５６号（平成７年特許出願公開第３１７
８２１公報）として小型化を図ったこの種の回転ダンパ
を提案した。

【０００４】しかし、上記回転ダンパは、一方の取付部
であるダンパケースにクランク軸からなるインプットシ
ャフトを回転自在に架装し、このインプットシャフトを
ダンパケースから外部へと突出させて他方への取付部と
している。

【０００５】そして、インプットシャフトの偏芯軸部と
並べてダンパケースに油圧緩衝用のシリンダを形成し、
このシリンダ内に納めた緩衝ピストンから伸びるスライ
ダに切欠きを形成してインプットシャフトの偏芯軸部に
嵌めている。

【０００６】このようにして、ダンパケースとインプッ
トシャフトの相対的な回転運動に伴い、インプットシャ
フトの偏芯軸部とスライダとにより緩衝ピストンに往復
運動を与えることで減衰作用を行うようにしている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】そのために、このもの
によれば、インプットシャフトの偏芯軸部と対向して油
圧緩衝用のシリンダを並べて配置してやる必要が生じ、
その結果、このシリンダの長さ分だけダンパケースが横
方向に大きくなる。

【０００８】しかも、充分な緩衝作用を行うためには、
油圧緩衝用のシリンダの内径を大きくして作動時のオイ
ル流量を殖やするなり、或いは、偏芯軸部の偏芯量とシ
リンダの長さを大きくして緩衝ピストンの作動ストロー
クを殖やしてやらなければならず、これらの点からも全
体の形態が大きくなって小型化の面で未だ充分とは言え
ない。

【０００９】さらに加えて、インプットシャフトをクラ
ンク軸で構成したり油圧緩衝用のシリンダを設けてやる
など構造が複雑で部品点数も多く、製造時における組立
の煩雑化と部品管理に手数を要してその分コスト高にな
らざるを得ない。

【００１０】したがって、この発明の目的は、より小型
化できると共に構造が簡単で部品点数も少なく、製造に
際してのコスト低減をも図ることのできるこの種の回転
ダンパを提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記した目的は、この発
明によれば、内接型トロコイドポンプのポンプケースを
ダンパケースとして一方の取付部とし、このダンパケー
ス内に回転自在に納めたアウタロータと噛み合うインナ
ロータから伸びるインプットシャフトを他方への取付部
とすると共に、ダンパケースに設けた二つのキドニポー
トを油路で相互に連通し、この油路に絞り抵抗要素を介
装することによって達成される。

【００１２】さらに、好ましくは、ダンパケースに設け
た二つのキドニポートを相互に連通する油路に介装した
絞り抵抗要素を外部調整可能とした絞りバルブで構成し
てやる。

【００１３】すなわち、上記の構成によれば、ダンパケ
ースとインプットシャフトの一方のみが回転した場合、
或いは、両者が反対方向または速度差をもって同方向に
回転した場合に、アウタロータとインナロータとの間に
相対的な噛合変位が生じることになる。

【００１４】このアウタロータとインナロータとの相対
的な噛合変位に伴い、両者によって区画された二つの可
変容積室が拡張および収縮を繰り返しつつ移動し、拡張
側でキドニポートから可変容積室へと汲み上げたオイル
を収縮側へと運んで他方のキドニポートからそのとき拡
張側となっている可変容積室へと油路を通して押し出
す。

【００１５】これによって、二つのキドニポートを連通
するダンパケース側の油路中をオイルが流れ、当該油路
に介装した絞り抵抗要素を通るときのオイルの流動抵抗
で減衰作用を行う。

【００１６】かくして、インプットシャフトをクランク
軸で構成して緩衝用のシリンダを用いることなく、直接
トロコイドポンプを利用して減衰作用を行うことができ
ることから、構造が簡単となるばかりでなく部品点数も
少なくなり、回転ダンパ全体の構成の小型化と製造に際
してのコスト低減をも図ることができる。

【００１７】また、これと併せて、回転ダンパとしての
有効回転（緩衝ストローク）に制限を受けることなく連
続して無限に緩衝作用を行い得るので、その面からも回
転ダンパ全体としての小型化を図りつつ充分な緩衝作用
を行うことが可能になる。

【００１８】しかも、上記において、二つのキドニポー
トを相互に連通する油路の絞り抵抗要素を外部調整可能
の絞りバルブとすることにより、それぞれの使用条件に
合わせて当該回転ダンパの減衰特性を適切に選択するこ
とも可能になる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添
付図面に基づいて説明する。

【００２０】図１において、回転ダンパ１の外郭部分を
形作るダンパケース２は、トロコイドポンプにおけるポ
ンプケースと同様に有底円筒状に形成した本体部分３
と、当該本体部分３との間にシール４を介装して取り付
けた蓋体５とで内部を密封して構成してある。

【００２１】本体部分３の底部側面からは、外方へと向
って対称的にフランジ６，７が突出しており、これらフ
ランジ６，７に設けた取付穴８，９を用いてボルトやリ
ベット等により減衰作用を受ける一方の部材へとダンパ
ケース２を取り付けるようにしてある。

【００２２】ダンパケース２の内部には、本体部分３と
蓋体５とに摺接してトロコイドポンプの主要部であるア
ウタロータ１０とインナロータ１１の各ロータを収納
し、かつ、キドニポート１２，１３をダンパケース２に
おける本体部分３の底部に形成している。

【００２３】すなわち、各ロータは、図２で分かるよう
に、ダンパケース２へと回転自在に収納したアウタロー
タ１０と当該アウタロータ１０の内部に偏芯して噛み合
わせたインナロータ１１とからなっており、これらアウ
タロータ１０とインナロータ１１との間に開口して二つ
のキドニポート１２，１３を対称的に本体部分３の底部
に設けている。

【００２４】なお、アウタロータ１０とインナロータ１
１は、トロコイドポンプとして従来からよく知られてい
るように、アウタロータ１０の歯数（当該実施の形態で
は五枚）に比べてインナロータ１１の歯数（当該実施の
形態では四枚）を一枚だけ少なくしている。

【００２５】これによって、アウタロータ１０とインナ
ロータ１１間に両者の噛合回転運動に伴って交互に容積
を増大および縮小する可変容積室１４，１５を形成する
と共に、これら可変容積室１４，１５へと上記した二つ
のキドニポート１２，１３をそれぞれ連通している。

【００２６】図１に戻って、上記したインナロータ１１
は、キー１６（図２参照）で結合したインプットシャフ
ト１７を備えており、このインプットシャフト１７をダ
ンパケース２の蓋体５から回転用シール１８を通して密
封状態を保ちつつ外部へと突き出し、当該インプットシ
ャフト１７の突出部分で減衰作用を受ける他方の部材へ
の結合部を形成している。

【００２７】また、ダンパケース２の底部に形成した二
つのキドニポート１２，１３は、ダンパケース２を構成
する本体部分３の底部に設けた油路１９を通して相互に
連通し、この油路１９に絞り抵抗要素２０を介装してあ
る。

【００２８】なお、当該実施の形態にあっては、絞り抵
抗要素２０として好ましいところの外部調整可能の絞り
バルブ２１を用いた場合を示してあるが、必ずしも外部
調整可能の絞りバルブである必要はなく、例えば、固定
式のオリフィスであってもよいことは言うまでもない。

【００２９】次に、この発明の実施の形態である図１お
よび図２に示す回転ダンパ１の作用について説明する。

【００３０】取付側の相対変位に伴ってダンパケース２
とインプットシャフト１７の一方のみが回転したり、或
いは、両者が反対方向または速度差をもって同じ方向に
回転運動を始めると、ダンパケース２とインナロータ１
１との間に相対的な回転変位が生じる。

【００３１】このとき、ダンパケース２のみが回転した
とすれば、インナロータ１１と噛み合うアウタロータ１
０がダンパケース２と反対の方向に回転を起こし、イン
プットシャフト１７のみが回転したとするとアウタロー
タ１０がインナロータ１１よりも遅い速度で同じ方向へ
と回転する。

【００３２】このことは、ダンパケース２とインナロー
タ１１との間の相対的な回転変位によって生じることな
ので、これら両者が反対方向または速度差をもって同じ
方向に回転運動を始めた場合にも同じであり、それによ
って、可変容積室１４，１５がそれぞれの場合に応じ図
２において時計回りまたは反時計回りへと向って変位し
ていく。

【００３３】上記によって、今、ダンパケース２とイン
プットシャフト１７の相対的な回動運動に伴い、可変容
積室１４，１５が図２において時計回りに変位したと仮
定すると、左側に位置する可変容積室１４が収縮すると
共に右側の可変容積室１５が拡張する。

【００３４】そして、この可変容積室１４，１５の収縮
および拡張は、ダンパケース２とインプットシャフト１
７の相対的な回動運動の進行に伴い交互に入れ換わって
繰り返し行われ、拡張側でキドニポート１３からオイル
を汲み上げつつ当該オイルを収縮側へと運んで他方のキ
ドニポート１２へと押し出す。

【００３５】これにより、キドニポート１２から油路１
９および絞り抵抗要素２０並びに他方のキドニポート１
３を通るオイルの流れが生じ、このときの絞り抵抗要素
２０を通るオイルの流動抵抗で所定の減衰力を発生す
る。

【００３６】しかも、この減衰力は、ダンパケース２と
インプットシャフト１７の相対的な回転運動速度に伴っ
て油路１９を流れる単位時間当りのオイル量が増減する
ことから、当該回転運動速度に応じた減衰特性を発揮し
て適切な減衰作用を行う。

【００３７】また、ダンパケース２とインプットシャフ
ト１７の相対的な回動運動で可変容積室１４，１５が図
２において反時計回りに変位を始めた場合には、先の場
合と逆にこれら可変容積室１４，１５が拡張および収縮
を繰り返す。

【００３８】このことから、絞り抵抗要素２０を通して
油路１９を流れるオイルの流れ方向が単に反対になるだ
けで、同じく、ダンパケース２とインプットシャフト１
７の相対的な回転運動速度に応じた減衰特性を発揮して
適切な減衰作用を行うことになる。

【００３９】なお、これまでの説明では、回転ダンパ１
の動作方向に関係なく絞り抵抗要素２０により同一の絞
り抵抗を与えて同一の減衰特性を発生する場合について
述べてきたが、この実施の形態のように絞り抵抗要素２
０を外部調整可能絞りバルブ２１とすることにより、そ
れぞれの使用条件に合わせて回転ダンパ１の減衰特性を
適切に選択することができる。

【００４０】また、特に図示はしないが、回転ダンパ１
の動作方向に応じて異なった減衰特性を発生したい場
合、或いは、一方向の動作時にのみ減衰特性を発生した
い場合にあっては、絞り抵抗要素２０として通常のオイ
ルダンパにおいて一般に広く使用されているそのような
特性を備えた減衰バルブを用いてやればよい。

【００４１】しかも、これらの場合にあっても、上記減
衰バルブを当該実施の形態と同様に外部調整可能とする
ことで、それぞれの使用条件に合わせて回転ダンパの減
衰特性を適切に選択することも可能である。

【００４２】

【発明の効果】以上のように、請求項１の発明によれ
ば、内接型トロコイドポンプにおけるポンプケースをダ
ンパケースとして一方の取付部とし、このダンパケース
内に回転自在に納めたアウタロータと噛み合うインナロ
ータから伸びるインプットシャフトを他方の取付部とす
ると共に、ダンパケースに設けた二つのキドニポートを
油路で相互に連通し、この油路に絞り抵抗要素を介装し
てやるだけで減衰作用を行い得ることから、構造が簡単
となるばかりでなく部品点数も少なくなり、回転ダンパ
全体の構成の小型化と製造に際してのコスト低減をも図
ることができる。

【００４３】しかも、これと併せて、回転ダンパとして
の有効回転に制限を受けることなく連続して無限に緩衝
作用を行い得るので、その面からも、回転ダンパ全体と
しての小型化を図りつつ充分な緩衝作用を行うことが可
能になる。

【００４４】また、請求項２の発明によれば、上記の効
果に加えて、二つのキドニポートを相互に連通する油路
に介装した絞り抵抗要素を外部調整可能の絞りバルブで
構成したことにより、好みに応じて減衰特性を容易に選
択することができるばかりでなく、予め減衰特性を調整
して設定しておいた状態で出荷することにより、各種の
装置や機器および機種並びに使用条件等に合わせて当該
回転ダンパを適用することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による回転ダンパの実施の形態を示す
縦断正面図である。

【図２】同上、ダンパケースの蓋体を取り外して内部の
ダンパ機構を示した平面図である。

【符号の説明】

１ 回転ダンパ ２ ダンパケース ３ ダンパケースの本体部分 ５ ダンパケースの蓋体 ６，７ フランジ ８，９ 取付穴 １０ アウタロータ １１ インナロータ １２，１３ キドニポート １４，１５ 可変容積室 １７ インプットシャフト １９ 油路 ２０ 絞り抵抗要素 ２１ 絞りバルブ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内接型トロコイドポンプのポンプケース
   をダンパケースとして一方の取付部とし、このダンパケ
   ース内に回転自在に納めたアウタロータと噛み合うイン
   ナロータから伸びるインプットシャフトを他方への取付
   部とすると共に、ダンパケースに設けた二つのキドニポ
   ートを油路で相互に連通し、この油路に絞り抵抗要素を
   介装したことを特徴とする回転ダンパ。
2. 【請求項２】 二つのキドニポートを相互に連通する油
   路に介装した絞り抵抗要素を外部調整可能の絞りバルブ
   で構成した請求項１の回転ダンパ。